カプ厨がていとくんに憑依転生しました   作:暗愚魯鈍

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今回は戦闘描写多めです。最近寒くなって来ましたねぇ、皆さんも風邪をひかない様に気をつけてくださいね。てなわけで世界崩壊編第2話スタートです



世界は終わるのか、それとも始まるのか

「国家の剣…接続完了、即位の冠…接続完了、統治の笏…接続完了、スクーン石…接続完了…これでクイーンブリタニア号とオナーズオブスコットランドの接続は終わった」

 

クイーンブリタニア号に辿り着いたコロンゾンはヘリポート(祭壇)に国家の剣、即位の冠、統治の笏、スクーン石をセッティングする。

 

「44種のペンタクル、天使名のシジル、上下一対の正三角形。この辺はどうでも良い。よし、よし、よし。必要なものは揃っているな。エノクのタブレットが一揃いあればよい」

 

そうブツブツ言いながらヘリポートに魔術的儀式を行う為の準備を行う。

 

「ラインを潰されていなかったのは僥倖、これなら再起動の手間を取らずに済む。後はこの四つを祭壇に接続するだけ」

 

コロンゾンは国家の剣と即位の冠、統治の笏、スクーン石をクイーンブリタニア号と接続。それを確認しコロンゾンは笑みを浮かべる。

 

「クイーンブリタニア号とオナーズオブスコットランドの接続は完了した。これでモ・アサイアの儀を行えるな」

 

これで自分の計画が行える、そう思ってモ・アサイアの儀を発動しようとした…直後だった。

 

「やっほー、暗躍してるねコロンゾン!」

 

「!?貴様らは……」

 

いつの間にかクイーンブリタニア号に現れたのはスーツを着た男性とチャイナドレスを着た少女がコロンゾンの背後に立っていた。コロンゾンは即座に彼女達の正体を見破る。

 

「魔神 娘々と外なる神の名を持つ魔神か」

 

魔神 娘々と魔神 クトゥルフ。二柱が自身の面前に現れた事に一瞬驚き、怒りを露わにする。

 

「私の邪魔をしに来たか!何処までも目障りな奴らだ!」

 

「お〜怖い怖い、そんなに怒るなよ大悪魔」

 

「怒るなだと?ほざくなよ元 人間。元々世界が限界に達したのはお前達魔神も一因だろうが!」

 

「……正論、だな」

 

怒りと激情を露わにし叫ぶコロンゾン。クトゥルフはその言葉に同意し、コロンゾンの剣幕を見て流石の娘々も揶揄うのをやめる。

 

「お前達が好き勝手世界を弄ったせいで世界の限界を早めた!自分勝手で傲慢な神を騙る人間崩れ共が!」

 

「……耳が痛いね。悪魔の癖に正論言うとかどう思うクトゥルフ?」

 

「……正論としか思えない」

 

コロンゾンの言葉を聞いてもヘラヘラ笑っているだけの娘々と無表情のクトゥルフ。コロンゾンはこいつらに語りかけるのは無駄だと思ったのか髪をうねうねと触手の如く動かせる。

 

「お!ヤル気満々!?いいね、燃えて来たよ!」

 

「黙れ、お前らをさっさと殺してモ・アサイアの儀を始める」

 

コロンゾンはそう言うが早いか竜巻を発生させて何処かへと消えてしまう。敵が消えてしまった事に目を丸くする娘々。

 

「あれ?逃げた?」

 

「……違う、船の下だ」

 

クトゥルフに言われクイーンブリタニア号の甲板から地面を見下ろすとコロンゾンが立っていた。

 

「……どうやら、この船の上では戦いたくないらしいな」

 

「へぇ、よっぽどこの船が重要なんだねぇ…ま、わたしは戦えればそれで充分なんだけどね!」

 

娘々は甲板から飛び降りてコロンゾンの場所に降り立つ。クトゥルフも甲板から飛び降りる。

 

「お前は何がしたいんだ魔神 娘々。私が世界を滅ぼすのを止めにでも来たのか?」

 

「うんにゃ違うよ、わたしはただ強い奴と戦いたいだけ。それがわたしの望み。てな訳で来いよコロンゾン!」

 

「……僕は、彼女に無理やり…連れてこられた。本当は海の底で、寝ていたいのに…」

 

「……この異常者が」

 

喋るのも嫌だと言わんばかりにコロンゾンは髪で宙に文字をなぞり天使を髪に投影。アイティエール・アバターを召喚し純粋属性の魔術を二柱へと放つ。

 

「へぇ、これが純粋属性…とっても面白い、ね!」

 

「…………」

 

娘々は己の拳に呪力を滾らせ拳で天使や魔術を打ち破り、クトゥルフは両腕を触手へと変換し触手で全てを打ち破る。それを見てコロンゾンが舌打ちを鳴らす。

 

「くっ、やはりこの程度では魔神は倒せんか。ならば…」

 

アイティエール・アバターや純粋属性では魔神を撃破する事は出来ない。ならば自身が愛用する術式であるMagick:FLAMING_SWORDを放とうと右手を構えた瞬間。

 

「ク■ゥグア」

 

「!?」

 

直後地獄の炎を連想される業火がコロンゾンへと放たれた、コロンゾンは慌ててそれを回避する。逃げ遅れた天使達が塵も残さず消滅させる。その火力はロンドンを焼き払った真・魔女狩りの王(イノケンティウス・グランド)に匹敵する程だった。

 

(この術式は…外なる宇宙の…!)

 

「ハ■ター」

 

コロンゾンはクトゥルフが扱う術式を理解する、クトゥルフは再び魔術を放ち黄色い暴風がコロンゾンの身体を引き裂こうと真っ直ぐ放たれる。コロンゾンはMagick:FLAMING_SWORDを放ち暴風を相殺、背後から宝貝を展開した娘々をIDOIGOで吹き飛ばす。

 

「ア■ーム=■ー、ル■■・シャ■コー■」

 

「RZIONR!」

 

炎であるのに燃やすのではなく凍てつかせる灰色の炎と、万物を凍らせる青色の光を放つクトゥルフ。コロンゾンは炎の純粋属性でそれらを相殺。即座に触手を鞭のように扱い攻めてきたクトゥルフの攻撃をLILACZAで触手を切り裂いた。

 

「ガ■ノ■■ア」

 

石化を齎す呪詛が放たれた、コロンゾンはそれを回避するも髪の毛の一部に当たり黄金の髪が石に成り果てる。

 

「………やはり魔神は一筋縄ではいかないか」

 

「もしかして降伏宣言でもするの?」

 

「馬鹿にするな、私も少しばかり本気になる必要があると思っただけだ」

 

そうコロンゾンは笑うと空間を削り取りある一本の槍を召喚する。

 

「……霊装か?」

 

「ああ。対垣根帝督、帆風潤子対策に用意していんだがな…先にお前達で試すとしよう」

 

その槍は白い槍だった。穂先から赤い血の雫を滴り落とし不気味さと神秘さが滲み出ていた。

 

「……どのような霊装か分からないが気をつけろ娘々」

 

「平気平気、何たってわたしは魔神だよ?」

 

そう言ってコロンゾンの背後へと縮地で現れ、拳を振るう娘々。コロンゾンはそれを槍で防ぎ連続で刺突を放つ。娘々はそれを軽々避ける。

 

「遅い遅い、スロー過ぎて欠伸が出るよ」

 

「ほざけ」

 

娘々は両手の指先を宝貝の無数の武器に変化させコロンゾンを貫こうとする。それをコロンゾンは純粋属性の魔術で武器を焼き払う。

 

(何が狙いなのか分かんないけどさっさと殺すに限るよね)

 

娘々はさっさと終わらせた方がいいかと冷静に判断し、崩拳をコロンゾンの腹部に放ち容易く肉の器を貫通し貫いた。

 

「げふっ……」

 

そのまま地に倒れ臥すコロンゾン、コロコロとコロンゾンから離れて転がっていく槍。コロンゾンを中心に広がる血の池を見て娘々はトドメを刺そうと拳を振り上げたその瞬間。

 

「罠だ娘々!」

 

「え…?」

 

グサリと、コロンゾンの手から離れた筈の槍が娘々を貫いていた。

 

「……バーカ、引っかかったな」

 

ニヤリと笑うコロンゾン。その槍の穂先から溢れ出る赤い血が娘々の体に入り込み彼女の身体を蝕む。

 

「グゥゥ……!?こ、れは…垣根帝督の妖精化みたいは弱体化術式?いや、違う。これはあの……神様殺しの…槍?」

 

「正確にはかの聖人を殺したとされる槍と同一化される騎士王の聖剣と並ぶ聖槍だ」

 

その霊装はとある騎士王の物語に登場する聖剣とならぶ武器である。邪悪なる王を倒し、聖剣の鞘の加護をなくした騎士王を不義の息子と相打ちで終わらせるまでに至った伝説の槍。それはかのロンギヌスと同一とされる。その槍の名は……

 

「この槍の名は聖槍ロンゴミニアド。かのロンギヌスと同一とされたキングアーサーの聖剣 エクスカリバーとならぶ宝具。その効果を遺憾なく再現した神殺し…対魔神用霊装。本当は聖人…つまり三位一体(トリニティ)で聖人とは聖四文字(エホバ)。つまり始まりの聖人とは聖四文字。聖人の死を確かめた槍は即ち神を殺す槍。本来は聖四文字の化身であるメタトロンとサンダルフォンの神格を持つイレギュラー達を殺す為に用意した霊装だが…魔神にも効果は抜群のようだな」

 

神格を貫かれ娘々は神としての力を振るえなくなってしまう。身体の傷も聖槍の治癒不可の呪いから一向に塞がらない。

 

「さて…次はお前だクトゥルフ」

 

「……仕方ない」

 

クトゥルフはそう呟くと自身の身体を膨張させ、人型から巨大な触手で全身を構成された蛸や竜を連想する頭部に翼が生えた異形の姿の怪物と化した。

 

「それが貴様の真の姿か……」

 

「そ■だ…この■になると■語が乱■■てしまうが…仕方…な■」

 

30メートルは超える巨体となったクトゥルフを見て槍を構え笑うコロンゾン。数多の触手が鞭のように襲いかかるがコロンゾンはそれを槍で破壊する、そして赤い雫が舞い触れた箇所からクトゥルフの身体を蝕む。

 

「ぐ■……■いな…」

 

「ふ、貴様ら魔神ではこの槍を防ぐ事は出来ない。神である限りこの槍は貴様らの猛毒となる。皮肉だな、世界の毒たるお前達がこの聖槍の毒で倒されるのだから…まさに毒をもって毒を制すだな」

 

異形の姿で呻くクトゥルフ、それを見て嘲笑うコロンゾン。コロンゾンは髪の毛を触手の如く動かしながら髪の毛を地面へと突き刺した。

 

「さて、そろそろ計画を最終段階に移行させるか」

 

そう笑うとコロンゾンは自身が髪の中に蓄えた月の魔力を龍脈へと流し込む。そして髪に天使を投影し龍脈にアイティエール・アバターを送り込む。

 

「何を…し■■る?」

 

「何、大した事ではない。ただ、アイティエール・アバターを世界中(・・・)に送っているだけだ」

 

「な■、だ■…まさか、君は……!」

 

「そのまさかだ。私が髪に蓄えた力は龍脈を通じて広範囲に拡散する出来る。つまり龍脈の性質上、アイティエール・アバターは世界中のあらゆる場所(・・・・・・・・・・)に送りこめるということだ」

 

そうクトゥルフに告げ、退廃的な笑みを浮かべるコロンゾン。聖槍 ロンゴミニアドを構えクトゥルフへと赤い血が滴る穂先を向け、クトゥルフは唸り声を上げて触手をコロンゾンへと放つ。悪魔と邪神の攻防はまだ続く

 

 

同時刻 バチカンにて。地面に謎の黄金のラインが描かれ、その光のラインは魔術師達は愚か魔術と一切の関わりもない一般市民も見えた。

 

「な、何だこれは!?」

 

ビアージオは突然地面に描かれた謎のラインを見て驚き叫び声を上げる。他のローマ正教のシスターや魔術師達も彼と同じ反応をする。

 

「……これは何だフィアンマ」

 

「………ふむ、これは何者かが龍脈に干渉し、何らかの魔術を行おうとしている様だな」

 

ローマ法王であるマタイが神の右席のリーダーたるフィアンマに問いかけ、フィアンマは彼の質問に答える。

 

その直後、黄金のラインから無数の黄金の天使達…アイティエール・アバターが出現する。

 

「……ふん」

 

フィアンマは右肩から第三の腕を顕現させ聖なる右の力を発動し、一振りでバチカン市民に襲いかかろうとしていた天使達を一瞬で倒す。だが、倒した直後に黄金のラインから天使達が生まれてしまう。

 

「これでは倒してもキリがないな」

 

フィアンマはそう溜息を吐く、一体一体の質は御使堕しのガブリエル程度だが何分数が多い。その数なんと百数十体。しかも今なお黄金のラインから生まれ続けている。

 

「この数を裁くのは流石にキツいな…しかも龍脈に干渉しているのならこの天使達はバチカンだけではない、世界全土にあの天使達が現れているのだろうな」

 

「……なんたる事だ」

 

マタイが頭を抱える、バチカンだけでなくあの様な天使達が世界中に現れていることに。

 

「フィアンマ、ここは私に任せろ。私が『傷つけぬ束縛』であの怪物達を食い止めて…」

 

マタイがロザリオを構えそう覚悟を決めて告げる…そんなマタイの肩にフィアンマが軽く手を当てる。

 

「いや、その必要はないぞマタイ」

 

「なに…?」

 

「バチカンは俺様達が守る。そのほかの場所はそれぞれの奴らが守り通すさ」

 

フィアンマの言葉を理解できないマタイ、だが次の瞬間地面が振動し、地面を突き破り町の建物の一部を破壊しながら三隻の氷の巨船が出現する。

 

「怪物めが!私達ローマ正教を舐めるなよ!私の女王艦隊と自慢のシスター部隊で蹴散らしてやる!」

 

「てな訳で砲台用意です!撃て(ファイヤー)!」

 

「「ファイヤー!!」」

 

ビアージオ率いる女王艦隊が砲台から砲弾を発射し天使達を蹴散らす。アニェーゼ率いるシスター部隊の援護射撃や射撃の位置調整によりガブリエル級の強さを誇る天使達を屠る女王艦隊。

 

「優先する。小麦粉を上位に、天使を下位に」

 

「おらぁ!」

 

ある天使達は小麦粉のギロチンによる斬撃に引き裂さかれ、ある天使はハンマーに押し潰される。神の右席であるテッラとヴェントはその戦闘力を遺憾なく発揮しバチカン市民を守りながら天使達を駆逐する。

 

「これは試練…神が与えたもうた試練なのです。この怪物達から罪なき民を守る。そして私達からも死者を出さずにそれを成し遂げる。ああ、なんて素晴らしい試練なのでしょう、一体一体が大天使に匹敵するというのにそれらの襲撃にあって全員生き残るなど可能性はゼロに近い…だからこそ、私は燃え上がるのです!」

 

「燃え上がるのは勝手だけど貴方も手伝ってくれない!?お姉さん流石にこんな化け物の相手は出来ないから!」

 

何故かこの状況に興奮し勝手に燃え上がっているリドヴィア、そんな彼女を守りながら天使達の攻撃を避けるオリアナ…卑猥な言葉を言う暇のないくらい余裕がないようだ。

 

「はいはい、皆様〜こっちらに避難するのでございますよ〜」

 

非戦闘員であるオルソラは天使が襲い来る中でニコニコと笑いながら市民の誘導を行う。何体か彼女に向かって襲いかかる個体がいたが女王艦隊の砲撃や神の右席の攻撃で撃破される。彼女は敵が襲って来ても動揺しない、何故なら味方が助けてくれると信じているから自分のなすべき事を行えるのだ。

 

「見ろよマタイ、お前が出なくとも問題ない。俺様達ローマ正教はあの程度の敵には屈せぬよ。それにお前はローマ教徒の信頼が厚い。避難誘導でもした方がいいんじゃないか?法王様のありがたい言葉なら皆の不安も安らぐだろう」

 

「………分かった」

 

マタイは混乱する市民達を収める為に街へと急ぐ。フィアンマはそれを見届けた後聖なる右を振るい水平上にあった民家の上へと移動。聖なる右を振るって天使達を蹴散らす。

 

「考えが甘いなコロンゾン。確かにこの数と質は驚異だ。だが、この程度で諦めないのが人間だ」

 

この程度で人間は屈しない、止まらない。そうここにいない大悪魔に宣言するフィアンマ。

 

「俺様はバチカンから動けないが…まあ、垣根がいるなら心配ないだろう」

 

 

同時刻 オッレルスとシルビアが住むアパートメントにて。天使達が空を飛びながら街を破壊し人々に襲いかかる。シルビアはロープを振り回しながらシジルを描き天使の力を壁とし、空気を掴み取りそれを投げて天使達を圧殺する。

 

「チッ!倒しても倒しても湧いて来るわね」

 

思わず舌打ちする、オッレルスも北欧玉座で天使達に正体不明の攻撃を浴びせ消滅させながらシルビアの言葉に賛同する様に頷く。そして火の手を上げる街を眺める。

 

「ふむ……この数だと俺達のアパートメント以外も襲われているだろうね」

 

「だろうね、全く何処の誰だこんな馬鹿な事してんのは……」

 

「まあ、心当たりはあるがね…シルビア、俺は街の方へ行く。君には子供達を守って欲しいんだが」

 

「………はぁ、このお人好しが……じゃあ一つだけ約束しろ」

 

オッレルスが視線を向けた先には二人が住むアパートメントが、その建物に隠れている以前保護した子供達がいる。シルビアは夫のその頼みを聞いて溜息を吐いた後、一つ約束を彼にする様言う。

 

「絶対に帰ってこいよ馬鹿亭主」

 

「勿論だとも」

 

妻のツンデレ発言を微笑んで言葉を返すオッレルス。彼はそのまま北欧玉座の力を使い天使達を蹴散らしながら街を破壊する天使達を駆除しに行く。

 

「……たく、ロクでなしのダメ亭主の癖に…いざという時には頼りになってかっこいいから困るんだよ」

 

シルビアはそう呟いて、夫から頼まれた通り子供達を守る為にロープを振るう。オッレルスが帰って来るまで絶対にここは誰にも通さない、そう彼女は決めていた。

 

 

同時刻、学園都市にて。科学の街といえど地下深くには龍脈が流れている。そこを辿り学園都市中に黄金のラインが刻まれそこから天使達が出現してしまう。警備員(アンチスキル)が銃を片手に天使達を撃ち続けるが傷一つつかず、応援として駆けつけた駆動鎧を着た警備員達や四枚羽やHsAFH-11(六枚羽)が空からミサイルや弾丸を、HsWAV-15(10本脚)が砲撃を行うが天使達は倒れない。

 

佐天と初春は街の中を逃げ回っていた。襲い来る天使達の攻撃、魔術を放ったり剣で斬りかかったりと様々な攻撃を仕掛ける天使達…だが佐天達はそれらの攻撃を紙一重で避ける。

 

「うわぁぁぁ!?髪の毛切れた!ほら切れた!見てよ初春!ほんのちょっと髪の毛が!」

 

「少し黙ってくれませんか佐天さん!集中できな…あ!髪飾りが!」

 

「あ、初春が転がって行っちゃった!」

 

「いやあれは髪飾りですからね!?初春はこっちです!」

 

そう喚きながら逃げる二人、だが無情にも天使の剣が横に振るわれ二人を切り裂こうとした、まさにその時。

 

「させませんの!」

 

黒子が瞬間移動で二人の背後に出現、すぐさま佐天と初春の肩を持ち一緒に空間移動する事で凶刃から逃れる。

 

「無事ですか涙子、初春」

 

「く、黒子!ナイスフォローです!」

 

「流石白井さんです!」

 

感謝のあまり抱きつく二人、黒子は少し鬱陶しそうな顔をするが満更でもなさげだ。だが二人襲い来る天使達を見て黒子は持っていた鉄矢を天使達の頭部に移転させ、鉄矢が頭部を貫く…だが、天使達は動きを止めない。

 

「……最近の学園都市はこんなのばっかりですの」

 

攻撃が効かない。ならば二人と一緒に遠くへ逃げよう。そう考えていた時だ。

 

「喰らえー、とミサカは棒読みで叫びます」

 

鳴り響く銃声と天使達を襲う無数の弾丸、それを見て目を見開く黒子。

 

(い、今の声は…いえしかしお姉様は今イギリスに行っている筈…では何故…?)

 

一瞬だけ聞こえた声は自分が尊敬する常盤台の先輩の筈。だが今彼女は学園都市にいない…そう思って背後を振り向くと…そこには黒い肌の男性の隣に並ぶ御坂美琴がいた。

 

(……お姉様…じゃない、似てますが…違いますわ)

 

容姿だけならそっくり、だが違う。黒子には別人だと分かる。現に美琴なら超電磁砲を放つ筈なのに彼女はガトリング砲の引き金を引いている。御坂美琴本人なら絶対にしない行動だ。

 

「……ガトリング砲が効かないとかマジかよ。とミサカはドン引きします」

 

「自分のトラウィスカルパンテクウトリの槍も通用しないみたいですし…こんな怪物どうしろと…」

 

自分達の攻撃が効かないドン引きする17600号とエツァリ、ならばとエツァリは原典を、17600号はロケットランチャーを構える。

 

「逃げてください御坂さんのお友達の皆さん!ここは自分達にお任せを!」

 

「ここはミサカ達が足止めしますんで、とミサカはお姉様の友人の前で格好つけます」

 

「……感謝しますわ」

 

黒子は空間移動を使いこの場から逃げる。天使達がエツァリ達に群がって来る。

 

「全く、学園都市は本当にトラブルの倉庫ですね」

 

「でも嫌いじゃないですよ。と、ミサカはクールに告げます」

 

「そうですね、さあ。やれるだけの事はやりましょうか!」

 

二人は天使達の撃破など考えていない。暫くしたらトールや加群達の応援が来る。ここで重要なのは敵をどれだけ多く引き寄せ足止めするかなのだ。

 

 

天使達は警備員の装備や駆動鎧、四枚羽、超能力者の超能力では相手にならない。ならばここは自分達の出番だと木原の科学者達が、グレムリンの魔術師達が天使達に挑む。ガブリエル級とあって即座に倒せないが時間をかけて撃破する事は出来る。黄金夜明の魔術師達にとっては片手間で倒せる程度だ。

 

「おら!」

 

「燃えよ勝利の剣(レーヴァテイン)!」

 

全能の力を解放したトールの拳の一撃が天使を消し去る。加群の万物を燃やし尽くす炎の剣が天使を焼失させる。二人は天使達を一撃で仕留めていた。

 

「たく、全能使っても一向に数が減らねえな!全能使ったら経験値にならねえと思ってたが…これはある意味経験値が増えるかもな!」

 

「巫山戯てないで真面目にやれトール」

 

「いや全く巫山戯てないんだが、な!」

 

オティヌスも、メイザースも、脳幹も、ましてやアレイスターや垣根もいない。自分達だけで学園都市を守り抜けるのか…いや、守ってみせる。

 

「行くぜ加群!まだまだ暴れ足りねえ!」

 

「……そうか、無茶だけはするなよ」

 

「おう!」

 

一通り駆除した後は別の場所に群がる天使達を始末する。トールと加群は次なる敵を求め街を駆ける。

 

 

「新たな天地を望むか?」

 

天使達が上里の右手へと吸い込まれ消失する。上里はパトリシアを左手で軽く触れながら彼女を守るように力を振るう。

 

「去鳴、宛那!手助けは必要か!」

 

「大丈夫だよ、これくらいの敵余裕余裕…て、言っても下手すれば負けるレベルだけどね」

 

「全く…病み上がりにはキツイです」

 

去鳴は拳を振るい天使の頭部を潰す。宛那は闇の鎌を振るい敵を刈る。獲冴達も各々の力を振るい天使達を駆除する。

 

「油断するなよ上里翔流!それと私の妹に怪我一つさせてみろ!全身の皮を剥ぐからな!」

 

レイヴァニアの召喚爆撃が天使達をまとめて吹き飛ばす。マークはそれをアシストする。レイヴァニアの魔術と上里の理想送りで天使達を倒していく。

 

「か、上里さん……」

 

「大丈夫だパトリシア」

 

不安そうに上里の身体にしがみつくパトリシア。上里はそんな彼女を見て微笑みながら右手で彼女の頭を撫でる。

 

「ぼくがきみを守る。だから心配はいらないよ」

 

「………えへへ」

 

『おいコラクソガキ、テメェいい度胸してんな』

 

「ちょ!?何フレンドリーファイヤーしようとしてるんですか皆さん!?」

 

「「やめろ馬鹿!」」

 

「頼むから真面目にやってくれ!パトリシアも非常時にそんな事するな!」

 

パトリシアは笑う、全て計画通りだと。先程の不安な表情も仕草も全て演技だったのだ。それを知ってパトリシアに攻撃しようとする去鳴と宛那を除く上里勢力。マークと去鳴達が何やってんのあの馬鹿達と叫び、レイヴァニアは頭を抱える。

 

 

大悪魔と魔神の戦いはコロンゾンの勝利で幕を閉じた。バラバラになった肉片、その正体はコロンゾンに敗れ去ったクトゥルフの器。死んではいない。だが、即座には復活できないほど神格をロンゴミニアドで傷つけられた。娘々も力なく倒れるのみ。

 

「アハ、アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!アッハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!」

 

狂った様にコロンゾンは不気味な笑い声を周囲に響かせる。そして不意に笑い声を止め自身の背後へと首を向ける。

 

「やあ垣根帝督。私の敵」

 

そこにいたのは垣根と帆風、アレイスター達。だがあくまでコロンゾンの目は垣根をまっすぐに見ていた。

 

「この世界は救いが多過ぎる」

 

コロンゾンは突然そう呟いた。

 

「『魔神』、『原典』、『アレイスター=クロウリー』、『エイワス』、『リリス』『アンナ=シュプレンゲル』…そしてこの私(・・・)大悪魔(・・・) コロンゾン(・・・・・)。この世界には時間の流れによる風化に逆らう例外的な救いが多過ぎる。それを私は認めない」

 

コロンゾンは両腕を左右へと広げそう呟く、だが眼だけは垣根へと真っ直ぐ見つめたままだ。

 

「垣根帝督。私はお前が嫌いだ。お前の様なイレギュラーの所為で世界の崩壊が早まった。頼むから死んでくれ、貴様のような者は生まれてさえ来るな、貴様が存在しているとこの世の理が狂う。故に私が今日ここで引導を渡す」

 

コロンゾンは笑みを消し血も涙もない様な無表情で告げる。直後コロンゾンから溢れ出る殺意。それを軽く受け流して垣根が口を開く。

 

「五月蝿えぞコロンゾン。俺は単なるカップリング大好きなイケメルヘンだ。お前が考えてる様なご大層な奴じゃない」

 

垣根もコロンゾンを見据え、こう返す。

 

「もうこんなつまんねえ事は終わりにしようぜコロンゾン」

 

垣根は左手をポケットに入れ、背中に純白の三対の翼を展開する。コロンゾンも聖槍を構え背中から深淵の宇宙を連想させる蝙蝠の翼に似た闇で構成された翼を出現させる。

 

「今日で全て終わらせてやる。イギリスも、人類も、世界も、()救って全員ハッピーエンド。それで全部終わりだ」

 

「甘い、やはり貴様は甘いよ垣根帝督。世界は滅びる。これは決定事項だ、世界をリセットし、魔術も超能力も原石も私自身も存在しない世界にする」

 

「話にならねえな」

 

「それが私達だろう?」

 

そう会話を交わした後、全員が戦闘態勢に移る。コロンゾンは邪悪な笑みを浮かべながら自身の周囲にアイティエール・アバターを出現させ自身の敵を排除しようとする。アレイスター達もある者達は武器を構え、ある者達は能力を展開し大悪魔へと立ち向かう。

 

世界を滅ぼさんとする大悪魔、世界を救わんとする人間達。果たして世界はどちらの結末を受け入れるのか。こうして世界と人類の存亡を賭けた最終決戦が始まりを告げるのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 




ロンゴミニアド、アーサー王物語ではロンの槍と呼ばれるかのエクスカリバーとガヴェインのガラティーンでさえ通用しない悪王 ヴォーティガーンを倒したエクスカリバーを超える槍。かのロンギヌスの槍と同じ存在とされています。なんでも一撃で五百人吹き飛ばすとかそんなチートらしいです。なお、コロンゾン(ローラ)のCVは川澄綾子さんなのでコロンゾンがロンゴミニアドを使うと脳内で…

コロンゾン「最果てより光を放て……其は空を裂き、地を繋ぐ!嵐の錨! 最果てにて輝ける槍(ロンゴミニアド)!」

てなっちゃう。お前はどこの獅子王だ。まあ、中の人的にはノー問題だけども…ま、まあエクスカリバーじゃないからセーフ(アウトだろ)

かませになった魔神二人に合掌。ごめんね、でもこんな風にしか書けなかったんだよ…すまない

次回もお楽しみに!

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