カプ厨がていとくんに憑依転生しました   作:暗愚魯鈍

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今回でコロンゾン戦は終了です。随分駆け足気味だけど気にしないでください。そして今回で漸く、漸く五話からずっと言われ続けてたのに出番がなかったアイテムが漸く活かされる時!

今回のウルトラマンタイガ面白かったです。ニセベリアルとかゼロとか魅力的でしたね〜そして次回漸くラスボス怪獣出てくるのか〜楽しみだな〜


宇宙へ産声を響かせる人造の樹

世界は黄金に染め上げられる。天使達が街を、都市を、村を襲い人に襲いかかる。それを食い止める魔術師達、だが天使達…アイティエール・アバターは一体一体がガブリエルと同じ強さを誇る。ロシアのワシリーサ、フランスの傾国の女でも足止めで精一杯、化学兵器などは一切通じずアメリカの様な大国でも天使達を足止めする事すら叶わらない。

 

唯一の例外は学園都市とバチカンで、神の右席や強い魔術師達の力により天使達を倒せていた。だが、それも時間の問題。天使達の方が圧倒的な数を誇るのだから。だが、誰も諦めたりしない。最後の最後まで抵抗し抗い続ける。それが人間の業であり美徳なのだから。

 

それに彼らは信じている。絶対に自分達は助かると。何故ならこの異変を解決してくれるヒーローを彼らは信じているからだ。そしてそのヒーローは実際にいる。英国にてこの異変を起こした元凶と戦っているのだ。

 

ヒーローが勝てばこの異変は終わる。だからヒーロー達は負けられない。自分達の勝利を信じている人がいるのだから。必ず勝って全員を救ってハッピーエンドにしてみせる。そんな思いで全員が大悪魔へたら立ち向かうのだ。そう、世界の命運は彼等に託されていた。

 

 

 

「Magick:FLAMING_SWORD。セフィラの下降により顕現せし力を浴びよ!!」

 

コロンゾンが最も愛用する術式が放たれる。その一撃をまともに喰らえば死体すら残らない。垣根達はそれを回避しコロンゾンに魔術や超能力といった攻撃を放つ。コロンゾンはそれを聖槍を振るって防御する。

 

「避けろ避けろ、醜く足掻くがいい。所詮貴様らの滅びは必然なのだから」

 

そう言って嘲笑うコロンゾン、アイティエール・アバターが無数に垣根達に襲いかかり一方通行は黒翼で蹴散らし、削板の超すごいパーンチや麦野の原子崩しがガブリエルと同等の力を持つ天使達を一撃で倒していく。美琴と食蜂の液状被覆超電磁砲(リキッドプルーフレールガン)で敵を吹き飛ばし上条の右手から顕現した竜王の顎(ドラゴンストライク)達が天使達を貪る。

 

オティヌスの弩の10矢が花火の様に空中で炸裂し、無数の弾丸となりて天使達を撃ち捨てる。脳幹のA.A.A.のドリルとパイルバンカーで敵を瞬殺する。遠方からサポートに徹しているキャーリサ達もカーテナ=オリジナルの斬撃で天使を切り捨て、騎士団長とウィリアムのフルンティングとアスカロンで天使を殲滅する。ステイルは魔女狩りの王を展開し天使達を焼き殺し、神裂は唯閃で天使を両断する。

 

垣根と帆風も神としての力を振るい、コロンゾンと戦う。垣根は聖なる右を展開し第三の腕に巨剣を握らせ斬り裂こうとし、光の処刑でコロンゾンを殺せる様優先を変え、人間以外にも通用する様にした天罰術式でコロンゾンの身体を肉体的に束縛したり、聖母の慈悲で100パーセントの神の力を発揮したり、竜王の殺息(ドラゴンブレス)や黄金錬成といった強力な大魔術を連発していく。帆風もガブリエルを降ろし神戮を五月雨の様に降り注がせる。

 

「甘いわ」

 

されどコロンゾンには届かず、聖なる右も光の処刑も、天罰術式も、聖母の慈悲も、竜王の殺息も、黄金錬成も、神戮もコロンゾンを傷つける事さえ叶わない。取り巻きの天使達を倒せても天使達をいくらでも増殖できるコロンゾンを倒さねば意味がない。

 

「無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァ!私は大悪魔 コロンゾン!私を倒せる者などこの世界には存在しない。全員平等に滅びるがよい!」

 

目に見えぬレイピアを構える仕草を行い、コロンゾンはMagick:FLAMING_SWORDを今一度放つ。だがアレイスターは三つのルビーをコロンゾンへと投擲。コロンゾンを中心に三角形を作り出す。するとコロンゾンのMagick:FLAMING_SWORDの軌道がよじれコロンゾン自身の身体を傷つける。

 

「なぁ!?こ、この魔法陣は…!?」

 

そう、この魔法陣はかつてアレイスターがコロンゾンを召喚する時に行った羽の鳩の血でもって描かれた陣を再現している。その能力は神殿を利用しコロンゾンのスケールをダウンさせ、総量を強引に押さえ込むという術式だ。

 

「汝の居場所はここになく、しかし我は正しき退去を許さず!!ここに意図して失敗する追儺の儀を執行する。大悪魔 コロンゾン、その力を万能の数11に裂きながら異なる世界に還るがいい!!」

 

「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」

 

『位相から位相へ、強引に押し戻す力』、その力を使いコロンゾンを裁断していく。その力によってコロンゾンの姿が消えてしまう。

 

「やったか!?」

 

そう叫んだのは誰であったか、全員がコロンゾンを倒したのかと期待した次の瞬間。

 

「なんちゃって☆」

 

グチャ、と金の髪が刃物の様にアレイスターの背後から突き刺さる。

 

「ごっ……?」

 

「アレイスター!!」

 

口から血反吐を吐くアレイスター、垣根は親友の名を叫ぶ。そしてアレイスターを背後から刺した消滅した筈のコロンゾンを睨む。

 

「だから言っただろう、貴様達は甘過ぎると。私が『ただの』悪魔なれば枠小化は成功していたるでしょう。人の手で致命傷を与えられた魔神共の様に…されど私は大悪魔 コロンゾン。生命の樹(セフィロト)の昇降を自在とする存在。降りる事で物理的な制約を増し、逆に安定させたのよ」

 

コロンゾンはセフィロトを上る事も下がる事も自在とする。故に枠小化など通用しない。これが大悪魔 コロンゾン。その狡猾さと実力は今まで戦った誰よりも強く、知略に優れる。

 

「貴様達の勝手気ままな悪魔の擬人化にはもううんざりよ。何が美女化だ、イケメン化だ、悪魔をなんだと思っている。大体貴様らはおかしい。昔は恐怖し恐れられたものを今は性欲や欲望のはけ口にするなど…悪魔なんぞより貴様達の方が余程悍ましいわ!ペットの猫に服を着せれば喜ばせられると思うなよ!」

 

「……コロンゾン、貴様…擬人化否定派か?」

 

「今聞く事がそれか?」

 

アレイスターが見当違いな言葉を口に出し、今はそんな事言う時じゃねえとコロンゾンはアレイスターの腹を足蹴りし吹き飛ばす。

 

神様殺し(ロンギヌス)の槍!」

 

「天使達の完全体にして共有体たる隠匿されし神の真意よ、十のセフィラを掌握し、二十二のパスを通過し、三つの柱を超え、生命の樹(セフィロト)の深淵たる知識(ダアト)へと到達せん…無限光(アイン・ソフ・アウル)!」

 

垣根は三対の翼を神様殺しの槍へと変化、帆風は切り札たる全天使の力を一身に降ろす能力を発動。コロンゾンへと接近し槍と拳を振るう二人。だが、コロンゾンは二人が近づくのを見ると笑みを浮かべ聖槍を振るう。二人はその槍から嫌な気配を感じ二人は慌てて後方へ下がる。

 

「その槍…まさか俺の槍と同じ…!」

 

「そうだ、こいつの名は聖槍 ロンゴミニアド。知名度は低いが聖剣より優れた武器として知る者のみ知るかの騎士王の武器の一つだ」

 

ニヤリと笑うコロンゾン、十字教の主神の化身であるメタトロンとサンダルフォンにとって聖四文字でもある原初の聖人の身体に突き刺した神殺しの槍は驚異極まりない。

 

(不味いですわね…遠距離からの攻撃は通用せず、かといって不用意に近づけばあの槍の危険に晒される…何か手は…)

 

竜王の殺息や神戮などの攻撃はコロンゾンには一切通用しない。かと言って近づけばあの槍の餌食にあう。正に八方塞がりだ。

 

「さあ、そろそろ死んでもらうぞイレギュラー」

 

そう言ってコロンゾンが純粋属性の魔術を放とうとしたその時。

 

「……『法の書』とは即ち星の外からもたらされる叡智なり。惑星の回転の外に本質は眠っている。正しき知識は障害物を取り除き、降り注ぐままの光を浴びる資格を得る」

 

「な……!?」

 

唐突に誰かの声が戦場に響く。コロンゾンはその声の主…インデックスを凝視する。彼女が語っているのは法の書の言葉だ…ただし、間違った読み方の、だが。

 

「天皇星より外の発見は占術に混乱をもたらした。だが冥王星は宇宙の運航妨げるものにあらず。例外たるツァダイは別にある。星辰を見よ、新たな時代は変わらず到来の瞬間を待ち詫びている」

 

間違った読み方をしたまま、法の書の一文を語り続けるインデックス。それを見てコロンゾンは彼女の目的を看破する。

 

「禁書目録、貴様…私の術式を誤読パターンで引きずらせて振り回すつもりか!?」

 

コロンゾンはインデックスに怒りの目を向ける。かつては自分の手元に置いていた存在が自分の邪魔をした事に怒ったのだ。即座に天使達がインデックスを切り刻もうと向かうが、突如地面から吹き出た三柱の炎の巨人により天使達は焼失する。

 

「僕がいる限りインデックスには指一本触れさせないぞ」

 

「チッ……!」

 

ステイルが三位一体・魔女狩りの王(トリニティ・イノケンティウス)を顕現させながらコロンゾンを睨む。コロンゾンは舌打ちしながらも純粋属性の魔術を放とうとするが…

 

「させませんわ!」

 

帆風はザドキエルの武器創造で対悪魔特攻の武器を創造しコロンゾンへと投擲。コロンゾンはそれを槍で破壊しインデックス達から狙いを帆風へと変更する、だがそれを霊的蹴たぐりで形成したクレイモアを握ったアレイスターにより阻まれる。

 

「さっきはよくもやってくれたなクソ悪魔。痛いじゃないか」

 

「お前も大概しつこいなアレイスター!」

 

クレイモアを聖槍で砕き、アレイスターを突き殺そうとするコロンゾン。アレイスターは背中から出現させた天使の翼を広げ空へと飛翔。直後に垣根が神様殺しの槍を向けて突撃してくる。

 

「IDOIGO!」

 

垣根に暴風を放ち、彼はそれを槍で防ぐ。その隙にコロンゾンはロンゴミニアドで垣根を貫こうとするがそれを帆風が阻止する。

 

「させませんわ!」

 

帆風はザドキエルの能力で創造した籠手を装着し、カマエルの格闘術とザフキエルのスピード、ミカエルの殲滅力を上乗せした拳で槍を掴み取る。

 

「!?」

 

「……この槍はわたくしの身体を傷つけねば発動しないのでしょう?ならば、傷がつかない様にすればいいだけです」

 

籠手で槍によって傷つくのを防ぐ事でコロンゾンの聖槍に対抗しようとする帆風、コロンゾンはならばと無防備な身体に狙いを定めるが帆風はその狙いを看破し両腕でそれを弾いていく。

 

(そんな籠手で私の攻撃を防げると思うなよ!)

 

コロンゾンは聖槍で右手の籠手を砕く、すぐに後方へと退がる帆風だがその隙を逃さず純粋属性の土を放つ…それに対し帆風は右手をその土に向ける。

 

「吸収します」

 

「なっ!?」

 

土が帆風の右手へと吸い込まれていく。ゾンビの時に見せた魔力吸収能力だ。すると垣根が右手から出現させたセルピヌスの口からコロンゾンが放った土を放射しコロンゾンはそれを避ける。

 

(あの右手…エイワスの…いや、ホール・パアル・クラアトの力の一端か。そして垣根帝督の右手の力はラー・ホール・クイト…成る程な)

 

コロンゾンはその正体に気づき、二人の性質を看破する。

 

「……まあいい、私にはこの聖槍 ロンゴミニアドがある。これがある限り貴様らは私には勝てない」

 

そう宣言するコロンゾン、この槍で貫けば全てが終わる。二人もそれが分かっているのか表情を硬ばらせるのだった。

 

 

「……何やってンだ俺」

 

一方通行はそう呟いた、あの時から全然変わっていない。垣根の隣で戦いたい、垣根の足手まといになりたくない、その一心で強くなったのにまだ垣根の役に立っていない。

 

麦野達も同じだった、いくら翼が生えようが必殺技を作ろうがコロンゾンには届かないのだ。自分達は何の役にも立てない。そう、諦めかけたその時だ。

 

「諦めるな!」

 

『!?』

 

そう大声で叫んだ者がいた。上条だ。

 

「俺達は垣根と同じ場所で一緒に戦いたいから強くなったんだろ!?なら、ここで諦めんな!今ここで限界を超えて…コロンゾンを垣根と一緒に倒すぞ!だから諦めてんじゃねえ!」

 

彼の魂からの叫びに諦めかけていた心を振るい上がらせる。そうだ、ここで終わらせてなるものかと。

 

「もし、まだ俺達が垣根の役に立てないと思ってんのなら…俺がその幻想をぶち殺してやる!だから行こうぜお前ら!友達を助ける為に!」

 

友を助けよう、その一言で一方通行達の胸に熱い何かが流れ込む。そして一方通行と麦野、削板の翼に変化が生じる。

 

「……上条の言う通りだ。やるぞお前ら」

 

「上等よ、私らの力をあの悪魔に見せてやる」

 

「根性…いや友情パワーで絶対なんとかする!」

 

一方通行の竜巻の如く渦巻く黒き翼が純白の白鳥の様な美しい翼へと変質した。麦野のスポットライトの様な光線状の緑の翼が薄いベールの様に透き通る緑の翼へと変質。削板のカラフルな二対の翼は一対へと減り、鷹の翼を連想する赤青黄の逞しい翼へと変化する。更に三人とも頭の上にそれぞれの翼の色と同じ天使の輪の如き光輪が出現する。

 

「……私達も行くわよ操祈」

 

「……ええ、そうね美琴」

 

そう言って二人は大覇星祭で顕現させた翼を展開する。美琴はガルダの如き物質化したAIMと電熱融解した金属を融合させて構成させた翼。食蜂はハルピュイアの様な美しい青く輝く実体化したAIMと圧縮した水の塊が混ざり合った四枚の翼…それを二人は更に変化させ美琴は自身の翼を黄金に輝く帯電したメタリックな鋼と雷の翼へと、食蜂はAIMと水で構成された蝶の羽の様な可愛らしい蒼い翼を展開する。

 

「コロンゾンに一矢報いるぞ」

 

上条もピンク、緑、青、黄の四色の色合いのドラゴンへと変身。咆哮を周囲に轟かせる。

 

「行くぞ!」

 

『おう!』

 

上条の叫びと共に全員がコロンゾンへと音の速さを超えた速度で駆ける。

 

「ッ!?」

 

コロンゾンは目を見開く。そして聖槍で一方通行達の攻撃を防御、上条は純粋属性の火の中の風で攻撃するが外殻によって阻まれる。

 

(こいつら…翼が変質している…守護天使と同化して翼の能力が強化されている…!上条当麻も私の純粋属性の魔術を喰らっても無傷とは…土壇場で番狂わせを起こしやがって!)

 

一方通行の白い翼がコロンゾンへと振るわれる、削板の謎の力がコロンゾンの全身を襲う、麦野はベールの様に薄い翼から放たれた光線がコロンゾンの黄金の髪を消し飛ばす、美琴は純粋属性の魔術すら吹き飛ばす威力の超電磁砲を1秒に数百発撃ち込み、食蜂はコロンゾンの脳内に常人ならば廃人になるであろう精神攻撃を与える。

 

「くっ……!邪魔だ超能力者共!」

 

聖槍を振るい一方通行達を後方へ吹き飛ばすコロンゾン、だが背後にドラゴンと化した上条が迫る。だがそれは読んでいると言わんばかりに聖槍を上条の腹部に突きつける。

 

「がぁ!?」

 

聖なる右ですら防ぐ外殻すら貫く聖槍。人間には効果は薄いがそれでも少しの動きを止められる筈だ。いくら幻想殺しでも槍に触れなければ能力を無効化出来ない…コロンゾンはふっと笑って槍を引き抜こうとし…顔を強張らせた。

 

(なっ……槍が…抜けない!?)

 

上条の身体に突き刺さった槍が抜けないのだ。どんなに力を込めようと槍は抜けず、コロンゾンは上条の意図を漸く理解した。

 

(ま、さかこいつ…最初からこうなるつもりだったのか!?自分の身体を囮にして…一歩間違えば死ぬというのに…!?この野郎…行かれてる!)

 

もしコロンゾンが心臓に槍を突き刺していれば即死していたのに、もしコロンゾンが痛ぶってやろうと考えていなければ死んでいたのに。上条は聖槍の動きを封じる為にだけに自分を犠牲にしたのだ。常軌を逸している、コロンゾンはそう思った。

 

「へっ、これで漸く触れるな」

 

「!?」

 

上条はゆっくりと自分の身体に突き刺さった聖槍に右手で触れる。ガラスが砕ける音が響き対垣根と帆風用に用意した霊装 聖槍 ロンゴミニアドはバラバラに砕け散り風化して塵と化した。

 

「チッ……!」

 

コロンゾンは自分の切り札を失い舌打ちする、上条は聖槍がなくなると同時に幻想片影(イマジンシャドウ)を使い、怪我を肉体再生(オートリバース)で治す。そしてコロンゾンを取り囲む様に翼を展開した一方通行達が取り囲む。

 

「チェックメイトだなァコロンゾン」

 

「…………………」

 

垣根と帆風を殺す切り札が失われた今、コロンゾンに勝機はない。そう判断した一方通行はこれで終わりだとコロンゾンに告げる。対してコロンゾンは無表情となり上条を黙って見つめ…そして、笑った(・・・)

 

「………モ・アサイアの儀…起動」

 

『!?』

 

そのコロンゾンの言葉と共に、クイーンブリタニア号のヘリポート(祭壇)に置かれたオナーズオブスコットランドが光を放つ。コロンゾンはニヤリと笑う。

 

「……始まった、始まったぞ。世界の終わりがな」

 

モ・アサイアの儀。コロンゾンが企む計画の要が起動してしまった。コロンゾンとの戦闘のせいですっかり存在を忘れてしまっていた。だが後悔しても時すでに遅し、もうモ・アサイアの儀は始まったのだ。世界崩壊の序曲と共に。

 

「最後まで足掻いた貴様達の蛮勇を認めて教えてやろう。モ・アサイアの儀とは私の最終目標である世界に存在する全ての位相を破壊(・・・・・・・・・・・・・・・)し、それによって世界を崩壊させて全てをリセットする…勿論純粋な科学の世界も私が住む生命の樹も、全てを終わらせ新しい世界を生み出す…それが私の望みだ」

 

勝利を確信したのかコロンゾンはそう笑いながら告げる。悪魔の目論見は位相を全て抹消し、世界を原初へと戻し新たな世界と時代、人類を生み出す事。それが悪魔の望みだったのだ。

 

「……それだと貴様もこの世界から消えることになるぞ」

 

それがどうした(・・・・・・・)?私の様な世界の循環の何の役にも立たぬ存在はいなくなってしかるべきだろう?」

 

アレイスターがコロンゾン自身もそれで消えてしまうと問いかける。だがコロンゾンはそれがどうしたと返す。

 

「……話にならん」

 

「別に貴様と対話をしたいなぞ考えた事もないわ、私はこの世界を守る。その為に不都合な存在は古き世界と共に消えてもらう。魔術も、超能力も、魔神も、エイワスも…そして私自身もな」

 

コロンゾンは自分でさえ嫌悪しているのだろう、時の流れの滅びに逆らう自分でさえも許せないのだ。コロンゾンは誰かを愛せない、自分自身を愛せない者が他人を愛する事は出来ない。

 

「……納得いかねえな」

 

垣根はそう呟きながら懐からある物を取り出す。それは黒いチョーカーだった。垣根はチョーカーを二つ取り出し一つを自分の首に、もう一つを帆風へと投げる。帆風はそれを受け取りチョーカー首につける。

 

「俺はお前のやり方が気にくわねえ。だから俺は俺の理由でお前を止める」

 

「……やってみろ」

 

コロンゾンは挑発する、もう何をしても手遅れなのだと確信した笑みを見せる。

 

「ここで漸く日の目を見たな、この演算補助デバイスがな」

 

冥土帰しに制作させていた演算補助デバイス。長らく日の目を見なかったこれが漸く活かされる日が来たのだ。

 

「準備はいいかクリフォパズル」

 

『はぁい、バッチグーですよ』

 

垣根の背後に現れたクリフォパズル545は頷き、二人が首にはめたチョーカーに自分との意識を繋ぐ。そして垣根と帆風がチョーカーのスイッチを起動させ能力強化モードへと移行。ミサカネットワークに接続されクリフォパズル545はミサカネットワークへと意識を沈めていく。

 

 

『はぁーい、ようこそお嬢ちゃん/retrun。スペシャルなゲストとして歓迎するわよ/retrun』

 

クリフォパズル545に語りかける謎の声、彼女の名はミサカネットワーク総体。ミサカネットワークの全体の意思である存在。彼女はミサカネットワークへとやって来たクリフォパズル545へと話しかける。

 

『きひひ。貴方が総体さんですか。要件は…分かってますね?』

 

『モチのロンよ/return。貴方は帝督ちゃんと潤子ちゃんの肉体を通して私に接触した/return。ミサカという窓口にね/return』

 

実態のない彼女だがクリフォパズル545には笑っているように感じた。

 

『ええ、私が訪れたのはご主人様を深淵を越えられるようにする為には新たな樹を想像しなければいけないので』

 

『ま、ミサカには魔術の事なんてさっぱりだけどさ/backspace…協力させてもらうよ/return。それに私は帝督ちゃん派だし/return、好きな男子の手伝いをしてあげたいからね/return…まあ、帝督ちゃんには潤子ちゃんという正妻がいるから無理なんだけどさ/return。あ、愛人ならどう?/escape』

 

『何の話をしてるんですか貴方』

 

クリフォパズル545は冷たい目を総体に向ける。まあ、実体はないので見た先にいるかは分からないのだが。

 

『まあ、そんな訳で力を貸すぜ/retrun。脳波を持たぬ思考体よ/retrun。あのクソ悪魔を倒す為に凄く面白い事をしてやろうじゃない/retrun』

 

『ひひひ、そうですねぇ。凄く面白くてド派手な事をやって目玉飛び出させてやりましょう。きひひ』

 

二人の少女は笑う、全ては一人の少年に勝利を捧げる為に。クリフォパズルは目を閉じ言葉を綴る。

 

『……我は10の球体のいずれにも居場所を持たぬ悪魔なり』

 

クリフォパズル545の言葉は続く。それは新たなる樹をこの宇宙へと生み出す言葉だ。

 

『故に印なき11番目の球体に居座る管理者とならん!!我が名はクリファパズル545、その数は真なる11、その意味は「邪悪という踏み台は善行を支えられる」!78枚の道筋をここに。未だ名もなき第三の樹全体を掌握する超越生命として契約者に力を与えん。かの存在に生存の道を授けよ、「深淵」の向こうにある叡智を!!!!!!』

 

その瞬間、宇宙に新たなる樹が誕生しその産声を響かせた。

 

 

「ーーーーッ!!!?これは!?」

 

コロンゾンはそれにいち早く気づいた。この世界に、この宇宙に新たな何かが誕生した気配を察したのだ。

 

「……出来たようだな」

 

「ですわね」

 

『うい。実験はひとまず成功って感じですかねえ?いまいち安全基準がぼやっとしていておっかない気もしますけど』

 

『まあ、でも仕方ないんじゃない?/escapeまだ未調整なんだし/retrun。て、あれ?/escape。もしかして私の声帝督ちゃんに届いてる?/escape』

 

「その声…総体か、久しぶりだな」

 

「貴方が総体さんですね、こうしてお会いするのは初めてですわね」

 

『そういえばそうだね/escape。初めまして潤子ちゃん/escape。これからもよろしくね/escape』

 

垣根と帆風はそうクリフォパズル545と幻影として垣根と帆風のみに見える総体に話しかける。そして二人が見ている世界は、別の何かが折り重なっいた。それは生命の樹でも邪悪の樹でもない第三の樹。クリフォパズル545がミサカネットワークの在り方を魔術的な解釈で定義することで成立した新たな第三の法則・図面。

 

「これが人造の樹(クロノオト)。『文明による魂の変化』を表した生命の樹(プラス)でも邪悪の樹(マイナス)でもない、科学という新しい価値観による「後世の魂の変化」を表した樹だ」

 

「きさっ、ま…ッ!!何をしたる!?こんな、これを、こんなものを世界に埋め込みたら『御使堕し(エンゼルフォール)』どころの変質じゃあ……ッ!!」

 

「すまないだろうな、だがこれでお前を倒せるようになる。だろクリフォパズル?」

 

『はぁい、これでご主人様達はアレイスターですら越えられなかった《深淵》を越え8=3位階『神殿の首領』へと到達しました。これを使いコロンゾンにダメージを与える事が可能となります』

 

世界に新たに誕生した法則。これによりコロンゾンを弱体化させる事が可能となる。例えばこの人造の樹を用いた一撃で仮初めの肉体(ローラ=スチュワート)からコロンゾンの実体()を解き放つ事も出来る。だが垣根は敢えてそれをしない。

 

「頼むぜクリフォパズル」

 

『了解……我は悪魔。血と肉の実態を持たぬ影。しかしクリフォトに潜む諸力を守るだけでなく、セフィロトの途上にて上昇しようとする修行者を阻む深淵を跨ぐ力を授ける事も可能なり』

 

その言葉と共に垣根と帆風の翼の色が変わる。純白と虹から青ざめたプラチナ。聖守護天使エイワスに匹敵する。いや二人の力を合わせればエイワスすら越える力を発揮する。これがサンダルフォンとホール・パアル・クラアト、メタトロンとラー・ホール

・クイトの神格を持つ二人の新たな力だ。

 

「馬、鹿…な。きさまらが、貴様ら如きが私の対になりけるなど!!ホルスの時代、magickを一つ振るうだけで粉砕できる。つけあがるなよ人間、そんな力に屈する大悪魔ではないッッッ!!!!!!」

 

コロンゾンは認めない。そんな程度で自分が屈するなどあり得ないと。自分は大悪魔、たかだか神格を得た程度の魔神擬きの人間風情に負ける筈がないのだ。それなのに、何故、何故自分は焦っている?見下している筈の人間に何故ここまで焦っている?自分が負けてしまうと認めているのか?否、否、否!こんな所で終われない!終わらせない!

 

「終われるか、終わってなるものか!私は、私はこの世界を救う!欠陥を取り除き、完璧な調和の取れた世界へと作り直すのだ!魔術など超能力など魔神など私が否定してなる!私自身を否定してでも、この世界を守る!」

 

「……前提から間違ってんだよお前は」

 

垣根はコロンゾンに憐憫を向ける。自分の存在すら許せない者に哀れみを向けた。

 

「……終わらせるぞ潤子」

 

「ええ」

 

言葉を交わし帆風はコロンゾンへと駆け出す。垣根と六翼をコロンゾンへと槍の如く刺突させる。それに対しコロンゾンは右手をレイピアのように構え、自身の必殺の魔術を放つ。だがそれを六翼は軽く砕きコロンゾンの身体を容赦なく打ち付ける。

 

「がっは……」

 

コロンゾンは倒れかける、だが足に力を込めそれを何とか堪える。だがそんな大悪魔に帆風が迫る。

 

「くっ……させるか!」

 

コロンゾンは脳幹へと目を向け、彼が扱うA.A.A.を一瞥する。A.A.A.はアレイスターの力を扱う噴出点だ。そしてアレイスターとコロンゾンの魔術は同質

…つまり、A.A.A.はコロンゾンの力(・・・・・・・)を扱う事も可能だ。

 

「記される事のない秘匿された召喚文、すなわち*****。***************************************」

 

人には発音不能かつ解読不能な声で呪文を唱える。その言葉と共に脳幹のA.A.A.が勝手に動き帆風へと標準を定め、彼女へと攻撃を仕掛ける。

 

「しまっ……!?」

 

脳幹の焦る声が響く、A.A.A.から帆風の足を止める魔術だ。帆風を隙を見せれば一撃必殺の術式を撃ち込み殺す。そう企み右手を構えるコロンゾン…だがA.A.A.から放った魔術は青ざめたプラチナの翼によって阻まれた。

 

「ーーッ!??垣根、帝督!」

 

「悪いな、俺の女には一指も触れさせねえぜ」

 

垣根を睨むコロンゾン、だが垣根にはコロンゾンなぞ眼中になく、帆風へと叫ぶ。

 

「やれ潤子!」

 

「はい!」

 

コロンゾンの懐へと踏み込み、右手に、ホール・パアル・クラアトの力が込められた。エイワスから授かった垣根の右腕だった腕に青ざめたプラチナの光が収束する。

 

「ーーーー!?」

 

その光を見たコロンゾンは右手を構え迎撃しようとする。だが、間に合わず帆風の右手がただ真っ直ぐコロンゾンの顔面へと迫る。

 

「もう終わりにしましょうコロンゾンさん。貴方は決して許せれない事をしました。でも、貴方にも守るものがあった。それは確かな事です。ただやり方が間違っていた。でもやり直す事はきっと出来る筈です…だから、一緒にやり直しましょう。皆に頭を下げて、もう悪さはしないと約束して…私達と一緒に世界をどうやって救うか考えませんか?」

 

そんな帆風の言葉と共に、大悪魔は一人の少女の拳に吹き飛ばされた。その一撃によって大悪魔の野望は完全に崩れ去ったのだった。

 

 

 

 

 

 

 




漸く出番が出せたよ、ごめんね演算補助デバイス。最終回近くでの日の目で…そしてコロンゾン撃破。この作品で初の世界規模な事件を起こした奴かと思ったけどよく考えればガブリエルとかゾンビとか結構あったわ…ガブリエルは本人の仕業ではないとはいえ人類の姿の入れ替えを起こしたし、ゾンビの場合は世界を滅ぼしたし…あれ、なんかコロンゾンがしでかした事がマシに見えてくるぞ、おかしいぞ?

残る二話でこの作品を完結させる予定。次回世界がどうなるのか、そして最後はどうなるのか。……因みにエンディングだけは最初から決まってたんですが…この作品最初はギャグ路線だったのに最後はシリアスて決めてました。どのような結末になるのかは次回を是非見てください

次回もお楽しみに!
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