カプ厨がていとくんに憑依転生しました   作:暗愚魯鈍

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今回で「カプ厨がていとくんに憑依転生しました」は最終回となります。長い間ご愛読頂きありがとうございます。作者の次回作も乞うご期待下さい。

今回はほのぼの系。最終回に相応しいように頑張って書きました。さてどんな終わり方になるのか?お楽しみに


終わりよければ

「ふぁぁぁぁ〜〜〜、よく寝た」

 

上条当麻は眼を覚ました。彼は毎朝6時に眼を覚まし、服を着替え6時半には家族と一緒にご飯を食べている。

 

「さて、さっさと服を着替えてご飯を…おっと、その前に我が天使達を起こさねば」

 

そう言って彼は布団をめくりながら、自分のベットで寝ている栗色の髪の少女と蜂蜜色の髪の少女の頭を撫でる。

 

「おい、起きろ美琴、操祈。もう朝だぞ」

 

「んぅ……ふにゃ、おはよー当麻君」

 

「……ふぁぁ…おはよう当麻さん」

 

二人の名前は御坂美琴と食蜂操祈。上条の幼馴染であり、恋人だ。幼い頃から家が近い事もおり三人一緒に遊び、そんな関係を上条が高校に入るまで続けていたら、中学を卒業する時に二人同時に告白された。しかもどちらか選んでではなく両方とも選んでというまさかの選択肢で、勿論上条は歓喜の涙を流しながら頷いた。その事を親友達に話したら…

 

 

『……現実でハーレムてあるんやな』

 

『……流石カミやん。略してさすカミだにゃー』

 

『……実に貴様らしいというか…まあ、幸せにしてやりなさいよ」

 

『……結婚したら式に呼べよォ』

 

『二人養う覚悟なんて凄え根性してんな当麻!俺なら絶対に無理だぜ!』

 

 

一部からは若干少し惹かれていた。是せぬ。

 

「もう朝ですよ〜、一緒に朝ご飯食べに行きましょうね〜」

 

「「ん……(コクッ)」」

 

寝ぼけ眼を手で擦ってベッドから起き上がり、二人はパジャマを脱ぎ始める。慌てて上条は二人から眼をそらして自分も服を脱いで学生服に着替える。そして三人一緒に一階に降りる。

 

「お、おはよう当麻。それに美琴ちゃんに操祈ちゃんも」

 

「おはよう親父」

 

「おはようございますお義父さん」

 

「おはようございますお義父様」

 

新聞を広げ椅子に腰掛けているのは当麻の父 上条刀夜。ごく平凡のサラリーマンというが実は超有名企業の超優秀な営業マンである。

 

「あらおはよう当麻さん、美琴さん、操祈さん。朝ご飯が丁度出来た所よ」

 

台所から出てきた二十代前半に見える女性は上条の母 上条詩菜。ニコニコと笑いながら彼女は朝ご飯をダイニングテーブルに置いていく。

 

「「「「「いただきます」」」」」

 

五人は一緒に手を合わせ食事を食べ始める。今日の朝ご飯は目玉焼き、トマト、キャベツ、白米、味噌汁だった。

 

「聞いてくれ当麻。今度仕事でナイジェリア行くんだけどお土産は何がいい?」

 

「親父がいいと思ったやつならなんでもいいよ。でも変な物は買ってくんなよ。フンコロガシの死体買ってきてきた時みたいにまた母さんが怒るぞ?」

 

「ははは、気にし過ぎた当麻は!今度もまた凄く面白い物を…」

 

「あらあら刀夜さんたら…あら。こんな所に丁度いいお皿が」

 

「すいませんでした!」

 

空中で三回転して土下座する刀夜。これが大人のする事なのかと情けない父親の姿を上条は見下ろしていた。

 

ご飯も食べ終わり、三人は学生鞄を持って学校へ行こうとしていた。

 

「じゃあ行ってくるなー」

 

「行ってきますお義母さん」

 

「行ってきますねお義母様」

 

「ええ、三人共気をつけてね」

 

詩菜に見送られ三人は学校へと向かう。上条はとある学校(学校名不明)、美琴と食蜂は常盤台中学と別々の所なのだが途中までの道は同じな為、いつも一緒に登校している。するとお隣の家から何人かの男女が出てきた。

 

「あ、お姉様達もお兄様だ!おはよう!てミサカはミサカはお姉様にダーイブ!」

 

「おはよう里奈(りな)道行(みちゆき)先輩に迷惑かけなかった?」

 

「うん!道行お兄ちゃんと楽しく遊んでたよ!てミサカはミサカは笑顔で教えてみたり!」

 

「そっか、よかったね。道行先輩もありがとうございます」

 

「は……別にィ。このガキの世話なら慣れてるから平気だ」

 

美琴を小学生くらいにしたような容姿の彼女の名前は美琴の妹 御坂里奈。五人姉妹の一番末っ子だ。因みに長女は御坂亜衣(みさかあい)。現在大学生だ。そして巨乳。次女は美琴。三女が外国人の男性エツァリと交際してる中一の御坂望(みさかのぞみ)。美琴と同じく上条が好きな同じく中一の四女 御坂妹子(みさかいもこ)。そして両親が共に海外に出張している今、里奈を預けている人物の名前が目の前の白髪赤目の上条の同級生 木原道行だ。

 

「ほら、上条さっさと学校行くぞ。クソガキも気をつけて学校行けよ。転ぶんじゃねえぞ、怪しい奴について行くなよ」

 

「はーい!心配してくれてありがとー!て、ミサカはミサカは手を振って学校へと駆け出すのだー!」

 

「たくっ、転ばねェか心配だな」

 

この男、強面な外見とは裏腹に子供達には凄く優しいので男女問わず小学生達に好かれている。

 

「ふう…今日も騒がしいな君達は」

 

「全くなんだよ、とうま達はもう少し静かに出来ないのかな?」

 

そうため息を吐きながら上条達に近づいて来たのは近所の風斬という家にホームステイしている英国からやって来たステイル=マグヌスとインデックス=ディディカートゥスだ。

 

「おはよう二人共。相変わらず二人仲良く学校行くのか。はは、このバカップルめ」

 

「本当にお熱い二人ね、ヒューヒュー」

 

「愛情力高過ぎよぉお二人さん〜」

 

「「その言葉、そっくり返すよバカップル」」

 

上条の両腕にしがみついてイチャコラしている奴らにバカップルて言われてもブーメランである。

 

「ほら、こんな馬鹿な奴らは放って置いて早く学校に行くぞインデックス」

 

「そうだね、じゃあね皆」

 

そう行って二人が学校に行こうとした時、インデックス達がホームステイしている家…風斬家の扉がバンっ!と開き、眼鏡をかけ茶色の混じった黒髪で、長いストレートヘアから一房だけ束ねられた髪の少女…風斬氷華とその義妹 風斬=クロイトゥーネが慌てて出てくる。

 

「二人共お弁当忘れてるよ!」

 

「ん。弁当忘れてる」

 

「あ、本当なんだよ。ありがとねひょうか、クロイトゥーネ」

 

「すまないね風斬さん」

 

そんな風斬達を尻目に上条達はさっさと学校に行くべく道を歩き始める。因みに風斬は上条と道行と同じ高校なのだがドジっ娘の為、毎回ギリギリの登校をしてくる。

 

「おーい!先生ー!」

 

「……面倒なのが来やがった」

 

遠くから道行を呼ぶ声が聞こえる。ため息を吐く道行。走ってやって来たのは金髪緑目の少女だ。

 

「……なンか用かエステル」

 

「いいや、何も!ただ先生を見つけたから声をかけに来ただけだ!」

 

「…………」

 

エステル=ローゼンタール。小学生時代に不良に絡まれていた所を道行が助け、それ以来先生、先生としっぽを振るワンコの如く寄って来る様になった忠犬系女子である。

 

「そうだ。今思い出したんだが来週中間テストがあってな!またテスト勉強を教えてもらいに先生の家に行ってもいいか!」

 

「………好きにしろォ」

 

「ありがとう先生!ではまた!」

 

来た時同様手を振りながら走って去って行くエステル。嵐みたいな奴だと道行はため息を吐く。

 

「『だが嫌いじゃねェ、胸も大きいし可愛いし、そンな奴に好かれて嫌な筈ねェだろ』」

 

「『いつかあいつのたわわをこの両手でマッサージと嘯いて揉みまくってやるぜ』」

 

「『あいつの火照った声を聞いたら、俺の息子が一方通行だァ』」

 

「何巫山戯て事抜かしてンですかねェ、このバカップルさァァァァァン達はァァァァァ!!」

 

道行の声真似をして卑猥な事を呟くバカップル。取り敢えず道行はブチ切れた。

 

「あはは、道行先輩を揶揄うのは楽しいな〜じゃあね当麻君。また放課後」

 

「道行さんは反応が面白いから悪戯力が出ちゃうのよね〜。てな事で私達はこの辺で」

 

「おう、気をつけろよー」

 

V字型の分かれ道で上条と道行は左の方へ、美琴と食蜂は右の方へ進んで行く。そのまま上条と一方通行はとある高校へと進み、校門を通る。そして下駄箱に靴を入れ上履きに履き替え教室へと向かう。

 

「おお、おはよう!当麻に道行!今日も一緒に頑張ろうな!」

 

「朝っぱらから五月蝿ェぞ軍覇」

 

教室に入るなり大声で挨拶してきたのは道行と同じ小学校からの腐れ縁の削板軍覇だ。学ランのボタンを全て外し一昔前の番長の様に羽織り、頭にはハチマキをつけている。そんな彼の横で削板の幼馴染で彼女のアリサ=セクウェンツィアが苦笑いを浮かべている。

 

「あはは…おはよう当麻くん、道行くん。ごめんね軍覇くんが煩くて」

 

「いいて、この馬鹿が五月蝿えのは昔からだしな」

 

「だがもう少しばかり静かになンねェのかこの馬鹿は…」

 

「すまねえがそれは無理だ道行!何さ俺は生まれてからずっとこの音量だからな!まあ根性で耐え抜いてくれ!」

 

「そのオマエの根性で声を小さくする事は出来ないンですかねェ…」

 

そうため息をこぼす道行、豪快に笑う削板、そんな削板を見て微笑むアリサ。上条はそんないつも通りな三人を見ながら席に座る。

 

「カミやーーん!数学の宿題写させてえな!」

 

「また宿題忘れてきたのかにゃー青ピ?」

 

「全く、それぐらい自分でどうにかしなさい!」

 

「んな殺生な事言わんといてぇなフッキー、てな訳でカミやんお願いいたします。今度からあげクン奢るから」

 

「はぁ………仕方ねえな。ほらよ」

 

「おおきに!ホンマ助かったわカミやん!」

 

上条から数学のノートを借りて両手で拝む青ピ。そんな青ピを見てため息を吐くシスコン軍曹こと土御門元春に渾名は委員長、でも委員長は青ピこと吹寄制理。因みに上条は宿題で分からないところは美琴と食蜂に教えてもらっている。最近の中学生て賢いや。

 

「もし良かったら、今日デートに行かないっスか猟虎?」

 

「え!!?わ、わわわわわたくしと!?え、ええ構いませんよ…」

 

「あら、入鹿さんのお姉さん顔真っ赤じゃないヒューヒュー」

 

「心理さんて人の恋路見てるの本当に好きですね」

 

常にオドオドしている少女 弓箭猟虎。彼女をデートに誘ったのは休日に趣味で買ったゴーグルみたいな変な被り物をしていないと地味な少年でしかない 通称「ゴーグルが本体」こと誉望万化。顔を真っ赤にする猟虎を見て面白がっているのが獄彩 海美(ごくさい かいび)。その横にいるのが弓箭入鹿だ。

 

「削板軍覇ァ!今日の放課後俺と戦え!」

 

「……また来たよモツ鍋」

 

隣のクラスの横須賀が扉を勢いよく開けて果たし状と汚く書かれた紙を削板へと投げつける。また来たのかと頭を抱えたのがクラスメイトの原谷矢文。

 

「おーい馬場ちゃん。今日ボウリングいかね?」

 

「ごめんねトール君。実は僕今日婚合さんと湾内さん、泡浮さん達とのトリプルデートの予定でね。また誘ってくれるかな?」

 

「お、おう……流石馬場ちゃん。上条ちゃんを超えるハーレム王だぜ」

 

「てか、よくあいつ刺されないよね?それに美少女三人組はあんな小太り男の何処に惚れたんだか…人生て分かんないね」

 

「じゃがバター旨し」

 

彼女三人持ちの馬場芳郎。彼をカラオケに誘ったのは喧嘩屋 トール。解剖と図工(と加群先生大好き)マリアン=スリンゲナイヤー。とある高校の現社の教師 オッレルス=アースの妹ことじゃがバター系女子 オティヌス=アース。

 

「おはよう上条当麻(ハーレム肯定野郎)。昨日は彼女達とイチャコラしたか?」

 

「よう上里翔流(金髪幼女趣味クソ野郎)。当然だろうが。お前もパトリシアちゃんと一緒に風呂入ったのか?」

 

「勿論、やっぱり幼女て最高だな」

 

「死ねよロリコン」

 

「お前が死ねハーレム」

 

そう挨拶がてらに喧嘩を売って来たのが上里翔流。この二人はとても仲が悪い。ざっくり言えば同族嫌悪だ。上条は美琴と食蜂、二人と付き合ってるハーレム肯定野郎と12歳の幼女と付き合っている金髪幼女趣味クソ野郎…お巡りさん、こいつらです。

 

「はーい、皆さんお喋りはストップ。今日の授業を始めますよ〜」

 

そう言って教室に入って来たのは担任の木原 唯一。超有名な会社 木原コーポレーションの木原一族の一人で科学の教師をこの学校でやっている変わり者…にして性的対象が犬で、脳幹と名付けたゴールデンレトリバーの老犬「先生」と一線超えたヤベー女である。

 

まあ、他にも見た目36歳なのに18歳な教育実習生の神裂火織、通称 博士こと数学大好きな数学の先生辞儀 草(じぎ そう)。見た目幼女、中身おっさんな小萌先生。じゃんじゃん煩い黄泉川愛穂。道行の父親で子離れ出来ない 木原数多。授業中に居眠りばかりする芳川桔梗。そんな芳川の婚約者で苦労人な天井亜雄。他校の生徒 姫神秋沙と付き合っている英語教師(ロリコン)アウレオルス=イザード。ボランティア大好き俺様系歴史教師 フィアンマ=ミカエル。ギャンブル大好き校長 サミュエル=リデル=マグレガー=メイザース。その妻でダメ夫を鉄拳制裁する副校長 ミナ=メイザース。そして学校の理事長の下ネタ大好き卑猥親父 アレイスター=クロウリー…どれもこれもまともなのが天井しかいないのだ。この学校には上条含めてまともな奴が複数人しかいない。

 

「さぁて、ホームルームを始めます。では出席取ります。一席……」

 

唯一が出席簿を開いて出席を取っていく。今日もいつも通りの、そして楽しい学校生活が始まった。

 

 

「はい、では今日も一日お疲れ様でした。明日も元気よく学校に来てくださいね〜。さて、先生もさっさと仕事終わらせて定時に帰って先生とイチャコラを…へ、へ、へ」

 

帰りのホームルームが終わり、クラスメイト達は鞄を持って帰り始める。オティヌスとトール、マリアンの三人組はいつもの様にゲーセンに、馬場は部活のロボット工作部に向かい、上里は軽やかなステップでパトリシアが待つ小学校へと向かう。誉望は顔から湯気が出るほど顔を赤くした猟虎の手を引いて教室から出て行き、それをカメラ片手に追いかける海美、姉の尾行をする入鹿。削板もアリサを連れて日課のジムに行ってしまった…教室に残ったのは上条と道行だけだった。

 

「は〜本当一日が過ぎるのて早いよな」

 

「そォか?」

 

二人も荷物を鞄の中に入れると教室から出て、廊下を歩き下駄箱にしまってあった靴を上履きと交換し履き替える。

 

「道行はこの後どうすんの?」

 

「俺はスーパーに行って買い物して帰る予定だ。クソガキが今日の晩御飯はハンバーグがいいって昨日駄々こねやがってな…たく、贅沢なガキだぜ」

 

「でもなんやかんや言って作ってあげる道行て本当にロリコン(紳士)の鑑」

 

「おィ、紳士て言葉に悪意を感じンぞ」

 

「気の所為でせうよ」

 

そう楽しげに会話しながら歩く二人。ふと途中で上条が立ち止まり、空を見上げた。

 

「……なんか足りなくねえか?」

 

「あ?何がだよ?」

 

「……なんか、さ。足りねえ気がするんだ。何か分かんねえけど」

 

「いや、オマエが何が言いてェのか分かんねえよ。つまンねえ事言ってンなら置いてくぞ」

 

道行はそう言って歩き始める。上条は暫く虚空を見つめていたが…前を向いて道行の後を追いかけた。

 

 

途中で道行と別れ、彼は美琴と食蜂が待つ公園へと向かう。その途中である集団に出会った。

 

「あ、浜面パイセン」

 

「お、上条じゃないか。珍しいなこんな場所で出会うなんて」

 

高校三年生で生徒会長の浜面仕上と生徒会メンバーに出会った。同じく三年の副会長の麦野沈利。二年の庶務のダイアン=フォーチュン、アリサの姉で二年の書記のシャットアウラ=セクウェンツィア、会計のフレンダ=セイヴェルンがゴミ拾いをしていた。

 

「何してるんっスかパイセンにむぎのん」

 

「おい、浜面はパイセン呼びなのになんで私は渾名なんだ上条?○すぞ」

 

「プークスクス!麦野さんたら後輩から慕われてないじゃないのー!三年なのに!プークスクス!なっさけなーい!」

 

「おK、お前はオ・シ・オ・キ・か・く・て・い・ね」

 

「あ〜…また、浜面ガチ勢達の争いが始まったて訳よ……」

 

「はぁ……やれやれだ」

 

フシャー!と睨み合う浜面ガチ勢(麦野とダイアン)。そんな二人を見てため息を吐くシャットアウラとフレンダ。浜面はそんな二人に気づかず上条に近付く。

 

「良かったら上条もゴミ拾いしてかないか?町内会からの依頼でな、ここら辺の一体のゴミを拾ってるんだ。一緒に人の為になる事をして気持ちのいい汗をかかないか?」

 

「あ、すんません。俺これから彼女達との待ち合わせで…」

 

「そうか…それは残念だ。じゃあまた機会があったらな」

 

上条は浜面からの誘いに断りを入れその場から立ち去ろうとする。浜面はそれなら仕方ないと諦めゴミ拾いの続きをしようとする。

 

『ん?何してんだ麦野、ダイアン?』

 

『『このアマぶっ殺そうとしてる!』』

 

『こら、女子がそんな汚い言葉を使うな!それにこんな所で暴れたら周りの人の迷惑になるだろ!二人共いい歳なんだからそれくらいわかるだろう!』

 

『『………はい』』

 

『さす浜だな。あの暴れ馬達の手綱をしっかりと握っている』

 

『結局さす浜て訳よ』

 

遠くからそんな会話が聞こえてきた。上条は二人が待つ公園へと急ぎ、公園の自動販売機を蹴っている美琴と彼女のスカートを覗こうとしている操祈を発見した。

 

「いや何してんの美琴。そして本当に何してんだ操祈」

 

「あ、遅かったね当麻君。暇だったから自動販売機蹴ってたのよ。蹴ったら何か出てこないかな〜て思って」

 

「私はただスカートという大宇宙の中に輝く太陽を眺めていただけよ」

 

「それは犯罪だぞ美琴。そして操祈、お前の場合はガチで犯罪だしちょっと何言ってるか分かんない」

 

暇潰しに自動販売機を蹴るという器物破損などで訴えられそうな事をしでかす美琴、そして食蜂は色んな意味でアウトだった。

 

(まあ、そんな二人が俺は好きなんだけどな)

 

この男もこの男である。

 

「そういえばこの公園に来るのも懐かしいわねぇ。当麻さんがまだ中学生だった頃はよく皆でここで馬鹿な事してたわよねぇ」

 

「そういえばそうね、ここら辺で皆で遊んだりして…楽しかったわね」

 

「ああ、そうだな。俺達六人(・・)で…」

 

上条はこの公園での記憶を思い出す。上条、美琴、食蜂、道行、削板、麦野の六人組(・・・)でこの公園で花火をして町の人に怒られたり、落とし穴掘って道行をそこにダストシュートしたりと色んな事を皆と一緒にやっていたものだ。

 

「………六、人?」

 

「?どうしたの当麻君?」

 

美琴が上条に問いかける。どうかしたのかと。上条は軽く右手で頭を抑えながら口を開く。

 

「……なあ、俺達て本当に六人だけだったか?」

 

「?どういう意味かしらぁ?」

 

「そのままの意味でさ…なんか足りない気がするんだ。二人、後二人は俺達の輪の中にいた気がするんだ。それが誰だか分かんねえけど…なんか違う気がするんだ」

 

「???いや私達は六人だったよ当麻君?」

 

上条が自分達六人の他に後二人いた様な気がすると呟く。彼のその言葉を聞いて二人は心配そうな表情で上条を見つめる。

 

「もしかして当麻さん学校で疲れてるんじゃないかしらぁ?疲労力が溜まってるんじゃない?」

 

「そうね、操祈が言ってる事もただしいかもね…少し休んだ方がいいわ。もう今日はデートをやめて早く帰った方がいいわね」

 

「………すまん二人共」

 

美琴と食蜂はそう言って上条を連れて家に帰ろうとする。上条は軽く頭を抑えながら一人思いに耽る。

 

(なんなんだこの気持ち……分かんねえ…でも、何か忘れてる気が…何を忘れてるんだ?…それすらも分かんねえ、分かんねえけで…大事な事だってことは分かる)

 

大事な事なのに思い出せない。それが何なのか分からない。一体自分は何を忘れているのか、上条がそう思考していたその時だった。

 

「じゃ、俺帰るわ!またな!」

 

公園で遊んでいたであろう小学生の男子が友達にそう叫んでいた。またな…その言葉聞いて上条の頭の中で何かのピースが埋まった気がした。

 

 

ーーー………またなーーー

 

 

「あっ…………」

 

脳裏に浮かんだのは茶髪にホストが着そうなワインレッドのスーツを着こなしたい少年、プラチナブロンドの髪を珍妙な縦ロールにした少女だ。上条はその二人の事を思い出し涙を流した。

 

「………当麻、君?」

 

「………当麻さん?」

 

美琴と食蜂が急に涙を流し始めた上条に驚く。何故彼は泣いているのか二人には分からなかった。

 

「……そうか、そうだったのか……思い出した、全部思い出したぞ。……あの、馬鹿野郎共!」

 

「「!?」」

 

急に大声を出した上条にビクッとなる二人。上条は二人に構わず言葉を続ける。

 

「馬鹿な奴らだよあのメルヘンカップル!俺達の気持ちを考えずに勝手にこんな事しやがって…!」

 

「と、当麻君?どうしたの?」

 

「当麻さん…?何言ってるの?」

 

上条は涙を手で拭い、美琴と食蜂を見る。その彼の今まで見たことのない真剣な目を見て二人は背筋を正した。

 

「悪い美琴、操祈。今日は帰るのが遅れる。先に帰っておいてくれないか?」

 

「え?どうして…?」

 

行かなきゃ行けない場所があるんだ(・・・・・・・・・・・・・・・・)

 

そう言うと上条は走り始めた。二人から離れ何処かへと走っていく。ただそれを呆然と見つめている美琴と食蜂。

 

 

上条は走った、ただただ走った。自分の目的の場所に行く為に。知り合いに出会っても無視して走り抜けた。

 

「………………」

 

上条は全てを思い出していた。学園都市の事、超能力の事、魔術の事、今はない自分の右手に宿った能力 幻想殺しの事、前の世界でも道行達と友達で美琴と食蜂と付き合っていた事、そしてこの世界にいない二人の事も。

 

「馬鹿だ、馬鹿だて言ってたけど…本当に馬鹿じゃねえか。俺達がお前がいなくなって悲しまねえとでも思ったのかよ!バ垣根!」

 

上条が走る理由は一つ。あの馬鹿の顔面に思い切り右手でぶん殴る。あのイケメンフェイスが崩れるまでだ。それぐらいしたっていいだろう。あいつは自分をこんなに泣かせてるんだから。

 

「あそこだ、あそこだけは…学園都市と、学園都市にもあった場所だから!」

 

この街は前の世界では学園都市という科学の街があった場所だ。学園都市の様に科学が発展していないのでエンデュミオンやら窓のないビルはない。だが、一つだけ変わらない場所がある。そこなら、そこならもしかして、きっと…

 

「はぁ……はぁ……はぁ………」

 

上条が辿り着いたのは鉄橋だ。何もない鉄橋、普通の鉄橋と変わらない。それは学園都市の第七学区にあった鉄橋だ。ここで良く付き合う前の美琴に電撃浴びせられたり、垣根に押すなよ!絶対に押すなよ!をされズボーンしたりと色んな事があった思い出の場所の一つだ…唯一ここのみ学園都市にあった頃と同じ場所と同じ姿をしているのだ。

 

今の時刻は逢魔時。昼と夜の移り変わり、闇と光が交わる時間。昼でも夜でもない世界。大きな災禍を蒙る刻と恐れられる時間帯だ。だが、上条の前に姿を現したのは…そんな魔物ではなかった。寧ろ逆な…二人の天使、いな神だった。

 

「!?」

 

その姿を見て上条は思わず涙を零しかけた。何故なら目の前に現れた二人の天使は…自分が探し求めた人物達だったからだ、

 

「……よく、俺の前に顔出せたな…はは、これで思い切りぶん殴ってやれるぜ」

 

上条はそんなセリフとは裏腹に笑みを浮かべ涙を流しながら二人の人物の顔を見る。忘れもしない、いや忘れられるわけがない。だって、二人は上条の…上条達の唯一無二の友達なのだから。

 

「久し、ぶりだな…垣根。帆風ちゃん」

 

「………ええ、お久しぶりです上条さん」

 

「だから言ったろ?『またな』てな」

 

そう上条に笑顔で返したのは垣根帝督と帆風潤子。世界を救う為の贄となり世界を新たに誕生させた生贄となった神である。

 

「な、んだよ…難しい事言っておきながら…結局、結局は戻ってこれたじゃねえか」

 

もう二度と会えないと言っておきながら…こうして会えているではないか。そう嬉しそうに呟く上条。だが二人は首を横に振る。

 

「いいえ、違いますわ。今のわたくし達は幻影。わたくし達であってもわたくし達でない。そんな存在。本来ならば一切介入できません。それを学園都市とこの世界に同じ場所にあったこの橋でのみ上条さんとほんの少しだけ出会える様に奇蹟を起こしただけですわ」

 

これは奇蹟だ。この鉄橋は学園都市と今の世界を繋ぐ文字通りの架け橋なのだ。全く同じ場所にあるこの橋だからこそ一時的に垣根達の幻影が投影されるが…それもほんの僅かな時間でしかない。

 

「難しい話はよく分かんねえよ…でも、これからここでまた会えるんだろ?」

 

そう期待を込める上条、だが垣根はそれを否定する様に首を横に振る。

 

「無理だ、言ったろこれは奇蹟だってな。もう二度とこんな奇蹟は起こせねえよ」

 

「そ、んな……」

 

上条の希望は見事に打ち砕かれた。ショックのあまり顔を俯ける。

 

「俺達はお別れを言いに来たのさ。もう二度と会えねえけど安心しろ。俺と潤子はいつも、いつもお前達を見守ってるからな」

 

「そうですわ。例え二度と会えなくてもわたくし達はずっと貴方達を見ていますから」

 

そう微笑む二人。それを見て上条は巫山戯んなとばかりに顔を上げる。

 

「嫌だ!垣根と、二人と会えなくなるなんて嫌だ!二人は俺の友達だ!勝手に生贄になっておいて勝手に会えなくなるとかざけんなよ!そんなの俺は認めねえ!そんな幻想を俺は認めない!」

 

そう嗚咽を漏らし涙を流しながら二人に叫ぶ上条。上条がそう言い終わると二人の姿が半透明になりかける。

 

「……おっと、もう時間か…」

 

「もう、ですか。もう少しお話をしていたかったのに…残念ですわ」

 

奇蹟はもう時間切れだ。彼らはまた座へ戻る刻が来たのだ。それは一瞬の儚い夢の如し。だが上条はそれを認めない。

 

「待ってくれ!行くな、行かないでくれ!」

 

上条が右手を伸ばす、垣根の体に触れようとする。だがその右手は垣根の身体をすり抜けてしまう。

 

「もう終わりだ当麻。お前の幻想は終わりだよ。大丈夫、俺らがいなくてもお前達なら大丈夫だ」

 

「ええ、女王と御坂さんとお幸せに」

 

そう言って垣根と帆風は消えた。上条はただ呆然とその場に立ち尽くす。

 

「………………くそ」

 

怒鳴りたかった、自分勝手なあの二人を。殴りたかった、自分の事を一切考えないあの二人を。説教したかった、俺達の気持ちを考えろと。叫びたかった、二人に対する不満を暴露したかった。それを押し殺して、上条はただ空を見上げてこう告げた。

 

「………俺は忘れねえからな、二人の事を」

 

 

 

ーーーねえ、帝督さんーーー

 

ーーーなんだ?ーーー

 

ーーーわたくしと一緒で本当に不満はないんですの?ーーー

 

ーーー当たり前だろ、寧ろお前とじゃなきゃこんな事しねえよ。好きな女と未来永劫一緒に生きれるなら本望だーーー

 

ーーーふふふ、確かにそうですわね。わたくしも帝督さん以外の殿方とならこんな事ごめんこうむりますわ……ねえ、帝督さんーーー

 

ーーー今度は何だよ?ーーー

 

ーーー………大好きです、わたくしは貴方だけを愛していますーーー

 

ーーー………俺もだよ。俺もお前だけを愛してるぜ潤子ーーー

 

 

 

上条は自宅のベッドで目を覚ました。当然の様に美琴と食蜂が自分の左右で寝ており川の字になっていた。

 

「………泣い、てたか」

 

上条は恐らく寝ている時に流したであろう涙を手で拭う。

 

「……あ、起きたの当麻君?」

 

「…………ああ」

 

「大丈夫?昨日泣きながら帰って来てご飯を食べずに寝ちゃったみたいだけど…」

 

「大丈夫、大丈夫さ。うん、そうだな確かに昨日夜飯抜いたからお腹減ったな〜。早く着替えて食べに行くか!」

 

「………当麻君」

 

空元気を出す上条を見て悲しげな顔をする美琴。その後も両親に昨日何かあったのかと尋ねられたが上条は何でもないと笑って返した。

 

上条は美琴に話しかけられても、食蜂に話しかけられても、道行に話しかけれても上の空だった。

 

「………」

 

上条は教室の席に座りながら青空を眺める。こんな姿も二人は見ているのだろうか?そう考えていた時だ、唯一が教室にやって来て両手を叩きながら全員に着席する様に告げる。

 

「はいはい、お静かに。今日は皆さんに嬉しいニュースですよ。なんと、このクラスに転校生が二人もやって来ます!」

 

その驚きのニュースに誰もが一瞬驚きのあまり固まり、大声を上げて喜ぶ。

 

「唯一センセー!それって男かいな?それとも女の子!?」

 

「なんとびっくり、とってもイケメンな男の子と可愛らしい女の子ですよ」

 

それを聞いて沸き立つクラスメイト達。だが上条はただ一人だけ窓の外を眺め転校生の話題など一切耳に入っていなかった。

 

「では、もう入って来てもいいですよ」

 

唯一がそう扉の向こうへ声をかけると、扉がゆっくりと開き二人の転校生が入って来た。ふと、どんな奴なのかと少し気になった上条が視線を転校生達へと移し…目を見開いた。

 

「では自己紹介をお願いします」

 

一人は茶髪で身長が高く整った顔立ちの少年。もう一人はプラチナブロンドの美しい髪を縦ロールにしたモデル顔負けの容姿の少女だ。

 

「わたくしの名前は帆風 潤子と申します。これからよろしくお願いします。因みに隣の方はわたくしの彼氏なので誰も手を出さないでくださいね」

 

「俺の名前は垣根 帝督。趣味は幸せそうな恋人達の写真を携帯で撮影する事です。後潤子は俺の彼女なので手を出そうとしたら半殺しにしちゃうぞ☆」

 

暫し呆然とし、また再び大声で叫び出す一同。

 

「え!?あの転校生二人付き合ってんの!?」

 

「美少年美少女カップルキマシタワー!」

 

「くそぅ!イケメンで可愛い彼女持ちとか氏ね!」

 

「見ろよあのたわわな巨乳…埋もれてぇ」

 

「垣根君…腐腐腐、またいいBLネタが追加ね」

 

騒然とするクラスメイト達、そんな中上条だけは垣根と帆風を瞬きを忘れてずっと見ていた。

 

「…………夢、じゃないよな?」

 

垣根と帆風の視線が上条と合う。二人はクスッと笑って帆風は上条に小さく手を振り、垣根は軽くウインクする。上条は目に涙を浮かべながら二人に笑い返した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はい、今回の原稿も確かに受け取りましたよ鎌池先生(・・・・)

 

とある街中にある一軒家にて、某有名会社の某文庫レーベルの編集者をやっている三木という男性が身長の2.5倍はありそうな宝石のように美しい長い金髪を持つ女性から原稿を渡され彼女に笑顔を向けていた。

 

「しかし相変わらず鎌池先生は速筆ですね」

 

「そうかしら?私は原稿を書かないと飛行機みたいに墜落してしまうから書き続けているだけの事よ。それに完結作は今三木さんに渡した原稿が初めてであるにけるのよ。あ、そうそう。新作も三日後には完成する予定だからメールで送るわね」

 

「は、はは…(相変わらず速筆家だな〜他の作家さん方に見習わせたいよ本当に)」

 

彼女の名前はネット上ではかまちーなど言われている有名ライトノベル作家だ。インタビュー以外の露出はせずネット上では「北欧風の金髪美少女女子高生型インフルエンザウイルス」や「電撃のサーバーにある文章構成プログラム」と冗談で言われる事があるが…何と彼女は日本人ではないのだ。

 

「で、その新作でどんな物語なんですか?」

 

「そうねぇ。魔術や超能力、科学と様々な異能が飛び交うサイエンスとファンタジーの融合作。科学から生まれた超能力者でありながらも魔術の力も併せ持つ不思議な三対の純白の翼を持った少年が、同じく科学と魔術の力を併せ持つ少女と共に魔術サイド、科学サイドの敵達と戦う物語でなりけりね」

 

「それはまた…面白そうな作品ですね。それでその作品の タイトルは?」

 

「ええ、タイトルは……」

 

そう鎌池が三木に笑いながら次回作のプロットを語り、三木が面白そうだと頷く。そして鎌池はにっこりと笑って口を開く。

 

「『とある科学の未元物質(ダークマター)』。なんて名前はどうかしら?」

 

そう鎌池…本名 ローラ=スチュワートは三木に次回作のタイトルを告げるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




何故介入不可と言われた世界にていとくんと縦ロールちゃんが介入出来たのか?それは一重に彼らに常識が通用しないからです。因みに上条さん以外前の世界の記憶は全員忘れています。アレイスターやオティヌスもその例外ではありません。

そしてこの世界でのアレイスター達の立ち位置が面白過ぎる。そしてこの世界でのかまちーの正体は…彼女(彼?)という事です。果たして彼女が前の世界の記憶を持っているのかいないのか…それは皆様のご想像にお任せします。

今回で「カプ厨がていとくんに憑依転生しました」は完結となります。今までご愛読ありがとうございました。次回作もよろしければ読んでください。ではまた会う日までさようなら
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