カプ厨がていとくんに憑依転生しました   作:暗愚魯鈍

34 / 111
今回は縦ロールちゃんメイン、縦ロールちゃんがメインヒロインなんだと証明する為に頑張りました…が、自分はうまく描写か出来たか不安です…他の人の作品を見習いたい。因みに今回は格闘戦がメインです

作者が縦ロールちゃんに与えたコンセプトはインデックスやラストオーダーみたいな"守られるヒロイン"じゃなくてミコっちゃんみたいな"一緒に戦うヒロイン"です。作者は主人公と一緒に戦うヒロインが大好きなんです…ま、ヒロインの本来の意味も女版の半神、英雄て意味ですからね。インデックスみたいな主人公をサポートする頼りになるヒロインもいいけどミコっちゃんみたいはヒロインが作者は好みです。でもインデックスも嫌いじゃないです

今回で漸く御使堕しの伏線を回収できる…皆さんが御使堕しで疑問に思っていたであろう疑問を今回明らかに…!簡単に言うと縦ロールちゃん魔改造完了て事です



君の心の闇を抱きしめて

帆風は加群を背中に背負いながら第十学区を走っていた、それはまるで恐ろしい怪物から逃げているかの様。時折足をもつれさせながらも彼女は必死に逃げていた

 

「はぁ、はぁ…ッ!」

 

遠くからでも聞こえてくる爆発音…恐らく垣根と病理が戦っているのだろう…そして彼女は道端に転がっていた小石に蹴つまずき盛大に地面へと転んでしまい背負っていた加群が地面へと投げ出される

 

「あうっ!?」

 

彼女の常盤台の制服がたちどころに汚れ裾が擦り切れる、その痛みに堪えながら帆風は口を開く

 

「し、仕方ないんです…わたくしは大能力者…垣根さんは超能力者…そんな垣根さんでも苦戦する敵に私がいても役に立つ筈がないんです」

 

帆風は言い訳を誰に言うでもなく呟く、逃げたのが正しい選択だったと自分に言い聞かせる様に

 

「それにきっと垣根さんならあの女の人に勝ってくれます…垣根さんなら女王達を助け出して帰って来てくれます!」

 

彼女は言い訳を続けて自分を言い聞かせる、自動書記、アウレオルス、ガブリエルとも互角に渡り合い生き残って来た垣根だからきっと病理にも勝ってくれると安堵しようとして…帆風は垣根が言っていた言葉を思い出した

 

『……元気でな』

 

あの言葉の意味…恐らく垣根は勝っても負けても2度と彼女の目の前に姿を現す事はないのだと理解していた。帆風は唇を噛み締める

 

「…でも、仕方ないじゃないですか!やっぱりわたくしなんかが垣根さんの役に立つ筈がないんです!」

 

帆風はそう言って叫ぶ、自分がいても何の役に立たないのだからと。叫ばなければ自分が狂ってしまいそうな程の葛藤を胸に抱えながら彼女は涙を流す…そんな彼女に声をかける者がいた

 

「……君はこんな所で言い訳をしていていいのか?」

 

「!?」

 

声をかけたのは加群、地面に倒れた時に気を取り戻していたのか立ち上がって帆風を見下ろす。彼は彼女を見下ろして口を開く

 

「自分に言い訳するのは楽だ、気が楽になるし何より自分に対する免罪符になる…だがそれでいいのか?」

 

「……貴方に何が分かるんです、わたくしなんかと違ってあの女の人と渡り合える力を持つ貴方に…わたくしの気持ちが…」

 

「いや私には分かる、私も君と同じだからな」

 

「え…?」

 

加群の責める様な言葉に帆風は自分の気持ちが分かる訳ないとこぼす、それを聞いた加群は自分と帆風は同じだと言い帆風は加群を見つめる

 

「私も垣根帝督に救われ彼に恩を返そうとしている人間だからな」

 

加群はそう言った後空を見上げ昔の事を思い出す。三年前自分は自分の教え子である雲川鞠亜に襲いかかった通り魔の少年を殺そうとした…その時垣根がそれを止めたのだ。その時垣根は加群にこう言った

 

 

『あんたは優しい人間だ、あんなクソ女の思い通りにはさせない。あんたはこれから一生生徒に慕われる優しい『木原』として生きてもらう…それがあんたがこの少年を殺しかけた事に対する罰だよ。精々異端の『木原』として教育者として励むんだな』

 

 

その言葉を聞いた時加群は決めたのだ。いつかこの少年が危機に陥った時必ず自分が助けてみせようと、自分を助けてくれたの同じ様に彼に恩を返すと決めたのだった

 

「私は垣根の助けになりたかった…だがこの体たらくだ…今回も彼に恩を返せなかった…だが…君は違うだろう?」

 

「……え?」

 

「彼は心に深い闇を抱えている…私はその闇を私の手で消してやりたかった…だが私ではそれが出来なかった」

 

そう言って自嘲するかの様に口元を薄く歪める加群に複雑な顔をする帆風…そんな加群は帆風の顔を真っ直ぐ見つめる

 

「だが君は違う、君なら垣根を闇から救える筈だ」

 

「わたくしが…?」

 

「ああ、君は自分の事を卑下しているが…君には垣根を救うだけの力がある」

 

加群は帆風なら垣根を救えると言う、彼の顔は真剣そのものだ。決してからかっているのではない…帆風は自分が垣根が救えると聞いて目を見開く

 

「で、でも…わたくしは大能力者…」

 

「だからどうした?」

 

「え?」

 

「大能力者だから超能力者を助けてはいけないという決まりなどない…それに君はいいのか?このままでは垣根は2度と君の目の前に現れなくなるんだぞ?」

 

加群が言った言葉にビクンと震える帆風、彼の言う通りだ、超能力者だからなんだ、自分は垣根と共に戦いたいのだ、その気持ちに嘘はない…それに垣根と2度と会えなくなる…それも絶対に嫌だ

 

「…嫌です、垣根さんと2度と会えなくなるなんて……絶対に嫌です!」

 

「…なら私に構わず早く垣根の元へ戻れ、今ならまだ間に合う」

 

帆風が2度と会えなくなるのは絶対に嫌だと叫ぶ、それを聞いた加群はなら自分に構わず垣根の元へ戻れと告げる

 

「さあ、早く行け。君が垣根を救ってやってくれ」

 

「………はい!」

 

帆風は加群に力強く頷くと天衣装着で強化した足で大地を駆ける。一瞬で元いた場所を戻る帆風を加群は眺めながら呟いた

 

「……これでいいか、アレイスター?」

 

 

 

暴走する垣根はグロテスクな翼を振り回しながらノイズが入った言語を獣の咆哮の様に叫ぶ。緑に発光する垣根の両目には何も映さない

 

「あははは!いいですよ帝督ちゃん!このまま絶対能力者になってしまいなさい!」

 

興奮して大はしゃぎする病理…だが彼女はカツンと何かの音が聞こえ音が聞こえた場所に顔を向ける…そこにいたのは先程逃げた筈の帆風がいた

 

「……あら、逃げたんじゃなかったんですか?」

 

「………」

 

病理が少し驚いた様な顔をするが然程気にしていない、彼女よりも垣根に夢中になっている様で楽しみの邪魔をした帆風に若干苛立っていた。対して帆風は無言で垣根を見据えていた

 

「vnlj何lnlnvz?」

 

垣根は帆風の方へと振り返る、そして翼が帆風へと狙いを定める

 

「!?潤子先輩危な…!」

 

美琴が危ないと叫びかけるももう既に垣根は翼を帆風目掛けて放つ、その一撃は天より飛来せし流星の如く帆風へと迫るが帆風は避ける気を一切起こさずその場に立ったまま動かない

 

「onyl殺onvz!」

 

衝突音が周囲に響く、上条達は目を塞いでしまう…そして恐る恐る目を開けると翼は帆風の真横の床に突き刺さっていた

 

「……はぃ?」

 

病理が何故死んでいないのかと目を丸くする、帆風はその翼を一瞥した後頬を緩めながら垣根の元へとゆっくり近づいていく

 

「ynlnt近oxvjz!」

 

垣根が来るなとでも言いたげに叫ぶと翼から無数の手が帆風目掛けて放たれる、それは彼女の身体を引きちぎる為の武器…それらは帆風に一切当たらず彼女の周囲の床に突き刺さる

 

「な、何故!?何故攻撃が当たらないのです!?」

 

困惑して大声を出す病理に何故攻撃が当たらないのかと考える上条達…そんな中帆風は笑って答えた

 

「安心してください垣根さん、わたくしは貴方の敵じゃありません」

 

今度こそ狙いを正確に定めた翼が帆風の顔面へと向かう、だが彼女に当たる数センチ手前でその翼の先端が止まり翼が震えている

 

「…垣根だ、垣根があの翼を止めてるんだ」

 

帆風にはあの翼を止める力などない、ならあの翼を止めているのは翼を発生させている垣根だと上条が呟く、その後も翼からの攻撃は続くがどれもこれも彼女を傷つける事はなく帆風はゆっくりと垣根に近づいていく

 

「…!実験の邪魔を…!」

 

病理は自分の右手をスカイフィッシュを参考にしたひだがついた腕へと変貌させ鉄矢を投げようとする…だがそんな彼女に電撃が飛来し彼女はそれを避ける

 

「な…!」

 

「潤子先輩の…邪魔はさせない!」

 

電撃を放ったのは美琴、垣根との戦いでキャパシティダウンが壊れていたので美琴は電撃を発生させ病理の足止めをしたのだ、病理は歯噛みするがもう遅い…帆風は垣根と至近距離に立っていた

 

「afbv消lnyulj!!」

 

「……わたくしはいつも垣根さんに助けてもらってばかりでした」

 

叫びながら翼を振り回す垣根に真っ直ぐに垣根の目を見据える帆風、彼女は怯える事なく彼に一歩迫る

 

「でも今回は違います、わたくしが垣根さんを救ってみせます」

 

彼女はそう言って翼を振り回す垣根に抱き着いた、彼女はまるで泣き喚く子供をあやす様に彼の耳元で言葉を綴る

 

「わたくしは垣根さんの全ては知りません、確かに過去に人を殺したかもしれませんし人に言えない事も沢山あるかもしれません…」

 

でも、と彼女は付け加える

 

「それでもわたくしは貴方を見捨てません、例え世界が貴方を必要としていなくても、例え世界が貴方を蔑んでいても、わたくしはいつまでも垣根さんの味方でいます」

 

彼女はそう言って抱き着く力を強める、垣根の喚き声がなくなっていく、膨張し続ける翼が止まりその翼に亀裂が入り先端から虚空に溶ける様に消えていく

 

「例え垣根さんがわたくしを信じなくてもわたくしは垣根さんを信じます。例え垣根さんがわたくしを裏切ってもわたくしは垣根さんを裏切りません。例え垣根さんが救いを求めていなくてもわたくしは垣根さんを救ってみせます」

 

帆風は慈母の様な優しい笑みを浮かべながら励ます様な言葉を垣根の耳元で囁く。垣根の眼が緑から元の眼の色に戻り始め赤く染め上がっていた空が元の青空へと戻っていく

 

「もういいんです、もう自分一人で抱え込まないでください。わたくしが垣根さんの心の闇を一緒に背負ってあげます」

 

グロテスクな翼は完全に消滅し垣根の瞳も完全に元に戻る、正気に戻った垣根は帆風の目を見据えながら彼女の言葉を聞き続ける

 

「だから安心してください、わたくしは…いえわたくし()は貴方の味方です」

 

帆風はゆっくりと抱き着いていた手を解き垣根は床に崩れ落ちる、そして彼女を見上げながら垣根は口を開く

 

「……何で戻ってきた?ここはお前がいていい場所じゃねえんだぞ」

 

「ええ、ここはわたくしがいていい場所ではありません」

 

何故戻って来たという垣根に帆風は真っ直ぐ垣根を見つめ答えた

 

「そして垣根さんがいていい場所でもありません」

 

「……!?」

 

「わたくしは貴方を連れ戻しに来たんです」

 

連れ戻しに来たと言う帆風に垣根は目を見開いてまた目を背けた

 

「…無理だよ、俺にはそっち側にいる資格なんざ…」

 

「ない、と言ったら本気で怒りますよ」

 

帆風に自分が言おうとしていた事を先に言われ口を閉口する垣根に帆風は淡々と言葉を話す

 

「貴方は闇の世界(そっち側)にいて人ではありません、わたくし達と同じ光の世界(こっち側)の人間です」

 

「何言ってやがる…俺は…病理の言った通り人を殺したんだ…そんな最低野郎が光の世界にいていい訳が…」

 

「……インデックスちゃんにステイル君と神裂さん。それにアウレオルスさんや刀夜さんと詩菜さん、上条さんに御坂さん、女王、麦野さん、一方通行さん、削板さん、加群さん…そしてわたくし…今名前を呼んだ人達が貴方とどう関係してるか分かりますか?」

 

光の世界にいていい訳がないと言いかける垣根に帆風が14人程の名前を呟き垣根が困惑した顔で彼女を見る…そして彼女は答えた

 

「この方々は全て垣根さんが助けてた人達の名前です」

 

「…!?」

 

「他にもわたくしが知らないだけで垣根さんは他の人を助けていた筈です、もし最低の人間ならそんな事する筈がありません…だから自分の事をそんなに卑下しないでください」

 

全て垣根が救って来た人物の名前だと言うと垣根は目を見開く、帆風は垣根は悪人なんかじゃないと言い聞かせる様に話す

 

「貴方はこっち側にいてもいいんです。誰がなんと言おうがわたくしは貴方に光の世界にいてほしい…だからそっち側にいないでこっちに来てください」

 

彼女は瞬き一つせず垣根の目を真摯に見つめる、垣根も彼女のその言葉の気迫に押され垣根は口を開いた

 

「……俺はそっち側に行ってもいいのか?」

 

「何言ってるんですか…最初からこっちら側にいたじゃないですか、垣根さんが気付いてなかっただけで」

 

「…俺は赦されていいのか?友達を殺して人を殺し続けた俺なんかが」

 

「はい、例え他の人が赦さず貴方を否定しても…わたくしだけは貴方を赦して肯定します」

 

「……そうか」

 

帆風は問答をしながら垣根へと手を差し伸べる。それは垣根にとって文字通りの救いの手、帆風との会話で垣根の心を長年蝕んでいた闇が晴れていった気がした…垣根は笑みを浮かべながら彼女の手を掴み立ち上がる

 

「……ありがとな」

 

「いえ、今までの恩を返しただけですわ」

 

笑い合う二人、かつてヒーロー(垣根帝督)に救われたヒーロー(帆風潤子)はそのヒーロー(垣根帝督)を救った。そんな感動の光景に病理は怒る

 

「……何ですかこの茶番劇は…折角実験が成功しかけていたというのに…たった一つのイレギュラーの所為で台無しに……ははは…」

 

病理は乾いた笑いをこぼす、そして眼をクワッと見開きその暗黒の闇の様な眼差しにビクッとする帆風を睨み忿怒の顔を帆風と垣根に見せつける

 

「全然笑えねえんですよ小娘がぁぁぁ!!絶対に許しませんよ帆風潤子(イレギュラー)ァァァ!!貴方はただでは殺しません!死んだほうがマシだというくらいの絶望を与えた上でホルマリン漬けにして永遠に生かせてあげます!」

 

この世の全ての怒りを集めたかの様な叫びに地獄の悪鬼の様な形相に帆風が顔を青ざめて萎縮する、だが垣根が帆風の前に立つ

 

「そんな事させる訳ねえだろ」

 

垣根はそう言うと帆風の方へと振り向き呆れた様に溜息を吐く

 

「縦ロールちゃんて意外と馬鹿だよな、喧嘩を売ったらダメな相手に喧嘩売るなんてさ」

 

「うぅ…」

 

垣根にそう言われて帆風は軽くショックを受ける…だがそんな帆風を見て垣根はクスッと笑って彼女の頭を撫でる。その事に驚く帆風に垣根は笑いながら呟く

 

「だがこれで俺と縦ロールちゃんはあいつに眼をかけられた者同士てことだな」

 

「……え?」

 

おどける様に呟く垣根に帆風は眼を丸くする、そして垣根は背中に再び無機質な光を放つ輝く未元物質の翼を構築する

 

「だから一緒に戦おうぜ潤子ちゃん(・・・・・)。二人で病理の奴をぶっ倒そう」

 

「……はい!」

 

帆風は気づいた、垣根が初めて自分の名前を呼んでくれた。その事に胸の中で嬉しく思いつつも帆風は垣根の期待に応える為に力強く頷く

 

「…何ですかそれは…なんたる堕落、帝督ちゃんはそんな正義のヒーローみたいなやり方は似合わな…」

 

「煩えよばーか、これが俺の選んだ道だ。時代は変わったんだよ行き遅れヒス女」

 

病理はそんなのは垣根のやり方ではないと叫ぶが垣根はそれを一蹴、病理は行き場のない怒りを全て帆風に向ける

 

「貴方が…貴方のせいで……!帆風潤子ぉぉぉ!!!」

 

人間では考えられない様な叫びをあげた病理は怒り狂った眼で帆風を睨む、そして口を開く

 

「形態参照 南極ゴジラ!」

 

病理がそう言って変化したのは目や尖った耳、全体を覆う毛にノコギリの刃の様なひれが背中にある牛の様な顔の数十メートルはあろう異形。病理は更に原子崩しが扱える様に身体を作り変え口から極太の緑色の光線を放つ…普段原子崩しは麦野の生存本能が出力を抑えているのだが幾らでも身体を再生出来る病理には抑える必要性がなく最大出力で原子崩しを放った。まともに喰らえば即死する死の光線。垣根は翼で防ごうとする中帆風はその原子崩しを見つめる。その時自分の身体の中で歯車が噛み合った気がした

 

(…そうか、これが…あの時の…)

 

そして二人は原子崩しに飲み込まれた、直後緑の閃光が周囲を覆い尽くす。生じた衝撃波が数十メートルに達している病理の巨体すら揺るがした

 

「…やり過ぎましたかね?」

 

そう呟く病理だがあの程度で垣根が死ぬとは思っていない、だが運が良ければ帆風は死んでいるかもしれないと考えていた…だが直後にその考えはその光景を見て消し飛んだ

 

「……は?」

 

それは氷山を盾にした様だった、いつの間にか出来上がった氷山の如き聳え立つ氷の壁に病理が不可思議なものを見る目で見つめる

 

(超能力で作った?いいえ、どんな超能力でも一瞬であの巨大な氷は作れない…それに単なる氷程度ではあの最大出力の原子崩しに耐えれる筈が…)

 

病理は何が起こったのかと思考する、そんな中氷の壁が一瞬で崩れ二人の姿が見える。病理が見た光景は驚く垣根と病理を見据える帆風…病理は悟る、あの氷の壁を作り出したのは帆風だと

 

(いやあり得ない!彼女の能力は天衣装着な筈!単に身体能力を強化するだけの能力!氷を操れる筈がない!?ならあれは一体!?)

 

混乱する思考の中で病理は帆風は一体何をしたのかと考える、垣根も何が起こったのか理解できず遠目で見ていた上条達も混乱する…だが実を言うと帆風自身もその力が何なのか自分ですら理解していなかった…だが使い方は分かっていた

 

(…これが、あの時の異変の正体…この力なら…わたくしは…垣根さんの横で戦える)

 

この力なら垣根の横で戦える、帆風はもう一度その力を使う為に口をゆっくりと開く

 

神の力(ガブリエル)

 

垣根は気づいた、帆風の身体に膨大な天使の力(テレズマ)が宿った事に。神裂よりも遥かに高密度の天使の力…否天使の力の一部という範囲ではなくまるでその身に天使を直接宿した様だと垣根は思った…直後、帆風は宙を駆け地上から何十メートルも離れた病理の顔面にその拳を叩き込む

 

「ばごヴぇるごぶちゃえ!?」

 

言語として成り立たない叫びをあげながら病理は地面に倒れこむ、それを宙に浮いたまま(・・・・・・・)の帆風が殴りつけた右拳を見ながら呟く

 

「……天衣装着よりも威力が上がってますね」

 

帆風にはこの力が何なのか分からない、だがこれで垣根と同じ舞台で戦えると言うことは理解していた。彼女は拳を握りしめゆっくりと起き上がる病理を見据えた

 

「な、何が…そ、それは一体…?」

 

病理はその能力について一切理解出来なかった、ただそれと似ている物は知っている。加群が扱っていた魔術だ…だが似ているがそれとは違う、病理はそう確信していた

 

「わたくしもこの力が何なのか分かりません…ですがこれだけは言えます。今のわたくしは…垣根さんと同じくらい強いですわよ」

 

帆風はそう淡々と告げると右手を空へと伸ばす、そしてある天使の名を告げる

 

神の如き者(ミカエル)

 

直後右手から天にすら到達する赤い光の剣が形成される、それはフィアンマの聖なる右と同等かそれ以上の天使の力で構成されたミカエルの聖なる剣…帆風はそれを思い切り病理へと降り下ろす

 

「……へ?」

 

直後病理の視界がズレた、それが自身の身体が左右に切断されたと気づくまで3秒かかった。そしてそのまま切断された病理の身体は凄まじい音を立てて地面に倒れた

 

 

 

「木原病理の実験は私が考えた計画(プラン)とよく似ていた」

 

窓のないビルでアレイスターはそう呟いた

 

「垣根帝督を絶対能力者にしその先にあるSYSTEMへと到達させる…それは私の計画とよく似ている」

 

だが、とアレイスターは付け加える

 

「絶対能力者だけでは足りないのだよ、絶対能力者に加え神上、科学の天使(魔神)…これら三つを組み合わせて漸くSYSTEMへと辿り着く…ただし垣根帝督ともう一人(・・・・)がこれら三つに到達しないといけないがね」

 

アレイスターは垣根とあともう一人が絶対能力者、神上、そして科学の天使にならねばSYSTEMには辿り着けぬと…そのもう一人とは…

 

「君だよ帆風潤子、君が垣根帝督と同じメインプランの一人なのだよ」

 

帆風の名を呟いたアレイスターは表情を和らげ虚空へ呟く

 

「上条当麻と御坂美琴が《ハディート》と《ヌイト》なら垣根帝督と帆風潤子は《セリオン》と《ババロン》だ」

 

アレイスターは両手を広げながら垣根の事を大いなる獣(セリオン)、帆風の事を緋色の女(ババロン)と称す

 

「そして垣根帝督が魔術と超能力(科学)の両方を扱うなら、帆風潤子は魔術と超能力が混ざり合った力(・・・・・・・・・・・・・・)とでも言おうか」

 

垣根と帆風が扱う能力は似ている様で違う、垣根が「こことは違う世界における無機(虚数学区)」「神が住む天界の片鱗を振るう者(AIM拡散力場)」ならば帆風は「こことは違う世界における有機(天界)」「神にも等しい力の片鱗を振るう者(テレズマ)」だろう

 

「帆風潤子は御使堕しの際空白となったガブリエルの肉体にその魂を宿した。それが戻った後一時的とは言え天使の肉体に宿った魂は昇華され彼女の肉体にも異変を起こした」

 

帆風はフィアンマの聖なる右やガブリエルと接触した際に起こった頭痛…あれはガブリエルの肉体に帆風の魂が宿っていた事で天使に関わるものに触れた際に起こった反応だったのだ

 

大いなる業(アルス=マグナ)、鉛のようにくすんだ人の魂を、黄金のごとき天使の魂へ昇華させる秘儀…彼女の肉体は垣根帝督と同じ天使の肉体へと昇華されている」

 

大いなる業、それはアウレオルスの黄金錬成(アルス=マグナ)とは違い人間の魂を天使の如き魂へと昇華させる秘儀のことだ

 

「彼女の能力は魔術と超能力が混ざり合った全体論の超能力だ…出力だけなら優に超能力者を超えるその能力…そうだな…名付けるのなら…『天使崇拝(アストラルバディ)』とでも言おうか」

 

アレイスターは帆風の新たなる能力を天使崇拝と名付けると笑みを浮かべながら垣根と帆風を見つめる

 

「木原病理、君の失敗はただ一つ。帆風潤子と言う存在を眼中に入れなかった事…それだけだ」

 

アレイスターは病理の失敗は帆風を敵と認識していなかった事だと告げる

 

「さあどうする木原病理、今の垣根帝督と帆風潤子なら貴様の迷妄(げんそう)をぶち壊すぞ」

 

アレイスターは笑う、彼は垣根と帆風が勝つと信じていた

 

 

 

(……成る程、この力は天使…あの時に戦ったガブリエルの様な天使をこの身に降ろす能力。それに頭の中に流れてくる天使達の知識…これが天使の術式ですか)

 

帆風は天使崇拝を使った際に流れてきた天使達の知識…天使しか扱えぬ術式を理解し把握していた、今の自分ならガブリエルの天体制御や神戮ですら扱えると自負していた…ただしガブリエルをその身に降ろしている時限定だが

 

「凄えな潤子ちゃん…今のはフィアンマと同じミカエルの力か…てかその能力魔術ぽいけど血管が破裂とかしないの?」

 

「いえ別にそんな気配はしませんけど…」

 

垣根が能力者が魔術を使った際の副作用は起きていないかと尋ねるが帆風は反動一つ起こさない…これはどういう事かと垣根が考えようとしたその時

 

「成る程…そういう事ですか」

 

「「!?」」

 

倒れた怪物の右側の切断面からポコリと手が生え二人はそれを目を見開いてその異常を見る。そしてそこから病理の顔か生えてきてクスクスと笑いながら二人を魅入る

 

「そういう事ですかアレイスター…帆風潤子の役割…いえ貴方達二人の本当の役割は…」

 

ブツブツと呟く病理を二人は見つめる…そして完全に人の身体に戻った病理は帆風に不気味な笑みを見せつける

 

「…どうやら私は貴方を見くびっていたようです…その事には深くお詫びしましょう…申し訳ありません」

 

病理は唐突に帆風に頭を下げる、その行為に困惑する垣根と帆風…だが病理はニヤリと黒い笑みを浮かべると背中から反転物質の翼を顕現する

 

「ですので、帝督ちゃんと同じ私の研究対象として見てあげましょう。光栄に思ってくださいね」

 

そう言うと病理は漆黒の翼を数十メートルまで肥大化させ黒い光を発光させる…それを見た二人は覚醒した未元物質を連想する

 

「まさかテメェ…掌握していたのか?」

 

「モチのロンです!では始めましょうか!ここからは一切の手加減なし、油断なし、出し惜しみなしの三拍子!病理さんの超本気です!」

 

垣根が自分の様に能力を掌握していたのかと叫ぶと彼女は笑う、そしてその反転物質の翼を自分の身体に突き刺す。突然の自滅に二人は驚愕の目をするがその六翼は病理の身体へと吸い込まれ始め彼女の身体に覚醒した反転物質の力が直接流れ始める…そして紫色の光が彼女を包み込み垣根と帆風はその光に思わず目を塞ぐ…そして次に眼を開けると病理の姿に変化があった

 

「さあ、始めましょうか帝督ちゃんに潤子ちゃん。この大覚醒病理さんが相手になってあげましょう!」

 

身に収まり切れぬ紫色のオーラを身に纏い、身体中に羽の様な物が飛び出し、身体に黒いラインがその身に刻まれたかの様に浮かび上がっている…二人は悟る、この姿は今までの病理とは格が違うと。その瞬間病理は空間移動かと感じる程の超スピードで二人に接近しまず帆風に回し蹴りを叩き込みその次に垣根の腹部に拳を叩きつけ二人を吹き飛ばす

 

「「ごっ、があああぁぁぁ!!!???」」

 

二人はノーバウンドで床に激突し床にクレーターと称してもいい程の大穴が出来る。口から血反吐を吐く二人を病理は薄い笑みを浮かべる

 

「さあさあ、早くかかってきなさい。これで終わりだなんて言わないでしょう?私が『諦め』てここまで全力を出したんですから二人も見合うだけの力を見せてください」

 

「……化け物め」

 

垣根は今まで全力ではなかったのかと舌打ちする、今の病理は自動書記やガブリエルと同格…もしくはそれ以上だ。垣根は自分に病理が倒せるのかと考えるが彼の右手を帆風がそっと握る

 

「大丈夫です、二人ならきっと勝てます」

 

「……だな」

 

二人は手を繋ぎながら笑い合うと拳で口元についた血を拭いながら病理を睨みつける、対する病理も笑ってはいるが目は笑ってはいない…そして垣根と帆風は同時に言葉を呟く

 

「「超能力」は未元物質。「魔術」は未元物質、「天使の力」は未元物質、未元物質は「超能力」、未元物質は「魔術」、未元物質は「天使の力」」

 

神を見る者(カマエル)

 

垣根は今一度『三位一体』を発動し未元物質の翼を覚醒させ白く発光させる、帆風は新たな天使をその身に降ろす。その天使の名はカマエル、神の力を象徴し神の敵対する者と戦う天使の名だ。垣根は座標移動で、帆風は聖人とは比べ物にならない身体能力で病理へと迫る。対して病理は音速でその動きに対応し翼を振るい降ろした垣根の翼を左手で掴み帆風の正拳突きを右手で受け止めた

 

「「なっ!?」」

 

「甘い、甘過ぎますよお二人共!」

 

そのまま翼と拳を掴んだ病理は二人を片手の力だけで投げ飛ばす、二人は床に叩きつけられ床に亀裂が走る…痛みに呻く帆風だが病理が自分の頭を踏み潰そうと足を顔面に叩きつけようとしているのを視界に入れ横に転がる事で避け自分の頭があった場所に病理の足が叩き込まれ床が破壊される

 

「くっ…!」

 

一瞬で起き上がった帆風は豹の如き脚力で病理から距離を取る、その瞬間垣根が原子崩しや超電磁砲、念動砲弾(アタッククラッシュ)を放ち病理を仕留めようとするが病理はそれを片手を振るうだけでその三撃を消滅させる…だがその隙をついて帆風が病理に回し蹴りを放つ

 

「だからー、ただ殴りつけるだけなんて私を甘く見過ぎです」

 

「……ッ!」

 

病理は片手でその足を掴み取る、帆風は足を掴まれた痛みで顔を一瞬歪めるがすぐに病理に向けて笑いかける。それを病理が疑問に思う前に竜王の顎が病理の身体に噛み付いた

 

ーーーキュラアアァァァ〜!ーーー

 

「なぁ!?」

 

咄嗟の出来事に病理は帆風の足を掴んでいた手を離してしまう、病理はそのまま竜に噛まれたまま空へと持ち上げられる

 

「油断大敵だな、このままお前を喰らい尽くしてやる」

 

「あらら……油断しました」

 

垣根はこのまま反転物質で出来た身体を竜王の顎で消滅させようと企む、だが全ての異能を喰らう竜王に噛まれてもなお病理は余裕の表情だった…そして垣根は気づく、竜王の顎…異能を全て消し去る幻想殺しを喰らってもなお病理の身体は消えていない事に

 

「嘘…だろ!?幻想殺しを持ってしても消し切るのに時間がかかる程の膨大なエネルギーで出来ているのか!?」

 

ーーーキュラアアァァァ〜!?ーーー

 

病理の身体に込められた膨大な異能のエネルギーは竜王の顎でさえも消し切るのに時間がかかる程だった…病理はニヤリと笑うと単なる腕力だけで竜王の拘束を解き地面に着地する

 

「私にそんな小細工は一切通用しませんよ」

 

病理はそう言って笑う、そして彼女は床に転がっていた何かしらの金属片を拾い上げそれを指で弾き超電磁砲として放つ…しかも美琴とは違い紫色の電撃を纏う超電磁砲だ

 

「チィ!」

 

垣根は竜王の顎で超電磁砲を喰らう…だが本来なら即座に打ち消す筈が病理の超電磁砲を消すのに10秒かかって漸く竜王が超電磁砲を飲み込んだ。本来ならば一瞬で飲み込める筈の超電磁砲をだ

 

「なに……?」

 

「変質した超電磁砲…反転物質は未元物質と同じこの世ならざる法則を持つ…超電磁砲もまた違う法則で動き出すということです」

 

今の彼女が放つ能力は反転物質によりいつもとは違う法則が働く。それにより威力が格段に違う為本来なら未元物質や幻想殺しの敵でない超電磁砲等の能力も注意せねばならない

 

「はあ!」

 

「だからやっても無駄ですよ」

 

カマエルを降ろした事による驚異的な身体能力、速さは音速を超え一瞬で病理に接近しその速さで拳を振るうが病理はそれに難なく対応し拳を受け止める、そして至近距離から紫色の原子崩しを放ち垣根が座標移動で彼女を移動させそれらを全て避ける

 

「麦野さん以上の威力を誇る原子崩し…多分生存本能のセーブがない分威力を高められるんでしょうね」

 

「多分な…もし反動で身体が吹き飛んでもいくらでも再生出来るんだからな…一方通行の能力よりも単純な力で扱いやすいから病理にとっては使い勝手がいい能力なんだろうな」

 

病理はいくらでも身体を再生出来る、故に原子崩しのデメリットを受け付けない…それを理解した二人はどうすればいいのかと思考する。そして垣根が懐を弄り小型の透明ケースを取り出す

 

「……潤子ちゃん、俺が後衛でサポートする。悪いが前衛を頼めるか」

 

「はい」

 

「…即答かよ、あの化け物相手に前衛でやりあうとか…言っておいてなんだが平気なのか?」

 

「ええ、だって垣根さんがついてますから」

 

「……言ってくれるな」

 

帆風が笑ってそう言うと垣根も笑い返す、そして帆風が憑依していたカマエルを消し新たな天使を宿す

 

神の神秘(ラジエル)

 

その身に降ろしたのは全てを知る叡智の天使 ラジエル。かつて自身の知識をまとめた一冊の本(セファー・ラジエール)を書き上げた天使でありその本はあのソロモン王も読んだ事があると言う…ラジエルを降ろした事による能力は魔術を扱う力、魔術とは知識、知識とは魔術。地上と天界の全ての知を知るラジエルにとって天使の高位魔術を扱うのもお手の物だろう

 

「はあ!」

 

帆風は指を鳴らす、それだけで周囲を埋め尽くさんばかりの魔法陣が展開されそこから炎や氷、雷に暴風、巨大な土塊の剣が飛び出す。威力こそ神戮には遠く及ばないものの天使が扱う術式は強力の一言につき人間が使う魔術とは比べ物にならない威力を秘めている

 

「いいですねえ!面白くなってきました!」

 

だがその魔術を病理は軽々と回避し腕を振るって打ち消す。更に原子崩しを放って魔術と相殺、超電磁砲の紫電を放電させ咄嗟の防御に使う、一方通行の反射で弾く…そうやってその弾幕を防ぐ

 

(やはりラジエルでは無理ですか…やはりカマエルが…いえ、先程防がれましたし…)

 

帆風がそう考える中垣根はケースの蓋を開けそこに入っていた白い粉末を飲み込む。それを見ていた病理は目を見開く

 

「まあ…体晶(たいしょう)ですか」

 

体晶、意図的に能力を暴走させる薬品。これは大半はデメリットしか生まないが滝壺の様に良い結果を出す場合もある

 

「これを服用すれば通常とは比べ物にならない火力が手に入る…つっても五分か限界だがな」

 

たった五分だけだか多才能力で高度な演算で威力が上がっているのだ、それに体晶を加えればどうなるか…垣根は原子崩しを放ち病理もガンマンの早撃ちの様に速射して垣根の攻撃を防ぐ。強化された垣根の原子崩しは病理の原子崩しと同じ威力を誇っていた

 

「ほう……」

 

「まだまだいくぜ」

 

垣根は能力を駆使し空から落雷を落とす、周囲の鉄製の物体を磁力で引き寄せ超電磁砲として放つ、原子崩しを雨の様に降り注がせる。高電離気体(プラズマ)を何発も放つ、念動砲弾や竜王の顎が病理へと放たれ、台風と言っていいレベルの風力使いで起こした暴風が、核が落ちたのかと錯覚するレベルの火力の発火能力の炎が、ダイヤモンドすら切り裂く水流使いの極細の水流が病理を襲う。全てが一撃必殺、一度でも喰らえば終わりの超弩級の攻撃…だが

 

「残念ながら私には効きません」

 

病理は無傷、正確には攻撃を喰らっても即座に再生してしまうのだ。その再生スピードは0.00001秒。傷をつけたと思った瞬間に傷が塞がるのだ。この超再生の前には竜王の顎や超威力の超能力ですら一瞬で傷を塞ぐ…普通なら絶対に勝てない相手…だが二人は諦めない

 

「なら再生が出来ない様細胞を一つ残らず破壊し尽くしてやる」

 

「…やれるものならやって見てください」

 

病理はどうぞどうぞと軽く挑発する、それ程までに自分の力を過信しているのだろう

 

「……神の王国(サンダルフォン)

 

帆風が降ろしたのはサンダルフォン、ミカエルと共にサタンと戦う天使。ミカエルやガブリエルに匹敵する天使を降ろした帆風は病理へと駆ける。病理は原子崩しを何発も放つが垣根が未元物質から放つ光線に相殺されてしまう

 

「中々いい連携じゃないですか…でも病理さんは接近戦も強いんですよ」

 

病理は帆風を殴りかかろうとするがその殴ろうとしていた左手が未元物質の翼で動きを封殺される

 

「な!?私の反転物質で爆破しない?!」

 

反転物質に未元物質が触れたのに爆散しない、これは未元物質を念動能力(サイコキネシス)のエネルギーの膜で覆い反転物質に触れない様にしてるからだ、そのお陰で反転物質に触れても爆破しない

 

「今だ潤子ちゃん!」

 

「はい!」

 

「…!しまっ……」

 

病理が何か言う前に帆風の拳が病理の顔面にめり込んだ

 

(やりましたか!?)

 

帆風は倒したかと思うが垣根は自分の翼に違和感を感じ病理の右手を封じている翼を見るとギチギチと音を立てて病理の腕力に引きちぎられる瞬前だった

 

「!?潤子ちゃん危…」

 

垣根が何か言う前に翼を破壊した病理の右ストレートが帆風の腹部へと命中し帆風の身体がくの字に曲がる、病理の一撃は常人ならば軽く当たっただけで身体をザクロの様に潰し絶命させる…だが莫大な天使の力をその身に降ろした帆風はその一撃を喰らっても原型を留め吹き飛ばされる事なく何とか踏み留まる、だが病理は戸惑うことなく二撃三撃と帆風の身体に拳を叩き込み最後に周り蹴りを喰らい帆風は派手に吹き飛ばされ壁に激突する

 

「がはっ!?」

 

帆風は口から血反吐を吐く、気を抜けば気絶しそうな連撃で満身創痍な帆風…だが彼女は立ち上がる

 

「えぇ…そこまで耐えると病理さんでも流石に引きますよ…そろそろ『諦め』て貰えませんかね。こちらとしても女子を殴るのはいささか抵抗感というものが…」

 

「いいえ、諦めません…わたくしは…いえわたくしと垣根さんは絶対に貴方に勝ちます」

 

「…だからそういう熱血系はさむーいんです」

 

帆風は諦めない、絶対に病理に勝って上条達を助ける。彼女は力を振り絞る、身体中に響く痛みの悲鳴を無視して流れる血を気にせず…病理だけを見据える

 

(俺もそろそろ…限界だな…それに俺の一撃じゃ病理は倒せねえ…そして潤子ちゃんの一撃でも倒しきれるかどうか…)

 

(わたくしの一撃は確かに強い…でも超再生の前では無意味…唯一の方法は身体全てを消し去る事…それはわたくしには出来ない)

 

でも、と二人は心の中で同時にある考えを思いつく

 

((二人でなら勝てる!))

 

今の二人に言葉は不要だった、心理掌握による念話でまるで以心伝心の様に動き出す二人に病理は何を仕掛けてくるのかと身構えるが先程と同じ帆風の突進を見てまたかと内心で呟く

 

「やれやれ…馬鹿の一つ覚えて……」

 

だがその考えはすぐに消えた、垣根が三対の翼を背中から切り離しブーメランの様に病理に放ったからだ、病理はそれを軽々避ける…だがその翼の目標は病理ではなく帆風(・・)だった

 

「な…!?」

 

帆風の右手に未元物質の翼が手甲の様に付けられ翼の先端が重なり合い槍の様な形になる…そしてその白く発光する槍は更に輝きを強くし続ける。垣根の力と帆風の力が混ざり合い凄まじいエネルギーをその槍に宿す

 

(ま、ずい……これだけは防がなければ…流石の私もこれは……!)

 

病理は両手を重ねながら前に突き出しその一撃を防ごうとする、直後帆風の槍と化した拳と病理の両手が激突。周囲の地面をその衝突の余波で抉りながら帆風はその守りを穿とうと拳に力を込め病理は穿たれまいと両手に力を込める

 

「はああああああああ!!!」

 

「うぎぎぎぎぎぎぎ……!!!」

 

両者は歯を喰いしばる、帆風は前へと拳を突き出し病理も押し切ろうと両手を前に押し出す…両者一歩も引かぬその光景に全員が圧倒される

 

「はあああああああああああ!!!」

 

「うおおおおおおおおおおお!!!」

 

帆風が足で踏ん張っていた場所が力を込め過ぎて踏み抜かれる、病理の方も同じ様に踏み抜いた跡があった…両者は叫びを上げながら更に力を込める

 

「はああああああああ!!!」

 

「がぁ……ああああああああ!!!」

 

病理が帆風の拳を少しずつだが押し返し始める、病理が口元に笑みを浮かべる…帆風は顔を歪めながらも力を込めるが徐々に押し返される…その時彼女の耳に声が届いた

 

「頑張れ帆風ちゃん!」

 

「そンな奴に負けンじゃねえぞ!」

 

「垣根が見てんだ!無様な姿を見せんじゃねえぞ!」

 

「頑張って潤子先輩!」

 

「ファイトなんだゾ潤子先輩!」

 

「根性出し切る気持ちで頑張れ!」

 

「……皆さん」

 

上条達の声援に帆風は更に力を込める、そして徐々に病理の両手を押し返し病理はどこにそんな力があるのだと目を見開く

 

「……行け潤子ちゃん」

 

「………はい!」

 

垣根の言葉に帆風は強く頷く…それを見て病理は気づいた…自分の両手に亀裂が入りボロボロと砂の様に崩れ始めたのを

 

「!?な、何故!?私の反転物質で構成された肉体が…!?」

 

何故自分の肉体が崩れるのかと驚く病理だが段々と身体の崩壊は広がり始め全身に亀裂が入り崩壊を始める…帆風の一撃を身体の方が耐えきれなかったのだ

 

「貴方の敗因はただ一つ」

 

「!?」

 

「わたくし達の絆を軽んじていた事、それだけですわ」

 

その言葉と最後に病理の両手は帆風の拳に砕かれ彼女の胸に槍の拳が突き刺さる。そして胸を貫通し病理の背中から拳が突き出る

 

「ま、さか……この私が…」

 

病理は何か喋っていたが直後に槍から放出されたエネルギーが病理を飲み込んでいき彼女の肉体は完全に崩壊。身体の細胞の一つ一つまでが反転物質で出来た肉体を完全に消滅させ彼女の肉体をこの世から抹消した

 

「……やりましたか?」

 

帆風はそう言うと身体がフラフラし始め地面に倒れそうになる、それを垣根が優しく抱き抱えて彼女を支える

 

「……やったな潤子ちゃん」

 

「………はい」

 

そういって優しく微笑む垣根に帆風は嬉しそうな顔で微笑みを返した

 

 

 

 

 

 

 




今までのボスキャラとは違い病理さんは派手な魔術とか技は一切使いません。格闘戦が目立つ様に書きました。てかこの作品の病理さん強すぎ…こんなんチートやチーターや

天使崇拝と呼んでアストラルバディと読む…能力は見た通りガブリエル達天使をその身に降ろしその天使の力を扱う能力です。アレイスター曰く超能力と魔術が混ざり合った能力です。因みにこの小説には幽霊ちゃんは出てきません…作者の好きなキャラの一人なんですがね。因みに縦ロールちゃんが宙に浮いていたのはガブリエルが実は翼がないかもしれないと言う逸話から、ガブリエルは翼がなくとも飛べる天使だからガブリエルの力を降ろしていた縦ロールちゃんは宙に浮いていた、ていう設定です

作者は主人公とヒロインが協力して戦う作品が好きでして、例えば双星の陰陽師の紅緒さんとろくろ君とかロクでなし魔術講師とアカシックレコードのシスティーナちゃんとグレン先生みたいな主人公とヒロインが大好きです、つまり作者の完全な趣味です、ごめんなさい。因みに縦ロールちゃんとていとくんの戦い方は文豪ストレイドックスの芥川先輩と敦君の新双黒のコンビネーションを参考にしました

次回もお楽しみに!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。