カプ厨がていとくんに憑依転生しました   作:暗愚魯鈍

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今回で天使崇拝編は終わりです、次回からはギャグ編二本を投稿したあと新章に突入します。ギャグの内容はインデックスとステイルが学校に行く話とスネーク過去編(ミサカネットワークネタあり)の二作でお送りします。なお今回は少し短めです



忘れられてますよ上条さん達!

窓のないビルのとある場所にて、エイワスと激戦を繰り広げていた脳幹、オティヌス、メイザースは第十学区から放たれていた悪意の気配が消失した事に気付き戦いを止める

 

「これは……」

 

「盟友が病理という奴を倒した様だな」

 

「……我々の手出しは無用だったか」

 

脳幹達は垣根が病理を倒したのだと気付き安堵の笑みを浮かべる。そしてエイワスも無表情なその顔に薄い笑みを浮かべる

 

「やはり私の目に狂いはなかった。帆風潤子、君は垣根帝督のヒロインに相応しい」

 

エイワスはそう帆風へ賞賛を込めた言葉を呟く、それを聞いていたオティヌスはエイワスを睨みつけ口を開く

 

「…お前が盟友以外に興味を持つとはな」

 

「心外だな、私の一番のお気に入りが垣根帝督というだけだ…最も垣根帝督以外で最も興味が湧いているのは帆風潤子ぐらいだがね。後はおまけみたいなものだ」

 

オティヌスはエイワスが垣根だけでなく帆風に興味を持っているのかと目を細めエイワスは無表情な顔を少し緩める

 

「だがそれも仕方ないと言えよう、何せ垣根帝督は特別だ…何せこの世界とは違う魂を持っているのだから」

 

「……それは盟友がこの世界とは違う世界から来た……えっと…あれだ、あれ」

 

転生者(・・・)、という奴かね」

 

「そうそれだ」

 

オティヌスが何か言おうとするが何というのかど忘れして頭を軽く抱える…脳幹が助け舟を出すと指を鳴らしてエイワスを見据える

 

「つまり…お前は垣根が元いた世界に興味があるのか?」

 

「まさか、私はただ見てみたいのだけだ。垣根帝督がこの世界にどんな影響をもたらすのかをね。そして彼の影響を一番強く受けている帆風潤子にも興味がある」

 

メイザースが垣根が元いた世界に興味があるのかと問いかけるとエイワスは首を振る、エイワスにとって垣根がいた低レベルな世界には興味など一ミリも湧かない。エイワスにとって垣根と帆風しか興味がないのだから

 

「やはり彼を観察していると飽きないな、彼自身の成長も凄まじいが彼の影響で周りも私の予想の範疇を超える成長を遂げる…上条当麻も私が考えていたよりも大きく変わった。残りの超能力者も時期に化けるだろう…これが彼のヒーローとしての性質だな」

 

エイワスは垣根の周囲の人間や彼と関わった人間が良いように変わっていくのは彼の性質(ヒーロー)と称し僅かに笑う

 

「……ヒーローは数多くいる、上条当麻や一方通行、御坂美琴等もその類だ…だが君は垣根帝督と帆風潤子しか興味がないんだろう」

 

「その通りだよ木原脳幹、私はこの二人しか今の所興味はない。コロンゾン(便所ブラシ)は理想送りを手に入れてご満悦の様だが…私はそんなものに興味の一欠片も湧かないね」

 

運命を受け入れず、悲惨の運命を覆そうとす(垣根帝督)る者とヒーローに救われ、憧れに追いつこうと努力(帆風潤子)する者…この二人しかエイワスは今のところ興味がない。他のヒーローには少しくらいの興味はあるが二人に比べるとミジンコ程でしかないのだろう

 

「では私はこれで消えるとしよう」

 

エイワスはそれだけ言うと三人の前から消えていく…まるで最初からいなかった様にエイワスは消えてしまった

 

 

 

帆風は暫くの間心地好さそうに垣根に抱き抱えられたままでいたが恥ずかしくなったのか顔を赤らめる

 

「か、垣根さん…そろそろ離しても大丈夫です」

 

「ん?そうか」

 

垣根にそう言ったものの名残惜しそうな顔をしていたがそれをなんとか抑え垣根から離れる…そして帆風は先程病理が立っていた場所を見る

 

「……本当に倒したんでしょうか?」

 

「……多分な、流石のあいつでも死んだだろ」

 

二人はあれだけの一撃を喰らえば流石の病理でも生きていないと呟く、現にあの一撃を喰らい身体の細胞すら一つ残らず消滅したのだ。生きている筈がないと二人が安堵する…しかしその直後

 

「いやぁ〜驚きました。まさか死んじゃうとは思いませんでしたよ」

 

「「!?」」

 

垣根と帆風は背後を急いて振り返る、そこに立っていたのは五体満足の病理だった

 

「な…!?」

 

「あ、その顔は「なんで生きてるんだ!?」て顔ですね?大丈夫ですよ、さっき私死にましたから(・・・・・・・)

 

驚く垣根に病理は軽く笑いながら自分は先程死んだと笑う。だが彼女は生きている、これは一体どう言う事なのかと二人は疑問に思う

 

「分かりませんか?私の身体は反転物質で出来てるんですよ?人体改造が出来る病理さんにとって予備の肉体を複製するなんて容易い事なのです」

 

「…未元物質…いや、反転物質で肉体を作っていたのか」

 

病理は反転物質で予備の肉体を作っていたと笑う、そう加群の勝利の剣で焼き尽くされた時も同様にあの時加群と戦っていた木原病理という個体(・・)は死んだが別の個体が加群を背中から刺した、そしてその個体と垣根達は戦っていたのだと二人は気づく

 

「私の精神や魂は既に反転物質と融合しています…つまり私自身が反転物質であり、反転物質が私である…全ての反転物質を消滅させない限り私は死にませんよ」

 

(つまり…原作の黒垣根状態て事かよ…)

 

病理を完全に殺すには反転物質をこの世から消滅させなければならない、それは原作における黒垣根の様な状態だ。これは流石の垣根と帆風でも厳しいだろう

 

「更に反逆者が生まれない様に複製した個体に私の精神を各個体に分割してるんです。クッキーを二つに割っても味は変わらないじゃないですか。それと同じで分割しても私なのは変わらないて事です」

 

それに原作の白垣根の様に反逆者を生まない為にちゃんと策を講じてある。垣根と帆風は冷や汗をかく…そんな二人の心中を察したかの様に病理はクスッと笑う

 

「そんなに身構えなくても大丈夫ですよ、今回は私の負けて事にして素直に撤退してあげます」

 

「……は?」

 

「え……?」

 

その一言で垣根と帆風は唖然とした顔になる、病理は二人に背を向けて瓦礫に埋もれていた車椅子を掘り起こす。そして車椅子に座ると二人に笑みを浮かべる

 

「…どういう事だ?」

 

「そのままの意味です、今回は私の負けて事で『諦め』る事にしたんです。だから今日は帰らせてもらいます」

 

「……舐めてやがるな、俺達が素直に見逃すとでも思ってんのか?」

 

「そちらこそ、もう帝督ちゃんも潤子ちゃんも立ったいるのがやっとでしょう?帝督ちゃんは体晶の影響で、潤子ちゃんは慣れない能力を使って身体が限界の筈です」

 

病理は二人がもう体力の限界なのだと見透かすと、二人は内心を当てられて二人がビクッとなるが病理は口元に手を当てる

 

「私の目的は帝督ちゃんを絶対能力者にしSYSTEMへと到達させる事、ならここで殺しちゃ意味ないですからねー」

 

彼女の目的は垣根をSYSTEMへと到達させる事、だから殺す理由がないと言われ二人は本当なのかと疑う

 

「……信じきれねえな」

 

「あらら、病理さん信用力はゼロですか…ま、全力の私を倒したご褒美だと思ってください」

 

病理はそう言ってクルリと車椅子を動かし垣根と帆風から背を向ける、垣根は攻撃するか悩んだが体晶を使った後でもう体力がない上に病理を殺しても他の個体の病理が現れる可能性もあるので下手な動きはできない

 

「そんなに警戒されると傷つきますねー、安心してください。今日の所は何もしませんよ…今日の所は(・・・・・)……ね?」

 

「……つまりまたこんな事をしに来るという事ですか?」

 

「まあそうですね、はい。病理さんはこれしきで『諦め』たりしないんです。研究者として二人の能力の事を隅々まで調べてあげますよ」

 

帆風がまた来る気かと軽く睨みながら言うと病理はその通りだと呟く、彼女にとって垣根と帆風は大事な研究対象だ。自分の知識欲を埋めるのにこんなに興味が唆られるのはそうそうないと笑い、そう簡単には『諦め』たりしないと彼女は舌舐めずりする。それを見てビクッとなる帆風だが彼女の肩を垣根の手が掴む

 

「来るなら来やがれ、俺と潤子ちゃんでまた返り討ちにしてやる」

 

「………いいですねぇ、実にいい…楽しみにしていてくださいね」

 

垣根が自分達でまた返り討ちにしてやると鋭い目で言うと、病理は黒い笑みを浮かべる

 

「ではまた会いましょう、帝督ちゃん、潤子ちゃん。次がいつかは分かりませんが…私の見立てではまた会う日はそう遠くはないでしょう」

 

病理はそう言って不気味な笑みを見せるとそのまま車椅子を動かしてこの場からゆっくりと立ち去っていく…緊張の糸が切れたのか二人は地面に崩れ落ちる

 

「……チッ、見逃されたて訳か」

 

「ですね……」

 

二人は暫く病理が立ち去っていった場所を眺めていた、仇に見逃されるなど垣根にとって屈辱以外の何者でもないが以前の様に激しい憎悪に駆られる事はない

 

(……潤子ちゃんのお陰かもな)

 

「?わたくしの顔に何か付いてますか?」

 

「……いや何も」

 

垣根は帆風を眺めていたが帆風に何故見ているのかと聞かれるとふいと顔を逸らす

 

「……こんな所にいつまでもいるわけには行かねえし…帰るか」

 

「そうですね……あ」

 

「?どうかしたか?」

 

「いや…あはは…能力の使い過ぎか緊張感がなくなったからなのか分かりませんが立ち上がれないんです」

 

帆風はバツが悪そうにそう言って笑う、垣根は恐らく両方ともだろうと推測する。慣れない能力の使い過ぎに加えあれだけの殺気を放つ敵との死闘、それに病理に与えられた傷…逆に足腰が立たなくなるくらいで済んだのが奇跡だと言っても過言ではない

 

「……しょうがねえな」

 

「え?きゃ!?」

 

垣根は頭をかきながら帆風を抱き抱え両手で支える…俗に言うお姫様抱っこをされて帆風が顔を赤らめるが垣根はそれに気づいているが気づいていないフリをしてそのまま歩き出す

 

「あ、あの…流石にこれは……」

 

「え?恥ずかしい?」

 

「は、はい……て、絶対気づいててやってますよね!」

 

「そうですが何か」

 

帆風が絶対に自分の表情を見て楽しんでいるなと叫ぶと垣根は悪びれる事なく即答し帆風が頬を膨らませながら顔を更に赤くする

 

「さ、最低です!動けないわたくしを弄んで!垣根さんのド変態!鬼畜!ドS!イケメルヘン!」

 

「最後のは褒め言葉だぞ、それにお姫様抱っこの原型は古代のローマで娘を酔わせて動けなくさせて拉致したていう略奪婚から来てるんだ。これが本来の正しいお姫様だっこて事さ」

 

「その知識このタイミングで言いますか!?」

 

「俺には常識は通用しねえんだよ」

 

わーわー、ギャーギャー叫ぶ帆風にそんな彼女を見て楽しそうに笑う垣根。先程までの激闘が嘘の様な雰囲気だ

 

「なら責めてお姫様抱っこはやめておんぶにしてください!」

 

「逆になんでおんぶならいいんだよ…」

 

帆風の要望で垣根は帆風を背中に担ぐ、帆風の独特の感覚に垣根は不思議に思うが特に何も言わず歩き始める

 

「お、重くないですか?」

 

「いや全然重いよ?太ってるとは言わないけど中学三年の女子の平均体重て50キロくらいあるんだからさ」

 

「〜〜ッ!そこは嘘でも軽いて言うべきです!」

 

「こら殴るな、地面に叩き落すぞ」

 

「それが怪我人と女子にやる所業ですか!?」

 

「俺にはその常識は通用しねえ」

 

垣根と帆風はお互いに喋り合っていたがふと垣根が黙り込み真剣な顔になって背中の帆風に問いかける

 

「……なあ、本当に俺は当麻達と同じ世界にいていいのか?」

 

「……何度も言わせないでくださいよ、垣根さんはわたくし達と一緒にいていいんです」

 

「……本当に?」

 

「ええ、本当です」

 

垣根が再度自分は帆風達と一緒にいていいのかと問いかけると帆風は笑って答える。それを聞いた垣根はクスリと笑う

 

「そうか、ありがとな縦ロールちゃん(・・・・・・・)

 

「…………」

 

「え、何で肘打ちするの。ちょやめて痛いて」

 

帆風は垣根が自分の事を潤子ちゃんから縦ロールちゃんに戻ったのに気づくと無言で垣根の背中に肘打ちを喰らわす

 

「ふん」

 

「……女の子てメンドくさい」

 

そっぽを向いて"私怒ってます"オーラを出している帆風に垣根は溜息を吐く、乙女の扱い方は面倒だとつくづく思う

 

「……ま、さっさと病院行って怪我の手当てをしに行くか潤子ちゃん(・・・・・)

 

「!……はい!」

 

垣根が帆風の名前を言うと帆風は一瞬驚き花笑みを浮かべる、それを見て垣根も微笑み返す…帆風はムギュとしっかりと垣根の身体に抱きつく

 

(……垣根さんの背中て凄い落ち着きますね)

 

暫し帆風は夢見心地で垣根の背中に抱きついていた、その安心感に帆風は頬を緩ませこのまま時が止まったらいいのにと考えていたその直後

 

「お〜い!ていとく!じゅんこ!」

 

「!?い、インデックスちゃん!?」

 

遠くからインデックス達の声が聞こえ、帆風ははっとして垣根に抱きつくのをやめるとインデックスの声が聞こえた方を振り向く

 

「無事だったんだねていとく…て、なんでじゅんこをおんぶしてるの?」

 

「怪我をしてるじゃないか!早く病院に行った方がいい!そして何故帆風潤子をおんぶしているんだい?」

 

「私が応急ですが回復魔術をしましょうか?そして何故おんぶなのです?」

 

「いえわたくしが空間移動でお二人を病院へ連れて行きますの…で、何故帆風先輩は垣根さんにおんぶされているんですの?」

 

「兄さん…普通はお姫様抱っこなんじゃ…」

 

インデックス達は垣根と帆風の心配をするが五人は何故おんぶなのかとツッコむ

 

「まあ無事で安心したんだよ」

 

「……心配かけたな」

 

「!?垣根帝督が素直に謝っただと…明日は隕石でも降るのか?」

 

「いえ大地震で学園都市が滅びるのかもしれません」

 

「お前ら俺をなんだと思ってやがる」

 

素直に謝った垣根にステイルと風斬が明日は人類滅びの日かと呟き、垣根は自分をなんだと思っているのかとイラっとくる

 

「……やったか帆風潤子」

 

「あ、加群さん」

 

帆風に声をかけたのはフラフラとした足取りでこちらに向かって歩いてくる加群、彼は垣根を一瞥した後口元を歪め笑みを作る

 

「……君が垣根の闇を抱きしめた様だな。感謝する」

 

「いえ、貴方が激励してくれたからです。こちらこそ感謝してますわ」

 

垣根達は何の話をしているのかさっぱりだが笑みを浮かべる二人につられ彼らも笑みを作る。黒子と風斬が加群の両肩を支え病院まで連れて行こうとする

 

「では先にこの殿方を病院に連れて行きますの…リアルゲコ太先生…あ、冥土帰し先生でしたわね…そこに連れて行きますので少々お待ちを」

 

「分かったんだよ、次はていとくとじゅんこを頼むんだよ」

 

「了解ですの」

 

黒子は風斬と共に加群を連れてこの場から消える、それを確認したインデックスは二人がいなくなった事を確認すると垣根にジト目を向ける

 

「全く…君達は本当に厄介事に絡まれるんだね…とうまじゃないけど不幸というか…そういう星の下で生まれたのかな?」

 

「ははは…そう言われるとそうかもしれませんね」

 

「笑い事じゃないだろう、全く…君達といると退屈しないよ本当に」

 

「全くです…取り敢えず無事でよかったです。まだ貴方達には恩を返しきれたと思っていませんからね」

 

インデックスの言葉に笑って返す帆風を見て三人は溜息をを吐く

 

「さて、ていとくとじゅんこに対するお説教は病院でするとして今はていとくとじゅんこが無事な事を神に感謝するんだよ」

 

「え?俺説教されるの?」

 

「何でわたくしも?」

 

「心配かけたんだから当たり前かも…全く二人は………」

 

インデックスは病院で説教な、と言うと二人はえぇ…といった顔をする。そして加群を病院において来たのか黒子が空間移動で現れる

 

「お帰りくろこ…あれひょうかは?」

 

「風斬さんはあの殿方の付き添いで残りましたの」

 

「そうかい、なら次はこの二人を病院に送り届けてくれ。僕らは後から向かう」

 

「分かりましたの」

 

黒子は両手で帆風と垣根の肩に触れると空間移動で二人を連れて消える、インデックス達は早く第七学区の病院へ向かおうとするが何か忘れている気がした

 

(何か忘れてる気がするんだよ……でも忘れるくらいならどうでも良い事だよね)

 

だがインデックスはどうせどうでもいい事だと割り切って神裂とステイルと共に第七学区の病院へと向かう…その忘れていた事が凄く大事な、それも当初の目的であるのに気づかずに……

 

 

 

「……帆風潤子の成長は順調の様だな」

 

アレイスターは一人そう呟く、アレイスターの周囲には滞空回線から送られてきたデータが浮かんでおりそれをアレイスターは眺めていた

 

「これで私の計画(プラン)は漸く動き出す、これは垣根帝督だけの物語(ストーリー)ではなく彼と彼女、二人の物語なのだからな」

 

アレイスターはそう呟きながら鼻歌を歌う様な軽さで片手で 衝撃の杖(ブラスティングロッド)をペン回しの様に回す

 

「さて、上条当麻も竜王の顎を自分の意思で出せる程までに成長し帆風潤子も私の計画通りに天使崇拝を得た…一方通行に麦野沈利、御坂美琴、食蜂操祈の()の発現はまだ無理だろうな…なら次は削板軍覇かもしれないな」

 

アレイスターは衝撃の杖を回すのをやめ左手で杖を掴む、杖で床を叩きながら次は削板の番かと無数のデータを確認する…

 

「だが焦る事はない、まだ物語は始まったばかりだ…長い目で見るとしよう」

 

アレイスターはそう言うと全ての画面を消す、そしてアレイスターは衝撃の杖をくるりと回すといつの間にか衝撃の杖は消えていた

 

「さあ、これからが本当の物語の幕開けだ。古き時代(オシリスの時代)は幕を閉じ新たなる時代(ホルスの時代)の幕が上がる…そしてホルスの時代の先駆けとなるのは科学の天使たる君達だ、垣根帝督、帆風潤子」

 

アレイスターは両手を広げながらそう告げる、古きルールに縛られるのももう終わりだ。これからは新しいルールで行かせてもらうとアレイスターは笑う

 

「さあ待っているがいい魔神共、そしてコロンゾンにエイワスよ。私の天使達が貴様らの幻想をぶち殺す日はそう遠くないぞ」

 

 

 

第十学区、病理との激戦からもう何時間も経過しすっかり夜になっていた

 

「……なあ美琴さんや」

 

「なんだい先輩や」

 

上条が美琴に話しかけ美琴が項垂れながら上条の方を向く

 

「……垣根と帆風ちゃんは勝ったんだよな?」

 

「……ええそうね」

 

「そっか、勝ったんだな。なら良かった!あははは!」

 

小声でボソッと美琴が呟くと上条は大笑いする、一方通行達もそれを近くで聞いているが何のリアクションも起こさない。そして上条は笑い終わった後大声で叫ぶ

 

「なら今の状況は何!?なんで倒したのに俺達はまだ磔にされたままなの!?虐め!?新手の虐めなのか!?」

 

そう上条達は病理を倒したと言うのに誰も助けてくれず何時間も縛られていたのだ、恐らく垣根達の頭からは上条達の事は完全に忘れ去られている

 

「……腹減ったなァ」

 

「あ、すまんオナラが出た!」

 

「…鮭…鮭…鮭……鮭えええぇぇぇぇ!」

 

「お花畑に行かせてぇ…もう漏れちゃうからぁ……いっそ漏らしちゃおうかしら」

 

「頑張りなさい操祈…私だって限界なんだから……あ、でも先輩の前でやればそういうプレイて事に……あれ?急に漏らしても良くなった気がする」

 

「負けんな美琴、それは悪魔の囁きだ…あぁ、今日は夏休み最後の日だってのになんでこんな目に?……もう言って良いよな?不幸だー……」

 

先程からグーグー腹が鳴っている一方通行にハイライトオフで鮭としか言っていない麦野、トイレに行きたい美琴と食蜂とそれを宥める上条…相変わらず彼らは不幸だった

 

 

 

病理は無事に学園都市から抜け出し学園都市から遠く離れた山の中を車椅子で進んでいた、そしてふと車椅子の動きを止め背後を振り向く

 

「隠れてないで出てきたらどうです?」

 

そう病理が呟くと森の中から複数の女子が現れる…全員にこれといった共通点はなく、年は十代が一番多くぶかぶかの白衣を着た長い黒髪の少女や長い黒髪を二つ縛りにし頭部の左右に巨大な華をつけた丸眼鏡の少女、一昔前の様な巫女服を着たザクザクとロングヘアの茶髪を適当に切った少女…と、全員が個性の塊だった…逆にその集団の中で唯一の異性である男子は茶髪に171cmと彼女らと比べると"普通の高校生"の様な少年に見えた…ただし彼の右手(・・)は普通ではないが

 

「ご苦労様病理さん、お陰でぼくらの一番の障害である垣根帝督の手の内は全て把握した。これで彼を倒せるだろう」

 

「…全く病理さんをそんな事に使うなんて…イギリス清教(・・・・・・)てのは贅沢な組織ですね、そうは思いませんか理想送り(・・・・)

 

病理はその少年の事を理想送りと呼んだ、そう彼こそが上条当麻と同質にして対極の右手 理想送り(ワールドリジェクター)を持つ男…彼は理想送りと呼んだ病理に目を細めながら口を開く

 

「その名で呼ばないでくれ、ぼくはどこにでもいる平凡な高校生なんだ。こんな右手の力はぼくは必要としていない」

 

「それは失礼…しかし貴方のその右手は中々興味が唆りますね…第二位の幻想殺しとは似て非なるものにして科学では説明できない能力…本当にその力興味深いですね…その右手を切り落として解剖してみたいです」

 

病理は彼の右手をしげしげと眺める、病理は現状垣根と帆風しか興味がないが彼女は科学者だ、そこに謎があるなら興味が湧いてしまう…そこでうっかり切り落としてみたいと口にすると周りの少女達から殺気が漏れる

 

「おっと失礼、冗談ですよ冗談。そんな事するわけないじゃないですかー」

 

「……あんまりこの子達を刺激しないでくれ、君達もそう怒るな」

 

病理が冗談冗談と言うが彼女達は殺気を孕んだ視線を向けたままだ、だが少年が宥めると一瞬で殺意を消す。それを確認した少年は病理に話しかける

 

「だがまだ不確定要素はある、ぼくの対となる右手…幻想殺しを持つ男上条当麻…それが個人的には気がかりだ」

 

「あ…第二位ですか。確かにあの子の能力も侮れないんですよねー、病理さん的には帝督ちゃんと潤子ちゃん程には興味は湧かないんですが」

 

彼は自分の対になる能力 幻想殺しを持つ上条が気になると呟くと病理が確かに侮れない力だとこぼす…だが周りの少女達は二人とは対照的に余裕の笑みを浮かべる

 

「上条当麻てあれだろ?大将の対になる奴だろ?ま、大した奴じゃねえだろ」

 

「そうどすなぁ、上里はんと比べたら弱っちいんでしょうなぁ」

 

白衣の少女と巫女服の少女が上条の名前を呟いてクスクスと笑う、彼等は少年の対と言われる上条の事を理想送りの下位互換と思っており小馬鹿にしているのだろう…他の少女達もクスクスと笑う

 

「おや、そんな馬鹿にしてていいんですか?第二位は勿論第三位以下も強いですよ?」

 

「あ〜大丈夫大丈夫、何せ大将がいるからな。大将の右手の力の前じゃあ超能力者なんて雑魚だよ雑魚」

 

「ほないどすなぁ〜、超電磁砲やら一方通行だか知りませんがどうせ上里はんに触れられたらお終いどすえ」

 

「そうですね。その幻想殺しだって上里君と比べたら大した事ないです」

 

病理は超能力者を過小評価していいのかと尋ねるが少女達は評価を変える気は無い。何せ彼女達にとっては超能力者達など雑魚当然なのだから…ただし自分達ではなく上里という少年と戦った場合の話だが

 

「敵を甘く見ない方がいい獲冴(エルザ)絵恋(えれん)。彼等の戦闘能力は決して侮れない」

 

「大将はお堅いねえ……ま、そういうところ嫌いじゃないけど」

 

少年は巫女服の少女を獲冴と呼ぶとその少女達は叱られたと思ったのかショボンとする、周りの少女も黙り込むが彼はそれを気にしない

 

「で、次は何するんだ大将?全員で学園都市を攻撃して魔神の…えっと…オティヌス?だっけ?そいつを殺してそいつを匿ってた学園都市の奴らも殺すのか?」

 

「いやまだ早い、学園都市の実力は未知数だ。それに先に手に入れておきたい物がある」

 

巫女服の少女が次は何をすると尋ねると少年は学園都市のとある建物を見つめる…それは天空にまで届く巨大な建築物だった

 

「『奇跡』を起こす少女 鳴護アリサ(・・・・・)を確保する、それがローラさんから送られてきた指示だ」

 

「なんだ、人攫いかよ……楽な仕事だな」

 

「まあまあ…ええんとちゃいますか」

 

少女達は笑う、今回も簡単な仕事だなと内心で笑っていた。だが少年は笑わない、憎むべき敵の一人が学園都市にいるのだから

 

「待っていろ魔神オティヌス、そして魔神を匿う魔術師 アレイスター=クロウリーに垣根帝督。君達はぼくがこの世から抹消させてやる」

 

確固たる意志を持って少年はそう言い放つ、そしてその少年の元に銀髪に紫の眼の古代ローマ市民が来ていた服であるトーガを着こなした少女が近づいてくる

 

「なら上里様、超能力者…ひいては垣根帝督の相手は私がやりましょう」

 

「……いいのか宛那(アテナ)?」

 

「ええ、私は上里様の剣ですから…この蛇神宛那(へびかみアテナ)が超能力者達の首を献上して見せましょう」

 

「……分かった、なら君に任せるよ」

 

その少女…宛那は狂気の笑みを浮かべる、ホーホーと遠くで梟の鳴き声が聞こえた…まるでこれから起こる災厄を告げているかの様に

 

 

 

「ふんふんふふんふんふんふーん♪」

 

鼻歌を歌いながらローラ=スチュワート…いなコロンゾンはロンドンにあるランベス宮のバスルームにてジェット水流マッサージ風呂に修道服のスカートを両手でめくり風呂の縁に腰をかけながら浴槽に足だけを突っ込んでいた

 

「アレイスターめ…神の代理(メタトロン)神の王国(サンダルフォン)を引っ張り出すとはな…あの神の如き者(ミカエル)すら上回る程の力を持つ二大天使を科学の天使にするとは…不遜極まりないな」

 

コロンゾンは足湯の心地よさを感じながらも学園都市から感じた天使の気配に気づいていた。あれは生命の樹(セフィロト)の天使と同じ気配だと感じる。コロンゾンは生命の樹の深淵に潜む大悪魔、その天使達の気配を間違える事はなく学園都市がある方向へと目を向ける

 

「……まあいい、神の代理や神の王国では私を止められまい。精々必死に足掻くといい…それが無駄だと気づくその日までな」

 

コロンゾンは余裕の笑みを崩さない、それは絶大たる自分が負ける事はないと言う慢心なのか余裕な態度をわざと取っているのか…それは誰にも分からない

 

「さあ、理想送り(ワールドリジェクター)が動き出したぞ。どうする人間」

 

 

 

 

 

 

 




ついに理想送りが動き出す…そして案の定生きていた病理さん…アンタは切断王子の宿敵の某異次元人か。病理さんと上里君は暫くの間の敵キャラになるのでそう簡単にはフェードアウトしません。そして次の章はエンデュミオンの奇跡編です。この前の様にあらすじをお伝えします

「私はアリサ、鳴護アリサ。よろしくね」
『奇跡の少女』学園都市の無能力者ーーーー鳴護アリサ

「……歯を食いしばれよこの根性なしが」
『世界最大の原石』ナンバーセブンーーーー削板軍覇

「新たな天地を望むか?」
『理想送り』幻想殺しの対になる右手を持つ者ーーーー上里翔流

「私の全ては上里様の為に!」
『ギリシャ系の魔術師』上里勢力からの尖兵ーーーー蛇神宛那

垣根達が街中で出会ったのは歌を歌うのが大好きな少女、その少女に一目惚れした削板…そして突然襲いかかってきたイギリス清教の魔術師三人組、そして上里勢力と名乗る謎の集団も暗躍し……

こんな感じで削板君をメインにしてエンデュミオン編を書きたいと思っています、因みに宛那はオリキャラでなく原作で名前だけ出て来たキャラに苗字をつけてオリジナルの術式を使うキャラにしただけです。でもまずはインデックスとステイルの話とその後追憶のスネーク編を書きたいと思ってますので少々お待ちを…それから現実の都合上遅れる可能性もあるので……

次回もお楽しみに

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