カプ厨がていとくんに憑依転生しました   作:暗愚魯鈍

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漸くテストが終わりました…そしてお気に入り数を見たら何故か増えてた……何故に?まさかこれは魔術師の仕業!?おのれ魔術師!もしくはこれもアリサちゃんの奇跡のお陰?ともあれお気に入りしてくれた方々には感謝です…もう40話だしそろそろ章管理した方がいいかな?

さて今回は急展開ですね、何せテスト終わりで急いで書き上げましたから……てかエンデュミオンで上里君が出てきたのはここぐらいなんじゃ…さて今回は削板君の過去(捏造)やレディリーさんがアリサちゃんに会った日を書きました



みんなが宇宙(に歌を聴きに)キター!

レディリーはオービット・ポータル社の社長室にて音楽を聴きながら書類を書き上げていた…その曲はアリサが歌っている曲だ。曲名は「グローリア」

 

「……もう三年…早いものね、あの子もすっかり大きくなって…明日にはエンデュミオンの歌姫としてデビュー…感慨深いものね」

 

レディリーは机に飾ってある写真を見ながらそう呟く、その写真にはシャットアウラ、ディダロス、その二人の真ん中にいるアリサ、照れ臭そうな笑みを浮かべているレディリーの姿が映っていた

 

「……だからこそ、明日のライブは誰にも邪魔させないわ」

 

レディリーはそう確固たる意志を持ってそう呟くと引き出しからフリントロック式の銃を取り出す、上里が昨日アリサを誘拐しようとした事はオティヌスから聞いていた…だが彼女は明日のライブを中止にさせるわけにはいかなかった

 

「アリサは明日を楽しみにしてる、それを邪魔させる訳には行かないのよ…この命をかけてでもライブは成功させてみせるわ。それが私の罪滅ぼし」

 

レディリーはそう呟くと椅子から立ち上がり部屋から出て行く、そして彼女は三年前の出来事を思い出す

 

 

『お姉さんは誰?』

 

『……レディリー、レディリー=ダンクルロードよ』

 

孤児院で彼女とアリサは出会った、レディリーは元々八百年前から生き続ける予言巫女(シビル)だった、十字軍の遠征の際に傷ついた兵士から「アンブロシア」と言う果実を食べた事により不老不死となった。彼女は八百年近く自分がどうやったら死ぬか考えていた。オリオン号の墜落事故は彼女の八百年の生の中の自殺の一つに過ぎなかった、結局オリオン号は魔神によって墜落は防がれてしまったがその時たった一人の少女の願いが奇跡の存在を産み落とした…それが鳴護アリサだ

 

『お姉さんは私は会いに来たの?』

 

『……ええ、貴方に会いに来たの……』

 

首を傾げるアリサにレディリーはそっと歩み寄ると彼女を抱き締めた、突然の出来事に困惑するアリサにレディリーは笑いかける

 

『……貴方は私の罪の具現化、そして私が償わなければいけない子…』

 

『?』

 

『ふふ、貴方には何を言ってるのか分からないでしょうね。それでいいの…貴方は分からないままでいいのよ』

 

アリサはレディリーの言っている事が分からなかった、レディリーはそんなアリサに微笑むと彼女から腕を離す

 

『また会いに来るわ』

 

レディリーはそう一言言うとアリサから踵を返してその場から立ち去る…それをアリサはずっと眺めていた…レディリーが孤児院の門を出てそのまま門の前に止めていた黒い車に乗ろうと歩いていたがふと歩みを止めて孤児院を取り囲む壁にもたれかかっている一人の少年に声をかける

 

『よおレディリー、気分はどうだ?』

 

『……分からないわ、何せ八百年も感情を表に出したことがなかったんだもの…あの子に抱いてる感情が罪悪感なのか単なる興味本位なのかすら自分でも分からない…それくらい自分の感情の事すらわからないのよ私ていう存在は』

 

その少年は中学生時代の垣根だった、彼は軽く笑みを浮かべながらレディリーに話しかけレディリーは複雑な表情を浮かべる

 

『それが人間て奴だ、俺だって自分がどう思ってるのか分からなくなる時があるしな…ま、答えはゆっくり考えればいいんじゃねえの?』

 

『……そうね、不老不死ではなくなってしまったけど…私には考える時間は沢山ある』

 

レディリーはそう呟きながら車に乗り孤児院を後にする、垣根は車を見届けた後護持院を一瞥しその場から去って行く

 

『……アリサ、貴方は私が絶対に守ってみせる。それが私に出来る唯一の罪滅ぼしなのだから』

 

彼女はそう言って遠い目で青空を眺める、たった一人の少女を守る。それが八百年の生の中で見つけた自分のやりたい事だった

 

 

 

インデックスとステイル、神裂は馬鹿弟子(メアリエ達)を連れて上条の学生寮の部屋の隣の部屋…土御門の部屋の前にいた

 

「と言う訳でこいつらを連行して来たぞ」

 

「うにゃー、ご苦労様だにゃーステイル。じゃ後はこいつらをブタ箱に入れるだけだぜい」

 

「「「本当に突き出されたぁぁぁ!」」」

 

ステイルが縄で縛り付けた馬鹿弟子を土御門の部屋の玄関に放り出すと土御門はうにゃーと言いながら自分の部屋の奥に連れて行こうとし必死にメアリエ達は抵抗する

 

「「「助けて師匠/ししょー!」」」

 

「……安心しろ、お前達の事は一日くらいは覚えておいてやる」

 

「「「全然安心できない!」」」

 

「まあ安心しな、殺したりはしないからにゃー。そう言えばトールが「誰でもいいから喧嘩してー!」て叫んでたからこいつらを生贄に捧げるかにゃー」

 

メアリエ達は師匠(ステイル)に助けを求めるがステイルは知るかと言わんばかりに無表情だった、土御門は同僚の戦闘狂いの男の娘(トール)にメアリエ達を戦わせようと笑みを浮かべ嫌だと足をジタバタさせるメアリエ達だがステイル達はそれを気に留めない

 

「「「やめて!どうせ酷い事するんでしょ!同人誌みたいに!同人誌みたいに!」」」

 

「人聞きが悪いにゃー、俺は嘘つきだがそんな最低な事はしないぜい」

 

「どうだか……シスコンな君の事だから義妹に手を出してたりするんじゃないか?」

 

「……………………」

 

「……何故無言なのですか土御門」

 

ステイルが義妹(舞夏)に手を出してるんじゃないかと尋ねると土御門は何故か無言になる、神裂が何故無言なのかと問いかけるが土御門は答えない…その反応を見てインデックス達はある答えにたどり着く

 

「……もしかしてもとはる…まいかとヤったの?」

 

「や、ややややヤった?!何の事かわかんないにゃーだぜい!?そ、そもそもこの天才陰陽師の俺が義妹に手を出すとでも!?」

 

「……その動揺の仕方…もしかして本当に義妹に手を…?うわマジか…」

 

「そんな吐瀉物を見る目で俺を見るな!違うからな!本当にそういうのじゃ…」

 

「喋らないでほしいかも」

 

「おおう!?インデックスの目が絶対零度の吹雪みたいに冷たいんだぜい!」

 

ヤったのかとインデックスが聞くと土御門は必死に弁明するがそれが逆に信憑性を増す…インデックス達はブリザードに等しい冷たい目で土御門を見下す様な目を向け土御門はうにゃー!と叫ぶ

 

「……土御門、私達の半径500,000km以内に近寄らないでもらえますか?」

 

「そんなに!?もう俺日本に住めないぜい!」

 

「……気持ち悪」

 

「……幼女趣味とか…死ねばいいのに」

 

「……義妹に手を出す人間のクズですね」

 

「わぉ!ここには土御門さんの味方はいない様だぜい!助けてカミやん!この幻想をぶち殺してくれ!」

 

救われぬ者に救いの手を(Salvere000)という魔法名を持つ神裂ですら土御門に軽蔑の目を向けられメアリエ達から唾を吐かれる土御門…彼はもう泣きたい気分だった。そんな時彼の懐に入れてあった携帯が鳴り出し彼は涙目で携帯を手に取る

 

「誰だ!今土御門さんは心に傷を負ってボロボロなんだぜい!………え?……それは本当か?分かった、すぐ現場に向かう」

 

土御門は段々と真面目な顔になっていき急いで携帯を閉じると何処かへ向かおうとする、そんな彼にインデックスが声をかける

 

「どうしたのもとはる?」

 

「……第二十三学区にある制空権保全管制センターが上里翔流とその仲間達に襲われそこに配備してあった「六枚羽」と「10本脚」ていう兵器が盗み出されたんだぜい」

 

「「「な!?」」」

 

「今グレムリンのメンバー全員が上里勢力の行方を追ってる、俺も出動命令が出されたから悪いが今日はそいつらを引き取れない。別の日を当たってくれ」

 

制空権保全管制センターが上里とその仲間達に襲撃されたと言うとインデックス達が目を見開いて驚く、土御門はそのまま学生寮のエレベーターを使って一階へ降りていく…それをインデックス達は呆然と眺めていた

 

 

 

「ごめんね軍覇くん、お姉ちゃんとお父さんが迷惑かけて」

 

「いや大丈夫だ、アリサの父さんも姉ちゃんもアリサの事が心配だったんだろ。そう思えばいい家族じゃねえか」

 

シャットアウラとディダロスが病院に搬送された後、削板以外の全員はアリサの家を後にしたが削板はアリサの家に上がり込んでいた。彼は応接間にあるソファーに座りながら申し訳なさそうな顔をして謝るアリサに平気だと笑いかける

 

「…うん、お姉ちゃんとお父さんは凄く優しいんだ…記憶喪失の私を養子にして本当の娘みたいに可愛がってくれて…感謝してもしきれないよ」

 

「……いいよな、家族がいるて」

 

アリサはそう言って少し複雑な顔をして笑う、削板はそれを見て少し頬を緩ますと天井を見上げ昔を懐かしむ様に呟く

 

「……実はさ、俺は家族に捨てられたんだよ」

 

「……え?」

 

「……俺の能力は帝督達みたいな開発した人工的な能力じゃなくて自然と発言した天然の異能でな、村の皆に気味悪がられてたな」

 

突然の昔話にアリサが目を丸くする、削板は気にせずポツポツと自分の過去を話し始める

 

 

その少年は異常だった、他の人にはない不思議な力があった。念じれば周囲がカラフルな煙を出して爆発し身体が鋼の様に硬かった…誰が見てもその少年は普通ではなかった

 

『ねえ知ってる?削板さん所の息子さん…屋根から落ちたのに怪我一つもなかったんですて…』

 

『聞いた聞いた、後田中さん所の章ちゃんが投げた石で怪我してもすぐに血が止まったとか…』

 

『それにあのガキ大将があの子を大勢で虐めてた時いきなりあの子の周囲が爆発して大怪我を負ったらしいわよ…』

 

村の皆は当然削板を化け物を見る目で見ていた、人間とは異物を排除する生き物だ、それは幼き日の上条と似ていた…だが上条と異なる点は削板は自分の力を自分を毛嫌いする者にその力を振るい暴力で物事を支配していた事だろう

 

『俺は何も悪いことしてねえのにあいつらは俺を虐める、なら俺も力ずくでやらせてもらう』

 

それが彼の考えだった、自分に石を投げた子供を殴って骨を折った、陰口を言っていた子供を見えない力でぶん殴った、自分を大勢で虐めて来た子供達を爆発で吹き飛ばした、その復讐に来た大人を馬乗りになって顔面を腫れ物だらけにした…そんな事を繰り返し次第に彼に誰も近寄らなくなった。実の家族でさえ彼をいない者扱いしていた

 

『ねえ貴方…何であの子はおかしいの?○○はまともな子なのに…』

 

『……あいつは俺達の子じゃない、化け物だ…俺達の息子は○○だけだ』

 

『でも…○○は学校で虐められているのよ、あの子の弟だからて理由で……○○がこんな目にあうなら…あんな子産まなきゃよかった』

 

『……疲れてるんだ、もう休みなさい』

 

両親でさえも削板を見捨てた、削板はより一層村で大暴れした、その度に弟のいじめも大きくなり家族との溝は深まり村の皆は彼から遠ざかっていく…それを感じる度に削板は癇癪を起こす子供の如く大暴れした

 

『私達は学園都市の研究者です、御宅の息子さん…原石の少年を学園都市に引き取らせてもらえませんか?』

 

『……金さえ払ってくれればあんな奴でよければ持って行ってくれ』

 

削板は学園都市に強制的に連れて行かれた、誰もそれを止めなかった。寧ろ誰もが喜んでいた…削板は思った、自分は何も悪くない、悪いのは自分を認めないこの世の中だと

 

彼は学園都市に来てからも暴れまくった、引き取られた孤児院でも暴れ子供達を傷つけその能力を研究する為無理矢理変な実験をさせようとする研究所の研究員達を半殺しにした…そんな時彼はヒーローに出会った

 

『よお、お前が「世界最大の原石」か』

 

『……誰だよ』

 

『俺は垣根帝督、よろしくな』

 

『……俺の前からすぐに消え失せろ』

 

それが垣根との出会いだった、馴れ馴れしく接する垣根とそんな彼に拳を突き出し見えない力を放出する削板、それを垣根はヘラヘラと笑いながら避ける…それを見た削板は驚いた後苛立った、この技を避けた者はいなかったし笑っているのが気に食わない。削板は垣根の笑みを消す為に彼に拳を振るう、だが垣根は笑いながら削板の拳を避けていく…それを一時間程続け等々削板はバテてしまった…垣根も息切れしてはぁはぁしていたが

 

『…や、やるな…流石世界最大の原石…未来の超能力者な事はあるな…』

 

『……何で俺に構うんだよ』

 

削板は垣根を睨む、何故自分に近寄って来たのかと、それを聞かれ垣根はふと笑う

 

『友達になりたくてやって来た』

 

『……は?』

 

『だから友達になろうぜ!』

 

『……失せろ』

 

笑顔で友達になろうと笑う垣根、それを聞いた削板は驚きそして飽きれ顔になり失せろと一言言うとその場から立ち去った…その日から垣根はちょくちょく削板の前に現れた

 

『なあ、遊ぼうぜ』

 

『お前一人で遊んどけ』

 

何度も何度もやって来る垣根に毎度の如く削板は垣根を攻撃する、それでも懲りない垣根に削板は鬱陶しく感じつつも村では感じた事のない感情を胸の中で感じていた

 

『よお、此間はよくもやってくれたなぁ』

 

『へへへ、仲間をこ〜んなに連れて来てやったぜい』

 

『ぶっ殺してやんよ!』

 

以前削板に喧嘩を売て返り討ちにされたスキルアウトが他のスキルアウトを引き連れ百人程の大人数で削板を襲って来た、彼は無感情に拳を振るおうとする…その時

 

『ちょっと待ったぁぁぁ!!』

 

『『『!だ、誰だ!?』』』

 

何処からか大きな声が聞こえスキルアウト達が何事かと思った瞬間背後から爆発が起こり何十人もスキルアウトが吹き飛ばされる…そこに立っていたのは垣根だった

 

『お前…何でここに?』

 

『て、テメェ何者だ!!?』

 

『俺か?俺はそいつの友達だよ』

 

垣根はそう言った後白い槍を形成しそれをスキルアウト達の横腹に当てて吹き飛ばしていく、更に謎の爆発や見えない力による押さえつけがスキルアウト達を襲いスキルアウト達は成すすべなく蹴散らされていく…削板はその光景を呆然と見ていた…垣根が最後のスキルアウトを倒した時削板は垣根に声をかけた

 

『……何で俺を助けたんだよ』

 

『あ?友達だからに決まってるだろ』

 

その一言が削板の心に深く刺さった、友達…村にいた時はおろか学園都市に来てからも一人も友達が出来た事はなかった彼にとってその言葉は意外な程胸を打たれた

 

『……俺は化け物なんだ、父ちゃんも母ちゃんもそう言ってた…そんな俺が友達なんて…出来る訳ねえ…どうせお前もすぐ俺の事を化け物て言って俺の前から消えるんだろ』

 

『……馬鹿かテメェは?』

 

どうせ垣根もいつか自分の目の前から消える、そう削板が呟くと垣根は呆れた顔をして削板を見る

 

『お前が化け物だぁ?お前は人間だよ、そこら辺にいる奴と同じでな』

 

『!?』

 

『確かに普通の奴が持ってない力がお前にはある…だがそれだけだ(・・・・・)、他は皆と変わらねえ…だからお前は化け物なんかじゃねえよ』

 

垣根のその言葉を削板は一言一句聞き逃さず聞いていた、そして彼は最後にこう言ったのだ

 

『もしお前が皆に化け物て言われても俺はお前の友達でいてやる、だから安心しろ、お前はもう一人じゃねえ』

 

自然と涙が溢れていた、彼は初めて自分を肯定された気がした。削板は嗚咽を漏らしながら自分に手を差し伸べた垣根へと手を伸ばした…それから削板は変わった、弱い者を助け強くなる為に努力を重ねた…自分が憧れたヒーロー(垣根)に近づく為に

 

 

「てな事があってな、今の俺があるのは帝督のお陰なんだ……て、なんで泣いてるんだアリサ?」

 

「うぅ…だって…予想以上に辛い過去で…良かったね、友達が出来て…」

 

自分の過去の話を聞いて啜り泣くアリサに削板は泣くなとハンカチを渡しアリサはそれで涙を拭く

 

「……ごめんね急に泣いちゃって」

 

「いや俺こそ突然昔話してごめんな」

 

「うんん、軍覇くんの過去の話が聞けて私は良かったよ」

 

「そうか」

 

二人は笑いながら会話を続けアリサはふとカレンダーを眺める…九月八日に大きな丸が描かれてありその日はエンデュミオンの公開ライブだ

 

「明日、エンデュミオンで大勢の人の前で歌を歌うんだ…少し緊張してたけど軍覇くんのお陰でその緊張がほぐれたよ。ありがとね」

 

「そ、そうか?俺なんかで緊張を和らげてくれたのか…なんか嬉しいな。あ、俺そろそろ帰るわ」

 

二人は少し顔を赤くしながら語り合う、削板はその空気に耐えられなくなったのか家を出ようとするがアリサが帰ろうとする削板の手を軽く握る、削板はアリサを驚いた目で見る中アリサが口を開いた

 

「もし来れたら私の歌を軍覇くんに聞いてほしいな…ダメ?」

 

「……おう、聞きに行く、絶対にどんな事があっても根性でエンデュミオンのライブに行ってお前の歌を聴くよ」

 

「……ありがとう」

 

削板はライブを絶対に聞きに行くと頷くとアリサはニコッと笑う、それを見てより顔を赤くした削板は急いでアリサの家から逃げるように去っていた

 

「……明日のライブ、頑張らなくちゃ」

 

アリサは胸に手を当てながらそう呟いた

 

 

 

「削板さんをアリサさんの家に一人で置いて来て良かったんですか垣根さん?」

 

「いいんだよ、ヘタレの軍覇には少し大胆なくらいが丁度いい」

 

帆風と垣根は上条達と別れた後、本当に削板をアリサの家に置いて来て良かったのかと垣根に尋ねる帆風

 

「そういうものなのでしょうか?」

 

「そういうもんなんだよ」

 

帆風はそういうものなのかと納得したように頷く、垣根のやり方は少々強引だが結果的にそれが功を成す事が多い、帆風が知る限りでは上条が美琴と食蜂と付き合えたのも誉望が猟虎に告白出来たのも垣根のお陰だった

 

「……明日だよな、エンデュミオンのライブて」

 

「?そうですが何か?」

 

垣根が唐突にエンデュミオンのライブは明日かと尋ねると帆風は首を傾げながらも頷く、垣根は空を見上げ口を開く

 

「……上里の野郎は明日確実に鳴護っちを攫いに来るだろうな」

 

「……!?」

 

上里は明日必ず現れると告げる垣根に帆風は目を見開く、垣根は帆風の方へと振り向かずに空を見上げながら言葉を続ける

 

「上里の理想送りは最強の異能だ、俺の未元物質でも潤子ちゃんの能力でも勝てる確率は……ゼロに等しい」

 

「…………」

 

「だからこそ、二人で上里の野郎を足止めしねえとな」

 

「………え?」

 

帆風は垣根が何を言ったのか理解できなかった、垣根の事だから自分一人で頑張るというと思っていたから一緒に戦おうと言われ帆風は驚いた

 

「……え?何その反応?俺変な事言った?」

 

「いえ…垣根さんの事ですからまた自分一人で戦うのかと」

 

「……潤子ちゃんが言ったんだろ、一人で抱えこむなて…何、俺一人で戦えて事?無理無理、理想送りとか無理ゲーだわ」

 

垣根は帆風が病理との戦いの時に一人で抱えこむなと言ったから一緒に戦おうと言ったのだと言う、それを聞いて帆風は暫し呆然とし…笑った

 

「……はい!一緒にあの上里とかいう方を倒しましょうね!」

 

「いや倒すのは無理だろ…だってあいつの右手は魔神ですら抗えなかったレベルの異能なんだぞ?」

 

「大丈夫です!わたくしと垣根さんなら絶対に勝てますよ!」

 

「……はぁ、その自身がどこから来るのか知りてえよ」

 

帆風が自分達なら上里を倒せると笑い垣根は何を根拠にそんなことが言えるのだとやれやれと首を振りながら笑う

 

 

 

九月八日、エンデュミオンの公開ライブの日がやって来た。エンデュミオンの周囲には人々で溢れ多くの人がエンデュミオンの中に入っていく

 

「おー、凄い人数だにゃーん」

 

「でもよォ、もうエンデュミオンの上では客が集まってンだろ?俺達行けなくね?」

 

「安心しろ、俺の統括理事会の権力で上まで行ける筈だ」

 

「……こういう時にしか権力使わないよなお前て」

 

一方通行は自分達は上には行けないと呟くが垣根は自分の権力でなんとかすると笑う、上条はこいつしょうもない事にしか権力使わねえなと思った

 

「いいじゃないですか、今回は削板さんがアリサさんの歌を聞く為に上に行かなければ行けないんですから」

 

「そうよ先輩、浜面さんとあともう一押しで付き合えそうな麦野さんと打ち止めの貞操を狙ってる一方通行みたいに削板さんは彼女の気配すらいないんだからこの機を逃すと一生彼女ができないかもしれないんだから」

 

「そうよぉ、削板さんは私達の中で一番恋人ができなさそうな人なんだからそれくらいしないと彼女は未来永劫できないわぁ」

 

「……御坂と食蜂は俺をなんだと思ってるんだ?」

 

「「根性馬鹿」」

 

帆風が偶にはいいじゃないかと笑い、美琴と食蜂はこれを逃せばもう恋人が出来るチャンスはないと真顔で酷いことをいい削板は泣きそうになっていた

 

「ま、削板の恋愛事情なんざ知ったこっちゃねェがあいつの歌は聞きてえし早く行くぞ……ァ?」

 

一方通行がふと頭上を見上げる…太陽が照らす雲一つもない空にいくつかの黒い影が見える…それは10個のタイヤに機関銃やミサイルを装備し主砲たる戦車砲の様に細長い砲塔をもつ装輪装甲車が空から落ちて来た。その名もHsWAV-15…通称「10本脚」がエンデュミオンの内部へと続く道に何台も着地し人々は恐怖に駆られる

 

「あれは…!?」

 

「……やっぱり来たか、お前ら構えろアレは上里の野郎が学園都市から盗んだ兵器だ」

 

驚く削板に垣根は上里の仕業だと告げると全員が驚く、10本脚はエンデュミオンの周囲にいる人間達を標的と捉えると機関銃やミサイル、主砲である戦車砲に似た砲塔を動かし周囲一帯を破壊し始める

 

「無差別攻撃か…鳴護っちを捕まえる為になりふり構わねえてか?…ムカつくぜクソが」

 

上里の狙いはアリサ一人の筈だ、なのに何故無関係な人々を狙う?垣根は上里がとった行動が気に入らなかった、上条達も怒りの目を10本脚に…正確に言えばここにいない敵である上里に向ける。そして空から轟音が聞こえ頭上を見上げるとそこには何機ものヘリが飛んでいた…機体の左右に機銃やミサイルなどを搭載するための「羽」を持つ最新鋭の無人攻撃ヘリ HsAFH-11…通称「六枚羽」が空を縦横無尽に駆け機銃から弾丸を発射する

 

「つまんねえ玩具を出しやがって…自分達は遠くから眺めてるだけてか?」

 

「……そうでもないらしいわよぉ麦野さん」

 

麦野は六枚羽が放った摩擦弾頭(フレイムクラッシュ)やSRM21を原子崩しで相殺しつつ空の六枚羽を狙う…だが六枚羽は砂鉄と高圧電流を使った20メートル四方の面を電磁エリアにする対ミサイル兵器によって原子崩しの軌道を逸らす事で攻撃を防ぎ摩擦弾頭を連発し地上の10本脚も機関銃を超能力者達に向けて放つ、人々は兵器群から逃げ惑う…更に垣根の視界に敵の増援が映り込んだ

 

「……どうやら上里は病理とも繋がってたらしいな…いや病理が上里と繋がったて言うべきか?」

 

それは病理の時にも現れたトライデントの連中だ、あの時の様にEqu.DarkMatterを装備している。ただあの時と違うのはその数、エンデュミオン一帯の空を埋め尽くさんばかりの数だ、ざっと1万人近くはいるだろう…しかも全員がEqu.DarkMatterを装備している。もうこれだけの兵力は警備員では止める事は不可能だ、超能力者なら止められるだろうが時間がかかればその隙にアリサを攫われてしまう

 

「……時間はねえな、ここは俺と潤子ちゃんに任せてお前らは鳴護っちを助けに行け」

 

「な…!?これだけの数をたった二人で?!無茶よ!」

 

「それにどうやって行けばいい!きっとエンデュミオンの内部のエレベーターは機能を封じられてる!上に行く方法はねえぞ!」

 

「安心しろ、行く方法ならある。そこにいるんだろツッチー、当麻達をヘリポートまで案内してくれ」

 

「了解だにゃー」

 

ここは自分と帆風に任せろと叫ぶ垣根、だがどうやってアリサがいる場所…宇宙まで行くのかと上条が叫ぶと背後に土御門が現れる

 

「!土御門…!?」

 

「質問は後にしろ、俺はお前らをヘリポートまで連れて行く。ここは先輩に任せておけ、早くしないと鳴護アリサの身が危ない」

 

土御門は説明よりも早くヘリポートに行くぞと言うと有無を言わさず駆け出し始める、上条達は垣根と帆風を見る。二人は早く行けと無言で頷き上条達は決意を固めて二人から離れ土御門の後を追う

 

「いつもの根性で鳴護っち(お姫様)を助けろよ軍覇!」

 

「あとは頼みましたよ!」

 

「………おう!」

 

垣根と帆風はそう言うと10本脚と六枚羽、トライデントの兵士達と交戦を開始する、10本脚がミサイルを放ち垣根は多才能力を発動させ電撃でミサイルを迎撃、座標移動で10本脚のタイヤに物体を転移させ動きを封じる、六枚羽が頭上から摩擦弾頭や弾丸を降り注がすが原子崩しで相殺し六枚羽の機体に命中させ爆発させる、トライデントの兵士達はEqu.DarkMatterから羽を生やし襲いかかるが帆風が彼らの胴体に蹴りや拳を命中させ一撃で仕留めていく

 

「早くここを片付けて女王達の後を追いましょう垣根さん!」

 

「……いやそれは無理かもしれねえな」

 

「え…?」

 

早くケリをつけようと叫ぶ帆風だが垣根が弱気な発言をしそれに驚く…だが何故垣根がそんな事を言ったか帆風は理解した、彼女の視界にある人物が映ったからだ

 

「……上里翔流?」

 

「やあ、また会ったね垣根帝督と……誰だったかなきみは?」

 

その人物は上里、彼は垣根が放った炎を理想送りで消し飛ばすと二人を見据え肩を鳴らそうとするが今回も肩は鳴らなかった

 

「……まあいいか、今からいなくなる奴の名前を覚えてたて無駄だしね」

 

「……お前が鳴護っちを攫いに行ったんじゃねえのか?」

 

「攫うとは人聞きの悪いな、ぼくらは彼女を保護するんだ。魔神が潜む学園都市からね…それに彼女を保護するのはぼくじゃなくて宛那が上手くやるさ」

 

アリサを攫いに行ったのは上里ではなかったのかと垣根が呟くと上里は攫うのではなく保護するの間違いだと告げる、上里は右手を二人に向け牽制するが垣根と帆風は臆する事なく上里へと立ち向かう

 

「「超能力」は未元物質。「魔術」は未元物質、「天使の力」は未元物質、未元物質は「超能力」、未元物質は「魔術」、未元物質は「天使の力」」

 

神の神秘(ラジエル)

 

「新たな天地を望むか?」

 

未元物質と天使崇拝、そして理想送り…三つの強大な能力を持つ者達の戦いが今ここで火蓋を切った

 

 

 

「凄い沢山の人ですわね…でも最前列近くに来れてよかったですね婚后さん、湾内さん」

 

「そうですね泡浮さん…それにしてもよくこんな特等席を取れましたね婚后さん」

 

「まあ、わたくしにかかれば席取りなど容易い事ですわ」

 

エンデュミオンの内部では地上の出来事など全く知らない人々がアリサのライブが始まるのを今か今かと待ちわびていた…それを赤い歌姫の衣装を着たアリサはモニター越しで見ていた

 

「わぁぁ…沢山の人でいっぱい!」

 

「うふふ、それだけ貴方の歌を聴きたがってるて事よアリサ」

 

「……嬉しいな、もしかして夢じゃないのかな?」

 

アリサはこれは夢かとほっぺをつねる、痛覚を感じこれは夢ではないと理解した。そんなアリサを見てレディリーは微笑んだ

 

「夢なんかじゃないわ、これは貴方が掴み取った夢の現実よ…ほら、みんな貴方を待ってるわ…早く行きなさい」

 

「はい!」

 

アリサはステージに向けて歩いていく、それを笑みを浮かべたままレディリーは見続けていたが懐に入れていた携帯が鳴り始め真顔に戻ったレディリーがそれを手に取る

 

「何かしらレイヴィニア?……そう、上里勢力が攻めてきたのね。今貴方はグレムリンのメンバーと黄金夜明のメンバーと共にトライデントの部隊1万人と交戦中、垣根はトライデントの部隊1万人と上里と交戦中…オティヌス、脳幹、メイザースは木原病理と交戦中…更にエンデュミオンの迎撃用兵器のコントロールが奪われた?まあいいわ、こっちは私に任せなさい」

 

レディリーは同僚のレイヴィニアから情報を教えられると電話を切る、そしてフリントロック式の銃を何処からか取り出すと会場に向けて歩き出す

 

「何処からでもかかってらっしゃい、アリサの夢は邪魔させないわよ」

 

 

 

(……軍覇くんこの会場にいるかな?)

 

アリサがステージに立つと観客達からの大歓声を浴びペンライトが激しく揺れる、彼女は観客達に微笑みながら削板の姿を探すが人が多くて見つけられず彼女はマイクを手にとって口を開き歌を歌い始める…曲名は「telepath〜光の塔〜」

 

 

 

宇宙空間、そこは普通の人間では動く所か生きる事さえ許されない死の空間…そんな場所をエンデュミオン向けて宇宙空間を動く黒いモヤの様な存在がいた…それは黒い霧で構成された蛇と表現するしかないだろう、その闇の蛇の上に乗っているのは宛那、彼女は霊装の力を借りて宇宙空間でも平然と活動できエンデュミオンに向けて闇の蛇を動かす

 

「鳴護アリサを確保する、それが私の上里様から与えられた使命…鳴護アリサは誰にも渡さない」

 

宛那はそう呟くと更に蛇の移動速度を上昇させる、理想送り、上里勢力、超能力者、学園都市…そして削板軍覇、鳴護アリサを巡って様々な者達の思いが交差する物語はいよいよ極相へと向かい始めた

 

 

 

 

 

 

 

 




急展開過ぎたかな……それに少し回想を入れすぎたかも、削板君の過去は捏造ですが上条さんと似ていて、でも少し違う感じを出す為に頑張りました。というかかまちーのキャラは謎が多過ぎて困る。それが魅力の一つだけど

さて次回は宇宙空間で繰り広げられるレディリーvs宛那、地上での垣根・帆風vs上里の激戦、そして等々ヒロインの前に現れた削板君…上条さん達はオマケです、そして何とあのキャラもまさかの参戦です

次回もお楽しみに!
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