さて最後に出て来る皆さん大好き(?)あのヒロインが登場……あの人皆好きですよね?
「……宛那は負けたようだな」
上里は頭上の果てにあるエンデュミオンを見上げそう呟く。仲間がやられたと言うのに淡々とした口調だがその言葉の奥には仲間がやられた悔しさが滲み出ていた…上里は右手を下げ垣根と帆風の方を向く
「今回はぼくらの負けの様だ…ローラさんからも回収に失敗したら「奇跡の子」の事は諦めろと言われてるしね…ここは引くとしよう」
「おいおい……逃すと思ってんのか?」
「確かにそう簡単にきみ達から走って逃げるとは思ってないさ…でもぼくがここから逃げ切る方法がないとでも思っていたのか?」
垣根は逃げようとする上里を逃がさないとばかり翼を広げる、だが上里は懐から何かを取り出し頭上へと投げる。二人が何を投げたとその物体を見た瞬間それが眩い光と爆音を流し思わず目と耳を塞いでしまう
「ッ!スタングレネードか!」
上里が投げたのはスタングレネード、二人が目を開けるとそこには上里の姿はなかった
「……逃げられた…いや見逃されたて言うべきか?」
垣根が悔しそうに吐き捨てる、上里には例え宛那が負けていたとしても戦闘を続ける余力があった筈だ。それなのに逃げたということは余程自分達を舐めていると垣根は感じた…だが帆風は何か疑問があるのか首を傾げる
「でもスタングレネードがあればわたくし達の視界を潰してその間に右手で触れる事が出来たでしょうに…何故しなかったんでしょう?」
「それは多分考えちゃいけないやつだと思うぞ」
二人は軽口を言い合いながらも上里の脅威から逃れた事に安堵する、そして二人はエンデュミオンを見上げ仲間達の帰還を待つ
宛那を撃破した削板は翼で宇宙空間を移動しエンデュミオンのステージまで戻ってくる、そこには削板の姿を見て笑顔になるアリサと削板に駆け寄って来る上条達の姿が見えた
「やったな軍覇!勝ったんだな!」
「てかその翼…ていとくンの事笑えねえなオイ」
「第二のメルヘン現る、かにゃーん?」
「と言うか削板さんに翼は似合わないわね」
「似合うのは垣根さんだけよねぇ〜、削板さんはやっぱり根性て言ってる方がいいわぁ」
「……当麻以外勝利の歓声はなしかよ」
削板は苦笑し駆け寄って来る仲間達の間をすり抜けてアリサの元へと向かう
「……勝ったんだね軍覇くん」
「ああ、何とかな」
アリサはにこりと笑い削板も笑みを返す、それと同時に背から噴出されていた赤青黄の煙の翼が薄れ消えていく
「……消えちゃたね」
「だな…ま、別にいいさ。また強い奴と戦う時には自然と出し方がわかると思うからな」
アリサは消えた翼を見て笑う、削板はまた出せばいいだけだと笑う
「助かったわ第七位、貴方のお陰でアリサは攫われずに済んだ…ライブは中止になっちゃたけど…また別日にすればいいわ」
「おう……て、あんた腹から血が出てるけど大丈夫か?」
「平気よ、これでも三年前にアレイスターからアンブロシアを取り出されるまで不死だったのよ?もう取り除かれて魔力も作り出せる様になったとはいえ未だに不死性は残ってるわ…ま、微々たるものだし精々傷口を再生するのが限度…て所かしらね」
「……何かサラッと凄い事聞いちゃった気が」
削板がレディリーを見て平気なのかと尋ねる、レディリーはこれくらいで自分は死なないと笑う。アンブロシアを取り除かれたとはいえ不死の体質はほんの僅かだが残っている。と言っても脳を撃たれれば死ぬし失血死でも死ぬ。ただ傷の治りが早いだけであるが
「さて…早くお客様を地上へと連れ戻しましょう」
「そうだな。君達も手伝ってくれ…私とシャットアウラが地上へ降りる為の装置を起動…」
レディリーとディダロスは早く残っている観客達を地上へ帰さなければと言い、ステージから出ようとし削板達もその後をついて行こうとする…だが削板は気づく、アリサが
「……アリサ?何してんだ?早くここから出ようぜ」
「………ごめん、無理なんだ」
削板が早くここから出ようとアリサに言う、だがアリサはにっこりと微笑んでそれはできないと笑う。その笑顔は美しくも儚げで…全員がその言葉を聞いて目を見開く
「あ、アリサ?そんな変な冗談を言っている時じゃないんだぞ?」
「……冗談じゃないよお姉ちゃん。私は皆と一緒に行けないんだよ」
「何を言っている!こんな時にそんな冗談を!」
「…………お父さん」
シャットアウラとディダロスはこんな時に冗談はよせと言うがアリサは儚げな笑顔で冗談ではないと首を振る、そして全員が気づいた。アリサの身体をよく見ているとアリサの身体が
「透、けてる…?どう言う事だよアリサ」
「……宛那、て人と言ってたよね。私が起こす奇跡は等価交換て…奇跡が起こる代わりに誰かが傷つく…それが私が起こす奇跡」
尋ねる削板にアリサは笑みを崩さず奇跡について話す、彼女が起こす奇跡は常に誰かが傷つく事で起こる…そして今回起こった削板の能力の覚醒という奇跡の代償は……
「私は軍覇くんの勝利を願ったんだ…だから軍覇くんは強くなってあの人を倒したんだ……その時願っちゃったんだよ…私の全てを犠牲にしても構わない……てね」
「………まさか」
「うん、今回の奇跡の代償は
その代償はあまりにも大き過ぎた、一人の少女の消失。それが削板が得た勝利への代償だった
「……嘘だろ」
「嘘じゃないよ、そうじゃなかったら私は消えかかったりしないもの」
「な、何か手がある筈だ!消えなくてもいい方法が……」
「無理だよ、そんな方法はないしあったとしてももう間に合わない…受け入れるしかないんだよ」
必死にそれを否定する削板、何か助かる方法があると叫ぶがアリサは首をゆっくりと横に振る
「……何故だ、何故笑っていられるんだアリサ!?お前どう言うことか分かっているのか!?」
「うん、分かってるよお姉ちゃん。消えるてことは皆と2度と会えなくなるてこと…それくらい分かってるよ」
「なら尚更だ!何故笑顔でいられる!?何故なんだアリサ!」
シャットアウラがどう言うことか理解しているのかと叫ぶ、アリサはちゃんと理解していると頷く。それを見たディダロスが何故笑顔を浮かべていられると叫ぶ…それを聞いてアリサはゆっくりと口を開く
「だって最後くらい笑っていたんだもん、辛気臭い顔よりも笑ってた方が…皆と安心して消えれるから」
「「!」」
「……アリサ」
アリサの笑みは寂しげだった、心の中では消えたくない、皆と一緒にいたい、もっと歌いたい…そう思っているだろう、だがそれらの感情を抑え込みせめて消える間際まで笑顔でいようとしているのだ…それを知ったシャットアウラとディダロスは目を見開きレディリーは眼から涙を流した
「……今までありがとうお姉ちゃん、私お姉ちゃんと一緒に過ごせてよかった。私は忘れないよお姉ちゃんと一緒に服を買いに行ったりお父さんに内緒でパフェを食べに行ったこと…お姉ちゃんの服を選ぶセンスが壊滅的で笑っちゃたな」
「……私もだ、初めて妹が出来て一緒に買い物に行けて楽しかった…私もお前が妹でよかった。後誰の服のセンスが壊滅的だ」
「お父さんも…お父さんと知り合えてよかった。私の誕生日に必ずケーキを買ってきてくれてありがとう。実はお姉ちゃんよりも誕生日プレゼントが少しだけ値段が高いことは気づいてたよ」
「……私もだよアリサ。君と出会ってよかった。後そのことはシャットアウラの前で言うな」
アリサが加速に最後を迎える前に言い残していたことを呟く、
「レディリーさんもこんな人生最初で最後の大舞台に立たせてくれてありがとう…私の夢を叶えさせてくれて本当に感謝してます」
「……そんな優しい事を言わないでよ、貴方が生まれたのは私のせいなのよ?あのオリオン号の事件だってわたしが自殺の為に意図的に起こしたの、下手したら乗客全員が死んでたかもしれないあの事故を起こした犯人に感謝される資格は…「知ってました」え?」
「何となくレディリーさんは私の正体に気づいてるんだろうな〜て思ってましたから。流石にあの事件を起こしたのにはびっくりですけど…それでも、貴方がいなければ私は生まれる事はなかった。昔のレディリーさんの事は知りません…でも私が知っているレディリーさんはいい人です」
「………貴方て本当に優しい子ねアリサ」
レディリーに感謝をするアリサにレディリーは自分はそんな事を言われる資格はない、オリオン号の事件を起こしたのは自分だと暴露するがアリサはそれを知ってもなお感謝しそれを聞いてレディリーが涙を流しながら頬を緩ます
「当麻くん達も助けに来てくれてありがとう、ここにいない帝督君も潤子ちゃんにもありがとうて伝えておいて…あの二人にもお別れを言いたかったけどね」
「………ごめん、俺達が宛那を奇跡なしで倒せていたらこんな事には」
ここに来ていない垣根と帆風にも感謝の言葉を伝えてくれとアリサは笑う、それを聞いて上条は自分達がもっと強ければこんな事にならなかったと頭を下げる
「そんな事言ったて過ぎた時間は変わらないよ。それに観客の皆を、私の大事な家族を助けてくれただけで嬉しいんだ」
アリサはそんな上条に観客と彼女の家族を助けてくれただけでも充分だと伝える
「……情けねェ話だ、超能力者の第三位なンて大層な肩書きを持ってンのに一人の友達も救えねェなンてな」
「そうね、私らがもっと強かったら…友達を失わなくて済んだのにな……」
「……そんな顔しちゃダメよ二人共、鳴護さんは笑って最後を迎えたいんだから私達も笑ってないと…安心して……鳴護さんが消えれ……ないでしょ……」
「美琴なんて泣いてるじゃない、まあ私は我慢力があるから全然……泣いて……ないんだけど…」
「……操祈も無理すんなよ、泣いてんじゃねえかお前ら」
一方通行と麦野がアリサを救えなかった事に自分自身を責め、美琴と食蜂は最後まで笑っていようとするが涙が勝手にこぼれ出てしまう。アリサは最後に削板の方を向く
「……軍覇くん以外はごめんだけどここから離れてくれるかな。そうじゃないと恥ずかしくて言えないから」
「…………分かった」
アリサが少し頬を赤くして削板以外この場から離れてくれと頼む、上条はそれを聞き入れアリサから背を向けてこの場から去る。他の面々も上条の後に続いていく…シャットアウラとレディリーは何度もアリサの方を振り返っていたがディダロスは一度も振り返らなかった
「……ごめんね一人残しちゃって」
「いや、それで何で俺だけ残したんだ?」
削板は何故自分一人だけ残したのかと尋ねる、アリサはそれを聞かれて笑った
「軍覇くんに最後に言っておきたい事があって残ってもらったんだ」
「俺に言いたい事……?」
「うん、あの時さ軍覇くんはこう言ってくれたよね…私の事が好き、て」
「……!お、おう…最初に会った時から…好きだった」
アリサが宛那との戦いの時に自分の事を好きと言っていたと言うと削板は顔を赤くしながら頷く、それを見てアリサは頬を染めながら削板の耳元に口を近づける
「……私も軍覇くんの事が好きだよ、友達としてじゃなくて異性として」
「!」
アリサはそうはっきりと削板の事が友達ではなく異性として好きだと告げる、それを聞いて削板は一瞬呆然としその言葉の意味を理解し頭から実際に湯気を出し顔を赤くする。アリサは照れ臭そうに削板に笑いかける
「最後の最後で素直になれてよかった、もうこれで……思い残すことはないな」
「……本当にいいのか?このまま消えても」
「………………」
削板の事が好きだと伝えられこれでもう思い残すことはないとアリサは寂しげに笑う、だが削板は本当にそうかと尋ねる。削板には分かっていた、アリサの今の言葉は嘘である事に
「本当の本当に……これでいいのか?こんな終わり方で納得してるのか?」
「………するわけないよ、本当は……本当はね……もっとお姉ちゃんとお父さんと…!友達の皆と……!軍覇くんと一緒にいたかった………!」
アリサは心からの言葉を呟きながら目から涙を溢れさせる。
「もっとお姉ちゃんとお父さんと一緒にご飯を食べたり買い物に行きたった!レディリーさんと一緒にライブのことで話し合いたかった!皆でカラオケとか一緒に遊びに行きたかった!軍覇くんと一緒にいたいよ!本当は消えたくない!皆と一緒にいたい!皆の横で生きていたい!」
彼女の気持ちを押さえつけていた心のダムは崩壊していた、削板に抱きつき彼の胸で涙を流すアリサ…削板は無言で彼女を腕で抱きしめていた
「最もっと皆といたかった!皆と毎日笑いあって恋話して買い食いして…そんな日常を過ごして!歌手になって学園都市の人だけじゃない、世界中の人を笑顔にしたい!それに、初めて好きになった男の子と一緒に手を繋いで歩きたかった!」
ボロボロと溢れる涙、彼女は奇跡の存在だ。だが彼女は普通のありふれた人間だった、友達と遊んだりおしゃれをしたり、自分の趣味に没頭しつつも好きになった人と愛を育みたい…そんな何処にでもいる少女なのだ
「私…消えたくない、軍覇くんの事もっと知りたいよ!こんな所で消えるなんてやだ!」
「……俺もアリサの事をもっと知りたい、だから消えて欲しくない」
削板も眼に涙を浮かべる、彼もアリサに消えて欲しくなかった。今の状況が夢だったらいいと思った…だがこれは幻想ではなく現実なのだ…だから彼はたった一人の少女も救えない自分の無力さに拳を握りしめる
「でも私はこの世から何も残さずに消えるわけじゃない……私が残した歌はこの世界に永遠に残る、私が消えても私の音楽の才能はお姉ちゃんに戻る、皆の記憶に私がいる…私が生きた証は残るから」
彼女が歌った曲、削板達と過ごした時間は消えないとアリサは笑う…それらが残っている限り何の心配もないと彼女は笑う
「…忘れない、絶対に忘れねえからな。俺は死んでもアリサと過ごした時間は忘れない…どんな事があっても根性…いや俺の愛て奴でアリサの記憶は忘れたりしねえ」
「………嬉しい」
削板はアリサをもっと強く抱きしめる、アリサも嬉しいと笑う。アリサの身体は全身がもう光の粒子となって消えかけ足からゆっくりと消え始める
「……軍覇くんと会えてよかった」
「……俺もアリサに会えてよかった」
二人は強く強く抱きしめながらそう呟く、離したくない、別れたくない…そんな思いが強く滲み出ている…だがアリサの身体は残酷にも下半身は消え去り上半身しか残っていない
「……最後に、最後に軍覇くんにあげなきゃいけないものがあるんだ…受け取ってくれる?」
「?何をくれるん…」
あげなきゃいけないものがある、アリサはそう言い削板は何をくれるのかと考えた瞬間、彼女の唇と削板の唇が重なった
「!???!?!!!?!!?あ、アリサ!?」
「……ふふ、私の初めてだよ」
彼女はそう言って顔を羞恥と嬉しさで染め上げていく…削板もいきなりの出来事に頭がパンクを起こしアリサの様に顔を赤く染めていく。二人とも初めてだった、ファーストキスの味は削板とアリサには何の味か分からなかった
「……私幸せだったよ軍覇くんと出会えて、初めて恋して…私は十分過ぎる程幸せだった」
アリサはそう削板に向かって満面の笑みを浮かべながら涙を流す…涙が頬を伝い床に落ちていく…アリサの身体はもう完全に消えゆく瞬前で削板の腕から彼女の体温も感触も消えていく
「アリサ……」
「さよなら」
花が散る様に彼女は最後まで笑って無数の光となって消えた、鳴護アリサだった光の粒子が風に乗った鱗粉の様に削板をすり抜けて空気に溶けていく
「………じゃあなアリサ」
愛しい人への今生の別れの言葉を呟く、そして削板は初めて大声で哀しみの涙を流した
宛那が目覚めたのは何処かの森の中だった、彼女はボンヤリとした眼でここは何処かと目をこすり…自分の状況を思い出しはっとする
「ここは何処だ…私は第七位に敗れ何処かへと落ちた筈…あの軌道から見て日本列島の何処かだと想定できるが…場所の特定は厳しいか」
彼女は冷静にここは何処かと考察するが鬱蒼と木々が生える森など日本中にいくらでもある…それに何故自分が宇宙から落ちて五体満足で生きているのかと考え…そしてその答えはすぐ近くにあった
「……成る程神威混淆がダメージを抑えたのか」
それは無残な残骸となったアメジストで出来た蛇の装飾品、削板との戦いで相当な負荷を置い宇宙からこの森への激突で耐えきれなくなり自分の体から排出され残骸として出てきたのだろう
「…さて、どうやって上里君……上里様と連絡を取ろうか」
宛那はそう言ってどうやって上里と連絡を取ろうと考えていると後ろから気配を感じ振り返る、そこにいたのは…
「いたいた、いましたよ皆さん」
「……学園都市の人間か」
そこに立っていたのは白衣を着た女性…宛那は知らないがその女性は木原唯一という脳幹の弟子だ、彼女が宛那を発見したと叫ぶと森の中から何人かの人間が現れる
「お。テメェが理想送りとかゆう奴の仲間か」
「気をつけろよ数多、魔術師てのは俺ら科学者の範疇を超えてくるからな」
「見つけたの唯一お姉ちゃん」
現れたのは数多、乱数、円周…この三人も木原であり四人は宛那を取り囲む様に四方を囲む。宛那は自分にもう魔力がない事に気付き自分の頭に指を当てピストルを撃つ仕草をする
「……チェックメイトというやつか」
「そういう訳です、と言うわけで貴方を学園都市まで連行しますのでご同行お願いします。あ、暴れたらこちらとしても手荒い事をしなければいけませんので素直に従ってくださいね」
唯一は何処からか取り出した手錠を宛那の両手に嵌める、そして宛那は何か思う様に頭上を見上げる
『なんで止めてやらない!お前は上里て奴が好きなんだろ!?なら止めてやれよ!復讐なんてそいつが辛いだけなんだよ!本当に好きならそいつの行動を肯定するんじゃなくて否定してやれよ!好きな奴が間違えを起こしているなら止めてやるのが愛てもんじゃねえのかよ!』
「……は、それが出来たら苦労はしないさ」
宛那は削板に言われた事を思い出し皮肉げに笑う、そして唯一に引っ張られる形で学園都市へと連行されていった
垣根と帆風はエンデュミオンの入り口付近で上条達を探していた、上にいた人達は既に帰還しておりエンデュミオンの入り口は人で溢れ全員が生きて帰れた事を安堵していた
「……出てくるの遅えなあいつら」
「そうですね…あ、あれ女王達じゃないですか?」
帆風が人波の中から上条達を見つけ出し垣根と共に近づく、二人が上条達に近づくと彼らは暗い顔で俯いており二人は何かあったのかと考える
「そんな顔をして何かあったんですか?」
「てか鳴護っちは何処だ?はぐれたのか?」
垣根がアリサは何処だと尋ねると削板以外が顔を俯ける、削板が代表してなにがあったのか知らせる為に口を開く
「……アリサは消えた、もう2度と会えない」
「……!?」
「!……そうか、つまり俺らは救えなかったて事か」
削板のその言葉に帆風は口元に手を当てて驚き垣根は
「……アリサは幸せ者だな、こんなにも悲しむ人が沢山いて……娘の事をそんな風に想ってもらって私は嬉しく思う」
「……ディダロス」
アリサの父親としてこんなにも自分の娘を想ってくれる友達や人達がいて嬉しいと笑う、そんなディダロスにレディリーは無理して笑っているのだと察する
「……情けねえな、たった一人の女の子を守るていう幻想すら守れねえのかよ俺は」
上条が悔しそうに自分の右手を見る、一方通行も麦野も美琴も食蜂も助けられなかった事を悔いる。垣根と帆風はその場にいなかった為何も言う事が出来ない
「………アリサ」
この中で一番アリサを救えなくて悔しい思いをしているのは削板だろう、初恋の少女を救えなかった事に……
「アリサ、俺もっと強くなるからな。もっともっと強くなるから…もう誰も失わない様に強くなるからな…だから見守っててくれないか」
「……軍覇」
削板はもっと強くなりたいと願う、もう誰も失いたくない、だから強くなりたいと…垣根はそんな削板を見て俯く…そんな彼らの前にある一人の少女が歩み寄って来ているのだが誰もそれに気づかない
「私は認めない……認めないぞこんなの!何故アリサが消えなければならなかっんだ!アリサは…私の妹は何か悪いことでもしたのか!?」
シャットアウラの絶叫に周囲の人々は驚くがシャットアウラは気に留めない、垣根と帆風が何か言おうとしたその時二人の肩に誰かがトントンと叩いてきて二人は誰かと振り返り…まるで幽霊を見た様な顔をする
「お、おい…お前ら後ろ……」
「み、皆さん…後ろを見てください…」
垣根と帆風が後ろを見ろと全員に言うが誰も聞いていない、彼女はそれを気にせず全員の方へと歩き始める
「皆、私生きて……」
「私は信じている、アリサは消えてなどいない!アリサは…アリサは私の心の中で生き続けている!」
「おーい、お姉ちゃん?生きてるよ、心の中じゃなくてすぐ近くで生きてるよ?ほら後ろ向いて」
シャットアウラは自分の背後で聞き覚えのある声がしたが取り敢えず無視し言葉を続ける
「私はいつでもアリサと一緒だ。今までそうだった、そしてこれからも…」
「うん、だからこっち向いてよ」
「……そうね、こんな所でイジイジしてたらアリサに笑われちゃうわね」
「皆気づいてて無視するの?」
さっきから後ろ五月蝿えな、誰か騒いでるのかとシャットアウラとレディリーは思うが取り敢えず二人は気にしない
「アリサ…お前に一つ隠していた事があるんだ」
「……アイアンクローしたら気づくかな?」
「お前が冷蔵庫に入れて食べるのを楽しみにしていたあのプリンを食べたのは…父さんじゃなくて私なんだ!」
「………は?」
シャットアウラが今までディダロスがアリサのプリンを食べたと言っていたが実は食べたのは自分だと告白する、それを聞いて背後にいる人物にほんの僅かに青筋が浮かぶ
「父さんの所為にしたのは私が悪い!だが食べてしまった事は後悔もしてないし反省もしていない!」
「………」
「やはりお前の仕業だったのかシャットアウラ、勝手に父さんの所為にするな、と言うか反省しろ」
「ふ、あんな美味しそうなデザートを食べないでいるなど無理だ…それに「私の物は私の物、妹の物は姉の物」と言うだ…」
全く反省していないシャットアウラは自信満々にそう言う、それを聞いて背後の人物は無言でアイアンクローを放つ
「あだだだだだだだだ?!?」
「シャットアウラ!?」
「ねえ、お姉ちゃん?私のプリンを食べたのはお姉ちゃんだったんだね…今からアイアンクローをかけるけどいいよね?答えは聞いてない」
「ちょ!?誰だ今そう言う悪ふざけをするタイミングじゃ……ない…」
痛みに呻くクソバカ姉を見て彼女はドス黒い笑みを見せる、削板が誰だとシャットアウラの背後の人物を見て戦慄する、上条達もまるで幽霊を見た表情になりアイアンクローをかけられたシャットアウラも後ろを見て目を見開いた…その人物は…鳴護アリサ
「ま、プリンの事は置いておいて…皆ただい…」
「「「「「ぎゃあああお化けぇぇぇ!」」」」」
「あ、あああアリサ!?もしや化けて出たのか!?私がプリンを食べたから?!」
「し、塩を持っていないか!?」
「佐藤ならあるわ!」
「うぃーす、佐藤です」
「「誰!?」」
アリサが笑いかけて何か言おうとすると上条達はお化けと叫ぶ、シャットアウラはプリンの恨みで化けて出たと叫びレディリーはディダロスに佐藤を渡そうとし垣根と帆風は誰だそのおっさんと叫ぶ
「……ア、リサ?……本物なのか?」
「そうだよ」
削板がアリサ本人なのかと問いかけると彼女はにっこりと笑って頷く
「だがお前は消えた筈だ…俺はお前の最後を見届けたんだぞ…」
「そうだよ、私は消えたよ。ただ誰かが蘇らせてくれただけ」
アリサは自分は確かに消えたがその直後に誰かが自分を再び生を与えたのだと笑う、蘇らせたと言う単語に垣根の脳裏にある人物が浮かんだ
「まあ何が何だか私にもよく分からないけどこうして生きて…」
アリサの言葉は続かなかった、それを言う前に削板がアリサに抱きついてきたからだ
「良かった……!生きていてくれて…良かった!」
「……うん、私も軍覇くんとまた一緒にいられて嬉しい」
涙を流しながらそう叫ぶ削板にアリサも眼から涙を溢れさせながら頷く、垣根はほぼ反射的に携帯を取り出しその光景を写真に撮った
「……どう言う事だ?アリサは消えたのでは…?」
「…いいじゃないそんな事、生きててくれた。それ以外に言う事はある?」
「……ないな」
ディダロスが何故と考えるがレディリーは生きてただけでそれ以外の説明はいらないと笑う、それもそうだとディダロスもつられて笑った
「アリサぁぁぁ!」
「うお!?」
「軍覇くん!?ちょお姉ちゃん?!」
「生きてたんだな!良かった!本当に生きていて良かった!」
削板を突き飛ばしシャットアウラは涙を流しながらアリサに抱きつく、アリサはそんな姉を見てくすりと笑う
「……何がなンだが訳が分かンねえなコレ」
「…消えたと思ったら実は生きてた…おいおい、そこらの御都合主義な小説でももっといい展開になるぞ…どう言うことだにゃーん」
「……いいじゃねえか、ハッピーエンドなら御都合主義でもなんだってさ」
「そうよ、確かに色々納得いかないけど…見なさいよ鳴護さんと削板さんの笑顔…それが見れたからいいじゃない」
「そうねぇ、納得力が湧かないけど…こう言う終わり方もいいんじゃなかしら」
一方通行と麦野はどう言う事なのかと首を傾げる、だが上条達は
「……よし、俺も根性入れ直すか」
削板は何か決心したように両目を閉じ頬を両手で叩く、そして目を開いて立ち上がるとディダロスとシャットアウラの方を向く
「お父さん、お姉さん!一つお願いがあります!」
「……改まってどうしたのかね」
「俺が言いたいのは一つ!俺はアリサの事が好きです!だから!俺とアリサの交際を認めて下さいぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!」
「ぐ、軍覇くん!?」
削板は決意を込めた大声でシャットアウラとディダロスにアリサとの交際を認めて下さいと叫ぶと音速の二倍の速さで土下座をする、頭が地面に激突し周囲一帯に亀裂が入りアリサがええ!?と驚く。垣根と帆風は思った「それは結婚をする時に言うセリフなんじゃ…」と
「「………」」
「おい、潤子ちゃん…あの二人の目が怖いんだけど…阿修羅みたいな顔してるぞ」
「ですね…これは削板さん殴られるかもしれませんね」
瞬き一つせずディダロスとシャットアウラは削板を見つめる、削板の顔に冷や汗が流れる…アリサは二人がなんと言うか緊張して耳をすます
「…君は娘を守ってくれた、それは感謝しよう…だがこれとは話が別だ」
「…そんな事の為に助けたんじゃありません、好きな奴を守るのに理由はありませんから」
「…貴様に私の妹が幸せにできると思うか?」
「分かりません…俺は根性しか取り柄がないし、高校生の問題も解けない馬鹿だし実は中学生の勉強も出来ないかもしれない、将来の夢も特に決まっていません……でも」
アリサの父親と姉、二人の睨むような目を一身に受けてなお削板は二人の目を見据えてこう答えた
「俺はアリサが好きです、絶対に幸せにします…だから交際を認めて下さい!」
「軍覇くん……」
「「………」」
その魂からの言葉を聞いてディダロスとシャットアウラは口元を緩ませる
「……もし娘を泣かせてみろ、超能力者だろうがドラム缶に詰め込んで東京湾に沈めてやるからな」
「絶対にアリサを幸せにしろ…もし出来なかったら…お前の指を切り落とす」
交際を認めるとも取れるその言い方に削板が頭を上げてディダロスとシャットアウラを見る、二人は笑って削板を見ていた
「ありがとうございますお義父さん!お義姉さん!」
「誰がお義父さんだ!馴れ馴れしい!」
「誰がお義姉さんだ!そこまで気を許したわけじゃないぞ!」
「……私の家族でめんどくさいなぁ」
ギャーギャー騒ぐディダロスとシャットアウラを見てアリサは笑う、だが垣根は何か考えるような顔で先程から何も喋っておらず帆風が気になって声をかけてみる
「どうかしましたか垣根さん?」
「いや……鳴護っちを蘇らせた奴について考えててな、まあ実は心当たりがあるんだが」
「!?本当ですか!」
「まあな、だが何故助けたのか理解できねえんだ…鳴護っちは幻想殺しと関係ねえ筈だからな…それに何故干渉したのかも理解できねえ」
垣根はアリサを蘇らせた人物について心当たりがあるようで帆風が驚く、だが垣根は何故助けたのかとそこを疑問視し考える
「……分かんねえ、やっぱりアレか?
エンデュミオンのアリサが歌を歌っていたステージにてある人物が立っていた、痩せこけた細い身体に皺は枯れた古木の様に固まっている、そんな身体を覆い尽くす様に紫の法衣を着た木乃伊の様な老人、彼は杖の代わりに剣を床に突き刺していた
「珍しいわね、
「いいじゃろう
「別にいいけど…鳴護アリサの生存がどれだけ現実世界に影響をもたらすか理解してるの?」
「さあの、後の事は人間達がなんとかするじゃろ」
「………そういう性格だからいつまで経っても悟りを開けないのよ」
その老人…僧正に声をかけてきたのは全身を包帯で巻いただけでほぼ全裸の長い銀髪に目下に涙型のタトゥーがある褐色の肌を持つ女性…ネフテュスが僧正に話しかける
「まあいいじゃろう、たった一人の少女を救った…それだけでよかろうて」
「まあね、悲しい涙よりも嬉しい涙の方が私も好きだからね。貴方にしてはいい事したわね」
「さて……見ているかアレイスター?」
僧正はステージの上を見上げる、僧正が見据えているのは滞空回線…そして滞空回線を通じて僧正とネフテュスを見ているかもしれないアレイスターに僧正は話しかける
「色々とお主には言わなければいけない事があるが…まず最初にこれだけは言わせてくれ」
僧正は上を向きながら聞いているかもわからない、滞空回線があるかも分からないのにアレイスターへ自分の言葉を伝える
「済まなかったな」
それは僧正が今まで言いたかった言葉、僧正はそれを微笑みながら呟く
「お主には儂を殺す権利がある、だがもう少し待ってくれ。儂とネフテュスにはやらなければならぬことがある…それが済んだら殺しても構わんよ」
僧正は自分にはやらなければならない事があると呟く、それが終わったら自分を殺してくれても構わないのだと伝える
「……いずれ儂らはまた表舞台に出てくる、その時にまた会おう」
僧正は自分の言いたい事を言い終わったのか剣をついて何処かへ行こうと歩き始める、それを見たネフテュスも僧正の背後を歩いていく
「さて暫くは様子見かの…コロンゾンやエイワスの動きは全く読めん。かと言って理想送りは儂らの天敵じゃからの」
「そうね、理想送りは垣根帝督達に任せるとして私達の優先課題は私達以外の
僧正とネフテュス、二人の魔神は何か話し合いながら唐突にエンデュミオンから消えた。この二人の介入により消えゆくはずの奇跡は助かった、これによりエンデュミオンの奇跡は幕を閉じたのであった
「クカァァァ(また転校生が来たぞー)」
「……イギリスから来ましたメアリエ=スピアヘッドです」
「……同じくイギリスから来たマリーベート=ブラックホールです」
「……以下同文でジェーン=エルブスです」
「「「」」」
なお三馬鹿弟子達はイギリス清教に離反したと見てインデックス達と同じ反逆者になった、もう帰る場所がなくなってしまった三人に小萌は「実は柵川中学校て所に学生寮があるのですが、転入して見てはどうなのです」の言われ三人は藁にすがる気持ちで柵川中学に転入して来た。インデックス達は口をポカーンと開けたまま三馬鹿弟子を見ていた
(((こうなったのも全部師匠/ししょーの所為だ、絶対にいつか復讐してやる)))
果たして三人の復讐が成就する日は来るのか?いや無理だろう(断言)
確かにヒロインが出て来るとは言った、でも女だとは言ってない(ナ、ナンダッテー?!)、さあ原作と違い僧正さんは一体どんな事をしてくれるのか…ま、暫くは僧正さんとネフテュスさんは出てこないんですけどね
僧正・ネフテュス「「おい」」
さて次回は…とある科学の一方通行アニメ化記念でエステルちゃんを登場させる話ですね、タイトルは「
「……先生と呼んでいいだろうか?」
「魔術師」ローゼンタール家の23代当主ーーーー
エステル=ローゼンタール
「これが俺の新しい力て奴だよ三下」
「一方通行」超能力者第三位ーーーー
「やっほう。殺しに来たよ、
「
「最高にして最強、そして至高…それがこの最高傑作「
「完全なるゴレムを目指す者」暴走する害悪ーーーーイサク=ローゼンタール
言っておきますが作者は「とあセラ」はあまり知りません、だからあまり期待しないでほしいなーとか思ってみたり。でも頑張って書きます。ただ菱形兄妹は出ない可能性大(てか元ネタと大幅に違うから原作を知ってる人はツッコミは無しでお願いします)
では次回もお楽しみに!