カプ厨がていとくんに憑依転生しました   作:暗愚魯鈍

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今回のお話は前回のギャグテイストと比べシリアス多め、ギャグ少なめでございます。そして前回まで全くなかった戦闘描写があります

さて病理さんは何を企んでいるのか?17600号は無事なのか?そして彼女の企みとは一体…そして最後には読者の予想を超える出来事が…続きは本編で!



乙女の心は冷たい雨に隠されて…

垣根と帆風は妹達の一人 17600号と一緒にいたと言う男性 エツァリに会いに薬味久子の病院に来ていた

 

「えっと……お粥さんの病室は何処だ?」

 

「……こっちの角を左に回って二番目の病室ですわね」

 

二人は道に迷いながらもエツァリがいる病室に辿り着き扉を開ける、その部屋にはベットで上の衣服を脱いで上半身裸のエツァリと彼の背中に聴診器を当てている薬味、そして彼女の側にいる二人のナース姿の女性がいた

 

「おっす、今いいか薬味先生」

 

「あら帝督ちゃん、久しぶりね」

 

「垣根帝督久しぶりです」

 

「よお、ていとくん。久しぶりだな」

 

薬味に加えナースの二人も垣根に手を挙げる、髪の長い方の女性は男臭い言葉で喋り、もう片方の女性は機械の様に無表情で話す

 

「垣根さん、この御二方は?」

 

恋査(れんさ)、男ぽい喋り方をするのは恋査 29号でもう片方が恋査 28号だ」

 

「28号と申します」

 

「俺は29号だ、こんな見た目だが中身は男だ。間違えないでくれよ」

 

「この二人は私の四十人の助手の一人で私の患者でもあるのよ」

 

帆風がこの二人は誰かと尋ねると垣根が簡潔に説明し29号と28号も軽く自己紹介する

 

「さて、垣根帝督は「アステカお粥さん」から事情を聴きたいようですね」

 

「……自分の名前はエツァリなのですが…」

 

「悪いな、こいつ患者にフレンドリーなあだ名を付ける癖があってよ」

 

「……教えてくれエツァリ、お前と17600号に何が起こったのかを」

 

垣根はアステカお粥さんことエツァリに何が起こったのか尋ねる、彼は目を深く閉じ大きく息を吸い込み口を開く

 

「……あれは17600号さんと一緒に御坂さん達を探して尾行しようとしていた時でした」

 

「いきなりツッコミどころですけど敢えてツッコミませんわ」

 

「……いきなり車椅子に乗った女性にいきなり攻撃されたんです、自分も17600号さんも抵抗しようと思ったのですが…いきなり意識がなくなってしまって…そして気づいたらこの病室のベットで寝ていました…自分が不甲斐ない所為で17600号さんを攫われてしまいました……本当に申し訳ありません」

 

「謝る事じゃねえさ、寧ろあの女とやりあってよく生きてたもんだ…恐らくその意識を刈り取られたて能力は心理掌握だな、あの野郎め…初見殺しの技使いやがって…」

 

エツァリは自分が不甲斐ないせいで17600号を攫われて申し訳ないと頭を下げる、だが垣根は首を横に振ってよく頑張った方だと笑いかける

 

「さて…少しお前の頭の中を覗かせてもらうが…いいよな」

 

「……ええ、構いませんよ」

 

垣根は手元に白いカブトムシを形成し、そのカブトムシに心理掌握を実装させる。それによりエツァリの脳内を能力で覗き病理と出会った時の詳しい情報を手に入れる

 

「……成る程、場所は第七学区の人通りが少ない場所か…行くぞ潤子ちゃん」

 

「……はい」

 

垣根は襲撃された場所を特定しそこに行って病理が何処へ逃げたか特定しようと動き出す、帆風は垣根の後を追い病室から出て行く

 

「……17600号さん、どうかご無事で…」

 

エツァリは自分の弟子の無事を祈る、薬味はエツァリの心情を察したのか恋査二人を連れて席を立ち病室から無言で立ち去る

 

「いいのですか先生、アステカお粥さんを一人にして?」

 

「……人間にはね、一人になりたい時があるのよ。今の彼には考える時間が必要なの」

 

「……先生の考える事は難しくて分かんねえや」

 

三人はそう語り合いながら廊下を進んで行く、薬味達はエツァリだけに構っている時間はない。この病院には大覇星祭で怪我をした生徒達も多く来ているのだから

 

 

「さて、どうやって17600号を探すんだ美琴?」

 

「まさかぁ、姉妹の直感力で分かる〜とかそういうオチじゃあないでしょうねえ?」

 

「そんな訳ないじゃない…私が調べるのはこれよこれ」

 

上条達は公園のベンチに腰掛けながらどうやって17600号を探し出すのが考えていた、美琴は携帯端末を全員に見せつけ不敵に笑う

 

「私は携帯端末を使って書庫(パンク)にハッキングを仕掛けられるのよ?街中の監視カメラの情報を手に入れることなんか朝飯前よ」

 

「凄ェな、お前将来犯罪者になれるぞ」

 

「黙らっしゃい」

 

そう言いながら美琴は携帯端末を人差し指で触れ捜査する、だが指の動きよりも大量かつ高速のやり取りが画面の中で展開されている…高速で駆け抜ける記号や文字列がスクロールしていく。彼女はそれを一切気にしない

 

「……見つけたわ、午後12時03分。ここのカメラの端に一瞬だけど病理が映ってるわ」

 

美琴が見つけた街中にあるとある監視カメラの映像を上条達に見せる、その画面の端に一瞬だが女の子を背負った病理の姿が見えた

 

「この道だと……あいつが向かっているのは第二学区だなァ」

 

「その様だな、私らも急いで追いかけるぞ」

 

「よし!根性出して走って追いつくぞ!」

 

一方通行がその頭脳で病理の逃走ルートを割り出す、麦野もそれに同意し削板は走って追いかけようと考えるが食蜂がそれに待ったをかける

 

「待ちなさい、こんな時はタクシーよ。こんな事もあろうかとタクシーの運転手を洗脳してたのよぉ」

 

「デカした食蜂!」

 

「「流石俺/私の操祈!」」

 

「えへへ〜///」

 

食蜂は既にタクシーの運転手を洗脳済みだと公園の近くに待機させていたタクシーを指差す、一方通行は(自分は長距離を走りたくないので)賢明な判断をした食蜂にナイスと指を鳴らし上条と美琴は食蜂に抱きついた

 

「さあ!運転手さぁん、出発なんだゾ!」

 

「了解シマシタ、食蜂様」

 

瞳の中に星のような光が浮かんでいる運転手は食蜂に恭しく一礼すると六人をタクシーに乗せてタクシーを動かす

 

「目的地は第二学区!垣根よりも一足早く病理を見つけ出すぞ!」

 

「「「「「おお!」」」」」

 

 

垣根と帆風はエツァリと17600号が襲撃された場所にたどり着くと垣根が白いカブトムシ達を地面に置く、カブトムシ達は緑に輝く眼を赤い眼に変え心理掌握の能力を発動させる。心理掌握の物的読心(カテゴリ044)で残留思念を読み取っているのだ

 

「……成る程、病理が向かったのは第二学区か」

 

「分かるんですか?」

 

「カブトムシ達に残留思念を読み取らし、そこから得た情報を纏めて病理の逃走ルートを計算した。その結果あいつは第二学区を目指してると仮定したんだ」

 

「……第二学区、ですか…あまりいい思い出はありませんね」

 

「……まあ、才人工房があった所だしな」

 

第二学区に病理が向かっていると言われて帆風は苦虫を噛み潰したような顔をする、第二学区には才人工房の跡地がある。帆風にとってあそこは垣根の出会いの地でもあり同時に嫌な思い出の地でもある…だが今はそんな事を気にしている場合ではない

 

「ですが、今はそんな事よりも17600号さんの事です。彼女を早く助けなければいけません」

 

「だな……早いとこあの女を捕まえて大覇星祭に戻らなくちゃ……!」

 

垣根が早く戻ろうと言いかけた時、二人目掛けて謎の炎が飛来し二人はそれを地を蹴って飛び跳ねる事により回避する。炎が放たれた軌道の先には一人の男が立っているのを垣根と帆風は目視した

 

「……リチャード=ブレイブ」

 

「初めまして、私はリチャード=ブレイブ。元 イギリス清教の魔術師だよ」

 

「……元、ですか?」

 

その男の名前はリチャード=ブレイブ、何の因果かかつて17600号を殺そうとした魔術師が垣根達の目の前に立ち塞がったのだ

 

「私はあのアステカの魔術師に敗れ学園都市の奴らに牢へと幽閉された…だが木原病理とかいう女が私を解放したのだ…全ては私の復讐の為に」

 

「……復讐だと?」

 

「ああ、私をこんな目に合わせたあのアステカの魔術師を殺しあの女…御坂美琴の模造品を殺す!それが私の目的なのだよ!」

 

彼が行おうとしている事は八つ当たりだ、エツァリは彼が学園都市に侵入し17600号に手を出そうとしたから倒したまでであり、17600号はそもそもの被害者だ。それを一方的に因縁をつけるその醜悪さに流石の帆風も顔を顰める

 

「……下衆の極みですわね」

 

「なんとでも言うがいい小娘、私の霊装 破滅の枝(レーヴァテイン)に焼き尽くされよ!」

 

そう言うが早いかリチャードは西洋剣を振り回し剣先から紅蓮の炎を帆風へと放つ、彼女は天使崇拝(アストラルバディ)で神の力を降ろし氷の壁で炎を塞き止める

 

「……チッ、天使の力(テレズマ)で構成された氷はそう簡単には燃やし尽くせないか…だがこれならどうだ?」

 

リチャードは薄く笑うと剣を大きく振るい炎の波を発生させる、それで氷の壁を飲み込み垣根と帆風を焼き尽くそうと企む。だが垣根が帆風を自分ごと未元物質の羽を繭のように閉じる事により炎の津波を防ぐ

 

「この世に存在しない物質…それは流石にどうすれば燃やしやすくなるか分からんな」

 

彼の破滅の枝の能力の正体はビタミンB2を霧吹きで木材(eihwaz)干草(wunjo)などのルーンをスタンプの様に標的に刻印する事により、極端に燃焼しやすくし燃やし尽くすという霊装だ。故に天使の力で構成された氷の壁や未元物質はどうやったら燃焼しやすく壁なるのか分からない為、破滅の枝でも焼き尽くす事は不可能なのだ

 

「……だが人体は燃やせる。すぐに貴様らを灰にして復讐を遂げる」

 

「舐めてやがるな、だがお生憎様俺達も時間はねえ…速攻でケリをつけてやる」

 

不敵な笑みを見せるリチャードに彼を一瞬で倒そうと垣根は未元物質の翼を、帆風はガブリエルの力が漲った拳を構える…だがそんな三人の前にとある人物が空から声をかける

 

「その必要はない、お前達は早く木原病理を追うといい」

 

「「!?」」

 

「何者だ!?」

 

空から黒いスーツを着た筋肉質な男が落ちていた、男は右腕に装着している梓弓という霊装から弓を引いて弦の音を鳴らす。男の足元に風が収集し足場となり男は無事に地面へと着地する

 

「私は闇咲逢魔(やみさかおうま)、私の大事な女性を助けてくれたインデックス(恩人)達に礼を言いに大覇星祭に来たら、幻生と言う老人に君達を助ける様言われ捜魔の弦で怪しげな気配を感じここまで来た。ここは任せて君達は早く連れ去られた少女を助けに行くといい」

 

闇咲は梓弓をリチャードへと向けながら垣根達にそう話す、彼は自分の大切な人を助けてくれたインデックス達の友人である垣根を行かせる為にここは自分が引き受けると言っているのだ。垣根と帆風は驚いていたもののお互いの顔を見合わせその場から走り去る

 

「な…!?逃げただと!?くそ!待て!」

 

「ここは通さないと言った筈だ」

 

「雑魚に用はない!ここで燃え尽きろ!」

 

リチャードは慌てて垣根達を追おうとするが闇咲が行く手を阻む、邪魔をするなと炎を放つリチャードに対し闇咲は風魔の弦で空気の塊を作り出し跳躍し回避。あの炎は風すらも焼き尽くす、ならば当たらなければいい

 

「断魔の弦!」

 

「舐めるな!」

 

圧縮空気の刃が無数に放たれリチャードはそれら全てを焼き尽くす、だがそれに気を取られている隙に闇咲の姿が忽然と消えた

 

「透魔の弦及び衝打の弦!」

 

「むう!?」

 

空気による光の屈折を利用して、光学的に姿を隠す透魔の弦で姿を消し、その状態でガラスを容易く粉砕する衝撃波を放ちリチャードは防御出来ずに吹き飛ばされる

 

「ぐぅ……中々やるではないか…だがこの私には破滅の枝がある…勝てるとは思わぬ事だ」

 

「私を見くびるなよ」

 

風を操る魔術師と炎を操る魔術師が激戦を繰り広げる、炎が吹き荒れ風が荒ぶる。この地は科学の町から一転して魔術が飛び交う決闘の場となったのだ

 

 

「ありがとねぇ。もうお仕事に戻っていいわよぉ」

 

「ハイ、畏マリマシタ食蜂様」

 

タクシーから降りた上条達は第二学区に辿り着く、そこで食蜂がリモコンを地面に向けて何らかのボタンを押し地面から情報を得ろうとする

 

「……成る程ねぇ、病理は17600号を抱えたままこっちに向かったみたいねぇ」

 

「凄えな操祈!将来は探偵になれるぞ!」

 

「流石私達の嫁だわ!」

 

「見た目は中学生、頭脳は明晰!その名はメガロポリス 食蜂操祈なんだゾ!」

 

「そォいうのはいいから早く動け」

 

病理が何処へ向かったか突き止めた食蜂を褒める上条と美琴、それでえっへんとドヤ顔をする食蜂を一方通行は無視して先へと進む

 

「……この方角…もしかして病理が向かってるのは才人工房?」

 

病理の行く道を辿っていくうちに食蜂は病理が何処へ向かっているのか気づく、そこはかつて自分が所属した研究所でありいい思い出が殆どない場所だ

 

「才人工房て…確か食蜂がガキの頃所属してた場所だったかにゃーん?」

 

「「ロリみさきちタン……ハァハァ」」

 

「おい!状況を考えて興奮しろよ二人共!妹達が攫われてるのに欲情するとか最低だな!」

 

「「……ごめん」」

 

美琴と上条は食蜂の子供の頃の姿を想像して興奮する、そんな不謹慎な二人を怒鳴りつける削板…普段根性しか言わない彼が珍しくまともな事を言ったのだった

 

「才人工房はドリーやみーちゃんと出会った思い出の場所なんだけど…嫌な研究者しかいなかったのよねぇ〜。しかも生まれて初めて垣根さんに出会った場所」

 

「「うわ可哀想」」

 

「ていとくンが聞いたら泣くぞ」

 

食蜂が初めて垣根と出会った場所と言うと上条と美琴は可哀想な目で食蜂を見る、一方通行は流石に可哀想だと垣根に同情した

 

「…でもなんであんな所に?封鎖されてる筈だしあんな場所にいても何にも発見力しないだろうし…」

 

「…当然機材も無くなってるだろうしな、隠れ家にしてももっとマシな場所がある筈だ」

 

「何考えてやがンだ病理の野郎は…」

 

食蜂達は病理が何を考えているのか分からなかった、狂人の思考は理解し難いが病理は更にその上をいく…頭脳明晰な超能力者と言えど答えには辿り着けない…だが削板がふと口を開く

 

「もしかしてそこに何か隠してあるんじゃねえか?なんか危険な道具とかをさ」

 

「……確かに廃棄された研究施設に何かを隠している可能性力もあるわねぇ…もしその仮説が本当なら妹達を攫ってその機械で何をする気なのかしら?」

 

「どちらにしてもロクな事じゃないわよ。あの女のことだもの…早く助けに行かなきゃ」

 

削板の意見を聞いて食蜂はその可能性もあると頷く、美琴は早く行かねば17600号が危ないと全員を急かす…そんな美琴を見て上条が笑いかける

 

「大丈夫だ、きっと17600号を助けられるさ」

 

「その根拠は何処から出てくるのよ先輩」

 

「決まってんだろ、俺がいるからだ。それに美琴と操祈がいれば百人力だからな。絶対に助けられる」

 

上条は自分と美琴と食蜂がいればどんな敵も倒せると笑いかける、それを聞いて二人は面食らいながらも上条に笑いかける

 

「……先輩て本当に熱血バカよね」

 

「全くね、そんな所がいいんだけどねぇ」

 

「む、俺は最近補習を受けてるから頭は良くなってきてるんでせうよ?」

 

三人はそう言って笑い合う、それを見ていた一方通行達もこのバカップルが…と思いつつも口元を緩ませ才人工房へと走る…だが気づかない、もう病理の計画は実行段階へと進んでいる事に

 

 

「ふふふ……これで良し、外装代脳の制御に成功。更に私が操る心理掌握を外装代脳てパワーアップ…これで彼女の精神的多重プロテクトを破る事が出来ますね」

 

才人工房、その地下深くに隠された秘密の実験室にて巨大な脳が培養液の中に浮いていた。これが外装代脳(エクステリア)、食蜂の大脳皮質の一部を切り取って培養・肥大化させた巨大脳だ

 

「あとはウイルスを打ち込めば病理さんの実験は成功です」

 

彼女はそう言って自分の身体を作り変え心理掌握を扱える様にする、その心理掌握を外装代脳で強化し眠らせたまま床に寝転がしてある17600号に目を向ける

 

「リミッター解除コードも手に入りましたし、これで彼女達(・・・)の暴走も防げるでしょう…さて楽しい楽しいお遊び(実験)の始まり始まり〜♪」

 

彼女はそう笑いながら車椅子を動かし17600号へと迫る、そして彼女の脳に直接ウイルスを打ち込もうとしたその瞬間

 

「そうはさせないぞ」

 

「!?……チィ!」

 

突如放たれた炎の斬撃が病理を襲う、彼女はそれを巨大化させた腕で防ぐ。腕は焼け焦げ燃え朽ちるも直ぐに反転物質(アンチマター)を供給し復元させる…そして病理は炎の斬撃を放った人物の方へとクルリと車椅子を動かす

 

「久しぶりですねー加群ちゃん。お元気でしたかー?」

 

「そう言う貴様も息災の様だな」

 

「はい、それは勿論。何せ病理は人間である事を『諦め』て不滅の肉体を手に入れましたからねー。この身体は便利で病理さん的には凄く有難いのですー。本当に帝督ちゃん様々です」

 

「そんな使い方をされていると思うと垣根が哀れでならんな」

 

彼は木原加群、魔術師にして科学者、教師にしてヒーローである。彼は幻生からメールを受け取り病理が取りそうな行動を予測し彼女の位置を突き止めここまで辿り着いたのだ。加群のその執念に病理は素直に感心する

 

「加群ちゃんは私のストーカーなんですか?でも残念ながら病理さんは恋愛事には興味ないので………ご・め・ん・な・さ・い〜!」

 

「…私は貴様の様な性根の腐った女など好みではない。下らん妄言を二度と言えぬ様その口を焼いてやろうか?」

 

「いやん、そんな激しいプレイもお断りですよ。それに外装代脳や妹達を傷つけたくないので…全力で加群ちゃんをここから引き離します!」

 

病理はニヤリと笑うと車椅子から立ち上がる、そして右腕をイエティの巨腕へと変貌させ左手の指先に五個のオレンジ色の脳を形成、更に左腕にスカイフィシュのヒレを発生させる

 

「それそれそぉれ!」

 

「………」

 

念動力で生み出した力をスカイフィシュの腕で掴み取りそれを投げ飛ばす病理、加群は跳躍する事により念動力の力の塊を回避。加群は伸ばした右手の人差し指と中指の間から顕現する紅蓮に燃える炎を纏った真紅の光の刃で病理へと斬りかかるが病理はそれをイエティの巨腕を振り下ろし加群を床へとめり込ませる

 

「効かんな」

 

だが加群には竜血の鎧という術式がある、頑強な肉体を得た加群にはこの程度の攻撃など痒い程度しかない。それに加群には攻撃特化の勝利の剣(レーヴァテイン)がある。勝利の剣でイエティの巨腕を斬り裂き病理の首を狙うが彼女は床を蹴り跳躍して避ける

 

「燃えよ勝利の剣(レーヴァテイン)

 

「形態参照 ファントムキャット」

 

勝利の剣の火力が更に増す、だが病理は人型の肉体を崩し3メートルはあろう巨大な猫へと変身を遂げる。そして空気に溶けるかの様に姿を消し始める

 

「……光学迷彩か」

 

加群はそう呟くと剣を頭上に掲げる、そして剣の長さを15メートルサイズまで巨大化し周囲をデタラメに斬りまくる、そして何かを裂く感触を得たのと姿を消した病理が姿を現したのは同時だった

 

「痛いですねー、でもこんな雑な方法でどこにいるのか調べるなんて野蛮じゃないですか?」

 

「………」

 

「無視とは酷いですね…形態参照 コンガマトー」

 

問答無用と斬りかかる加群に対し病理は猫の姿から巨大な翼竜へと変貌、天井が低い為高くは飛べないが加群の剣を避けるには十分なスピードを得て加群の勝利の剣を交わし加群から距離を取る

 

「形態参照 アスワング」

 

次に病理は人型の姿に戻り彼女の口から上の犬歯が1.5メートルはあろう巨大な牙へと生え変わり彼女の爪が鋭いナイフの様になる。そして全身にトカゲの様な鱗が生える

 

「では反撃開始なのです!」

 

病理の爪が加群の体へと迫る、加群はその爪を紙一重で避けながら病理の身体を斬り刻むが反転物質ですぐに再生されてしまう。彼女の爪が加群の身体へと命中、だが加群の竜血の鎧で肉体は傷一つ負うことはない。反撃と言わんばかりに加群の勝利の剣が病理の肉体を両断する

 

「甘いんですよ!」

 

「…………ッ!」

 

だがそれがどうしたのだと病理は左右に分かれた身体の右側の足を動かし加群を蹴りつける、加群は横に大きく吹き飛ばされ床を転がるが即座に立ち上がる。病理は加群へと跳躍しサーベルの如き牙を加群の首元に突きつけようとする…だが加群は床に勝利の剣でルーンを刻み床を爆破させる

 

「な……!?」

 

「燃え尽きろ!」

 

驚く病理に向かって加群は爆破に巻き込まれながらも勝利の剣の光刃を伸ばし病理の首を切断…彼女の身体は炎上し肉体はかけら残さず燃え尽きた

 

「……」

 

だが加群は勝利の余韻に浸ることなどなかった、病理がこんなあっさりと負けるはずがない。そう理解している彼は口を開く

 

「どうせ今倒したのは分裂体なんだろう?」

 

『ありゃりゃ…バレてましたか』

 

何処からともなく聞こえてきた声、それは病理の声だった。彼女の本体は最初からここにはいなかった。エツァリを倒した所から加群に倒されるまでの彼女は全て偽物だったのだ

 

「何が目的だ、妹達を攫うといったお前を隠す為のカモフラージュを使って何を企んでいる?」

 

『……ふふふ、カモフラージュ…ですか。ねえ加群ちゃん、貴方いつから間違った答え(・・・・・・)を信じていたんですか?』

 

「……何?」

 

加群は17600号を攫ったのは彼女本体の居場所を隠す為のカモフラージュだと考えていた。だが病理はそれを聞いて笑った…まるで自分のことを理解していないと言わんばかりに

 

『まあ確かに自分の居場所を隠す為という目的もありますよ?でもそれが一番じゃない…本当の目的は…そこに眠っている妹達ですよ、まあそれも計画の要に必要てだけですがね』

 

「……どういう事だ?」

 

『ネタバレはここまでですー。後は見てからのお楽しみて事で!』

 

病理はそう言い残すともう声は聞こえなくなった…加群は何が目的なのかと思考しながらも17600号を救出しようと彼女に顔を向け…固まった

 

「………何?」

 

17600号は汗を流していた、それも尋常ではない程の汗の量だ。露の様に大きな汗の塊を見て加群は何事かと駆け足で近づく

 

「ハァハァ……し、しょう……た、すけ…」

 

 

この時、世界各国に治療と研修の為に派遣されていた妹達が全員倒れた。それは学園都市にいた妹達も例外ではなくある者は街中で、ある者は施設の中で…全員が同時に気を失ったのだ…そしてミサカネットワークも病理が操る心理掌握の力で侵食されていく

 

「これは不味いね/return」

 

ミサカネットワークの中で彼女(・・)はそう呟いた、彼女には実体はない。彼女は人ではなく第三の存在である。現在彼女は心理掌握の力に洗脳されかかっていた

 

「しっかしあの病理てクソ売女は何が目的なんだろうね?/escape」

 

彼女は洗脳されつつも病理の真意は何かと思考する…そして彼女の思考が病理に侵食される寸前で彼女は最後にこう呟いた

 

「ま、いいか。最後は私達のヒーロー(ていとくん)が解決してくれるでしょ/return」

 

彼女は垣根がどうにしてくれると考えるとゆっくりと意識を闇の中へと手放した

 

 

「「…!?」」

 

才人工房へ向かっていた美琴と食蜂の身体が大きく震えた、彼女達は何が起こったのかと自分の身体に目を向けようとする…その瞬間世界が歪み始めた

 

「ど……た……み…と!?そ…にみ…きまで?!」

 

(せ、んぱい……?あれ?見えない?先輩も操祈も…?あれ?)

 

(聞、こえない……目の前が暗い…2人共……何処にいるの?)

 

彼女達の耳は微かに愛する者の声が届いた、だが彼女達の視界は真っ黒に塗り潰され身体が沈んでいくような感覚に陥っていく

 

(暗い、怖い…助けて……)

 

(あぁ…もう何も……考えられ…)

 

2人の思考は冷たい水の中に落ちるように沈んでいく……もう誰の声も聞こえないし届かない、その身を触られていてもその温もりも伝わらない…そして彼女達の身体にミサカネットワークから溢れ出た正体不明の黒い力が2人を依り代として注がれていく

 

 

「実験第一段階はクリア!では第二段階へと移ります!」

 

第二学区のとあるビルの屋上にて、病理は嬉々とした顔で地面に倒れた美琴と食蜂を眺めていた

 

「第五位と第六位を絶対能力者(レベル6)に迫らせる事で2人は一瞬だけ絶対能力者へと到達しその力を見ることが出来るのです…ま、その後は心身共に限界を迎え個体としては破滅、余波で学園都市も崩壊しちゃうんですけどねぇー」

 

外装代脳は食蜂の大脳皮質の一部から作り出したもの、ならば食蜂の脳を外装代脳で鑑賞しミサカネットワークから溢れたエネルギーを食蜂に注ぐ事も可能だ、そして美琴にもそのエネルギーを注ぐ事で2人は絶対能力者へと近づくのだ

 

「ま、科学に犠牲は付き物。仕方ないと『諦め』ましょう。学園都市も能力者も無関係な人達も消え去ってしまいますが…ま、帝督ちゃんと潤子ちゃんは無事生き残れるでしょうから私には痛くも痒くもありません」

 

彼女の目的は垣根と帆風だけ、それ以外が死のうが生きようが病理の知った事ではない。故に彼女はこんなトチ狂った事が出来るのだ

 

「さて、第五位 御坂美琴と第六位 食蜂操祈は天上の意思に到達できますかねぇ?」

 

 

「おい!美琴!操祈!返事をしてくれ!」

 

「退け上条!退かねェと何も……」

 

急に地面に倒れた2人の身体を揺さぶる上条、一方通行は上条にそこを退けと叫び上条を押しのけて美琴と食蜂の容態を調べようとしたまさにその時、二人の身体から凄まじい力が放たれ上条達はその力により吹き飛ばされた

 

「がっ……!?」

 

上条達はその力に吹き飛ばされ地面を転がる、二人の周囲には爆煙が生じ二人の姿を隠すかの様に煙が包んでいる…同時に空は暗雲に染まり風模様もおかしくなり始める。上条はゆっくりと顔を上げて美琴と食蜂が倒れていた場所を見る

 

「………美琴?操祈?」

 

バチバチと空気が焼ける匂いがする、ポツポツと雨が降り始めた…そして爆煙が晴れ始め超能力者達の視界にある存在が映り込んだ

 

「lnvm壊ynvnvjyksl」

 

「afvcbvhl滅nvnonv」

 

そこにいたのは美琴と食蜂であって美琴と食蜂でない存在だった。髪の毛が逆立ち、2本の巻き角が生え体を囲む様に羽衣をまとった美琴と額から天を穿たんばかりに真っ直ぐ伸びた角に天女の如き羽衣を巻いた食蜂…その姿はまさに雷神と水神だった

 

「……な、んだよ…その姿は……」

 

「「nyujjtl破ouvyalklt」」

 

上条の問いに二人は答えない、二人の口から漏れる言葉はかつて戦った天から堕ちてきた天使と同じノイズのかかった言語のみ…上条は大きく体を震わせ絶叫の如き悲鳴を上げる

 

「……なんなんだ、なんなんだよこれはあああああぁぁぁぁッ!!!!」

 

その叫びは雨の音によりかき消される、絶望の風が吹く、空を覆う暗雲の様に二人の少女の心は閉ざされ愛しい者の声も届かない。かくして学園都市に二体の科学の天使が顕現したのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




さて次回の敵キャラは雷神化美琴と水神化操祈です!水神化操祈はオリジナル形態ですがもう今更なので気にしないでください。水神化操祈の容姿はミコっちゃんと同じですが角のモデルはFateの酒呑童子の角を更に伸ばした感じと羽衣は羽衣伝説で天女が羽衣を着ている姿そのものです

そして今回は2回目の病理さんと加群さんの戦闘でした。人外の姿を真似る病理さんと単純な強さを誇る術式を振るう加群さん。加群さんは10分間だけしか戦えませんがその間ならねーちんとブリュンヒルデさん、トール君(雷神)ともいい戦いができますからね。実はかなりの強キャラです

さて次回は雷神化美琴と水神化操祈との大バトル。そして更なる驚きの展開が…

次回もお楽しみに!
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