今日のウルトラマンタイガを見てまさか久しぶりにクトゥルフ神話を題材とした怪獣が出るとは思いませんでした…モチーフはシエアガですね、因みに今回の舞台となった九頭流村ですが…元ネタは九頭龍、因みにクトゥルフは日本語に直すと九頭龍と書くらしいです
そして最後は満を辞してこの章のラスボスも登場。今回は神威混淆尽くしです
ゴーレム=エリスの拳が大地を抉る、垣根と帆風は地を蹴り跳躍しそのハンマーの如き一撃を回避する
「チッ…!その巨体に見合ったパワー…厄介だなこりゃ」
「ですが壊してしまえば…!
帆風は天使崇拝でカマエルをその身に降ろす、そしてカマエルの天使の力が行き渡った拳をエリスに激突させる。その拳の威力は大地にクレーターを空け山に風穴を空ける一撃。それをゴーレム=エリスは耐え切った
「なっ……!?」
ーーーヴオ"オオオオオォォォォォッ!ーーー
自らの拳の一撃を防がれたことに戸惑いを隠せない帆風、そんな彼女にエリスは無慈悲にも拳を突きつける。爆音が鳴り響き帆風は近くの地面に激突する、それにより爆煙が生じクレーターが形成させる。人体を容易く血で汚れた肉塊に変えるその拳の一撃を喰らっても帆風の身体は五体満足だった。だが無傷ではない、彼女は血反吐を吐きながらも立ち上がりエリスへと拳を突きつける。だがやはり同じ亀裂が入るだけで完全に破壊することは出来ない
「潰せ」
ーーーヴオ"オオオオオォォォォォッ!ーーー
シェリーの言葉通りにエリスはその巨体を支える大足を上げ帆風へと振り下ろす。だがその足が帆風を踏み潰す瞬前に垣根が目にも留まらぬ速さで覚醒した未元物質の翼でエリスの四肢を、胴体を切断する
「潤子ちゃんの拳はダメでも…俺の翼なら切断出来るみたいだな」
垣根はそう言って笑う、だが切断され地に落ちる筈のエリスの岩石の身体が直後停止する。垣根と帆風がそれを疑問に思う前にエリスの身体を構成していた岩石が再び結合し元の姿に戻ってしまう
ーーーヴオ"オオオオオォォォォォッ!!!ーーー
「マジか…自動再生とか巫山戯んな!」
雄叫びを轟かす岩巨人に垣根は悪態を吐きながらも音速で翼を振るいエリスの身体を切断し続ける。圧倒言う間にエリスは細切れになるがそれでもなお即座に修復・結合してしまう
「無駄だって分かんねえのか」
ーーーヴオ"オオオオオォォォォォッ!ーーー
冷たくシェリーがそう呟くと雄叫びを上げながらエリスが垣根へと走る、ただ走るだけ。そんなごく普通の行動さえも100メートルの巨体となれば地面が振動する攻撃と化す。ふらつく足場の中垣根は振り下ろされた拳を翼で飛翔する事で回避する
「まだです!一回で砕けないなら百回だって千回だって叩き続けます!」
空中へと逃げた垣根へと拳を振るおうとするエリス、だが帆風がエリスの間合いに入り込み連続して拳をエリスに放つ。秒間何十発、いな何百発も拳をマシンガンの如く放ち一撃では砕けなかった岩石の身体を少しずつ砕いていく…だが砕いた瞬間に再生し修復してしまう
「無駄てことが分かんねえのか!?このエリスに勝てる訳がねえんだよ!」
シェリーはそう叫びながらオイルパステルで空中に魔法陣を描く。それと同時に帆風の足元に無数の岩石の腕が出現し帆風の全身を掴み取り拘束する
「……!?」
岩の腕で拘束され身動きの取れない帆風にエリスのアームハンマーが放たれる、衝撃波と爆音が生じ帆風がいた場所にエリスの拳が突きつけられる。ゆっくりとエリスが拳を上げるとそこには横たわる帆風の姿が見えた
「潤子ちゃん!」
垣根は太陽を背にして翼を広げ紫外線を腐蝕光線へと変換。眩い光がエリスを包みその身を溶解させていく…だがシェリーは頭部から地面へと飛び降りエリスを盾にして腐蝕光線から身を守る
「は……小細工しやがって」
オイルパステルで描く魔法陣、大地が隆起しそこから一対の巨腕が飛び出し天空に佇む垣根へと岩の腕が飛来する。さながらそれはロケットパンチ、垣根はそれを
「く…まだです!
帆風が降ろしたのは座天使達の指揮官であるザフキエル、帆風の身体が天使の力で構成された炎で燃え上がり帆風は回し蹴りを放つ。その強化された足はエリスの太い足を砕きエリスは地面へと倒れる
「……エリスの足が破壊されただと?」
「遠心力ですよ」
ザフキエルの能力は遠心力を増大させる能力だ、これなら超能力にも
「……だが何度壊そうが、何度斬り裂こうが…エリスは何度だって再生するぞ」
やはり何度も再生する岩の巨体…それを見て顔を強張らせる帆風…だが彼女は拳を握るのを止めない
「諦めません!諦めてしまえばそこで終わりです!ですからわたくしは絶対に諦めません!」
「……そうか、なら死ね」
エリスがその拳を振り下ろす、帆風も右拳に天使の力を込めてエリスの拳に放とうとする…だがその直後セルピヌスがエリスの拳に喰らいついた
ーーーキュラアアァァァ!!ーーー
ーーーヴオ"オオオオオォォォォォッ!?ーーー
「な!?」
セルピヌスがエリスに噛み付いた途端、ボロボロと身体が崩壊し始める。そうゴーレム=エリスは異能だ。なら幻想殺しであるセルピヌスが打ち消せない道理はない
「どんなに強力な魔術だろうが異能なら幻想殺しで破壊出来る…違うか?」
「垣根さん……ならそれを早く使ってくれれば苦労しなかったのでは?」
「それは言っちゃダメだぜ」
垣根がドヤ顔で威張るが帆風はジト目で早く幻想殺しを使えば良かったのにと呟く、垣根は帆風から目を逸らした
「……はっ、確かに私のエリスは異能を打ち消す力とは相性が悪りぃみたいだな…」
シェリーはエリスは幻想殺しと相性が悪いと認める、それを認めた上で彼女は
「
そう彼女が呟くと彼女は再びオイルパステルで空中に魔法陣を描く。それだけで再び地面が隆起し先程と同じ100メートルの岩巨人が誕生する
ーーーヴオ"オオオオオォォォォォッ!!!ーーー
「……潤子ちゃんのパンチも防ぐ防御力に圧倒的な怪力、そして破壊しても再生する異常な再生力に加え完全破壊しても術者がいる限り何度でも作り直せる…あ、これチートや」
「……見た所あの人はゴーレム形成に特化しています…しかも地面から岩の腕を形成し動きを止め確実にあの岩巨人のアームハンマーを必中させる……これだから魔術師は…」
「私らから見たら魔術と超能力両方使えるお前らの方がズルいんだよ」
再誕したゴーレム=エリスを見て垣根と帆風はチートだと呟く、それに対しシェリーは魔術と超能力その両方が使えるお前らよりはマシだと呟く
「……確かにこのゴーレムは倒せそうにないな」
「ええ……ですが、
エリスは倒せない、ならシェリー自身を攻撃し倒してしまえばいい。そう二人は判断する。術者本人を倒せばその魔術であるエリスは消滅する…それしかエリスを完全撃破する方法はない
「……俺が支援する、頼むぞ」
「ええ」
岩巨人は唸り声を上げながら二人へとアームハンマーを放つ、帆風は地を蹴り跳躍しエリスへと駆ける。垣根はその場から動かずそのままアームハンマーに激突する…シェリーはオイルパステルを空中に走らせ魔法陣を描き大地から岩の腕を顕現させ彼女の四肢を抑え込もうとする
「させねえよ!」
それをエリスのアームハンマーを未元物質の翼で防いでいた垣根が二本の翼を伸ばし岩の腕を切断。残りの4枚でアームハンマーを破壊し地を蹴りエリスへと跳躍した帆風の周囲に三対こ翼を伸ばし何十枚もの薄い羽へと変貌させその羽がエリスの周囲を囲うように揺れ動く
「行きます!」
「ああ!」
未元物質の翼が縦横無尽に高速で動く、帆風はそれに飛び乗って上へと跳躍、そして跳んだ先に現れた未元物質の羽を再び足で蹴り今度は斜め下に、そして再び未元物質の羽を足場にし今度は真下へと跳躍、そして今度は上に…それを音速で行い何回も繰り返す
「……速過ぎて見えねえ……くそ、これが狙いか!」
鈍重過ぎるエリスと音速を捉える事が出来ないシェリーでは帆風の動きを捉える事が出来ない。辛うじて白い光がエリスの周囲を駆け巡る残像しか視認出来ない…そして彼女の背後を取った帆風は両足に力を込め薄い羽を思い切り蹴飛ばす
「はああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
この一撃が決まればシェリーを一撃で撃破出来る、それでエリスも完全に破壊され自分達の勝ちとなる。そしてこの一撃はシェリーには防げない…帆風は勝利を確信し…直後背後から飛んできた大岩に激突し吹き飛ばされる
「が、っああぁぁぁ!?」
地面へと激突、何度も何度もバウンドしその度地面へと激突し何十メートルも吹き飛ばされたところで漸く彼女の動きが止まる…それを目視したシェリーは薄く笑う
「姿が見えない……なら全方位を防御すればいいだけだ。高速回転する礫岩による全方位防御…これならどんな攻撃だろうが防いでみせる」
エリスを中心とした360度に高速で回転する礫岩が浮遊していた、それらはエリスを守る様に高速で飛び交う…それはあらゆる攻撃からシェリーとエリスを守る鉄壁の防壁であると同時に敵を肉塊にする範囲攻撃でもある。その威力は凄まじく防御力が低下している未元物質の薄い羽とはいえ破壊してしまう程だ
「お前らじゃあ私を傷つけることは愚か、エリスを倒す事も出来ねえんだよ!お前らは地面に這いつくばってるのがお似合いなんだよ!」
「……はっ、舐めてやがるな。だから油断が過ぎるんだよ」
垣根がそう言って笑う。シェリーがそれを疑問に思う前に彼女の胸に白い槍が身体を突き破って現れた
「………な?」
ブスブスと突き刺さる大量の槍、磔刑に処されたのが如くシェリーは未元物質で構成された槍により宙に浮かび地面へと落下する
ーーーヴオ"オオオオォォォォォッ…………ーーー
術者が倒された事により音を立ててエリスが崩壊していく、垣根は未元物質の素粒子を薄い羽からばら撒いておりそのばら撒いた素粒子がエリスの身体に侵入しシェリーの足元に忍ばせ槍へと変えてシェリーを刺したのだ。先程の攻撃は帆風を囮とした罠だったのだ
「……わたくしを囮にするなんて酷いですわ垣根さん」
「そういう潤子ちゃんも気づいてた癖に」
「当たり前ですわ、何度わたくしが垣根さんと一緒に戦ったと思ってますの?」
帆風がにこっと微笑むと垣根も笑い返す、だがこの程度ではシェリー=クロムウェルは終わらない
「……まだ終わってねえぞ」
「「!?」」
二人の背後に形成された巨大な岩の拳が二人に振り下ろされる、二人は地面を蹴ってその拳を回避する。垣根は地面に倒れているシェリーを見る。術者は倒れているのに何故まだ術式が起動しているのかと訝しむ垣根…だが帆風は強化された嗅覚で気付いた。あそこに倒れているのはシェリー
「それは偽物ですわ!」
「なに!?」
垣根が地に横たわるシェリーをもう一度よく見るとボロボロとシェリーだった何かが壊れ始める…黒いゴシックロリータと金髪は汚らしい泥色に変わり全身が泥となって溶ける…泥人形。あれはシェリーの姿を模造した泥人形だったのだ
「泥人形と私の区別もつかないようじゃテメェに芸術を理解する脳みそはねぇみたいだな」
ビシッ、と破壊されたエリスの胴体を構成していた岩石に亀裂が入りそこからシェリー本人が現れる。そう頭部にいたのは
「さあ悪夢はまだ終わらせねえぞ」
ーーーヴオ"オオオオォォォォォッ!ーーー
「「………!」」
シェリーはそう言ってオイルパステルで魔法陣を描く、そして再び姿を現す最強の岩巨人 ゴーレム=エリス。冷や汗を流す垣根と帆風に向かってその岩巨人は地を穿つアームハンマーを放ったのだった…
「なあ麦野、飛び出したはいいけどさ…何処を探せばいいんだ?」
「分かんねえからこうして走ってんだろうか!」
麦野と浜面は第七学区を走り回っていた、フレンダと駒場を出撃した犯人がまだこの辺りにいるかもしれない…少なくともまだ遠くには行っていない筈だと推察している
「でも手がかり一つねえんじゃどうしようもないだろ!」
「だからって黙ってられるかよ!大事な友達を傷つけられてその妹を誘拐されて!浜面はなんとも思わねえのかよ!」
「んなわけねえだろ!俺だって犯人の奴の顔面を殴って整形してやりてえよ!でも落ち着かねえと解決するもんも解決しねえだろ!」
麦野はフレンダと駒場を傷つけられた事に、フレメアを攫われたことに強い憤りを感じていた。浜面も彼女と同じ気持ちだ、だが怒っているだけでは何も解決しないと浜面は叫ぶ
「でも何もしねえよりはマシに決まってんだろ!」
麦野がそう叫び返したその時、コロコロと何処からか10円玉が転がってくる…それを何故か立ち止まって眺める二人…そして10円玉がパタンと地面に倒れ…10円玉から声が聞こえた
『聞こえてるかー?』
「……なんだこれ?」
『お〜聞こえてるぽいな。即興にしては良かったみたいだな。じゃざっくり自己紹介といこうか。私は獲冴。金髪のチビは私が預かってる』
「!?テメェがフレンダ達を!」
『どうどう、怒りなさんな。待つのも面倒だからな。こっちから招待してやるよ。場所は第十九学区の廃工場…早く来ないとこのチビがどうなるか分かんねえぞ』
声の主は獲冴、彼女は楽しげな口調で早く第十九学区の廃工場に来ないとフレメアがどうなるかどうか分からないと笑う。そして10円玉から声が消える
「おい!テメェ巫山戯てんじゃねえぞゴラ!」
麦野が落ちていた10円玉を掴み取るが10円玉からは何も聞こえない…舌打ちして10円玉を地面へと投げつける
「………行くぞ浜面」
「お、おう…」
麦野は浜面の方を掴み0次元の極点で第十九学区へと向かう、浜面は麦野に何か言おうとするが途中で止め彼女と共にその場から消えた
ーーーヴオ"オオオオォォォォォッ!ーーー
エリスが拳を地面へと激突させるごとに地震の様な振動と地響きが響く。垣根と帆風はその拳を避けながら攻撃を加えるが流石は神の肉体を再現した岩巨人、並大抵の攻撃ではビクともしないその装甲に圧倒的パワーを前に二人は蹂躙されるしかない
「おいおいこんなもんか超能力者、もっと頑張ってくれよ!」
エリスの頭部に立ち尽くすシェリーは二人見下ろしながらそう呟く、彼女は何もしなくてもいい。なにせエリスが二人を倒せばそれでいいのだから、自分はただエリスに指示を送ればそれで全てが終わる…だから彼女は見ているだけでいいのだ
「お前らじゃ何百年、何千年経ってもエリスを倒すことなんざ出来ねえんだよ!さっさと諦めて潰れろ!」
エリスの右拳が地面へと激突、クレーターを形成するその一撃を垣根は翼を広げ飛翔することで避け翼を羽ばたかせ烈風と羽をマシンガンの如く放つ。それをエリスは左腕で防御、続く帆風の
「くっ……まだです!
ミカエルを降ろし右手から光り輝く炎の剣を顕現させる、それを振り下ろしエリスを一刀両断。だが即座に元通りに接合、左腕をゆっくりと勢いよく帆風へと放つ
「はぁ!」
ミカエルの炎の剣を振るいその拳を破壊、そのまま炎の剣を振るいエリスの上半身を切断。だがまたしてもエリスの身体は再生してしまった
「これなら……どうだ!」
垣根は多才能力で発動した超電磁砲で無数の超電磁砲を放つ。それを喰らい装甲に亀裂が走りバラバラと砕ける身体…追い打ちに原子崩しや一方通行の能力で生み出されたプラズマがエリスを襲う。そんな猛威の攻撃を食らってもなおエリスは倒れない
ーーーヴオ"オオオオォォォォォッ!ーーー
「くそ…どれだけ高威力の技を叩き込んでもまた再生しちまう…かと言って幻想殺しで破壊してもシェリーがいればいくらでも作り直せる…たく、面倒な相手だぜ」
「ですが……完全無欠、と言うわけではなさそうですわね」
「と言うと?」
「岩巨人の装甲も垣根さんの翼なら切断可能ですしわたくしの拳でも何百発も喰らえば壊れます…それにあの岩巨人を一体以上作り出そうとしない…つまり作り出せないのではないでしょうか?」
「……成る程な」
悪態を吐く垣根だが帆風はシェリーの術式の弱点を把握していた、エリスは一体しか作れない。作れるのならわざわざ一体にしておく理由はない。二体以上出して量で押し切ればいいのにそれをしない…いな出来ないのだ
「ああ、確かに私はエリスを一体しか作れねえ…二体以上作ると崩壊するからなぁ…これだけはワチェット=レトを使う前と同じだ…精々岩の腕を作ったり岩石で身を守るので精一杯だ…でもよ」
シェリーは帆風の考えを肯定した上で笑う、それがどうしたと言わんばかりの獰猛な笑みで
「
そう言ってシェリーはオイルパステルで魔法陣を描く…それと同時にエリスの身体が崩壊し始める…二体目を作ろうとした所為でエリスの身体が崩れたのだ…そしてそれと同時に周囲の大地が揺れ始めそして地面に亀裂が走り二人の足元が沈んでいく
「「な!?」」
「地盤沈下てヤツだ、土塊に埋もれて死にやがれ」
それは通常の地盤沈下とは違う法則で発生する、シェリーが発動した魔術は垣根と帆風を中心とした半径10メートルを範囲とした大地に大穴を開けシンクホールを形成し地下へと落とす技…その深さは何千メートルにも逹する
「なっ……!くそ!」
「ふっ…!」
垣根は未元物質の翼で空中に止まり、帆風もガブリエルの翼を使わない空中浮遊で落下を防ぐ。安堵する二人だがふと周囲に暗くなり二人はそれを疑問に思い上を見上げる…二人の目に映ったのは山の様に巨大な岩石が大穴目掛けて落下してくる姿だった
「「…………は?」」
比喩ではない、正真正銘山の如き大きさの岩石が大穴目掛けて落下している…このままでは二人は岩石に押し潰される
「地盤沈下で消滅させた土塊を岩石に変換しそれをお前らに落とすことによって押し潰す。結局お前らには穴に落ちて死ぬか、押し潰されて死ぬか…それしか残ってねえよ」
シェリーがそう言った直後だった。穴の深淵から途轍もない重力場が発生し二人は穴に吸い込まれ始める…二人はそれから逃れようと上を目指すが岩石が逃げ道を塞ぐ、更に不安定な状況下からなのか座標移動も発動出来ない
「チェックメイト、あばよ超能力者」
シェリーは穴を覗きながら皮肉げに笑って踵を返す、二人は巨大岩石を破壊しようと未元物質の翼で砕く、魔術砲での破壊を試みるが巨大岩石は破壊できない
「…!やはり、ダメですか……どうすれば!」
「……無理だな、俺と潤子ちゃんの攻撃じゃビクともしねえらしい」
「そんな……こんな所で終わ「でもな」」
「
覚醒した未元物質でも天使崇拝でも破壊不可能、垣根はそう判断する…だが自分達の力を合わせればどうだと彼は笑いながら呟き帆風が目を見開く
「力を……合わせる?」
「一回やっただろ?病理の時に俺の未元物質を重ねて槍にして病理に突き刺したヤツ」
「……アレですか、あの技をもう一度やろうと言うことですか?」
「いや……それより強い合体技をやってやろうぜ」
病理の時にやった技をもう一度やるのかと尋ねる帆風に垣根はそれより強い合体技をしてやろうと笑う
「……言っておきますけど失敗したら岩に押し潰されて終わりですのよ?」
「だからこそだろ、失敗できないて分かってたら成功率も上がる…と思う。それに脳幹先生なら絶対にこう言っている筈だぜ…「合体技は……男のロマンだよ」てな」
「……確かにいいそうですけど…はぁ、こんな時でも垣根さんは垣根さんですね」
この絶体絶命のピンチで賭けるのかと呆れ笑いをする帆風、彼女は垣根に笑いかけてまっすぐ岩石を見つめる
「いいですわ、わたくしと垣根さんの持てる力を全て合わせ岩を…そしてあの女の人を止めてみせましょう」
「そのいきだぜ潤子ちゃん、さて…俺も頑張りますかね」
垣根はそう言って笑った後真顔になる、そして未元物質の翼を
シェリーは余裕の表情で道を歩く、垣根と帆風は死んだと確信して目を瞑り笑みを浮かべ歩く…だが直後ピクンと身体が震えた。怯えたように背後を振り向くシェリー、その目に映ったのは大穴に入っていく巨大岩石…その巨大岩石に亀裂が入り破壊されそこからプラチナブロンドの髪をなびかせる少女が飛び出した
「な!?」
驚くシェリーの事など帆風は気にせず両足で大地へと降り立つ、そしてまっすぐシェリーを睨みつける…シェリーは目の前を見て服装が変わっているのに気づいた。帆風が先程まで着ていた常盤台の体操服ではなく純白に薄く発光する白きドレスとなっており、そのドレスは童話や絵本に出てくるお姫様が着こなす美しく可憐な妖精の如きドレス。背中には小さな小さな天使の羽のような翼が装飾品の様にピクピクと動いている。そして何よりも異色なのはそのドレスに似合わぬ拳や足に纏わせた純白の籠手とグリーブ、そして頭を守るように装着された双翼の翼が象られた兜…それは姫ではなく戦姫。戦場を駆ける戦乙女そのものだった
「なんだその姿は…」
「そうですわね……
垣根の未元物質を鎧のように纏う事により防御力だけでなく攻撃力も最大限までに高める合体技。単に垣根と帆風の力を足したのではなく何倍…いや何十倍、何百倍にも引き出す…それが未元天衣だ
「……チッ、所詮はカッコだけだろ!」
シェリーがオイルパステルを走らせ魔法陣を描き岩の巨大な拳が帆風の左右に現れる。そしてその二つの拳が帆風に迫り彼女を潰そうとする。対して帆風は逃げる事なくそのまま拳に押し潰された、それを見てシェリーは笑みを浮かべ…そして重なり合った両拳が砕け中から無傷の帆風が現れ目を見開くシェリー
「な、無傷だと……!?」
「残念ですが…貴方のその魔術も岩巨人も貴方が囚われている過去の
帆風は右拳で握りしめながらシェリーを見る、お前では自分を倒せない。諦めろとでも言うかのように…だがシェリーは諦めずオイルパステルを走らせ岩の腕を帆風に伸ばす。彼女はそれを回し蹴りを放つ事により一掃しシェリーへと拳の衝撃波を放つ。それを土塊の防壁で防ごうとするも呆気なく破壊されシェリーが吹き飛ばされる
「が、っは……くそ!舐めやがってぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」
ーーーヴオ"オオオオォォォォォッ!!ーーー
シェリーの叫びと共にゴーレム=エリスが再び姿を現わす。
「やれエリス!あの女を殺せ!」
ーーーヴオ"オオオオォォォォォッ!ーーー
「……………」
命令に従い彼女へ拳を突きつけるエリス、そのアームハンマーは圧倒的な破壊をもたらす死の一撃…それに対し帆風は両手を構え精神統一する
「甘えよシェリー=クロムウェル。そんな人形じゃ今の潤子ちゃんを止められねえよ」
多才能力で発動させた風力使いの力で大気を足場にし宙に浮く。そして空中からシェリーを見下ろしながら彼は笑う
「今の潤子ちゃんにお前の
目を瞑り精神統一していた帆風は目を勢いよく開きサンダルフォンの力を降ろす。放つは最大の一撃…大きく息を吸い身体を回転させる…瞬く間に彼女は白き風纏う竜巻となりゴーレム=エリスの拳に激突する
「はあああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
エリスの拳が削られていく…それはまるで風化した岩の様に…そしてエリスはその竜巻に巻き込まれ身体を消滅させていく…シェリーもその竜巻に呑まれドレスを切り刻まれていく
ーーーヴオ"……オ……オォォ………ォ……ーーー
「があああああああああああ!!?」
竜巻の中から二つの悲鳴が轟く、そして竜巻が消えた後に残ったのはエリスだった土塊。そしてエリスの術者たるシェリーが横たわっていた…彼女の霊装であるワチェット=レトも粉々に砕け力を失っていた
「………ふう」
帆風はエリスとシェリーを倒したと知るとその事に安堵し息を吐く、それと同時に未元天衣が光となって消え元の姿に戻る…そしてふらりとした彼女の身体を垣根が支える
「大丈夫か潤子ちゃん?」
「……ええ、大丈夫ですわ…でも…少し疲れてしまいました」
「だろうな。ま、シェリーを倒したんだ。もう安心していいだろ。頑張ったな」
帆風は自分を支えてくれた垣根に感謝し笑いかける、垣根もよく頑張ったと帆風の頭を撫で彼女は少し頬を赤く染めながら嬉しそうにより一層笑う
「く、はは……あはははは……」
そんな二人を嘲笑うかの様にシェリーが笑う、それを訝しげな目で見る帆風と垣根
「何笑ってやがる」
「これが笑えずにいられるか。何せお前らの足止めに成功したんだからな」
「………足止め?」
シェリーは自分の役目は終わったと言わんばかりに笑みを浮かべる…その直後垣根の携帯が鳴り響く。垣根は携帯を取り出して通話に出る
「はいはい、こちら垣根だ。今こっちは取り込み中なので掛け直して…『巫山戯てる場合じゃねェンだよていとくン!』……アー君?」
電話の主は一方通行だった、彼の焦っている声を聞き垣根は眉をひそめる
「なんでそんなに焦ってんだ?」
『焦るに決まってンだろ!何度も電話したのに繋がらねェンだからな!いやそれよりも大変なンだ!麦野のダチのフレンダと浜面の仲間の駒場が魔術師に襲われた!それにフレンダの妹のフレメアがそいつに攫われたンだよ!』
「「!?」」
「はっ………!」
一方通行がフレンダと駒場が魔術師にやられ、フレメアが誘拐されたと電話越しに叫び驚愕する帆風と垣根…それを見てシェリーは笑う
『いいから早く来てくれ!麦野と浜面がその魔術師を探しに勝手にいなくなっててな!早く探さねェと!』
「ああ、すぐに行く待ってろ」
垣根は通話をやめると笑い続けるシェリーに歩み寄り彼女の襟首を掴む
「テメェ……足止めったよな?他にも仲間がいんのか?答えろ!」
「……ああ、学園都市に潜り込んでたのは私一人じゃねえ。もう一人上里て奴のシンパの…名前は忘れちまったがもう一人魔術師が学園都市にいる」
「「!?」」
もう一人魔術師が学園都市にいると吐き驚く二人、そんな二人を見てシェリーは更に笑みを深くする
「私としてはどっちでもよかったんだよ。私がお前らを殺すのでもあの女があのガキを殺すのでも…どちらにせよ戦争が起こる。それで私の願いも叶うんだからな」
シェリーはそう言って笑う、自分が垣根と帆風を殺すのもよし。獲冴がフレメアを殺すのもよし。両方とも成功してもよし。どちらにせよシェリーが望む魔術サイドと科学サイドの戦争は始まるのだから
「さあ……戦争のカウントダウンが始まったぞ」
第十九学区の廃工場に麦野と浜面は辿り着きその中へと入った…その中は暗闇で窓から差し込む薄い太陽の光しか光源がない…そんな工場の中心にドラム缶の上に座る獲冴と鎖で繋がれたフレメアがいた
「フレメア!」
浜面がフレメアの元へと駆け出そうとするが麦野がそれを制す、相手は魔術師だ。一般人の浜面では相手にならないと思っての考えだった
「テメェが魔術師か…舐めた真似しやがって…ぶっ殺してやる」
「はは、口だけは達者だな…だが私にお前は絶対に勝てない…そうだろ
原子崩しを携える麦野に対し獲冴はニヤリと笑い自身の背後に悪霊を顕現させる。その名は天満大自在天神…生前は菅原道真と呼ばれた霊を呼び出す
「死ね」
麦野が原子崩しを放つ、緑の閃光は獲冴へと迫り…
「あ?」
「おいおい……天神様の事も知られねえのかよ学園都市の奴らは?」
眉をひそめる麦野に明らかに舐めた顔をする獲冴。そして指を鳴らすと天満大自在天神が放電し始め空から稲妻が降り注ぐ。麦野はそれを原子崩しで軌道を逸らす
「く……!?」
麦野は内心舌打ちする、美琴の様な雷を操る敵とは相性が悪いと自覚しているからだ。だがそれだけでは獲冴は終わらない
「まだだ…これでは終わらせないぜ!」
彼女がそう言って取り出したのは緑の小麦を象った装飾品を取り出す…それを見た麦野は以前戦った宛那を連想する
「まさか、それは……!」
「ああ、宛那と同じ神威混淆の一つ…オシリス=ハデスだ」
獲冴はそう言って笑いながら自分の胸にオシリス=ハデスを突き刺す、そして胸に吸い込まれ彼女の服が変わっていく…古代エジプトの王が着ていた服となり右手には小麦に包まれた10円玉が詰まったペットボトルを持つ
「これが神威混淆か…力が漲ってきやがる。さて一丁大将の為に頑張りますか」
そう言って彼女は笑う。全ては上里翔流の為に彼女は自分の持てる全てを賭けてでも彼女は戦うのだ…かくして超能力者と無能力者、魔術師との戦いが火蓋を切られたのだった
シェリーさんは猛威を振るってたけど覚醒した縦ロールちゃんには呆気なく負けたご様子。でも獲冴さんと手を組んでたからていとくんと縦ロールちゃんを引きつけて足止めしてた時点でもう役目を終わらせている…中々の策士ですね
そして獲冴さんも神威混淆を使うという…困ったときは神威混淆、ボスが弱い?なら強くすればいいじゃない。それが作者の考えです。気に入らない方がいたらごめんなさい。因みにワチェット=レトは術者本人は弱いですが異能生命体はクソ強くなるという霊装。術者本人の攻撃力という点では神威混淆の中では一番弱いです。なおオシリス=ハデスもワチェット=レトと似た様な効果です
未元天衣のモチーフはブラッククローバーのノエルの「海神戦乙女の羽衣鎧」と文ストの新双黒の「月下獣羅生門・黒虎絶爪」ですね。未元物質の防御力と天使崇拝での力を全力以上で発揮できる。更に覚醒した未元物質が起こす物理法則も発揮出来るチート性能…しかと今回発揮したのはまだ一部という…また出す予定なのでお楽しみに