むぎのんも最初は「麦野?あ、あのビームでるおばさんか」て印象だったけど今では好きなキャラの一人です。やっぱり自分とあるで嫌いなキャラなんて殆どいないんじゃないかな?ただし蠢動とニコライ(ロシア成教の人)、テメェらはダメだ
さて今回は獲冴vsむぎのん&浜面…浜面がカッコよくかけてるか不安です
「さあ行くぞ超能力者、大将の為の礎となれ」
獲冴
「な!?包帯を操る能力か!?」
「……そういや浜面は魔術の事知らなかったな」
麦野は今更ながら浜面が魔術の事を知らない唯の一般人である事を思い出した。彼女は浜面が怪我をしない様に原子崩しで包帯の槍を迎撃し焼き払い獲冴を狙う。だが獲冴を狙った原子崩しは背後に佇む天満大自在天神の力により原子崩しの軌道が変わり獲冴から逸れていく
「無駄だぜ、お前の能力は電子を操る力だ。いくら威力が高くても…天満大自在天神の前じゃあ意味はねえよ」
獲冴はそう宣言する、天満大自在天神がいる限りお前の攻撃は絶対に自分には届かないと。それに苛立った麦野は更に原子崩しを放つがやはり天満大自在天神の力により逸れてしまう
「くわばらくわばら、て知ってるか?」
「……確か雷除けのまじないだったか?それがどうしたってんだよ?」
「くわばらてのは桑原、天神こと菅原道真の故郷の名だ。怨霊となった菅原道真は復讐の為に雷を落としたが桑原には雷を落とさなかった…その逸話の再現だよ」
「?どう言うことだ?」
(……成る程、つまり私の原子崩しを雷に見立ててあいつに当たるのを阻止してるのか…私や御坂の天敵じゃねえか)
浜面は獲冴が何を言っているのかさっぱり分からなかったが麦野は理解した。要するに菅原道真…天満大自在天神が故郷に雷を落とさなかった逸話から術式を構築し麦野の原子崩しを逸らしているのだと
「浜面は下がってろ!あいつは超能力者並みの実力者だ!お前じゃ手も足も出ねえ!」
「!……でもお前一人で戦わせるわけには…!」
「心配すんな!私は第四位だ、一人くらいなんとかなる!」
「へぇ…言うじゃねえか。ならどこまで持つか楽しみだ!」
浜面に下がる様叫ぶ麦野、獲冴はペットボトルの蓋を開け何枚か10円玉を取り出しそれを空中へと放り投げる
「コックリさん、コックリさん、おいでください…招来 建勲」
宙に投げられた10円玉が紅蓮の炎を纏う、コックリさんの術式で呼び出したのは比叡山焼き討ちを行なった戦国時代の武将 織田信長の霊を呼び出し10円玉に宿したのだ。炎の弾丸となった10円玉は麦野へと向かう
「チッ…建勲だがなんだか知らねえが…邪魔だ!」
麦野はそう言って原子崩しを放つ、原子崩しの威力は並大抵の物質を軽く破壊する程だ。だが炎の弾丸はその原子崩しを突き破って麦野へと迫る
「な……!?」
0次元の極点ですぐさま回避する麦野、だが自分の原子崩しを破られた事に驚愕を隠せない
「何驚いてるんだ。オシリス=ハデスで強化してるとはいえ祀られてる神様だぞ?そんなビーム如きに負ける筈がねえんだよ。なにせ神仏を焼き払った魔王の炎なんだからな」
獲冴はそう言って笑いながら10円玉に建勲の炎を宿らせマシンガンの如く放つ。その一発一発が原子崩し以上の威力を持ち下手をしたら液状被覆超電磁砲並みの威力があるかもしれない。麦野はそれを0次元の極点で避け続けながら死角から原子崩しを放つがどれも天満大自在天神の力で捻じ曲げられてしまう
「コックリさん、コックリさん、おいでください…招来 豊国大明神」
次に呼び出したのは一夜で城を作り上げた逸話を持つ天下人 豊臣秀吉の霊を呼び出し麦野が0次元の極点で転移させた瓦礫の雨を一瞬で空中に作り上げた城壁で防ぐ
「なめんな!」
「……ッ!」
全方位から原子崩しを放ち獲冴はそれを天満大自在天神の力で逸らす、だが麦野は能力も何も使わず走って獲冴に接近する。獲冴は天満大自在天神に命令し稲妻を降り注がせるが麦野はそれを原子崩しで逸らす
「その亡霊が私の原子崩しを逸らせるのなら私も同じ事ができる筈だよなぁ!」
「マジか…やっぱり超能力者てイかれてやがんな」
獲冴は包帯の槍を形成し彼女へと迫らせる、それを原子崩しの壁で防ぎ彼女の顔面を殴りつける
「が、ぁ!?」
後方へと退がる獲冴、だが麦野は追撃を止めず何度でも彼女の顔に拳で殴りつける。がら空きの腹に蹴りを叩き込み首を掴んで獲冴を投げ飛ばす
「ぐ……調子に乗んな!」
彼女がそう言ってペットボトルを振るうとコンクリートの地面からブドウやザクロの実がついた木々が生えその枝先が槍や杭の様に麦野に迫る。それを0次元の極点で避け遠距離から原子崩しで焼き払う…そんな一瞬の間に獲冴は新たな霊を呼び出す
「コックリさん、コックリさん、おいでください…招来 東照大権現」
呼び出すのは生前は徳川家康と呼ばれた霊、薬師如来を本地とするその霊はあらゆる傷を治癒する能力を持つ。獲冴はそれの力を使って殴られて赤くなっている場所を治癒する
「ふぅ…怪我してたら大将に心配かけるからな。それに怪我してたら他の奴らに大将を取られちまうからな」
(あいつ……戦闘中でも自分の身体の心配をしてやがる…どういう神経してんだよ)
獲冴の戦いで傷を負ってそれが後に残らない様に治癒する姿を見て浜面は憤りを感じる。フレンダと駒場を傷つけてフレメアを攫った挙句、今度は自分と麦野を攻撃して当の本人は傷つきたくないと考える…そんな考えが浜面は許せなかった
「余裕ブッこいてんじゃねえぞ!」
能力が効かないのなら拳で倒す、麦野は拳を大きく振るい原子崩しの反動を利用した高速移動で一気に詰め寄る…そんな彼女を見て獲冴はほくそ笑んだ
「コックリさん、コックリさん、おいでください…招来 武振彦命」
獲冴が呼び出したのは独眼竜と呼ばれた武将 伊達政宗。かの霊は麦野の目の前に現れて日本刀で麦野に斬りかかる、それを麦野は原子崩しを振るいまるでレーザーソードの様に扱い日本刀ごと武振彦命を切断する。霧散していく武振彦命を尻目に獲冴へとドロップキックを放つ
「チッ!」
ペットボトルを盾にしてドロップキックを防ぐ獲冴、だが麦野は空中で半回転し牽制として原子崩しを五発放つ。当然逸らされるがその反動で麦野は獲冴から離れた地点へ着地、
「そっちに気を取られてんじゃねえよ!」
「な……!?」
背後に現れた麦野が正面の原子崩しに意識を向けていた獲冴に周り蹴りを放ち彼女を5メートルほど吹き飛ばす、獲冴は廃工場の壁に激突し肺から酸素を吐き出す。麦野は更に追撃を行おうと走り出そうとするが足が動かない事に気付き足元に目を向けると足は地面から這い出た包帯に足を絡まれ抜け出せないでいた
「お返し、だ!」
「ぐっ!?」
身動きの取れない麦野に獲冴は接近すると先程のお返しとばかりに麦野の顔面に蹴りを放つ、倒れかける麦野に空中から包帯を出現させ両腕を拘束しそのままサンドバッグの様に麦野を何度も殴りつける
「さあ…そろそろ殺すか」
そう言って獲冴は包帯を自分の右腕に巻きつけ槍の様な形状にする。その包帯の槍を麦野の身体に向け心臓の位置に狙いを定める
「あばよ超能力者」
その一言と共に包帯の槍は麦野の心臓を狙う
「くそ!こいつ自体が囮とはな!すっかり騙されたぜ!」
垣根が叫ぶ、帆風は未元物質の紐で縛って拘束したシェリーを肩で担いで垣根の隣を走る…二人は魔術師を追って消えた麦野と浜面の行方を探す。上条達も同じく麦野と浜面を探している様だが一向に見つからない様だ
「は、無駄だ。あの女は頭悪そうだが上里とか言う奴の為なら何でもする女だ…いくら探しても無駄だろうな」
「……………」
シェリーは獲冴は上里が関わればヘマなどしない奴だと笑いながら告げる。彼女のいう通り美琴は学園都市のカメラの映像から二人を探そうとしているが麦野と浜面が一方通行の前から去った時間帯からどのカメラも機能停止していた…垣根と帆風には知る余地はなかったがそれは獲冴が呼び出した天満大自在天神の電撃でカメラだけをピンポイントに機能停止させたのだ
「私としてはお前らを殺すのでも良かったが…まあ保険をかけておいて正解だったな。超能力者が魔術師に殺されたとなれば科学サイドも魔術サイドを敵視するだろうしな…当然戦争が起こる。これで私の目的は果たされるのさ」
シェリーは麦野が殺されれば科学サイドと魔術サイドの戦争が起こると笑う、そうすればもう2度と関わり合い重なり合う筈はない。エリスの悲劇は繰り返されないと満足げに笑う…そんな彼女を見て帆風は一言呟く
「本当にそれでいいと思ってるんですか?」
「あぁ?」
「わたくしは20年前のことなど知りません。ですが貴方が学園都市の方とお友達になった事は分かります」
帆風は20年前の事件など知らないし何の関わり合いもない。そんな当たり前の事をほざく帆風をジロリと見つめるシェリー
「科学サイドと魔術サイド…確かにこの二つは交じり合ってはいけないのかもしれません」
「は、その通りだよ。今更分かっても遅え…」
「でも分かり合えないことはありません」
「……あ?」
帆風の言った言葉をシェリーは理解出来なかった。帆風はただ淡々と言葉を綴っていき垣根とシェリーはそれを黙って聞いていた
「だって貴方とそのお友達は友達になれたんです。なら魔術サイドの皆さんもわたくし達と仲良くなれない道理はありませんわ」
「……分かってねえじゃねえか!お前みたいなのがいるからエリスの時と同じ過ちを何度でも繰り返すんだよ……!」
シェリーとエリスが友になれた様に、きっと魔術サイドも科学サイドも仲良くなれる。そう垣根のお陰で学園都市がイギリスやバチカンの魔術サイドと友好を結んでいる様に。シェリーはそんな帆風に分かっていないと怒りの眼を向ける。そんな考えの奴がいるから過ちは繰り返されるのだと
「いいえそんな事はありませんわ。少なくとも過ちを何度も繰り返すほど人間というのは愚かではない筈です」
「馬鹿か!人間は何度でも同じ過ちを繰り返すんだよ!核だの人種差別だのそれらが一度でも繰り返されなかったことはあんのか!?ねぇだろうが!」
「でもわたくしは信じています、お互い住む場所を隔離するのではなく手と手を繋いで分かり合える…そんな日が来るのを」
「分かんねえ奴だな!そんなもん幻想に過ぎねえんだよ!そんなもんが実現してたらエリスはなぁ、死ななくて良かったんだ!」
あくまで自分の夢物語を語る帆風と自らの感情を吐き出すシェリー、帆風の語る言葉は正論ではなく自分の理想だ。対してシェリーが語るのは正論…だが帆風は自分の意思を曲げない。例えそれが夢物語でも単なる空想でも…魔術サイドも科学サイドも、誰もが笑ってられる世界の方がいいからだ
「……お前は知らねえだろうがな、学園都市には学校に通ってる魔術師がいる。そいつらは魔術サイドだの科学サイドだの関係なしにこの学園都市での日常を楽しんでんだよ」
垣根がそう言って脳裏に浮かべるのは学校に通って毎日楽しそうにしているインデックス達、彼女達は本来は魔術サイドにいるべき存在。だが彼女達は今科学サイドである学園都市で青春を謳歌している
「魔術サイドの人間は魔術サイドに、科学サイドの人間は科学サイドに…そんな誰が決めたわけでもねえ下らねえ境なんざクソくらえだ。俺はそんな魔術と科学の領分とかいがみ合いは興味ねえんだよ。和平してハッピーエンド。それで充分だ」
垣根はカプ厨だ、上琴や上食、ステイン、オッシルが好きだ。だがカップリングと同じくらい人が笑っている顔が好きだ。人が笑っていない世界など地獄でしかない。魔術と科学がいがみ合ってそれで悲しむ人がいるならそんな争いなど終わらせてやる、科学と魔術が手を組んでそれで人が笑顔になるなら喜んで垣根は魔術と科学を結ぶ架け橋になろう
「俺は人の不幸が大嫌いだ、だから今の学園都市と魔術サイドの関わりは好きなんだよ。アレイスターの魔術嫌いはまだ治んねえがリリスが戻って来てあいつにも笑顔が戻った。氷華もインデックスと友達になれて良かった…だから今の関係は絶対に壊させねえ」
「垣根さん……」
だからこそその関係を壊そうとする獲冴が許せなかった。自分の欲の為に魔術サイドと科学サイドの関係を壊そうとする獲冴を何としても止めようと呟く垣根のその顔はいつになく真剣そのものだった
「………」
その横顔を見ながらシェリーは昔
『シェリー、僕ね魔術サイドの皆ともお友達になりたいんだ』
エリス=ウォリアーはそう笑顔で呟いた。当時は内気だったシェリーは笑顔の少年に首を振った
『……無理よ、魔術サイドと科学サイドは常にいがみ合ってるもの…今は手を結んでても…掌返しがいつ始まるか分からないよ』
『
だがシェリーの言葉を聞いても彼の考えは変わらない。彼は朗らかな笑みでシェリーに語りかける
『僕らはきっと分かり合える!その為にはお互いを知ることから始めないと!互いのことをよく知ってお互いの良い所や悪い所を知ってから初めて僕らは分かり合えるんだよ!』
『……出来るかな』
『出来るよ!だって僕とシェリーはこうして友達になれたんだもん!僕らに出来たなら魔術と科学も出来るよ!僕とシェリーで架け橋になれば後の人達もそれに賛同してくれる!僕らはその最初の一歩を踏み出すんだ!』
エリスの考えは子供らしく純粋無垢だった、だからこそシェリーはエリスの考えを聞いて笑ったのだ…彼とならいつかその夢を実現出来るかも知れないと
『……なら頑張らないとね』
『うん!だからもっとシェリーから魔術の事を教えて欲しいな!僕も学園都市について教えるから!』
「………エリスみてえな馬鹿がこんな所にもいたのか……頭の中お花畑な奴らだな」
「ま、俺と潤子ちゃんはメルヘンなんでね」
「勝手にわたくしをメルヘンにしないでください」
亡き友と目の前の二人を重ねるシェリー、垣根と帆風は科学サイドの人間でも関わらず魔術が使える…つまり魔術と科学が交わった能力を持つ…そんな二人だからこそ魔術と科学の架け橋になれるのかもしれない…そう自分で考えてシェリーは笑った
「………お前らみたいな奴が20年前にいたらエリスは…いや言わないでおくか。過去は変えられねえんだしな」
もう一度だけぐらいなら信じてみよう。亡き友の意志を目の前の二人が果たせるのかほんの少しだけシェリーは興味が湧いた
「……たく、私は本当に信念がコロコロ変わるもんだな…我ながら嫌になる」
シェリーがそう皮肉げに笑い目を瞑る。そんな彼女を見て帆風が微笑んだ直後。第十九学区の場所から緑色に光る柱がブワッと音を立てて空に昇った
「!?」
思わず足を止めて帆風はその光の柱を見入る。天を穿たんとばかりに放たれたその二つの光の柱、その色は緑で何処か見覚えがあった…そしてその二つの緑の柱の横には巨大な黒い太陽が佇んでいた
「………まさか」
垣根がそう呟くと光の柱は徐々に薄れ消えていく…だが今のではっきりと分かった。自分達が探している人物は第十九学区にいると
銃声が鳴り響いた、カランと地面に弾丸が落ちた。その弾丸をつまらないものを見る目で一瞥した獲冴はその目で自分を撃った人物へと顔を向ける
「……私の狙いはお前じゃねえんだけどなぁ」
「知るかよお前の勝手なんか」
撃ったのは浜面だった、彼は同じスキルアウトの半蔵から貰ったレディースの小型の拳銃だ。使い勝手が悪い拳銃だが浜面にとってこれはもしもの時の護身用なのだ、手の馴染む拳銃など持っていたら余計な血が流れる。それを嫌って彼は敢えて使い辛いこの拳銃を持っている…願うなら使わずに済むように…だがそれでも彼がこの拳銃を抜いたのは他でもない、
「俺のダチからその薄汚え手を離しやがれ」
「……ムカついた。本当なら超能力者だけを殺す予定だったが…お前もついでにこの女と同じく処分してやる」
拳銃を向けながらそう獲冴に向けて言う浜面に彼女は苛立ち包帯を空中に出現させ槍の如く放つ。それを彼はスポーツ選手並みに鍛え上げた身体の身体能力を活かし避ける。そして引き金を引き弾丸を放つ
「はっ」
それを盾の様に展開した包帯の壁で防ぎ浜面の足元にブドウとザクロの木々を出現させ浜面を串刺しにしようとする、だが浜面はそれを直感で感じ取り避け三連続で引き金を引き3発弾丸を放つ。それをブドウとザクロの実を弾丸のように飛ばす事で相殺し弾丸に当たらなかったブドウとザクロの実は地面に着弾と同時に爆裂、浜面はその爆発に巻き込まれ吹き飛ばされる
「がはっ!?」
地面に倒れた浜面に空中から次々と包帯の槍が彼を襲い彼は転がる様に横に避ける。そして手早く拳銃の弾倉を交換し引き金を引きまくる。それを獲冴はペットボトルを振り回し野球のバットの様に弾丸を打ち返す
「んな玩具でやられるわけねえだろ、天満大自在天神」
天満大自在天神は空から稲妻を落とす、廃工場の天井を突き破って飛来する稲妻を浜面は何とか避けるも獲冴がペットボトルを持って突進するなを目にし懐からある物を取り出す
「変……身!」
ペットボトルが浜面の無防備な腹に届く瞬間、黒い手がペットボトルを掴む。驚いた顔で獲冴が浜面を見ると彼はヒーロー染みた黒いプロテクターがついた灰色のライダースーツの様なボディースーツとフルフェイスヘルメットを着用した浜面が立っていた
「…
「違うな…これは正義のヒーローの姿てヤツだ!」
浜面はそう言ってペットボトルを掴んだまま獲冴を天井へ投げ飛ばす。天井へ投げ飛ばされた獲冴は空中で半回転して天井を足で蹴りつける。その勢いで浜面へと弾丸の如く迫り浜面は地を蹴りその攻撃を避ける。そして今だに麦野を拘束している包帯を掴むと駆動鎧のパワーを活かし包帯を引き千切る
「無事か麦野!?」
「……何で助けやがった」
「決まってんだろ、友達だからだよ」
そう言って浜面は獲冴と向き合う、獲冴は廃工場の床に出来たクレーターの中心部に立ちペットボトルの蓋を開け10円玉を七枚か取り出す
「コックリさん、コックリさん、おいでください…将来 平将門」
呼び出したのは天満大自在天神と同じ日本三大怨霊の一人 平将門。10円玉が七枚なのは彼の影武者の数からだろう。見るからに危険を感じさせる毒々しい邪気を10円玉に纏わせ浜面に狙いを定める。彼は最大速度で駆け出し攻撃を避けようとしそれを追尾するべく七つの凶星が彼の後を追う
「チッ!訳の分かんねえ能力だな!コックリさんとか占いじゃねえのかよ!」
「私のは霊を呼び出す、その一点を強化して工夫して術式にしたんだ。普通のコックリさんと一緒にすんなよ。これは私だけの魔術なんだならな」
「だぁ〜!術式だの魔術だの俺にはよく分からん!だがその力でフレンダと駒場を傷つけて麦野を殺そうとしたのは分かる!俺は絶対に、お前を許さない!」
浜面は魔術の事など知らない、だが大事な友達を傷つけられるのをよしとしない。例え相手が未知の力を使う相手でも、自分では決して勝てない相手でも、浜面は退かない
「うおおおぉぉぉぉぉぉぉ!」
跳躍。大ジャンプし浜面は廃工場の壁際の二回の柵を掴む。そして軽業の様に身体を捻り足で壁を蹴りつけ地面へと着地。七つの凶星はその動きに対処できず壁に激突し壁が綺麗さっぱり消滅する。その威力に冷や汗をかきながらも浜面は獲冴へと駆ける…そのスピードは聖人の様な高速移動でも削板の様な音速の何倍でもないただの駆動鎧で強化されただけの速さだ。だが普通の人間が走るのよりは速い
「これでも喰らいやがれ!」
「!?」
浜面の右ストレートが獲冴の顔面に炸裂する。獲冴は後方へ3メートルほど吹き飛ばされる。その拳の威力は銃弾ほどで攻撃速度とそのパワーが合わされば常人など肉塊になるほどだ。だが流石は神威混淆。その拳を喰らってもなお精々思い切り鉄パイプで殴られた程度の痛みしか感じていないだろう。彼女は鼻から流れる赤い血を拭い浜面に怒りの眼を向ける
「……お前が初めてだよ。ここまで私を怒らせた奴はなぁ!」
「!?」
怒声と共に濃い殺気が廃工場の中に充満する、浜面がそれに驚いた一瞬で獲冴は浜面に接近。浜面の腹に蹴りを1発、よろけた所に拳を叩き込む
「がぁ…!?」
「おいおい。へばってんじゃねえぞ!」
バットを振る様に思い切りペットボトルをスイング、フルフェイスヘルメットに亀裂が走る…だがこのくらいでは彼女の怒りは収まらない
「もっと力を出せよ天満大自在天神!最も恐れられる怨霊の一人ならこいつを焼き殺せるぐらいの雷霆を落としやがれ!」
獲冴が人々が天神様と崇める存在に無礼極まりない言葉で命令する。彼女にとって上里こそが全て。神様だろうが何だろうが上里よりは下なのだからわざわざ敬語を使う必要がない。そんな傲慢な願いも顔色一つ変えず天満大自在天神は空からゴロゴロと轟雷を響かせ電撃を集め特大の雷霆を落とそうとする
「消し炭になりやがれ!」
「ま、じか……」
それは浜面ただ一人を狙う為に一点に集中させた死の雷だった。光ったかと思うとそれは勢いよく浜面目掛けて放たれ浜面の命を刈り取る…筈だった
「させるかぁぁぁぁぁぁ!!!」
麦野が目の前に立ちその雷をいくつもの原子崩しを空中に携え全力で逸らした。廃工場を逸れ大地を焦がす雷霆…獲冴は舌打ちする
「……無事か浜面」
「麦、野…」
「たく無茶しやがってよ…お前自分が無能力者だって忘れてんじゃねえか?」
麦野は両腕で浜面を持ち上げて廃工場の端っこの方にゆっくりと下ろす
「……無能力者だからなんだってんだよ」
「……あ?」
「俺は麦野みたいに凄え能力なんか持っちゃいねえ…でも、だからてお前と一緒に戦うなてルールはねえだろ」
「………」
「お前だって…超能力者だって人間だ。決して万能じゃねえ。
浜面は麦野を一人で戦わせたくなかった、そんな彼の言葉を聞いて麦野は漸く理解した。フレンダと駒場が傷ついてフレメアが攫われて怒りで我を忘れていた。その所為で冷静さを失い獲冴に不覚を取ったのだと
「……ごめん」
「……何謝ってんだよ」
「私が冷静さを欠いた所為で浜面も傷を負った…それを誤ってんだよ」
「そんな事かよ、こんな怪我路地裏の喧嘩と比べればマシだぜ。それに俺は嬉しいんだよ」
麦野が浜面に謝罪の言葉を呟くと浜面は気にしていないと笑う
「俺みたいな無能力者でも超能力者を助けられるんだって、それが分かって俺嬉しいんだ」
「……馬鹿だな、お前は最初から役に立ってるよ…ま、そこで休んどけ。後は私があいつをぶっ倒してフレメアを助けてやるからよ。お前は後ろで私の大活躍を眺めて後で讃えろ」
「………ああ、今からお前を讃える言葉を考えとくぜ」
麦野はゆっくりと立ち上がって獲冴へと近づく、対する獲冴は不敵な笑みを浮かべながらペットボトルの蓋を開け飲み口を麦野へと向け悪霊を降ろす
「コックリさん、コックリさん、おいでください…招来 建勲」
紅蓮の炎を纏った10円玉がペットボトルの飲み口からガトリング砲の様に勢いよく放たれる。一発一発がコンクリートの地面を抉り人体など燃やし尽くしてしまう程の火力だが麦野は原子崩しの壁を展開する事でガードする
「ほらよ」
「天満大自在天神!」
右手を軽く振るうと数十発の原子崩しが獲冴へと放たれる、それを獲冴は天満大自在天神の力で逸らす。だが逸らした直後に背後に麦野が現れ彼女の回し蹴りを喰らって吹き飛ばされる
「がぁ!?くそ!」
獲冴の包帯の槍とブドウとザクロの木々が麦野を串刺しにしようと迫る。それに対し麦野は原子崩しを横に振るい包帯の槍と木々を焼き切る。飛んできたブドウとザクロの実は原子崩しの壁で防ぎ0次元の極点で獲冴…ではなく天満大自在天神の背後に接近する
「な!?」
「お前に効かねえなら…こっちを攻撃してみるか!」
天満大自在天神がいる限り獲冴には攻撃が届かない、ならいっそ天満大自在天神から倒せばいい。そう考えた麦野は無防備な天満大自在天神に原子崩しを放ち身体に穴を開け光の粒子となって消える
「これでもう原子崩しは逸らせねえよな?」
「は!一度くらい倒した程度で粋がるんじゃねえ!また呼び出せばいいだけだ!コックリさん、コックリさん、おいでください…招来 天満大自在……」
また獲冴が天満大自在天神を召喚しようと言葉を言い始めたその瞬間、銃声が鳴り響き獲冴の背中から血が飛び出る
「へ……俺を忘れちゃ困るぜ」
「ナイスフォローだ浜面!」
「て、テメェぇぇぇぇ!!!」
浜面がほくそ笑むと麦野が賞賛を送る。獲冴は目を剥き出しにして絶叫し麦野に包帯の槍とブドウとザクロの木々で攻撃する。だが麦野は0次元の極点でそれを避け獲冴の真上に現れドロップキックを顔面に喰らわす
「がばあぁぁぁ!?」
地面に倒れた獲冴は憎々しげな顔で隠し持っていた10円玉を投擲、前もって宿らせておいた平将門の黒い呪詛を纏った凶星が麦野へと迫り彼女はそれを原子崩しで相殺する
「くそ…!コックリさん、コックリさん、おいでください…招来 建…」
「させねえよ!」
次の怨霊を呼び出そうとする獲冴だが唱え終わる前に麦野は拳を突き出し彼女の顔面を殴りつけ吹き飛ばす
「が…!?」
「そんなもんか、この前の宛那て奴の方が強かったぞ」
宛那は獲冴と違った、彼女は正々堂々とたった一人で超能力者六人に挑んできた。だが獲冴は違う、自分一人をおびき出し人質をとって仲間を傷つけて、自分より弱い浜面をいたぶる…そしてその力も悪霊…誰かの力を借りているだけだ。そんな奴が強いわけがない
「確かに宛那て奴よりも一味違うようだな。お前の方が遥かに弱えからな」
「ッ!?私が…宛那よりも?……ざけんなァ!」
宛那より弱い、その一言にキレた獲冴は激情に身を任せて包帯の槍やブドウとザクロの木々で攻撃、だが攻撃は一撃たりとも麦野にら当たらない
「私は宛那みてえな愚図とは違う!あいつは…いや私以外の奴らとは違うんだ!私は大将の幼馴染だ!他の奴らなんざ所詮は他人だ!だが私だけは違う!去鳴は所詮義妹、私こそが大将の一番信用されてるんだよ!」
「………哀れだなお前」
「あぁ!?」
獲冴は上里の幼馴染だ、
「上里がお前の事をどう思ってるかなんざ知らねえ、だがお前のそれは単なる独りよがりだろ…そんな女はモテねえぞ」
「……おいおい、その頭は腐ってんのか?んなわけねえだろ…どうやら馬鹿は殺さねえと治らねえみてえだな!」
麦野の言葉に激昂した獲冴はペットボトルから一枚の10円玉を取り出し、それを
「は!?お前何して…」
「黙ってろ!私は一番大将の役に立つんだ!それを証明させてやる!コックリさん、コックリさん、おいでください…招来崇徳院!」
彼女は自らの身体を依代として日本最大最凶の怨霊神にして最強の妖怪 天狗の王たる天狗道に堕ちた太陽神の血を引く一族の者をその身に降ろす…獲冴の背中から黄金の光が炸裂し彼女の背中から鳶の翼の形状に似た金色の翼が出現する。そして廃工場の穴の空いた天井から天空に出現した直径六十メートル程の黒太陽が佇む
「これが日本最大最凶の怨霊神…崇徳院だ!」
崇徳院…日本国最強の怨霊神にして金色の翼を生やした天狗。それを獲冴はその身に降ろしたのだ。オシリス=ハデスの力と崇徳院の力が合わさりあいかつて戦った宛那に匹敵する程の力を麦野は感じた…だが彼女は怯えたりしない
「は、はははは!どうだ!これが崇徳院!私が呼び出せる最凶の悪霊だ!この力があれば私は無敵なんだ!超能力者なんざ虫みてえに潰してやる!」
実際その力の前では超能力者 第四位である麦野も蹴散らせれるしかないだろう。それ程までに崇徳院は最凶の怨霊なのだ。その強さは御使堕しで現れたガブリエルと同格。それに神威混淆の力が合わされば…無敵だろう。だが麦野は笑みを崩さない
「……馬鹿だなお前、私が負けるわけねえだろ」
「あ?」
麦野は笑みを浮かべながら獲冴に宣言する、この戦いで勝つのは
「私はフレメアを助けに来たヒーローだぞ?悪党にヒーローが負けるわけねーだろ」
「……は、面白え遺言だな……死ね」
そう言って獲冴は上空に佇む黒太陽から太陽のかけらを落とした。そのかけらは周囲一帯を焼け野原にする程の火力を誇る…当然自分は崇徳院の加護で無傷だが麦野、浜面、フレメアは骨も残らず焼き尽くされるだろう。例え原子崩しで壁を張っても防ぎようはない
「……………」
そんな絶大な威力を誇る攻撃を前にしても麦野は笑みを絶やさない…もう彼女は垣根や一方通行、削板と同じ位置に立っていた。彼女が言った通り、麦野はフレメアを助けに来たヒーローだ。だからこそ彼女は気づいていた。自分の
太陽のかけらが廃工場に着弾し周囲が焼き尽くされ爆煙が生じる。獲冴の視界が白い煙で何も見えなくなる…それを翼を羽ばたかせ風を起こし煙を吹き飛ばす…そこで見えたのは融解され尽くした廃工場
「………は、ははは…あはははは!ざまぁみろバーカ!私に歯向かうからこうなるんだよ!」
獲冴はケラケラと腹を抱えて笑う、自分の気の触ることを言うからこんな目にあうのだと
「あははははは!……さて、宣戦布告はこれぐらいでいいか…早く帰って大将に知らせなきゃな」
そう言って獲冴が踵を返し背中を向けたその時だった、視界の端から緑色の閃光が自分目掛けて飛んでくるのが見え彼女はそれを身体を捻る事で避ける。その光線は避けた先にあった建物を破壊して穴を開ける…獲冴はそれを見て恐る恐る背後を見る
「う、そだろ……あれを喰らって死なねえわけが…」
獲冴の視界に映ったのは緑色の繭だった、獲冴は確信する。あの中に麦野がいると
「……う、うう…にゃあ?ここは?」
鎖に繋がれていた筈のフレメアは麦野の0次元の極点により浜面の近くに転移させられていた。彼女は寝ぼけた眼を擦りながら目の前にいる自分の姉の知人を見て一言呟いた
「にゃあ?……天使??」
フレメアが、そして浜面が見たのは麦野の背に突如として出現した緑色の放出する翼…緑の粒子を周囲へと振りまくその翼は幻想的で同時にジェット機のジェット排気口から噴出されるエネルギーの様にも見える…それを見たフレメアは天使と思わず呟いてしまった
「成る程ね、一方通行や削板のあの翼と同じ力て奴か…一方通行といい削板といい…この翼て奴は【何かを守る時に発現する力】なのか?…ま、どうでもいいか。
そう言って笑いながら麦野は背中から勢いよく原子崩しの翼を噴出する、それはさながら火山の噴火の様、勢いよく噴出された翼は天空を穿ち空へと昇る緑色の光の柱となった
「……さあ行くぞ魔術師、これが超能力者の第四位 『
「…翼が生えたくらいで調子に乗んな。私には崇徳院の力があるんだ…その翼ごとお前の身体をへし折ってやるよ」
空に浮かぶ黒太陽の黒い炎が更に勢いよく燃え上がる、それとは逆に徐々に元の大きさに戻っていく緑の光の翼、睨み合うは超能力者と魔術師、黄金の翼を持つ者と緑光の翼を持つ者、科学の天使と怨霊の力を宿した少女、女と女同士の仁義なき戦いが今幕を開ける
コックリさんで呼び出した霊達は日本三大悪霊の平将門、天満大自在天神、崇徳院(崇徳上皇)。そして戦国武将の織田信長(正確にはそれを神格化した神号)などです。因みに獲冴が武将の霊や三大悪霊を呼んだのは「戦国武将とか強そうじゃね?あと日本三大悪霊とか強そう」という理由だったり
天満大自在天神はあの天神様出会う有名な菅原道真の名前であのインドラ(帝釈天)と梵天(ブラフマー)より授かった名前だとか、因みに平将門は菅原道真の生まれ変わりとも言われています(マイナーな説だけど)。他にも小猫丸などの有名な刀を多く所持し大蛇を仕留めた武勲にも溢れる逸話、天女を母に持つなど実に多彩な逸話がある人物です。因みに崇徳院の翼の色が金なのは八咫烏と同一視される金鵄から来ているのでは?と作者は推測しています。何せ八咫烏は神武天皇を導いた神、何より崇徳上皇は太陽神 アマテラスの血を引く天皇家の一族。翼の色が金色なのは太陽と関わり合いがあるからと見て間違いないでしょう…とあるに関係のない話をして申し訳ない
さて次回は覚醒むぎのんと獲冴(崇徳院纏い状態)です。どちらも強いのでお楽しみに
次回もお楽しみに!