そして個人的な内容ですが…面接落ちた(白目)、毎日面接練習してたのに、努力してたのに…それが一切の無駄になりましたよ…受かると思ってたらその幻想をぶち殺された…これが本当の幻想殺し…なんちゃって…はは………はぁ(溜息)
パトリシアが左手に握りしめている黄金の杖は頭には翼があり柄に2匹の蛇が巻きついている…その杖の名は
そんな杖を上里へと向け永遠の眠りへと誘おうとするパトリシア。だがオティヌスが
『「邪魔しないで下さいよオティヌスさん、私は上里さんを殺すのが目的なんですからぁ」』
「悪いが邪魔させてもらうぞ、上里翔流が死んでは困る奴らがいるのでな」
オティヌスはそう言うと槍を構えて上里を守るかの様に前に立つ
「
オティヌスを基点に、巨大な翼とも華とも言えぬ、不気味で得体の知れない紋様の形が出現。世界を弩の弦として10発の矢を放った。そしてその矢は威力はそのままに打ち上げ花火の如く分裂し星の数程の豪雨と化してパトリシアに降り注ぐ。数の概念すら無視した文字通りの必殺の矢がパトリシア目掛けて降り注ぐがパトリシアはゆっくりと口を開く
『「止まって消えろ」』
次の瞬間必殺の矢の動きが止まった、そして矢が大気に溶ける様に消えていった。それを見たオティヌスがほんの僅かに驚愕する
「何………?」
そんなオティヌスを見て小馬鹿にする様にパトリシアが笑い声を上げる
『「いひひ!トートは言霊で世界を創造したんですよぉ?なら私も言葉で全てを支配しても問題ないでしょう?」』
それはアウレオルスの
『「更にぃ!これはヘルメスの力ですぅ!」』
左手に持つ杖を振るうとパトリシアの身体がオティヌスの目の前に現れる。そしてそのまま杖を横に振りオティヌスは主神の槍で杖を防ぐ
「…瞬間移動の様なものか」
『「正解〜、ヘルメスは境界の神にして旅人の神、道祖神の様な神ですからねぇ。でも…単なる空間転移とは違うんですよね〜これが」』
そう言うとパトリシアは上里が立っていた場所へと現れ、上里はパトリシアが立っていた場所に現れる。オティヌスはその光景を見て目を見開きながら悟る。これは空間と空間の交換だと
『「暴風で吹き飛べ」』
パトリシアの右手から高層ビルを豆腐の様にボロボロにする暴風を発生させる。オティヌスは槍を振るい同じく暴風の壁を形成し攻撃を防いだ
『「幾千の剣よ、穿て」』
その言葉と共に千を遥かに越す鋼で出来た無骨な剣が出現。風切り音を響かせながら二人に放たれそれを槍を振り回し全てを破壊し防御するオティヌス
『「ラーの陽光よ、焼き尽くせ」』
天より放たれし光の柱はオティヌスが槍を投げる事により相殺する。莫大な力と力がぶつかり合い頭上にて大爆発が起こるもオティヌスの右手にはいつの間にか槍が握られていた
「今度はこちらから行かせてもらうぞ」
オティヌスは主神の槍を天へとかざし天より流星を降り注がせる。パトリシアはそれを言霊で爆発させる、だがその隙に接近したオティヌスが槍をパトリシアの体へと刺突、それを伝令史の杖を振るい上里と自分の位置を交換し主神の槍が上里を貫こうとしオティヌスは慌てて軌道を逸らす。その隙にパトリシアは紅蓮の炎を丸で鎌首をもたげる蛇の様にオティヌスへと放ちオティヌスはその炎の蛇を左腕で殴りつける事で破裂させる
『「いひひひ。中々やりますねぇ…ですがこれならどうです?重力による圧殺!」』
その一言で上里とオティヌスにのしかかる重力が何十倍にも増幅し二人は地に倒れ臥す
「「がぁ……!?」」
『「ギロチンにてその首を斬首せよ」』
パトリシアは地に倒れ臥した二人に虚空より出現したギロチンで首を撥ねようとする、だがそれより先に上里が口を開く
「あ、新たな天地を望むか?」
理想送りにより上里達を押し潰さんばかりにのしかかっていた重力が消失した、即座に立ち上がったオティヌスが
『「あ〜、上里さんの能力を忘れてました〜。全く私たらドジっ子、てへ☆」』
「……神威混淆を使うとここまで性格が変わってしまうのか?宛那達はここまで変わらなかったが」
「いやこれはあの悪魔…クリフォパズル545が憑依した影響だろう。どちらにせよあの悪魔をパトリシアから抜き取れば解決する」
言動や行動が本来のパトリシアの性格とは全く違うと上里が呟く、オティヌスはクリフォパズル545が憑依した影響だと推理する
『「ひひ。その通りですぅ、この私を取り除けばこのお嬢さんは助かりますよぉ〜、まあ。貴方達にそれが出来たらの話ですがね…いひひ!」』
「上等だ、その喧嘩買ってやる」
「挑発に弱いな君」
クリフォパズル545がわざとらしく挑発するとオティヌスは青筋を立てながらその挑発に乗ってしまう。こいつチョロいな、と上里は思った
「弩!」
『「矢が通過する空間とオティヌスの頭上の空間を交換!」』
10発の矢がパトリシアへと放たれる。超長大レールガンの如き必殺の矢をパトリシアは矢が通過する空間とオティヌスの頭上の空間を入れ替える事によりパトリシアを撃ち抜く筈だった矢がオティヌスへと襲いかかる
「!?……チィ!」
オティヌスは舌打ちしながらも矢を槍で打ち消す、左手で矢を殴る事により粉砕、魔術による迎撃を行い主神の槍をパトリシアへと投擲。それに対しパトリシアは言霊を呟きながら指を鳴らす
『「月の神たる我が命ずる、時よ止まり給え!」』
その瞬間学園都市からパトリシア以外の全ての時が停止した。学園都市全土の生き物と物体の時間が止まり動かなくなった世界でパトリシア一人が動き主神の槍をオティヌスの背後へと移動させる
『「そして時は再び動き出す」』
主神の槍が背後からオティヌスへと迫る、それに気づいたオティヌスは右手を主神の槍の穂先へと伸ばす。グチャと肉が潰れる音が響きオティヌスの右腕に槍が突き刺さり彼女の顔が苦痛に歪むがオティヌスは迷わず右腕から主神の槍を引っこ抜き血が噴き出し地面が赤く染まる
『「いひひ!大丈夫ですかぁ?痛そうな顔をして…病院に行った方がいいですよぉ、ひひ!」』
「問題……ない、この程度傷のうちに入らない」
『「強気ですねぇ………でもいつ迄続きますかね?いひひひ」』
強がるオティヌスを見て
『「さてお遊びは終わりにしましょう。アポピスを屠る言霊の刃よ、敵を両断せよ!」』
そして青く発光する刃がオティヌスと上里に放たれた、その一撃はどんなに強固な防御術式で守られた要塞も豆腐を日本刀で裂く様に切り裂くであろう斬れ味を誇る。オティヌスは迎撃の為主神の槍を振るおうとする…だが
「寒にして湿、続けて温にして湿」
『「な……!?」』
上里とオティヌスを守る様に暴風と水の壁が二人の目の前に展開される。万物を裂く筈の言霊の刃はその防壁を突破する事はなかった
「パイルバンカー 発射」
『「!?壊れろ!」』
無数の槍がパトリシアへと飛来する、パトリシアは慌てて言霊で全ての槍を破壊する…が、更に銃弾やミサイル、レーザービームが飛来しパトリシアはそれらを言霊で防御する
「……遅いぞ脳幹、メイザース」
「これでも急いで来た方だよ」
「だがいいタイミングだっただろう?」
救援に来たのは右に重心を傾けて立つ古いスコットランド式軍服の上に魔女のとんがり帽子や外套を羽織り、マフラーを巻いた中年の男 サミュエル=リデル=マグレガー=メイザース 。そして木原一族の一人である葉巻を咥えたダンディな声で喋るゴールデンリトリバー 木原脳幹。オティヌスと三人で行動することが多い彼等が駆けつけたのだった
『「おお、私一人に過剰戦力過ぎませんかねぇ?私泣いちゃいますよぉ?」』
「黙れ悪魔が、俺達は容赦などせん。三人がかりでお前を捻り潰してやろう」
「三人がかりとは少々汚いが…悪魔相手なら致し方あるまい」
「これで形勢逆転だなクリフォパズル545」
パトリシアは余裕な口調だが明らかに顔色からは余裕が消えていた。最強の三人が揃った今クリフォパズル545に勝機はない様に思えた…だがパトリシアは杖を構える
『「ひひ。まさか三人揃えば勝てるとでも思ってたりしますぅ?…心外ですね。いひひ…千を超える刃よ、敵を全て殺し尽くせ」』
「ふん、温にして乾、続けて温にして湿」
パトリシアが放った言葉が魔術となって三人に襲いかかる、幾千の刃が迫るがメイザースを中心として浮かぶ赤い杖、青い杯、黄色の盤、緑の短剣の内杖と短剣が動き短剣がメイザースを中心に防護円を描き烈風が発生しそれに火炎を上乗せすることで炎の竜巻となり幾千の刃を焼き尽くす
「私を忘れてはいないかい?」
『「……攻撃から身を守れ盾よ。昼の灼熱の砂漠と夜の凍土たる砂漠の嵐を此処に」』
脳幹は
「
オティヌスが取り出したのは黄金の剣だった、その霊装の名は主神の剣。シグルドの父 シグムンドが持っていたと言われるオーディンの加護が込められた魔剣。オーディンにその魔剣は砕かれ後にシグルドが鍛え直し悪竜を殺したとされる魔剣の名を持つ霊装。神話での持ち主はシグルドだがこの魔剣はオーディンが与えた物だ、ならばオティヌスが扱ってもおかしくはない。その黄金の剣は炎と氷の嵐を一刀両断し紫の斬撃がパトリシアと飛び放たれる
『「いひ。斬撃波は消滅しなさい」』
その一言と共に斬撃波が消滅してしまう、そしてパトリシアは脳幹と自分の位置を交換しメイザースの心臓に伝令史の杖を突き刺そうとするが
『「自動防御ですかぁ?」』
「第三位の様に反射は出来んが…弩くらいまでなら防ぎきれるぞ」
メイザースはそう笑いながらパトリシアを象徴武器で跳ね飛ばす、パトリシアは空間転移で距離を取り雷霆を放つがオティヌスが主神の槍で起動を無理やり変える。その隙に脳幹がドリルを伸ばしパトリシアを貫こうとする
「す、凄い……これが学園都市の最大戦力」
上里は三人の強さにただただ圧倒された。一人一人の強さは勿論、連携でパトリシアを追い込んでいく様を見て上里はこれが自分がかつて相手にしようとしていた敵なのかと生唾を飲み込んだ
(強い……!ぼくの理想送りが触れる前に倒されてしまいかねない…これが…学園都市!)
オティヌスが主神の槍を投擲、伝令史の杖でそれを防ぐが杖に亀裂が走りバラバラに砕け散る。簡易れず銃弾や砲弾、ミサイルの豪雨が降り注ぎパトリシアは空間の交換で銃弾の豪雨をオティヌス達に降り注がせるがメイザースがそれを炎の波で相殺する。そして脳幹は巨大なドリルを砲弾の如く発射しパトリシアの腹部に命中し彼女の身体がくの字に曲がる
『「ごぼぉ!?」』
そのまま吹き飛ばされ建物に激突、建物を崩壊させながら瓦礫に埋めれる…それを見て上里が慌てて叫ぶ
「お、おい!彼女を殺す気か!?」
「これでも配慮はしている方さ、神威混淆は使用者の肉体を強化するからな。あの程度では時間稼ぎにしかならないよ…メイザース」
「分かっている」
脳幹があの程度では足止めにしかならないと上里に告げる、そしてメイザースは杖、杯、盤、短剣の四つの象徴武器がクルクルとメイザースを中心に回転し始め赤、青、黄、緑の四色に発光し象徴武器同士がぶつかり合う事で聞き惚れる様な美しい音を鳴り響きメイザース達の頭上に白い光が展開される
「温にして乾は破れど、温にして湿、寒にして湿。もって三種の相生となす。しかして四界の表層に純粋な元素なし、切り離された寒にして乾は最大の干渉力を持って世の調和をかき乱す。火より出ずる土よ、絶大なる相生でもって意味を補強し元素の破壊者を打擲せよ!!」
これがメイザースの
「来い。
超能力者達と激戦を繰り広げた
『「い、ひひ…まさか四大天使と蝿の王をこうもあっさりと召喚してしまうとは……」』
「やれ」
メイザースの命令と共に四大天使と蝿の王が攻撃を放つ、火焔と氷水、暴風と土塊の魔術が飛び交いドス黒い呪詛がパトリシアへと放たれパトリシアの周囲が大爆散を起こす
『「きゃあああああああぁぁぁッ!!!?」』
パトリシアとクリフォパズル545の合わさった悲鳴が轟いた、爆煙で姿は見えないが三人には倒したという確信があった
「後はパトリシアに憑依した悪魔を分離させればいいだけだな」
メイザースはそう笑ってパトリシアが倒れているであろう場所へと歩き出す…そして地面が水銀に変質しメイザースの胸を穿ち背中から水銀の槍が飛び出した
「………なに?」
『「いひひ☆なーんちゃって♪まさかあの程度で倒したと思ってましたぁ?」』
顔を驚愕に染めるメイザースを嘲笑うかの様に爆煙が晴れ汚れ一つない無傷のパトリシアが現れる
「な、んだこれは……?」
『「ひひひ。これは錬金術ですよ、錬金術。ヘルメスとトート、そして錬金術師 ヘルメスが融合された
メイザースはタロットカードに人格を写すことで、意思を持つ「原典」だ。その不死性で並大抵の攻撃はメイザースには通用しない。なのにその特性を貫通してメイザースに傷を与えたのだ
「ま、さか……その錬金術は…理すらも、変えてしまうのか?」
『「ええ、そもそも錬金術において万物は四大元素で構成されています。それを原典に当て嵌れば破壊するのも容易という訳です。いひひ」』
理すら歪める錬金術、その恐ろしさを理解したオティヌスが即座に攻撃を仕掛けようとする…そんなオティヌスにパトリシアは笑みを浮かべて周囲の大地を水銀に変え無数の槍でオティヌスの身体を串刺しにした
「がっ………!」
「オティヌス!くっ……!!」
脳幹はドリルを一直線にパトリシアに放ち、パイルバンカーを彼女へと降り注がせる。それに対しパトリシアは自分の周囲に存在する酸素以外の元素を水銀の盾に変換させ攻撃を防ぎきり、水銀の盾を水銀で構成された大蛇に変化させ宙を泳ぐ様に脳幹へと迫らせその顎に脳幹か噛み付かれ鮮血が舞った
「ぐぅ………っ!?」
激痛のあまり咥えていた葉巻が地面へと落ちた、水銀の蛇はそのまま首を動かすと地面へと脳幹を叩きつけボールの様に脳幹は地面を何度もバウンドし地面に倒れ臥す
『「にひひ。元魔神に黄金夜明の魔術師、学園都市随一の科学者も大した事ありませんでしたねー。ああ、私が強過ぎるだけですか。いひひ!」』
パトリシア
『「さて…先ずは犬ころから殺しますかぁ」』
水銀の蛇が再び脳幹に狙いを定める、鎌首をもたげて
「新たな天地を望むか」
上里の右手が水銀の蛇を新天地へと消し飛ばした、右手に吸い込まれるように消えていく水銀の蛇を
『「あれれ?何で助けたんですぅ?その犬ころは貴方の味方ではないのに…というか貴方の復讐の対象じゃなかったんですかぁ?」』
「………関係ないさ」
クリフォパズル545のその問いに上里は関係ないと告げた、脳幹がゆっくりと瞼を開き自分の目の前の少年を見つめる
「復讐だとかはもうどうだっていい、ぼくはあの頃の様に、復讐に囚われていた今のぼくよりも困ってる女の子達を助けてた頃のぼくになる」
上里はもう復讐には囚われていなかった、何よりパトリシアをクリフォパズル545から助け出す為に戦った脳幹達を見捨てる事など出来なかった
「ぼくはお前を倒す…お前が取り付いている女の子、パトリシアを助ける為に」
『「きひひ。面白いですねぇ、所詮は今日一日会っただけの少女なのに」』
「……そうだな、確かに今日会っただけかもしれない…だが
『「………はぃ?」』
「今日出会って、会話して、食事して、仲良くなって、笑いあって、励まされて…もう彼女はぼくという存在の一部なんだ。今ここに倒れてるオティヌスだって長い時間ベンチで会話した、そこのゴールデンリトリバーと変な服着たオッさんとは関わり合いがないけど…見捨てていい理由にはならない」
上里は自らの力の象徴である右手を握りしめながらクリフォパズル545に宣言したのだ
「ぼくは救うぞ、クリフォパズル545…いいか、どこにでもいる高校生はな、困っている人を見つけたら最後、それだけでいつでもヒーローになれるヤツの事を言うんだ」
脳裏に思い出すのは自分を倒した理想送りの対となる右手を持つ男。あの男はあの時は自分では決して追いつけない場所にいた…だが今の上里ならば上条と同じ所に立てる気がした
「覚悟しろ、一発屋」
上里はクリフォパズル545へと告げる、これが、これこそが上里翔流の生き様だと
「お前にどこにでもいる平凡な高校生の自由度ってものを見せてやる」
『「……きひひ。なら救って見てくださいよぉ。私は全力で殺しにいきますので!」』
その言葉を合図にパトリシアは言霊を呟き灼熱の業火と幾千の氷刃が上里へと迫った
(炎と刃、どちらかを防げばどちらかの攻撃にあたり死ぬ…これで終わりです)
そうクリフォパズル545は笑みを浮かべるが上里は右手を炎へと伸ばし、炎に触れる直前で口を開いた
「新たな天地を望むか」
その一言と共に炎は右手へと吸い込まれる。だが完全に吸い込み終わるのに時間がかかりその間に幾千の氷刃が上里の身体を貫く……事はなかった
「ふっ………!」
『「な、なに!?」』
上里は炎が完全に右手に吸い込まれない内に身体を回転する。当然右手に吸い込まれていた炎も右手と連動して動き炎の壁となって幾千の氷の刃を防いだ
(ま、まさか理想送りをあの様に使うなど…ですがもっと数が増えればどうですかね!)
『「いひひ!中々やるじゃないですか!でも無駄ですよぉ!」』
火球、水流レーザー、鎌鼬、バウンドしながら迫る雷の球、鋼の剣、灼熱と吹雪の嵐…いくつもの魔術が放たれるも上里はそれを右手で吸い込みながら身体を捻って吸い込んでいる途中の魔術で他の魔術を迎撃する
(……パトリシアの攻撃は多彩かつ強力だが…欠点がないわけじゃない…実際あの言霊が言った言葉を実際に再現するなら…何故
アウレオルス=イザードという錬金術師の黄金錬成は言った言葉を全て再現し、死ねといえばあの垣根でさえも死んでしまった。パトリシアの言霊による魔術は黄金錬成と非常に酷似していた…だが彼女は一言も死ねとは言っていない…火焔や嵐などの強力だが即死系ではない攻撃ばかり使っていた。つまりそれは
(神話におけるトートが創造した物しか作れない…トートは死者を蘇らせる事は出来ても創造による死を与える事は出来ない…そう言う事か)
あくまでもトートが創造した森羅しか扱えないと上里は推察する。そしてヘルメスの空間操作も黒子や結標の空間移動や座標移動の様に人体に直接物体を転移してトドメを刺すと言うやり方を行っていない…つまり場所と場所の入れ替えしか出来ないのだ
(錬金術も何かと等価交換して水銀を作り出していると考えられる…タネが分かれば怖くない)
上里は駆け出した、自ら右手でパトリシアに憑依した悪魔を切り離す為に…だがクリフォパズル545は上里に向けてある事実を告げる
『「いいんですかぁ?その右手に触れたらこのお嬢さんも新天地に消えちゃいますよぉ?」』
「!?」
その言葉を聞いて上里は動きを止めてしまった、そしてそのまま地面から形成された水銀の槍に上里の腹部が貫かれた
「ごがああああああああぁぁぁぁぁ!!?」
くねくねと生物の様に動く水銀の槍はぽいっとゴミを捨てる様に上里を地面へと放り投げる、刺された箇所から鮮血が飛び散り上里が苦しげな声を上げるのを見てクリフォパズル545は笑った
『「きひひ。貴方の理想送りにこの身体が触れたら私が憑依している宿主ごと消える…まあでもたかが小娘一人の命なんて軽いですし一思いにやったらどうです?……やれるならね。ひひひ」』
クリフォパズル545は上里がそんな真似を出来ないことを知った上で嘲笑いながら挑発する。クリフォパズル545にとって上里が攻撃を仕掛けてくることを見越してのパトリシアへの憑依だったのだ、こうなる事を予想した上でパトリシアを人質に取った…悪魔の名に恥じない卑劣な行いだった
『「さあどうします上里翔流、このまま失血死で死ぬか、死ぬ前に私ごとお嬢さんを新天地に送るか…どちらかお好きな方をお選びください…いひひ」』
どちらにせよ上里翔流は失血死で死ぬ、これでコロンゾンの命は完遂した。ついでに何人かの命も刈り取っておくかとクリフォパズル545は頭の中で考え始める
(く、そ……これで…終わり…なのか?結局ぼくは…誰も……)
上里は荒い息を吐き出しながらパトリシアを見つめる、槍で貫かれた箇所が焼ける様に痛む。意識が朦朧とする中上里は自分は誰も助けられないのかと右手を必死にパトリシアへと伸ばしながら呟いた
(去鳴達も、パトリシアも………結局、ぼくは誰も救え……)
そう上里が諦めかけたその時
(諦めるなくそ馬鹿お兄ちゃん!)
(まだやれるよ上里君)
(まだ終わってねえだろ大将!)
(諦めなはんな上里はん!)
(ファイトです上里さん!)
「……去鳴?宛那?獲冴?絵恋?暮亜?」
彼の耳に届いたのはこの場にいる筈のない眠ったままの少女達の声だった
「ど、うして……声が?」
(私達はずっと上里君の近くにいました、例え意識がなくても…心はずっと貴方のそばにいました)
(どんな原理が分からねえけど…大将の事だしまあなんでもありだろ!)
仲間達はずっと彼の側にいた、それを聞いた上里の目が見開かれる
(ここで諦めるなんてお兄ちゃんらしくないっしょ!)
(そうです!上里さんならまだいけます!)
(ウチを助けてくれた時みたいに、あの女の子を救うんやなかったんどすか?)
(そうだぜ大将!諦めるのはまだ早え!)
(私達も力を貸します、だから立ち上がって下さい上里君)
彼女達の激励の言葉を聞き上里は身体に力が溢れるのがはっきりと分かった。それは不思議な力による身体の回復ではない。仲間からの応援を聞き根性で身体を動かせようとしているのだ
(私達がついてる!だから負けるなお兄ちゃん!)
(一度くらい大きな過ちを犯したからってここで終わる貴方じゃないでしょう?)
(目の前に助けたい女の子がいるから上里はんは持てる力全て出し切って助けるんやろ?)
(だから立ち上がって下さい、
(あのガキを救えるのはあんただけなんだぜ大将!)
ゆっくりと、確実に上里は起き上がっていく、それを見たクリフォパズル545の目が丸くなる
(負けちゃダメだよ上里君!)
(貴方ならいけますわ上里様!)
(頑張って上里さん!)
(あの子を助けてあげて!)
去鳴達だけではない、上里に自らの意思で彼の後をついてきた少女達の声が聞こえる。もう彼は一人ではない、彼は、百人を超える少女達の思いを背負って目の前の邪悪に立ち向かう
(((だから立ち上がれ!
「……分かってるさ」
上里が立った、それを見て目を見開くオティヌス達。だが
『「そんなに苦しんで死にたいんですかぁ?ならさっさと殺してあげますよ…ひひ」』
そう言うとパトリシアは水銀の槍を創造しそれを上里へと放つ。その槍に貫かれ上里は死ぬとパトリシアは予想していた…だが
「
『「……はい?」』
上里は水銀の槍を自らの拳で殴り破壊した。右手の理想送りではなく左手のなんの変哲もない拳で、である。目を丸くするパトリシアをよそ目に上里は懐から十円玉を取り出し口を開く
「コックリさん、コックリさん、おいでください…招来 東照大権現」
コックリさんを元とした術式を行使し東照大権現を呼び出し、腹部の傷を癒し始める…それを見たクリフォパズル545は驚愕を露わにする
『「そ、それは貴方の仲間の…!?ど、どう言う事です!?貴方は魔術は使えない筈!?一体全体どういう!?」』
「なに、簡単な事さ」
何故仲間の魔術が使えるのかと狼狽えるクリフォパズル545、そんな彼女に上里はそっけなく答えた
「
『「……はい?」』
神里翔流、
「ぼくが与えた力なら逆に返してもらう事も出来るだろ?」
『「い、ひひ…り、理解できませんよ」』
だがクリフォパズル545は早く殺さねば不味いと判断したのか水銀の槍を無数に放つ。それに対し上里は宛那の闇の鎌を形成し飛来する槍を悉く破壊する
「ミメティックプレデター」
府蘭の恐竜に似た姿の怪物達が数体出現し、上里はその内の一体の背に乗りパトリシアへ向けて怪物達を走らせる。地を唸らせながら獰猛な顎を開き迫り来る怪物達にパトリシアは空間転移でそのまま逃げようとするが、ガシッ、と何かに足を掴まれる
『「なっ!?」』
彼女を掴んでいたのはアスファルトを突き破って生え出した植物の蔦だった。暮亜の持つ原石の力を使いパトリシアを植物の蔦で拘束する
(ま、不味いですぅ。これじゃあ転移しても蔦で動けない!)
彼女の空間操作は場所と場所との移動だけで自分だけを移動させる事は不可能。つまり拘束されたまま空間転移しても拘束されたままだという事だ
(し、しかしこのお嬢さんに憑依している限りは手出し出来ない筈…!理想送りをすればこのお嬢さんも新天地に追放されますしそれは避けたいですもんねぇヒーローさん…けひひ)
パトリシアに憑依している限り、理想送りが使われる事はないとクリフォパズル545は高を括っていた…だがその慢心こそが命取りになるとは彼女は思わなかった
『「きひひ!アポピスを討ち滅ぼす刃よ、言霊にて刃を研ぎ澄まし太陽を飲み込まんとする蛇を幾重に斬り裂け!その刃の数は十!」』
その言葉と共に巨大な銀色の刃が十も現れ、上里を斬り裂こうと迫る。どれかに理想送りで対抗すれば残りの九の刃に切断される…そうパトリシアは笑みを浮かべるが…虚空より飛来した十の矢がその言霊の刃を破壊した
『「な……!?弩!?」』
「おいおい…私の事を忘れるなよ」
『「くっ…こうなれば蔦に拘束されたまま別の場所に転移を…」』
してやったとオティヌスが嘲笑を込めた笑みをクリフォパズル545に向ける。クリフォパズル545はヘルメスの空間転移で怪物達から逃れようとするも…
「大地の繁栄は転じて腐敗と化す。いでよ、広がれ、この一つ。全てを腐らせその内より産声を上げる悪魔の王よ。すなわち『蠅の王』。我が前に立つ不遜の輩へ正当なる粛正を」
『「!?は、発動しない!?これは…蝿の王による
「ハッ、目には目を、悪魔には悪魔を。同じ種族に一杯食わされるのはどんな気分だ?」
蝿の王による術式の消去を行ったメイザースは悪魔には悪魔だと笑う。ぐぬぬと歯ぎしりをしながら錬金術を行使しようとするが
「……やれやれ、こんな事はしたくなかったのだがね…まあ、まあロボットに自爆は付き物だから致し方ないな」
『「!?機械よ、その場で停止せよ!」』
脳幹から切り離されたA.A.A.がブースターから火を噴き出しながらパトリシアへと飛んでいく。自爆はロボットの定番だと笑う脳幹の自らの武器を捨てる一撃にパトリシアは言霊にて迎撃する
「今だ上里翔流!脳幹が与えたチャンスを不意にするな!」
「……ああ」
オティヌスのその叫びに上里は力強く頷いた、怪物達が唸りを上げてパトリシアへと近づく。迎撃とばかりにパトリシアが怪物達の足元の地面を水銀に変え、その水銀の杭で串刺しにして倒すも上里は怪物の背から飛び降り地面へと着地、その右手をパトリシアへと伸ばす
(ふ、フェイクですよ。理想送りを使ったら私ごと
クリフォパズル545は右手は単なる脅しだと自分を納得させるように心の中で呟く、だが右手は確実にパトリシアの体へと伸びている
(……脅し、ですよね?まさか本当に…いやいや正義のヒーローがそんな真似…いやでも、まさか本当に…いやいや!ギリギリまで近づけようて魂胆でしょうきっと!)
段々近ずく右手を見てクリフォパズル545は焦るが単なる脅し、単なる脅しと必死に何度も心の中で呟く…だが右手は確実にパトリシアの体に触れる距離まで迫る
(………脅し、脅し、脅し、脅し…脅しに決まってますよ!これは絶対に脅……)
そう自分を納得させる様に心の中で必死に叫ぶクリフォパズル545…上里の右手はパトリシアの体に触れた
『「……………ぇ?」』
「………………
その一言が
『「きひ!??!?!?!!!?!?ま、まさか本当に発動するなんて!?本気でこのお嬢さんごと新天地に送る気ですか…!?」』
「その点については心配いらないさ、何故なら彼女は
『…………はぃ?』
クリフォパズル545が上里を非難する様にパトリシアがどうなってもいいのかと叫ぶ、だが上里は至って冷静にパトリシアは消滅しないと告げる。クリフォパズル545はそのセリフを聞いて一瞬上里が言った意味を理解できず…そして即座に理解した
『……ひひ?お嬢さんとの憑依が解けてる?わ、私の体とトート=ヘルメスの霊装だけがその右手に
彼女の言う通り、トート=ヘルメスとクリフォパズル545のみがその右手に吸い込まれているのだ。一方でパトリシアの肉体は吸い込まれる様子がない…霊装と悪魔を吸い込んでいる右手が触れているのにも関わらずだ…それを見てクリフォパズル545は気づいた
(そ、そんな…吸い込む対象を…新天地へと追放する対象を
「これで終わりだクリフォパズル545」
クリフォパズル545の思考を遮るかの様に上里が口を開いた
「彼女から、パトリシアの身体から出て行け」
『い、いひひ……!ま、まさかこの私が…』
その断末魔を最後に、パトリシアに憑依していた
上里の名前の真名はほぼ強引です。獲冴達が異常な能力(魔術・原石)を手に入れたのは理想送りの影響でも魔神の影響でもなく、上里の真名だと自分は睨んでます、そして理想送りが願いの積集体ならば神里翔流は原石。これは上条さんの幻想殺しと神浄討魔みたいな感じですね
クリフォパズル545の個人的なCVは高橋李依さんですかね。このすばのめぐみんやリゼロのエミリア、異世界チート魔術師の吾妻凛の中の人です。クリフォパズル545は高木さんみたいなからかい系女子てイメージなので…
さて無事ヒーローに返り咲き、パトリシアを助け出した上里。次回で理想送り編は終了。面接落ちたせいでモチベーションが低下し続きを書くのが遅れるかもしれませんが早めに書きます
次回もお楽しみに!