カプ厨がていとくんに憑依転生しました   作:暗愚魯鈍

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お待たせしました、魔神編第一話でございます。今回は前半がギャグで…後半辺りからシリアスでございます…そして最後に意外な結末が…一応タグに残酷な描写があるし、念の為のアンチ・ヘイトもあるし大丈夫……だよね?不安ですわー。因みに今回シュメール神話系の要素があります(魔術師の名前、霊装の名前など)

さてそれではどうぞお楽しみに下さい


魔神 ゾンビ

『……という訳で魔神 僧正と魔神 ネフテュス、そして理想送り(ワールドリジェクター) 上里翔流と手を組む事になった』

 

「へー、そりゃいいな。魔神二柱と理想送りが味方サイドにいるとは心強え。て事はこちら側の全力は俺とお前、オティちゃん、メイザース、脳幹先生、フィアンマ、オッレルスと上里達加えて十人か」

 

『そうだな』

 

垣根は夜空の下、アレイスターと通話をしていた

 

『……その件で君に重大な任務を果たしてもらいたい』

 

「重大な任務?」

 

『そうだ、君にしか出来ない……だが私は君にこんな真似をさせたくない』

 

「……なぁアレイスター」

 

アレイスターは重大な任務を垣根にしてもらいたいと言うが、親友にこの様な事をして欲しくないのか少し迷っている様だった…そんな彼に垣根は真剣な声色で口を開く

 

「言ったよな?俺は俺がしたい事をするって。俺は俺の意思でお前の計画の駒になってるんだ(・・・・・・・・・・・・・・)。だから迷う事はねえ。なんでも命令しろ。それが学園都市の…当麻逹の日常が守れるのならなんでもするさ」

 

『……そうか、そうだったな…君は…垣根帝督と言う男はそう言う考えの持ち主だったな』

 

何処か寂しげな声色でアレイスターが呟いた、そして彼は意を決して彼にその任務の内容を告げた

 

『………垣根帝督、君には死んでもらう(・・・・・・)

 

死んでくれ、そう言ったアレイスターに垣根は一瞬固まり…そして笑みを浮かべた

 

いいぜ(・・・)、それがあいつらの為ならな」

 

『………すまない』

 

「謝る事はねえよ、それが俺の任務なんだろ?」

 

そう言って垣根は通話を切った、そして夜空を見上げる

 

「……今日も星が綺麗だねぇ」

 

 

帆風は常盤台の自分の学生寮にてとある羊皮紙と睨み合っていた…アレイスターが渡した四大天使について書かれた羊皮紙だ。魔術に肩足を踏み入れた彼女でも解読は困難だろう…だが今の彼女には優秀なアドバイザー(・・・・・・)がいた

 

『いひひ。これは神の如き者について書かれた文献ですねぇ。これが今しているのはミカエルについて…』

 

「……成る程」

 

クリフォパズル545、コロンゾンが生み出した人工悪魔。消滅する筈だった彼女を垣根が使い魔として契約し帆風にこうして魔術について教えているのだ

 

(きひひ。な〜んで私がこんな真似をしなきゃいけないんですかねー。まあ消滅するよりはマシですけど…はぁ)

 

そう内心でブツブツ不満を呟きながらも羊皮紙の説明を行うクリフォパズル545。意外と仕事は真面目にやるタイプなのかも知れない

 

『しっかし、よく四大天使についてまとめられていますねぇ。神の右席が総出で自分達が司る天使について書いただけはあります。それに自分達が扱う術式まで…企業秘密とかしなくていいんですかね?』

 

「それだけ神の右席の皆さんがわたくしと垣根さんを信頼していると言う事ですわ。でもわたくしではこの羊皮紙を解読できなかったでしょうし…御説明ありがとうございますクリフォパズル545さん」

 

『……いえこれも契約の内ですから。ひひ』

 

クリフォパズル545は帆風潤子という人間が苦手だった。太陽の様に眩しい笑みを悪魔に向けてくる…これは契約で仕方なしにしているのにこうまで感謝されると心がムズムズするからだ

 

(はぁ…やりにくい。垣根帝督といい、この人といい…何を考えているのか分かりませんねぇ)

 

何度目か分からない心の中で溜息を吐くクリフォパズル545

 

(まあでも、いつか隙を見て契約を破棄して自由の身になってみせますよ…きひひ)

 

そう内心でほくそ笑むクリフォパズル545、だが今はそれを実行できない…故に垣根から命令された指示「潤子ちゃんに羊皮紙の内容を全て教えこめ」。それを叶える為に羊皮紙の解読をし内容を説明する

 

『ひひ。これで漸く四分の三…て、所ですかねぇ。後は神の力に関する解読のみですぅ』

 

「やっとですわね……さて、この調子で覚えますわよ」

 

『ちゃんと内容を覚えているんですかぁ?』

 

「当然ですわ、授業でも一度聞いた内容は忘れない様にしておりますので」

 

『……そこいらの勉強と一緒にされると少々複雑な気分ですぅ』

 

テスト勉強気分で羊皮紙に記された四大天使逹の情報を覚えていく帆風、色々とおかしいとクリフォパズル545は思いながらも説明を続ける…と、ここで部屋に入鹿が入って来たので二人は解読を一旦やめる…この状況を入鹿に見られたら色々と不味いからだ

 

「何やってるんです帆風さん?」

 

「いえ特に何も…何かあったんですか入鹿さん?」

 

クリフォパズル545の姿は入鹿には見えない、だがそれだとただ帆風が虚空に向かって独り言を呟く痛い人だと思われかねないので彼女がある間は解読をしないと帆風は決めていた

 

「実は学び舎の園に侵入した不審者6名がいるそうですよ」

 

「……6名?」

 

「ええ、女三人に男三人だとか…全く学び舎の園のセキュリティーはどうなってるんでしょうかね。まあ帆風さんは平気だと思いますが…一応注意しておいて下さいね」

 

男女6名が学び舎の園に侵入したと聞き、帆風が目を丸くする…そして入鹿は扉を閉めて外へと出ていく

 

『いひひ。さて、邪魔者もいなくなった様ですしさっさと終わらせますよぉ』

 

「………そうですわね」

 

その侵入者とやらが気になるが自分はこの羊皮紙の内容を覚える事に専念しなければ、と羊皮紙の説明を聞く帆風…その侵入者逹が自分の知り合いだとまだ彼女は知らない

 

 

「……あり?ここは何処?」

 

「その声は……先輩?てか何ここ暗いんだけど」

 

「美琴もいるのぉ?てかここ何処よ…狭いわねぇ」

 

「お前もいるのかよ、てかなンだこの状況?」

 

「一方通行もいんのかよ…てか臭っ!?誰か屁こいただろ!」

 

「すまん俺が屁こいた!」

 

上条逹は謎の空間にいた。暗い、狭い…おまけに臭いときた(削板の屁)。ぎゅうぎゅう詰めで身動きが取れない

 

「なんで俺らはこんな狭くて暗い場所に…ん?」

 

上条がそう訝しむ中、携帯が鳴り響く。何とか携帯を取り出して通話ボタンを押し携帯を耳に当てる

 

『よお、ちゃんと6人全員いるか?』

 

「垣根!?て、この状況はお前の仕業か!」

 

『まあな、だが時間がねえ。手短に説明するぞ』

 

上条はお前の仕業かと文句を言おうとするが垣根の真面目な声色に全員がピクッとする

 

「……何だ?」

 

『学園都市にコロンゾンの手がかかった魔術師が侵入した、シュメール系の魔術師で名前はイナンナ=ムドケスダ。持ち込んだ霊装がヤバくてな…名前は『エンリルの鶴嘴』』

 

「鶴嘴…地面やコンクリートを砕くあのつるはしの事か?」

 

『ああ、この霊装の能力は大気、空気を媒体として呪力を最大範囲この学園都市の一学区までなら範囲内でな。呪力が混じった空気を吸うと霊装の使い手の命令に逆らえなくなるて言うヤバい代物だ』

 

エンリルの鶴橋、垣根の説明によれば古代の霊装らしくそれを使って今までも多くの都市が同族同士で殺し合う事で滅んで来たという。そんな恐ろしい能力を聞き全員が目を見開く

 

「んな…!?チート過ぎるだろ!」

 

『だが発動まで五時間はかかる。恐らく犯人はこの学び舎の園の内部にいる筈だ…ここには強い能力者が沢山いるしな…術者を見つけてくれ』

 

「おい、帝督は何で一緒じゃねえんだよ?」

 

『俺はイナンナの仲間の魔術師 ニヌルタ=ナンナルて野郎を追っててな。手が離せねえんだ…お前らしか頼める奴がいねえんだ…頼む』

 

削板の問いに垣根は別の魔術師を追っているからだと説明する、彼の頼みを聞き上条逹は目を見渡せ頷いた

 

「……分かったよ垣根、俺らがその魔術師を捕まえてやる」

 

『……ありがとなお前ら』

 

「……で、質問したい事があるんでせうが」

 

『なんだ?』

 

「………この暗くて狭い場所はどこなんだ?」

 

上条はここは何処なのかと問いかける、垣根は暫く黙り全員がん?となる。そして上条達がいる暗い箱の中にバシュシュ!という奇怪な音とオレンジ色の火花が走った。まるで導火線を火がなぞるかの様に、火薬を使って箱を解体した様だ。桃から生まれた英雄の如く左右に割れた箱から上条逹は外の世界を覗く

 

そこは細長いロッカーがたくさん並べられていた、そこは背もたれのないベンチが置かれた空間だった、そこは甘い匂いのする空間だった、そこは下着姿(・・・)の少女逹がそれが当たり前の様に世間話をしていた…はっきり言おう、ここは女子更衣室だ

 

『……………な、え?』

 

『……………………』

 

超能力者達と少女達の視線が交差する、お互いに無言、上条達は自分達が手押し台車の上に置かれた箱の中に詰め込まれていたことに気づいた。昔のリアクション芸人みたいな状況だ…この状況を作ったのは勿論あのホスト崩れのメルヘンクソ野郎である

 

不運だったのは二つ、上条が手に携帯電話を握っている事。これじゃ盗撮みたいだね。そして…ここが学び舎の園だったという事だろう

 

『死なす大道芸人式盗撮犯共がァァァあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!』

 

『いやァァァああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!世界一ダサい冤罪をかけられちゃってるぅぅぅぅ!!?』

 

ミッション ドキドキワクワク。女子だらけの学園で霊装を見つけだせ。女の子達に捕まったら殺されちゃうぞ☆割と命がけドキドキサバイバルの始まり始まり〜♪

 

 

取り敢えず上条達は逃げた、ええ逃げましたとも。少女達が放ってくる炎や氷、雷、包丁、投げ槍、日本刀、仏像、手榴弾を避けながら屋根の上を走る…てか後半の殺意度高杉

 

「巫山戯やがってあのクソメルヘン!」

 

「俺らになンて冤罪をかけやがンだあのくそったれがァ!」

 

「あいつ全裸にしてとろろぶっかけてやる!」

 

「殺す殺す殺す…絶対に殺すぅ!」

 

「殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺…殺意力満開なんだゾ☆」

 

「帝督ゥゥゥゥゥゥッ!!」

 

全員垣根に対する殺意度MAXだ。当然だね

 

「いたわ!あのド変態共!」

 

「待たんかいゴラァァァ!死なすから降りてこいやアァン!?」

 

「手の込んだことをしやがってこの変態とクソレズが!死なすから降りてこい!二回死なすから!」

 

「死なす死なす!」

 

こちらも殺意力MAXである、全員お嬢様らしかぬ言動と顔芸を披露。芸人の卵かな?中にはロケットランチャーを抱えている少女もいる。いやそれどっから調達して来た

 

「あの子達殺意力高過ぎぃ!?」

 

「あーもう!操祈をお姫様抱っこしながら走るのは厳しいわね!」

 

「いや食蜂を自分の足で歩かせたらいいんじゃねーのかにゃーん?」

 

「「だが断る(キリッ)」」

 

「お前ら余裕なンだろ、実は」

 

(いいなー、羨ましいぞ操祈)

 

美琴は食蜂をお姫様抱っこしながら走っていた、二人はこれをやめる気はない。上条は指を咥えてそれを羨ましそうな目で見ていた

 

「ッ!いい事を思いついた!光の処刑で地面に逃げ込めばいいんだ!」

 

「それよ!流石先輩!」

 

「ありがとうテッラのおじさん!アンタと出会えてて良かった!」

 

『いやそんな事で感謝されても…複雑ですねー』

 

そんな幻聴が聞こえてきたが無視無視、上条は光の処刑を発動する

 

「優先する。ーー人体を上位に、地面を下位に!」

 

スルスルと上条達の身体が地面の中に入っていく…息はできる、これなら見つからずに済む…そう喜ぶ一方通行達だったが…

 

「だぁぁぁぁ!!?右手がつっかえて地面の中に入れない!?ふ、不幸だぁぁぁ!!?」

 

「……そう言えば当麻の右手は幻想片影の効果を受けないんだったな」

 

そう、上条は右手以外が地面の中に入っても右手は光の処刑の恩恵を受けられないのだ

 

「畜生!俺だけ一人寂しく逃げなきゃいけないのかよ!不幸だーーー!」

 

「それでも俺達には光の処刑をかけた状態のままなンだな」

 

上条は泣きながら一人寂しく地面の上を走る、上条の後を地面の下から追う一方通行達

 

「見つけたわ!一人だけだけど関係ない!死なすわよ!」

 

「死なす死なす死なす死なす死なす死なす死なす」

 

「いやぁぁぁぁぁ!!?誰か助けてぇぇぇ!」

 

上条は久しぶりに不幸だった、珍しく不幸が仕事をした瞬間だった

 

 

「ふぅ、漸く羊皮紙の解読が終わりましたわ」

 

帆風は漸く羊皮紙の解読を終え、内容を全て把握したと呟きながら自動販売機の前に立ちドリンクを飲み干す…クリフォパズル545は羊皮紙の解読が終わるなりご主人様の家に帰ると消えてしまった

 

「…そう言えば学び舎の園に不審者がいると言っていましたね…全く警備は何を」

 

そう帆風が言いかけた次の瞬間だ、天井をぶち破って上条達がドテーンとコミカルな音を響かせて帆風の近くに落下してきた

 

「…………………」

 

『て、天井から落ちてくる系ヒロインだよ☆』

 

「いや、何をしているんですか皆さん」

 

帆風は頭を抱えた、何してるのこいつら…と。そして理解した不審者とは上条達の事かと。何故常盤台の生徒である美琴と食蜂も不審者に?と思ったがツッコむとキリがないのでやめよう

 

「……侵入した目的は?魔術絡みですか?」

 

「お、おう…潤子ちゃんの理解力の早さに上条さんもびっくりですよ」

 

「もう慣れましたから…」

 

理解力の早い帆風に驚きつつも上条達は学び舎の園に魔術師がいる事、そいつが持つ霊装が危険な事を伝えると帆風は顔を引き締める

 

「成る程、皆様はそれを探す為に潜入したという事ですか…変態という不名誉な呼び名を頂いてまで」

 

『それはクソメルヘンの所為だ!』

 

事情を理解した帆風、また怒りゲージが溜まり垣根に怒りを向ける上条達…と、ここで帆風がいい案を思いついたのか携帯を取り出し何処かへと電話をかける

 

「?何をしてんだ帆風?」

 

「いえ、魔術アドバイザーに少しお尋ねしてみようかと」

 

『?』

 

魔術アドバイザーに聞いてみよう、そう言った帆風の言葉の意味がわからず首を傾げる上条達…そんな彼ら彼女らをよそに帆風は耳に携帯を当て通話を始めた

 

 

『……はぁ、何なんですかねー。この状況は』

 

クリフォパズル545は困惑していた、これどういう状況?と

 

「むにゃむにゃ……夢は美味しいです」

 

『た、助けて下さい!し、締め付けられて…!』

 

「あれー?メガネは何処?」

 

ミシミシと万力を込めてカブトムシ05を抱きしめているフロイライン、助けてくれーと六本足をバタつかせる05、メガネメガネーと目を3にして手探りで床を触る風斬(なおメガネは彼女の頭の上にかけてある)…うーん、カオス

 

『はぁ……この家は変人しかいないんでしょうかねー……ん?』

 

そう溜息を吐いたクリフォパズル545だが、ふと家の電話が鳴りクリフォパズル545が受話器を取る

 

『もしもし、新聞の勧誘やら変な宗教勧誘なら間に合ってまーす』

 

『わたくしです、帆風です』

 

『貴方でしたか、で。何のご様子ですぅ?ひひ』

 

電話の相手は帆風だった、クリフォパズル545は何事かと尋ねる

 

『実はお聞きしたい事が…「エンリルの鶴嘴」という霊装をご存知ですか?大気や空気を媒体としてそれを吸った人達を思うがままに操る霊装らしいのですが』

 

『………はぃ?』

 

クリフォパズル545は呆けた声を出した、それ程までに彼女が何を言っているか理解出来なかったからだ

 

『いひひ。何言ってるんですぅ?そんな霊装がある訳ないじゃないですか(・・・・・・・・・)。そんなものコロンゾン様でも作れませんよ』

 

『……え?し、しかし現にその霊装が学び舎の園の中にあると…』

 

『そんな訳ないでしょう、霊装と言ってもそんな強力な力を持った物がある訳ないでしょう。基本魔術は等価交換…裏技でも使わない限りそんな事起こせる訳がないんです』

 

『…………』

 

『話は終わりですかぁ、では切りますよぉ』

 

ガチャン!と受話器を元の場所に戻すクリフォパズル545。何の話をしたかったのかとクリフォパズル545は考えるが一度振り向いてこの家の住人達の奇怪な行動を見てまた溜息を吐いた

 

 

プープーと通話が切れた音が聞こえる携帯をしまい帆風は何と言っていいか分からない表情で上条達の方を向く、彼等も同じ顔だった。エンリルの鶴嘴という霊装はない…なら何故垣根はそんな事を言ったのか?

 

「……どういう事なんだ?そんな霊装はない…?でも垣根は…」

 

上条がどういう事なのかと呟く、他の面々も同じ反応だった…その中で唯一帆風はどういう事なのか気づいた

 

「……そういう、事ですか」

 

帆風は両手の拳を強く握りしめた、まるで何かに苛立っているかのように…

 

「……まだ、まだ貴方の信頼に足るに欠けるとでも言うのですか?……いい加減にしてください……!貴方と言う人はいつもいつも…!」

 

煮え滾るマグマの如く怒りを爆発させる帆風、普段の穏やかな彼女からは想像できないその怒り様に上条達は戸惑う

 

「な、何でそんなに怒ってるんだ?」

 

上条が何故怒っているのかと尋ねると帆風は上条達の方へと顔を向ける

 

「気づきませんか?垣根さんの事です、皆さんを危険から遠ざける為に偽りの情報を流した(・・・・・・・・・・・・・・・・・・・)可能性があると言うことに」

 

『!?』

 

帆風が言った言葉を聞いて誰もが固まった、垣根帝督は普段は巫山戯きって上条達にスカイダイビング(パラシュートなし)をやらせたり、ガードベントさせる様な友達の事を何とも思っていない様に感じる…だが実は友達思いで誰よりも上条達の事を思っている事を彼らは知っている

 

そんな垣根の事だ。危険な事から上条達を遠ざける為にわざと嘘の情報を流し学び舎の園に送り込んだと考えられる…だとしたら、今彼は……

 

「ーーーーッ!まさかあいつ!?」

 

上条は急いで携帯電話を取り出し垣根へと通話をかける…だが当然の如く垣根に繋がる事はなかった

 

 

 

「さて、そろそろあいつらは俺の嘘に気づいた頃かね?」

 

垣根は第十一学区のコンテナ集合地帯のとあるコンテナの上に座りながらそう呟いた

 

「……悪いな皆、嘘ばっかりついてさ。でもまあ…許してくれよな」

 

垣根は携帯を取り出し今まで自分がとったカップリング写真を見て笑う、そして最後にカップリング写真ではなく自分や帆風、上条達と一緒に撮った全員で笑い合いながら巫山戯て撮った写真を見てくすりと笑う

 

「………じゃあな」

 

垣根はそう言ってそのコンテナの上に携帯を置く、それを名残惜しそうに見つめていたがコンテナの上から飛び降り地面へと着地し自分の標的へと目線を合わせる

 

「初めましてだな……なあ、魔神 ゾンビ(・・ ・・・)?」

 

「ええ、初めまして垣根帝督(イレギュラー)

 

その人物の名は魔神 ゾンビ、魔術を極め神の座へと至った者達の一人である

 

「思えば貴方の存在があたくし達の救済を狂わしたんでしたね」

 

ゾンビは語る、目の前に敵…いやそもそも敵とすら認識していないが、垣根がいると言うのに何やら語り始める…まるで垣根など恐るるに足りない存在だと言わんばかりに

 

「貴方と言う特異点(イレギュラー)が周囲の人間を良い方へと歪めていった。良い例がアレイスター、オティヌス…それ以外にも貴方に影響を受けた人物は多いですね」

 

「……別に良いだろ?皆が幸せなら」

 

いいえ(・・・)ダメに決まってますわ(・・・・・・・・・・)

 

皆が幸せになるのならそれで良い、そう言った垣根に対しゾンビはそれではダメだと一蹴した

 

「貴方のせいであたくし達を救済する幻想殺しの方向性が歪んだ…そのせいであたくし達の救済が台無しになりました……これも貴方のせいです」

 

「……お前ら魔神の望みは世界をより良くすることじゃないのかよ」

 

「最初は、ね。でも最早そんな事は二の次なのですよ。幻想殺しが手中に収まれば思うがまま世界を改変できますもの。もしダメならやり直せば良い。そしてまた改変すればいいんですよね」

 

「………哀れ、だな」

 

ゾンビは、いやゾンビ達(・・・・)は上条の事を単なる幻想殺しの付属品程度にしか思っていない。魔神達に取って必要なのは幻想殺しのみで上条当麻は、正確には彼自身の意思は必要ない。自分の親友に対する扱いに怒りを燃やしながらもかつては世界をより良くしたい。そんな願いを込めて髪へと至った者達の末路がこれかと垣根は哀れみの目をゾンビへと向ける

 

「さて、幻想殺しを歪ませる原因となった貴方を八つ当たりで殺した後はこの世界を一度壊しますか」

 

「んな事させねえよばーか。自分勝手もいい加減にしやがれくそったれが」

 

昼飯はラーメンにしよう並みの軽さで世界を滅ぼすと告げるゾンビ、それに対し垣根は絶対にそんな真似はさせないと三対の翼を顕現させその未元物質の翼を即座に覚醒。白い輝きを放つ純白の翼へと変化を遂げる

 

「この世界をお前らの勝手で好き勝手させるかよ」

 

「…前から思っていたんですが…何でこんな事をするんですか?貴方は異世界の魂を持つ者です。ならこの世界の住人をそうまでして何故守るのです?」

 

ゾンビには理解できなかった、何故こうまでして学園都市を、いや世界を守るのかと。そんな問いに垣根は口元を歪ませながら答えた

 

「………好きだからだよ、この世界(とある)が」

 

「………んん〜?」

 

「俺はさ、この世界が…とある魔術の禁書目録も、とある科学の超電磁砲も、上条当麻も、御坂美琴も、一方通行も、アレイスターも…全部好きなんだよ。キャラも設定も魔術とかも全部ひっくるめてな。カップリングの自由度は高いわ、悪人も含めて全員いいキャラしてるし、何より設定も面白い…俺はそんなとあるが好きだ」

 

「……ちょっと何言っているのか、あたくしちょっと分かりませんねー?」

 

「まあ。要するにだ」

 

彼はとあるが大好きだ、キャラクターも、設定も、全てが好きだった…だからこそ(・・・・・)。彼は悲劇が嫌いだった、原作を知っているからこそこれから起こる悲劇を無くしたいと思った、誰も不幸にならないハッピーエンドを目指した

 

「俺の友達に手を出そうってんなら俺は許さねえぞコラ、て事だよ」

 

だからこそ、幻想殺しの方向性が変わったから次の幻想殺しに期待を込めて世界を滅ぼす。そう言ったゾンビ含む魔神達の勝手を垣根は見過ごせなかった。絶対にそんな真似はさせないと

 

「……イカれてるんじゃないんですか貴方?」

 

「そりゃそうだろ、平和な世界で生きてた(別世界)人間がいきなり暗部堕ちして人殺して見ろ。性格とか歪むの確定だろ。俺はどっかの最初から人殺せるなろう系主人公じゃなくて単なる一般人なんだから当然だ」

 

「いえ、そういう意味ではなく…赤の他人をそうまでして助けたいんですか?」

 

「愚問だな、それがヒーローて奴だろ?」

 

イカれている、そうゾンビは判断した。こうまでして他人を守りたいかと…確かにその点では垣根は常人よりも狂っているかもしれない…だがそれこそ垣根の性質だ

 

「さあ、覚悟しろよ魔神。お前らのそのチンケな野望を俺がぶっ壊してやるよ」

 

「………はぁ」

 

垣根がそう宣言した瞬間、ゾンビがやれやれと溜息を吐いた。それは何かに失望したかの様にも、呆れている様にも見えた。訝しむ垣根にゾンビはゆっくりと口を開く

 

まさか(・・・)貴方程度があたくしに勝てるとでも(・・・・・・・・・・・・・・・・)?」

 

空気が重くなった、気温が下がった、そう錯覚する程の重圧感が周囲一帯を支配する。それがゾンビが放つ威圧感と殺意だと気づくのに垣根は数秒遅れた。威圧感と殺意だけでこれだ。何からの術式を行使したわけではない。ただ神が殺意を向けるだけ、それだけで常人ならば膝をつき許しをこい余りの恐怖に心臓が破裂しているだろう…だが垣根は笑みを浮かべるのみ

 

「……は、虫ケラ()にそんなに殺意を向けてくるとか…随分お怒りの様だな神様?」

 

「ええ、貴方には怒っていますよ…あたくしの救いの邪魔した貴方にはねぇ!!」

 

そう言いながら狂気の笑みを向けるゾンビ、垣根は左手をポケットに突っ込んだまま笑みを浮かべ続ける

 

「ですが嬉しくもあります!あたくしの手で貴方を殺す事でストレス発散が出来るからなのです☆!」

 

「ハッ、やれるもんならやって見ろよ」

 

垣根はそう言って指を鳴らす、するとコンテナ集合地帯全域に()が広がっていく、未元物質だ。未元物質が周囲一帯を白に侵食していく…そしてそこから生まれたのは白いカブトムシ、白いトンボ、白いカマキリ、白い恐竜…まだまだ複数の生物を模した自律兵器達が形を成していく。その数は百や千などを軽く超えていた…下手をすれば万をも超えるかもしれない…そんな兵器達が空を、地面を覆い隠さんばかりに出現したのだ。もしかすれば地下にも潜んでいるかもしれない

 

「まだだぜ」

 

更に垣根は自分自身の複製であろう白い垣根の姿を模した人形達を形成、その人形は背中に垣根と同じ三対の翼を広げている…それだけに止まらない。自律兵器の一部は2、30メートルまで巨大化を始める事で自分だけの現実を拡張し能力の強化を行う。更にカキネネットワークで垣根は多才能力を発動、更に「三位一体」の術式で魔術の行使を可能とし右手からセルピヌスを顕現させる

 

「自律兵器達約数万、俺の複製3000、更に俺は多才能力と魔術の使用が可能。更に幻想殺しの噴出点でもあるこいつがいるんだ…これだけ能力てんこ盛り盛りにすればアレイスターにも勝てると自負してるが…どうだ?」

 

「……滑稽…実に滑稽です。まさかその程度の実力(・・・・・・・)であたくしに勝つ気なのですか…片腹痛し、なのだ☆」

 

はっきり言おう、今の垣根の実力ならば弱体化したオティヌスやメイザース、脳幹にすら楽に撃破出来るだろう。それ程のポテンシャルを秘めているのだから当然だ…だがそれでもなおゾンビ(魔神)は余裕を崩さない

 

「まあ、暇潰し程度にはなりますかね?」

 

「抜かせ、ていとくんのまさかの大勝利を勝ち取ってやるぜ」

 

「えぇ〜?無理ですよ。だって貴方は人間、あたくしは神様ですから」

 

「人間を舐めてやがるな、人間の無限の可能性てのを知らねえのか?」

 

「知ってますよ?あたくしも元人間ですから、知った上でお答えしましょう。貴方は絶対にあたくしには勝てない」

 

「やってみなきゃ分かんねーだろ」

 

「ならご自由に、どうせ貴方はあたくしに殺される運命なので」

 

神と天使の会話が続く、ゾンビは暇潰しにはなってくれよと微笑み、垣根は笑みを浮かべながら翼を広げる。自律兵器達も複製人形達もゾンビへと襲いかかりセルピヌスが咆哮を轟かせてゾンビを噛み砕かんと首を伸ばす

 

「教えてやるよ魔神、これが俺の…人間様の力だぁぁぁぁぁ!!」

 

その言葉の直後にゾンビに白い津波が押し寄せて来た、まるでゾンビを巨大な海が飲み込まんばかりに…それを見たゾンビは軽く手を振り…そして

 

 

「!?皆見つけたわ!」

 

「本当か美琴!?」

 

「ええ、今から一時間前だけど…ほらこの角の監視カメラに垣根さんが映ってるわ!」

 

学び舎の園から抜け出した上条達は垣根が何処にいるのか調べる為、美琴が携帯ゲーム機で町の監視カメラをハッキングしデータを読み取り垣根が何処にいるか探っていた。そこで漸く情報を見つけたのだった

 

「ここは第十一学区…ていとくンが行った方向を考ェると…コンテナ集合地帯に向かってンのか?」

 

「確か彼処は無人…だったよな?戦うのなら一番向いてる」

 

「て事はやっぱり垣根さんは戦闘する気マンマンて事ねぇ」

 

「あの野郎…私達に騙して一人だけ戦おうって事かよ…あのホスト野郎が」

 

一方通行の頭脳でカメラの位置や場所、垣根が向かった方角から逆算して垣根がコンテナ集合地帯に向かっていると推測する。削板はコンテナ集合地帯なら戦うのに最適だと呟き食蜂と麦野がやはり一人で戦う気なのかと歯噛みしながら呟く

 

「…………ッ!」

 

「!?帆風先輩!?」

 

帆風は垣根が何処にいるか知った途端、扉を蹴り飛ばして第十一学区目掛けて走り出した。美琴が慌てて止めようとするが彼女はもう既に消えていた

 

(垣根さん……!貴方と言うお人はいつもいつも迷惑をかけて…!)

 

天衣装着では間に合わない、ならば天使崇拝にてザフキエルを降ろし超高速で移動する

 

(もう本気で怒りましたよ、貴方が泣くまで殴り続けます。泣いても殴るのをやめません。そのカッコいい顔をグチャグチャにするまで殴り倒します…こんな事を思うぐらい心配しているのに…貴方はいつも勝手な事ばかり!わたくしの気も考えないで!)

 

帆風は許せなかった、垣根が自分達を騙した事についてではなく、結局どれだけ強くなっても垣根には自分は隣に立つ程の信頼を、強さを得ていなかったのかと自分自身が許せなかった

 

(昔のわたくしならば貴方の隣には辿り着けなかったかもしれない…でも今は違う(・・・・)。今のわたくしなら貴方の隣に立てる…!)

 

昔の弱かった自分とは違う、垣根の隣に立つ為に力を手に入れた。全ては大好きな彼の為に

 

(わたくしは貴方を頼りにしています、だから垣根さんもわたくしを頼って下さい。貴方とならわたくしはどんな所までもお伴します)

 

第十一学区に到達した、コンテナ集合地帯まであと数十秒もかからないだろう

 

(さあ!教えてあげますわ垣根さん!わたくしは貴方にとってお荷物では…)

 

コンテナ集合地帯に辿り着いた、その瞬間だった。帆風の思考が消し飛ぶぐらいの光景が目に映った

 

「……………………………………………………………………………………………ぇ?」

 

白だけだった、コンテナ集合地帯はまるで大災害にあったかの様に綺麗さっぱり消滅しておりコンテナ一つもなかった。あるのは白い物質だけ…恐らくは未元物質の残骸だ、カブトムシ達や複製人形の残骸である手足や頭部が墓標の如く転がっていた

 

「…………………ぁ」

 

その白い世界で唯一の色を見つけた、赤い色(・・・)だ。血の様に赤い赤…いや血そのものだ。じゃあこの血は一体誰のもの(・・・・)

 

「…………ち、が……う。違う、違う…違う!」

 

頭の中では理解している、でも信じたくない。そんな筈がない、これはきっと敵の血だと帆風は信じたかった…そして次に映り込んだのは破れたワインレッドのスーツに茶髪の青年が原型を無くして倒れている姿だった

 

「……う、そ…嘘です、そんな事がある筈ないです…だって貴方は…貴方は…学園都市最強の超能力者の第一位なんですよ?」

 

死んでいた、生きている様子はない。手足は捥がれ下半身と上半身に切断され頭部はまるで装飾品の様に白いカブトムシの砲身である角を地面に突き刺しその砲身に飾り付けていた…趣味の悪いオブジェだ、本当にオブジェだったらよかったのに

 

「……な、んで…」

 

帆風の眼から熱い何かが流れた…涙だ

 

「……死ん、じゃったん…ですか?」

 

力なくよろよろと誰かの死骸へと歩み寄る帆風

 

「ねえ返事をしてくださいよ…ねえ、冗談なら笑えませんよ…」

 

彼女の手がその頭部に触れる。冷たい、唇が動く様子はない…もう彼は二度と自分に語りかけることはないだろう

 

「…………垣根さん」

 

もう我慢の限界だった、その場で泣き崩れる帆風…結局彼女は大事な人を守る事は出来なかった

 

 

 

 

 

 

 

今日この日、垣根帝督は『死んだ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次回もお楽しみに!
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