カプ厨がていとくんに憑依転生しました   作:暗愚魯鈍

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今回はていとくんvs娘々&縦ロールちゃんvs病理おばさんという組み合わせの戦闘シーン満載でお送りします。どちらも手に汗に握る熱い戦いとなっております

娘々の術式はオリジナルです。ウィキペディアとかで調べてこんな能力を使いそうと考えました。病理さんも過去と比べ強化されています。ですがていとくんと縦ロールちゃんも強いですしこの二人も前より強化されております



戦いに飢えし女神と狂った科学者

娘々の術式は宝貝、指先を中国の正式出典のない数多くのアイテムに変貌させる術式。青龍刀やら斬馬刀、鉤鑲、釵、梢子棍、縄鏢、青龍偃月刀、多節鞭、錘、桃氏剣、朴刀、流星鎚…百を超える武器の数々に変貌し、更に飛び道具である峨嵋刺と圈が飛来する

 

垣根は翼を広げ飛翔する事で武具達を避け、垣根を斬り裂かんと迫る峨嵋刺と圈を羽で弾く。反撃とばかりに垣根も羽根を飛ばすが娘々は指先を動かし青龍刀や多節鞭で羽根を弾き返していく

 

「いいね!最高にハイて奴だよ☆楽しいねぇ!」

 

「こっちは全然楽しくねえんだよ!」

 

楽しそうに笑いながら指先を動かし武器を操作する娘々、垣根は苛立ちながら翼を動かし羽根をマシンガンの如く連射し翼を羽ばたかせ烈風を放つ。工房を何度も繰り返す両者

 

「やっぱり戦いは楽しィ☆貴方もそう思わない?」

 

「全然!こんな事する暇があるなら彼女とイチャイチャしたいです!以上!」

 

「つれないなぁ、まあ別にいいか。わたしが楽しめれば☆」

 

魔神が地上から宝貝を放射し、天使は空中から多才能力による超能力の一斉攻撃が放たれる。青龍刀や斬馬刀、青龍偃月刀などの武具が打ち上げ花火の如く天へと向かい、原子崩しや超電磁砲、発火能力による火炎放射、水流操作で水を操作し風力使いで冷やす事により氷の刃を形成、量子変速でアルミ缶をブラックホールに変える…等の無数の攻撃が流星群の様に降り注ぐ。武具と超能力の激突、互いに相殺しあい両者の攻撃はどちらにも届かない

 

「チッ……!」

 

「ヒュ〜、やるじゃん☆まだまだ序の口とは言えわたしと互角にやり合えるなんて…面白い!」

 

娘々は純粋に戦いを楽しんでいた、彼女は人間だからと他者を蔑んだり見下したりしない。自分を楽しませてくれればそれで充分、血肉踊る戦いができれば相手が誰であっても構わない

 

「さあ、もっとギア上げてくよ!宝貝なんて単なるお遊び!尸解仙は剣を体の代わりとして現世に残し仙人となる方法…剣解法によって尸解仙となれる…つまり剣もわたしの肉体みたいなものなんだよね」

 

娘々が指を鳴らす。すると娘々が指先を武器に変化させ放出した武具の内、青龍刀等の剣が宙に浮き始め垣根へと剣先を向け飛来してくる。垣根はそれらを翼で弾くが弾いても弾いても方向を変えて垣根へと進んでくる

 

(剣一本一本が娘々と同じ気配がする…つっても本人並みではねえが…油断ならねえな)

 

垣根は確信する、剣一つ一つが娘々なのだと、それぞれ彼女と同じ技量の武術を備えている…まだ垣根ら娘々の武術は見ていないし初戦は剣、人の体の動きを剣で完全に再現できる訳ではない…だが、それでも剣一つ一つが魔神なのだ、油断してはならない

 

「ま、所詮は異能。全部破壊すればいいだけだ」

 

そう呟くとセルピヌスを右手から顕現させる、以前は出す為に未元物質で形成された右手を一々崩さねばならなかったが、人体と未元物質が混ざり合い、人体と完全に融合した垣根の今の身体なら幻想殺しの噴出点であるセルピヌスを右手に宿せる様になった。何故かは分からないがあらゆる異能を打ち消す幻想殺しが未元物質に順応し未元物質のみ例外的に打ち消さなくなったのかもしれない

 

ーーーキュラアアァァァ〜!ーーー

 

顕現したセルピヌスは咆哮を轟かせながら自在に動く剣へと、あらゆる異能を喰い殺す顎を大きく開け噛み砕き消滅させていく。一瞬で全ての剣を消滅させたセルピヌスは娘々の次の獲物と定め彼女へと顎を開けて迫る。対して娘々は面白そうに笑みを浮かべる

 

「幻想殺しの噴出点……その翼といい、色んな能力が操れるのもいい…わたしの宝貝より種類が多いんじゃない?」

 

娘々はそう呟いてセルピヌスの頭部へと拳を叩きつけ、セルピヌスを吹き飛ばす

 

ーーーキュラアアァァァ〜!?ーーー

 

「異能を打ち消すのは厄介だけど…物理攻撃は打ち消せないでしょ?」

 

娘々は魔術だけが得意なのではない、武術の達人でもある。単なる拳の一撃が山を砕く。そんな一撃をモロに食らってもセルピヌスは怒りの眼を娘々に向ける

 

「お、わたしの拳を喰らって原形をとどめてるなんてやるじゃん。じゃあちょこっと本気を出しちゃおうかな?」

 

そう言って彼女は滑らかな足取りでセルピヌスへと接近、拳を構える

 

「セイ☆」

 

ーーーキュラアアァァァ〜!?ーーー

 

軽い一声と共に娘々はセルピヌスに鉈を振り下ろすように拳を打ち込む。娘々が放ったのは中国の拳法の一つ 形意拳 五行拳の型の一つ 劈拳(へきけん)。その振り下ろされた一撃は銘刀が木を斬り裂く様にバッサリとセルピヌスの頭部を左右に分けた…だが

 

ーーーキュラアアァァァ〜!ーーー

 

「おお、再生した!」

 

セルピヌスは左右に分かれた顔を接合し再生する、再び娘々に顎を大きく開け迫る。今度は垣根も多才能力の超能力を使った援護射撃を行う。だがその程度で娘々の快進撃は止まらない

 

「セイ☆セイ☆セイ☆セイ☆!」

 

五行拳の技である錐のように拳を突きあげ、ひねり込む技 鑚拳(さんけん)、槍で突き刺すように拳を打ち出す技 崩拳(ぽんけん)、片方の腕を上段受けのように上に引きながら、もう片側の拳で突くカウンター技 炮拳(ぱおけん)、拳にひねりを加えながら、内から外へ半月上の軌道で打ち払う技 横拳(おうけん)。四つの技が超電磁砲や原子崩し等の様々な攻撃を衝撃波だけで搔き消し、四つの技をセルピヌスに叩き込む事でセルピヌスは痛みに悶える

 

ーーーキュラアアァァァ〜!!!?ーーー

 

「……魔術も出来て拳法も出来るとか反則じゃね?」

 

「いやわたしは元からこっち寄り(拳法)だよ?ただ、興味本位で始めた魔術が結構才能あってさ。じゃあ魔術極めたるかー、て軽い気持ちでやってたらいつの間にか魔神になっちゃってたわけ☆」

 

「天才か」

 

何ともまあそんな軽い動機でよく魔神になれたものである

 

「でもいざ魔神になってみると退屈でさ、つまんないんだよね。魔神は最強の存在。だけどわたしとしては血肉踊る熱い戦いて奴がしてみたいのよ。でも他の魔神は魔神同士で戦う気ゼロで現世に来たら壊れるし…正直退屈してたわけよ…でも今は違う、こんなに楽しくなって来たのは久しぶり!さあ!もっと拳と超能力をぶつけ合おうか☆」

 

そう言って彼女は後ろ足にやや体重を乗せた構えを取る。そして縮地と呼ばれる空間移動に似た転移術式で垣根の正面に現れ、軽やかに前方に足を踏み込み鑚拳を放つ。対して垣根は六翼を繭の様に閉じて防御体勢に入る。更に一方通行の反射も使用する。念の為に両腕をクロスさせておく。三重の守りを娘々でも突破できないだろうと垣根は頭の隅でそう思う…だが、甘かった

 

「甘い☆そして緩い☆この程度でわたしは止まんないよ!」

 

未元物質の翼による防御壁、一方通行の能力による反射、未元物質で構成された両腕によるガード…娘々は軽々とそれらを打ち破って垣根の両腕に拳を叩き込み両腕を粉砕し、垣根の腹部に拳を命中。垣根を10メートルほど吹き飛ばしビルに激突させる

 

「ガア、アアアアアァァァァァァァァぁぁぁッ!?くそ、舐めんじゃ、ねえ!」

 

垣根は口から血反吐を吐き出しながらも娘々を睨みつけ、六翼の先端を娘々へと伸ばし攻撃する。だがそれを娘々は軽々と避けセルピヌスの噛みつきを縮地で避けてから新たな技を出す

 

「セイ☆」

 

技だけ見ればさっきも放った炮拳だろう、だが前とは違いその拳は炎を纏っていた。五行拳とは五行説に関連する名がつけられている。例えば劈拳は金行、鑚拳は水行、崩拳は木行、炮拳は火行、横拳は土行…娘々はそれぞれの拳が五行思想と関連する事からそれぞれの拳に五行の属性を付加できる。例えば劈拳ならば上質な金属で鍛え上げられた銘刀の如き斬れ味で敵を両断する…炮拳は灼熱の業火をその拳に纏い敵を灰燼へと化す強力な一撃となる

 

ーーーキュラアアァァァ〜!!ーーー

 

だがセルピヌスも負けているばかりではない、咆哮を轟かせると娘々の足を一時的に塩化させ動きを一瞬止める

 

「ん?なんじゃこりゃ?」

 

娘々が一瞬足へと意識を向けたその瞬間、セルピヌスは身体の鞭の様にしならせ娘々に自分の身体を打ち付けた

 

「おぉおう!?」

 

娘々は野球ボールの様に吹き飛ばされビルへと大激突、娘々にぶつかったビルが音を立てて瓦礫を雨の様に降らしながら崩壊する…だが即座に娘々は縮地を使って垣根の背後に現れ手に携えた青龍刀で垣根へと斬りかかり、垣根は翼を盾にして不意打ちを防ぐ

 

「今のは痛かったよ、久しぶりにあんな痛みを感じて…ゾクゾクしてるよわたしィ!」

 

「ドMか!」

 

垣根は残った5枚の翼で娘々を串刺しにしようとするが、娘々は青龍刀を自在に扱い翼を弾き飛ばし攻撃を防ぐ

 

「知らない?中国の拳法てさ…槍とかの武器術も得意て事」

 

「初耳だな!」

 

娘々は笑いながら青龍刀をまるで槍の様に扱い、刺突を繰り返す。垣根はそれを翼で何とか弾きながら後方へと下がる

 

「防戦だけじゃダメ、捨て身の覚悟で攻めて来てごらん」

 

娘々は演舞の如く踊る様に足を動かし刺突を何度も繰り返す。それはさながら刀身の流星群だ。垣根はそれを翼でなんとか弾くが捌ききれず垣根の身体はゆっくりと刃先で斬られていく

 

「ほらほら、最初の頃の勢いはどうしたの?」

 

「コイツ……舐めてやがるな。愉快な死体にしてやるから黙って嬲り殺されろ」

 

「ははは、やなこった☆」

 

揶揄う様に笑いかける娘々、垣根は原子崩しを数発娘々に打ち込むが彼女はそれを拳で叩き落とす。片手間に創造した白いカブトムシ達を襲わせるが彼女は軽々とカブトムシ達を破壊する。再生する間も無く未元物質の素粒子一つ残さずこの世から消滅させられてしまう

 

「そんな弱っちい玩具でわたしを止められるわけないじゃん☆もっと本気でかかってきなよ!」

 

「煩えぞこの戦闘バカ!」

 

娘々の動きは人の動きではない、龍を模した動きや鶴を模した動き、蛇を模した動き…十二形拳。五行拳の応用で12種類の動物の動きを模した必殺拳で垣根を撹乱しながら拳を叩き込む。だが垣根も黙って攻撃を喰らっているわけではない。反撃として翼による斬撃や打撃、刺突、烈風が娘々を襲い彼女の衣服と肌に傷を与えていく

 

「わたしが傷を負うなんて何万年ぶりだろうね!うんうん、この命のやり取り、死の淵を綱渡りで歩く様なこの感覚……サイコー!」

 

「マジでお前頭イかれてんな!」

 

自分が傷を受ける度に喜ぶ娘々、垣根はそれを見てドン引きしながら悪魔化の光の杭を放つ。当たりさえすれば娘々を撃破可能な程に弱体化させるその術式。当たってしまえば文字通りの一撃必殺の技だ…そう、当たれば…だが

 

「にゃはは!そんな遅い攻撃当たらないよ!」

 

娘々は軽々避ける、一応は音速を超えているのに余裕綽々と避ける娘々。何度も悪魔化の光の杭を放つがどれも避けられてしまう

 

「……猿みてえなヤツだな」

 

娘々の予想のできない挙動の前には悪魔化の光の杭は当たらない、故に弱体化も出来ない

 

「………さて、どうするかな?」

 

悪魔化をどうやって娘々に当てるのか、それを垣根は思考するのだった

 

 

 

神を見る者(カマエル)

 

帆風はカマエルをその身に宿す、天使の力は自身の格闘センスと拳の破壊力の向上。その拳の一撃は今や全力ならば山すらも砕く。山を砕く一撃を右ストレートで病理へと放つが…

 

「おお、凄いパンチですね」

 

病理は音速を超える速度で放たれた拳に余裕で対応し掌で受け流す。そして病理も蹴り上げる様に足を帆風の顔面へと叩き込もうとし帆風は左腕で足をガード

 

「甘い、ですわッ!」

 

帆風も足技を繰り出すが病理は跳躍して回避し、空中で背中の三対の翼を羽ばたかせ烈風を発生させ帆風の体勢を崩させる。更にその隙に紫色の原子崩しを帆風へと放ち、帆風は天衣装着で放電状態となり、それで原子崩しの軌道を無理やり逸らす

 

「やりますねぇ、流石帝督ちゃんが相棒として選んだ子です。やはり帝督ちゃんは女の子を見る目がありますねぇ」

 

「お褒めいただきありがとうございます。できればさっさとわたくしに倒されて欲しいのですが」

 

「うふふ、それは出来ない頼みなので〜す」

 

笑顔で帆風を賞賛する病理、帆風は目を細めながら病理の言葉を適当に受け流しつつ病理へと迫り回し蹴りを放つが病理はそれを右手で受け止めると帆風の顔面に拳を突き上げようとする…だが帆風は当たる直前に天衣装着で電撃を発生、病理は咄嗟に手を引き戻す、その隙をついた帆風の正拳突きが病理の腹部にめり込んだ

 

「ごば……!?」

 

軽く呻く病理、だが帆風はチャンスを逃さない。動きを止めた病理に帆風は嵐の如く拳打を叩き込む。1秒で何十発もの拳を病理に叩き込み一発一発の威力は人体なら一撃で消し飛ばすほど、数秒の間病理はその拳の乱れ打ちを喰らい続け身体の原型を無くし身体は破壊される…だが

 

「凄い威力ですねぇ、病理さんびっくりです」

 

彼女は死なない、体一つ壊した所でまた反転物質で新しい身体を複製すればいいだけなのだから。今の病理は反転物質が一欠片でも存在する限り不死身の存在と化している。故にこの程度では倒す事は出来ない

 

「………今までの敵とは違うベクトルで…人外染みてますわね」

 

上里翔流やアウレオルスの様な純粋な人間とも、ガブリエルの様に元から人外である敵とも、ンザンビの様に魔術を極め神になった人間とも、目の前の木原病理という女はどのジャンルにも属さない。自分の身体を自分で改造し自らの意思で人間を辞めた狂人、魔神達と同じ逸脱者だが魔神達とも違う存在…それが木原病理という存在なのだ

 

「厄介ですわね…本当に」

 

帆風はそう呟きながら、宿す天使の地下をカマエルからザフキエルに変更。自分自身の体が生み出す遠心力を何十倍にも増幅し拳や蹴りの破壊力を増大するカマエルとならぶ純粋な接近戦最強の能力。その力を活かし帆風は病理に拳を叩き込む、病理は翼を盾にし拳と激突させる、拳と激突した羽は数百枚の羽根になり衝撃を拡散させその隙に病理の回し蹴りが帆風の身体へと放たれる

 

「フッ!」

 

その拳による衝撃を帆風はザフキエルの力で自らの身体を回転させる事で完全に受け流す、そのまま回転しながら病理から距離を取り帆風は部屋の床を足で蹴りつけ亀裂を走らせ床を破壊する。そして床を破壊した事で瓦礫が生まれそれを手で素早く掴み取りそれを病理へと力強く思い切り投擲する

 

投げつけた瓦礫は音速を超える速度で病理へと迫る、しかもただの瓦礫ではない。帆風が投擲前に天使の力(テレズマ)を流し込み音速を超える速度でも瓦礫が消滅しない様にし病理にぶつかった際に起爆する魔力爆弾と化してある。そんな攻撃を前に病理は薄く笑って口を開く

 

「形態参照 ラーガルフリョゥツオルムル」

 

病理がそう呟くと彼女の身体が膨張し肥大化・巨大化し始まる。魔力爆弾と化した瓦礫を変貌した前脚で踏み潰し異形の怪物と化した病理は背に生えた巨大な蝙蝠の如き翼を天井に届くまで広げ、天井を破壊し瓦礫が雨の様に降り注ぐ

 

「……ここは思い出の場所なのであんまり壊したくないんですけどねぇ…まあ、被害の出ない争い事はないと割り切って『諦め』ますか」

 

異形の怪物の姿でそうほざく病理、彼女が変身を遂げたその姿は漫画やアニメなどに出てきそうなドラゴンだ。悪魔の如き皮膜型の翼、四肢で立つどっしりとした巨体、凶悪かつ凶暴そうな面相の狡猾な蛇にも邪悪な竜にも見える面相…聖書にでも出てきそうな邪竜が顕現したのだった

 

「……天使であるわたくしと悪魔の象徴である竜の貴方…中々皮肉が利いていますわね」

 

竜とは堕ちた天使、即ち悪魔の象徴である。サンダルフォンという天使の名を持つ自身に悪魔の象徴であるドラゴンで戦いを挑むなど何の皮肉か、帆風はそう思いながらミカエルを宿し右の掌から炎の剣を顕現させドラゴンへと斬りかかる。だがドラゴンはその鈍重そうな見た目とは裏腹に素早い動きで剣撃を避ける

 

「くっ……!意外とすばしっこい…!」

 

「ふふ、鬼さんこちら、手のなる方へ〜」

 

炎の剣を紙一重で避け続ける病理、病理はその鋭い剣の様な牙が生えた大口を開く。そして口から紫色の炎を吐き出す。帆風へとその炎の津波が迫り帆風はザドキエルの速さで超スピードで炎の津波から逃れる

 

その炎の威力は凄まじく一瞬にして地下室全域が燃え上がり融解する程だ、もはや逃れる場所はない。ならばと帆風は破壊された天井から上へと避難。彼女の後を追う様に病理は翼を広げ地上へと目指す

 

ドラゴンは翼を広げ空を目指し飛翔し、地下室から一気に地上へと飛び出す。その過程で廃墟となった孤児院が倒壊するが病理は気にしない。口を開き灼熱の業火を放つ

 

「炎…なら神の栄光(ハニエル)!」

 

帆風が降ろしたのはハニエル、能力は五大元素を支配する能力と調和・平和・愛情に関する能力。ラジエルの次に魔術向きの能力で帆風は五大元素を支配する力で炎の威力を弱くした後、周囲のアスファルトや大地を支配し粘土の様に柔らかくし自在に操り、病理の身体に絡みつくと一瞬で硬くなり彼女を拘束する。天使の力が付加されたその土の拘束は生半可な力では破壊できない

 

「……これは表層融解(フラックスコート)みたいな能力ですねぇ。まあでも、これくらいの拘束では病理さんは止まりませんが」

 

そう言って彼女は全身に力を込める、するとドラゴンの全身に黒いラインがその身に刻まれ紫色のオーラを纏う。万力を込め翼を広げるとアスファルトと土の拘束は呆気なく破壊され病理は咆哮を上げて前足を振り上げその鋭い爪で帆風へと振り下ろす

 

「ーーーッ!」

 

帆風は急いでそれを避ける、爪が引き裂いたが地面に刻まれる。帆風は距離を保ちつつ五大元素に干渉し鎌鼬や氷の刃、火球を放つが当然反転物質で構成された病理には傷一つつかない

 

「そんな攻撃で私を倒せると思いましたか!だとしたら心外です!」

 

そう言ってドラゴンの形相で病理は嘲笑う、帆風は虹色の翼を生やして空へと飛翔し病理から距離をとった。病理は翼を羽ばたかじて飛翔。帆風を追いかけながら口を開け火炎を放つ。ハニエルの力で火炎は消滅するが物理攻撃は弱められまいと病理は彼女を引き裂こうとする

 

「さあ、潤子ちゃんのその身体は私の爪にどれくらい耐えられるんでしょうねぇ!」

 

そう笑う病理、コンクリートをバターの様に容易く裂くその爪を振り下ろす…だが帆風の顔に焦りはない

 

「彼の者に愛しみの記憶を思い出させよ」

 

「うっ!?」

 

帆風がそう呪文を唱えると病理は振り下ろしかけた爪を空中で止め、もう一つの前脚で自らの頭を抑え苦しそうな顔をし空中で悶える。ハニエルのもう一つの力。対象に愛や調和を与える…この場合は相手の楽しかった頃の記憶を思い出させ思考を不意に奪うことで行動を阻害し隙を出させる能力…病理に楽しい記憶があるかは分からないが…能力が効いたからにらその様な記憶があるに違いない

 

(ですが、何故苦しそうな顔を?)

 

唯一帆風が気になったのは何故苦しい顔をしているのか、だ。誰しも楽しかった頃の記憶を思い出せば意識を忘却し思い出に浸り楽しそうな顔をする筈なのに…何故か病理は苦しげな顔だ…まるでその記憶そのものが自身にとって忌まわしいもの(・・・・・・、)とでも言いたげに

 

「くぅ……ふぅ……はぁ………!」

 

 

『病理せんせー!この絵本読んで!』

 

『センセー俺もこの本読んでほしい!』

 

『見てよ先生!これ俺が作ったんだぜ!』

 

『はい先生!これ先生の為に折った折り紙の鶴!毎日私達のお世話をしてくれてありがとね先生!』

 

『おぉ〜、皆さんありがとうございます』

 

『はは、病理姉さんは人気者だな〜これは流石のていとくんも嫉妬不可避』

 

 

「くっ……!小賢しい真似を!」

 

病理は頭を振り、ハニエルの術式を振り払う。怒りの眼で帆風を睨み口から毒霧を放射、毒霧に触れた建物が1秒と経たず融解して消滅してしまう。帆風はその毒霧から必死に逃れ翼を羽ばたかせ空へと逃れる

 

「まだまだ第1ラウンドですよ潤子ちゃん!さあ第2ラウンド開始です!」

 

「………上等ですわ」

 

病理はそう叫ぶとドラゴンの口から紫の炎を吐き出し、帆風は自らの切り札たるサンダルフォンを降ろす。ドラゴンと天使、神話を再現するかの様に両者は再び激突する

 

 

 

娘々は仙人としての権能から自身を数十人にまで分身。拳法や魔術の技量はそのまま、強さもほぼオリジナルと同格という破格の分身達は垣根に拳や魔術を嵐の如く放つ。垣根はそれを未元物質の翼で全て防ぐ

 

『『『にゃはは!さて、ここで問題。本物はどれでしょう?』』』

 

「チッ……本物と同じスペックの分身体とかそんなのアリかよ!」

 

垣根はそう言いつつも無数の娘々から逃れ空へと飛翔、太陽を背にして太陽光に含まれる赤外線を殺人光線に変換。元は人を焼き殺すのが精々だった殺人光線だが神となった今では周囲の大地に白い炎が発生しアスファルトや建物が消滅する程の威力となっている…これを喰らえば魔神とて傷を負うのは必然。分身ならば消滅するだろう…垣根はそう考える

 

『『『残念☆効かないよ!』』』

 

「なに!?」

 

だが殺人光線を喰らっても娘々達は平然とした顔で空を飛び、垣根へと向かってくる。垣根はそれに驚きを隠せないでいたが我に帰り、赤外線ではなく紫外線の法則を変えることにし、紫外線を腐食光線に変換。腐食光線も1秒足らずでシロナガスクジラを消滅させる程にまで強化されている。すると今度は娘々達は光線に当たると一斉に溶け始め一体の娘々のみしか生き残っていなかった

 

「テメェが本体か」

 

「そうだよ、分身達は攻撃力とかは完コピなんだけどなにぶん防御力が低くてね…まあ、これも一種の遊びだよ☆」

 

「あれで遊びか…まあ、俺も未元物質で分身作ればお前と同じ事が出来ると思うがな」

 

娘々は会話をしながら横拳を放つ、垣根は翼を盾にして防御。娘々の右手が翼に突き刺さると同時、その翼を無数の羽に変換しばら撒き衝撃が自分に伝わるのを阻害する

 

「だが、どうやって俺の殺人光線を防いだ?」

 

「ああ、さっきの?あれは仙人としての力の一端だよ、仙人は火で焼け死ぬ事はないのだから。太陽だって一種の火でしょ?」

 

仙人の能力は実に多彩だ、先程の様に分身したり、空を自在に飛び回り、水の上を歩いたり潜ったり、千里を見通したり、火の中で焼ける事はなかったり、獣を従えたりと多くの力を持つ。それでもまだ娘々にとっては数多くある術式の序の口なのだ

 

「でもこんなに沢山の術式を使ったのは久方ぶりだよ本当に、やっぱり楽しませてくれるねぇ!貴方て最高の遊び相手だね!」

 

「俺は玩具じゃねえ!それと俺は他人に遊ばれるより他人で遊ぶ方が好きなんだ!」

 

会話をしながらも二人は攻撃の手を緩めない、垣根はセルピヌスや翼、多才能力の超能力で娘々を攻撃、娘々はそれを軽々と防ぎ仙人の権能で姿と気配を完全に隠してしまう

 

「ステルスまで持ってんのかよ…」

 

姿も気配も完全に感じない…垣根は周囲に未元物質の素粒子をばら撒く。姿や気配が見えずとも身体は何処かにある筈…暫くして垣根は槍を一本形成し背後へと投擲。娘々は姿を現しその槍を弾く

 

「ありゃりゃ、流石にバレた?」

 

「バレバレだよばーか」

 

そう言って垣根は左手を向けそこから巨大な火の柱を発生させる。娘々は火の攻撃では自身を傷つけられないことを知っている為迷わず突進。火の柱を突っ走って垣根の首を手刀で切り落とそうとした瞬間…全身に寒気が走り、娘々は咄嗟に真横に全力で移動する…直後、娘々がいた場所に巨大な異形な手が通った

 

「………魔術は複製できないんじゃなかったけ?」

 

「昔の話だよ」

 

娘々は垣根の右肩に生えた歪な形をした第三の腕(・・・・)を見ていた。それはフィアンマのみが持つ彼の力の根源。それを垣根が扱っているのに娘々は驚いていた

 

「昔は超能力しか複製する事が出来なかったが…俺はお前ら魔神と同じ神の座に至った存在だ。なら魔術や術式を解析してそれを未元物質で複製しカブトムシ達に実装し、多才能力に組み込む事も容易て事だ」

 

メタトロンという神の座に至った垣根、今や彼の未元物質は魔術ですら複製し自身の力として扱う事が出来る。フィアンマだけではない、ありとあらゆる魔術師の術式すらも解析・複製しカブトムシに実装、多才能力として自身が扱う事も可能と更に未元物質の自由度を向上させていた

 

「……君てさ、色んな方面の人達に喧嘩売ってるよね。超能力者と魔術師の人達に謝ってきなよ」

 

「俺には常識は通用しねえ」

 

「わたしも大概だけど貴方も大概だと思うよ?」

 

「お前にだけは言われたくねえな」

 

「わたしも貴方だけには言われたくないなぁ…」

 

そう軽口を呟きながら娘々は再び拳を構える、垣根は第三の腕を横に振るう。娘々を撃破する為に聖なる右は莫大な力を引き出し衝撃波として娘々に放つ。娘々はそれを拳を突きつけ衝撃波を飛ばす事で相殺する

 

「まあ、楽しければそれでいいんだけど☆」

 

「すぐにその余裕面なくしてやる」

 

そう言って天使と魔神は再び激突した

 

 

 

病理は前脚を振り下ろす、帆風はそれを左手で受け止めながら右手で前脚を殴りつけ破壊する。だが前脚を破壊しても即座に再生してしまう

 

「う〜ん、やはり前とは比べ物にならないパワーですね。魔術サイドの力とはいえ…やはり興味深い」

 

病理はそう楽しげに喋りながら口から火炎を吐き出す。サンダルフォンでもドラゴン化した病理を倒しきる事は出来ない

 

(なら……アレ(・・)を試しますか)

 

そう帆風は考えると、サンダルフォンの力を解除すると一息ついて口を開ける

 

神の如き者(ミカエル)神の正義(ザドキエル)

 

「な……」

 

異なる天使を同時に降ろす。二重の天使降ろし。神へと至った帆風だからこそ可能となった天使崇拝の新たな力。ミカエルの圧倒的な攻撃力とザドキエルの超高速のスピード。二つが合わさることにより超高速の接近戦が可能となる

 

「行きます!」

 

ザドキエルの超スピードで病理の周囲を駆け巡る、ミカエルの剣でドラゴンの身体を斬り裂き一瞬でバラバラにする。だがすぐに黒い塊が空中に現れ人型となる

 

「まさか二つ同時に力が扱えるようになっているなんて…うんうん、成長は順調の様ですね」

 

病理はそう言いながら三対の黒い翼を広げ帆風へと接近する。爪を立てて帆風を引き裂こうとするも帆風は慌てない

 

「わざわざ貴方の方から近づいて来てくれてら助かりましたわ」

 

「!?」

 

そう帆風は呟いて、ミカエルからラジエルに天使を変更、転移の術式を用いて病理の背後へと移動し病理の左肩を掴む

 

「さあ……貴方は何処まで耐えられますか?」

 

ザドキエルから再びサンダルフォンに切り替え、帆風は全身から白き雷撃を放電する

 

「があ"あ"あ"あ"あ"あ"ああああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!?」

 

白き雷が病理の全身を襲う。いや、彼女だけでない白い雷は病理だけに止まらず周囲一帯の空間に放電が広がっていく……反転物質がある限り病理は何度でも再生するのであればここら一帯にある反転物質全てを破壊すればいい(・・・・・・・・・・)。それを帆風は実行しようとしているのだ

 

「これで貴方を…反転物質全てを破壊し尽くせば…わたくしの勝利です!」

 

「ま、さか……こんなデタラメな手段に出るとは…病理さんでも予測できませんでしたよ!」

 

帆風は全ての反転物質を破壊すれば自分の勝利だと叫び、病理は流石に全ての反転物質を破壊されるのは不味いと思ったのか六翼の黒い翼の先端を向け帆風を穿たんとする。だがその翼も白き放電には耐えきれず消滅してしまう。病理の身体のみが帆風の放電を耐え切ろうと崩れた部位を反転物質に即座に再生する

 

「さあ、どちらが先に倒れるか我慢比べと……!?」

 

我慢比べといきましょう、そう帆風が言いかけたその時だった、脳内にスパークが走り鈍い痛みが彼女を襲う。病理からの攻撃かと帆風が考えた時、ふと気づけば帆風は知らない場所に立っていた

 

「……え?」

 

右手で掴んでいた筈の病理の姿はいない、空間移動で逃げたのか?いや、そもそもここは何処なのかと帆風は考え気づいた。所々に見覚えがある建物が見える事に

 

「……第十学区?しかし、こんな建物は無かった筈……いえ、この建物、何処かで」

 

帆風は目の前の建物を見て漸く思い出す、目の前の建物は病理が潜伏していた廃墟(・・)だと。だが老朽化し所々壊れていた筈の建物は新築の様に綺麗だった…まるで時間を戻した様に(・・・・・・・・)

 

「これは……一体?」

 

帆風がそう呟いた時だ、ふと聞き覚えのある声が聞こえた

 

『うへぇ、買うもん多過ぎだろ…どんなけ食うんだよあいつら』

 

「!?この声は……」

 

帆風はその声を聞いて声が聞こえた方へと振り返る。そこに立っていたのは…12、3歳くらいの少年だ…何処と無く垣根に似ている

 

「……小、さい…帝督さん?」

 

間違えない、この少年は垣根だ。他人の空似とか、垣根の弟だとか、垣根の幼い姿のクローンというわけでもない。正真正銘垣根帝督その人だ。そんな確信が帆風にはあった

 

「で、ですが…何故子供の垣根さんがここに…?ま、まさかこれは……」

 

帆風がある結論に達しかけたその時、幼き垣根に声をかける一人の女がいた

 

『御使いご苦労様です帝督ちゃん』

 

『お、病理姉さん。頼まれてたもん買ってきたぜ』

 

「………え?」

 

その声を聞いて帆風は思考を止めた、そしてその声の主を見て…再び固まる。その人物は先程自分と戦っていた相手で、垣根の因縁の相手…垣根の孤児院の皆を殺した人物だったからだ…そんな人物が何故、垣根に親しげに話しかけ(・・・・・・・・・・・)、垣根もそんな女に何故親しげに話しかけている(・・・・・・・・・・・)のか帆風には一切分からなかった

 

『本当助かりますよ、私買い物は面倒臭くていきたくないので…今晩は帝督ちゃんの大好きなクリームシチューですよ』

 

穏やかな口調で木原病理は垣根に微笑むのだった。その笑顔は帆風が見たことのない病理の顔だった。あの狂気に塗れた歪んだ笑みではなく、純粋に病理は楽しげに優しい笑顔を垣根に向けていたのだ。垣根もそんな彼女を見て笑っている…その笑みからは現在の病理に怨みを向けている垣根からは想像できない

 

「………これは、一体…どういうことですか?」

 

そんな光景を見て、思わず帆風は無意識にそう呟いたのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次回は追憶の病理さん、つまり病理さんの過去編です。これで謎に包まれていた病理さんやていとくんの過去が明らかに!意外な事実と悲しい過去…驚きの展開を見逃すな。そしてショタていとくんを見れて縦ロールちゃんは大満足

帆風「ハァハァ…ショタ帝督さんかぁわいぃです」

垣根「……今寒気がした」

因みに縦ロールちゃんの今の状態はとあレーでいう木山先生の過去を除いたミコッちゃん状態です。つまり電撃によって電気的な回線が偶然繋がり病理さんの記憶を読んでいる状態て事です

次回もお楽しみに!
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