「あと2分で合流地点に到達する! 気合入れろ!」
「「「「よろしい。ならば
「ボーンイーターはふざけるな!」
オスプレイの機内でベッカーが叫ぶ。メメントモリ小隊は今、ドイツのケルン市にいる。ただのテロならばTF148に出る幕はないのだが、件のグローバルリスク相手となれば話は別、ということになったらしい。そのため、情報収集を兼ねてGSG-9と共闘することになった。
そして、黒のBDUに身を包み、バルチャー改めボーンイーターは黒のバラグラバまでしている。函南は忍者かよとコメントしていた。
外を見ると、ケルン中央駅前にはパトカーが集結している。敵は駅に立てこもっているらしい。
着陸地点に到着したメメントモリ小隊はオスプレイから降りる。ベッカーはGSG-9の指揮官を探す。すると、意外とあっさり見つかった。
「グライリッヒ!」
「おう、意外と早かったな。早速だが状況の説明だ。あのイカれ野郎ども、PETN持って駅構内にいやがるんだ。索敵殲滅と上から言われてる。」
「人質は?」
「数名いるそうだ。救出出来るか?」
「俺らの中には例の日本人4人組がいるぞ。そこで景色に見とれてる連中だ。」
「そいつは心強いな。俺らと手分けするぞ。ワーグナー! ユルゲンス! メメントモリの道案内してやれ!」
グライリッヒは小隊に道案内と連絡要員として、ワーグナー、ユルゲンスの2人を付けた。
「よし! ベッカー! この作戦が終わったらお前に奢ってもらうぞ!」
「おうおう。GSG-9とTF148の夢のコラボが出来るんだ。それくらい安い出費さ。」
グライリッヒの部隊に続き、ベッカー達も突入する。
「スゲえ・・・こりゃ東京駅とは別の凄さだ・・・」
しょっちゅう東京駅へ行っていた長谷川は駅の中を見て感嘆の声を漏らす。
「おう日本人、東京駅ってのは迷宮だと聞いたが、本当か?」
「少なくとも、日本語か英語読めない奴が突入したら迷子確定だ。通勤ラッシュの時間帯なんか尚更だ。」
「おーう、日本のサラリーマンに生まれなくてよかったぜ。」
グライリッヒとその部下は笑う。函南は長谷川の言ったことはジョークなんかじゃないとよく知るだけに、苦笑を浮かべていた。(函南は東京駅で迷子になりかけたことがある。)
ある程度進むと、グライリッヒ達は集中し始めたようで、何も喋らなくなる。
「ベッカー、上のプラットホームに行け。俺達はこの階を探す。」
「わかった。何かあったら連絡する。」
そこでグライリッヒ達と別れ、ワーグナー、ユルゲンスの案内のもと、上のプラットホームに向かう。
テロという事もあり、ケルン中央駅周辺の鉄道は全てストップしている。そのため、プラットホームはとても静かだった。分隊ごとに別れ、11個のプラットホームをカバー出来るように等間隔に散らばり、エスカレーターに身を隠している。
モーションスキャンで鷹見が人質と敵を見つけ出した。3番プラットホーム。ボーンイーターの担当だ。それも目と鼻の先。
函南はすぐにテキストチャットで全員にそのことを伝えると、ジャッカルと行動していたベッカーがグライリッヒに伝えた。そして、ボーンイーターに攻撃許可が下りる。
「よし。All weapons free.殺るぞ。同時攻撃だ。」
プラットホームには4人の敵。函南が狙う敵を割り当てる。長谷川は人質救出ということもあり、M249ではなくMP5A4を装備している。(A4にした理由は敵をストックで敵をぶん殴るため)
宮間はAN-94が廃銃となってしまい、泣く泣くAEK-972に持ち替えていた。
そして、準備は整った。
「撃て。」
函南は静かに、敵へ死の宣告を言い渡す。放たれた銃弾が死の宣告から僅かに遅れて敵の頭部を貫く。敵は何が起きたか知ることもできずにこの世に別れを告げ、地獄へと旅立った。
「クリア。」
函南達はすぐに物陰から飛び出し、人質の元に向かう。長谷川と宮間が倒れている敵の手に握られていた銃を踏みつけ、遠くに蹴飛ばし、函南と鷹見が人質の拘束を解く。
「よし、これで・・・長谷川! 爆弾だ!」
函南は拘束を解いていた時に見つけてしまった。そこに置かれていたPETNと時限式のC4を。人質は怯えているが、長谷川はまるで面倒くさい宿題をやるかのようなだるそうな雰囲気で解体にかかる。
「あー・・・また素人作りかよ・・・もっと手応えあるのを作れっての!」
文句を言いながら、お前のようなポンコツに使うニッパーはない! と言わんばかりに配線を手で引きちぎって解体した。
「わお。こないだ通信教育で建築の資格を取っただけはあるな。」
鷹見が少しふざけたように言う。
「やれやれ。ベッカー、クリアだ。人質も無事。」
「了解。グライリッヒも人質を救出したらしい。1匹捕まえたともな。」
「ならば「拷問だ!とにかく拷問にかけろ!」」
横からふざけたことを抜かした長谷川の頭にはもれなく函南の拳骨が降り注いだ。
「とりあえず、ミッションコンプリートか?」
「そうかもな。人質を連れて外に出るぞ。」
「了解。通訳にワーグナーかユルゲンス連れてきて。俺達ドイツ語は片言程度にしか喋れない。」
「わかったよ。」
その後、合流したワーグナー(ワーグナーは英語が話せる)の通訳のおかげで、どうにか人質を連れて合流することができた。
そして、駅前に戻り、グライリッヒ達とも合流した。
「楽勝だったなベッカー!」
「まあ、やったのはそこの日本人だぜ。」
「ほう、ビールを奢ってやろうか。」
「おいグライリッヒ、愛良はいいけど他の3人は18だぜ?(正確には鷹見だけ17歳)」
「ドイツじゃ16歳から飲めるが・・・国外犯になっちまうか、仕方ない。ジュースで・・・」
その時、グライリッヒの無線に緊急連絡が入り、辺りの警官達に緊張が走る。無線が別系統のTF勢は訳が分からず首を傾げていた。
その時、近くのパトカーが爆発した! グライリッヒやベッカー達はすぐに他のパトカーに隠れる。
「今のはRPGじゃないか!?」
キリルはそう叫びながらAEK-971のセーフティを切る。
「クソが! ここは陽動だとよ! 今いるゴルトガッセ、ヨハニス通り、トランクガッセに敵だ! オマケに、ケルン大聖堂に連中、人質取って立て篭もったとか不確定の情報も入ってるんだ!」
「見事に釣られたな。ここに集まってる奴らを殲滅すればしばらく暴れてられるもんな・・・ドイツ軍の到着までは?」
「軍隊? お前、軍がおいそれと出てこられると思うか!?」
「チッ、俺達で突破しろってか・・・おい! オスプレイに積んできたコンテナになんかないか!?」
そんなことを言っている間に、前方の建物や路地から敵が発砲してくる。そんな中、アランがコンテナにたどり着き、蓋を開けて中を覗く。
「・・・わお。RPGだぜ。オマケにM24SWSに他にも色々・・・おっと。」
アランは近くに敵弾が着弾し、伏せた。
「おらよ暢! 使え!」
アランは隙を見てAT-4CSを取り出し、暢のところへ転がした。
「あ! バカ! 1番渡したらマズイ奴に「RーPーGぃぃぃぃぃぃぃ!」」
時すでに遅し。長谷川はAT-4を構えて後方の安全確認もせずに路地の敵へとぶっ放した。アランとコンテナを漁っていたジャックをバックブラストの代わりに噴出された塩水が襲う!
敵が対戦車榴弾を食らって吹き飛び、後ろのアランとジャックも塩水の勢いですっ転ぶ。
「ヒィィィハァァァァァ! 最高にハイってヤツだぜぇぇぇぇ!」
「おいベッカー、あの日本人いきなりコンバットハイになってるぞ?」
「ほっとけ。ああしてないとメンタルがおかしくなりそうなんだとよ。」
長谷川は殺しをして平然としていられるほどタフなメンタルではない。こうしてワザと狂って、どうにか耐えているのだから。
函南や鷹見も同じだ。それぞれ方法は違えど、いつ崩れる積み木かわからない。そんな心を抱えながら必死に戦っているのだ。はたから見れば強い兵士。だが、見方を変えれば普通の少年。そんな彼らを見守り続けているベッカーや宮間は、その弱点を突き崩されないことを祈るばかりであった。
次々と押し寄せる敵を撃ち倒す函南達。その顔は必死だった。これを乗り切れば何かが変わる。そんな気がしていた。
函南たち4人は英語とついでにロシア語話せます。ベッカーたちによる厳しーいレッスンの賜物です。