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「切那!!何故あそこでカルマにパスを出した!!」
稲妻KFCとの試合を終えた切那は監督である父から説教を受けていた。試合終盤、相手をかわすためにチームメイトの黒崎カルマにパスを出した。しかし父はそれが気にくわなかったのだろう。
「・・全く・・わかっているのか?お前以外は使い物にならん!!これからパスを出さず一人で攻めろ!!」
それから数ヵ月後、父は亡くなった。酔っぱらい運転によるひき逃げ、それも一度ひかれ、地面に倒れたあとしばらくしてから来た車にもう一度引かれるという悲惨なものだった。
父の死によりやっと自由にサッカー出来ると思っていた切那。しかし父の影響は大きく切那の心に傷を残していた。パスを出そうとすれば体が震え動けなくなってしまう。やがてトラウマからサッカーをやめた切那だったがある日雷門と帝国の練習試合を見て衝撃を受けた。諦めずボールに立ち向かう円堂。その姿を見て自身も諦めず戦いたい、そう思うようになった切那はサッカー部へと入部した。
「切那!!」
優菜が叫ぶ。見ると目の前には相手が迫ってきている。
(私・・だって・・変わりたい!!)
切那がボールを蹴る。そのボールはまるで吸い寄せられるように優菜の足下におさまる。
ーーパスだ。切那を見るも震えている様子がない。
「・・行ける!!勝てる!!」
優菜が再び切那にパスを出す。その前に桜庭と香坂が立ちはだかる。
「「『アンコール・バンディアン!!』」」
必殺技で止めようする二人。しかし切那はボールを蹴りあげるとその場にしゃがむ。
「ナイス、切那!!『エターナルブリザード!!』」
しゃがんだ切那を足場に飛び上がり遺跡を飛び越える友紀。そのまま空中で必殺技でシュートを放つ。
「『王家の盾!!』」
それに対して必殺技で対抗しようとする西陰だかそのボールに切那が追い付きボールを蹴り、もう一度ボールに追い付いて蹴り混む。
「『ソニックボルト!!』」
切那の必殺技で軌道を変えたシュートは西陰の必殺技に止められることなくゴールネットを揺らす。
1-2
遂に奪った一点。それもただの一点じゃない。切那がパスを出しての一点。
「・・野坂さん・・」
(・・まずいなこのタイミングで・・)
野坂が焦り出す。既に試合は終盤、皆野坂の指示がなくても攻撃に対処出来るようになってきている。だがこのタイミングでそのパターンを変えられた。
「・・野坂さん・・グリッド・オメガで・・」
「ダメだ・・あのタクティクスは確実に破られる」
相手を空へと浮かせ地面に叩き付け動きを封じる必殺タクティクス。確かに強力だか空中プレイを得意とする友紀、元ラグビー部の大山等によって恐らくあっさりと破られる。
「・・もう一度点をとって相手の心をへし折る!!必殺タクティクス『ローグプレス!!』」
試合再開と共に王帝月ノ宮の選手が中央に集まりジグザグにパスを出して一気に突破する。
「な?!」
「しまった?!」
その勢いのまま豪炎寺と黒牙をも突破。円堂と一対一となる。元の威力のキングス・ランスを打たれれば止められない。
「『キングス・ランス!!』」
必死に二人が走るももう間に合わない。
(・・あれ?・・そう言えば何でオフサイドにならなかった?)
野坂が最後にパスを受けたのは豪円寺や黒牙よりゴール側、つまりオフサイドポジションだ。なのにオフサイドをとられない。それはつまり、ゴールと野坂の間に雷門の選手が円堂を含めて二人以上いるということだ。見ると円堂の後ろからアリスが現れてボールに向かって走ってくる。
(しまった?!何故こんな単純なことを!!)
点を取ることに集中し過ぎていた為、単純なことを見逃しまった。
「ノサカ直伝!!『キングス・ランス!!』」
アリスは小学五年の頃、野坂に出会っていた。その時野坂から教えてもらったのがこの技だった。最初は完成出来なかったがそれからも何度もこの技を練習し続けた。野坂のオリジナルにはまだ及ばないものの威力を落とすには十分だ。
「『ゴッドハンド!!』」
ファイアトルネードとダークトルネード程の効果はないもののゴッドハンドで止めることができる威力まで落とすことに成功。難なく止める。円堂は止めたボールを黒牙にパス、黒牙もそのまま白浪にパスする。
「行かせないよ!!」
直ぐに野坂が追い付きボールを奪おうとする。持ち前の頭脳で白浪のトリッキーなフェイントを完全に読む野坂。それに対して白浪はバックパス。それを受け取ったのは大山だ。
「サッカーは『チームプレイ』だろ?」
前半の仕返しと言わんばかりに笑う白浪。大山もドリブルの速度が観察試合と比べると、僅かに上昇している。
(・・これが・・あの人が言っていた・・雷門の底力・・)
「切刹!!」
大山から切那へパス、それを受けとると友紀や優菜ともに連携でどんどんと上がって行く。
「・・みんなのサッカー・・楽しい」
「何当たり前のこと言ってるのよ!!」
「そうだよ・・サッカーはこんなものじゃないよ!!」
「行かせない!!」
笑顔で進む三人の前に桜庭と香坂が立ちはだかる。それに対して切那は友紀にパス。友紀はその場で減速、優菜と切那はそれぞれ左右に広がる。
「何をしようと無駄だ!!」
「「『アンコール・バンディアン!!』」」
遺跡を呼び出しディフェンスする二人。それに対して友紀は左サイドの優菜にパス、それを受けとるとそのままダイレクトで右サイドの切那にダイレクトパスするがそれを桜庭がカットしようとするが、友紀が先にカット。「天宮!!」
カットしたボールを友紀は天宮にパスする。アンコール・バンディアンは協力なディフェンス技だが、どちらかが必殺技以外の行動を取れば遺跡の意地は出来ない。前半、隙だらけの友紀からボールを奪ったのは必殺技を使った二人ではなく別の選手。そこからアンコール・バンディアンの弱点を見抜いていた友紀。
(・・まさか・・ここまで・・)
「自由なシュート?」
天宮が二十五杯目のラーメンを食べながら友紀に聞き返す。数日前、友紀と白浪と共にラーメンを食べに行ったときの会話だ。
「うん、ほら天宮のバウンドフレイムってさ、変則的にバウンドするわりに正面にしか行かないじゃん?」
「・・つまり、キーパーがシュートコースをよめないようにしろってことか?」
「すごいね!!白浪!!ボクの言いたいことが分かるなんて!!」
「・・まぁこう見えてフェイントは得意だからな」
「・・でもコースを読ませないってどうすれば・・」
不安を抱きながら友紀に質問する天宮。
「少し難しいんだけどね・・」
(ボールにスピンを何度もかけて・・何度も跳ねさせる!!)
「『バウンドフレイム!!』」
パスを受け取りシュートを打つ天宮。それに対して王家の盾で対抗するも、そのシュートは西陰の読んだ方向とは別の方向に飛んでいく。
2-2
「申し訳ありません野坂さん・・王家の盾が二度も・・」
「いや・・雷門は王家の盾を破ったんじゃなく、かわしたんだ」
残り時間は僅か。恐らく次の一点を決めた方がこの試合、勝つことになる。
「・・今度こそ決める!!皆は援護を!!」
再び攻め上がる野坂達。その前に三日月が立ちはだかる。
「『スカイウォーク!!』」
それに対して空中を歩き突破しようとするも三日月は空中の一歩目を歩いた時点でボールを奪う。
「僕は個人プレイは苦手なんだけど、ね!!」
三日月は誰かに照らされこそ輝くと考えチームプレイを重視している為か、個人技を苦手としている。だが友紀同様空中でのプレイを得意としている。
(・・まさか・・)
ーー選手のデータを意図的に隠していたのかーー
どういうわけか野坂の知るメンバーの行動やプレイスタイルに若干のズレが生じ始めている。勝つために徹底的に調べたはずなのに。
「・・皆!!もう指示もない!!各々が全力のプレイをするんだ!!そして・・」
「・・皆!!ここが正念場!!最後まで諦めちゃダメだよ!!そして・・」
「「この試合・・絶対に僕(ボク)達が勝つ!!」」
試合終了まで後5分ーー