機動戦士ガンダムSEED 貫く意志   作:賢者

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この作品ではキラ君は不殺の考えはやめてもらいます。

一応そこは許容してくださるとうれしいかなぁ~なんて


狙撃王の哲学

荒い息を吐きだしながら赤く染まったエクシアを戦艦『プレトマイオス』に着艦させる刹那

 

彼がコックピットから出た瞬間待っていたのは緊急用のベットと惜しみない称賛の拍手だった。

 

「スゲーな、坊主!あの赤く染まったのって何なんだ?俺にも教えろ‼」

 

ニールは我がことの様に喜んでくれるが刹那の心は全くすぐれなかった。

 

それを隠すように刹那はニールの口から出たとある人物の事を追求した。

 

「そんな事より、ロ…ニールが言っていた『戦争屋』と言うのは誰なんだ?」

 

「『戦争屋』?俺そんな事言ってたか?」

 

彼は無意識にその言葉を口走ったようだ……刹那は頷くことでそれを肯定する。

 

「『戦争屋』ってのは文字通り戦争を生業にしてる奴でな、その男は連合に力を貸すと

言ったかと思えば旗色が悪くなるや否やプラントに寝返る体の軽い野郎でな

俺も何度かアイツに戦友や家族を撃ち落とされてる」

 

その男は周りには『アリー・アル・サーシェス』と名乗っていたがそんな人間はこの世にはおらず

『ゲイリー・ビアッジ』等、オーブ、プラント、連合の全ての国籍を持っており本名は連合も

掴めいていない。

 

「すまない……野暮なことを聞いた」

 

「いやいいさ……まぁ言われてみりゃあ、あの赤いMSに乗ってた野郎の声は確かに戦争屋に

似てたな」

 

刹那は彼の話を聞きながら自分の手に視線を落とす。

 

必死になって自分はあのMSを操っていたが結局アレは人殺しの道具なのだ。

 

自分が手掛けた初のロボットのOSが人殺しの道具だと思うと正直吐き気がする。

 

それに自分はそれに乗って何機かMSを堕としているのだ、あの中には人が乗っている。

 

無人機と言うのは軽く言葉で表せるほど簡単なものではない、しかもそれが人型の最新兵器で

複雑な操作を行うものとすれば尚更だ。

 

人間が乗っていてほしくないと心で願うがそんな便利なものがあればとっくにエクシアのような

MSがとっくの昔に量産されていなくてはおかしい。

 

簡潔に言えば自分は初めてこの手を汚したのだ。

 

そんな状態でおいしく夕飯などを食べられるわけもない、刹那はシャワー室から出るとすぐ

シュミレータールームへと向かった。

 

トランザムと言われるシステムは一気にMSのスペックを底上げできるもののMSに与える負荷は

大きく戦闘面ではフェイズシフトダウン…つまりはフェイズシフト装甲の使用が不可能となる。

 

他にも機体の電気系統の回線が焼き切れたり、一定時間のスペックダウンなどの枷を持っている。

 

その為今この艦にいる技術者たちは総出でエクシアの修理を行っているため人がいないのだ。

 

しかも刹那のいるシュミレータールームはパイロットしか使わないため来る人間も当然

限られてくる。

 

それにここはこの艦主要の廊下とはかけ離れた位置に設置されているため1人になるにはちょうど

いい場所なのだ。

 

しかしこの艦の民間人パイロットは刹那だけではない。

 

「刹那もここに来たんだ……」

 

「ハレルヤ、レイ…どうしてここへ?」

 

「一人になりたくて来たんだよ……理由は察してほしい」

 

ハレルヤ達もシュミレータールームへ来ていた。

 

理由は大方自分と同じなのだろうと刹那は思う。

 

「俺たちは……何故こんな事に巻き込まれたんだろうな」

 

ここにいる全員が言いたいことだ。

 

自分たちはただロボットの研究をしていただけだ。

 

人殺しの道具を作る研究をしていたんじゃないのに……どうしてこんなことになったのだろう。

 

彼らの運命を呪う心は決してこの状況を変えてくれるわけではないがそれでも呪わずには

いられなかった。

 

「兵士としてここに来ているんならまだしも……僕らは学生なんだ……なのにどうしてこんな事に……ッ‼」

 

「兵士だっていつだって心構えが出来てるわけじゃないさ」

 

突然響く声に驚きそこに視線を集める3人、そこにいたのはやはりと言うべきか

ニール・ディランディだった。

 

「俺だって兵士なんて職業は嫌いさ、今すぐにだってやめたいと思ってる」

 

「ならなんでいまだに続けてるんですか?」

 

「わかんねぇ、惰性で続けてるって言われればそうなのかもしんないな……ただ」

 

「ただ?」

 

「俺がこの仕事を辞めるときはこの世から戦争がなくなることくらいあり得ねぇってことは

理解してるつもりだ……それにこんなに血に汚れた手じゃお前らの言う『普通の生活』なんて

送ることなんてできないだろうさ、良くて処刑台行きだろうよ」

 

正直驚いた……この中で年長者とはいえそんなに年の離れていない人間がこんなにも自分の人生を

こんなにも粗末に扱うなんて

 

「そんな事は……」

 

「無いとは言い切れねぇよ……どんなところだってそうだ、よく言うだろ?『勝てば官軍負ければ

賊軍』てよ」

 

実際そうだ、第2次世界大戦初期ドイツで指導者とまで登り詰めたヒットラーの行った政策は

実質的人種差別による処刑である。

 

それを妄信的ともいうべき支持者はそれを許容し、それどころか自身の手で行うようになって

きたのだ。

 

プラントが勝てばコーディネーターをことごとく殺してきた象徴ともいえる『ロックオン・

ストラトス』や『エンデュミオンの鷹』等有名な兵はことごとく処刑されるだろう。

 

「それに連合が勝ったとしてもまたそれが分裂して争いが生まれるかもしれない……

戦争に終わりなんてねぇよ」

 

「そうかもしれません……でもそんなことがないと言える可能性だって0ではないはずです」

 

「そうだな……でも今は、今だけは『覚悟』くらいは持っておけ」

 

「『覚悟』……ですか?」

 

ニールは戦争を目の当たりにした彼らに語る……『戦争』と言う大きな渦に呑まれないための術を

 

「人殺しに覚悟も糞もねぇが……でもそれぐらいは持っとけ」

 

「殺さない、と言うのはダメなのか?」

 

「それも『覚悟』だ……だが他のより難しいだろうな」

 

「何故です?」

 

「まず単純にウデの話だ、半端なウデじゃそんなもん叶える前に死んじまう」

 

3人は先ほどの戦闘を思い出し成程と思う。

 

あの赤いMSの様に自分たちよりもウデの立つパイロットなんてごまんといるだろう。

 

「それにそれが出来るウデを持っているにしても生かされた奴がお前達に感謝すると思うか?」

 

「いいえ、思わないはずです」

 

「だろ?それにそいつがお前たちに復讐を考えていたと仮定してバカ正直にお前たちを殺すとは

考えられん」

 

それは遠回りに『自分たちの親しい人間が殺されるかもしれない』と言っているのと同じだった。

 

「他にもいろいろあるが…まぁ殺さないってのは色々と凄いことだとは思うがそれを凌駕する程の

凄まじいデメリットがあるって思ってくれても構わない」

 

「だからこその殺す『覚悟』ってやつですか」

 

あぁ、とうなずくニール

 

彼の口から紡ぎだされる言葉は彼の軍人としての経験則の他にも彼なりの兵士の哲学が

入っているのだろう。

 

だが何故か3人の心にすとんと落ちるような気がした。

 

これまでの戦いで心が弱っていたせいなのかもしれない、がそれでも心にすんなり入ってく様な

気がした。

 

「被害が少なくて済むような……所謂線引きってやつだよ、これを簡単にやれるような奴も信用は

出来ないけどな」

 

彼らの心はまだ曇ったままだ。

 

でも、ニールと言う男の言葉で少しは光が見えてきたような気がした。




あと2,3話くらい日常的な話を挟んでアークエンジェル組ち合流してもらいます。

ついでにフレイちゃんも無理のない感じであの偏屈な考えを改めさせられたらなぁ…なんて思ってみたり

そう言えば今日でビルドファイターズも終わりっすね、良いアニメだったな…
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