とある中東の国
「ここまでか・・・・」
銀髪の少年は,静かに言い放った。
少年の名は,
謙吾がいる建物の壁には大小さまざまな穴があいており,他にも所々焦げておるところもあり原型をとどめていない。
建物だけではない。謙吾の体の所々にも細かな傷がついており,脚からは黒い服を赤黒くするほどの大量の出血をしていた。
彼の手には武器が握られている。
武器の名は,AK47。
テロリストやゲリラ,傭兵が使う
それは,謙吾と同じくらいの青年,少女たちだ。体を真っ赤に染め,頭がなかったり,腕や足がちぎれているものさまざま。
彼らは,戦争を防ごうとする為に動いている組織の『
彼も初めから『
△▼△▼△▼△
4年前~謙吾14歳
謙吾は考古学者の両親と共に日本から中東に来ていた。
僕の両親は2人とも日本人だが,母親のお父さんつまり僕の叔父にあたる人がドイツ人で髪が銀色だったので,髪の色は叔父と同じだと母さんが教えてくれた。ちなみに母さんは,目が青色だ。
父さんは,母さんの目に惚れて結婚したそうだ。
その頃,中東では紛争が激化しており危険なところだが,僕たちのいるところは紛争地帯から離れているため安全だと聞いていた。
その時はそう思っていた。
その日の午後,それは起きた。
人が行きかう繁華街を父さんと母さんと歩いていると耳がつむぐような轟音がとどろき,その衝撃が謙吾を殴りつけた。
世界が回った。
気ずいたときは,アスファルトに叩きつけられていた。
謙吾は唖然として周囲を見回した。まるで背景がすげ替えられた舞台のように,あたりは一瞬にして様相が変わっていた。地面は大きくえぐれて土茶けた土が露出し,車は炎をあげて燃えている。
謙吾には爆発の衝撃をまともに食らい耳に周りの音はぼんやりとしか届かない。
なんとか立ち上がりはじめて我にかえった。
「父さん・・・・・母さん・・・・!?」
爆発がおこった周りには動くものの影はない。
謙吾は燃え盛る車の隣に,力なく投げ出された見慣れたブレスレットのついた手を見つけて声を上げる。
「母さん!!」
母の姿を求めて駆け寄った謙吾は,しかしそこで
母さんの体に続くはずの腕は途中で断ち切られ,その先にはなにもない。
謙吾はぎくしゃくと視線を前に向ける。すると,えぐられた大地に,掘り返された
まるで自分に向けてさしのべられたような手に,彼は震えながら手を伸ばしかける。喉元に何かがこみ上げる。
悲しみ,恨み,
そんな言葉では言い尽くせないほどの激情。
それは彼のちっぽけな体を内側から食い破りそうに大きかった。彼は天を仰いで獣のように吠えた。
14歳の謙吾にはあまりに無力だった。
謙吾はそれから戦争や紛争を防ごうとする組織に入り,関係のない一般人を守るため武器を手にした。
もう,自分の両親のような悲劇を繰り返さないように。
謙吾は重い腰をなんとか上げて,現状を確認した。
弾倉が1つに,RPGが1発。
RPG7,『携帯式対戦車擲弾発射器』と称され歩兵が携帯する武器の中では凶悪な代物だ。
外にには軽装甲車が1台,完全武装の訓練を受けた兵士が20名弱。絶望的だ。
「最後まであがいてやるよ・・・・・」
謙吾は,重さ10キロあるRPGを建物の窓から構え撃った。
RPGは弾体の安定翼を開き、固体燃料ロケットで推進し目標めがけて飛んでいく。
対成形炸薬弾防御に特化した戦車以外がRPG-7の成形炸薬弾を側面から受けると行動不能になる程の威力がある。ただし,発射時の
弾頭は見事,軽装甲車の脇を捉えた。その時の爆風や破片で5,6人の兵士が倒れた。軽装甲車は大破し回りは混乱に陥った。
謙吾はつかさずそこに銃撃を加えた。正確な射撃だ。
視野の周囲にぼんやりと見える『
敵の兵士も迎撃をしてくる敵の弾丸が近くを通り過ぎ甲高い音を響かせる。
1人の敵兵士がAT-4携行対戦車弾頭を構えた。
「チッ!」
AT-4は射撃時の反動がほとんどないことから,他の構造の個人携行火器では射撃できない大口径の弾薬でも射撃でき,砲自体の軽量化も可能だ。だがこの構造の欠点は,射撃時に後方に噴出される爆風による危険区域であり,射手の近くにいる味方に被害が出る事だ。それなのに,敵兵士は味方にかまわずAT-4を俺にめがけて打ち込んできた。あんなもの食らった1発でお陀仏だ。
俺は,AT-4を構えていた敵兵士を即死させるべく狙いを定めた。だが,俺が撃つ前に敵が撃った。
真っ直ぐ俺の所に飛んでくる銃口初速が285m/秒の弾頭が遅く見えた。
こんなところで終わるのか?
こんなところで俺は!!
その時,突然真後ろに光を発する何かが現れ引きずり込まれる。
「何ッ!?くそっ!」
完全に謙吾が光に引きずり込まれると同時に弾頭が着弾し建物を吹き飛ばし,瓦礫の山にした。
その瓦礫の中には謙吾の姿はなかった。
ご意見やご感想があればよろしくお願いします。