「ねえ,ケンゴ」
「・・・・・・」
謙吾に話しかけている少女は何も喋らない謙吾にしびれをきらして思い切り叩いた。
「ねえ,ケンゴッたら!」
ゴンッ!
「ッ!? 痛いんだけどナーシェン・・・・・」
「だっていくら呼んでも反応がないんだもん,しょうがないじゃん」
ナーシェンは褐色の肌をした少女だ。彼女も慎吾と同じ黒の戦闘服を着ている。手に持っているのはナーシェンの愛用の銃『ドラグノフ』だ。
ソビエト連邦が開発したセミオート狙撃銃。
細く長い銃身を持ち,中央部に大きな穴を空けたスケルトン・ストック型の直銃床を持つ。銃床上部にはスコープを使用した際の照準を容易にするため,着脱式の
西側のセミオート狙撃銃と比較して細身で,軽量化や運搬性向上のため銃床は大きく肉抜きされている。 長期的な酷使を前提としてAK-47を参考に作られたため,部品数は少なく,頑丈で信頼性が高い。
どうやら俺は『ドラグノフ』のストックで殴られたようだ。
しゃれにならん・・・・・・殺すきか?
「それで,なんなんだ?」
「次の作戦なんだけど・・・・・延期とか出来ないかな?」
なんだ,次の作戦の事か。
次の作戦は武器輸送基地の破壊だ。
この武器輸送基地が一時的になくなれば現在紛争が起きているところへの武器の輸出が止まる。紛争が一時的だが止まる。
「それは難しい,俺も何回も上のほうに抗議をしたが聞き入れてもらえなった。ここで叩かなければ紛争がさらに泥沼化していくことになるそうだ」
「だけどさ・・・・・なんか嫌な予感がするんだよ。何かあるのかもしれない。ケンゴはわからないの?」
ナーシェンは何でこんなに俺のことに対して鋭いんだ。
「嫌な予感か・・・・俺もしているさ。だが,上からの命令だ」
このときの俺は,どうしようもない馬鹿やろうだった。
△▼△▼△▼△▼
作戦当日,陽動部隊がまず基地の警備部隊をひきつけその隙に謙吾とナーシェン,少数の仲間が基地の内部に侵入し爆薬を仕掛けるてはずとなっていた。しかし,基地の警備部隊の数,装備が事前の情報と異なり謙吾たちはほぼ壊滅状態になった。
「クソッ!!」
謙吾は悪態を吐きながら空になったAK47の弾倉をとりかえる。その隙をナーシェンのドラグノフがカバーする。
「まずいよ,ケンゴ! このままじゃ!!」
「わかってる!」
謙吾は物陰に隠れながら戦闘用ベストにつけられている無線機で連絡をとろうとする。
「本部,作戦は中止!! 繰りかえす,作戦は中止する!! 各隊員ただちに,ポイントBルートで脱出しろ!」
この声が仲間に届くのか謙吾にはわからなかった。
「ナーシェン援護する。その隙に離脱しろ!」
「え!? ダメだよ!! ケンゴを置いてはいけない!」
「いいから行け!!」
「いやだっ!!」
その時,ナーシェンに謙吾を狙う物陰に隠れている敵の兵士が見えた。謙吾はいまだに物陰に隠れている敵の兵士に気づかず弾幕を張って敵を牽制している。敵の兵士が謙吾に照準を合わせ
「!!」
「きゃぁ!」
ナーシェンが撃たれて倒れる。謙吾はナーシェンを撃った兵士に気づき銃撃をくわえる。
「くそっぉぉぉ!!」
兵士を片付け倒れているナーシェンを抱き上げる。
「おい! しかっりしろ!!」
ナーシェンは弱々しく謙吾の手を握る。
すぐに傷口を圧迫する。
「ケ・・・ケンゴ・・無事?」
「ああ・・・お前のおかげだ」
ナーシャンの傷は,銃弾は貫通したが血が止まらない。
謙吾の目には涙が溜まる。
「よかった・・・・ねぇ,ケンゴ約束して」
「なんだ・・・・」
「生きて・・・困っている人を助けてあげて・・・・・私の時みたいに・・・」
「ああ・・・約束する。だから死ぬな!!」
ナーシェンは微笑み,そのまま息を引き取った。
「ナーシェンッ!! ナーシェンッ!!」
謙吾はナーシェンを強く抱きしめる。
いつもそばにいてくれた。一緒に喧嘩をした。一緒に飯を食べた。一緒に悲しみ,笑った。
謙吾の憎しみが爆発した。ネーシェンを殺した敵に対して,守る事が出来なかった自分自身に。
「あぁぁぁぁ!!」
謙吾は叫んだ。
ナーシェンの首から銀のペンダントを外す。これはナーシェンが昔から大事にしていたものだ。
傍らに落ちているドラグノフを掴み肩にかける。
「ナーシェン・・・・・いつかまた」
謙吾は銃弾の嵐の中を走る。すぐ近くを銃弾が通り過ぎ頬を掠めるが謙吾の足は止まらない。
「はっ!・・・・・・夢か・・・・・」
謙吾は床の上でAKを抱きながら目が覚める。辺りはまだ薄暗い。
そうだ,俺はルイズにこの世界に連れてこられたんだったな。
「困っている人を助けてあげてか・・・・・・」
昔のナーシェンとの約束がいま謙吾の頭の中によみがえる。
この世界で探してみるか・・・・・・自分のするべきことを・・・・・・。
ご意見やご感想があればよろしくお願いします。