そして、気がつくと私たちは中世ヨーロッパ風の町にいました。
空は青くすみわたり、高層ビルや電線といった現代的なものはどこにもなく、石畳の道路や煉瓦造りの建物が並び、遠くには外敵から町を守るための城壁が見えます。
まさに、想像していた通りのファンタジー世界!
「ああ...ああぁ...」
さようなら現代世界、こんにちは異世界!
お母さん、お父さん、最期まで色々とご迷惑をかけましたが、私はここで新たな人生を始めます!
前世では色々とありましたがここでなら私やり直せる気がします!
「嘘よ...こんなの嘘に決まってるわ...」
「うおお、あれはエルフでは!あっちはドワーフですか!?マジの異世界じゃないですか!すごいです、感動です!」
通りをよく見ると人間やエルフ、ドワーフだけでなく獣耳が生えた獣人なども道を行き交っています。
この世界では人間だけでなく多様な種族が暮らしているようです。
「女神の私が、こんなヒキニートの下僕...」
さっきから外野がうるさいですね。と、下僕1号の方を見ますとその視線に気づいた彼女は私に泣きついて来ました。
「どうしてくれるのよぉ!私、女神だから癒しの力はあっても、戦闘能力なんてないし、魔王なんて倒せっこないんですけど!」
えっ、神様的な不思議パワーとかないのです?女神の力で楽して暮らす計画だったのですけど。
「しかも、貴女のせいで服従のスペルなんて刻まれちゃうし!」
「さっきも言ってましたが、なんですそれ?」
「刻まれた人はスペルに所有者として登録された人の命令に絶対服従させられるって言う最悪の...」
下僕1号はそこまで言って自分の過ちに気づいたようでした。
「それは、それは、いいことを聞きました」
「あの、顔が怖いんですけど。使わないですよね?私、女神よ、女神!」
ようし、まだこの子は自分の立場がわかってないようですね。ここはきっちりと教育しておきませんと。
「下僕1号、私は足が疲れました。椅子に成りなさい」
「この子、平然と笑顔でとんでもない命令を...って体が勝手に、誰か、だれか、助けて!」
人間椅子、いえ、正確には女神椅子ですか。どちらにしてもはじめてですが、なかなかよい座り心地です。
さて、まずはなにからすべきですかね。
こういうファンタジー世界では冒険者ギルドとかがあるはずですし、まずはそこを目指すとしますか。
「悪かったわ、散々バカにしたことは謝るから!許してくれません...うわーん!」
私が今後の予定を考えていますと、足下の下僕1号、ーー確か、アクアとか言いましたねーーが人目も憚らず泣いていました。
...さすがにいじめすぎましたね。本気で泣かれています。
私はアクアの上から降り、元に戻って大丈夫ですよと言いました。
するとアクアは立ち上がると、すぐに三角座りで泣きながら座り込んで
「どうしよう、もう戻れない上、こんな人を人とも思わない悪魔と...」
とずっと何やらぶつぶつ呟きはじめてしまいました。
冷静になると、不快な思いをさせられたとはいえやり過ぎた気がします...。よくよく、考えると女神を下僕にするとか、私はとんでもないことをしてしまったのでは...?
なんか周りの人達も今までのやり取りを見て凄いものを見る目でこちらを見てますし。
とりあえず、この子をどうにかしましょう。
「あー、えっと、女神様。ごめんなさい、やり過ぎましたよ。でも貴女も悪いんですからね」
というとアクアはこちらに飛びかかり
「じゃあ、何とかしてよ!私このままじゃ、天界にも帰れないのよ!」
と首を絞めつけてきました。...あぁ、もう、めんどくさい子ですねえ....。
私は彼女の手を首から払いのけます。
「いえ、もう貴女は自由の身で大丈夫ですよ。あとはこっちで頑張りますので」
というか、もうかかわりたくないので、さっさと天界に帰っていただきましょう。
「だから、魔王倒すまで帰れないのよ!」
えっ、じゃあ魔王倒すまでこの子と一緒なんです?しかも、神様としての能力はほとんどないと。
...私は今さらながらに自分の行動を後悔します。
アクアの方を見ると、また三角座りで泣きじゃくりはじめていました。
「帰れない....しかも、こんな子と一緒...私どうすれば....うえーん!」
...うーん、経緯はどうあれ、つれてきたの私ですし、一応は責任はとらないとですよね。
「女神様!大丈夫ですよ、貴女のような凄い女神がいれば魔王なんてちょちょいのちょいですよ」
「...本当?」
「本当、本当、だから魔王なんて早く倒しましょ、ね?」
「そうよね!私は女神だものね!任せなさい、魔王なんてあっという間に倒してあげるわ!」
アクアはさっきまでの落ち込みようが嘘っだったかのように明るくなります。
思った以上にチョロいです、この女神様。
「じゃあ、女神様、この街のこととかわかります?こういう世界では冒険者になるためのギルド的なものがあると思うんですよ」
しかし、アクアはキョトンした様子で
「女神である私が下界のことなんて知るわけないじゃない」
と堂々と言ったのでした。
...この女神、思った以上に役に立ちません。
「チッ、仕方ありませんあの手でいきますか」
「正直にいっただけなのに舌うちされた!?」
アクアがなんかいっていますが無視です。
とりあえず、気のよわそうな人は...と、私が周りを見渡すと、通りの隅っこで一人でたたずんでいる銀色の杖をもった、なんかボッチそうな黒髪の女の子がいました。
ふむ、あの子なら押し切れそうですね、よし、あの子にしましょう。
まずは、近くの窓ガラスの顔を写して、身だしなみチェックです、髪を整えってと、そして、できるだけ、儚げが笑顔を浮かべます。これでよし、ではいきましょう。
私は黒髪の少女に、ゆっくりと近づき話しかけます。
「すみません、ちょっとよろしいですか?」
「えっと....私?私に話しかけてます?」
いきなり、話しかけられ驚いているようですね。よし、思った通りいかにも気が弱そうで、押しにも弱そうです。
「はい。...私、 冒険者志望でこの街に来たんですが右も左もわからなくて」
私は目を潤まさせながら自分が如何に窮状にあるのかを彼女に訴えかけます。
「そうなんですか、じつは私もこの街には来たばかりで...。でもお力になれるのでしたら何でもいってください。...できれば、そ、その...友達に...」
「そうですか!ありがとうございます!では、まず冒険者ギルドを案内してくれると助かります」
私はとびっきりの笑顔で彼女の手を握ります。他人との付き合いが少ないのか彼女は私の言動に戸惑っているようでした。気のせいか、彼女の紅い目が輝いているように見えます。
まぁ、瞳が比喩じゃなく、輝くなんて気のせいでしょうけど。
「ぼ、冒険者ギルドならこの街の中央にあるわ。この道を真っ直ぐいけばすぐよ」
「こんな見ず知らずの私に...本当にありがとうございます!」
私は大袈裟に頭を下げ大声でお礼を言います。
「こんなことくらいどうってことないです。でも、もし、お礼がしたいと言うんでしたら..わ、私と友達...」
よし、まだ押せる、いまです!私は彼女の手を再び強く掴みます。
「じつはもうひとつ困っていることがありまして、道中で山賊に襲われてしまい金目のものはほとんど盗られてしまって無一文なんです。本当に虫のいい話なのですがお金を貸していただけると...」
私は少し目に涙を浮かべ、少女の紅い瞳をじっと見つめます。すると
「そう、苦労したのね...。いいわ、世の中助け合いだもの」
といって少女は財布から金貨を取り出し私に手渡しました。
どうやら本気で私の心配をしてるようです。
自分でやっといってなんですがこの子がちょろすぎて心配になってきました。
「そのお金は返さなくていいわ。けれどどうしてもお礼がしたいのなら、私と...と、とも」
「ありがとうございます!この恩は忘れません!」
私は、少女が喋り終わる前にまくしたてます。
こういうのは、相手に冷静になる隙を与えないのが肝心。
そして、私は手にいれた戦果を確認するとボロがでないうちに急いでその場から立ち去りました。
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「貴女、よくやるわね...」
アクアが汚物を見る目でこちらを見てきます。
「仕方ないじゃないですか。こちとら、この世界に来たばかりで右も左もわからないですし、多少は助けてもらわないと。世の中、助け合いですよ、助け合い。それに彼女は身なりもよくて体も清潔そうでした。こういう中世風ファンタジー世界で身なりに気を使えて体を清潔にたもてるってことは、そこそこ良い身分でお金も持っているってことです。きっと、彼女にとってはたいした出費じゃありませんて」
それに彼女は手品で使うような、短い杖を持っていました。
ここがファンタジー世界だと考えるとあれは魔法を使うための杖で、きっと彼女は魔法使いかなにかなのでしょう。
しかも、この街には来たばかりで冒険者ギルドの場所を知っていたということは彼女も冒険者志望者か、冒険者に違いありません。
ならば冒険者になれば、そのうち会えることもあるでしょう。
そのときに余裕があればお金はちゃんと返す予定です。
「そういう問題じゃないと思うのだけど。というか、貴女、あんな立ち回りができて、そこそこ知恵もまわるのに学校もいかずなんで引きこもりなヒキニートなんてやってたの?」
「引きこもりとニートを足さないでください!というか、貴女、転生の時にその原因のトラウマほじくりかえしてくれたと思うのですけれど!」
アクアがいかにも思い出したという顔で手を叩くと
「あ、あの友達に初恋の先輩を寝とられた件ね。あれでひきこもったのね」
なんてのたまわりやがりました。
「寝とられてません!そもそもそんな関係にすら、ってどうでもいいでしょ、色々あったんです、終わり!」
私は話を強引に遮ります、これ以上、人のトラウマを砂場感覚で、えぐられてたまりますか。
私は逃げるようにさっきの少女に教えてもらった冒険者ギルドへと駆け出しました。
「さあ、いきますよ女神様!私たちを冒険が待ってます!」
「あー、まってよ、おいてかないで!」
アクアは、おいてかれまいと私についてきます。
「私のことを、女神様と呼んでくれるのは嬉しいのだけど、私の正体が知れれば騒ぎになるわ。なんてたってこの世界で崇められてる女神ですもの。だから、私のことはアクアと呼んでかまわないわ!」
いちいち、偉そうですねこの子は。
女神様呼びはそうしないと泣き止みそうもなかったから呼んであげているだけなのですが。
しかし、言われてみればそうかもしれません。
いえ、アクアの正体云々よりも、こんな子を女神呼ばわりしてたら、私が頭のおかしい子だと思われそうですし。
「では、アクア。私のことはカズハでいいですよ。」
「じゃあ、カズハいきましょう!」
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そうしてしばらく走ると、私たちは街の中心にある冒険者ギルドにつきました。
ファンタジー世界でつきものの、冒険者に仕事を斡旋したり、支援してくれる組織。
つまりはハロワ的なもの。
見ると監視塔等も併設されたなかなかなりっぱな建物です。
ですが、やはり冒険者というのは荒くれものが多いのか周りには厳つい人達がたむろしています。
今更ながらちょっと怖くなってきました。
「大丈夫、カズハ?私怖くなってきたのだけど...」
「アクア、こんなところでびびってどうします。私たちはいずれ魔王を倒すんですよ。」
と、私はアクアに言いつつ自分にも言い聞かせました。そうここから私の冒険譚がはじまるというのにへこたれてどうするというのです。
私は勇気を振り絞って、ギルドの扉を開けます。
「いらしゃいませー。お仕事案内、冒険者登録なら奥のカウンター、お食事なら空いてるお席へ」
愛想の良い挨拶が出迎えます。
どうやら酒場も併設されてるようで私たちを出迎えたのはそこのウェイトレスさんのようでした。
酒場には鎧を着て槍や剣を持っている人達がたむろしています。
思ったよりも落ち着いた雰囲気で新人だからといって絡まれることはなさそうですね。
と思っていると、入り口前でのんでいた、体格のよい、厳ついモヒカンのおじさんが話しかけてきます。いかにも荒くれものといった風体です。
「なんだ、嬢ちゃん達、冷やかしか?ここは子供の遊ぶところじゃねーぜ?」
「いえ、私たちは魔王を倒すために冒険者になりに来たのです」
そう聞くと厳ついおじさんはしたり顔で
「ああ、そうかい。ようこそ地獄の入り口へ!ここは駆け出し冒険者の町アクセルだ。どんな冒険者もここから冒険を始める、まあ頑張んな」
と応援してくれました。
なんか、ゲームによくいる街の紹介してくれるNPCみたいな人ですね。
そんなやり取りをしていると周りから視線を感じました。
新参者だから注目されているのでしょうか?
「ねえ、やけに見られてるんですけど、やっぱり私から隠しきれない女神のオーラにみんな気づいてるのね 」
ああ、なるほど原因はこれですか。アクアは一応黙ってれば絶世の美女ですもんね。そりゃあ、目を引きます。
あとはきっと私の格好ですね。この世界じゃあ、ジャージなんて珍妙な格好にしか映らないでしょう。
しかし、異世界に来てまでジャージとは...。
たまの外出ぐらい少しはお洒落すればよかったですかね。
と、まずは冒険者登録です。
「いいですか、アクア。ここで登録すれば冒険者になれるよう色々チュートリアルしてくれるはずです。新人で食べていけるような仕事を紹介してくれて、宿とかも教えてくれるはず。今日は登録と宿の確保まで進めましょう。...というか、本来貴女が最低の生活できる様、用意すべきだと思うんですが」
「私の仕事は、死んだ魂をこの世界に送ることで、そのあとのことなんて知らないわ。とにかくわかったわ、こういう世界のお約束というやつね」
色々といいたいことはありましたがここはぐっとこらえました。
「そうです、いきましょう」
そして、カウンターに向かうと何人かいるうちの受付のなかから、女性のそれも美人そうな方がいる受付へいきます。
「...なんで、他の受付が空いてるのにここにならんだの?受付が美人さんだから?貴女、あれ、百合なの?」
「違うわ!...こういうギルドの美人な受付の人は実力者だったりするんです。だから今のうちからフラグをたてとこうと言うわけです」
「わかったわ、ここにしましょう」
とそんなやり取りをしていると私たちの番がまわってきました。
「はい、今日はどの様な用件で?」
そこにいたのはウェーブのかかった金髪のおっとりした大人の女性でした。胸も大きくうらやま...しくなどないです。ええ。
「冒険者になりに来ました。実は田舎から出てきたばかりで、まだなにもわからないんです」
こういっておけば、あとは勝手に色々教えてくれるでしょう。
「そうですか。では、登録手数料は大丈夫ですか?」
私はさっきの少女からもらったお金を出します。
「はい、大丈夫ですね、では手続きを...」とお姉さんが言い終わる前にアクアが割り込んできます。
「何でもかんでも、カズハのお世話になるわけにはいかないわ。自分のお金ぐらいは自分で出すわ。見てなさい、女神の本気を」
なぜか、アクアの自尊心に火がついたようですね。お金が節約できるなら私はそれでいいんですが。
そうして、アクアは、神官っぽい格好をしているお爺さんに近づいていきました。
そして、自信たっぷりに
「そこのプリーストよ、宗派を言いなさい、私はアクア、アクシズ教の女神アクアよ!汝、私の信者ならば...お金を貸してください」
と言ってみせました。
あの女神は恥というものがないのでしょうか、信者に金せびる女神って...。
「エリス教徒なんですが」
しかも、違う宗派ですし。
「あ、そうですか、すみません...」
「...お嬢ちゃん、アクシズ教徒なのかな。神話によると女神アクアと女神エリスは先輩、後輩の間柄。きっとこれも何かの縁だ。登録手数料がないんだろ?それくらい持っていきな、エリス様のご加護ってやつだ。あと、熱心な信者でも女神を名乗っちゃいけないよ。」
「あ、はい...すみません」
アクアの目が死んだ魚のようになっていきます。自業自得とはいえ、哀れです。
戻ってきたアクアは
「...女神って信じてもらえなかったですけど。...後輩の信者に、同情されてお金貰っちゃったんですけど...」
虚ろな表情でそう呟いていました。
...とにかくこれで登録をしましょう。私はアクアを無視し、登録を始めました。
先程の騒動を見ていたお姉さんは、こちらとあまり目を合わせたがりません。
...フラグ消えましたね、これ。
「では、説明を。冒険者には各職業というものがございます。そしてこちらが登録カードになります」
何やらお姉さんは、免許証のようなカードを差し出します。
そこにはレベルや経験値、スキルなどの言葉が並びます。なんか、ゲームのステータス画面やTRPGのキャラクターシートみたいですね。
「このカードはあなた達の潜在能力や倒したモンスターから得られる経験値、それに応じたレベルを表示し、数値化してくれます。レベルをあげるとスキルを覚えるためのポイントが与えられますので頑張ってレベルを上げてください」
おお、まさにゲームそのもの。ゲーマーとしての腕が鳴ります。
「ではこちらに身長、体重、年齢、身体的特徴をお願いします」
お姉さんが書類を差し出してくる。えーと、身長158cm、体重46kg、年齢16、茶髪で茶色目...。
「はい、結構です。ではこちらのカードに触れてください。これで今のあなた達のステータスがわかりますので、それに応じてなりたい職業を選んでください」
きっと、ここで私の凄まじい潜在能力が明らかになってギルドが騒ぎになったりして...。
「はい、ありがとうございます。サトウカズハさん、ですね。...筋力、魔力、生命力...どれも普通ですね。あ、知力が少し高いですね。あとは...あれ、幸運値がすさまじく高いですね。まあ、冒険者に幸運ってあまり必要ないんですが...。これなら、冒険者よりも、商売人などになることをおすすめしますが...」
冒険を始める前に、冒険者人生否定されたんですが。
まあ、いいです、ここから成長すればいいんです。...後ろで笑ってる女神にはあとで制裁ですが。
この職業表によると、どうやら、この数値だと基本職の冒険者にしかなれないようですね。
「じゃあ、冒険者で」
お姉さんががっかりしてる私に
「レベルをあげれば転職も可能ですし、それに冒険者はあらゆる職業の基本といいますか...。ですから全ての職業のスキルを使えますよ」
とフォローをいれてくれます。
「その代わり、スキル取得のためのポイントは多くなるし、職業の補正もないから同じスキルでも本職には劣るんだけどね。器用貧乏みたいな」
後ろの女神がすぐに水を指しましたが。というか、貴女、冒険者ギルドの場所も知らないくせになんでそういうことは知ってるんですか。
「そりゃあ、一般常識ぐらいは知ってるわよ」
ああ、そうですか。
「次は私の番ね」
アクアが、カードに触れると
「はああああっ!?なんですか、この数値!?知力が平均以下なのと幸運が最低値なのを除けば、残り全ての値が大幅に平均値を越えてます。特に魔力量が尋常じゃないです。...あと、なにかよくわからないスキルが付与されてますね、服従...?なぜか、内容が読めません。...あなた何者なんですか!?」
お姉さんの声とともにギルド内にざわめきが広がります。
あれー、おかっしいなぁ、普通こういうのって私のイベント...。
「え、そ、そう。そんなに凄いの私?いや、そりゃあそうよね。なんてっいったってねえ」
アクアはどこか照れ臭そうに言います。
どんなに中身が腐ってようと女神は女神ということですか。...やはり、あとで制裁ですね。
「凄いなんてものじゃないです!高い知力が必要な魔法使い職以外ならなんだってなれます。最初からほとんどの上級職になれるなんてあり得ないですよ!」
アクアはお姉さんから渡された職業表を見ます。
「女神って職業がないのが残念ね」
当たり前です、そんな職業あってたまりますか。
「うーん、そうね。このアークプリーストってのがいいわね!」
「わかりました、アークプリーストですね。あらゆる回復魔法、支援魔法を使いこなし、前衛でも戦える万能職です!」
そういうと彼女は出来上がった私たちのカードを手渡しました。
「では、冒険者ギルドにようこそアクア様。我々一同、今後の活躍を期待してます!」
それとともにギルド中からアクアに様々な声援が送られます。
...あれ、私、完全にアクアの添え物扱い?本来、私が主役になるべきじゃ...いえ、ここから活躍すればいいんですよ。ええ。
そう、今このときから魔王を倒す勇者カズハの伝説が始まるのです!
カズハさんは、美少女とはいかないまでも多少顔は整っています。
本人もそれを自覚してるので猫被ってのおねだりとか得意です。すぐにぼろが出るのでめったにやりませんが。
親族にはよくそうしてお金をせびってました。