この勢いでぜひ、戦闘員派遣します。もアニメ化を...
やる気をだしたのはいいものの、こんなデカ物にどこまで戦えるものでしょうか?
「アクア!準備は大丈夫ですか!?」
「ちょっと待って!詠唱がまだ終わってないの!」
となれば、ここは冒険者の皆さんにお願いするしかないですね。私は拡声器を使い、冒険者に指示を出します。
『皆さん、手はず通りにお願いします!』
「「「待っていたぞ!『クリエイト・アース・ゴーレム』!」」」
私の指示と共に《クリエイター》達が土からゴーレムを生成し、ダクネスの背後に立ち、街を守る様に整列します。
そして、そのまま、近くにあった、大岩を投擲します。さらに、間髪をいれずに、落とし穴やら火薬を利用した罠が次々と発動していきます。
当然、デストロイヤーは結界と機動力によってそれらをものともせず真っ直ぐこちらに向かってきます。しかし、多少は効果があったようで速度がさっきよりも落ちていました。
「アクア!まだですか!」
「あと、もうちょっと!!」
デストロイヤーの側もこちらの存在に気づいたようで、私たちめがけバリスタや魔光銃から光線やら矢が次々とと飛んできます!
「「「センイント・シールド!!!」」」
プリーストで構成された後方部隊がそう唱えると薄い光の壁の様なものがいくつもデストロイヤーと私達の間に形成され、ギリギリで光線や矢を防ぎました。
しかし、やはり、低レベルのプリーストの呪文では耐久力はそこまでなく、光の壁は次々と破壊されていってしまいます!
「まだですか、アクア!!」
「できたわよ!...来なさい!」
アクアがそう言った瞬間、空からアクアの蓮の杖が現れ、アクアの手のなかにおさまります。
「女神の本気みせてあげる!
『セイクリッド・ブレイク・スペルッ』!!」
その瞬間、アクセル正門の空中に複雑で巨大な魔法陣が出現しました。
そして、アクアの杖の蓮の蕾が開き、そこから白い光がデストロイヤーに向かって放たれます。
それは空中の魔法陣を通して増強され、とてつもない光線となってデストロイヤーをとらえます。
そして、デストロイヤーにぶつかった瞬間、複雑な魔法陣で構成された薄い膜のようなものが浮かび上がります。
恐らく、あれこそがデストロイヤーを守る結界なのでしょう。光と結界は拮抗し、割れる気配を見せません。
「アクア!女神の本気とやらはそんなものなんですか!貴女の信徒に面目がたちませんよ!」
「うっさいわね!私の本気がこんなもんな分けないでしょう!...うおりゃあああ!」
アクアが叫んだ瞬間、一気に光量が上がり、結界と光線の均衡状態が崩れ、ガラスが割れる様に結界が一気に崩れていきます。
「どんなもんよ!」
アクアをは自信満々のどや顔を見せてきます。いつもならぶん殴りたいところですが、今日は抱き締めてあげたいですよ!よし、これで、魔法が届きます!
『お姉ちゃん、そっちの足をお願いします!』
私はお姉ちゃんに指示を出すとめぐみんの方を見ます。
めぐみんはいつもの過剰な自信はどこへやら、不安そうにこちらを見ながら私の指示を待っていました。
なんですか、いつも威勢の良さはどうしたんですか。
こんなんじゃ、まるで昔の....みたいじゃないですか。そんな、いじけてるめぐみん、全然めぐみんらしくないです
いつだって貴女は爆裂魔法を信じていて、それにすべてをかけていたじゃないですか。
そんな、貴女を私は、私は、ちょっとだけ本当にちょっとだけですが――
カッコいいとおもっていたんですよ――
「めぐみん!貴女にとって爆裂魔法はそんなものなんですか!!あんなポンコツの骨董品、ひとつ壊せないへなちょこ魔法なんですかッ!!!」
私は全く何をいっているのでしょうか?いつも、爆裂魔だの、頭がおかしいだのいっているくせに。
それでもなぜだか、私は叫ばずにはいらませんでした。
「な、なにおうっ!?我が名を馬鹿にする以上の禁忌を口にしましたね!いいでしょう!見せてあげましょう!本物の爆裂魔法をッ!」
怒りで目を紅く輝かせながら、めぐみんはいつものように自信満々に、力強く詠唱を唱えます!
そうですよ、めぐみんはこうじゃないと。
めぐみんの詠唱に合わせお姉ちゃんも同時に詠唱を始め、二人の声がアクセル街に響き渡ります。
「黒より黒く、闇より暗き、漆黒に我が深紅の混淆を望みたもう」
かつて、氷の魔女と呼ばれ恐れられた凄腕のアークウィザードにして、今は経営難の魔法具店の店主をしているリッチーと。
「無謬の境界に落ちし理、無行の歪みとなりて現出せよ!」
そして、今、頭のおかしい爆裂娘と敵から、ついでに味方からも恐れられる、ただ一つの魔法に全てを捧げる、紅魔族随一の魔法使い。
そんな、最高で最強な二人の最大の攻撃魔法が、難攻不落、無敵とうたわれた最悪の賞金首に放たれますーー!
「「『エクスプロージョンッッ』!!」」
放たれた、二つの巨大な爆炎はデストロイヤーの脚を一つ残らず吹き飛ばしました!
そして、脚が消滅したデストロイヤーは、引力に従いその巨体を地面へと落とします。
とんでもない、重量が地面へと叩きつけられ、慣性によってアクセルの街へと滑ってきます。
しかし、その巨体が街へと届くことはなく、最前線で立ちはだかっていたダクネス達の目の前ので止まりました。
「なんとかなりましたね...」
私は、緊張から解放され、ついそんなことを口に出してしまいます。
一方、今回の功労者の一人である、頭のおかしい爆裂娘はというと。
「ぐぬぬ...。む、無念です...。さすがはリッチー、我が爆裂魔法が及ばないとは...」
魔力を使い果たし、倒れながらも悔しげにそんなことを呟いていました。
たしかに、お姉ちゃんの方がやや魔法の威力上だったようで、めぐみんの方の脚が多少残ってるのに対しお姉ちゃんの方がチリ一つ残さず完全に消滅していました。
全くこれだけのことをやっておいて、まだ満足しないとは。まあ、それでこそめぐみんですけどね。
「お疲れ様です。おぶってあげましょうか?」
「お願いします...。あと、もう一度、もう一度だけチャンスを!それで私の爆裂魔法が世界一だと証明...!」
めぐみんは私が背中におぶると、そんなことを言いながら暴れ始めます。
「落ち着いてください!暴力反対!...爆裂魔法については、あなたがいちばんですよ。今回は調子が悪かっただけです。
そうじゃなくとも、爆裂魔法に一途なめぐみんならすぐにお姉ちゃんだって超えられますよ」
「...むぅ」
そう、小さくめぐみんはつぶやくとすっかり大人しくなります。そうして、めぐみんをおぶりながら私は見張り台の下まで降りるました。
下では、デストロイヤーが巻き上げた粉塵や壊れた破片の雨が収まりようやく事態を把握できたようで、冒険者達が歓声をあげていました。
私はめぐみんを近くの木陰に寝かせる、とアクアとお姉ちゃんと一緒にそのなかに混ざります。
しかし、ここで油断しては行けません。私の経験上、絶対にこんなに簡単に物事が終わるなんてあり得ないのです。
そう、慎重に慎重を期したうえでこのままゆっくり、包囲しこいつを解体するのです。
やったか!?何て言うフラグみたいな台詞はもっての他...
「やったわ!デストロイヤーなんて女神たる私にとっては敵じゃなかったようね。
さあ、帰って飲み明かすわよ!なんたって、六億ももらえるのよ!いくらのんだってつかいきれないわ!!」
「アクアのバカッ!なんで貴女はそうお約束が好きなんですか!そんなことを言ったら...」
私は迂闊なことを言う、アクアの口をふぎますがすでに遅かったようで...。
『被害甚大、被害甚大。本国との連絡途絶。敵対勢力による攻撃と判断。自動報復シ...ム作動』
突如、デストロイヤーから機械的な音声が流れ始めます。...自動報復とかすごく怖い言葉が流れているのですか。ヤバイです、とてつもなく嫌な予感がします。
他の冒険者たちも危険を感じ取ったらしく、さっきまでの勝利の雰囲気は消し飛び、再び緊張に場はつつまれました。
『システムオ...グリーン。全エネ...ギーを魔導砲..レ..ガン改に...。エネルギー充填...了』
再び音声が流れると、凄まじい地鳴りとももに、デストロイヤーの顔面に線が入っていき左右に開いていきます。
そして、中から出てきたのは細長いライフルのような銃砲でした。 とはいっても対戦車砲くらいの大きさはありますが。
「なんだ、対したこと無さそうじゃーねーか」
「あんなの中級魔法あれば壊せるぜ!」
「ふん、史上最悪の懸賞首が聞いて呆れる。期待はずれもいいところだ」
なんで貴方達は示し合わせたように、そうフラグをたてていくんですか!?
もはや、わざとやってるじゃないかと思える見事なフラグ構築の成果か、デストロイヤーの銃砲の先が光輝き始めます。見るからにヤバイです。
「アクア!!結界って張れますか!?できればこの街を覆うくらいのおっきいやつ!」
「えっ?...まあ、できないことはないけど、ちょっと光ってるからってあんなちんけなものに使う必要は」
「いいから!早く!」
私は、恐怖からアクアを急かします。
「もう、わかったわよ。やればいいんでしょ、やれば!...《セイクリッド・ハイネス・シールド》ッ!」
アクアが詠唱を唱えると空中を埋め尽くすような何十、何百もの魔法陣が浮かび上がり、アクセルの街を半球状に包み込みます。
そして、それも同時に、デストロイヤーの顔面から突き出た銃砲からとてつもない光が結界に向かって放たれます!
余裕をぶっこいってフラグを構築していた冒険者たちも一瞬で顔面蒼白になり、何人かは腰を抜かしその場に倒れこみます。
「ちょっ!カズハ!これ不味いわ!私の結界でも耐えられるかどうかよ!というか、もう結構ギリギリよ!」
たしかに、光の塊に押され、結界は今にも崩壊しそうです。
「なんとか、踏ん張ってください!貴女が落ちたらアクセルは終わりです!
大丈夫です、貴女はやればできる子ですから!あとでシュワシュワ好きなだけ飲ませてあげますから、がんばって!」
アクアはそれを聞くと一気に目を耀かせます。
「言ったわね!言ったわね!絶対よ!あとでなしとかは許さないから!」
「ええ!私に二言はありません!」
「うおりゃあああ!!」
アクアが叫ぶと、結界が輝き光球を吹き飛ばしました。ただその瞬間結界も砕けちります。
そして、吹き飛ばした光の塊はアクセルを囲む山脈にぶつかります。
私がホッと一息ついた瞬間、先ほど光の塊が着弾した山脈にとてつもない、火球があがり......
山が一つ消えました。
「「「なっ...!」」」
あまりの威力に、その場にいた全員が言葉を失いました。...これ、爆裂魔法よりやばくないです?戦略核兵器とかそのレベルですよ、これ...。
「なにか爆裂魔法への侮辱を感じましたよ。今の私では無理ですがよりレベルをあげれば、あれを越える爆裂も可能です...!」
後ろの爆裂狂が変な対抗心を燃やしていますが、今は取り合っていられないので無視します。
『エネ...ギー充..まで60分...。対象...破壊後...しもべの星...アクセス...全世界...主要都市...攻撃...』
なんか、すまじく物騒な文言が流れていているのですが。
「カズハ...さすがにちょっと...つかれたわ...!次は...無理かも」
...マジですか。次の攻撃ではアクアの結界は期待できないとなるとあれを破壊するしか方法が...。
「だめだ!あいつ、あそこに防御結界を張ってやがる!あれを破壊するには中からはいるしか...!」
あの銃砲の破壊を試みていた冒険者たちからそんな声が上がります。
コレ、もうつんでません?
もう、これは逃げるしかないのでは?デストロイヤーの中は警備ゴーレムや侵入者用のトラップだらけ、とても一時間で攻略できるとは思えません。
周りの冒険者たちも次々に逃げ始めようとしているなか、一人のメイド幼女が剣を掲げます。
「いいのか?貴様ら、この街にはなんとしても守らなければならいものがあるのではないか!?」
その言葉を聞いた瞬間、男性冒険者達の多くがハッとなります。
「そうだ、嬢ちゃんの言うとおりだ。俺たちは今こそあの店に恩返しするときだ!」
「ああ、そうだな。...なぜ、レベル30にもなってこの街に居座り続けたのか思い出したよ」
ベルの声に呼応し、男性冒険者達は次々と漢の顔になっていきます。いや、なんかかっこつけてますけど、お気に入りの風俗店を守ろうしてるだけですからね、こいつら。
...まあ、気持ちはわからないでもないですが。
「今まで安い値段でお世話になってきたんだ!ここで立ち上がらなきゃ、男が廃るってもんだろッ!」
廃らせときましょうよ、そんなもん。
とはいえ、やる気になっているのなら止める理由はありません。あとは彼らに任せ私達は後方に下がりましょう。
私はいつまでも突っ立ているダクネスに逃げるよう話しかけます。
「私達がやるべきことはやりました。あとは、あいつらに任せて早く避難しましょう!」
「さっきも言った通りだ。私はここを離れる訳にはいかん。民を守らずに逃げるなど騎士の行いではない」
わかってましたけど、本当に頑固ですね、この子は!
「...それにだ。あれほどの威力の銃砲に狙われていると思うとどうだ。...かつてないほどの興奮の沸き上がりを感じる」
「は?」
ダクネス?ダクネスさん?なにいってるんですか?マジでなにいってるんですか?
「私は耐えられるだろうか?いや、いくら、頑丈な私でもタダではすまないだろう...」
うん、普通に死にますよ?...ちょっと、私、ドン引きなんですけれども。
えっ、なに、ダクネスはこのレベルの危機でも性的快楽に変換できるんです?
いい加減この子の変態性にも慣れたつもりでしたけど、私の認識はまだ、甘かったようです。...真性って、こわいなぁ。
「もう、辛抱...いや、もしもの時、私があの攻撃を受け止めるためにいってくりゅ!」
「えっ!?ダクネス!?」
ダクネスは剣を地面から引っこ抜くと嬉々としてデストロイヤーに突撃していきました。
....私、あの子の将来が本気で心配なんですが、結婚相手にくびしめプレイとか要求して、それで事故死するとかあり得そうなんですが。
って!そんな場合じゃなくて!さすがにダクネスとベルを置いて逃げるわけにはいきません。本当に、あの子たちは!
私は拡声器を手に取り叫びます。
『今からデストロイヤーに突撃します!一緒に来ると言う冒険者は手をあげなさい!』
迷うことなく、あげる男性冒険者達と少数の女性冒険者、そして、雰囲気に流されそのあとに続き手を上げる普通の冒険者達。
...今さらですが、ここまであの店が浸透しているのはヤバイんじゃないでしょうか?実質この街ってサキュバスに支配されてるのでは?
とまあ、私のなかに一抹の不安が生まれるなか、アーチャー職の冒険者たちが次々とフック付きのロープがついた矢をデストロイヤーに向かって打ち込んでいきます。
アーチャーは狙撃と言う、命中精度と飛距離を伸ばすスキルを持っています。
そのため、スキルで強化された矢は物理法則をはるかに超えた挙動で難なくデストロイヤーの甲板部の障害物に引っ掛かっています。
そして、そのロープを伝い次々と冒険者達がデストロイヤーへと進撃しています。異様な士気の高さで脅威的なスピードで上がっていく彼らは本当に駆け出し冒険者なんでしょうか?
中にはフルアーマーの鎧着てるひともいるんですが...。
「さあ、私たちもいきますよ、アクア?」
「私、あそこに混ざるの怖いんですけど?あとは任せて大丈夫よ。私たちは明日から頑張りましょ、ね?」
「だめです。魔力をかなり使ったとはいえ、回復魔法ぐらいはつかえるでしょう?」
私はデストロイヤー以上に冒険者に怖じ気づいたアクアを無理やりひきずっていきます。
「あっ、私もついていきます」
と、お姉ちゃんも私たちの後ろからついてきてくれます。
木陰で休んでいためぐみんは何故か近くにいたいつものモヒカンの荒くれ者のおっさんに任せ、私達はロープを登りデストロイヤーの甲板へとたどり着きました。
ちなみにいの一番に突撃したダクネスは重装備がたたり、まだ半分も上っていませんでした。
甲板では一体どこにそんな力があったんだと言いたくなるほど冒険者達が罠やゴーレムを破壊し破竹の勢いで進撃を進めました。
「「「いっけえ!ヒャッハー!!」」」
最早、その姿は街を守る冒険者どころか野盗かチンピラ崩れと化しています。
正しいことをしているはずなのになぜか罪悪感がわいてきます。
「ゴーレムがなんぼのもんじゃいッ!」
「囲め、囲め!ゴーレムとはいえロープで引きずり倒せばタダのおきもんだ!そのままハンマーで潰せっ!」
絵面が完全に悪逆非道の徒に焼き払われ様としている村とかそんな感じなんですが。私が唖然としているといつの間にか隣にいたミツルギが拳を握りしめ涙を流していました。
「うっ、うっ!なんて、なんて、感動的な光景なんだ!人は大切な者を守るためにここまで団結できるものなんだね!君も彼らをみならいたまえ、サトウカズハッ!」
こいつには何が見えているのでしょうか?こいつの目だけ世界線がずれて見えているんでしょうか?
「いやいや、表面的に見たらそうかもしれないですけど、守ってるもの考えたら全く感動的じゃないですからね。あといつものうるさい二人はどうしました?」
風俗店ですからね、守ってるの。いや、守るだけの価値はたしかにありますが。
「あの二人ならもしもの時のために後ろに下がらせたよ。...それにしても何をいっているんだ?アクセルの街にそんな価値がないというのか!君はどこまで外道なんだ!」
「ちょっと、ストップ!...え、貴方、あいつらがアクセルを守るためだけにあそこまでの力を発揮していると思っているんですか?」
「当たり前だろう?」
ミツルギは何をいっているんだという怪訝な顔をしています。えっ、まさかこいつ、あの店のことを知らないんです?
男性冒険者の知り合いがいれば知らないはず...あっ、こいつ男の知り合いいないんですね。当たり前ですね、あんな美人二人を侍らしていたらそら男性冒険者からは嫌われます。
いや、待ってください、あの二人たしか、ライバルになるからと女性をミツルギに近づけないようにしていたはず。...もしかして、こいつ、この異世界で友達すらいないのでは。
「あの、ミツルギさん?一つお伺いしますけど貴方この世界で友人って呼べるひといます?」
「なんだい、急にかしこまって。というか君が素直に僕の名前を呼ぶと気持ちが悪いな。
...そうだね、特にはいないかな、世界を救うの必死だったし、なぜだか男性にも女性からも避けられていたし」
.....どうしましょう。初めてミツルギに同情してしまいました、わたし。
「...今度、なにか飲み物おごってあげますね...」
「本当にどうしたんだ!サトウカズハ!君が僕に優しくするとか怖すぎるんだけど!」
イケメンで自意識過剰で鼻持ちならない奴だとおもっていましたが、持てるものには持てるものなりの不幸があるんですね。良い勉強になりました。
「おい、あったぞ!この頑丈そうな扉が中への扉にちがいねぇ!」
と、私がミツルギに同情していると、どうやら要塞内部への扉が見つかったようで冒険者達が歓声をあげます。
「やべえ、なんかでけえの出てきたぞ!」
と、喜んだの束の間、扉の守護者であろう巨大なロボットのようなゴーレムが私たちの行く手をふさぎます。
「どうやら、僕の出番のようだね」
と、魔剣グラムを構えるミツルギ。
しかし、私は彼の前に立ち。
「ふっ、あれに勝つにはそんな物騒なものは不要です。もっとスマートにいきましょう...スティールッ!」
私のにはこの手の敵には必勝法があるのです。機械式の敵であれば部品を奪ってしまえ動けません。
しかも私の幸運値なら確実に重要な部品を奪えるって寸法です。見ましたか、これがスマートな勝ち方ってやつです。ただ、チート剣振るっている脳筋勇者とは頭のできがぁああ!
「ぎゃああ!腕がああああ!」
私の手のなかに現れた部品はとてつもなくでかく重く、そのまま重力と引力に導かれ私の腕ごと地面に落下していきました。
近くにいたミツルギや冒険者達がすぐに私にかけより部品から腕を抜いてくれます。
「だ、大丈夫ですか!?カズハさん、重い物のを持っている相手にスティールはだめですよ!?下手したら押し潰されて死んじゃいますから」
お姉ちゃんが優しげな声色で恐ろしいことを教えてくれます。くっ、良い方法を思い付いたと思ったのに。
「ぁ、アクア~。痛いです。絶対折れてます、折れてますって」
「ハイハイ、泣かない、泣かない。ちゃんと見てあげるから」
「泣いてないです!」
アクアは私の服の袖をまくり触診すると
「大丈夫よ。ヒビも入ってないわ。ふっ、これに懲りたら調子にのってバカなことしないことね。一応ヒールはかけてあげる」
「君は有能なのかただのバカなのか...?」
ミツルギどころかアクアにまでバカにされました。屈辱です!
「アクア、回復魔法って心の傷にも効きますか?」
「そんなの自分で何とかしなさい」
この傷は当分残りそうです。
▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼
その後も冒険者達は快進撃を続け、ついに最深部の制御室らしき場所へとたどりつきました。
「うん?なんか見たことある紋章ですね」
制御室の扉にかかれた紋章が気にかかり私は立ち止まります。なんだか日本の家紋のように見えます。
というかどこかで見たような?うーん?すごく有名なやつだったと思うんですが、出てきません。
「アクア、これなんの紋章かわかります?」
「なに、これキュウリの断面図?」
ダメです、この子は役に立ちそうにありません。たしかに良く似ていますが。
「ああ、そいつはノイズ最後の王が好んで使ったといわれる紋章だ」
と、私達が唸っているとテイラーがそんなことを教えてくれました。
「この王は色々と謎が多くてな、何処からともなく現れ次々と功績をあげ軍の将軍になり、最期はクーデターを起こし、ノイズ元老院に王への即位を認めさせたんだ。
一説にはデストロイヤー開発者はこの王の暴政に怒り、デストロイヤーを暴走させたとも言われる」
「つまりはそいつの所為で今私達が苦労していると、とんだろくでなしですね」
「ああ、違いない、なかでみんなまっている。さあ、早く入ろう」
テイラーの案内で私達が中にはいると何故か皆さん、一様に沈んだ表情を見せています。直前までのハイテンションがまるで嘘のようです。
「良いところに来たな、カズハこれを見ろ」
何故か冒険者達の先頭にたち彼等のリーダーみたいになっているベルが話しかけてきます。こいつ、魔王軍だったこと忘れているじゃないんでしょうね...。
と、思考を脱線させながらもベルが指した方を見ると、そこには干からびてミイラになった研究者らしき遺体と見覚えのある銀色の棺のような機械がありました。
私は他の冒険者に聞こえないようベルと小声で話します。
「えっと、遺体は例の研究者で良いとして、...あそこのあれ、貴女が入っていたやつと同じやつですよね?」
「だな」
よし、面倒事の臭いしかしません、今は放置。重要そうな研究者ミイラの方から確認しましょう。
ミイラは部屋の中央の椅子に腰かけてどこか寂しげです。
人類の未来に絶望しながら一人寂しく死んでいったも思うと多少、同情して...
「完全に成仏してるわね。それはもう未練の欠片も残さずスッキリと」
.....。
「いやいや、待ってくださいよ、アクア。こんなところで一人寂しく死んでいったんですよ?普通、未練ありまくりですよ?私なら、寂しくて泣いちゃいますよ」
「ヒキニートのカズハでもひとりぼっちは寂しいのね?」
「...失言です。忘れなさい」
と、その時アクアがミイラのそばからなにかを見つけました。それは机の上の書類に埋もれた日記でした。
アクアがそれを手に取ると皆空気を読み押し黙ります。そして、それにあわせアクアが日記を読み始めます。
「―――○月×日
また、王様が無茶苦茶言い出した。こんな予算で要塞を作れという。無理だといったら猿はやったぞと言い返された。
知らねーよ、誰だよ猿って。とにかく拝み倒したり、辞表をだしても無理だった。できなかったら腹切れって言われた。
なんで、こんなブラックな国に来てしまったんだ。
最後にばかになったふりをして、パン一で走り回っていたら同僚の女性研究者にそれも脱げよって言われたもうこの国はダメかもしれない。」
聞いていた私達は微妙な表情でミイラを見ます。
「―――○月×日
もうすぐ、設計図の締め切りだ。もう俺はダメかもしれない。あの王様なら本当に腹を切らせかねない。
というかあいつうるせーんだよ、声が甲高いから頭に響くし、変な踊り見せてくるし、何が人間五十年だよ。もう、謀反起こしちゃおうかな。」
あれ、これ。王様信長じゃないです?甲高い声、猿、敦盛、信長要素満載なんですけど。まさか、この駄女神、アーサー王だけじゃなく信長もこの世界に突っ込んだんですか?
あっ。扉にあったの織田家の家紋、木瓜紋じゃないですか!通りで見覚えが。
「―――○月×日
現実逃避に部屋の掃除をしていたら大嫌いな蜘蛛が出た。つい、勢いで設計図提出用の紙でたたき潰しててしまった。
間の悪いことにそこで、王様のお付きの変な黒人が来たのでそのまま渡した。俺の人生、終わった。」
黒人ってあれでしょうか信長に仕えたという、黒人侍弥助?そんなのまできてるんです?
「―――○月×日
何故か知らんけどあの設計図が好評だ。
特に王様のお気に召したらしい。それ蜘蛛をたたいた汁ですけどよくさわれますねとか言いたいけどいったら殺されるんだろうな。
なんか、王様が褒美とかいって昔話をしてくれた。そんなのいいから金くれよ。
まあ、その話によると王様は家臣に謀反起こされて、泊まっていた寺燃やされ、絶体絶命だった時。
目の前に銀色のタイツみたいのを来た奴らが円盤みたいな機械にのって突然目の前に現れたらしい。
「Is that Nobunaga?」
「yes!yes!」
「It was good to come for a time travel!」
とか、なんかよくわからんことをいってたので殴り飛ばしてそいつらの円盤奪って適当に操作していたら壊れて、いつの間にかここにいたらしい。うそくせえ」
信長、なんな別件でこっち来てますね、なんか三流SFみたいな事件に巻き込まれてます。というかタイムマシンって実用化するんですね...。
うん?別件できたということは言語とかは自力で...?信長、スゲー。
「―――○月×日
王様から早く要塞の建造に入れとせっつかれた。そんなこと言われても無理に決まってんじゃん。
蜘蛛の亡骸見てなに作れていうんだよ。しかも、監視員としてあの黒人が送り込まれてきた。俺、あいつ嫌いなんだよな。 喋ってること意味わかんねーし。」
史実では日本語を操れたと言いますがさすがに異世界語は無理でしたか。そうポンポン覚えてもらったら女神特典のありがたみがなくなりますしね。
「いつも同じことしかいわねーんだよな。
「yes,we,can!!」って。」
これ弥助じゃない!オ○マだ!えっ?なに私が死んだあとにオバ○も死んだんです?○バマも異世界転生したんです?
「―――○月×日
あの黒人がうるさい。常に「yes,we,can!」って叫んでる。というかあいつ監視してねーだろ」
あ、これ違いますね。オ○マじゃないじゃないですかただの頭のおかしい黒人のおっさんです。
「―――○月×日
最近、同僚達のようすがおかしい。あの黒人となにかをしゃべっているようなのだが、聞こえるのは「yes,we,can!」という言葉だけだ。
見る限り会話は成立しているはずなのに。同僚に聞いてもはぐらされ、意味がわからない」
うん?
「―――○月×日
遂に、研究所でまともに言葉を解すのは俺だけになってしまった。他の同僚達はひたすら「yes,we,can!」と叫び、要塞建造に従事する社畜とかしてしまった。
俺はなんとか倉庫に隠れて難を逃れているがもうダメかもしれない。
ああ!声が!声が聞こえる!!」
なんか急にホラーになったんですけどッ!なにコワッ!○バマ擬きコワッ!
というかなんで無駄に演技派なんですかアクア!?
「―――○月×日
yes,we,can!」
やられたああ!研究者やられましたよ!えっ?こっからどうやったらこのミイラに繋がるんです?
「―――○月×日
ここ数週間の記憶がない。何故か要塞の建設がほとんどすんでいる。妖精さんの仕業だろうか?
まあ、いいや。あとは勝手にしてくれ、なんか動力源どうしますかとか聞かれたけど、知るか。
適当に伝説のコロナタイトでも持ってこいといってやった。持ってこれるもんなら持ってこいってもんだ」
あ、もとに戻りましたね。
しかし、あんな目にあっても相変わらずクズですねこいつ。
「―――○月×日
マジで持ってきちゃたよ。えっ?これ動かなかったらマジで腹切り?こんなんで死ぬの俺?お願いします、動いてください!」
アクアもさすがにあんまりにもあまりだと思ったのか、私たちから視線をそらし始めます。
「―――○月×日
明日が起動試験らしい。今日は王様が近くの寺院で各国の首脳ををもてなすパーティーを開いているらしい。
明日、要塞を見せつけるきだろう。そこで、動かなかったら間違いなく殺されるな...。いっそ謀反でも起こしちゃおうかな。
とりあえず酒でも飲もう、今この要塞には誰もいないしな。こっそりくすねておいたパーティーの高級酒をのみまくるぞー!」
決して、アクアに向けている訳ではないのですが皆の目付きが自然と厳しいものになっていきます。
「―――○月×日
目が覚めたらなんか警報とかがなりまくってた。なんだこれ?というかまた、記憶が飛んでいる。昨日なにしたんだっけ?
えっと...たしか中枢部にいって、コロナタイトに説教したあと、タバコで根性焼きして、中枢頭脳に蹴りいれながら敵は本能寺にあり!とか叫んで...」
アクアは遂にうつむいて読むだけになり、こちらに目も向けません。
「―――○月×日
現状把握現在暴走中。終わった、俺、終わったよ。確実に殺される。よし最後の晩餐だ。酒のんで寝よう。幸い、備蓄かあるから酒と食料には困らないしな!」
誰ともなく、拳を握りしめ、ギリッという音が辺りに響きます。
「―――○月×日
国滅んだよ!滅んじゃったよ!
お偉いさんとか国民のほとんどは逃げちゃったみたいだけど!ざまぁみろ!腐れ国王!あースカッとしたもういい、満足だ!
あとはここで余生を送るとしよう。降りられないしな、止められないしな。これ作ったやつ絶対バカだろ!
...おっと、これ作った責任者俺でした!」
「終わり」
「「「「「「なめんな!」」」」」
アクアとお姉ちゃん以外の言葉が一つになりました。
▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼
「よし、これぶっ飛ばしましょう。多少はスッキリとすることでしょう」
私は剣を構えミイラの頭を吹っ飛ばそうとします。
「落ち着いてくださいカズハさん!成仏したご遺体に何をしたところで無駄です!」
「止めないでください!だとしてやらなきゃ行けないときがあるんです、お姉ちゃん!」
とわたし剣を振りかぶろうとした瞬間、アクアが小さく手をあげます。
「あのー?なんか挟まっているんですけど」
とアクアは日記に挟まっていた手紙のようなものをさしだします。私はそれをそのまま広げると読み上げ始めました。
「この日記を読んだものへ。
ゴーレム達が寺院あとからあのむかつく糞野郎を回収してきたらしい。殺すこともできないのでとりあえずコールドスリープさせておいた。どうするかは見つけたお前たちに託す」
読み上げると、私達はミイラの横の銀の棺に目線をやります。
ま、まさかこの中に信長が!?...と、とりあえずどうするかはあとで決めましょう。今はとりあえず、次の砲撃を...
「カズハー、これあけるわよー!」
へ?とわたしが振り返ったときアクアはすでに棺を開いてました。
「いい加減にしてくれます!?この駄プリースト!なんでおとなしくできないんですか!?止まったら死ぬんですか!?鮪なんですか!?」
「な、なによ!そこに箱があったら開けるのが冒険者じゃない!私は悪くないわよ!」
「そんなわけありますかぁ!あぁ!!なんか出てきました!」
棺から煙が立ち上ぼり、その中からゆらりと影が立ち上がります。
多分、手紙の文面からして信長ですか!?ただでさえ面倒な状況なのにこれ以上の面倒事は...。
そして、影は私たちを見て叫びました。
「yes,we,can!!」
「「「「お前かよッ!!!!」」」」
私たちの心が一つになった瞬間でした。
多分次で2巻完結するはず...