この鬼畜姫に祝福を!   作:パイン村

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お久しぶりです。
更新が遅くなって本当に申し訳ないです。
ちょっとお仕事でのゴタゴタが続いておりまして、とりあえず、月一は必ず更新するので、これからもよろしくおねがいたします。、


第26話

「これが、コロナタイトですか。しかし、これどうやってとりだせば良いんです?」

 

私達は、機動要塞の最深部である、動力装置が設置された部屋へとたどり着きました。

中央には動力装置に設置され赤々と輝いている球体、コロナタイトがありますが...。

侵入されたときのための最終防衛として用意されたであろう鉄格子に阻まれ容易に取ることはできなさそうです。いったいどうすれば...?

 

「yes,we,can!」

「...アクアはそいつ黙らしてもらっていいです?」

「嫌よ。なんかあの人怖いんだもの」

 

 先ほど、コールドスリープから目覚めた、オ○マ似の黒人は目覚めてからずっと先ほどの台詞を繰り返していました。状況にあっているだけにムカつきます。

 他の冒険者達は、ここまで攻略できたら数はいらないだろう、あとは隊長の仕事だ。と私達をおいてさっさと逃げました。

 残ったのは私、アクア、お姉ちゃん、オバ○(偽)の四人。オ○マはカウントしていいか微妙ですが、とりあえずこれがアクセルの未来を託された選ばれしものなのでした。

 

「うーん?どうすればこれとれるかしら?...そうだ、魔剣持ちのなんとかさんが」

「アクア!!良い手段があります!みてなさい『スティール』ッ!」

 

 あの野郎に良いところだけ持ってかれてたまりますか!みなさい、今度こそスマートにぃいいいいい!

 

「ああああああづいああ!!」

 

 私の作戦はもくろみ通り成功し、私の手にはコロナタイトが出現しました。...太陽のように燃えながら。

 

「『フリーズ』!『フリーズ』!」

「『ヒール』!『ヒール 』!」

 

 一部始終を見ていた、アクアとお姉ちゃんがあわてて私に魔法かけてくれます。

 

「ねえ?バカなの?さっきのゴーレムといい、バカなの?カズハは小知恵だけは働くほうだと思っていたけど、実はバカなの?」

 

 悔しいです!アクセル一知力が低いアクアに言い返せません。人生最大の屈辱です!

 と、その時でした設置されていたスピーカーから音声が流れてきました。

 

『動力炉に異常発生。全エネルギーの供給を停止』

『コロナタイト冷却装置の停止を確認。十数分後に臨界を迎えると予測されます。登場員は直ちに、脱出してください。エネルギー低下、放送を終了...』

 

 ブッツとそのまま放送がとまり、私たちの目線がコロナタイトに集まります。

 見ると、コロナタイトの光は見て分かるほど強まっており、赤をこえて真っ白に輝き、その熱で床をとかし始めていました。

 

「...おそらく、長年の酷使で、コロナタイトが暴走状態にあります。冷却し続けないとデストロイヤーどころか、アクセルの街ごと吹っ飛びますっ!」

 

 お姉ちゃんが悲痛に叫びます。

 そんな!わたしの犠牲の意味は!いや、そんなことよりもコロナタイトをどうにかしないと!

 

「何とかしようにもこの熱じゃ近づきようがありません!」

「お姉ちゃんの魔法じゃなんとかならないんですか!?」

「...もう、魔力が...。それにあの熱じゃすぐにとけちゃいます!」

 

 それってここにいる私たちもヤバイのでは?焼け死ぬなんていやですよ!

 とその時、黒い影がコロナタイトに近づきます。

 

「オ○マ(偽)!何をしているんです!?」

「...ああ、すべてを思い出した。...そうか、私はこのためにこの世界に来たのだな」

 

 オバマ(偽)は流暢にこの世界の言葉を話し始めます。

 え、ただのオバマ似の頭のおかしい人じゃないんです?

 

「私は、アメリカ合衆国を守るために作られた、大統領の影武者にして超人兵士なのだ」

 

 なんか、三流ハリウッド映画みたいな設定出てきたんですけど。え、何をこの人、やっぱり頭おかしい。

 

「いや、いや。そんなことを急に言われましても。というか、なんで影武者を超人兵士にする必要があるんですか」

「予算の都合だな。リーマンやら議会閉鎖で、国防総省の計画が一部凍結になってね。とりあえず、再利用できそうな私が超人兵士計画の被験者として選ばれたのさ」

 

 なんですか、そのせちがらい理由。

 

「ねえ、頭おかしいおじさんがさらに頭おかしくなちゃったんですけど。どうしたら良いのこれ?」

 

 私に聞かれましても。というか、そんなことよりもコロナタイトですよ!

 

「頭おかしい人はほっておいて、今そこにある危機について考えましょう!本当に何か手はないんですか!?お姉ちゃん!」

「私は正常なのだかね」

 

 頭おかしいおじさんはまだ何か言ってますが無視です。付き合ってられません。

 

「一応、手はなくはないですが...それでもどうにかできるか...」

「なんでもいいです!いまはとにかくできることをやりましょう!」

 

 もう時間がありません、とにかくできることをしないとアクセルごと仲良くお陀仏です。

 お姉ちゃんは少し考えるようなしぐさをするとこちらを向き、私に顔を近付けて来ました。お姉ちゃんは手を差し出し、こう言いました。

 

「吸わせてもらえませんか?」

「もちろんです!」

 

 こんなときに何を?何を吸うのですか?なんて野暮を言いません。姉に言われれば差し出すのが妹の責務。

 目の前にお姉ちゃんの唇が...いや、待ってください。ここ最近の私の経験から考えてこんな良いことがおきるはず...いや別に同性とそういうことができるというのが良いことじゃないですよ。

 お姉ちゃんとできるのがいいのです。何度でも言いますが私は恋愛的にはノーマルなので。ええ、本当です。ってそうじゃなくて。

 おそらく、お姉ちゃんの言葉から想像して起きることはただひとつ!だからここは!

 私は一瞬の思索を終えると丁度近くにいた、幼女メイドを抱き抱えお姉ちゃんへとつき出しました。

 

「は?」

 

 事態をのみ込めていないベルはすっとんきょうな声をあげます。

 そして目をつむっててを差し出していたお姉ちゃんはそのままスキルを発動しました。

 

「ドレインタッチ!」

「ぐわああっ!」

 

 お姉ちゃんのスキルが発動すると同時にベルは悲鳴をあげ、みるみるうちにやつれていきます。

 やはりでした、最近の私に普通にラッキーイベントとか起こらないのです!...私、幸運なことだけが取り柄だったはずなんですが。どこにいった、私の幸運値。

 

「これでテレポートの魔法が使えますって...ベルディアさん!?」

 

 気づいたお姉ちゃんはすぐにベルを離すとベルは立ち上がりこちらを睨み付けます。

 

「主よ、おぼえておけよ!魔力が豊富なこの身でなければ干物になっていたわ!」

 

 ということは魔力平均以下の私だったらやばかったってことじゃないですか。やはり、とっさにベルを捧げて正解でした。

 

「いいじゃないですか、剣士なんですし魔力なんて使うこと少ないでしょう ?お詫びにおやつ用に持っていたこの飴あげますから機嫌治してください」

「そういう問題ではない!...一応もらっておこう」

 

 そう言ってベルは私から飴を受けとり頬張ると不機嫌そうな顔をすぐにほころばせます。もう、このおっさん幼女は元に戻れないところまでいってますね。

 

「これでテレポートの魔法が使えます!しかし、問題が...ここまでの距離だと呪文の範囲外なので送れません。あの熱をどうにかしないと近づくことすらできません。それに...」

「そういうことなら私に任せてもらおう」

 

 と、お姉ちゃんが言い切る前に遮ったのは自称スーパーマン兼大統領の影武者の頭のおかしい人でした。

 

「いや、貴方の出る幕はないですって大人しく...って!なにコロナタイトに近づいてるんです!?消し炭になりますよ!?」

 しかし、彼は私の声に従うことも臆することなく、ゆっくりとコロナタイトに近づき、そしてそれを包み込むように抱き抱えました。

 

「そ、そんな!?あの方は本当にコロナタイトの熱を押さえ込んでいます!?」

 

 えっ?超人兵士、云々は頭のおかしいおっさんの妄想じゃなかったんです?マジでキャプテン○メリカ的なあれなんです?

 

「私は合衆国、そして、そこに住まう人々を守るために作られた。しかし、人造の命たる私の存在はかの国の主流宗教では禁忌でね。

 政治家たちのパワーゲームの結果、私は開発がすすんでいた、時空間転移装置の被験体に選ばれた」

 

 急に重い話をぶっこまれて来たんですが。えっなにこれ聞かないといけないんです?

 

「疑問に思うことはなかった。私は人のために産み出されたのだからね。そして、ここにたどり着いたことにも意味があるはずだ。だからこれは私の役目なんだ」

 

 ハリウッド映画の主役のようなかっこよさですが、頭おかしいおっさんが急にスーパーマンになってもこっちには戸惑いしかないんですが。

 そんなこといきなり言われても私にはそうですか、としか言えません。

 しかし、スーパーマンはスーパーマンらしくあるようです。彼がコロナタイトを抱き抱えているということは彼もテレポートに巻き込まれるということです。

 それが意味することは言うまでもありません。

 

「...あなたは、それでいいんですね?」

「ああ、もちろん」

 

 迷いもなく、彼は答えました。であるならならばやることはひとつです。

 

「お姉ちゃん!今ならコロナタイトに近づけます!やちゃってください!」

「...いいんですか!?」

「...気は引けますが今はこれしかありません!」

「わかりました。ですが、問題が...。私のテレポートの転移先の登録はアクセルと王都、そして世界最大の大ダンジョンなんですが...」

「そのダンジョンとやらに送ればいいじゃないですか?」

 

 その3つだと必然的にダンジョンしかないと思うのですが。ダンジョンなら人が常駐しているようなことはないでしょうし。

 しかし、お姉ちゃんはそんな私の言葉に困ったような顔をして返します。

 

「そ、それがですね...。そのダンジョンは攻略のために街が造られていまして。今ではダンジョンを名物にした一大観光地に...」

 

 何て、はた迷惑な!しかし、今さらテレポート以外に手段なんて。

 

「ちょ、ちょっと!もう、石が赤を通りこおして白く輝いてるんですけど!?もう、あの人も限界っぽいわよ!」

 

 アクアがあわてふためきながら、もはや時間がないことを告げてきます。

 それを聞いて、お姉ちゃんは意を決したように最後の手段を告げました。

 

「ひとつだけ手があります。ランダムテレポートといい、名の通り、転送先を指定しないでこの世界のどこかに飛ばすものです!

 ですから、本当に何処に行くかもわからないので下手をすれば王都に送るよりも酷いことになる可能性も...!」

「大丈夫です!世界全体で見たら人が住んでいる場所なんて極小さなものです!そんな場所に出る可能性なんてごくわずかですよ!それに私は運がいいんです!

 大丈夫です!責任は私とアクアがとりますから!」

「え?ちょっと!何かってに私の名前つかってるのよ!嫌よ、何があっても私責任なんてとらないわよ!」

「あなたは黙っててください!とにかくお願いします!今はこれしかかないんです!」

 

 お姉ちゃんは私の言葉に強く頷くと、声高らかに呪文を唱えました!

 

「『テレポート』ッ!」

 

 

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「終わったわね」

「ええ、そうですね」

 

 私達はコロナタイトと彼をこの世界のどこかに送ったあと、デストロイヤーの甲板から街の様子を見ていました。

 デストロイヤーを守っていたゴーレムたちはすべてが倒され冒険者の多くもロープで地上へと降りていました。

 多くは手ぶらでなく、価値がありそうな物をしっかりと手に取っていました。まったく、この街の冒険者らしいです。

 見れば、あの腐れ研究者の遺体も下ろされています。きっと街の墓地にでも埋葬するのでしょう。それを見送りながら私たちも地上へと降ります。

 そして、私は迷うことなくめぐみんとダクネスのもとへとむかいました。

 めぐみんはまだ体力が回復しておらず、荒くれものおじさんにおぶられたままでしたが、私が成し遂げたと伝えると。

 

「そうですか...。そんなことが...」

 

 そうです。この、勝利には尊い犠牲があったことを忘れては行けません。彼がいなければこの勝利はなかったのです。私たちは彼を心なかに...

 

「まだ、おわっていないぞ。私の強敵を嗅ぎ付ける嗅覚がまだ(こう)ばしい危険の香りを嗅ぎとっている!」

「いや、そんなまさか…」

 

 しかし、私の言葉を無視するかのように、ダクネスの言葉に反応したかのように。機動要塞そのものが大きく揺れ始めました!

 

「なんでなんですかッ!?ハリウッド映画なら、これで家族か仲間に再会してハグしてハッピーエンドですよ!?というか、動力源はぬいたはず!」

「おお、落ち着きなさい、カズハ!いいこういうときは赤と青の配線があって赤を切れば止まるはずよ!」

「それは映画にでてくる爆弾の話でしょうが!配線なんてここにはないですよ!」

 

 あわてふためきながら意味不明な漫才をやっている私達にお姉ちゃんが何かに気づいたようで話しかけてきます。

 

「おそらく、冷却機能が故障してたまっていた熱が外に吹き出そうとしているんです!このままだと、前面部分の亀裂からとんでもない熱が吹き出して街が火の海に…!」

「私達が頑張った意味は!?」

 

 どうやら、私が運がいいうんぬんの話はやはり、何らかの計測ミスだったようです。恨みますよ、神様!

 

「あっ!そうです!爆裂魔法であれを吹き飛ばせば!」

「主よ、それはいいがウィズにはもう魔力がないぞ。ドレンインタッチでどうにかするにしても宛はあるのか?」

「まあ、私達のパーティならどうにかなるのでは?私以外、上級職で魔力もたかいですし。アクアもあなたも魔力を使ったといっても常人からすれば結構残っているでしょう?」

 

 最悪、冒険者何人から魔力を奪えばいいですしね。とはいえ、お姉ちゃんがドレンインタッチつかっているのをギルドに報告されると不味いですし使うのは私であるべきですね。

 人間の私がドレンインタッチを使ったところでいくらでも言い訳はたちますが、お姉ちゃんは冒険者カードから種族がばれれば処刑は免れないでしょうし。

 

「もう、こんなとこにはいられないわ!ダクネスも頑固なこといってないで早く逃げましょう!

 私達なら一からでも…よく考えたら、私達の借金はこの街のギルドが立て替えているのだし、ここがボンってなっちゃえば…」

 

 とりあえず、目の前にいる女神にあるまじきことを口だしかけている自称女神から魔力を奪いましょう。

 

「えいっ」

「なあああっ!」

 

 私がいきなり背中から魔力を吸いとったのによほど驚いたのかアクアは悲鳴をあげます。

 

「なにするのよ!変態、ロリコン、レズッ!」

「私は変態でもロリコンでもレズでもないです!たとえそうだとしても貴女になんて手だしませんよっ!貴女の魔力でお姉ちゃんにもう一度爆裂魔法を撃ってもらうんです!」

「本当に失礼ね、アンタ!ぶっとばすわよ!...でなに?ウィズに魔力を分けるの?嫌よ、なんで私がアンデッドにそんなことしないといなのよ?大体、その子に私の神聖な魔力を分けたら消えちゃうわよ?」

 

 えっ?マジですか?と私がアクアの言葉にお姉ちゃんの方を振り向くとお姉ちゃんは青い顔でこくこくとうなずいてました。あ、ヤバイこれまじのやつですね。

 .....となると、頼れるのは一人だけです。

 と私が考えるのを待っていたかのように、草原に彼女の声が響きました。

 

「真打ち登場」

 

 と、めぐみんは荒くれものおじさんに背負われながら私達の前に現れたのでした。

 

 

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「ねえ、わかってる!? 吸いすぎないでね? 吸いすぎないでね?」

「大丈夫ですよアクア、私も芸人の前振りはちゃんとわかっていますから」

「違うわよ! そんなそんなノリでいってないから!」

 

 とアクアはじたばたと暴れながらもしっかりと私の手を握ってくれます。

 そしてもう片方の手にはお姉ちゃんがそしてそのお姉ちゃんのもう一方の手にはダクネスが捕まっています。

 お姉ちゃんを中継機にして我がパーティの魔力のほとんどをめぐみんに注ぎ込もうというわけです。

 ちなみに幼女メイドは何処にいるかというと。

 

「うぇへへへ」

 

 汚ならしい声をあげながらお姉ちゃんの胸に抱きついていました。

 ドレンインタッチは確かにからだに触れてさえいれば発動しますが、あんな触りかたで発動するのはきっとあいつがはじめてだと思います。

 本来なら万死に値する行為なのですが、あの位置じゃないと協力しないとか抜かしたので仕方なく妥協しました。 

 こんな時じゃなきゃ本当に八つ裂きなのですが。後で絶対に埋めます、あの腐れ幼女メイド。まあ、お姉ちゃんもゴミを見る目で見ていますので、氷漬けにされるほうが早いかもしれません。

 

「カズハ、私はいつでも準備も大丈夫です!日に二回も爆裂魔法を撃てるなんて今日は最高の日ですよ!」

 

 めぐみんはいつも以上のハイテンションで準備万端な様子です。私はそんなめぐみんに魔力を送るため手を繋ごうとすると、お姉ちゃんが話しかけてきました。

 

「カズハさん、ドレインは皮膚の薄い部分の方が、より多く吸収、送出できます。特に心臓に近いほど効率的ですよ!」

「そうだ!だから俺のこれも合理性から来るものであって決してよこしまな感情からやっているものではない!」

 

 顔を赤らめ鼻息を荒い幼女メイドが言ってもなんの説得力もありません。やっぱり後で埋めましょうこいつ。

 しかし、なるほどだからさっきお姉ちゃんは唇に触れようと…あれはダメです、人を惑わせます。

ふむ、心臓に近いほど効率的というのなら。

 

「ていっ」

 

 私は思いつつくまま、めぐみんの背中に自分の手を突っ込みました。

 

「ひゃあああ!なんですか!アクアといい私といいやっぱり変態なんですか!訴えますよ!」

「違います!お姉ちゃんの話をきいていなかったんですか?心臓に近くて皮膚薄い場所のほうがいいんですから背中とかいいでしょう!

 同性とは言え胸は避けたんですから感謝してください。…あっ、なんで逃げようとしているんですか!アクア!本当によこしまな気持ちはありませんから!」

 

「嘘よ!カズハ、ウィズの胸に抱きついてるあの腐れアンデッドと同じ目をしているもの!」

「何てこというんです!あんな真性と一緒にしないでください!」

「誰が真性だっ!」

 

 アクアやめぐみんが抵抗し、さらにベルが激昂。もはや現場は混沌の極みにありました。

「みなさーん!落ち着いてください!もう時間がないんですよ!」

 

 お姉ちゃんがそう言って泣き叫びました。

 

 

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 仕方ないので妥協案で、首筋からエナジードレインをすることになりました。…残念です。

 

「カズハ?なんか邪念をかんじるのだけど?」

「…気のせいです。そんなことより、めぐみんは大丈夫ですか?」

「ええ!そんなことより、これはヤバイです!みんなの魔力で過去最大の爆裂魔法が放てそうです!」

 

 めぐみんは紅い瞳を輝かせながら、とても楽しそうに言いはなちます。というか、さっきからめぐみんに魔力を送るたび瞳の輝きが強くなっているんですけど大丈夫ですよね? 

 ボンッてなったりしないですよね!?

 

「…あっ、ヤバイかも?いえ、もうちょっといけるはず…」

「まって、何がヤバイんです!?デストロイヤーの爆発より先に爆死とか私、いやですよ!」

「わかりましたよ。おそらく、これで魔力は十分です。皆の力は受けとりました…だから、あとは任せてください、カズハ―――」

 

 めぐみんはそう言って左目の眼帯をむしりとるとそれまで以上にその瞳を紅く輝かせ、アクセルを滅ぼそうとするデストロイヤーに杖をむけます。

 

「光に覆われし、漆黒よ。夜を纏いし、爆炎よ―――」

 

 もう、聞きなれてしまったその詠唱が皆が見守るなか眼前の草原へと響き渡ります。

 

「他はともかく、爆裂魔法のことに関しては!私は、誰にも負けたくないのです!――いきます!我が究極の破壊魔法!」

 

 そうして、負けず嫌いで、たった一つの魔法で世界一の魔法使いになることを夢見るアークウィザードは張り裂けそうな声で、最後の詠唱を唱えました。

 

「『エクスプロージョン』―――ッ!!」

 

 

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 機動要塞デストロイヤーとの戦いは終わりました。一人の尊い犠牲はありましたが戦いは我々の勝利で終わりました。

 ...最近、『Yes,we,can!』と謎の言葉を発する、人型で正体不明のモンスター がアクセル周辺でよく見かけられるらしいですが私達とは、無関係でしょう。...たぶん、きっと。

 まあ、なんにせよ街は私達の活躍で守られました。デストロイヤーを倒したということで、街はお祭り騒ぎです。

 まあ、魔王軍に匹敵する厄災がなくなったのですから騒ぐのも無理もありません。

 ギルドもこの件の事後処理におわれ、デストロイヤーの懸賞金は王都の役人が来てから支払われるということになりました。

 というわけで私達はそれまで家で待機しているのでした。

 

「カズハ、いるか?」

 

 と、私が居間でくつろいでいると、珍しく鎧ではなく私服を着ているダクネスが話しかけてきました。

 

「どうしたんです?なにかありましたか?」

「いや、なに。今更ながらだが礼をな。カズハ、この街を、守ってくれてほんとにありがとう。…お前にはそう遠くないうちになぜ私がこの街を守らなければいけないか話そうと思う」

 

 そうはにかむように笑って言う、白いワンピースに身を包んだダクネスはいつもとちがってまるでどこかのお姫様のようで…悔しいですが、その姿に少しだけドキッとしてしまいました。

 

 だから、私はダクネスにいつものように言いました。

 

「お礼いってくれるのはいいんですが…結局貴女、格好つけたわりになんの役にも立ってないですよね?」

「なっ!」

「あの、アクアですら結界を破壊したり、街を守ったり、魔力を分けたりと割と活躍していたというのに…。めぐみんのは言わずもながですしね」

 

 私の言葉を聞いて、ダクネスが小さくふるえだします。

 

「そうですね。私は、一日に二度も爆裂魔法を撃って大活躍でしたからね。しかも、二発はあの、デストロイヤーを粉砕してやりましたからね!」

 

 そこに、追い討ちするように、居間で杖を手入れしていためぐみんが悪気なく言います。

 

「そういえば、カズハも大活躍だったそうですね。ウィズから聞きましたよ。

 何でも巨大ゴーレムを一人で倒して、破壊不可能な鉄格子からコロナタイトを取り出して見せたそうじゃないですか」

 ...若干の齟齬はありそうですが、大筋で間違ってないですね。ええ...後でアクアとお姉ちゃんにはデストロイヤーのなかでおこったことは口止めしておきましょう。

 

「いえいえ、私なんて。ちょっと活躍しただけですよ。ええ。本当のMVPはお姉ちゃんですよ。

 爆裂魔法での脚の破壊、コロナタイトのテレポート。お姉ちゃんがいなければみんな今ごろお陀仏です。

 なんやかんやベルもみんなをまとめるのに役に立ってくれましたし、本当に皆、大活躍でした」

 

 ダクネスはついに耐えられなくなったのか両手で顔を覆いしゃがみこんで震え始めます。

 

「どうしたんです、ダクネス?あれだけ街を守ると意気込んでいたあなたらしくもない!」

「こっ、こんなっ!新感覚はっ!…わあぁぁぁ!」

 

 ふふっ! 勝ちました! 基本羞恥心の概念をどこかに置き忘れているこの子を(はずか)しめるのは楽しいですね。ちょっと癖になりそうです。

 

「…うわぁ。カズハ、人に見せられないような邪悪な笑みをしていますよ」

 

 失礼な、私は明るい笑顔の似合う、淑女だといいますのに。

 しかし、この世界に来て結構たちました。思い返せば、理不尽で不条理なことばかりで、その上こんなおかしな子ばかり仲間になるのですから世の無情を感じざるをえません。

 

 ですけれど、

 

 

 ちょっと、本当にちょこっとだけ――――この街もこの子達との生活も悪くないなと感じ始めている私は、末期なのかもしれません。

 いえ、悪いことばかりという訳じゃないですし、きっと冒険を続けていけば多少は改善されるはず...きっと。

 そう、ここまではゲームで言うところのチュートリアル。私の冒険はこれからですよ!

 と、私が未来に夢を馳せていると、急に居間のドアがバンッ!と大きく開かれました。そこには、息を切らせたアクアとベルが。

 

「大変だぞ、主よ!」

「王都の騎士がカズハに用があるって!」

 

 ふっ、来ましたね。私の時代が!

 

 私達は、服装を整え、騎士が待っているギルドへと向かいました。

 いやぁ、騎士様がなんのようですかねぇ~。デストロイヤー討伐の報酬はもちろんとして、魔王軍に匹敵する脅威を倒したのですから勲章とかもらえちゃったり!いや、もしかすると私を騎士にスカウトしに来たのかもしれません。

いやぁ!困っちゃいますね!と、私が期待を膨らませギルドの扉を開けるとそこには騎士を従えた、黒髪の眼鏡をかけた制服の女性が。王都の役人さんでしょうか?というか、なんか、ギルドの雰囲気おかしくないです?みんな、静まり返ってお祝いムードという感じではないです。気のせいか、黒髪の女性の目もなんだか鋭いような。そう、例えるなら、親の敵を見ているかのような―――。

 

「サトウカズハ!貴様には国家転覆罪の容疑がかかっている!一緒に来てもらおうか!」

 

 へ?

 

「貴様が転移させた、コロナタイトが大領主アルダープ様のお屋敷を破壊したのだ!」

「はああああっ!?」

 

 私はあまりのことに叫び声をあげ、呆然自失となります。

 ええ、そうでしたね!ここは、何一つ思い通りにいかない、想像の斜め上のことばかりで起こるそういう世界でしたね!

 

「どうするのよ!カズハさん!犯罪者だよ!死刑よ!」

「落ち着くのですアクア!世の中には緊急避難という考え方があるのです!多くの人々を守るためには多少の犠牲は許容されるのです!」

「カズハ?いいこと、ここは異世界で文明は中世から近世ヨーロッパ位。庶民の命と貴族の命の価値が等価だとおもう?」

 

 うん、思いません。なんでそんなとこだけ普通に中世なんですか!基本的人権位普及させてくださいよ!転生者の皆さん!

 

「何をごちゃごちゃと言っている。それから、アルダープ様は偶然地下室に居たため無事だ。使用人も出払っていたようで奇跡的に被害は出ていない」

 

...チッ、あの腐れ領主だけ吹っ飛んでおけばよかったのに。

 

「なにかよこしまなことを考えなかったか貴様?」

「いえ、そんなことありませんよ?」

「まあ、いい。なんにせよ、この国を支える大貴族、アルダープ様の命を狙ったことは国家、すなわち国王陛下にたいする大逆である!おとなしくお縄につけ!」

 

 ジリジリと制服の女性と騎士がこちらににじりよってきます。

 基本的に国家反逆罪やそれに類似する犯罪に対する刑罰はどこの国でも終身刑もしく死刑です。すなわち、このままおとなしく捕まれば待つの破滅のみです。ですからこういうときは!

 

「...わかりました。きちんと話せば貴方達の誤解も解けることでしょう。

私は逃げも隠れもしません」

 

 と私は彼らに手をつきだし、恭順する振りをしました。そして、彼らの目が私に向いた瞬間!

 

「『クリエートアース』&『ウィンドブレス 』ッ!!」

「「「あああっ!目があああ」」」

 

 私は、彼らの目がつぶれている隙に全力で駆け出しました!すべては自由のために!というか、こんな理由で死んでたまりますか!

 やっぱり、こんな世界での生活なんて最悪です!

ああ!神様!どうか、私を日本に戻してくれるか、まともな異世界に転生させてください!

 

 

 

 

 




けものみち始まりましたね。原作を尊重しつつうまくアニオリもいれるなどいいスタッフに恵まれた思います。
毎週楽しみです。
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