シェリー・ポッターと神に愛された少年【完結】   作:悠魔

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ハリポタ語る会みたいなのがあって、それに参加して熱量高い状態で執筆したらもうしばらくかかるかなーって思ってた話が終わってびっくりしました。
ハリポタ好きな人とか創作者と話すとモチベ上がるよなぁ!

今回オスカーと戦うのは、不死鳥の騎士団編5話の後書きに出てくるDAメンバーからハーマイオニー、ネビル、ベガ、ドラコ、コルダを抜いて、パーシーと他数人を足したくらいの人数です。


4.怠惰のオスカー・フィッツジェラルド Ⅱ

 

 

 

 きょろきょろと、オスカーはDAの面々を見やった。

 

「随分と落ち着かない様子だな?ミスター・フィッツジェラルド」

「いや何、随分と貧相な面子だと思ってな。

 シェリーやベガはどうした?マルフォイ兄妹はいないのか?ハーマイオニーも姿が見えないな。仇討ちに来ようという気骨のある者はいないのか?」

「君みたいな小物の相手してる暇ないってよ」

 

 それを聞いて、憮然とした表情になる。

 オスカーは普通に殺すのも好きだが……何度目かの殺人の時に『食料を育てる』という概念を知った。

 ただそこにある命を摘み取るのではなく、敢えて一人だけ生かしておく。そうすればやがて『復讐』という名の芽を咲かせるのだ。

 復讐に狂った人間の末路というものは素晴らしい。

 胸に誓った筈の復讐を果たせず死んでいく時、みっともなく喚き散らし、悲痛な顔をする。あまりに哀れで、可哀想な死に様揃い。

 実に、愉快だ。

 

 それを楽しみにしていたのに。

 ここにいる騎士団は、オスカーに強い復讐心を燃やしている者はいなさそうだ。使命感とか、正義とか。そういう前向きな感情で、あのドロドロした鬱屈とした絶望的な憤怒には一歩及ばない。

 笑い転げるような愉悦は味わえない。

 

(……こんな筈では……)

 

 愉しくなる筈だったのに。

 これからもっと、面白くなるところなのに。

 ……まあ、いい。

 さっさと全滅させて、他の所に行けばいいだけ。……いや!むしろここで一人二人残して全滅させよう!復讐の連鎖を、苦しみを、味わわせてやるのだ!

 

「三〇人強、殺す機会を得たと解釈しよう。こういう時こそ愉しんでいこう──

──『紅い力の更なる解放』!!!」

 

 紅い力、その真髄。魔力がもう一段加速する。

 黒い地面がせり上がり、形を成していく。無味乾燥な物質は巨大な建築物に変化し──城──いや、宗教的な特色が強い建物と成る。これは大聖堂か!

 無機質で、モノクロームな佇まいのソレは、たちまちのうちに姿を現した。気味が悪いのは、その大聖堂は荘厳な威容を持つくせにどこか存在感が希薄で、朧げな印象を与えるところだ。

 ロン達が呆気に取られている隙に、オスカーは建物内へと姿を消す。

 

「……ッ!やばいっ、ボーッとしてた!オスカーは建物内に引き篭もる気だ!逃がすなッ!」

 

 レイブンクローの剣による空間の固定化は、満タンのバッグに無理矢理ボタンをかけているようなもの。その場から動かしただけで効力は失われ、オスカーの透過能力は取り戻される。それだけは避けなくては。

 ……もっとも、当の本人はこの状況を愉快に楽しむと決め、受けの姿勢に回った。

 ロン達を圧倒できるだけの力があると判断したのか。それとも「透過がなければ倒せる」というロン達の希望を潰すつもりか。どちらにせよレイブンクローの剣を狙うことはないだろう。

 

「前方、何か来るぞ!」

 

 大聖堂に入るというところで二メートル弱ほどの黒色の物質が降り注ぎ、めきめきと姿を変えた。

 正面玄関を塞ぐ六体の人形。先陣を切っていたフレッドは即座に斬りかかるが、狼型の人形に、鈍い音とともに弾かれる。そして人形の爪が輝いたかと思えば、薄い斬撃の刃が発生した。

 回避態勢を取っていたので事なきを得、距離を取る。地面がバターのようにすぱすぱと切れているのを見るに切れ味は凄まじく、下手に受ければ盾ごと両断されて死ぬだろう。DAの意識が一瞬そちらへ行ったところで、ドラゴンを模した人形がふわりと浮き上がった。

 

(まさか……!)

「散開しろ!固まるな!!」

 

 懸念した通りに、火焔が口から吐き出される。

 反応が遅れたデニスを抱えてジョージが横っ飛びし、アリシアがインカーセラスでワイヤーのように回避。

 ボヤボヤしていては浮いた駒から獲られる、そう判断してロンとディーンが窓を割って大聖堂内へと転がり込んだ。

 思うに、あの人形達はそれぞれに能力があって、オスカーが遠隔で操っているのではないかと思うのだ。各々散らばって各個撃破していくしかない。

 そうら、追ってきた。今度は長い髪の人形だ!魔力が渦を巻いている。攻撃呪文の類だろうか?

 盾の呪文の面積を減らし、一点に集中。更に二枚重ね掛けで唱え、防御する!

 

(プロテッ……あっ、やべ)

 

 一歩間違えれば腕が千切れていた。

 そのくらいの衝撃。びりびりと腕が痺れ、二重の盾は一枚目は硝子のように砕け散り、二枚目もほとんど砕けてボロボロだ。かろうじて反応できる程度の速さだが、それが逆にプレッシャーをかける。

 圧倒的な破壊力……シェリーに次ぐほどの鋭さ。

 ……シェリー?まさか。

 

(斬撃を飛ばす狼に、火焔を吐くドラゴン、鋭い早撃ちの女の人形……多分間違いない。他の連中の紅い力を模倣してるんだ!)

 

 背筋に冷たいものが走る。

 見たところ、単純な能力値自体は本物よりも数段落ちるようだ。本物と比べるとまだ動きが追えるし、範囲や威力もせいぜい五割程度といったところか。

 もしこの偽物が本物と会敵すれば、圧倒的な個の力で蹂躙される光景は想像に難くない。一つ一つは戦局を変えるほどの圧倒的な力は持たない。

 問題はロン達にとってたった五割でもかなりの脅威であるということ。

 対人戦・集団戦で非常に厄介な能力と言えよう。つくづく人相手に特化した力だ。あまりに彼我の差がかけ離れていると諦めもつくが、なまじ背中が見えるぶん、絶望も大きい。

 射線が通ると危ない。障害物の中に身を潜めながら、逃げ回って分析していく。

 

(本物だったら防御すら出来てないだろうな……)

「シェリーの駒は“避け”に徹するんだ!まともに喰らえば今みたいになるぞ」

「ロン、結局は大元のオスカーを倒せば良いんだろうが、人形の中に倒しておいた方が良い奴はいるか?」

「……オスカーと戦ってる時に横から狙われるのが一番怖いな……ってなるとシェリーとペティグリューは要注意だ。グレイバック、ベラトリックス、ハリーは単体で暴れさせる方が厄介な駒だから、釣ってひたすら防御に徹しなきゃだ」

「成程、了解。守護霊で他の連中にも伝えとく」

「……そういえば人形は六つあったけど、最後の一つはグリンデルバルドの能力なのか?新しい奴の能力の可能性もあるよな……」

「それを言ったらハリーもだろ?」

「あいつはまあ、特殊なケースだから。多分後任はまだいないと……んっ!」

 

「成程、グリンデルバルドの方か。便利だもんな……影を操る能力は」

 

 

 

 

 

▽▽▽▽▽▽

 

 

 

 

 

 ロン達が大聖堂内部へと侵入した一方で。

 大聖堂の外では、大暴れする狼型の人形やドラゴンの人形相手に、フレッドなどが指揮を取り応戦していた。

 連中の攻撃は極めて無差別的で、範囲が広い。建物内部より外部の方が駒が効くというわけだ。

 突貫する狼の人形を幾多もの弾丸が襲う。

 引きつけて、正面から来た敵に対して十字砲火(クロスファイア)。ムーディが教えた魔法使いがチームを組んで戦う時の基本となる陣形だ。

 人形は敵の近い方へと狙いを定め、疾走するが……すぐさま魔力の塊に殴られる。パーパティが放った魔力弾は中々に重かったようだ。

 片方が防御に専念して、片方は守られながら溜め撃ちを行う。人形の強度もかなり高いが、魔力のクリティカルヒットを決めていけば削るくらいできる。

 『思うさま仕事ができない』というのが何よりの成果なのだ。

 

「気付いたか?コリン」

「うん。僕達の攻撃でも、当たりさえすればちゃんとダメージは受けてくれるみたい。それに身体能力自体はどの人形も一律みたいだ。アー、約一名、空を飛んでる奴もいるけど」

「そうだな。俺達は援護に徹して機動力を削ぐぞ」

(いくら人形っても脚が無ければ動けないだろ)

 

 障害物の多い大聖堂の中では、射線が開き辛く狙撃の強みも半減だ。戦況を俯瞰しながら、アーニーは高台に陣取って狙撃のタイミングを狙っていた。彼の狙いは正確であり、視野の広く、守りの強いコリンが防御役兼観測主となり、獲物を品定めしていく。

──狙い目はペティグリューか。奴が気付く前に倒す。

 

(……!焦ったか!)

「こっちに来る!」

「分かってるッ。抜かるなよ!」

 

 正確に放たれた筈の弾はしかし、読まれていたかのように魔法を放たれて相殺される。位置がバレるや否や、高台から離れて……数瞬して高台は爆撃された。

 ベラトリックスドラゴンの火炎が焼き尽くしたのか。もうもうと立ち上る黒煙の中を悠々と飛び回る竜の影。

 だがコリンは杖を振ると、罠魔法が発動!

 予め設置しておいた罠の爆裂砲弾がベラトリックス目掛けて飛来した!

 

「お?あの爆発はコリンかな。フリペンドォ!」

 

 横目で確認しながら、ケイティは魔法糸で軌道を変えながら弾を撃つ。正直に撃っては良い的だ。グレイバックやペティグリューの二体から『いつでも攻撃できるが、微妙に遠い位置』に陣取っている。地味だが渋い働きぶりだ。

 しかし、中々攻めに転じられない。

 六体もいるのだ、せめて一体くらい倒しておかないと個々人の負担が大きくなる一方だ。

 

「っても、一体にかけられる人数は五、六人が限度だし撹乱に人数使わないと凌ぐのは無理だ。どうするロン」

『いや!むしろ余裕が無いのは向こうの方だ』

 

 魔法糸と音魔法の合わせ技、通称『糸電話』によってロン達は現況を報告し合っていた。極めて短い距離ではあるが、リアルタイムで情報共有ができる優れものだ。

 

『あの人形達は自動で動いてるんじゃなくて、オスカーが遠隔操作してるものだと考えられる。奴が魔力で生み出したものだからな。自分の身を隠しつつ、六体を同時に動かさなきゃならないのはかなりしんどい筈。

 各員、包囲しろ!情報量を増やして隙を作る』

 

 ロンの指摘はずばり当たっていた。ゴーレム等、予め作っていたものに魔力を注いで動かすやり方なら自動で動かすこともできるが、人形達は異世界に入ってから形成されたものだ。

 影使いの人形を廊下に配置して罠として使ったのも、六体同時に操るのは難しいと判断したからだろう。……自動か遠隔操作の違いに気付けたのも、ハーマイオニーから教えてもらったからだ。

 今までに身につけた知識と経験が役に立っている。

 

 ロンの指示でマリエッタとディーンが杖先からダミーをばら撒く。よく見れば気付く程度の出来だが、うまく障害物を利用し気を引かせる。

 効果は覿面。人形達の動きがやや精彩さを欠き始め、数や範囲を重視した魔法を使用してくるようになる。その差は微々たるものだが、気を張り詰めていたDA陣の心の中に、少しずつ余裕が生まれ始める。

 毒人形が建物ごと腐食してダミーを溶かすものの……それすら罠。ダミーには魔力に反応して爆発するウィーズリーの双子の特大花火が取り付けてあった。

 

(────ッ!!)

『今だ行けぇ!!』

 

 芋づる式に、ダミーの花火は連鎖爆発し、視界を共有していたオスカーに音と閃光が浴びせられる。サーベラスの音魔法もミックスされた妨害用花火か……!

 ロン達は予め閃光対策をしているので問題はない!攻めっ気の強いジニー、フレッド、シェーマス、アンジェリーナ、チョウ、アンソニーがそれぞれ重たい一撃を喰らわせていく。脚部や頭部が狙い目だ!

 オスカーもそれは織り込み済みか、急所を避けるような防御姿勢を人形に取らせることで、数々の攻撃をいなしていく。ヒットアンドアウェイで視界が晴れる頃には一時退避するのも忘れない。

 ダミーに、花火。オスカーの処理能力に負担をかけるのがロンの狙いだ。大聖堂の地図も把握し始めた……自分に大丈夫だと言い聞かせる。情報戦を制しているのはこちらの方だ。

 

「面倒だな……ならば地形ごと変化させるとしよう!」

 

 地響きが鳴ると、光を通さぬ建物群が乾いた大地より出現する。せり上がる建物を使い盤面を支配することで強引に流れを切り替えるつもりか。

 ただ一体、ドラゴン人形を高く浮かび上がらせることでオスカーは敵配置を確認した。常に誰かが見張ってドラゴン人形が浮かぶタイミングを確認していたのだが、建物の出現で視界が塞がれてそれも遅れた。

 オスカーの手駒で、もっとも距離が近く、容易に殺せる者は──。

 

「危ねぇっ、アンジェリーナ!!」

 

 女の人形から発せられる早撃ちの魔力弾。その凶弾からアンジェリーナを咄嗟に庇ったジョージの右耳が抉れて千切り取られる。

 フル回転していたロンの脳みそが停止し、一気に青褪めて呼吸を忘れてしまう。

 「すぐには攻撃は来ないからそこで大丈夫……」そう思ってジョージ達をその配置へと移動させたのは、他ならぬロン自身だ。失策、その二文字が頭に浮かぶ。

 やばい──既定観念に囚われすぎた。

 

『っ、援護急げ!!』

「行くぞジニー!!」

「おらあああああああああああああっ!!!」

 

 ロンが指示するよりも早く、ジニーとフレッドは家族の危機に飛び出していた。二方向から挟み撃ちにされる女人形の貌は、しかしその時、操り主の愉悦を反映して悪辣に歪んだ気がした。

 先出しで動いた筈なのに……仕掛けたジニー達よりも魔法のタイミングがほんの僅かに早かった。

 シェリーを模した人形の早撃ちは、劣化していようとロン達のそれとは一線を画すほどの鋭さを持つ。加えて威力も比ではない。

 だから、人形の攻撃魔法を相殺で済ませられたのが奇跡的なレベルだ。しかし人形の猛攻は止まらず、体制を崩したジニーに襲いかかる──!

 

「「「盾の呪文!!」」」

 

 その時、ジニーを中心として展開される五重の盾。

 駆けつけた騎士団員達がジニーへと盾の呪文を形成、分厚い魔法壁は、破壊の魔力を以ってしても崩壊させられぬ程に堅牢だった。

 その隙にジョージとアンジェリーナは距離を取り、フレッドと共に集中砲火を浴びせる。さしもの人形も全身にヒビが入っていき、討伐は秒読みのように思えた。

 

「──────」

「ひっ……」

 

 が、女人形は最後の悪あがきで五重の盾へと攻撃呪文を何発も放つ。少しずつ、しかし着実に、衝撃が盾へと伝わっていく。

 うっすらとした亀裂が、広がって──

 

「──ァ、ァア──」

「往生しなさい、クソ女」

 

 チョウの魔法弾が、女人形の頭部を貫く。それでもう力を失ったか、全身がバラバラに砕けて散らばった。

 不愉快そうに女人形の残骸を見やって、チョウはすぐに場所を変えた。浸っている暇などない。未だ脅威が消えた訳ではないのだから。

 

「兄弟!早く止血だ」

『ごめんジョージッ、僕の指示が甘かったから──』

「気にすんなロナルド!まだ脚は動く!どんだけ良い指事を出しても無傷ってわけにゃいかねえんだ、お前が気にするこっちゃない……これは喰らった俺の責任だ!むしろ聖人(ホーリー)になった気分だぜ」

(ホール)が空いたからか?クソつまんねえよ、もっとレパートリーあった筈だろ……」

 

 歯を食いしばり、頭を抱えて立ち止まりそうになるロンに発破をかけるように、ジョージは明朗に笑う。

 通信越しに聞こえる兄の虚勢に涙が出そうになりながらも、ロンは大きく息を吐いた。怒りを、吐き出せるような気がした。

 

(……キレたってオスカーが倒せるわけじゃない。大事なのは冷静になること……

 けど……怒ってない訳じゃないぜ……)

 

 静かな怒りを抑制し、ロンは中心へと走って行く。

 窓を蹴破って入った先には礼拝堂があった。

 モノクロームの世界の中で、唯一華美に彩られたステンドグラスに照らされて、オッドアイが揺れていた。

 オスカー・フィッツジェラルドが、そこにいた。

 

 

 

 

おまけ

闇祓いの同僚が髪切った時の反応

 

アレン「おはよう!髪を切ったのか!ところでこの間の資料についてだが…」

エミル「失恋?www」

ジキル「に、似合ってるッス。やっぱボブのが手入れも楽だし前よりも軽い印象がしてアンタのスタイルに合ってると思うっすよ…今度、おすすめの毛先用のコンディショナーあるんで教えますよ」

チャリタリ「髪掴まれずに済むし便利だよね…あ!あ!そーじゃなくって可愛い!似合ってるよすごく!」

 

おわり。

アレンは観察力高いので気付きはするけど「ライオンみたいでいいと思うぞ!」みたいな褒め方しかできないです。

ていうかトンクスがいるから髪切っても皆んな気付いても反応薄そう。

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