「何……っだマジ、お前」
それは誰の台詞だったか。
ともかく、その時はただ呆気に取られていたことだけは覚えている。ベガとヴォルデモートという今世紀最高峰の魔法使い同士の決戦の舞台に舞い降りた、謎のポルターガイストというイレギュラーに、かける言葉を失っていたのだ。
(ポルターガイスト?確か、俺の
…………まさか、だな)
「はっはっはァー!!俺様の名前はピィ、……」
「…………」
「…………?」
「……いや、その名前は捨てたんだったな。
お前達の好きに呼べよ」
「……よく分かんねえけど、じゃあ……
……『奈落の幻影』……『闇夜の凶兆』……
『
「マジで言ってる?」
「ふん、くだらん。『
「くだらねえのはお前達のセンスだよ。何でそんな名前がスッと出てくんだよ。普段何考えてんだよ」
コホン、と謎のポルターガイストは咳払いをすると、未だ流星群が止まない空を見上げて。
「デネヴ……はくちょう座……
俺のことはアルビレオ様と呼べや。
ヘンテコな名前を付けられるよかマシだ」
(変……?)
(変……?)
「で、アルビレオとやら。俺様とベガの戦いの邪魔をして何がしたいんだ?殺されたいならそう言えよ」
「ハッ、笑わせやがる」
ヴォルデモートの剣幕に、しかしピーブス改めアルビレオは余裕の笑みを返した。ベガは素性も分からぬポルターガイストが相応の死線を潜ったのを悟った。(果たしてポルターガイストに死の概念があるかは別として)
「俺様が行くアテもなくブラついてたら、邪魔っけな城が空に浮かんでやがるんだ。最初は驚いたがよォ、ポルターガイストなら色んなモンに取り憑いて操って然るべきだよなァ〜〜!!」
「──貴様如き下郎が、俺様の城に憑くと?」
ヴォルデモートの白い額に青筋が浮かぶ。
同時、洗練された軍隊の隊列のように並んだ魔砲が立ち並び、連続で多段の攻撃を放っていく。
「ふざけた事を抜かすな、亡霊風情が!!!」
憤怒の雨──それらがベガとアルビレオを襲う。
咄嗟に放つ火炎の防御壁が、二人……一人と一体?を守った。
「味方でいいんだよな!?」
「は!?お前が俺の味方をするんだよ!!」
「何なの!?」
「何が!!」
訳が分からない、何だこいつは。
「おいガキ!!下の階層にいんのはお前の仲間か!?ここに来るまでの間にいくつか気味の悪い魔力と会ったぞ!!」
「あ〜〜多分それは
連中、紅い力っていう禁呪を使って呪われてるから、気味の悪い魔力はそれじゃねえの!?」
「成程なァ〜〜!」
「じゃあ今さっき通りすがった紅い髪の女もあいつの仲間だったのかよ!変な魔力垂れ流して眠りやがって!」
「………、………」
ベラトリックスが海に落ちた以上、紅い力を使える女は一人しかいない。っていうか赤い髪の女は他にジニーくらいしかいなかった筈。
──生き、てる? シェリーが?
あの場面でどうやって?息をしてなかった
……いや!まずは無事を喜ぶべきだろ
だが待てよ、こいつの勘違いの可能性も
期待しすぎるな、絶望しすぎるな
──でも、ほんの僅かに可能性があるのなら。
「………そうか。……そうか!」
「あ?」
「いや何でもねえ。脚引っ張んなよアルビレオ」
ベガとアルビレオ(仮)が何やら共闘の流れになったところで、ヴォルデモートはその魔力に気が付いた。
暗黒魔城の中枢に向かっている人間がいる。
「『管制塔』に誰かいるな?」
──管制塔、とは。
暗黒魔城内部に存在する、城の魔力障壁や浮遊能力を司っている城の心臓部、極めて重要なエリアである。
暗黒魔城からの脱出を考えるなら、まずここの制御を第一に考えなければならない。
今までは魔力のバリアで暗黒魔城は隠され守られていたわけだが、侵入者にとってはそのバリアが檻となる。
だから、城から出ていくためには、管制塔で魔力障壁を解除する必要があるのだが……。
(自分の城に客人を招き入れるのは王の度量。
しかし書斎や宝物庫を荒らされて青筋の一つも立てぬのは最早王に非ずだ。早急に潰してやる)
当然、そこには防衛の要、地獄の番人が存在する。
紅い力を持つ最高幹部には及ばないまでも、特殊な呪術を施された不死身の蛇。分霊箱の成り損ない、魂の欠けた怨念の集合体。
その番人からの報告を聞き、ヴォルデモートは脳内で地図と敵の配置を照らし合わせ……そして、『城内部の構造を変更する』。
「少し待て、ベガ、怨霊。今俺様は忙しい。
不届者に誅を下さねばならんのだ」
ロジスティクス*1の基本は『分けること』。
優先順位を決めることで、効率を最大限引き出す。
ヴォルデモートの価値基準では、人も物も大差ない。
ましてや弱いだけの生き物など、頭を取ってしまえば簡単に瓦解するものだ。それは死喰い人だけ?闇祓いや騎士団はダンブルドア達がいなくとも機能する?
──そんな訳あるか。
それは羽根をもがれた虫と同じ。まだかろうじて機能しているだけの、被食者に成り下がるのだ。
「ネビル・ロングボトム。
ルーナ・ラブグッド。
ドラコ・マルフォイ。
後は……そうだな、リラ・ダームストラング。
以上四名を魔城の奥深くに『隔離』する」
ヴォルデモートの宣言通りに、城がその形を変える。
彼等は落とし穴のようにぽっかり空いた穴の中に落ちてしまい、悪魔の罠で絡め取られてしまう。
すぐさま『剣』の力を使って最悪の事態は回避したようだが、彼等は、ドーム状になった一室へと一纏めに放り投げられてしまった。
「うん?近くにいた者も巻き込んだか。まあいい、ゴミ掃除は纏めて行った方が効率的だ。
餌の時間だぞ、ナギニ」
▽▽▽▽▽▽
「いったぁー!?」
「わーっ」
「ぎゃああああああ!?」
ネビル、ルーナ、ドラコの三人は瞬く間にすってんころりんされた。
創設者の剣を持った三人組が悪魔の罠に連れ去られ、何やら開けた空間まで連れて来られた。それでも彼等は騎士団のはしくれ、すぐさま攻撃態勢に入るも……見たところ、敵はいない。
どうやら、剣を持った人物を優先的に招き入れたようだが……。
「……“アレ”は何なんだ」
「きゃあああああああ!!!」
「えっ!?チョ、チョウ!?」
招かれたのは三人だけではない。チョウ・チャン、特別な力を持たない一般騎士団員も迷い込んでしまっていたのだ。
──本来、ここにはチョウ・チャンではなくリラ・ダームストラングが迷い込む手筈だったのだが……。運命の導きに誘われ、何故だかチョウがやって来てしまった。
「ウーン、ねえ、これってどういう組み合わせ?例のあの人が、私達の使う創設者様の剣を危険視したっていうなら分かるけど、それならメンバーがおかしくない?
チョウは剣、使えないでしょう?」
「まあ……ええ……そうね。
私、ルーナが攫われたのを見て、思わず手を伸ばしたのよ。そしたら、ここに連れて来られたってわけ」
「巻き込まれただけか……じゃあ、チャリタリは?あの人はハッフルパフの剣を使えてただろう?」
「チャリタリは犠牲になった」
ドラコは、罪を告白する罪人のような声色で告げた。
混乱気味で熱を帯びていた空気に、ぴしゃりと冷水がかけられた感覚だった。
「グレイバックを封印するために、自分を人柱にして結界の中に道連れにしたんだ。もう出てこれないよ。
チャリタリだけじゃない……ハヤトも……、……コルダも、……死んだ」
「………嘘」
「嘘じゃない。嘘じゃないんだよ。……死んだんだ!」
かける言葉を見失った。
見知ったメンバーが死んだという事実。自分の預かり知らぬところでその命を散らしたという現実。
到底受け入れ難いものだし、そして何より、一番辛いであろうドラコが感情が決壊するほんの僅か一歩手前で踏みとどまっていることに、その場の誰もが、言いようのない辛さを感じてしまっていた。
「正直なこと言うよ。僕、もうどうでもいい。
父親も妹もなくなった以上、僕が守るべきだったものはこの城の中には残ってないからな。どうせ君達は勝手に帝王と戦ってるんだろうけどさ。僕はもう、どうでも良くなってきてるよ。さっさと家に帰りたい。
…………けど、クソ、あぁ……」
『──ドラコ・マルフォイ!!今やるべきことは、貴方なら分かるでしょう!!』
『君は“誰”だ?』
「……僕は、まだ、闇祓いだからな……。
だから、何か報告があれば、教えてくれ。頼む。今は必要なこと以外を考えたくない。動けなくなる……!」
懇願の声だった。
腹の底から生まれた、救いを求める鳴き声だった。
息を吐くと、ルーナは口を開いた。
「……オスカーは倒したよ。何人か重傷を負った人もいるけれど、命に別状はないって」
「ネビルのところはどうだったの?灰塗れで、何だか酷くボロボロだけれど……」
「…………ベラトリックスと戦って。ベガが中心になって戦ってくれて。それで、皆んなの力で倒して。
……その後、シェリーが」
そこまで言って──地面が鳴動した。
「な、何!?この揺れ!?」
「何かが来る……!?」
危機感はまさしく正しい。地面が盛り上がり、派手な轟音と共に現れたのは、バジリスクにも勝るとも劣らない大きさの大蛇だった。
しかしバジリスクと大きく違うのは、あちらが怪物らしい怪物で、生命として上位の存在ということをまざまざと見せつけてきたのに対して……こちらは生命としてあまりにも異質な不気味さがあった。
チロチロと出した舌、狂気を携えた瞳。ぐにゃりと曲がる身体の中に詰まっているのは、筋肉か、それとも。
「──ァァァアアアアアア……」
「っ!?女の人の、声……?」
チョウの指摘は、間違いではなかった。
鳴き声と呼ぶには、あまりにも悲しい色。
──その名はナギニ。
かつては美しく咲いた可憐な華だったものが、物言わぬ蛇と成り果てた、憐れで醜い雌の蛇。
魔法に対する絶対的な耐性と強力な毒性から『第二のバジリスク』として恐れられ、命令に極めて忠実なことから唯一ヴォルデモートから愛に近い感情を賜った巨大な毒蛇である。
「キシャァァアアアア!!!!!!」
「──来るぞ!!」
蛇の女王が、無為の牙を剥く。
▽▽▽▽▽▽
──ヴォルデモートはたった一つ、ほんの些細なミスを犯した。
「わーっ!?」
ダンテの娘ということで、警戒してリラ・ダームストラングを『隔離』したものの、彼女は基本的に攻撃能力の劣る魔法使いである。
リラは悪魔の罠になす術もなく囚われてしまい、そのまま締め上げられようとしていたのだ。特殊なルートで用意したこの悪魔の罠は、ジッとしていれば見逃してくれるといった親切設計など備わっていない。ぎりぎりと彼女の肌が締め上げられて──…
「…………?あれっ?わーっ!?」
──しかし、悪魔の罠は彼女の奇妙なオーラに怯え、慌ててリラの拘束を緩めたのだ。肉体……その特異な力を恐れ、『アレは捕食できない』と判断を下したのだ。
そしてリラは他の剣持ちと合流することもなく、一人だけ変な方へと転がっていき……そしてすってんころりんと、誰もいない方へと迷い込んでしまった。
「いてて……いや、あんま痛くないか……。
ここ何処だろ?……あれ?何かある」
「……貴方も死んだの?シェリーさん」
リラの視線の先にあったのは、シェリーの遺体。
ベガがヴォルデモートと戦いに向かう折、ベガはシェリーをネビルに託した。だが、その後ネビルは悪魔の罠に連れ去られてしまい、移動している最中にシェリーを手放してしまっていた。
紆余曲折あって、彼女もここに運ばれたのだ。
……いや、彼女だったもの、か。
「…………でも、あれ?…………何か………
……シェリーさんが……
シェリーさんじゃないみたいな……」
▽▽▽▽▽▽
「がッ……は……!!」
ネビルが尻尾を薙ぎ払われた余波で吹き飛ぶ。
心配する余裕はない。ナギニの口から魔力砲が吐き出されて、辺り一面を熱で焼くのだから。
(クソ、こいつもちゃんと強いのかよ!!)
ナギニは紅い力“程度”の力を持たされていた。洗練された能力や並外れた身体能力こそないが、何の捻りもなくただ普通に強い。
おまけに尚のこと面倒なのが、相手に合わせて攻撃を変えるしたたかさだ。魔法を吸収するネビルには物理攻撃を、物理攻撃を逸らすドラコには魔力砲を。空間を捻じ曲げるルーナには──…
「キシャァァアアア!!!」
「やめ……てっ!離れてっ!!」
──眷属を差し向ける。一個体は大して強くない小さな魔力の蛇だが、ナギニは活動範囲を暗黒魔城に絞る代わりに相当の数のしもべを得ることに成功した。
結果として、うじゃうじゃと、体全体に纏わりつくように蛇の群れが襲ってくる。
「っ……痛っ……!!」
「身を屈めて、ルーナ!『インセンディオ』!」
ルーナに当たらないように調節した火炎を、チョウは杖先から放つ。通常の蛇ならば、自然の摂理に基づきそれを恐れただろう。だが、ここにいるのはあくまで『蛇のような行動を取る魔力生命体』。
それは弱点に成り得ない。
それどころか──
「指、が……ゔぁ……っ!!!」
「っ……!!ルーナから離れなさい!!」
指が蛇に絡め取られ、骨が軋み、べきりと嫌な音が指先から鳴る。瞬く間に紫色に変色していくそれを見て、苦々しげな声を上げるルーナ。
どうやら締め上げる力はかなり強いらしく、基節骨の関節が逆向きに曲げられ、腱や神経が引きちぎられる。
骨を折る激痛と、流れ出る鮮血。チョウは蛇を切り落とすと、反射的に回復魔法を唱え、癒しの魔法をルーナにかける。しかし──
「……っ!!〜〜〜〜〜!!!」
「お願い、我慢して……!!お願い……!!」
傷ついた指を元の位置に戻す。それだけの動きなのに、走る痛みは想像以上のものだった。折れた骨を無理やり戻したせいか、狂おしいほどの激痛が走る。
そして、後手に回った彼女達にナギニが魔力を浴びせかける。軋む身体を無理矢理動かして、レイブンクローの剣を振るって事なきを得るが……代わりに募る痛みは増していく。
(この蛇、紅い力の幹部ほどの魔力や強さは感じないけれども、私達の弱点をしっかり理解してる!?)
ナギニには魂も心臓も存在しない。
似たような器官はあるけれども、本質的に普通の蛇とはその仕組みが根本から大きく異なっている。
与えられた役割を忠実にこなし、生き物としての本能も自我も捨て去った、指示に忠実な哀れな存在だ。
しかしだからこそ──ナギニは失敗をしない。感情に左右されることも、本能に揺り動かされることもない。
対するネビル達はどうか?痛みと疲労に足を引き摺られて動きにキレがなくなってきている。最高幹部との連戦もそうだし、何より……彼等は『メイン戦力のサポート』が仕事だった。逆に言えば、サポート役ばかり集まったところで意味がないのだ。
だから、こうなる。
「があああああっ!!!」
頭から叩きつけられたネビルを見て、チョウは、焦りで歯を鳴らした。
「ぁ──ど、どうしよう」
恐怖、それを直に感じて。
「──しっかりしろ私……!!!」
すぐさまその思考を破却する。
意味はない。考えるだけ無駄なことは考えるな。
落ち着け、ムーディーの教えを思い出せ。
こういう時、彼ならどうする。彼ならどうした?
戦っても勝てない。逃げても逃げ場はない。ならばせめて何かで役に立て。時間を稼げ。思考を全体にまで行き渡らせろ。
──からん。
「……あれだ!!ハッフルパフのカップ!!」
クィディッチを思い出す。スニッチを見つけた時の、自分という存在が入れ替わる感覚。ただそれを追うだけの何かと変わり果てた、あの経験が活きた。
捕捉と同時、彼女は走り出していた。ドラコの、ギョッとしたような視線など認識すらしていない。猛然と走り、そのカップを掴む。チャリタリの封印後、ドラコが持っていたものだ。聞いた話が正しければ、これは剣の姿に変わるという。
(……!!少しくらい反応してよ!!)
しかしチョウはあくまでもレイブンクロー。資格なきものに与えられる力はない。チョウは『真のハッフルパフ生』などではない。それどころか、真のレイブンクロー生ですらない、ただの非力な魔法使いだ。
目の前にカップはあるのに。伝説級の魔法道具があるというのに、それを扱える資格がないと、カップの冷たさが告げている。
「──ぁ」
ずぱり、と顔に鋭いものが走り、そこから熱いものが漏れ出した。顔を切られたのだ。何で、どうやって?
どれだけ覚悟を決めようと、覚悟ごと塗り潰すように誤魔化せない痛みがやってくる。
(熱ッ、痛い、痛い痛い痛い!!やだ、いやだ!!!)
苦しい。苦しい。助けて欲しい。
そもそもこんな所に来たのが間違いだ。
チョウ・チャンは戦いたくなどなかった。ただ人よりほんの僅かに優れていただけの、普通の女にすぎない。
「……しッ、かりしろ、わたし……」
しかしその感情は必要ない。要らないのだ。
自分がどれだけもがき苦しもうと、それが死喰い人や世界にとって何ら意味のない小娘の叫びでしかないことをチョウはもう知っている。
(私が何を考えようと、意味なんてないんだ)
ちっぽけで、馬鹿らしい、小鳥の囀り。
「お願い……たすけて、セドリック」
しかし覚えておくが良い。
そのちっぽけな未練がましい恋心こそが、今まさに、世界を救う鍵となったのだ。
チョウ・チャンが血に濡れた視界でそれを掴んだのは偶然にも等しい奇跡によるものだ。
彼女はセドリック・ディゴリーから渡された、オルゴール入りのロケットを肌身離さず持っている。重たい女だがそれはさておき、この攻防の中でチョウはロケットを落としてしまっていたようなのだ。
なんて事はない、脚を引き摺って、オルゴールの音色を頼りにただロケットを拾おうとしただけだ。戦いの最中に呑気かもしれないが、それでも、チョウはセドリックが呼んでいるような気がしたのだ。
しかしチョウの手に触れたのは……何という巡り合わせだろうか、ハリーのナイフだった。
ハリーとの戦いの後、シェリーが形見として受け取った罪の証。セドリックを刺したナイフ。そのナイフが、たまたま偶然ネビルのポケットに引っ掛かり……そして今、チョウの手に渡った。
「…………セド?」
ハリーのナイフには、血をストックする機能がある。
そして当然、今ストックされているのは『セドリックの血液』だ。……ぼどぼどと、カップを潤すように赤い血が注がれていく。
「…………!!!」
チョウは真のハッフルパフ生ではない。
では──セドリックはどうか?
ネビル、ルーナ、ドラコに続き、セドリックは果たして真のハッフルパフ生と言えるのだろうか?……その答えは煌々と輝くカップの光が告げていた。
「──まだ……」
金色の光は形を変えて、鉈ほどの大きさの、剣としては短くナイフとしては大きな剣へとなっていく。
宝石が散りばめられた平たく厚い刀身には、櫛のような形状の施された峰があった。本来それは攻撃用のものではなく、守るための武器であると、如実に語っているようだった。
ソードブレイカー。
剣を圧し折る、伝説の魔法道具。
すなわち、ハッフルパフの剣が、セドリックの遺した熱き血潮に応えたのだ──!
「──戦えるッ!!!」
ピーブスのニックネーム決めに3時間かかりました。
私は慚愧魂魄の墓守派です。