1.気高き戦士は獣を狩る
白いブラウス。少し古いジーンズ。
特に化粧はしていないが、シェリーの顔は多少幼さが残るとはいえ美少女の部類。稲妻型の傷跡さえ隠せば十分だ。
服は古着屋で適当に買ったものだが、以前のように皺だらけ蚤だらけのお下がりよりは全然マシだ。ほんの二年前までは汚れが彼女の可愛らしさを隠していたが、それもなくなった。
ついでにブラジャーも買った。
女の子らしさはないものの、至極真っ当な、普通の格好といえよう。
だがーーペチュニアは渋い顔を崩さない。
「でもなぁ〜……」
「だ、ダメですか?」
「ダメよ。相手はあのマージおばさんよ?これでも何か言ってくるに違いないわ」
ペチュニアが頭を抱える人物とは、バーノンの妹であり、シェリーにとって叔母にあたるマージ・ダーズリーだ。(血縁上は何の関係もないのだが)
彼女のシェリー嫌いはひどいもので、それはもうバーノンやダドリーが可愛く見えるレベルだ。着て早々にシェリーに犬用の餌と牛乳をぶちまけて自分のペットに襲わせるゲームを開発したのも彼女なのだ。犬はシェリーに懐いたが。
そんな彼女が、シェリーが良い服を着たらいちゃもんをつけるに決まっている。かといってボロを着ていても文句を言うだろうし、せめて普通の、無難な服を着せる事になった次第である。
居間に降りてマージを出迎える準備をしていると、耳にニュース番組の音声が入ってきた。
『脱獄犯のシリウス・ブラックは現在も逃亡を続けているとのことです。ブラックは先日の爆破テロに関与しているとの容疑がかけられており、警察は付近の住人に注意を呼びかけています』
「いやだわ、結構近いじゃない」
「見ろ、あの顔を。ボサボサの髪に伸びっぱなしの髭。見るからに極悪人だ」
『ブラックは仲間の快楽殺人鬼、フェンリール・グレイバックと合流するために行動しているとの見方もあり、引き続き調査を続けています』
玉ねぎを切る手を止めずに、チラリとテレビを見てみると、成る程、凶悪な顔が二つこちらを睨んでいた。
グレイバックと呼ばれた男の人相はとても不気味で、狼と人間の顔を合成したような歪な顔立ちだった。
一方、ブラックの顔立ちは整っているものの、荒れ放題の黒髪と髭が全て台無しにしている。おまけに眼だけはこちらを睨んでいるものだから、怖い。
中世の時代ならともかく、今時の牢獄は清潔な精神を得るために清潔な環境でなければならないはずだ。にも関わらずあそこまで薄汚れた格好でいるというのは……よっぽどの人間なのだろう。
ニュースが変わり、インコのピーちゃんが水上スキーを始めたところで、件の人物はやってきた。
「あらまあまあまあまあ!しばらく見ない内に随分と大きくなって格好良くなったわねえダッダー!」
ダドリーに熱い抱擁をしているのがマージ・ダーズリーその人である。会うのは四年ぶりだが、バーノンそっくりの真ん丸な体型は少しも変わっていない、どころか、少し太ったような気もする。
彼女はダドリーが窒息寸前になるまで抱き締めていたが、シェリーを見つけるや否や表情を一変させた。
「……なんだ、まだいたのかい」
「こんにちは、おばさん」
「ヘラヘラするんじゃないよ!ハン!あんたにはそんな服もったいないね!ボロ布で十分さ!」
案の定噛みつかれた。
「ほら、早くコートを持たないかい!まったくお前ときたら、いつまで経ってものろまで愚図なのは変わらないんだから!」
「はい、すみませんおばさん」
「それが終わったらリッパーの食事!あたしのリッパーはそんじょそこらのドッグフードじゃダメさ、特上のローストビーフをご馳走してやるんだよ!よく覚えときな!今日はお前をこき使わせるために来たようなものなんだからねッ!」
嫌いを通り越してもはや好きでは?
ともあれ、シェリーは甲斐甲斐しくマージに尽くした。
何度ミルクをかけられようと、何度杖で叩かれようと、身に付けた圧倒的ストレス耐性で耐える。最近気付いたが、信頼を寄せる相手から無碍にされるのは辛いものがあるが、元からシェリーを嫌いな人物から何かされても耐えられる事に気付いた。これはいける。
「お前の両親はとんでもないロクデナシだよ!会った事はないが私には分かる、性根の腐ったのは親の遺伝さね!ああペチュニア、あんたの家庭を馬鹿にするつもりはないよ。たまにどうしようもない出来損ないが生まれるんだ、どんな名家でもね」
(………私も一時期は両親のことをロクデナシだと思っていたから、私に怒る権利はないよね)
「ダドちゃんがスメルティングスでエリート街道を突っ走ってる間、こいつは何をしているんだい?なに?学校?ハッ、施設に預ければよかったものを!あんた達は人が良いんだから。どうせ学校でもクズどもとつるんでるんだろうよ!」
(去年は二人に対して酷いことを考えてしまっていた。ロン達のことを馬鹿にされるのは嫌だけど、私が怒る資格はない)
「何とか言ったらどうだいこの穀潰し!」
(私は大した人間じゃないから、そんな風に言われても仕方ない)
という感じで。
何を言っても全く動じないシェリーにマージは機嫌を悪くしたものの、特に何か起こることもなく時間は過ぎていった。
シェリーも犬の餌をかけられたり牛乳を投げつけられたり殴られたり、その他女性の尊厳を傷付けられるような目にあったものの何とか耐えた。
うん、大丈夫だ。
去年ドビーが使った偽の手紙の方が辛かったし、この休みを乗り越えればまたホグワーツに帰れる。それを考えればこの程度なんて事はない。
(そう、何でもない。何でもない……はず)
何故か胸の内に広がるモヤモヤを無理矢理噛み殺す。どうしてだ?
内罰的かつお人好しのシェリーは基本的に人を嫌いになる事ができない。それはマージに対しても同様の筈で、急にこのおばの事を嫌いになった……というわけではない。
しかし……この胸のとっかかりは何だ。
何やら苦しいものを感じつつ、特に問題が起こるわけでもなく時間が経つ。気付けばもうマージが帰る日だ。
辛い顔も涙も一切見せないシェリーだったが、それでもマージのいじめが止まる事はなく。むしろダーズリー家がドン引きするほど苛烈していった。
彼等にとってシェリーはいつ爆発するかわからない爆弾である。マージが積極的に油を注ぐもんだから、戦々恐々、生きた心地がしない。
「ハァン!おいッ!早くリッパーの食事を用意しな!まったくトロいんだから!リッパーに色目使ってんじゃないよ!どうせ学校でも友達なんていないんだろう!」
「………友達は、います」
頭がズキズキする。
おばの声が、ひどくシェリーの心を揺らめかせる。
「ああそうかい!そりゃよかったね、お前と同レベルの人間がいて!お前と友達になろうだなんて、その程度の人間さね!分かるだろうバーノン、クズにはクズ同士仲良くするもんだ!」
「あ、ああ。そうだな。ところでマージ、犬の散歩でもーー」
「後でさせてもらうよ!そうやってクズ同士のコミュニティができて、周りの人間に悪影響を与えるのさ!性根が腐ってるのは周りも腐らせる!こいつが仲良くしてるのはそういう人間さ!」
「真似しちゃダメだよダドちゃん、こいつの友達はどうせろくな奴じゃないんだ」
「ーーーーー」
キレた。
何が切れたのかは分からないが、自分の中の決定的な何かが切れた。
それだけは分かる。
「……あやまってーー」
「…………なんだい?」
「あ、あやーー謝って!ください!」
口が勝手に動いていた。
人に怒った事がないので、その叫びは辿々しかったものの……ともかく叫んだ。
そして気付く。自分は一体何を言っているのだ?自分のおばに向かってーーいや、誰に言ったかは問題ではない。問題はそこではない。
ロンとハーマイオニーを信じられなかった分際で、怒る資格などないくせに、何故怒っているのだ。
自分の事を棚に上げて、何を一丁前に怒るというのだ。
ーーだが。
(友達を馬鹿にされて怒らないなんて、そんなの友達じゃないーー!)
「……ほぉー。口を開いたと思えば、おばさんに向かって何て口の利き方だい」
「ロンとハーマイオニーにーーわた、私の友達に!謝って!」
「ま、ままま待てマージ。そのー、何だ。落ち着こう?な?」
「いーや。こいつには口で言って聞かせるよりも、肉体に直接躾けてやる方がいいんだよーーこんな風に!」
マージは杖を振り上げた。
しかしそれはシェリーに当たる事なく吹っ飛んでいく。呆然として手元を見つめるマージの服のボタンが一つ、弾け飛んだ。
自分の身体が膨張しているのだ。
それに気付いた時には、マージの床下はその重さに既に悲鳴を上げていた。
ーー床が抜けた。
変えたばかりのフローリングには穴が開き、ファットなおばがすっぽりと嵌る。パニックに陥りジタバタともがくものの、その度に地面にめり込んでいく。
バーノンは妹を引っ張るが効果無し。ペチュニアは現実逃避する始末だ。ダドリーはお菓子食ってる。
そこでーーハッと我に帰った。
(ーーーや、やりすぎたーっ!)
怒りに身を任せすぎた。
いくら何でもこれはやり過ぎだ。もうダメだ、ここにはいられない。
シェリーが冷静になると無意識の魔法も止まり、パチンコ玉よろしくマージは床から弾き出され、空気が抜けたように萎んでいく。異常事態に気絶したようだ。崩れた床は逆再生のように動き、修復される。
ほっと一安心するシェリーだったが、はたと自分のしでかした事に気付く。
学外での魔法使用。
これは、明らかにまずいのでは。
良くてホグワーツ退学。
最悪アズカバン行き。
いや、アズカバンにはクィレルがいるし、まだマシな方かもしれない。……やばい。変な思考に陥っている。
混乱したシェリーは、正常な判断を下す事ができなかった。
「ーーーや、やりすぎました!すみません!でも正直許してはないです!私は出ていきます!今までお世話になりましたそれじゃあ!!」
早口で捲し立てると、いつの間にか近くに置いてあったトランク(魔力が暴走して呼び寄せ呪文でも使ったのかもしれない)を持って外に出た。
ダーズリー一家は呆然としていた。
さあ、どうする、何をする?
どこにも行くあてがない。ロンは今エジプトで家族旅行の真っ最中だし、ハーマイオニーはフランスだ。それぞれ隠れん防止器と最高級箒磨きセットのプレゼントとともに手紙が送られてきたのだった。
よって二人の家には行けない。
そもそも自分は今、追われる身なのでは。
「あ、ダメだ。出頭しなきゃ。どんな理由であれ法律違反なんだから、正直に名乗り出なきゃ、でもどうやればいいんだろ。ていうか前みたいに魔法省から手紙の一つや二つ来そうなものだけれど、ふくろうさんまだカナー。あはははー」
彼女もまた完全なパニック状態だった。
罪悪感と後ろめたさと疲労、そして初めての怒りでどうにかなってしまいそうだ。
去年も一昨年も怒っていたような気がするが、あれはテンション高くなっていただけだったのだなあと今更ながら気付く。
ああー、やっちゃった。
今のシェリーは情緒不安定。テンションの乱高下状態なのだ。
現実逃避しようとしてラベンダーに教えてもらった魔法界の歌を口ずさみながら近所を散歩していると、ふと視線を感じた。……なんだ、犬か。
「おいでー、ワンちゃん。ふふっ」
「わふんわふん!」
「わぁ、すっごい人懐っこいんだね」
尻尾をブンブン振ってシェリーの顔を舐めるのは黒毛の大型犬。野良犬とは考えづらい、どこかのペットだろうか。リードは付いてないが。
たしかマージはブリーダー業を生業にしていたはずだが、彼女は小型犬専門だし、近所のフィッグ婆さんは猫好きだ。
少なくともシェリーの知る人物に、この犬を飼っている人間はいない。
「ねえ、自分の飼い主が誰か分かる?」
「クゥーン」
「そっかぁ……流石に大型犬で野良って事はないよね。どこかのペットショップから逃げ出したのかな。探してあげるね」
いやそんな事をしている暇はない。
さて、シェリーはにこやかに微笑んだが、犬は困ったようにかぶりを振った。
どうしたものかと悩んでいると、それまで大人しかった犬は突如として唸り声を上げて、吠え出した。
犬が吠えている先に視線を向けると、そこには落ち窪んだぎらぎらした眼の男。
見覚えがある。
シェリーは記憶を辿った。この顔……、そうだ、脱獄犯のブラックと並んで報道されていた快楽殺人鬼、フェンリール・グレイバックだ。
ーー心が凍るのを感じた。
反射的に杖を抜く。
「くッ、くッーーまさか潜伏中の街でお前に会えるとはよォォォ……はじめまして、だな?シェリー・ポッター」
「……私を知ってるの?」
「ああ、もちろん、よく知っているとも。魔法界でお前の事を知らねえ奴はいねえ」
魔法界。
グレイバックは確かにそう言った。
……つまり、この男は魔法界出身の殺人鬼だったというわけだ。危険すぎる故に、マグル界にも報道されていたのか。
シェリーは喉を鳴らした。
人間としてーーこの男は危険すぎる。
死喰い人ならば躊躇なくシェリーを殺すだろうし、闇の帝王と関わりがなくとも嬉々として襲い掛かってくるだろう。
ーー周囲に人の気配はない。
「私に、何か用事でもーー?」
「用事……用事、ねェ。一先ずテメェの耳を噛みちぎりてェんだよなァ。最近は全然人を殺せてねえし女も抱けてねえからよ、今ここで俺の鬱憤を晴らさせてくれよ……くひひひひ……」
「グルルルルルッ、バウッ!!!」
「……犬うるせえな、ついでに殺すか」
やばい。
男の様子はどう見ても健常者のそれではない。ギチギチと、限界まで開かれた口からは凶暴な牙が覗いていた。
シェリーは恐怖に身体を震わせる。
目は血走っており、全知全能が殺戮に特化したかのような容貌。去年対峙した、ロックハートの弱者としての狡猾さとも、リドルの強者としての風格ともまた違うものを感じる。
ーー『獣としての本能』。
弱肉強食、グレイバックの中にあるのはただそれだけだ。原始の本能が、ダイレクトに伝わってくる。
自分は狩られる側であり、逃げ惑わなければならない存在である事を、嫌でも自覚させられた。
(……と、いうか、何だか本当に獣みたいな顔をしてるように見える……毛深くて、目がぎらぎらして………まるで狼みたいなーー)
「ぐぅるるるるる………」
「ーーーー!!」
いや、本当に狼だ!
ヒトが瞬く間に狼に変身した!
身体中を白い毛で覆い、頭には先程までの悪人顔とは似ても似つかぬ正統派で精悍な狼の顔面が乗っかっている。だが、その瞳だけが先程の狂気を宿した眼のまま変わらない。
シェリーは記憶を辿る。たしか、魔法界には狼に変身できる種族がいた。
狼人間。
その凶暴さ故に、マグルの童話にも登場する化け物だ。満月の夜に変身し、ヒトを襲っては喰らうーーという、魔法界の恐怖の象徴だ。
その性質上、よく吸血鬼と比較される事が多いが…吸血鬼が日の光に極端に弱くなる代わりに数多の能力を持つ生物とするなら、狼人間は特殊な力こそないものの運動能力に秀でた生物である。
単純な戦闘なら、狼人間の方が上。なんとあのバジリスクにも匹敵するほどの運動能力の高さがウリなのだ。
(ここはまずい……近過ぎる……!)
グレイバックとの距離、約十五メートル。
奴が力を発揮すれば、こんなものあってないようなものである。
しかし、時既に遅し。
グレイバックがシェリーに飛びかかろうとしてーーそして、あえて形容するならーー周囲から空気が弾けたようなーー独特の破裂音が聞こえた。
ーー姿あらわしだ!
一瞬にして何人もの魔法使いがグレイバックを囲むように現れ、標的を捉えた杖先からは紅の魔法の弾丸が発射される。
しかしグレイバックも流石の身体能力だ。
獣特有の低い姿勢で魔法を躱すや否や、つむじ風の如き速さで軽やかに人と物の合間を抜けていく。
あの身長で、なんとすばしっこいのか。魔法使い達は降り注ぐ雨のように数々の呪文を唱えていくが、そのどれもが直撃せず、躱される。
人外ならではの逃走方法だ。
グレイバックが高速移動する中で、その顔が悪辣に笑ったのが見えた。
魔法使い達を嘲笑うかのように、グレイバックは風となって消えて行きーー
「ーーそうはさせない!!」
金髪の男が叫んだ瞬間。
巨大な土の塊が行手を阻んだ。
土は変形し、大きな口となってグレイバックを包み込んだ。
無論グレイバックも負けてはいない。規格外のパワーで土を破壊するが、土や岩が次から次へと生成されては飲み込まれる。あのまま生き埋めにするつもりか!
土魔法。
文字通り、土や岩を作り出して操る魔法。
本来なら防御やサポートに使われる事が多い魔法だが、練度の高いものだとあそこまで暴力的になるものなのか。
(この人達、すごい……さっきまでの魔法攻撃はブラフで、あの人の土魔法の射程に入れるための誘導だったんだ!)
気が付けば、何やら数人の魔法使いに囲まれて盾の呪文をかけて守られているし。何という早技だろうか。(攻撃に気を取られて全く気付かなかっただけだ)
禿頭の魔法使いが手帳を取り出す。どうやら彼等は闇祓いらしい。
成る程、とシェリーは合点する。
クィレルやベガ、ヴォルデモートを個の強さだとするなら、彼等闇祓いはまさしく数の強さだ。それぞれの連携が成せる、集団としての強さ。
「………、おっと!?」
「グルゥアアアアアアアア!!!」
頑丈な土と岩の集合体を破壊して飛び出したのは、完全に狼と化したグレイバックだ。高密度で凝縮したはずだったが、まさか土の薄い部分を鼻で嗅ぎ分け、集中的に攻撃する事で破壊したというのか。
それだけではない。
グレイバックの、高純度の魔力が込められた紅い爪の攻撃力が可能としたのだ。
そして、しなやかで強靭な筋肉を持つ狼人間にとって、少しの隙間があれば抜け出す事など容易。
再び闇祓い達の猛攻がグレイバックを襲うが、そんなもの関係ないとばかりに躱し、擦り抜け、逃げて行く。
「追え!逃すな!」
「レックス隊はグレイバックの追跡!チャリタリはサポートだ!絶対に民間人に被害を出すな!ジキルはシェリーの護衛だ!」
「承知した!諸君、行くぞ!」
一糸乱れぬ動きで、彼等は駆ける。
金髪のリーダーと思しき男を先頭として、褐色肌の女性が続く。他にも闇祓いが続々と駆けていき、辺りには姿あらわしをした音だけが残った。
速い。グレイバックが現れてから逃げるまでたった一分しか経っていないのに、何時間にも思える程のーー高密度の戦闘。なんというハイレベルの攻防が行われているというのか。
瞬く間に連携を取り、呪文を放ち、そして決して揺るがずに敵を追い詰めて行く。
感動すら覚える程の美しさだ。
これが闇祓い。英国魔法界を代表する戦闘集団というわけか。
闇の帝王が現れて以降ーー闇祓いは急激な強化を求められた。増え続ける闇の勢力への抑止力として、彼等には強くある事が求められた。
ヴォルデモートの失脚以降も、闇の残党達は蠢き、そして人々の平穏を脅かし続けている。それに対抗するのが、彼等だ。
第一線に立つこの男達こそが、闇を穿ち、悪を切り裂く正義の矛なのだ!
「………あれ?さっきのワンちゃんは?」
皆んな大好き(?)グレイバックおじさん登場。
名前のカッコ良さと恐ろしい設定とは裏腹に、原作でも映画でもイマイチパッとしない人。
映画ではデイブ・レジェノが演じる。結構イケメンなのにあんな悪人ヅラになるって、メイクって凄いなっておもふ