シェリー・ポッターと神に愛された少年【完結】   作:悠魔

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5.白き雪舞うホグズミード

教師の休日は、こうだ。

テストの答え合わせを行い、次の授業の準備をして、自室で研究に勤しむ。

しかし稀に生徒が質問をしに訪問してきた際には、寛大な態度を持って迎えるのも教師の務めというものだ。

リーマス・ルーピンもまた、ホグワーツでの休日をそういった風に費やしていた……のだが……。

 

「ルーピン先生、茶ァシバこうぜ」

 

どうしてこうなった。

教師に質問とか、そういったものから対極にいるような少年が何故。

ガラ悪いし。

アーモンドのお茶で大丈夫だったろうか。

 

「どうかしたかな。君は、休みの日に教師と親睦を深めるようなタイプではないと思っていたんだが」

「いやたまにマクゴナガルの所に……ゴホン。ちょっと聞きたい事があってな」

「答えられる範囲でよければ」

「……何から聞いたもんかな」

「……そんなにあるの?」

「この間の、最初の授業の時。どうしてボガートは、シェリーの時……」

「『どうして変わらなかったのだろう』、かい?」

「そうだ。ボガートは疲弊してたとはいえまだ変化できるだけの余力は残ってた。その後すぐにあんたの『怖いもの』に変化したしな」

「ああ、よく見てるね。うん、別に私が何か細工したわけではないよ。ボガートは確かにシェリーの記憶から怖いものを探り、そして変化しようとしたんだ」

「……………それって」

「無かったんだ。あの子に、怖いものが」

 

ベガはショックを受けているようだった。

それもそうだろう。

親しい友人がそんな事情を抱えていて、全く気付けなかった。ボガートという手段でなければ、永遠に気付く事のなかったであろう事実。

シェリーの過剰なまでの自己犠牲はそういうわけだ。普通の人間の持つべき感情を、彼女は持たない。感情を抑えているのではなく、そもそも、無い。

 

「いや……あり得ないだろ。そんな」

「ああ、私の推測に過ぎない。だが、限りなく正解に近い推測だと思っている。今までそういう兆候はなかったかい?」

「それは……まあ、確かに、双子がゾンビに化けても全く動じなかったのはシェリーくらいだが」

「それはちょっと違うんじゃないかな。ともあれ、彼女に恐怖心が欠落している可能性は考えられるという訳だ」

 

ベガはソファに沈む。

二年も一緒にいて全く気付かなかった。彼女と近い存在故に、気付けなかった。

恐怖を感じない?

積極的に己を犠牲にする?

そんなの──哀れではないか。

感情のないロボットと変わらない。

 

「だが私はそこまで心配しなくても良いと思っているよ。感情の抑制はしているが、感情が無い訳ではない。素晴らしき友人の君達に刺激を受けて、少しずつではあるが喜怒哀楽がハッキリしてきている……ように思える」

「…………」

「君達と一緒にいるシェリーは本当に楽しそうだ。いつか心のままに生きられるが来ると、信じている」

 

そう断じるルーピンの瞳は真っ直ぐだ。

どうもこの男は、シェリーの事をよく観察しているようだと、ベガは思う。

生徒としてだけでなく、何か、別の誰かを重ねているように思えるのだ。

 

「あーそれと、つーかこっちが本命だが、あんた、シリウス・ブラックと同級生なんだよな?」

「……………」

「それと、俺の親とも同級生だろ」

「……よく知ってるね」

「去年、五〇年前の生徒を調べてるついでにちょっとな。『デネブ・レストレンジ』『アルタイル・ヘミングス』……俺の両親の名前だ。寮は二人ともスリザリン」

「本当によく調べてるね…。あー、しかしベガ、そこまで調べてるのなら、態々私に質問などしなくとも……」

「二人の話を聞きたいんだ」

「…………」

「昔っから親はいなかったし、知ろうとも思わなかったんだが。今年の夏休みにもう一人の親と色々あってな……。それで、自分の本当の親のこと、知りてえと思って」

 

ベガの真剣な様子に、過去について多くは語らないルーピンも何か思うところがあったのか。懐かしくも愛おしいあの日々へと思いを馳せた。

 

「……懐かしいな。彼等はスリザリンだったが、同時に無二の親友だったよ。二人とも優秀な生徒だった……あの駄犬は、彼等を認めるのに時間がかかったけれど」

「!」

「アルタイルは聡明な魔女でね、頭脳は学年でもトップクラス。リリーとは勉強の良きライバル的な関係だったよ。私達の学年の美女といえばあの二人だった……スリザリン嫌いの駄犬が惚れかけた程だ。……君の銀髪は、アルタイル譲りだな。しかし瞳はデネブ似だ」

「……その親父は、どんな奴なんだ?」

「デネブか……うーん、一言で言い表すのは難しいんだが……」

 

ルーピンはうーんと腕を組んで空を仰いだ。それほど色々なエピソードがあるのだろうか。気になる。

 

「まぁでも噂は聞いてるぜ。スリザリンでは珍しい非差別思想で、誰とでも分け隔てなく接したんだって?」

「えっ!?」

「えっ?」

「あ、ああ……マクゴナガル先生から聞いたんだね?うん、まあ、あながち間違っちゃいないな。非差別思想、うん、たしかに差別はしてなかったな。ある意味で分け隔てなく接していた」

 

嘘はついてない。

ついてないのだが、かなり誤魔化した説明だと、ルーピン自身思った。

ホグワーツを常に騒がせ続けた、グリフィンドールの人気者達、『悪戯仕掛け人』。

彼等は優秀だがかなりの問題児として名を馳せていた。

だが、そんな彼等を軽く越えるレベルの問題児がデネブ・レストレンジだった。

親も親戚も純血で、彼自身も組分け帽子に即「スリザリン!」と叫ばれる程の生粋のスリザリン生。

しかし彼は典型的なスリザリン生というわけではなく、目的のためなら手段を選ばなさすぎるやべー奴だったのだ。

彼は入学するや否やマグル出身の生徒や優秀な生徒達を寮関係なく集め、マグル製品を魔法で再現できないか試みた。本人達が嫌がってもあの手この手で付き合わせた。ルーピンもその一人である。

そのせいでデネブは純血主義者から大いに顰蹙を買ったわけだが、そんなものはどこ吹く風。寧ろ、文句を言ってくる相手には自分から喧嘩を売りに行った。おかげで、全ての寮の人間から嫌われ、もしくは愛されたわけである。

──生来の人たらしにして嫌われ者。

彼は寮で差別はしない。

だが、気に入らない人間は徹底的に嫌うのがデネブでもあったのだ。

 

「だがまあ、彼は滅茶苦茶ではあるが筋は通った男だったよ。だからこそヴォルデモートとの戦いにも協力してくれた。スリザリンであれだけ頼りになる存在は、後にも先にも彼だけだろう」

「……そーか。まあ、それならいいさ。親が一本筋の通った人間なのは分かった。………だが、よ。だからこそ……」

 

「正直なところ、自分達を犠牲にする必要なんて無かったんじゃねえかって思っちまうんだよなぁ……」

「………」

「シェリーんとこの両親は、子供の為に人里離れた所で暮らしてたそうだ。ヴォルデモートに目を付けられちまったが、……俺の親もそうしておけば死ななかったかもしれねえのに、って、思っちまう」

「……ベガ、あの二人はね、君をマグル界に隠す際に、名前を変えるべきではないかと考えていたんだ。その方が安全ではないかと、ね」

「……いきなり何の話だよ?」

「でもしなかった。その理由は、純血のレストレンジ家の名前を絶やしたくなかったからとか、そんなんじゃない。自分達の名前を受け継いで欲しかったからなんだ。自分達との繋がりを、目に見える形で遺しておきたかったんだ」

 

デネブとアルタイルは、ベガを本当に大事にしていたと、ルーピンは語る。

大事だからこそ命を懸けるのだと。

シェリーを守るために世俗から離れた所で生きたポッター家も、ベガに誇れる世界を見せるために命を賭したレストレンジ家も、本質は変わらないのだと。

 

「君にもいずれ分かるよ。自分を犠牲にしてでも守りたいものがある、ってね」

 

 

 

▽▽▽▽▽▽

 

 

 

シェリー達は大広間で雑魚寝していた。

というのも、どうも件のシリウス・ブラックがホグワーツへと侵入したらしいのだ。

ズタズタに引き裂かれたキャンバスから避難した、太った婦人の証言によると、かつてのハンサムな面影が消え去った彼が襲来したのだとか。「ここを通せ」、と。

アレン達は警戒を最大限まで引き上げ、ホグワーツ内をくまなくパトロールしている真っ最中だ。

皆が寝静まった頃、パトロールから戻ったアレンがダンブルドアに報告をする。それを、目が冴えていたシェリーは何となく耳を欹てた。

 

「……ダンブルドア、シリウス・ブラックはもうここにいない可能性が高いぜ。上は天文台下は地下牢まで全て見て回ったが、ブラックらしき痕跡がない」

「君、小さい声も出せたんじゃの。できればいつもそのくらいのボリュームだと有難いんじゃけど」

「……果たして、それは確かな情報なのですかな。アレン、貴様は彼等とは先輩後輩の関係だったらしいが」

「確かに彼とはよく話していたが、それとこれとは全く関係ない話。俺は闇祓いだ、感情で動くような真似はしない。例えそれが、ああ、誰であっても」

「セブルス」

「………これは失敬」

「あー、アレン隊長ー?ちょっと確認して欲しい事があるんだけど」

「ああ、どうした?」

 

エミルの声かけで、ひとまずは険悪な雰囲気も納まった。

シェリーは眠りにつく。

シリウス・ブラック。

彼の目的は再三言われている通り、シェリーだ。主人の敵討ちのために付け狙っているのだと。

……では、自分が囮になれば彼はやって来るのだろうか。そうすれば、今日のように皆を巻き込まず済むのだろうか。

「シェリー?」

「ハーマイオニー?どうしたの」

「あなた、変なこと考えてないわよね」

「………うん、大丈夫だよ!寝よっ」

「なら、いいのだけれど」

ハーマイオニーは親友の笑みに、何故だか不安を覚えてしまっていた。

 

翌日。

 

「練習だあああああ!!!」

「うわひゃあ!?」

「厳戒態勢は解かれた!即ち、クィディッチ・ピッチの利用も可能というわけだ!今日はスリザリンと入れ替わりで練習場を使えるようになってる!さあ練習しに行くぞおおお!」

「ま、まってウッドおおおお……」

 

気合の入ったウッドに引き摺られる。

それもそうだ。何だかんだ言って、ウッドは一度も優勝杯を手に入れられていない。

彼は今年が最後。叶うにしろ叶わないにしろ、クィディッチ対抗杯の夢を見れるのは今年までなのだから。

競技場まで連れてこられると、そこには、ボロボロの練習着と箒を引き摺っているドラコの姿。相当過酷な練習をしたのだろう、普段の彼らしからぬ汚れ具合だ。

 

「………ドラコ、あんなに練習を……?」

「小耳に挟んだ話だが。マルフォイの奴、夏休み中ずっと家で箒の練習してたらしいんだよな。グリフィンドールには絶対負けたくない、って」

「……そうなの?」

「ああ。奴は以前までの、狡いだけの選手じゃなくなっている。正直、あれ程練習している選手はそういないと思う。……今年のスリザリンは強いぞ」

 

ウッド曰く、汗の似合う男になった、スリザリンという枠組みに囚われなくなった、らしい。

成程、ウッドが警戒するのも分かる。

元はといえばシェリーへの対抗心で始めたクィディッチ選手だったが、今ではもうその熱も冷め、一人の男として壁を乗り越えようとしているのだ。

 

(……………?なんだろう、これ)

 

シェリーはクィディッチにおいて、特別な感情は必要ないと思っている。自分の人生において一番大事なことは、自分の役割を遂行すること、その筈なのに。

そう思っていた筈なのに。

心臓が高揚する。

お互いに自覚こそ無かったが。

ドラコ・マルフォイは、シェリー・ポッターのライバルとして成長しつつあった。

汗を拭ったドラコは、こちらに気付く。

敵を見る目ではない。好敵手を見る目だ。

 

「よう、ポッター。今から練習か」

「うん……ドラコ、すごく頑張ってるみたいだね」

「今年は絶対に負けられないからさ。……この間つまらない諍いは止めると言ったが、これは別だ。フリントを始めとする先輩達は殆どが卒業する。最後に、先輩に、優勝杯を取って欲しいんだ。今年のクィディッチ杯は僕達がいただく!」

 

言うと、ドラコは箒置き場へと走っていった。随分と成長したものだ。

これがあのドラコか。

嫌味で小物の彼はもういないのか。

「すごい変わりよう……初めて会った時なんか、ベガに返り討ちに遭ってたのに」

「忘れろーッ!」

どうやらまだ少し残っているようだった。

さて、来たるクィディッチ初戦。

ハッフルパフとの試合である。

 

「勝つのは誰だ!?」

『俺達だ!!』

「雄叫び上げろ!!」

『GO!GO!!GRYFFINDOR!!!』

 

「弱さを知れ!敗北を知れ!!汚泥はお前を強くする!!!」

「WHO ARE YOU!?」

『WE ARE HUFFLEPUFF!!』

「WHAT'S TIME!?」

『HUFFLEPUFF TIME!!!』

 

両チームの掛け声が、雨の中にも轟いた。

酷い雨だ。何が起こっているのか、殆ど見えないし聞こえない。

ハーマイオニーがゴーグルに水を弾く呪文をかけてくれなければ、まともにプレーする事すらままならなかっただろう。雨に打たれて重くなったローブを引き摺るようにピッチの上空を旋回する。

悪天候故にスタミナの消費が激しい。

しかも相手のシーカーはセドリック・ディゴリー。今年からキャプテンになった彼は文武両道の優秀な選手であり、体格も向こうに分があるのだ。長期戦になれば、先に潰れるのはシェリーの方。

 

(────夜になればもう勝ち目はない。タイムリミットは、あと約三時間!)

『おおっと!セドリック・ディゴリーが急加速だ──ッ!』

「!!」

 

シェリーはセドリックが地面へと高速で突っ込む姿をどうにか視認すると、彼を追って爆発的なロケットスタートを切った。

視界が悪いせいで、もし他の選手にぶつかったらとヒヤリとするが、それでも、無理矢理躱していくしかない。

雫が落ちるよりも早く。

歯を食いしばり、全身に重力を感じ、フルスピードで飛んで行く。

二十メートル。

十メートル。

セドリックの影が段々近付いてくる。

しかし──セドリックが追っている筈の未だ金色の輝きは見えない。

もしや、と思った瞬間、セドリックは箒を立て直して地面スレスレで引き返す。

 

(しまった、フェイント──っ!!)

「ガハッ……!!」

『ああああっ、シェリーが地面にぶつかっちまったあああーーー!!』

『いえ、流石はポッターです!左の籠手でガードしました!あの一瞬でよくぞ……!しかし、それでもダメージは大きいでしょうね……』

 

利き手を守る代わりに左手を犠牲にしたが、その代償は大きかった。鈍い痛みが身体の左側全体に広がって、その身体に容赦なく雨が降り注ぐ。

スニッチを見つけた『ふり』をして、他のシーカーを焦って追従させ、そして地面に叩きつけるテクニックだ。

ウロンスキー・フェイントと呼ばれるそれは、クィディッチにおいても危険極まりない技の一つであり、乗り手にも相当な技術と度胸が要求される。

度胸はあるが技術の未熟なシェリーでは不可能な飛行テクニックだ。それでも試合続行可能なレベルまでダメージを抑えたのは、生まれ持った反射神経の良さと言うべきか。

地面からよろよろと飛び上がり、シェリーがセドリックの動きを目で追うと、今度こそ彼がスニッチを追っているのが見えた。

次こそキャッチする、追い付く!と息巻いて、放たれた矢のように飛行する。その様は、紅い閃光のようでもあった。

──だが、閃光は、突如として闇に覆われてしまった。

 

「────でぃ、吸魂鬼!?何で──」

「ーーーー」

 

脳が危険を訴えた。関わるな、と。

温度がいきなり下がった気がした。雨でびしょびしょの身体に、気持ち悪い寒気が走った。

逃げろ。逃げろ。

まだ今なら間に合う。逃げろ。

そんな危険信号を、彼女は全て無視した。

 

(ここで退いたら、セドリックや他の選手の方へと向かってしまうかもしれない)

 

彼女に逃走はない。

シェリーはホルダーから杖を取り出す。護身用に身につけていた物だが、まさか使う事になろうとは。右手で杖を構えたため、痛む左腕で柄を握らなければならないのが辛いところだ。

幸福を思い浮かべて、放つ。

 

「『エクスペクト・パトローナム』!」

 

半透明の、か細いスプレー状の光が煤色の吸魂鬼を引き裂いた。

一体撃破だ。

列車の中で吸魂鬼を追い払ってからも練習を続けていた甲斐があった。シェリーは小さく拳を握る。有体守護霊とまではいかなくても、魔法に無駄がなくなってきた。

他にも吸魂鬼はいないだろうか。試合はどうなったのだろうか。気になって、周囲を見渡して──

 

「あ」

 

目に入ったのは、視界を覆い尽くさんばかりの黒の軍団。吸魂鬼の群れが空に散らばり、その全てがシェリーを見つめていた。

フードの下の虚構からは深淵が覗く。

その数、およそ、百。

シェリーの思考回路は異常をきたした。

 

(────い、たい、いたい、いたいいたいいたいいたい)

 

ダドリーに殴られた記憶。

川の中で溺れかけた記憶。

バーノンに鞭で叩かれた記憶。

髪を引き千切られた記憶。

 

痛みの記憶が奔流のように流れていく。

記憶の中の痛みと、現実の左腕の腕の痛みが共鳴する。常人ならば到底耐えられないその苦痛は終わらない。

手の震えが止まらない。

やがて握る力を失い、箒に掴まる事すら叶わなくなった。

地上から遥かに離れた所で脱力して、ふらり、と意識が一瞬飛んでしまった。気付いた時には空中に身を投げ出されていた。

 

優しい砂で受け止められる。

包み込むようにゆっくりと、優しさで溢れた砂の中に身を委ねる。この砂の温もりをシェリーは知っている。

レックス・アレン。

最強の闇祓いによる、豪快かつ繊細な魔力操作は見事だった。するすると落ちていくと、アレンにお姫様抱っこされる形で受け止められる。

目を開くと、エミルとチャリタリが生徒達を守るように分厚い防壁を貼っていた。その防壁の中を、ダンブルドアが生み出した不死鳥が怒りのままに、天を裂くように空を駆け回っていた。

ダンブルドアに蹂躙された吸魂鬼達の生き残り達が、それでもシェリー目掛けて飛来してくる。アレンが目を細めたが、彼が何かする前にジキルが低い声で唸った。

 

「この子に近付くんじゃねェ。殺すぞ」

 

威圧。

いつものヘタレっぷりは鳴りを潜め、強い眼力と、迸る魔力とが溢れていた。

吸魂鬼への怒りと少女への優しさとで氾濫したクィディッチ・ピッチの中で、シェリーは瞼を重たくしていった。

担架が運ばれてくる。

漸く現実が追いついてきた。

 

(ああ、これでこの試合は、もう終わってしまったんだ)

 

目が覚めると医務室だった。

マダム・ポンフリーにお世話になるのももう何度目だろう。ロンやハーマイオニーを始めとする獅子寮の面々がシェリーを心配そうな顔で覗き込んでいた。

「大丈夫?シェリー?」

「痛くない?」

「私、マダム・ポンフリー呼んでくるわ」

「……みんな、ありがとう。ごめんね」

 

そんな顔をさせて申し訳ないという気持ちと、もう一つ、ふつふつとした感情が胸の内に湧き上がっていた。

悔しい。

大好きなクィディッチを、こんな、こんな納得のいかない形で終わらせてしまっただなんて……。

(……悔しい?)

チームメイト達に申し訳ない気持ちもあるが、確かに今、最後までプレー出来なかった事が悔しいと思った。

妙な気分だ。

負けられない、ではなく、負けたくない。

シェリーは自分が抱いた初めての感情に戸惑った。思い返せば去年の決闘クラブの時も少し似たような感覚を味わっていたような気もする。

いや、きっと気のせいだ。シェリーはそう結論付けると、己の箒の在り処を問うた。

 

「あー…その事についてなんだけど」

「?」

「その、箒、スニッチの方へ飛び続けて…競技場を飛び出して、暴れ柳の方まで突っ込んでしまったの。……ジキルが手伝ってくれたんだけど……その、……ね……」

「………嘘」

 

ジニーが恐る恐るといった様子で、その包みを開く。中に包まれていた、バラバラになったニンバス2000だったものを見て、シェリーは愕然とした。

 

 

 

▽▽▽▽▽▽

 

 

 

シーカーがいないので当然といえば当然だが、ハッフルパフに負けた。

紳士で有名なセドリックは試合やり直しを要求したらしいが、フーチがそれを認める事はなかったらしい。チェイサー三人娘がシェリーをハグして慰めた。

箒を壊した事をマクゴナガルに謝罪しに行くと何故か呆れられた。曰く、『貴方は本当に自分の心配をしませんね』と。

一先ず次のクィディッチ戦に向けて箒を探しなさい、と箒カタログを渡される。談話室でジニーやアンジェリーナ達とカタログを開き、あの箒が良いこの箒が良いとウンウン悩む。ウッドはシェリーに怪我させたのを気に病んでシャワー室で連日の精神統一である。

しかし、穴が開くほどカタログを睨んでもどれも魅力的には見えなかった。取り敢えずその日は諦めて、寝る事にする。

 

(一年生の時、マクゴナガル先生がくれたニンバス2000……もう一度あれに乗りたいなぁ……)

──そこで、自分が今、ドン底に沈んでいると気付き首を横に振った。

いけない。自分がこんな調子では皆んなを心配させてしまう。

(悲しいも、辛いも、私には要らない)

感情を心の奥底まで仕舞い込む。

不要なものは捨てていけ。それが正しい、その筈なのだ──

 

「よぉ、シェリー!元気してるか?」

「うん元気……あれ?フレッドに、ジョージ?なんでここにいるの?」

「おいおい、俺達は神出鬼没のウィーズリー兄弟だぜ?困ってる女の子がいたら地球の裏からだって駆け付ける、それが俺達ってもんさ」

「それは良い心掛けだと思うけど、今日はホグズミード休日でしょ?行かなくていいの?楽しみにしてたじゃない」

「俺達二人だけが楽しくても駄目さ。エンターテイナーたる者、皆んなを楽しませなくっちゃあな」

「シェリーだけが楽しめない休日なんて何の意味もないのさ。っつー訳で、赤髪姫に素敵なアイテムをプレゼントさ」

 

言うと、ジョージは懐から何やら羊皮紙を取り出した。随分と年季が入っている。

 

「わぁ、ありがとう!羊皮紙?大切に使うね、二人とも!」

「いやぁー、喜んでくれるのはありがたいけどさ。俺達悪戯ツインズがプレゼントするならもっと素晴らしい物を贈るよな」

「ああ、目ん玉飛び出るどころか勢い余って落っこちまいそうな物をな。見てみな、『我、ここに誓う。我、よからぬことを企む者なり!』」

 

呪文を唱えると、杖先からインクが飛び出して紙に滲む。その染みは段々と大きくなっていき、そして不可思議な動きをした。

縦に、横に、何かを描くように動き、線や丸を生み出していく。

少しして気付く。これは地図だ。これは教師ですら完全には把握し切れていない、ホグワーツの見取り図なのだ。

おまけに、地図上を文字……いや、名前が動き回っているではないか。『シェリー・ポッター』『フレッド・ウィーズリー』『ジョージ・ウィーズリー』の三名が地図の真ん中で揺れている。他にも、様々な教師や生徒の名前がズラリ。

 

「すっごい……わぁー、『アルバス・ダンブルドア』と『セブルス・スネイプ』が同じ部屋にいる!何か大事なお話なのかな。他にも、『エミル・ガードナー』と『チャリタリ・テナ』が一緒に歩いてる!その後ろの柱の影から、あー、『ジニー・ウィーズリー』が覗いてる。あの子恋バナ好きだもんね」

「他にも、『ポモーナ・スプラウト』と『ジキル・ブラックバーン』が職員室で話してたり、『コリン・クリービー』が補習を受けてたりな。丸分かりだぜ」

「で、ホグズミードの抜け道は、ここだ」

「!二人とも……」

「シェリー、お前はルールよりも友達を選ぶタイプだろ?ならこの魔道具はピッタリだぜ。俺達はもう地図の内容は全部覚えたからな、気兼ねなく使え!」

「で、でも……」

「使え!」

「私なんかに……」

「使えって使えって!遠慮すんな!」

「………あ、ありがとう二人とも!」

「「その代わり俺達を透明マントの中入れてくんね」」

(……そっちが本命では……?)

 

やや騙されたような気分になりながらも二人をマントの中に隠し、秘密の抜け口の中へと入る。

他にもいくつかホグズミードへの抜け道はあったのだが、闇祓い達が来て早々に全て封鎖してしまったのだとか。教師達でも見つけきらなかったそれらを見つけてしまえるのだから、彼等の能力は非常に高いと言わざるを得ない。

しかしそれでもブラックにはどこからか侵入されたのだから、彼もまた一流の魔法使いなのだが。

──甘ったるい匂いがする。

辿り着いたのはパーバティが美味しいと言っていた菓子の売っている、ハニーデュークスの地下室だ。

ウィーズリーズと別れると、マントの中からロン達を探す。……いた。随分と大所帯だ。ベガやネビル、シェーマスにディーンにパチル姉妹、更にアリシアやケイティといったクィディッチ・チームまで一緒だ。

一体どうしたというのだ。

幸い、今からそれぞれに分かれて別行動を取るようだが。

 

「じゃあ、俺達は店に行ってくるから。詳細はまた追って連絡する」

「ええ、お願いね」

「………ふう。じゃあ、ハーマイオニー。僕達はシェリーにお土産を買ってこうぜ」

「そうね。ああ、本当はシェリーにもホグズミードに来て欲しかったのに……」

「二人ともっ!」

「えっ!?幻聴!?」

「ちょ、ロ、ロン!急にどこ触ってるの!他に人がいるのよ!」

「二人とも、私だよ!シェリー!」

「「……シェリー!?」」

 

二人は目を点にして驚いた。

一先ず人目のないところに隠れると、マントを脱いでみせる。その瞬間二人からは脇腹を小突かれた。

 

「『忍びの地図』?へえ、あの二人、そんなもんを隠し持ってたってのか。すごいなそれ、いいなあ」

「……それ、ダンブルドア先生や闇祓いの人達に渡しておくべきじゃない?そんなに凄いものがあれば、ブラックだって……」

「それは、少し思ったんだけれど。でも、二人はこれはフィルチさんの所から持ち出したものだって言ってた。だから私がこれを先生に渡したら二人の、あー、悪行がバレちゃう。黙っていた方が良いんじゃないかなあ」

「シェリーの言う通りだぜ。フィルチはあの二人を目の敵にしてるフシがあるし、もしかするとシェリーに変な言い掛かりをつけてくるかもしれないぞ。あいつ最近シェリーを呼び出してるじゃないか」

「ああ、あれはお茶のお誘い!あの人いつもお菓子くれるんだぁ」

「それ毒入ってない?」

 

兎にも角にも腰を落ち着けよう。

そういうロンの提案で、(シェリーはマントを被りながら)三本の箒の中に入る。しんしんと降り積もる雪から暖かい店内に入ると、冷え切った身体に熱が染み渡る。

ハーマイオニーの解説によれば、マグルで言う暖房に当該する魔法が店内にかけられているんだとか。

こっそり椅子を確保して、賑わう店内でバタービールと料理を三つ注文。ウエイトレスからは妙なものを見るかのような目線を向けられたが、ハーマイオニーが「この人よく食べるんですー」とすかさずフォローを入れた。……それはフォローなのか?

 

「わぁ、美味しいね、これ!」

「うふふっ、そうでしょう、シェリー!」

「君に飲ませたかったんだよシェリー!」

「ありがとう二人とも!」

「気にしなくていいわよシェリー!」

「どんどん飲みなよシェリー!」

「あれ、私、あそこのテーブルにバタービール持っていったわよね。シェリー酒なんて運んでないわよね…?」

 

運ばれてきた料理に舌鼓を打つ。

店内は非常に混み合っていて、顔見知りもチラホラいる。ウッドが先日のクィディッチの結果を悔やみまくってガブ飲みしていたり、(こちらには気付いていないが)ドラコが取り巻き連中とコルダへのお土産は何が良いか相談していたり、お忍びのファッジがマクゴナガルやハグリッド、フリットウィックと飲みに来ていたり………ファッジ?

 

「えっ、何であの人が?」

 

見間違いではない。

ボディーガードなのか、レックス・アレンも同行している。彼等はどこか暗い顔をしており、あまり楽しい話題をする様子ではなさそうだ。

しかし面白い組み合わせだ。

たしかにここは名門ホグワーツ、イギリス最大の魔法学校だ。役所のトップと関わりがあってもおかしくはないが……。

 

「何話してんだろうなぁ」

「何話してるんだろうね」

「……えっ、これ盗み聞きする流れ?」

「しっ!静かに、ハーマイオニー!先生方にバレるだろ!」

「ええ……?」

 

店の女主人、マダム・ロスメルタがバタービールを人数分持ってくる。

彼等はそれを受け取ると、ロスメルタにも椅子に座るよう促した。彼女にも関係のある人物の話をするらしい。

他の客に聞こえない程度のボリュームで、思い出話をするかのような語り口で誰からともなく話が始まった。

ここでは聞こえないと判断したシェリーは彼等から見えないのをいい事に近付いてみる事にした。……一瞬、アレンと目が遭った時は心臓が飛び出るかと思った。なんという第六感の強さだろうか。

彼等は、どうやら誰かについて話しているようだった。

 

「ピーター・ペティグリューは、誰よりも勇敢だった」

「ええ。決して出来の良い子ではなく、勉強も時間のかかる子でしたが、その実誰よりもジェームズ達に憧れていました」

「アレン、貴方は彼達と同年代ではなかったかしら?」

「正確には数代前の先輩だな。彼の事は、最初は取り巻きの一人だと思っていたが。その印象が一八〇度変わったのは決闘クラブで戦った時だぜ。ダークホースというべきか、逆境になればなるほど強いタイプで、彼には苦戦させられたよ」

「一年生の時から上級生に混じって参加していたあなたもおかしいんですけどね」

「……本当に、意外なところで勇気と実力を出せる子でしたよ、彼は。だがあの時ばかりは勇気を『出さないでほしかった』」

 

フリットウィックのどこか含みのある言い方に眉を潜めるが、ファッジの次の言葉で納得する。

なんと、ヴォルデモート卿の配下であったとされるシリウス・ブラックを止めるために立ち塞がったものの、彼に敗れて死亡してしまったのだとか。

しかもピーターなる人物は、同級生だったシリウスを実の兄のように慕っていたのだとか。……友人に立ち向かう勇気がどれだけ偉大か、ネビルを見ればすぐに分かる。

 

「去年アズカバンに収監された時、いっこだけ良い事があったぞ、ファッジ。奴さんに俺の言い分をブチ撒けてやれた事だ。聞いているんだかおらなんだか、牢の奥でずっと黙っていたがな。言いたかった事を全部言ってやった。畜生!俺はシェリーを崩れた家から連れ出す時、あいつに会ってんだ!」

「なんだと、ハグリッド」

「俺はあいつの空飛ぶバイクを借りてマクゴナガル先生達の所へ行ったんだ。危ねえところだった。リリーとジェームズを裏切ったあいつは事もあろうに『僕がシェリーを育ててみせるから』と抜かしおった!そのクソ野郎を慰めた俺も間抜けだったが、クソッ!」

「いいやハグリッド、お前は立派に仕事を果たしたよ。奴めにシェリーを渡さなかったから今の彼女がある、違うかね」

「ウウッ、すまねえ、先生」

 

大粒の涙を溢すハグリッドをフリットウィックが慰める。その場にいた全員の怒りを体現したかのように、アレンは瞳の奥に強い怒りの炎を灯していた。

 

「間抜けは俺達闇祓いの方だ。ブラックを見つけられないばかりか、一時は侵入まで許してしまった。『闇祓い最強』が聞いて呆れるぜ」

「レックスはよくやってるわよ。大丈夫、あなた達がいるお陰で安心している人も沢山いるんだから」

「……ありがとう、マダム。そうだな、俺一人が強くたって意味がない。皆んなで強くならなきゃな」

「しかし彼奴のおかげでシェリーの両親が亡くなったと思うと、やるせないものがある。もっと早く気付いてさえいれば」

「……?どういう事です?」

 

マダム・ロスメルタの疑問は、シェリーの言葉を代弁していた。

今は亡き二人が死んだ原因は、ヴォルデモート卿にある筈だ。彼がポッター家に押し入り、二人を殺害した。それは本にも載ってあるくらい確実で、シリウス・ブラックの介入する余地などないようにも思える。

 

「それがそうじゃないのですよ。『忠誠の術』をご存知ですかな、マダム?強力な、古い呪文です」

「……聞いたことありませんわ」

「一人の人間の中に『秘密』を隠す。その『秘密の守人』が口を割らない限り、封じ込められたその秘密は絶対に、見つからない。そう、絶対に」

「ジェームズは自分達の在処を秘密にしたんだ。だから本来なら例えヴォ、例のあの人がポッター夫妻の窓ガラスに目ん玉をひっつけようと見つからない筈だった。……だが、彼が選んだ『秘密の守人』はよりにもよってブラックだったんだよ」

「……そんな」

「秘密が守られたのはたった一週間。それも襲うタイミングを見計っていただけの事なんでしょうがね」

 

裏切り。

しかも聞けば、シリウス・ブラックはグリフィンドール寮出身と聞く。

ジェームズに信頼され、ピーターと兄弟分の関係と聞けば確かに獅子寮以外あり得ないだろう。グリフィンドール寮に赴き、太った婦人を破く事ができたのも、単純に彼が寮生だったから、で説明できる。

だが、脳が理解を拒んでいる。

聞けば聞くほど、度し難い矛盾が、シリウスの異常性が浮き彫りになる。

どうしてだ。

どうしてそんな男が……。

 

「何故奴がグリフィンドールなどに……」

「長年、寮監をしていると分かりますが、獅子寮には危なっかしい子供が多い………私がもっときちんと教育できていれば、あるいは」

「いんや、マクゴナガル先生。誰が悪いとかじゃねえ。あいつの邪心に誰も気付けなかった、それだけだ」

「……逆に蛇寮は最初からブレない子が多い気もしますね。デネブとか……」

「……………」

「デネブ………デネブか……」

「……デネブねえ………」

「……彼の話はやめときましょうか」

「うん……」

(えっ)

その場にいた全員の嫌そうな顔。

唯一、マダム・ロスメルタだけが顔を赤くさせていたが、他はあからさまに彼について話そうとしない。何者なんだ……。

──不意に嫌な予感がした。

この先を聞いてはいけない、ような。

直感というべきか。

 

「だがママさん、分かってくれただろう。我々が何故ここまで神経を張り詰めるのかが。過敏になるのかが」

「ええ。ホグズミードを吸魂鬼達に見廻らせるのはどういう了見だと思いましたが、そういう理由で……」

「次からは俺達が見廻る事になってる。その時はバタービールをご馳走してくれ」

「ええ、喜んで」

 

立ち去れ、やめろ、と、直感は告げているにも関わらず、『石化』させられたかのようにそこから動けない。

シェリーは全神経を耳に集中させていた。

その知りたがりが、好奇心が。己を更なる深い絶望へ突き落とすとも知らずに。

いや、知っていたとしても。

彼女はそこから動かなかっただろう。

ああ、頭が痛い。

 

「しかし、まさか、ですよねえ」

「うむ……奴めは一夜で三人もの親友を裏切ったのだ。たった一人残された彼がどんな気持ちだったのか……いつも冷静な彼があれほど荒れに荒れたのは、後にも先にもあの一度きりだ」

「無理もない。青春を、苦楽を共にした仲間を短期間に何人も殺されては。しかも友の裏切りは辛かったろうに……」

「ですが、未だ信じられませんわ」

 

脳が警鐘を鳴らしている。

──聞くな、と。

 

 

 

 

 

 

 

 

「──ジェームズとブラックは、まるで血を分けた兄弟のようであったのに」

「自らが後見人となった、半ば娘も同然のあの子を、何故殺そうなどと……」

「ッ!」

「どうした、アレン?急に立ち上がって」

「……今確かに気配が……すまない大臣、俺はパトロールに行ってくるぜ」

「あ、ああ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──足が縺れる。それでも歩く。

──歩かねば、真下に広がる雪に飲み込まれてしまいそうだった。

シェリーは三本の箒から逃げるように、あてもなく歩いていた。しかしその現実は彼女を逃してはくれなかった。

寒い。

身体が冷える。

巡る血が全て凍ってしまったような感覚。

それでもシェリーの身体を熱くさせていたのは、得体の知れぬ感情だった。

奥の方に仕舞い込んでいた『それ』は爆発寸前だった。

凍えてしまいそうな雪の中、細胞の一片迄もが熱く燃えているようで──気持ちが悪かった。

シリウス・ブラックが裏切った?

かつての親友を?

自分の両親を?

そんなの──そんなの、許せない。

雪は足跡を消した。

透明マントはシェリーを隠した。

シェリーは、声もなく、泣き叫んだ。

 

「なんなの、この気持ちは──」

 

その問いに答える者はいなかった。




透明マント貰ったのが二年生の時だったし、忍びの地図貰うのは四年生でもいいかなーと思いましたが、これなかったら後々詰むし、この後のイベントが色々面倒くせぇ!という訳でアンロックです。

◯デネブ・レストレンジ
ベガの父親。故人。性格に難あり。
血統主義の家に生まれ、スリザリンに配属されたものの彼自身は純血主義ではない。かといってマグル出身に優しいかと言われればそうでもない。
ベガの眼と女誑しぶりは父親譲り。

◯アルタイル・ヘミングス
ベガの母親。故人。
彼女もまた純血ではあったが、所々にマグルの血が混じっており、家も財政難を抱えていたため聖28族からは落ち目の貴族扱いされていた。その問題を解決したのがデネブなのだが…。
ベガの銀髪と性格は母親譲り。

◯ピーター・ペティグリュー
追い込まれてピンチになる程、真価を発揮するタイプ。
当時は馬鹿にされていたが能力自体は低くなく、決闘クラブではその力を遺憾なく発揮していた。
こんな主人公みたいな奴を殺すなんて、まったくブラックって奴は最低だなー!(棒
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