それは例え眼を瞑っていても「あ〜何かすげえ力を感じるわ〜」ってなって眼を開けてみたら「わっめっちゃ紅いやん!この力めっちゃ紅い!紅い力や!」ってなるからです。
急に何言ってんだって話ですけど、私も何言ってるか分かんないです。
1.visit(or)hug?
「へえ。じゃあベガがブラック邸を相続することになったんだね」
「そ。クリーチャーっつう屋敷しもべ妖精もセットだ」
不死鳥の騎士団は、本部としてシリウスの実家であるブラック家のあるグリモールド・プレイス十二番地を活用していたわけだが、元々そこはシリウスの所有物として魔法の結界が張られていた。
そしてその結界はシリウスが死ぬようなことがあれば機能しなくなってしまう。なので彼は万が一の保険として屋敷の相続権をシェリーに与えていたのだ。自分の死後も結界が機能できるように、と。
しかし、シェリーは現在行方不明。
魔法省が先の戦いでゴタゴタしているというのに、少女一人探す余裕などどこにも残っていない。来たる魔法戦争に向けての準備で忙しく、そういうわけでシェリーは今生死すら定かではないのだ。
よって、ほんの僅かとはいえブラック家と関わりのあるベガが財産を相続することになったのである。まあ、財産の殆どはマルフォイ家に譲渡したのだが……。ドラコ達には金銭的なフォローが必至だ。
「クリーチャーがデネヴとヘミングスの息子っつーことで俺に仕えるのを嫌がってたし俺としても気乗りはしなかったんだが、人材……妖精材を遊ばせておく余裕がないのも事実だからな。とりあえずシェリーを探させてる」
「見つかると、いいけれど……」
目下、魔法省の優先順位は戦力増強であってシェリー捜索ではないのだろう。
……ヴォルデモートを殺すためには、シェリーの死が必要なのだと聞けば、魔法省は血眼で探すのだろうが。現大臣のスクリムジョールなら指名手配を出しかねない。
「……明るい話をしようか。フラー・デラクール覚えてる?ボーバトンの。ベガがダンスの相手に誘った……」
「ああ、覚えてる覚えてる」
「ビルと付き合ってるらしいよ」
「えっマジ!?」
「マジ。一目惚れだってさ」
「あーうわーなんか複雑だわーうわー」
と。
城へと続く道で、何やら騒いでいる生徒がいるようだった。
ハーマイオニーに突っかかってるのをロンが制止しているようだが……よく見てみるとあれは突っかかってるというより、ハーマイオニーへの……ナンパ?を宥めているようにも見える。
ハーマイオニーは両親が精神的拷問を受けたことで心に傷を負っている、そのためロンが間に入って庇っているのか。
「……まったく!君も分からない奴だな!おおっとちょっと待ってくれたまえベガ!あのシェリー・ポッターがホグワーツにいない今、次のクィディッチ・チームのキャプテンはこのコーマック・マクラーゲンこそが相応しいと!そう思わないかい!?」
「コーマック……誰?」
「知らね」
「この僕を知らないだと!?なんて流行遅れの人達なんだ!!」
(うざ……)
「グリフィンドールにこんなに無駄に賑やかな人がいたんだね。知らなかったや」
コーマック・マクラーゲン……成功を納めた人物の子供や、将来有望な生徒を気にいるスラグホーンから目をつけられていた人物だったか。
今年で七年生になる生徒だ。
ホグワーツ戦線の時にDAでもないのにやたら張り切って序盤でダウンした奴じゃなかったか?勇気は凄いと思うけど。
「僕のことをもう忘れられないようにサインを書いてあげようじゃないか。そうだ、ローブに目立つ色で書いてあげよう!」
「やめろ」
「何を!?このコーマック・マクラーゲンの偉大なる名を刻めるというのに!?」
「無駄に長いなあその名前。もうちょっと分かりやすい名前にしてよ」
「じゃあ略してクラゲだな」
「クラ……!?」
「またなクラゲ野郎」
「な、何を!僕はクラゲなんて渾名認めないクぁラゲなーーーー!!」
「渾名を受け入れたのかそうじゃないのかハッキリしてくれないかな」
また、新しい一年が始まる。
けれど今年のホグワーツは、いや、魔法界は大きな変化に見舞われていた。
「知っての通り、ダンブルドア先生は入院中のため私が校長代理を務めることになりました。代理とはいえ指導に手を抜くつもりは一切ありませんからそのつもりで」
マクゴナガルの凛とした声が大広間に轟いた。
上級生などはもう慣れたもので、久しぶりのマクゴナガル節に懐かしさすら感じていたが、一年生などは萎縮していた。
「では、今年から私達の学校に着任する新しい先生を紹介しましょう。ホラス・スラグホーン先生、かつてホグワーツで教鞭を取っていらっしゃったのですが、今年から『魔法薬学』の教師として復帰することになりました」
「はっは!皆んな、教室で会えるのを楽しみにしておるよ!」
真ん丸としたセイウチ髭の男が立ち上がり拍手を受ける……が、すぐにその声がどよめきへと変わる。
魔法薬学の教師として?
彼は、今年の闇の魔術に対する防衛術の教師になるものだと思っていたのに。
特にベガなどは、騙しやがったなあのババア、という心持ちだった。確かに何の科目を担当するかは言ってなかった……!
「スネイプ先生には今年から『闇の魔術に対する防衛術』を受け持ってもらうことになりました」
「グリフィンドールから十点減点」
「何で?」
本当に何でだろう。
スリザリンからはスネイプが長年望んでいたに役職に就けたことで大喝采が上がっているが、その他の寮からはどよめきが上がっていた。スネイプの評判は一、二を争うほどに悪い。一応、ホグワーツ戦線で先陣切って戦ったのである程度は評価も変わっているようなのだが、まあ普段の態度が悪い。
マクゴナガルだって代理でこういった思い切った人事はしないだろう。……となるとダンブルドアが事前にスネイプを防衛術の担当にするよう指示していたのか?
……何のために?
「えーそれと、もう一つ。ダンブルドア先生の代理を務めるにあたり、私が去年までのように『呪文学』を教えるのがどうしても難しくなりました。というわけで、海外から特別教育実習生として、代理の先生がやって来ています」
「あれ……あっ!あれって!」
「えーどうも、教育実習生のミカグラ・タマモでーす。皆んなよろしくねー」
巨大なハグリッドの図体に隠れて気付かなかったが、金色の髪の可愛らしい東洋人がちょこんと座っていた。
ミカグラ・タマモ──五大魔法学校対抗試合の折、ニホンの代表選手として選ばれた人物だ。その戦闘力もさることながら、誰とでも気兼ねなく接する気さくな人柄で彼女と友人になった者は多い。というか多分一番じゃなかろーか。
去年、ホグワーツ戦線に馳せ参じたことで、彼女達を恩人と評する者は多い。
案の定、タマモを知る生徒からは賞賛の声が上がった。
「それと……ホグワーツの護衛として来てくれた海外の闇祓いの方々です」
「フウマ・コージローだ。よろしく頼む」
これまた人気の男が来た。
ニホンのニンジャ一族の家系に生まれたエリートで、こと戦闘能力において代表選手の中でもトップレベルの実力者。しかしそれを鼻にかけることもなく、多少頑固なきらいはあるが一本筋の通った男として人気だった。目鼻立ちが整っているので女子ウケも良く、歳も近くて接しやすい。女子達はヒソヒソ話を始めた。
ロンはそれが少し気に食わない様子だったが、代表選手の中でも、戦闘に特化した二人がホグワーツに来てくれるのなら心強い。
まだまだ若いとはいえ闇祓いクラスはあるだろう。
因みにサツマ・ハヤトは実働部隊に所属しているのでホグワーツには来ていないとのこと。まあ、ハヤトは防衛より敵に突撃する方が好きそうだ。
「彼等は授業中に見回りをしたり、パトロールなどを行います。決して、ええ、決してホグワーツの恥を見せることはないと信じていますよ。……では食事の前にひとつ号令を……あー…………
……わ、わっしょい、こらしょい、どっこらしょー……い……」
「……えっ何今の」
「いぇええええええええええい!!」
「校長最高おおえおおおおお!!」
「ミネルバ愛してるううううう!!」
「!?」
▽▽▽▽▽▽
ベガと、ルーナ・ラブグッドの二人は校長室に呼ばれていた。
割と珍しい組み合わせな気がする。
「んー…何であんただけじゃなく私も呼ばれたんだろう?」
「俺一人なら呼ばれても納得すんのかよ」
「だってあんたはワルだし、それに、色々と特別だモン。でも、あんた自身の性格は割とまともだと思うけど。んー、私が言っても説得力ないかも」
「かもな。でも光栄だよ、姫」
「?やっぱあんた変かも。私を女の子扱いする奴はそんなにいないモン」
「周りの連中が節穴ばっかってことだ。さてと、『ゴキブリゴソゴソ豆板』」
部屋の主が一時的とはいえマクゴナガルに変わったことで、校長室の暖かな雰囲気がほんの少し引き締まっているように感じられた。
何でも、二人に来客が来ているという。
誰だろうと思いつつも、ベガは何となく心当たりがあった。
そしてその心当たりは、的中することになる。
「ダームストラング兄妹……」
「よ〜、お久しぶり♡ベガくん、ルーナちゃん」
「こ、こんにちは……」
「?ああ、前にホグワーツに遊びに来てた人だっけ」
「……まあ、そうですね」
(ツッコむのも面倒なのかよ)
五大魔法学校対抗試合に出場したダームストラング校の代表選手の二人だ。
ミステリアスで軟派な兄のネロと、おどおどした妹のリラ。真逆な性格の二人ではあったが、何やら不思議な魔法を使っていたり、父親のダンテに内緒で秘密裏に動いているようだったり、謎が多かった……そんな印象だった。
二人の目的は、秘密の部屋事件の時、ヴォルデモートが受肉のために使用した肉人形を二人分作ってもらうこと。魔法式も魔法薬も投与されていない普通の身体になりたいのだという。
どこまで信じていいものか分からないが、この二人の助けがなければシェリー達の下へと辿り着けなかったのもまた事実なのだ。いい機会だ、話があるというならじっくり聞かせてもらおうじゃないか。
「ま、そんなに緊張せずに自分の家だと思ってくつろいでくれや。楽しくお話しようぜ」
「クラムがお前のこと嫌いだった理由が何となく分かった気がする」
「ネロネロネロネロ」
「どんな笑い方だ」
「……この、ミスター・ダームストラングとミス・ダームストラングが死喰い人内部へと探りを入れてくれていたのです。いわゆるスパイとして」
「ま、より詳しい情報を探ってきたのはコガネムシだったがよォ。
結論から言うとナ、お前達が戦う相手は死喰い人だけじゃなくなっタ。俺の親父、ダンテ・ダームストラングとも戦わなくっちゃならねェ」
「!ダンテ……やっぱ敵か、あいつ」
ネロの話曰く。
ダンテ・ダームストラングは独自に軍を組織しており、未だ影響力の大きい闇の帝王と取引をしているのだという。言うなれば商売相手なのだ。
ロンの話では、先のホグワーツ戦線において、ドロホフは死喰い人だけでなく巨人や吸血鬼に人狼という異形の者達を活用していたらしいのだが、その中に錬金術で生み出したらしき戦闘人形があったらしい。
その戦闘人形を作ったのがダンテだ。
オートマトン、ゴーレム、そういう風に呼称される自律式の人形。魔道具の極地とすら評される神秘の存在。魔力を込めた分だけ稼働する仕組みだ。
「だがご存知の通り魔道具ってのは魔力や呪いを込めなきゃ動かねぇ。そしてその魔力を送り込むのは結局人間……。いずれ燃料の切れる人形に魔力を注ぎ込んで、戦闘させたり家事をさせるより、自分でやった方がよっぽど効率的ダ。
……しかしダンテはほぼ無限に、半永久的に魔力を生み出せる術を持ってる」
「──まさか、賢者の石か?」
「正解♪学年主席は話が早くて助かるよ」
「…………」
「ベガ、そんなこと言わなくたっていいじゃん」
「心を読むなルーナ」
どうもペースが乱される……。
リラなんて話を聞いているのかいないのか、宙を見てぼーっとしているし、ルーナもルーナで何を考えているのかよく分からない。ベガはこめかみを抑えた。
「ダンテはああ見えて研究者としての能力は優秀でナ。賢者の石を独自で創り出せる天才。それだけの力がある魔法使いだってことだ」
「……ミスター・ダームストラング。その話が本当なら私達に勝ち目はありません。私達人間には飲食が必要ですし、怪我もします。しかしその戦闘人形とやらはその必要がない……。
物量攻めをされれば、まず間違いなく負けます」
「そうだナ。だが、ひとまずはその心配はない。理由は大きく分けて三つ……。
1、親父はあくまでビジネスパートナーとして帝王と組んでるから、当然戦闘人形も売買してる。金のない死喰い人達は簡単に兵力を買えるだけの余裕がない。
2、親父が持ってる賢者の石は一つだけで、それも基本的に自分の肉体を維持するために使用している。
3、賢者の石を増やすのは難しく、また、戦闘人形もおいそれと量産はできない
ま、それでもちょびっとずつ兵力は増えていく訳だから放っておくと危険だけどナ」
聞けば、ネロとリラは破壊工作を行って生産ラインを壊して回っていたという。それを聞いてひとまずはマクゴナガルも納得したようだが……。
「二つ目の理由が分からん。『自分の肉体を維持するために使ってる』ってのはどういうことだ」
「ああ見えてジジイなんだよ、親父は。何せ賢者の石の力で千年前から生きてるんだからナ」
「…………、千年だと?」
長命が多い魔法使いの中においても異次元の年齢。かのニコラス・フラメルが石を使って現在六七〇年ほど生きていると聞いているが、ダンテも同じく石の力で長い時を生きてきたというわけか。
有り得ない話、ということもない。
しかしそれはそれで奇妙な話だ。
千年もの間生きていれば、当然それなりに顔も知られる筈。だのにダンテは千年もの間表舞台に立たず、二〇年前にどこからか現れて北方魔法界を牛耳ったという経歴なのだ。一体、ダンテは千年もの間何をしていたというのだろう?
「千年前のダンテは相当ヤンチャしてたようでナ。当時最高峰の魔法使い、ホグワーツ創始者の四人に『封印』されてたんダ。千年経ってようやく封印が解けたんだと」
「封印……創始者だと……」
「奴の本当の年齢は千歳と少し……ダンテがダームストラングの初代校長の血を引いてるって話は聞いたことあるカ?そりゃそうさ、千年前にダームストラングを創ったのはダンテ本人なんだからよ。サラザールが学校創設に助力したんだと」
時期的には確かにぴたり一致する。
ダンテはかつて創設者達と張り合えるだけの力を持った魔法使いで、サラザールの力も借りてダームストラング校を創り上げた……そこまではいいものの、ダンテはかなり闇に傾倒した魔法使いだったらしく、創始者達と対立した。
そして千年の封印を受け、今まで眠っていたという……何とも数奇な運命である。
教科書の内容が変わってしまう。勢い余ってビンズが昇天するかもしれない。
「ホグワーツ創始者の有名な逸話の一つにホグワーツ魔剣伝説ってのがある。創始者達は不思議な力を持つ魔法の剣を使い、北の怪物を討ち倒した……っていう奴な。
その北の怪物がダンテ。で、去年ルーナ・ラブグッドが使ったっていう剣が、おそらくレイブンクローの魔剣だヨ」
「!それで私を呼んだんだね。あの剣はそういうことだったんだ」
「俺達はその剣の手掛かりを探しているんだヨ。連中に対抗する手段としてナ」
……スケールの大きな話だ。
ダンテがかの創始者と関係があっただけでも驚きだが、その創始者が遺した魔法の剣が未だ顕在だとは。
剣は今ではカップやロケット、首飾りなどに変化して真の姿を隠し、真の姿へと戻る時を待っているのだという。
効果の程は未知数だが、それらの剣を探すだけの価値はあるだろう。紅い力に対抗する何かが必要だと思ってはいたが、かの創始者が遺したマジックアイテムがあれば格段な戦力増強となる。事実、ルーナは使い慣れていなかったとはいえかなりの能力を発揮していた。
ただ、それぞれの剣は『真の勇気を持つ者』や『知識を正しく活用できる者』にしか扱えない、という。もっと俗な言い方をするなら、『真のグリフィンドール生』だけが使える剣、『真のレイブンクロー生』だけが使える剣……と言ったところか。
……何とも御伽噺のような話だ。戦力が増えるに越したことはないだろうが、所在の分からぬものを、いったいどうやって探すというのか。
「まっ、その辺りは追々な。敵は紅い力なんつうイカれた力を持ってんだ、こっちもそれくらいイカれた力……対抗手段があってもいいだロ」
「それは本当にそう思う」
「しかし、いくら道具があってもそれを使う人間がいなければ意味がありませんよ」
「見込みありそうな奴はいねえか?」
「……俺の友人に一人、誰よりも勇気がある奴がいる。実際に使えるかどうかは分からねえが、真のグリフィンドール生ってんならあいつ以上の適任はいねえ。スリザリンにも一人いるな。ハッフルパフは……まあ、一人を いたけど、…………その、うん」
「………………」
「…………。ま、素質ある奴には剣が見つかり次第持たせてみるか」
「ねえ、ちょっといいかな」
ふと、ルーナが口を挟んだ。
「私が剣を使うのはやぶさかじゃないし、ロウェナだって力を貸してくれると思う。けど真のレイブンクロー生しか剣を使えないってことは、逆に言えば私はあと二年しか剣を使えないってことじゃないかな。二年経ったらホグワーツを卒業してるモン。留年してるかもだけど」
「あ……ああ、そうか。そういうことになるよな」
「ん?別に大丈夫らしいぞ。ホグワーツを卒業した後でも資格さえあれば使えるわしいぜ。この間ダンテに聞いたらゲロった」
(あのおっさん本当にやり手なのか……?身内にダダ甘すぎじゃねえか?)
ホグワーツを卒業している者も剣を使うことができるなら、かなり候補者は増えることだろう。教職員や、闇祓いにも剣を使える可能性が出てきた。
もし剣が見つかったら、その時はそういった人達にも握らせてみよう。
「……。なあ、ネロ。それからリラも。色々ぶっ飛びすぎてて麻痺しちまってたが。お前達のやってることは立派な利敵行為だ。……だから、アー……」
「『父親を殺すことになる』ってか?」
ネロとリラの瞳から、光が消える。
「俺達には親がいねえ。たまたま封印が解けたダンテに成り行きで拾われて、今まで育てられた」
「…………」
「あのオッサンは良くも悪くも真面目だゼ?俺達をまともに教育したから、俺達はあの人の暴挙についていけなくなっちまった。親の不始末は子がつける。……っていうか」
「──ダンテは俺が殺す」
邪魔はすんなよ、と、冷たい口振りで言い放った。
緊張に包まれた校長室だったが、しかしネロは打って変わってわざとらしいくらいの満面の笑顔を見せた。
「ま、ダンテの首さえくれりゃ後は本当に好きにやってくれって話でナ。そのための協力も惜しまねえし。ダンブルドアとも秘密にやり取りしてたが、あの爺さんもオーケーしてくれたゼ」
「…………ダンブルドアが信じるなら。しかしネロさんよう、そこまでダンテの秘密を知っておきながら、例えば新聞社にタレ込むなりしなかったのか?」
「預言者はあいつに金握らされてるヨ。コガネムシを捕まえて何とかできねえかと思ったが、どうやらそういう訳にもいかねえし」
「……。ファッジといい……メディアがこうも振り回されるとは、嘆かわしい……」
「……?……。……あっ、ダンテって、もしかして」
「?」
ルーナの発言に、キョトンとして振り返る。
「前に私の家に来たことがあるよ、ダンテ」
「えっ?」
「私はチラッと顔を見ただけだから、あまり覚えていないんだけどね?父さんも私と同じで、ちょっと珍しい魔法生物が好きなんだ」
(ちょっと……?)
「それで周りからは変わり者扱いされてたんだけど、珍しく話が合う人が現れた、魔法生物の話に付き合ってくれたどころか、マイナーな生き物の話にもついてきてとても楽しかった……って」
「……千年前の話でもしたのかもナ」
ルーナの父、ゼノフィリウスは真偽の疑わしいオカルト雑誌の編集長だ。おそらくは、彼を買収しようとしたのかもしれないが……。
「……あの」
「なあに?リラ」
「お父さん……ダンテは、何か言ってました?」
「えーと、『昔の仲間と旅をした時にそんな魔法生物と出会った』『懐かしい』って言ってたような」
「……そう、ですか」
「さ、そろそろいいだろ。聞きたいことがあればその都度答えるし。じゃあ俺達は暫くの間ホグワーツに寝泊まりするからヨロシク」
「えっ」
「そうなの?」
「聞いていませんが」
「えっ?ダンブルドアが良いよって……」
「「「……………」」」
「……宿泊費はあるんですか?」
「そんな金はねえよ!」
「お前ら無一文でイギリスまで渡って来たの!?」
「金は使うもんだろォ!?」
「えと、歯ブラシは持ってきたので、あとお風呂と寝るところを貸して貰えるだけでいいんです。授業の邪魔はしません……でもご飯は沢山あった方がいいなあ」
「割と図々しくない?」
かくして、ダームストラングの兄妹が仲間に加わることになったのだった。
ネロローン!
クラゲもネロも深夜テンションじゃないと書けない性格してやがる。めんど……。
おまけ
【英語習熟レベル】
S:ネロ、バーニィ
流暢に喋れる。現地の人にも分かり易い
A:タマモ、コージロー、サモエド、マスティフ
問題なく日常会話ができる
B:リラ、クラム、フラー
多少アクセントが微妙だが、日常会話はできる
C:ローズ、ブルー
簡単な単語や文法は分かる
D:ハヤト
殆どできない
こんな感じです。じゃあ何で作中で全員が流暢に喋れるのかっていうと、魂が通じてればそこに言葉なんていらねぇからなんですねー。ハヤトは多分出川イングリッシュみたいなもんです。