シェリー・ポッターと神に愛された少年【完結】   作:悠魔

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5.sna(K)e

「あんたのお父様、あんたみたいなハズレ引いてさぞ苦労したんでしょうね。死んだのだってあんたにかかりきりだから無理が祟って死んだんじゃないのかしら」

「コルダちゃんの親になったばっかりにこんな目に遭っちゃって、ご家族はなんて不幸なんでしょう。今度は誰を不幸にするつもりなの?」

「……他所の家の事情に首突っ込むなんて相当暇なんですね。その時間でそのお顔の肌荒れを治したらよろしいのに。まあ豚みたいでちょっと可愛いですけどね」

「は?」

「何です?」

「ちょっと待て待てコルダ待て」

 

 コルダがスリザリンの女子生徒に何やら話しかけられていたので会話を聞いてみると物凄い物騒な会話をしていた。蛇寮も一枚岩ではない、コルダが人狼であることがバレた今、朝食には滅茶苦茶ふくろうの礫が飛んでくるわ、やたら絡まれるわ、散々な目に遭っていた。

 しかしネロとの対話を通してコルダは一回り成長していた。

 外野がどうした、好きに言わせておけばいい。と、全ての情報をシャットアウト。

 自分自身が在りたい貴族として邁進することを決意していた。

 ……だが、コルダの気持ちに踏ん切りがついたところで、どうしようもない問題というものはある。例えば、縁談の話だ。今までマルフォイ家の力を吸収しようとコルダに言い寄ってきた男達はぱったり消え、ルシウスが築いたコネクションもそのほとんどが無くなってしまった。マルフォイ家は今までのような生活を送るのは厳しくなるだろう。

 

 だが以前よりドラコと懇意にしていたアステリア・グリーングラスは、

「は?縁談破棄?私は貴方の正体が人狼だった程度でドラコ様との結婚を取り止める気はありません。その程度の覚悟でドラコ様と結婚だなんだと言っていたわけではないのですよ。それよりも、昨晩は夜の間に出歩いていたそうですね。私のお義姉様になるのならそれなりの立ち居振る舞いをしていただかないと困ります」

 と言われてしまった。歳下なのに物凄くしっかりしている。本当に、ドラコの伴侶となるに相応しい女性だと思う。

 

「しっかりなさってください……私は貴方に憧れて、氷魔法を覚えたのですから」

 

 勝手に寮を抜け出し、心配をかけたことに関してはドラコ含めスリザリンの仲間達に深々と謝罪した。スネイプからはしこたま怒られた。

 

「うん、まあ……昨夜は僕も怒りすぎたよ。それとな、ここだけの話、クラッブとゴイルが君のことをとやかく言う生徒に対して怒ってくれていたらしいんだ。本人達からは言うなって言われたんだけどな」

「あの人達が……?」

「パンジーはずっと気にかけていてくれていたし、まあ、なんだ。敵は増えたのかもしれないが、ずっと頼りになる味方もいるってことを忘れるな」

 

 本当にその通りだ。

 ……そういえば、パンジーには何だかんだ世話になりっ放しだ。

 金銭面で不安が残るのは確かだが、マルフォイ家を応援してくれる人達は少なからずいる。それが嬉しかった。

 

「ああ、後ネロが『いざとなれば金粉塗りたくって黄金の像になって集客するゼ。今日から俺がマルフォイ家の観光スポットだ』って言ってたけど」

「やめてくださいほんとに」

 

 

 

▽▽▽▽▽▽

 

 

 

 これは、シェリーがホグワーツに入学するより少し前のこと。

 校長室にて、スネイプはダンブルドアから告げられた真実に、声を軋らせるほどの怒りを感じずにはいられなかった。

 

『シェリーはリリーとジェームズを素体として創られたホムンクルスなのじゃ』

 

──吐き気が、しそうだった。

 リリーとそっくりの顔。リリーと瓜二つの髪色。瞳はあの憎らしいジェームズのものではあるが、彼女は彼女の母の生き写しのようだった。それがリリーの娘たる何よりの証拠だった。ならばこそ、彼女の忘れ形見を守るために戦った。

 シェリー本人に情があったわけではないけれど。

 ダンブルドアの言葉に従い、リリーの大切にしたかった筈のものを守ることが贖罪だと信じていた。それだけが命を繋ぎ止める楔となっていた。全ては天国のリリーの懸念を晴らすために──。

 

(だが、この仕打ちは何だ?神はどこまで私を試す?)

 

 シェリーはリリーの……実の娘ですらなかった。血の繋がりはあるし、リリーの部分を受け継いでもいるが、それでもリリーが愛した子ではないのだ。彼女はシェリーに触れたことさえない。

 その事実を、よもや、シェリーのホグワーツ入学直前に知ることになろうとは!

 裏切られた気がした。

 殺してやりたいとさえ願った。

 だってそんなのは、あまりに……酷い仕打ちじゃないか……!

 

『あなたは言ったな!彼女は死んだが彼女が愛したものは無くなっていないと!何をいけしゃあしゃあと!ないんだよ!リリーが愛した夫も娘も、あの夜に全部消えてしまっていたんだ!私がッ、何のためにあなたに頼み込んだと思ってる!何のために今まで生きてきたと思ってる!

──断じて、断じて例のあの人のオモチャを守るためじゃない!!』

『聞くのじゃ、セブルス』

『うるさい!ひどい侮辱だ、あんまりだ!私を悪人として辱めたいならそれでもいいさ!だがあなたは何だ?よく回る頭と口で私を操っているあなたは何なんだ!!騙すなら最後まで騙してくれよ!!』

『セブルス、頼む。聞いてくれ』

 

 老人の縋るような声で、ようやくスネイプは平静を取り戻した。

 

『儂はシェリーを初めて見た時……勘、と言うべきかのう……本能的に理解してしまったのじゃ。この子は人間ではない、ホムンクルスだと……

 しかし確信が持てなかった。儂の勘違いであれば良いと思った。それに君にこのことを相談すれば、きっと君はあの子を守ろうとさえ思わなかったじゃろう』

『──当然だ』

『それでは駄目なのじゃ。何としても君にはこの子を守ってもらう必要があった』

『トレローニーの言う預言とやらの為にか?どうでも良い……正直なところリリーのいない世界などどうでも良いんだ。私がそんな奴だってことは、あなたが一番よく分かっているだろう……!』

『それでも君にあの子を守ってもらわねばならなかった。あそこで君を引き止める理由が必要だと思った。でなければ、君は自殺すると思ったからじゃ』

『…………?』

 

 確かにダンブルドアの言う通り、あの時リリーの娘を守るのが君の贖罪だとダンブルドアに説得されなければ、自殺してもおかしくなかっただろう。

 一歩間違えばスネイプは自暴自棄になり人生を投げ出す可能性は多分にあった。

 けれどダンブルドアはそれを必死になって止めた。……何故だ?ダンブルドアは、スネイプを生かすことに何かしらの価値を感じているように思える。

 

『それはそうじゃ……リリーはあの戦いで多くのものを失った。親友だと思っていた男に、愛する夫に、命懸けで守った筈の娘までいなくなってしもうた。その上、更に失わせるわけにはいかんと思うたのじゃ』

『……何?』

『まだ、分からんか?──彼女が愛しているのは、』

 

 

 

『君もなのじゃ』

 

 

 

 口をパクパクするスネイプに、ダンブルドアは言葉を浴びせた。

 

『騎士団に入ってからのリリーのことは、少なくとも君よりは詳しいつもりじゃ。彼女は君と戦うことを恐れておった。君が悪人だと知っていても割り切れぬものがあったのじゃよ。せめてアズカバンで己の罪を恥じる時間をあげて欲しいと……』

『────』

『だからのう、セブルス。儂は君に死んでほしくなくて、シェリーの正体を咄嗟に隠してしまったのじゃ……』

『──では何故今頃になって私に真実を明かしたのですか』

『君を騙したまま協力させることに耐え切れなかった』

『ふざけているな、つくづく……あなたは本当に中途半端な奴だ』

『……どこへ?』

『私は私の責務を果たすだけだ』

 

 そのようなやり取りをして、魔法省への戦いでダンブルドアが昏睡状態に陥って、今に至る。彼はこの展開も予測していたのか事前にスネイプを防衛術の授業の担任にするように指示していた。

 そしてもう一つ、シェリーがホグワーツから離れることになったとしても、けして己が務めを放棄するな、とも言っていた。

 正直言って、シェリーの正体を知った今彼女を積極的に守ろうなどという気概は消え失せてしまった。スネイプを現世に留まらせている理由は、老人の戯言と、ヴォルデモートへの嫌悪のみだった。

 ──まあ、予言によれば、今はまだ死なない筈だ。その間シェリーがどうなろうと知ったことではない。どうせ決戦の時には戻るというのだ、あの顔を見なくても済むのなら万々歳ではないか。

 

(アレは罪の象徴だ)

 

 憎き男、愛した女。それらを併せ持つシェリーという存在。それだけでスネイプにとっては苦痛だというのに、加えて闇の帝王に創られたという過去。全てが彼の愚かさを物語る。

 スネイプは今でも悔恨を引き摺る。或いは闇に傾倒しなければ違ったのか──

 

「先生!」

 

 ハッとして振り向いた。

「……あ、ああ、ミス・マルフォイ。どうかしたのかね」

「この教科書に書いてあること、スネイプ先生なら分かると思って」

「…………!」

「この『半純血のプリンス』とかいう人が残した教科書、闇の魔法についてもいくつか書かれてあったんです。特にセクタムセンプラは強力な呪文でした」

「……だろうな」

「お願いです先生、私にこの教科書のことを教えてくれませんか」

「何を言うか。この教科書に書かれてあるのは、闇の魔術なのだぞ」

「だからこそです」

 

 コルダの見透すような瞳の奥に、硬く熱い意思が鎮座していた。

 

「どんな呪文も使い方次第なんです。闇に堕ちるのは心と力が未熟だからです。だからこそ私は──自分自身の闇を乗り越えるために、闇を識りたい。

 闇の魔術を扱いたいのではありません。どんな闇の魔術があるかを知りたいのです」

「君に必要なこととは思えんが」

「必要なんです。もうなりふり構っていられない──先日の人狼騒ぎのおかげで、私の性根がどれだけ甘ったれてるのかを自覚できたんです。お願いします。今まで私を助けてくれた皆さんのために強くなりたいんです」

 

 思ってもみなかったことだ。

 闇の魔術を教えよう、などと。

 韜晦の年に念に囚われていたスネイプでは無理からぬこと──。

 人間とは個人が持つ善悪の多寡と関係なく、運命という枠で括り付けられる生き物なのだとすれば、コルダは善いところと悪いところの二つの側面を見てきた少女。

 彼女、ならば……。

 

「……わかった、いいだろう。放って置けば一人で練習しかねんからな」

「ありがとうございます!皆さーん!スネイプ先生の許可貰いましたよー!」

「んっ?」

「あー良かったー」

「マクゴナガル先生は校長のお仕事もやられていてお忙しいし、迷惑だものね」

「よろしくお願いしまーす」

「……アー、ミス・マルフォイ?この生徒達は?」

「スネイプ先生に特訓をつけてもらいたい人達ですよ。去年の先生の戦いぶりを見て憧れたんですって。というわけで先生、この子達にも指導をお願いしますね?」

「いや我輩は良いとは言ってな……」

『せんせーい、よろしくお願いしまーす』

「……やればいいんだろうやれば!」

 

 というわけでスネイプは何故か生徒達の指導をすることになった。

 かつて深い関わりのあったマルフォイ家の娘、そして監督生のコルダにこう言われると弱いものがある。……そう、コルダは監督生なのである。意外とヤンチャするタイプの生徒なので決定に少し迷ったが。

 因みに、コルダはタマモにも教えを請うているらしい。人狼としての力をもう一段階高めたいのだとか。夜な夜な寮を抜け出していることに関しては黙認しておいた。

 さて……スネイプに教えてもらいたい生徒の中に、意外な人物もちらほらいた。

 ジニーやルーナ、チョウがそうだ。

 ……まあジニーは何かムカつくので授業と同じノリで虐めてはいたが。

 

「おやおやウィーズリーの末妹はこんなこともできないとはそんなことでよく死喰い人と戦うなどと大口を叩けましたなその鼻持ちならない愚かな精神性にグリフィンドールから十点減点」

「はいはい」

「はいは一回だ小娘」

「はーい」

「……ガキ」

「……陰険ヘソ曲がり」

「フリペンド!」

「エクスペリアームス!」

「喧嘩しないでくださいね!?」

 

 しかしこれまで殆ど見る機会はなかったので気付かなかったが……彼女達にこれほどの才能があると思ってはいなかった。呪いの類ならジニーが一番だし、チョウは防御系の呑み込みが早い。補助系が得意なのはルーナだ。

 途中から参加したパンジーが回復呪文をもっと勉強したいと言ってきた時は、少し戸惑ったが。スネイプの専門は攻撃呪文や闇の魔術であって、回復系ではない。

「ホグワーツ戦線で私ができたことなんて回復だけだから、どうせなら極めたいって思ったんですよね」

「…………フリットウィック先生のところへ行きなさい」

 

「リラ、混ざんなくていいの?」

「……いえ……兄さんが望むなら、そうしますけれど……」

「あっそ。じゃ、行けばいいんじゃね」

「は、はい……!」

 

 いつの間にか大所帯になり、もはや寮の垣根など感じさせぬほどの生徒が教えたり教えを請うたり、目をつけたマクゴナガルから決闘クラブの再開を提案されたり、それはまあ色々な出来事があった。

 何とも……新鮮な時間だった。

 自分と違う価値観どうしが衝突し合い、別の価値観を生み出す……それが学校の本質であるのだろうが、今まで自分しか見えていなかったスネイプにとって、それは目新しいものだった。面白い、と言い換えてもいいかもしれない。

 ただ、それでも、彼の人生において。

 最も光り輝く尊き時間が──リリーと共に過ごした数年間だけだったことは、けして揺らぎようのない事実だった。

 何とも悲しい性。

 彼は生きている限り、リリーへの愛のためだけに行動する。それは盲目とも、呪いとも言える情動だ。……素晴らしく尊くそして残酷。享受すべき幸福を捨て去って、動けなくなって、ただマイナスにしないためだけに動く男。

 

(だが──それが私の存在意義というのなら。それでいい)

 

「先生、今日もよろしくお願いします!」

「──ああ。最後の授業をつけてやる」

 

 死喰い人の戦いは『マイナス』だ。

 彼等と戦うことで得られるものは殆どないのだ。彼等との戦いが成長に繋がることもあるのだろうが、大抵の人は日常生活で成長していけばそれでいいのだと思う。死喰い人と戦って『プラス』になる要素などないのだから。

 だからこそスネイプは戦う。

 『マイナス』からでしか、失ってからでしか気付けなかった男だから。

 奪われる恐怖を、知っているから。

 

 

 

▽▽▽▽▽▽

 

 

 

 

 

「あ」

「ん?」

「げ…」

 

──ホグズミードでばったりと、ダームストラングの兄妹とコルダは出会した。煉瓦の上にしんしんと雪が降り積もって、華やかな街並みを白く染め上げていた。

 

「何だ、しばらくは兄貴にべったりだと思ったがね」

「馬鹿にしないでください、子供じゃないんですからそんなことしません。ただちょっと……少し……顔を合わせ辛いだけですから」

(そっちのがよっぽどガキじゃねえか)

「へえ……意外と子供っぽいところもあるんですね」

「何ですかあなた失礼ですね!!!」

「えっ?」

「アッハッハッ。ってことは今一人か?どうだ?暇なら飯でもどうよ。美味い飯屋を教えてくれ」

「ええ〜…?」

「人助けだと思って頼むヨ。ここは一つ、な?」

「うーん、まあ……それなら」

 

 コルダはホッグズ・ヘッドを案内した。

 三本の箒には知り合いが大勢いただろうが、こっちに来るのは、せいぜいDAの面子くらいのものだろうと踏んでのことだ。

 古ぼけた店内の端っこの、軋む椅子に座る。

 

「悪くねえナ。こういう雰囲気の方が落ち着く」

「え〜?こんなしみったれた所がですか?」

「ぶっ飛ばされてえのかガキども。注文は」

「メニューの端から端まで全部……、」

(クソ客が……)

「……あ、やっぱりステーキ三人前ください」

「あいよ」

 

 不機嫌そうな様子を隠そうともせず、アバーフォースは店の奥に引っ込んだ。程なくして、油の跳ねる音と匂いが漂ってくる。

 

「少食だな。どうした?」

「お父さんが好きだったのを思い出して」

「ああ……、そうだったナ。確か創設者の誰かが誕生日に好んで食ってたんだっけか?」

 

 疑問符を浮かべたコルダに答えるように、ネロは記憶の引き出しを引っ張り出した。

 

「俺の村じゃ祝い事の料理と言えばもっぱら鰊やサーモンをトマトで煮込んだ奴でナ。ステーキなんざ誕生日でさえ出てきやしなかった。

 初めて食ったのはダンテに拾われた後のことで、魔法の修行に散々付き合わされた日の夜に出されたのが、パンと羊肉と豆を煮込んだ奴だったんダ。美味かった。社交界で食うことになるから味を覚えとけ、ってよ」

「思い出の味なのですね」

「そうだナ。都合の良い駒を作るにしちゃ、ちょっとまともに教育しすぎだわな……」

 

 ……或いは、真実は、その逆で。

 

「そういう洗脳をするつもりだったのかもしれねえが」

「ネロさん、リラさん。それを確かめに行く必要があると思います。そこに愛情があったのかどうか……まだ、話せるんだから」

「…………」

「私の父も去年殺されました」

「知ってる」

「最悪な気分でしたよ」

「そうだろうナ。俺もそうダ」

 

 程なくしてアバーフォースはやって来た。

 ただし、運ばれて来たのは料理ではなく、一人の屋敷しもべ妖精だった。ただでさえ人外らしい顔つきは、泣き腫らして原型を留めていなかった。

 

「え……ステーキは?」

「うっうっ……ご主人様……旦那様……」

「めそめそ泣くんじゃねえ!ったく、うるさいったらありゃしねえ」

 

 きょとんとするコルダに、ネロは「レモンは人払いとこいつを連れて来てくれって意味の合言葉だ」と耳打ちした。レモン・キャンデーはダンブルドアの大好物だ。

 

「よう。ウインキー、だったっけ?確かクラウチのとこで働いてたよナ。対抗試合の時にわんわん泣いてたかラ覚えてるワ」

「ぐず……ひっく、あぁ、どなたか存じませんがウインキーを放っておいてくださいまし。ウインキーは長年務めたお屋敷の人がお亡くなりになさって、人生の意味が無くなって、とてもとてもおもてなしを差し上げる気分ではございませんので!」

「………………へぇ」

 

 ほんの少しネロは逡巡すると、

 

「バーティ・クラウチは正義の人だった。俺はあんまり好きなタイプじゃねえが、信念を貫いた男だと思うぜ、俺は」

「そうでございます!あの方は本当に立派なお人で……!」

「で、だ。クラウチが死んじまった理由は色々あるが、結局のところ闇の帝王がクラウチ・ジュニアを唆したのが全ての始まりだロ?そりゃあ、家庭内の不和はあったかもしれねえし、親子のすれ違いもあったのかもしれねえが……闇の帝王さえいなければ人死にには発展しなかった筈さ」

「……ぐす……何が、言いたいので?」

「奴に一泡吹かせる方法があるとしたらどうする?」

 

 

 

「え……ステーキは?」

「そこになければないですね」

 

 

 

 

 

 時が過ぎる。

 連絡用のふくろうから、簡潔に内容を纏めた手紙が届いた。

 

「──来たか」

 

 ダンブルドアの意識が戻った。

 決戦の時は、近い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おまけ

 

『プリクラ』

 

シェリーとハーマイオニーとコルダとジニーが何やかんやあってマグル界に遊びに来ていた。先輩女子と後輩女子でバランスが取れていた。

 

「へーっここがマグル界なのね!すごい新鮮だわ!やべぇ!」

「ええと……私とシェリーから離れないでね二人とも。色々と心配だから」

「大丈夫ですよハーマイオニー、この日のために色々調べてきましたから。ほらご覧なさいこの服、まさしくマグルに溶け込みつつも貴族の気品を感じさせる素晴らしい服装チョイスでしょう?お母様に選んでもらったんですよ!」

(目立ってるけどね)

「駄目ねコルダ、確かに可愛いとは思うけれどそんな高級ブランド丸出しの服装じゃあ目を引くわ。こういう市街地へ繰り出す時は、ママと買った私みたいな服装じゃないとね」

(目立ってるけどね)

 

 ジニーとコルダは目立っていた。

 さて、年頃の少女が遊べるところを一番よく知っているのはこの面子の中ではハーマイオニーである。コルダとジニーはマグル界の娯楽施設など知る由もないし、シェリーは遊んだ経験がない。

 当然、マグル界観光ツアーとしてハーマイオニーが遊ぶ場所を考えることになるわけである。

 

「どこに行くのハーマイオニー!」

「期待してますよハーマイオニー!」

「え?は、ハーマイオニー!」

「ふふ、任せなさい。今日私達が最初に行くのは──図書館よ!」

「……………(呆然)」

「それもただの図書館じゃないわ、国立図書館よ!」

「……………(絶句)」

「……な、なによ。冗談だってば」

「冗談に聞こえないのよ」

 

 というわけで四人はゲームセンターに来ていた。

 

「何ですかこのピコピコは!?」

「めっちゃ眩しい!あ!ぬいぐるみがいっぱい置いてある!取り放題!?」

「お金入れないと駄目だよ?」

「このアームを操作するのね。……面倒臭いわ、杖使った方が早くない?」

「ジニーは機器の意図を理解してる?」

『コインを入れてね!』

「うわっ喋った!?ちょっちょっこの箱喋りますよどうなってるんですか!?」

「魔法界の方が何で喋ってるのか分からない連中がゴロゴロいるでしょうに」

 

 さて、やはり目を引くのはプリクラである。

 可愛らしくプリントして文字を書いたり色々して可愛くするのである。

 

「しかしさっきはビックリしたわ、いきなり証明写真の方へ歩き出したかと思えば自信満々で『これがプリクラだよ!』なんて言うんだもの」

「ハ、ハーマイオニー、その辺りでもうやめてよぅ」

(違いがよく分からない)

「だけど私もプリクラなんて初めてだから少し緊張するわね……ええと、この中に入ればいいのかしら……?」

 

 プリクラ撮るやつの中に入った。

 ヴォルデモートがいた。

 

「ははははシェリーどうしたご機嫌斜めだな何かあったのか?」

「帰れ」

「仕方がない、俺様がプリクラが何たるかを教えてやろう」

「帰れ!!!」

 

おわり。

 

 

 




おまけでヴォルデモート出しとけばオチがつく気がしてきた。

最近知ったんですけど、デビルメイクライってゲームでダンテとネロってキャラがいるらしいですね……。ダンテは知ってたんですけどまさかネロまでいたとは……。
私はデビルメイクライは友達の家で少しプレイした程度で全然知識無かったんですけど、ちょっと興味湧いてきた。
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