1.シェリー・ポッターと愛する少女
──物心ついた時から、私が怖かったのはいつだって未来だった。明日が来なければ良いのに、なんて何度思っただろう。
『怖い』、だって……?
私が怖いものなんて、それこそ一つだって無かった。……ああ、いや、セドリック達が目の前で死ぬまでは、か。
あれ以降、私の怖いモノは仲間や友達の死体になった。
仲間を失うことは、“つめたい”。身体の芯まで冷え切ってしまう。
それを回避するためなら、どんなことだって怖くない。
──わたしは、こわい、なあ──
……あなたは、誰?……
あなたは……何に、怯えているの?……
──すべてが。私は未来が、こわかった──
シェリー。
あなたは、起きないとだめだよ。
誰かを傷つけることでしか生きられないほど、追い詰められて、苦しんでる。
空は哭いて、神は救わず、世界は騙され続けてる。
あなただけが、救えるのだから──
立ち上がって、シェリー。
▽▽▽▽▽▽
「ふんふふんふふーん♪」
──甘くて清潔なにおいは、白樺だ。
鳥の囀りに耳を傾けながら、少女は森の中を進んでいく。足取りは軽く、跳ねるみたいにぴょんぴょんと樹々の間を駆ける。
今日は、自由に出歩いてもいい日!
村の友達と遊ぶのは楽しい。けれどたまにはこうして冒険に出ないと、好奇心は退屈に殺されてしまうだろう。
(河の方へ行きましょう。脚がふにゃふにゃになるまで水遊びをするの。そしたら花畑で花冠を作って。それから、それから──ああ、とっても楽しみ!)
マリィ・リエットは、とある魔法使いの村落に住む純朴な少女だった。
紅い髪に、黒いリボン。ツインテールに結んだ姿はまだまだあどけない。
北欧独自の、瑞々しい肌を溌剌に輝かせながら、森の奥の河までひた走った。ここに越して来てからというもの、あの澄んだ河川はマリィのお気に入りの場所だった。
だが今日に限っては、そこはマリィだけの場所ではなかった。
水の跳ねる音。魚が泳いでいるのではないだろう。人が、水を飲んでいる音だ。
好奇心も露わに、水音のする方を向く。
どきり、と、心臓を掴まれたようだった。
大人の女の人がいる。
村の女性ではない。アンニュイな雰囲気の綺麗な女の人。
紅い髪の女性──簡素な服に身を包んだその女性は、枯れ木のようにひどく窶れてはいたものの、生まれつき持っているのであろう美しさは損なわれてはいなかった。寧ろ、成熟した女性の気怠げなかんばせからは、透き通るような萌葱の凛々しさすら感じさせる。
──きれい。
どういった人物なのだろう。
どのような女性なのだろう。
赤髪の女性は顔を拭くと、こちらを見た。
深い紅色の下から草原のような榛が覗く。
奔放で、束縛されない色彩だった。
「ぁ──お、お姉さん!お姉さん、どこからいらっしゃったの?ここらでは見ない顔だけれど」
「……アー……」
大人びて見える女性は、マリィの質問に予想外にもどもった。
何か言いたくない事情でもあるのだろうか。
「アー……ヴォンジュール?ええと、私はイギリスから来ました……」
(外国の人……!)
マリィは生粋のフランス人であり、フランス語しか喋れなかった。
困っているように見えたのはどうやら言語だったらしい。
「イギリス……イギリス!まあ、まあ!名前は何て仰るの?」
「あ──え、と、シェ……」
「シェ?」
「じゃ、なくて。ハーマイオニー。そう、ハーマイオニー・グレンジャー。それが私の名前……です」
「ハーマイオニー……ハーマイオニー!素敵な名前だわ!私はマリアって名前なの!ねえ、ハーマイオニーはどこから来たの?ああ、もしかして旅人様ね?私、お爺さまに聞いて知っているもの!例のあの人が席巻してからとんと減ってしまったけれど、世界には自由を求めて旅に出る人が沢山いるって──」
「プ、プリーズ、スローリー」
はたと、口を閉ざして赤面する。興奮すると口数が多くなるのは悪い癖だ。
反対にハーマイオニーと名乗る女性の語り口は辿々しく、まるで人と会話することそのものが久しぶりであるかのように、口にする言葉がちゃんと“言葉”なのか確認しながら喋っているようだった。
「ん──ええっと、旅──そういうものなのかな。アテは無いんだけど──」
「……、貴方も故郷を無くしてここまでやって来たの?」
「────貴方“も”?」
「ええ、そうよ。私は元はフランスはブルターニュの田舎の方に住んでいたのだけれど、例のあの人の台頭で、そこも安全とは言えなくなってしまって。移動鍵と夜の騎士バスを頼りにここまで移住してきたの。国境付近は激戦区と言う人もいるけれど、そこさえ越えれば不死鳥の騎士団の最後の砦があるもの」
「騎士団……?最後の砦……??」
「どうしたのハーマイオニー?」
「……ええと、実はここ数年は一人で放浪していたから世間の様子も碌に分かってなくてね。行くアテもないし。よければ君の住む……村?街?へと案内してくれると助かるんだけど……」
「!ええ、ええ!喜んで!きっとハーマイオニーのことも受け入れてくれるわ!あの村の人達は、例のあの人から逃げて来た人達が集まってできた所なんだもの!」
混乱気味の紅の女性を、自分の村まで案内するマリィ。
幼子の心臓は高揚を隠せないでいた。
なにか──退屈な世界に、たのしいことが起こる予感がする。
(危ない……ローズやブルーにフランス語を教わってなかったら会話すらまともにできないところだった……)
ハーマイオニーを自称する女は内心で心臓をバクバクとしながら、マリィと名乗る少女についていく。マリィはまだ杖も持っていないようだし、まだ十一歳になるかならないか、といった年頃だろうか。単純に学校に通えていないだけかもしれないが。
……嫌なことは考えないようにしよう。
考えたって仕方のないことだ。ただ不安になって落ち込むだけで、良いことなんて一つもないのだから。
「ここが私の村よ!」
「おおー…村って言うよりは、キャンプ地って感じだなあ……魔法のテントがあちこちに張ってあるや」
まるで隠れ住むように、その村はあった。
大きな木をノックすると、先程まで何もなかったところに村が現れる。死喰い人対策の簡単な視界遮断の魔法でもかけているのだろう。
住人は……殆どが子供や老人のようだ。
おそらく、魔法大戦の影響で住居を失った人達の集まりなのだろう。
「あ、マリィだ!」
「マリィが帰ってきた!」
「知らない女の人もいる!」
「わっ、わっ」
あっという間に好奇心旺盛な子供達に取り囲まれた。
「紹介するわ!私のお友達! エトワール! カノ! ルーシー! サルパトーレ! サティ! リリア! イヴ! 皆んな素敵で良い子達ばかりよ!」
「えっと……、エトワールと……」
「おや、君も例のあの人から逃げてここまで来たのかね?」
「……えっと、」
「この村の村長さん!ウイ爺よ!ウイ爺は英語を喋れるのっ」
立て続けに情報が入ってくる……!
「ええと、シェ、じゃなくてハーマイオニー・グレンジャーです。イギリス出身なんですが、えと……色々あって、外国に行っていて。……色々あって、ここに辿り着きました。よろしく、ウイ爺」
「ああ、よろしく、ハーマイオニー。見ない顔だが、うん、マリィが懐いているのなら心配はないじゃろう。何せ、人の心の機微には人一倍聡い子じゃからの」
(英語喋ってくれてる……!)
「ここの住人達は例のあの人によって家族を失くしたり、故郷を追われた者の集まりでな。こうしてお前さんのような人達を保護しておるんだが……近々、イギリスへと逃がす予定だったのだ。今や、あの国が世界で最も安全だからな」
「……その辺り、詳しくお聞かせ願えませんか。今は少しでも情報が欲しい」
長い話になる、ということでウイ爺の家に行くことになった。
出されたシチューを頬張る。相変わらず味は分からなかったが、実に四年ぶりの食事に胸が踊った。
……そう、四年ぶり、である。
彼女は四年間眠っていたことになる。
ホグワーツ六年生の時に眠り始めて、四年が過ぎたので……今の肉体年齢は二〇歳といったところか。鏡を見ると、背も伸びて顔立ちもどことなく変わっていた。
いや、『オリジナル』が一歳の時にこの肉体が作られたのだから、正確に言うなら十九歳になるのか?……考えても分からないので考えないようにしよう。
今はともかく、もう成人しているので魔法を使っても“匂い”が出ないこと、そして四年も経っていながら魔法大戦は未だ終結していないこと……その二点さえ分かっていればいいだろう。
「じゃあえっと、ヴォ──」
「シーッ!例のあの人の名前を呼ぶと魔法で感知されることを知らんのか!?」
「えっ!ご、ごめんなさい」
「まったく、命知らずというか、何というか……肝が冷えたわ」
「ほんとごめんなさい……最近は新聞も碌に読めてなくって」
「新聞など、人の恐怖を煽るだけじゃよ。魔法省への非難、死亡記事、行方不明事件の記事は、書けば儲かるものじゃからな。今は命知らずの、しかし気持ちの良い若者が不定期で放送しているラジオだけが、正しい情報を伝えていると言えような」
「へえ……(珈琲を口に含む)」
「そう──ポッターウォッチこそが」
「ぶっ(噴き出す)」
「だ、大丈夫かね?」
「ゴホッ、ゲホッ。……ずみまぜん」
めちゃくちゃ聞いたことのある名前に思わず咽せた。
「君も今度聞いてみるといい。声も喋り方もそっくりの双子と、やたら実況がうまい若者がパーソナリティのラジオじゃ」
「……へ、へえ。それは、とても興味深いですね」
「ともあれ、状況は芳しく無いのも現実じゃよ。イギリス以外のヨーロッパは北から順に陥落されていっとる」
「──ッ」
陥落、ときたか。
予想はしていたが、改めて現実として言われると直視し辛いものがある。
ローズやブルー、ネロやリラ──彼等の故郷を死喰い人が蹂躙している事実。何とも言えぬ感情が込み上がる。
「破竹の勢いとはまさにこのこと……ヨーロッパの各魔法省は他国に救援要請を出しておるが、あまり相手にはされておらんようだ」
「何故です?」
「例のあの人の侵略はあくまでヨーロッパで起きていることであり、自分達には関係のないこと。援軍を出してやってもいいがそれ相応の金を寄越せ。……というところじゃな。ニホンやアメリカは申し訳程度に部隊を送り込んどるようじゃが、戦争に本格参戦する気はハナからない。死喰い人をいくら倒したところで、他国にとってはメリットなんざ無いからの」
「そんな──そんなことで、例のあの人には──」
「ああ、勝てん。ダンブルドア、アレン、フラメルが死んでおいて、その姿勢はあまりに呑気が過ぎる。しかし同時に恐れてもいるのじゃ。彼の怒りが自分達の国にまで来たらどうしよう、という──」
「…………」
「希望があるとすれば──現イギリス魔法省大臣のスクリムジョール自らが再編した闇祓い──いや、不死鳥の騎士団であれば、或いは」
「え、不死鳥の騎士団?」
懐かしい名前だ。
だが……シェリーが知る限り、不死鳥の騎士団は隠密に行動することを旨とする組織だった筈だ。それが今では、死喰い人討伐の旗頭となっているとは……。
「元はダンブルドアが秘密裏に組織していたレジスタンスだったらしいが、今は闇祓いや力のある若者を中心として部隊が組まれた、まあ……戦いのための集団じゃよ。ちょいとしたカリスマ的存在で、騎士団に入りたいという若者は後を経たん。三つ隣の家に住むサルパトーレも入団すると言って聞かんのだ。まったく……出来立ての料理を口に含んだまま踊り出すようなアホが何をするというのだ」
「そんなに……」
「『ダームストラング城の戦い』で双方共に少なくない打撃を受け、例のあの人が肉体を休めている間、スクリムジョールは不死鳥の騎士団を総動員して絶対防御の構えを取ってな。攻めあぐねた例のあの人は一旦イギリスを標的から外したのだ。イギリスは世界有数の魔法国家、ダンブルドアがいなくとも“陥落”は難しい。ならば資金を調達する目的も兼ねて陥としやすい他国を中心に狙う方が効率が良い」
「なるほど……」
「特に──ベガ・レストレンジという青年が力をつけてきた。ダンブルドアとアレンの二強時代に続くように現れた、新しい希望の焔といえよう。彼を騎士団側の最大戦力と仰ぐ者も少なくない」
「え……!?ベガ!?」
「?何じゃ、知っとるのか?」
「え、ええまあ、知り合いの名前に似ていたもので……」
何やら物凄い出世している友人に驚きを隠せない。
いや同姓同名の別人だったりするのか?
ベガ・レストレンジ……一体何者なんだ……。
「今イギリスが抵抗を続けられているのもベガ・レストレンジという最終防衛線があるからじゃろうな。何でも、学生時代は悪魔とか呼ばれて畏れられたとか」
(間違ってはない)
「だがまあ、儂個人としては新世代の台頭による弊害は少なからず起きていると感じておる。若者の登用……君もそれが目当てで騎士団に行こうとしているのなら、悪いことは言わん。やめておきなさい。止める権利は儂には無いが、若者に忠告する義務はある。彼等のお陰で生き永らえている以上、強くは言えないが……それでも儂より若い者が死ぬのは見ていて痛ましい」
「…………」
「強い意志があるのなら止めはせん。だが儂のような考えを持つ老人が大勢いることをどうか、覚えておいてくれ」
「…………はい」
「ところで……さっきマリィが国境を越えるとか何とか言ってたんですけど」
「ああ。この村はイギリスに向かって進んでおる。イギリス近辺は死喰い人の数も多いが、不死鳥の騎士団本部があるのでそこまで逃げるつもりなのじゃよ。若者も戦場に立たせる騎士団の在り方に疑問を抱いておきながら、結局は彼等の庇護を受けねば生きていけんとは、矛盾しているとは分かっているがの……。
住居の殆どがテントなのも、すぐに移動できるようにするためじゃ。君もイギリスに帰るつもりなら、一緒に行こう」
「はい……私は、イギリスに帰らなきゃいけないから……」
──分かっていたことじゃないか。
フランスに住んでいたというマリィがわざわざイギリスまで“逃げてきた”と言っていたのだ。その理由は嫌でも想像がつく。
則ち──『亡命』だ。
「皆んなが頑張っている間、私は呑気に眠ってたんだ……」
自分一人が魔法大戦に参加していようがいまいが、どうせ大した戦力にならなかっただろうが、それでも何かできることはあった筈なのに。
この数年を無駄にした。
その事実が、重くのしかかる。
……ふと。
気持ちが落胆していた彼女は、自分を物陰から見てくる視線を感じた。
「マリィ?」
「きゃっ!き、気付いていたのね……じ、実はちょっと聞きたいことがあって」
「うん?」
「ハーマイオニー、イギリス出身と言っていたでしょう?……つい最近まで世界各地を渡り歩いていた、ってこと?」
「ン──まあ、そうなるのかな」
「まあ!それじゃあ、さぞ大冒険だったのでしょうね!」
本当は下水道やゴミ溜めの中で寝泊まりしていただけなんだけど。という言葉は口の中にしまっておいた。知らない方が良いこともこの世にはある。
……それにしても、マリィの好奇心は眩しい程に輝いている。
ロックハートの教科書でも渡せばきらきらした目で齧り付くように本を読み耽りそうな勢いだと、内心で苦笑した。友人を思い出して、心が重くなる。彼女は今、どうしているだろうか。
「物見遊山する余裕はなかったよ。生きていくので精一杯で、ここ数年は殆ど死んでいたようなもの……この村まで来たのは偶然なんだ、本当に」
「あ──ごめんなさい」
「ッ、こっちこそごめんね。暗い話をするつもりじゃなかったんだけれど」
「本当……何のために生きればいいのか分からなくなっちゃって。……イギリスの自分の家に帰れば何か分かるのかもと思って」
考えたこともなかった。
その必要すらないと思っていた。
自分の幸せ。生きる意味。戦う理由。
大抵の人は家族のためとか、財産を失ったからとか、そういったありふれた理由で立ち上がるのかもしれない。或いは大義や正義を持って戦うのかもしれない。
けれど、自分の理由は『そういう風に生まれたから』……なんと空っぽで、虚しくてつまらないんだろう。……自分さえ死ねばいいと思い込んでいたから、自分が死ぬことでどれだけの痛みを他人に与えるかを理解しているようで理解していない。
なんと薄っぺらい人間だろう。
無意識のうちに頭は下がり、下を向いてしまう。そんな彼女の頬にマリィは、ぴとりと人差し指を当てて笑顔を作らせた。
「無理しないでね」
「…………」
「休んでもいいのよ。疲れを取るのだって大事なことなんだから。お母さんが言っていたわ。辛い時ほど頑張って、頑張りすぎた後は休むんだって」
「…………マリィ」
「ふふ。ちなみに私は疲れを取って、もうすぐ来る十一歳の誕生日に向けて気持ちを落ち着けるつもりなのです。杖が貰えるのよ?大人の魔女の仲間入りだわ」
「……ああ、それは、お祝いしなきゃね」
「──きっと、ハーマイオニーはとてもとても疲れているんだわ。でも、きっと大丈夫!どんなに辛いことがあったって、きっと同じくらいの幸せがある筈だから。私はそう信じてる!──」
「未来は──きっと輝いているわ!」
マリィの笑みは、とても眩しくて。
(ああ──そうか。人は、希望を見るんだ)
暗い暗い夜の霧を払わんと、人は歩み続けるのだ。
確かに今、マリィの中にそれを見た。
この子なら、或いは──新たなる象徴に成り得るのかもしれない。
何はなくとも、マリィ・リエットの在り方を美しいと思った。
復讐のためでなく。
何ら曇りのない理想を、彼女は確かに胸の内に持っていたから。
「────」
「わ、え、泣いてるの?どうしたの?何か悲しませるようなことをしたかしら?」
「ちがうの。……ちがうの」
自分が不甲斐ないばっかりに、闇の帝王は未だ止まらず、何年も寝こけてしまい、挙げ句の果てに全く関係のない人達まで犠牲になっている。
罪悪感で押しつぶされそうだった。
申し訳なさで死にたくなっていた。
けれど──救いはあった。
こんな絶望的な世界の中にあって、まだこんな風に笑ってくれる子がいた。
「ありがとうね、マリィ」
「……? ??ええ、ハーマイオニーのお役に立てたのなら、光栄だけれど」
「貴方みたいに真っ直ぐな子がいてくれたことが、とても嬉しいんだ。……こんなこと言われても戸惑うと思うけれど、マリィみたいな子がいるって分かって、この世界もまだまだ捨てたもんじゃないなって。そう思えたんだ」
だから。
「──生きていてくれて、ありがとう」
ハーマイオニー・グレンジャー……いや、その真の名はシェリー・ポッター。
神に愛されなかった、呪われた女性。
魂は慰撫せずとも。心は未だ痛みを訴えようと、渇いた大地に降り注ぐ血の雨を看過できるほど、傍観者にも撤しきれない。
シェリーは再び踏み締める。
この子を守るために──
新たな希望のために生きる。
未来がほんの少しだけ輝いて見えた。
──再起の時は、近い。
◯マリィ・リエット
フランス出身の十歳の少女。
天真爛漫な少女。紅い髪を黒いリボンで結んでおり、目は澄んだ青色。もうすぐ来る十一歳の誕生日で杖を貰うことを楽しみにしている。
作者が好きなハリポタ主人公の要素を詰め込んだらこんな名前になった。(マリア+リィン+ハリエット)
◯シェリー・ポッター
四年の時を経て復活!目が覚めたら二〇歳になったウーマン。
当然身長も伸びており、小柄だった体躯は女性らしく成長している。
大体一六〇から一七〇の中間くらい。
寝る子は育つ。