シェリー・ポッターと神に愛された少年【完結】   作:悠魔

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あけましておめでとうございます!
今年中には完結できるといいなあ!


9.シェリー・ポッターと闘争の予兆

 

Here lies Dobby, a Free Elf(自由な妖精ドビーここに眠る)

 

 

 

「──よし、これでドビーの分のお墓も建てた、と」

 

 クィレル、クラウチジュニアに続き、三人目の仲間の墓を作り終えたところで、シェリーはひと息入れた。

 できるだけ故郷の風を感じられるようにと、海沿いの墓地を選んだのだが──彼等は空の上で喜んでくれているだろうか。

 

「本当に杖なしで作るんだからなァ。せっかくの手がボロボロですね」

「うん……でも、どうしてもそうしたかったから。私の杖は、少し血に汚れすぎた」

「…………」

 

 渇き切った手を握ると、俄に痛む。

 

「何だか……今の魔法界は、強くなければ生きていることさえ難しいような、そんな世の中になってる。だからこそ、ロックハートさん達に力を貸してもらえて本当に良かったと思ってるよ。

 あのハリーだって……単純な力では絶対に敵わなかった相手だったもの……」

「ふっ。私のようなペテン師が世にのさばる時代になったらそれこそお終いですよ」

「……ふふ、かもね」

 

 ドビーの墓を撫でながら苦笑を返した。

 そうしていると、潮騒の合間から声が聞こえてくる。

 

「あんた達、ここにいたのね」

「パンジー……」

「こっちも殉職した騎士団の埋葬が終わったとこ。ファンガーソン家に伝わる、肉体を封印する呪術で死体を保存して、遺族の所に連れて行く人もいるけれど……ひとまずは騎士団支部は休業ね」

「ありがとう、あなた達のおかげで──…」

「何度も言うようだけれど!」

 

 人差し指を向けられたシェリーは思わずたじろぐ。

 

「私達は、あんたのためにやった訳じゃないから!そりゃああんたのファンクラブはあんたのために動いたのかもしれないけれど、騎士団の人達はあのハリーの野郎をぶっ飛ばしたかっただけだから!そこは勘違いしないでよね!あいつらの覚悟や想いを一括りにすんな!」

「……、うん、分かってる。

 一緒に戦ってくれてありがとう、パンジー。騎士団の皆んなにもお礼を言うよ」

「…………ん」

 

 照れ臭そうにそっぽを向くパンジーを見て笑いそうになるのを、シェリーは必死で噛み殺した。多分、今笑ったら頬をつねられると思う。

 

(今更名乗る資格などないですが、教師の面白さってのはこういうところにあるのかもしれませんね……あんなに幼なかった子供達が……)

「で?これからどうするの、あんた達」

「──イギリス本土へ行く」

「……マジ?ハリーは倒せたんだし、もう少し休んで、本部の連中の到着を待っても……」

「その『ハリーを倒せた』というのが問題なんです」

 

 割り込む形で、ロックハートが話に入った。

 

「ハリーは死喰い人の最高幹部。そんな彼がやられたとなれば当然、死喰い人側は血眼になって殺した人間を探すでしょう。

──ですが幸いにもハリーはシェリーとの戦いに執着していたため、他人に勝負の邪魔をされないよう、部下も連れてきてませんでしたし、上司にも嘘の報告をしていたらしいんですよね。『今日も異常なし、反乱分子の調査を続ける』ってね」

「……そんなのどうやって調べたの?」

「戦いの後にマンダンガスに問い質したら快く教えてくれましてね」

「ああ……」

「まあそういうわけで、例のあの人がハリーの死に気付くまでにはタイムラグが生じるわけです。その隙にイギリスに向かい、向こうの戦力と合流する……

 仮に例のあの人がシェリーの存在に気付いてしまえばそれこそ紅い力の刺客を送りつけてきてもおかしくないんですから」

「成程ね……」

 

 ハリーだけでも死屍累々の結果だったと言うのに、これ以上幹部の相手をされてはたまらない。故に、早くこの場を離れて身を隠さねばならないのだ。

 それに──パンジーには言っていないが、イギリス上陸を急ぐのにはもう一つの理由がある。

 紅い力の幹部がハリーの死を調査しに来た時、そのタイミング如何によってはパンジー達が狙われる可能性があるということ。パンジー達もハリー打倒に関わりがあるのは事実だからだ。

 故に、敢えてシェリー達はパンジーらと別行動を取ることにした。

──囮の役目だ。

 

(……けれど、死にに行くために囮になるわけじゃない。これは考えようによっては迎え撃つチャンス……)

(というか、自己犠牲とか言い出すようなら、私が死んだあの人達に代わって君をぶん殴りますけどね)

 

 無論、死喰い人達が気付いた頃には既に騎士団本部へと逃げ込めているのが一番良いのだが。

 

「不死鳥の騎士団本部は、イギリスはスコットランド……ホグワーツ。魔力防壁を何重にも敷き詰めた厳戒態勢を敷いてる。当然姿あらわしどころか移動鍵、暖炉ネットワークも使えない。騎士団はここを拠点に動き回ってるってわけよ」

「『最後の砦』、だったっけ。砦への移動手段は……」

「ホグワーツ外部に点在する監視用の砦への移動鍵が、ここから暫く歩けば設置してあるわ」

「よかった。最悪の場合、箒で突入しようと思っていたから」

(えっ?)

 

 ロックハートがすごい目をした。

 

「ん……じゃあ、言うべきことは言い尽くしたわ。……精々頑張んなさいよ」

「またね、パンジー」

「……何よ?握手なんて間柄じゃ……あーもう」

 

 掌の温もりは、確かな繋がりを示していた。

 湧き上がる感謝の気持ちを胸に、女達は、それぞれの路へと進んでいく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

▽▽▽▽▽▽

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──ロックハートが密かに抱き、しかし口に出すことはなかった疑念は、現実のものとなってしまった。

 紅い力……それは分霊箱の要素も併せ持つ高等魔術。

 切り分けた暴食の魂が消失したことを、かの帝王は胸の内に突如として感じた、深く昏い孔が開いたような感覚から理解した。この得体の知れない気持ち悪さは……かつて味わった『死』のそれに近い。

 

「ハリーが死んだ」

 

 紅い力の幹部達は、その事実を悟っていたのか、反応は軽微なものだったが──それでも波紋は出来ていた。

 まさか、あのハリーが。

 欠落したものを求め執着する哀れな人格を軽んじてこそいたものの、力そのものは評価していたし、少なからず尊敬の念すら抱いていた。

 ハリーの強みはハングリー精神。

 現在の魔法界において最強といって差し支えのない毒使いでありながら、貪欲に魔力や技術を吸収せんとする貪欲さ、力への飢えこそ何よりの強みだった。

 

(だが、紅い力を通じて伝わってきたこの感情──

 あいつめ。戦いの中で満足感を、幸せを感じていたというのか?野に咲く花のように穏やかな心地だ……

 ……愛とかいうやつか?くだらん。……)

 

 ハリーの『愛への渇望』という欲求をこそ、ヴォルデモートは最も軽視していた。くだらない。世界には数多くの享楽あれど、肉親への愛ほど愉快さとかけ離れたものはない。愛とは不自由という名の楔だ。

 闇の帝王として君臨しこの世の悦楽に浸るヴォルデモート卿が、親愛を取りこぼしていた……そんな話があっていい筈もなし。自分が持っていないのは、自分に必要ないものだからだ。

 かつて闇の魔術に手を染めて蛇のような貌になった時も「父親似の顔でなくなるのなら」と、逆に喜んだくらいだ。今はまた父親似の顔に戻ってしまったが、あの男が自分に似ているのであって、自分は自分なのである。

 

(……何とも、まあ。似ていない子供が生まれたものだ)

「──どうします、我が君」

「ん。ああ、そうさな──」

 

 帝王は次の手を思索する。戦力としてのハリーの損失は手痛いものがあるし、これで騎士団どもが調子付いても面白くない。

 

「……ハリーはまぐれで倒せるような相手ではない。戦略や戦術、策謀が多々あったにせよ、必ずそこには奴と張り合えるだけの強者がいた筈だ。

 だがそれが可能なベガとアバーフォースは、別の場所で戦っているという報告もあった。……つまり見知らぬ誰かが介入した、ということになる」

「──まさか」

「ああ……彼奴が、目覚めたのやも知れん。

──シェリー・ポッターが」

 

 言いつつ、十中八九シェリーだろうとヴォルデモートはアタリをつけていた。確信の域にまで入っている。

 ただ、ハリーを倒し得るもう一つの例外も、いなくはないのだが──

 

「そうだな……“奴”の動きも気になるところだ。イギリスに向かっているという話も聞くし……シェリーがハリー殺しの下手人なら、あいつも今頃イギリスに向かっていることだろう。

 “奴”と、シェリーや騎士団が戦うことで共倒れしてくれれば有難いのだがな。その光景を観ながら酒でも呑めば美味いだろう」

 

 仮に、イギリスの魔法使いを全員纏めて相手したとしても負けない自信がヴォルデモートにはある。が、単純に戦って疲弊したところを眺める方が面白そうだと判断すれば、喜んでそちらを取るのがヴォルデモートだ。

 漁夫の利が目的ではなく、面白そうだから、が目的なのだ。

 

「怠惰なりしオスカーよ!イギリスへ向かい、シェリーの捜索と“奴”の監視を貴様に命じる!

 クク、うまく事が運べば“奴”への対処で右往左往するシェリーと騎士団の様子が見られるだろうよ」

「──ご随意に、我があるじ」

 

 細いフレームの眼鏡を鈍く光らせて、煙のような男は元からそこにいなかったかが如き静けさで姿を消す。

 一見すれば無害そうな、けれど本性は身も凍る害悪。

──まさしく煙草の煙を体現した男が、シェリーに接近せんとする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

▽▽▽▽▽▽

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──不死鳥の騎士団支部。

 パンジーやエイモスがいた支部ではなく、シェリー達がこれから行こうとしていたイギリスの支部。

 そこは主に監視塔としての役割が強く、外部からやって来る死喰い人達を取り締まる一方で、最後の砦へと逃げ込む者の中にスパイがいないかを見る部署である。

 当然、監獄も併設されているわけだが──

──そこには、アズカバンより移されてきた囚人も何人か存在している。

 

「──地鳴りが聞こえる」

 

 最初に異変に気付いたのは、その囚人。

 同じく収監されていた囚人が耳を澄ませると、確かに揺れと振動が伝わってきた……気がした。他の囚人達はどこかで地震でも起きているのかもしれないと暢気に構えるが、唯一、その男だけが地鳴りの意味を理解した。

 微かに漂う闘争の気配をいち早く察知し、人知れず精神を高揚させる。

 

「……あァ、んん……♪……」

 

 彼の鋭敏な感覚はどうやらまだ失われてはいなかったらしい。やがて来る戦争の予感に鼻唄を歌った。

 彼こそは、戦いに明け暮れた戦争屋であるが故に──

 

 

 

 

 

「戦争、戦争だ。もうじきここは戦地になる。杖も無ェ兵力も無ェ、けれど楽しい戦争が始まっちまうぜ。運が良けりゃ参戦できるかもなァ──

──オジサン、興奮してきちゃったぜ」




おまけ

シェリー「貴様……他の共演者の皆様にご迷惑をおかけしたらその首を捻じ切ってやるからな……!」
ハリー「君こそ一問でも間違えたら全身の細胞と泣き別れる事態になると思え……!!」
ハマダ「なにしとんねんお前らァアアア──!!」

数年後

シェリー「他の共演者の方に迷惑かけちゃダメだからね」
ハリー「あァ!?うるさいな君は僕の保護者か何かか!?」
ハマダ(シェリーちゃんデカくなったなぁ)

おわり。
シェリーとハリーのコンビとか速攻で写す価値なしになりそう。
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