青年の手を掴むのは誰?   作:寡黙なる詐欺師

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眩しい幼馴染

 

…最悪だ。

いずれ、こうなる事は分かっていた筈なのに……

可能性の問題ではなかった。

彼女なら立ち去ろうとする俺を引き留めるに決まっている

焦り過ぎたんだ。

ボロを出したくなかった

さっさと、居なくなりたかった

だけど、それをしなかった。

 

思ってしまったんじゃないか?

 

心の奥で。

 

彼女に引き留めてほしい、と。

 

 

俺は彼女の優しさに甘えてしまった

だからこそ、気が緩み、こんなミスをしてしまった

俺はまた、甘えてしまった

もう…正直に話すしかないか…

 

「…どういう意味って、そのまんまの意味だろ」

 

≪ソウル、転移魔法の準備だ≫

 

≪………了解≫

ソウルとは、俺のデバイス

正式な名前はアンブレイカブル・ソウル

そのデバイスであるソウルに念話で話しかけた後、俺はさらなる言葉を紡ぐ

 

「――――俺は管理局をやめる。たった、それだけだ」

 

「どう、して?」

 

「…嫌なんだよ、人を救える立場に居ながら誰一人救う事が出来ない俺が…」

 

「とても惨めで、伸ばした手が救いたい人に届かない事が、虚しくて悲しくて、そして…」

 

「辛いんだよ。自分を殺したいくらいに」

 

「‥‥‥じゃない」

えっ?

 

「惨めなんかじゃない!」

なのはが突然、声を張り上げる

目尻に雫をよせている彼女を見ていると、ふと、思う。

 

「ゆっくんは、いつもフェイトちゃん、はやてちゃん、そして…私を救ってくれた!」

これは彼女の優しさ

 

「不安でいっぱいいっぱいの私達の背中を押してくれた!」

そして、俺がつい甘えてしまう温もり

 

「私達を支えてくれた!」

この温もりに甘えていてはいけない

彼女達に近づけば、俺は彼女達の足枷になる

 

「ゆっくんが差し出してくれた手は、ちゃんと私達が掴んだ!」

彼女が眩しい

 

「だから、自分の事を惨めだなんて言わないで…」

かすれそうな声で言うなのは

…やっぱり、お前が眩しいよ

あぁ、なるほど。

 

 

 

 

「……だから――俺は、なのはの隣にいられないのか」

 

 

俺がいくら努力してもきっと、いや、絶対になのはの隣にはたどり着けない

だから俺が彼女と同じ道を歩むことはできない

 

「――えっ?」

 

ならば、せめて俺が彼女の足かせにならないようにしないとな

 

「とにかく、俺が管理局をやめるのは、もう決めた事だ」

 

「そんな!?」

 

「これで、俺とお前を繋ぐ線もなくなった」

 

…いや、正確には一つあったか

幼馴染という一本の線(ライン)が

だが、それはもう、必要ない。

 

「だから――」

 

 

 

 

今まで、ありがとう。

 

 

 

 

そして……

 

 

 

 

 

「――――さようなら」

 

 

 

 

「待って!」

 

 

俺は転移魔法で、なのはの前から姿を消した

 

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