よく分からないけど頑張るしかない!   作:ぽむぽむ

18 / 21
遅れて申し訳ございません!
まぁ、読んでくださる方が居るのか分かりませんが.....


言い訳をさせてもらうと、思ってたより高校がキツかったんです......
しかもこれからバイトを始めます.......すんません......


それでは本文どうぞ。


事件の真実

今日は事件の翌日。雨が降っている。

なんか日本語が変な気がするけどまぁいいや。

 

俺とアスナ、更にキリトがヨルコさんに話を聞いている。

 

「ねぇ、ヨルコさん。あなた、グリムロックって名前に聞き覚えある?」

 

アスナが聞くと、ヨルコさんは驚きでだろうか、目を見開き少し上体を反らす。

その後、口を開いた。

 

「はい。昔、私とカインズが所属していたギルドのメンバーです。」

 

「.....カインズさんの胸に刺さっていたあの槍、鑑定した結果、作成したのは、そのグリムロックさんだったんだ。」

 

ヨルコさんは口を手で覆い、先ほどよりも大きく目を見開いた。

 

「思い当たる事、有ったりしない?」

 

「.....はい、有ります。私の所属してたギルドは黄金林檎って言います。半年前、たまたま倒したレアモンスターが敏捷力を20も上げるアイテムを落としたんです.........」

 

その内容は、要約するとアイテムを巡ったいざこざって事だった。

さらに、そのいざこざの末にギルドのリーダーであるグリセルダさんが謎の死を迎えたらしい。

 

「昨日、お話しできなくてごめんなさい。忘れたい、あまり思い出したくない事だったので...」

 

「い、いえ。昨日は突然の事でしたから。」

 

「それにしても、レアアイテムを持ってフィールドには出ないよな。」

 

「となると睡眠PKか。」

 

「半年前と言えば手口が広まる少し前だわ。」

 

「偶然とは思えねぇな...」

 

「グリセルダさんを狙ったのは指輪の事を知っているプレイヤー.....つまり。」

 

「黄金林檎の残り七人の誰か....」

 

ヨルコさんが呟いた。

そこでキリトが続ける。

 

「中でも怪しいのは売却に反対した3人だな。」

 

「売却する前に指輪を奪うためにグリセルダさんを襲ったって事?」

 

「恐らく....グリムロックさんって言うのは?」

 

「彼はグリセルダさんの旦那さんでした。グリセルダさんは優しくて強くて美人で...グリムロックさんはいつもニコニコしてて、凄くお似合いで、仲の良い夫婦でした。もし昨日の事件の犯人がグリムロックさんなら、指輪売却に反対した3人を狙っているんでしょうね.......指輪の売却に反対したのはカインズとシュミットというタンクと...私なんです。」

 

その言葉に俺もアスナもキリトも、驚きで少し身を乗り出した。

 

「シュミットっていう人は今どこにいるか分かるか?」

 

「私が知ってるわ。」

 

「アスナが?」

 

「ええ、彼は聖生連合所属、攻略組よ。というか少しは周りの人の事覚えたらどう?」

 

「あー、頑張るわ。」

 

攻略組にいたとは....

てか、仲いいわけでもないのに名前なんていちいち覚えてられねぇよ.....

 

「シュミットを知っているんですか?」

 

ヨルコさんが結構強めに聞いてきた。

 

「ええ、ボス攻略で顔を合わせる程度だけれど。」

 

「私をシュミットに合わせてくれませんか。彼はまだこの事件について知らないんです!だからもしかしたら彼もシュミットと同じように.....」

 

「それじゃあシュミットさんを呼んでみましょう。聖生連合に知り合いがいるから、本部に行けばどうにかなると思うわ。」

 

「それじゃあまたヨルコさんを宿屋に送らないとだな。」

 

「ああ。ヨルコさん、俺らが来るまで絶対に扉を開けないでくれよ?」

 

「はい、分かりました。」

 

 

 

 

 

そしてヨルコさんを送り届けた後、聖生連合へと向かう。

 

てか、やっぱり雨の中傘を差さずに歩くのはなんか悪い事してる気になるな.....

 

「二人はこの事件の手口、どう思ってる?」

 

そんなアスナの問いにまずキリトが答える。

 

「3つは考えられる。一つ目はデュエルによるPK、二つ目は既知の情報や技術によるシステムの抜け道、三つ目は完全にシステムを無視できるスキル・アイテムの存在.....だが、この三つ目は有り得ないだろうな。」

 

「どうして?」

 

「フェアじゃないから。このゲームは基本的にフェアネスを貫いている。そんなSAOが圏内殺人を認めるはずがない。」

 

「へぇ.....サイタマ君はなんか考え付く?」

 

「俺か?俺は....もう少しってところかな。」

 

「もう少し?何が?」

 

思い出すべき記憶.......なんて言えないしな。

 

「情報のピースがってところだよ。」

 

「なにか思いついたら教えてね?」

 

「ああ。」

 

......それにしても俺、こんなに物忘れ酷かったっけか?

少し忘れてたにしても、実際に起きたら思い出すと思うけど。

まぁ、そんな事考えるより今は事件の手口を思い出さないとな。

 

 

 

 

 

 

 

 

シュミットを呼び出し、ヨルコさんとの話し合いを再開する。

 

「グリムロックの武器でカインズが殺されたというのは本当なのか!?」

 

「本当よ....」

 

......ヨルコさん毛布を肩にかけてるけどそんなに寒いか?

 

「なんで今更になってカインズが殺されるんだ!?.......という事はアイツが指輪を...グリセルダを!?それともグリムロックは売却に反対した俺達3人を全員殺すつもりなのか!?.....クソッ!」

 

「グリムロックさんに槍を作ってもらった、他のメンバーの仕業かもしれないし、もしかしたら......グリセルダさん自身が復讐してるのかも。だって圏内で人を殺すなんて幽霊でもなければ.....」

 

「なっ!?そ、そんなこと......」

 

.....これは事件当時者になるとよくある支離滅裂な発言だな。

こうなったらあんまり会話を聞かずに自分で考えるか。

 

犯人でも事件の手口でも分かれば全部思い出せる気がするんだけどなぁ。

指輪の件は、動機には関係してるだろうが今は考えなくていいだろう。

 

情報を整理しよう。

 

あの日はヨルコさんとカインズさんが一緒にご飯を食べていて、その後はぐれ、探していたら槍の刺さったカインズさんを発見。

 

ん?ご飯を食べるだけだったらなんで鎧なんか着てたんだ?

多分ココが重要な気がするな。

 

うおっ!?いきなりヨルコさんが発狂し始めたよ。

ビビるわぁ...勘弁してよ。俺チキンなんだから。

 

ヨルコさんは窓の棚みたいなところに腰を掛けた。

窓開いてるのに危なくない?

 

「お前はそれでいいのかよヨルコ!こんな訳の分からない方法で死んで良いのか!?」

 

ヨルコさんにとびかかりそうなシュミットをキリトが抑える。

 

......この間は一体何ですかね。

 

するとヨルコさんはビクッとしてそのまま窓の外に落ちる。

その時背中に短剣と思われる武器が刺さってるのが見える。

 

キリトは走ってヨルコさんを助けようとする。

 

「ヨルコさん!」

 

だが、健闘空しくヨルコさんは落ちた先でエフェクトとなり、消滅してしまった。

 

「アスナ、サイタマ、あとは頼む!」

 

「危ないわよ!」

 

そんなアスナの静止も聞かず、キリトは何かを見つけたようで、窓から外へ飛び出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

少し時間がたち、扉が開く。

敵襲の可能性もあるため、俺とアスナは剣を構える。

 

だが、そこに居たのはキリトだったので剣をしまった。

 

「無事だったか、キリト。」

 

「馬鹿!無茶しないでよ!....で、どうなったの?」

 

「.....ダメだった。テレポートで逃げられた。宿屋ならシステム的に安全。ここなら危険はないと思い込んでいた。クソッ!」

 

そう言ってキリトは壁を殴りつける。

 

「あのローブはグリセルダのものだ.......あれは、グリセルダの幽霊だ!ハハッ、幽霊なら圏内でPKするのも楽勝だよな。アッッハハハハ!ハハハハハ!」

 

シュミットは震えながら言う。

 

パニックになってるな....

 

「幽霊じゃない。二件の圏内殺人はシステム的ロジックがあるはずだ、絶対に!」

 

キリトはキリトで少し意地になってるな...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

場所を移動し、噴水前に来た。

 

「あのローブ、本当にグリセルダさんの幽霊だったのかな?あんなことが目の前で二度も起きると私にもそう思えてくるよ。」

 

「いや、そんなことは絶対にない。そもそも幽霊だったら転移結晶なんて使わないで消えられるはずだ。」

 

転移結晶ね......

あれ?そういえばヨルコさん、一回でも背中見せてたっけ?

..........見せてないな。窓に寄り掛かるときも後ろ向きで動いてた。

 

鎧....背中を見せてない......転移結晶.....

 

これなら.....いや、確証が無いな。

後で検証を....

 

「....マ君、サイタマ君?」

 

「ん?ああ、悪い、少し考え事してた。」

 

「邪魔しちゃった?」

 

「いんや、そんなことは無いな。それで何の用だ?」

 

「あ、そうそう、これ。」

 

「サンドイッチ?くれんの?」

 

「みせびらかすだけなわけないでしょう?キリト君はもう食べてるわよ。」

 

「マジだ、気づかなかった。それじゃあ有難くいただくわ。」

 

「はい、どうぞ。」

 

俺はサンドイッチにかぶりつく。

 

「うっま。」

 

「ホント!?嬉しい、ありがとう!」

 

「おう、本当....って、ありがとう?これってアスナが作ったのか?」

 

「うん、そうだよ?」

 

「マジか....」

 

俺も料理スキル取ってるけどこんなに上手に作れないわ。

 

「何よ、私だって料理ぐらいするわよ。」

 

「いや、そう言うわけじゃないんだけど.....てか、これ女子の、それもアスナの手作りか....テンション上がって来たな。」

 

アニメキャラの、それもメインヒロインの手料理とか、オタクとして最高ですわ。

 

「えっ!?」

 

「ん?なに?」

 

「もう、バカッ!」

 

何故にビンタ!?

嗚呼、野菜が少し地面に落ちちゃった......

 

野菜がエフェクトとなって消える。

 

「......やっぱりか。」

 

「「何が(ファミハ)?」」

 

キリト、口に入れながら喋るなよ....

 

「この事件の手口が分かった。」

 

「「ええええええええ!?」」

 

 

 

「........という事で、装備の耐久値が切れた瞬間に転移結晶で飛ぶ。すると死んだように見えるってわけだ。」

 

「なるほど.....」

 

「そういう事だったのね.....」

 

結局俺は、思い出したというよりも、自力で気づくことができた。

俺、マジで記憶力お爺ちゃんになっちゃったかな....

 

「だからカインズさんもヨルコさんも生きてるはずだ。ほぼ確実にな。」

 

「じゃあ、黒いローブの男は....」

 

「カインズさんだろうな。」

 

「この方法を使ってシュミットがグリセルダさんの殺人の犯人なのかを暴こうとしたんだろうな。」

 

「そうだ、アスナはまだヨルコさんとフレンド登録したまんまだよな?」

 

「ええ、ちょっとまってて.....19層に居るみたい。」

 

「19層になにかあったっけ....まぁいいや、俺らができるのはここまでだな。あとは彼らの問題だ。」

 

「「ああ(ええ)そうだな(そうね)。」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺達は、無事に終わったという事で食事に来ている。

それに、ご飯奢るって言われて結局何も食べずに終わったからな。

 

「何事も無くて良かったな。」

 

「だね。それにしてもキリト君とサイタマ君ならレアドロップしたときどうする?」

 

「うーん、俺はそういうトラブルが嫌でソロやってるところがあるからな....」

 

「俺はその時その時で対応だな。」

 

「うちはドロップした人のもの。そういうルールにしてるの。」

 

「大手ギルドなら複雑なルールがあるもんだと思ってたけど、結構単純で分かりやすいんだな。」

 

「SAOって、誰がどんなアイテムをドロップしたかは全部自己申告じゃない?だからトラブルを避けようとするとそうするしか無いじゃない?」

 

「まぁ、そう考えると合理的だな。」

 

「だから結婚というシステムに重みが出るのよ。結婚すれば二人のアイテムストレージは共通化されるでしょ?結婚したら何も隠せなくなる。ストレージ共通化って凄くプログマチックだけど、同時に凄くロマンチックよね。」

 

プログマチックってなんや?

というか

 

「アスナって結婚したことあるのか?」

 

俺がそう聞くとアスナがフォークを構えて机から身を乗り出す。

 

なんで!?怒られる要素ある!?

キリトまでため息吐いてるし。ええ.....

 

「えっ!?ごめんって!結婚システムの詳細知ってたし、ロマンチックとかプラ...プラ...まぁいいや、とか言ってたからしたことあるのかと思って.....」

 

「プラグマチックです!ちなみにプラグマチックって言うのは実際的って意味ですけどね、念のため!」

 

「実際的?SAOでの結婚が?」

 

うお!?飯食いまくってたキリトがいきなり会話に入ってきた!

地味に体がビクッってなっちゃったよ....

あ!アスナ俺のほう見て笑ってやがる!恥ずかしいわぁ.....

 

「そうよ、だって身も蓋も無いでしょう?ストレージ共通化なんて....ふふっ。」

 

ツボってんじゃねぇよ.....

ん?

 

「キリト?どうしたんだ?」

 

「アイテムストレージ共通化って結婚相手が死んだときどうなるんだ?」

 

そういうことか....!

 

「え?」

 

アスナは上手く理解できず聞き返した。

 

「アイテムが共通化されてるときに片方が死んだときってどうなるんだ?」

 

「グリムロックさんとグリセルダさんの事?片方が死んだときは.....」

 

「「全て、もう片方の物になる(んじゃないのか?)」」

 

「!?という事はグリセルダさんのストレージに入っていたレア指輪は.....」

 

「犯人ではなくグリムロックのストレージに入るはずだ。」

 

「指輪は奪われていなかった?」

 

「いや、奪われたであってるだろ。グリセルダさんのストレージから....グリムロックがって事だろ。」

 

「という事は...あの三人が危ないんじゃないか!?」

 

「アスナ!ヨルコさんはまだ19層か?」

 

「ええ!」

 

「それじゃあ行こう!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「19階層.....やっぱり気味が悪ぃな。」

 

俺は今一人でヨルコさん達の居る場所に向かっている。

いや、ボッチでもないし二人に嫌われてるわけじゃないよ?

 

俺がこっちに向かい、二人がグリムロックを探す。そういう算段になっている。

 

だから俺はボッチじゃない!

.......最近一人の時間が短くなってるからちょっと寂しいな。

 

っと、こんな事考えてる場合じゃないな。ヨルコさん達が見えてきた。

 

ん?人数多くね?なんだあのフード三人組。おもしろ。

いや、俺もよくフード被ってるからそんな事言えねぇじゃん!!

 

.....フードの奴ら何やってんだ?

 

ナイフか!?

しかも誰も動けてない。麻痺付きか!

 

「三人とも大丈夫か!?」

 

「ま....麻痺が....」

 

「見りゃ分かる!死んでねぇなら良い!そんでテメェらは誰なんだ?」

 

「おいおい忘れちまったのかブラザー?」

 

「その声.....プーか。その手の.....笑う棺桶(ラフィンコフィン)だっけ?良い趣味(悪趣味)してんじゃん。」

 

チッ、会いたくない男に会っちまった。

 

「覚えてくれてたなんて嬉しいぜ。ギルドの事もご存知か、嬉しいなぁ!」

 

「俺は今すぐにでも忘れたいな。てかそんなでっかい包丁どうした?此処にキッチンはねぇぞ?」

 

怒ってくれると扱いが簡単になるんだけどな。

 

「HAHA!言ってくれるな!」

 

まぁそう簡単にはいかないよな...

 

「なぁヘッド!コイツ俺がやっていい!?」

 

うわっ、喋り方キツイな、コイツ。

 

「そんな興奮すんなよ。禿るぜ?」

 

「あ?」

 

よし、このまま全員の気が俺に向いてくれれば三人に被害が行かない。そんでハッタリかませば勝ちだろ。

 

「そっちのあんたは何も喋んないのか?あっ、声に自信ないんならゴメンな。」

 

俺はニヤニヤしながらそう言葉を放つ。

すると無言で剣を抜きだした。

 

確実にプー以外の二人は俺にヘイトを向けた。

 

「二人ともやる気満々なのにお前は白けたままか?プー。今なら出血大サービス、三人同時に相手してやるぜ?」

 

「ハッ!乗ってやるよ。イッツ・ショー・タイム!」

 

その言葉を合図としてラフコフの三人が俺に襲い掛かってくる。」

 

俺はどうにか三人の攻撃を捌いていく。

そしてヨルコさん達に目線を送り、逃亡を促す。

 

が、腰が抜けているのか、立ち上がれていない。

 

それでも必死に、どうにか逃げさせられないか手当たり次第に合図を送る。

 

「ぐっ!」

 

「おいおい、よそ見かよ。」

 

「ハッ、口だけかよ。」

 

攻撃への対処が疎かになってたか!

 

「さっきからあの三人の方ばかり見ていたな?」

 

流石にバレてたか...

 

「そんなにあいつらが気になって戦いに集中できないなら...先に殺しとくか?」

 

「なっ!?」

 

「ザザ、やれ。」

 

ザザと呼ばれた無口な方の男は、エストックの先端の向きを俺からヨルコさん達の方に変え、歩き出す。

 

「やめろぉ!」

 

俺は止めようと走り出すが、バランスが取れず膝から崩れ落ちる。

 

「へへへへ、麻痺毒だよ~。動けないでしょ?そこから人が死ぬの、見とくといいよ。」

 

言い終わると、また奇妙な声で笑う。

 

そうしてる間にも、ザザがヨルコさん達に近づく。

 

ここで立ち上がれなかったら俺はまた、後悔なんて言葉で収まらないほどの感情に吞まれてしまう!

なんのために俺には(仮面ライダー)があるんだ!?

誰かのために一歩を踏み出すためだろ!!

 

「ああぁあぁぁあ!!!!」

 

麻痺がどうした!

 

「なに?」

 

「立ち上がるか!期待以上だぜ!」

 

「俺の目の前で、もう殺させねぇ!」

 

俺は右手に変身音叉 音角を持ち、左手の指で音叉をはじく。

 

キーン

 

金属音がフィールドに響く。

そして、そのまま音叉を額の前に持ってくると、額に鬼の顔が浮かび上がる。

 

体が、赤く発光し、それが青紫の炎に変わる。

 

「なんだ?」

 

プー達だけでなく、ヨルコさん達含めたこの場の全員が俺の事を注目していた。

 

「あ?ハッ!」

 

ナイフが飛んでくるが、炎に阻まれる。

 

「これは....スキルか?」

 

見たことのない状況に、プーはそんな考察を溢す。

 

そして尚も俺の体の周りの炎は燃え盛る。

 

ラァ!

 

限界まで燃え上がった炎を、右手で薙ぎ払う。

 

「HAHA!これは想像以上だぜ!」

 

「鬼?鬼!?ヘッド!俺こいつやっていい!?」

 

「まぁ落ち着けジョニー、さっき言ってたことを思い出せ。三人同時に相手、してくれるよな?」

 

プーは落ち着けと言いながらも、自分も興奮している。

 

「男に二言はねぇよ。さぁ、かかってきな。」

 

.......嘘です。めっちゃ怖いです。

頼むからヨルコさん達逃げて、めっちゃ逃げて。

 

 

本気で殺しにかかってくる相手三人をどう対処すればいいんだよ...

 

俺は殺さず、殺されないように音叉剣で攻撃をいなしていく。

 

「ふっ!はっ!」

 

「オイオイどうしたぁ!?そんな攻撃聞かねぇぞぉ!」

 

「うるせぇ!イカレナイフ!」

 

「あぁ!?」

 

煽ってヘイトを稼ぎまくれば相手の行動がなるんだが....

 

「HAHA!俺とも遊んでくれよサイタマ!」

 

「.......」

 

コイツだけは全くブレねぇ。

プーさえ折れてくれれば負けないんだが。

 

「っと!あぶねぇな!包丁は子供みたいに振り回すおもちゃじゃねぇんだぞ!あと、おめぇは不気味だからなんか喋れ!」

 

ザザとプーが同時に行ってきた剣撃を、何とか捌きつつ文句を発する。

 

プーの包丁の剣、友切り包丁(メイトチョッパー)はたしか、人を切るとステータスが上がってモンスターを切るとステータスが下がるんだったか?

クソッ!すでに何度も攻撃くらっちまってる!

てか、デスゲームと化したこの世界で、そんなPKを勧める武器があるとかマジでイカレてんな。

 

「よそ見なんて余裕だな!」

 

「ぐッ!」

 

戦闘中にアホなこと考えてるんじゃなかった!

 

ヨルコさん達の方は.....やっと麻痺状態が回復したか。

とっととここから退散して欲しいんだが。

そのためには

 

「ウォラッ!どうしたんだよお前ら!キレがねぇぞ!」

 

「あぁ!?急かさなくても今すぐぶっ殺してやるよ!オラァ!」

 

今俺ができることである時間稼ぎを全力で行うしかねぇな。

 

少しでもヨルコさん達から離して、こっちに寄せられればいいんだが......

って

 

「キリトとアスナ!?」

 

「サイタマ!......だよな?」

 

「えっ!?モンスター!?でもサイタマ君の声もしたし......え!?」

 

「俺はサイタm「ムシしてんじゃねぇよ!」アホか!どこに投げて......」

 

なっ!?

あっちにはヨルコさん達が!

 

「間に合ええええええ!!!」

 

思いっきり跳躍し、4本以上は確認できたナイフを体で受ける。

 

「があぁぁぁああッ!」

 

麻痺も......付いてんのかよ......

 

「HEY!まだ終わりじゃないぜ!」

 

空中に飛んだままの俺に対し、プーは友切り包丁を全力で振りかぶり、俺に叩き付ける。

 

「なっ――」

 

その勢いで、俺は何メートルも吹き飛ばされた。

 

そこで俺の意識は途切れていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次回がいつになるかは分かりませんが気長に待っていただけると幸いです。


誤字脱字報告、感想、評価お待ちしております。
こんな作品ですが是非次回もお楽しみに!

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。