でも可愛いからよし!
三玖天下一番!
そしてアニメ二期おめでとう!!!
結びの伝説 初日
「いっきし!」
「四葉、大丈夫?ほら、鼻拭いて」
「さむー」
雪、こんなに降るなんて。
長いこと車に乗っててお尻が痛い。
林間学校の出だしはあんまり良いスタートとは言えなかった。例年より早い猛吹雪で道が渋滞してしまって、バスに追いつくどころか一時間以上も足止めを食らってしまった。
仕方ないので、予定してた所とは違う旅館に泊まることにしたけれど……おお、中々いい部屋じゃん。
「旅館なんて、小学校の修学旅行以来………あれ?なんだろ、これ」
『お姉ちゃんへ、旅行の安全をねがってお守りを作りました。林間学校楽しんできてね
追伸 お礼のおみやげきたいしてます♡』
「らいはって最高だよね、五月」
「えっ?そ、そうですね」
「四葉もそう思うよね」
「私ですか!?えーっと、可愛いです!」
「だよね」
らいはが用意しえくれたお守りは二つ。
手首に巻くタイプと、足首に巻くタイプだ。二つともミサンガみたいな形をしていて、小学生とは思えぬ丁寧な出来。ぶきっちょな私には到底できない、珠玉の逸品!
「良い旅館だね!文句言ってないで楽しもうよ!Foo!」
「あんたちょっとテンションおかしいわよ」
「さあ!皆んな、ごはん食べよっ!」
あー、旅行って最高!
ご飯はなんか高級すぎてよくわかんないけど美味しいし!
「タッパーに入れて持ち帰りたい」
「やめてください!」
「あ、そういえばキャンプファイヤーの伝説の詳細が分かったんですよー!」
「?何、伝説って」
「キャンプファイヤーのダンスで最後まで手を繋いでいたペアは、永遠に結ばれるって話だよ!」
「えー!何それ、ロマンチック!」
「きゃーっ」
あー。またか。
あんまり恋愛がどうだって話は、ちょっとなあ。私はあんまりその話題には入れないよ。
「そんな話したってしょうがないでしょ。どうせこの子たちに相手なんていないわよ」
「えー!」
「上杉もそのクチでしょ?」
「…………」
「あー……そうねー……」
一応、前田君から誘われたんだよなぁ。
「でも上杉ちゃん聞きましたよ、昔はモテてたんですってね!」
「え!?上杉さんが?ありえませんよ、そんなの」
「でも勉強一筋でことごとく玉砕したとか」
「あー、フー子ちゃんらしい」
「な、何よそれ!ずるいわ!」
「多分二乃、誰からも誘われなかったんだと思う」
「そっか、拗ねてるんだ」
「うるさいわ!」
二乃は伝説なんてくだらないって言ってる割には、恋愛に対しては否定的ではないよね。
でも理想が高いのといつも女友達(もしくは姉妹)と一緒にいるせいで、男子からしたら近寄りがたいイメージがあるのかもしれない。
ふと、前田君と二乃のツーショットを想像してみた。……意外と似合う?
「男の子紹介したげようか、二乃」
「気休めなんていらないわよ!」
「いやいやマジでマジで」
▽▽▽▽▽▽
ご飯の後はお風呂。
ずっと車の中にいたから、たいして汗もかいてないけれど。それでもお風呂に入らないと一日中が終わったって感じがしないよね。
「あー、気持ちぃー」
「皆んなで一緒にお風呂に入るなんて、何年ぶりでしょう」
「三玖のおっぱい大きくなったんじゃない?」
「皆んな同じだから」
「………」
「な、何をジロジロと見ているんですか!」
「何かこう……敗北感みたいなものが……」
それにしても。顔だけじゃなく身体つきまで同じだなんて、私は今人体のミステリーを目の当たりにしている気がするよ。
「全部同じって訳じゃないよ。ほくろで見分ける事もできるし」
「?どこについてんの、それ」
「………え、えーと、ここ……」
「あ、ほんとだ。三玖、こんなとこにほくろついてたんだね」
「ひゃあ!?そ、そこは………!」
「……脚、ぷにぷにしてんね」
「ちょっと、どこ触ってるの、フー子!」
あー。ちょっとスキンシップが過ぎた。
「上杉ちゃん、これを機に私達を見分けられるようになりましょー!」
「見分ける……コツとかあんの?」
「私達のお母さんはよく言っていました。愛さえあれば自然とわかるって」
「なーるほど。道理でわかんない筈だよ」
「あー、ひどい!」
てか、そんなのしなくても体格差で見分けられないもんかね。
「四葉、あんたも触っていい?」
「え?えーと……それは………」
「お願い、そろそろあんた達を見分けられるようになりたいんだ。勝手にお風呂入ってくる子とかいるし」
「その話はやめなさいってば、上杉」
「うーん、そういう事なら……どうぞ!スポーツで鍛えた私の体をとくとご覧下さい!」
んー。さすが、普段から運動してるだけあって綺麗なお腹してるなぁ。
なんていうか、締まってるというか。指でぷにぷにすると中にはしっかりと健康的な筋肉がしまってある。
「パッと見は本当にそっくりだけど……触ってみると、ちゃんと違うんだねー」
「どうですか!これが私の努力の結晶ですよ!」
この子達は、たぶん元は同じ身体能力だったんだろうと思う。五つ子だし。
ってことは、四葉の運動能力は、四葉自身の努力で身に付けたものなんだ。
「えらいねー、四葉。身体洗ったげる」
「わー!」
「!わ、私も洗う!」
「あ、じゃあ私も私も!二乃もやるよね?」
「はいはい」
「あ!私も……」
『どうぞどうぞ』
「上杉さん!皆んながいじめます!」
「よーしよし」
まったくー。仲間外れなんてダメだぞー。
「ほら二乃ー、私が洗ったげるからこっちの方、正面向いて」
「………え?本当に洗うの?」
「勿論」
「だったらあんたも洗われないと不公平だわ!私から先に洗うから胸を隠すな!」
「そっちこそおっぱい隠してんじゃん!」
と、二乃とぎゃあぎゃあと騒いでいると、急に一花から両手を後ろから掴まれてタオルで隠していた部分が露わになる。それは二乃も同じで、四葉からがっしりと両の手を押さえられていた。
「ちょ、ちょっと、一花?」
「四葉?は、離しなさいよ、この手……」
「五月ちゃん、三玖。やっちゃえ!」
言うが早いか、二人は石鹸とタオルで私達を前からものすごい勢いで擦り始める。ちょ、やばいって!こそばゆいって!
「あははははは!痛い痛い!」
「きゃーっ!」
結局、私達はのぼせるまでお風呂に入った。
▽▽▽▽▽▽
「あー、疲れた」
「お風呂で騒ぎすぎたね……」
「のぼせちゃった」
皆んなでワイワイと過ごせたのは楽しかったけど、もうはしゃぐ体力も残ってないや。
布団の上で、皆んなしてグデーっとしてる。
「そろそろ寝よっか」
「じゃあ、皆んな電気消すよー」
一花が言うと、辺りは真っ暗闇だ。
そして私達は、瞼を閉じて、徐々に徐々に眠りの世界へと吸い込まれて……。
「いやいやいや、皆んなこのまま寝る気じゃないよね」
「え?」
「女子六人集まったらやる事あるでしょ!」
「枕投げですか!?負けませんよ!」
「それも間違っちゃいないけど……」
「恋バナ!でしょ!」
『!』
「一度やってみたかったんだよねー」
言うと、五つ子の何人かは顔を赤くする。やっぱり、皆んな恋愛とか興味あるみたい。
「え、えー?恋バナかぁ。どうしよう、何もネタないや」
「ほら、誰か気になってる子とかいないの?クラスの友達とか」
「うーん……んー……あっ」
一花はぽん、と手を叩いた。
「そういえば私のクラスに武田君って人がいるんだけど」
「ああ、知ってる知ってる!」
「成績優秀、スポーツ万能で、実家もお金持ちなんだっけ?性格も良いって聞いてるよ」
「???…………た、たけだ…………?」
「上杉さん、知らないなら無理に入ろうとしなくても良いんですよ」
「んー…なんか胡散臭そうね。私はもっとこう、あの人みたいな……」
その二乃の濁した反応に、目敏く五月が反応する。
「あの人?……え!?もしかして、二乃は好きな人がいるのですか!?」
「え?ええ、まあ、少し良いかもって思ってる人がいて」
「え?ホント!?」
五つ子も私も初耳だ。二乃に気になる人?
ていうか、この子の好みのタイプってなんなんだろう。
「どんな人?」
「……あの人は金髪だったわね……」
「二乃は金髪の人がタイプなんだ!」
「金髪は校則違反です!」
「なんかチャラそう」
「働かずに遊び回りそうだよね~」
「そうなの!私が支えてあげないと駄目よね!」
『あぁ~…』
そっちか。
そこまで言うと、二乃は少し考えるそぶりを見せる。
「や、ちょっと、ふとした疑問なんだけど」
いつになく真剣な表情。
「えーーっと、例えばの話なんだけど、女の子が女の子の事を気になったりとか、好きになったり……とかって、どう思う?」
「女の子が?」
「女の子を?」
皆んなしてきょとんとした顔を浮かべた。
私達は今まで、恋だのなんだのは今まで無縁だったし、それこそ女の子同士の恋愛というものに疑問符を浮かべても仕方ない。
近くにそんな恋の仕方をしている人はいないし、正直言って、分からない。というのが本音だろう。
「んー、女の子同士の恋愛をどう思うかは、よく分からないけど。それが身近にいる人だったりとか、友達だったら、絶対応援してあげたいな」
「……そうだね。結局、どんな恋愛をするかってより、誰を好きになるか、って話だと思うよ。たぶん」
「…………、そっか、そうよね」
「……………」
「で!二乃は結局誰が好きなの?」
「あー、一回会ったっきりなのよねー。また会いたいわぁ」
ん?
二乃の言う金髪の気になる人って、もしかして、あの時の私じゃ……。いや、そんなわけないか。
▽▽▽▽▽▽
「んー……」
窓から差し込む光で目が覚めた。
眩しくって、無意識のうちに寝返りを打つ。
「すぴー……」
「!?」
フ、フー子ちゃん?
なんで私達、一緒に寝て……?
って、そうか。林間学校だったね。
結局夜遅くまで喋ってて、長い事眠っちゃってたみたいだね。
「寝顔を見るのは二度目かな」
これくらい、平常心でいられなきゃ。私のセンサー、反応させちゃダメだから。
「………大丈夫、だよね。私」
フー子ちゃんの手は暖かかった。
私の頰を挟んで、私の頭を撫でてくれて、私を引っ張ってくれたこの手。
華奢で細くて、白いこの手。
「可愛い顔してるなぁ……」
センサーに、異常はまだ……。
ブー、ブー、ブー。
「っ」
心臓が跳ね上がった。
思わずバッと音のなった方を見る。
びっくりしたー。なんだ、携帯の音か。
「こんな朝から誰……?社長から?」
仕事の話かな?もしかして、また途中でオーディションに出てくれとか、ないよね?内心ビクビクしつつ、メールチェック。
「…………あ〜……」
女優を志す以上、いつか来るだろうとは薄々思っていた。メールの内容は、こうだ。
「休学、かぁ……」
最悪、学校を辞める事になるかもしれない。
私の夢について、家族とはさんざん話し合った。だから、もし休学って事になっても応援してくれるはず。
学校なんてつまらないところ、すぐ辞められるはず。勉強も絶望的……だし……
……でも、点数が上がった時は、嬉しかったなあ……
私とフー子ちゃんとの繋がりが、私の心を苦しめた。
▽▽▽▽▽▽
二日目。
バスと合流できた私達は、林間学校の王道、カレー作りを行っていた。
「じゃあ、上杉さんこれよろしくねー」
私こと上杉風子は、家庭事情のために料理はそこそこできる。
だから料理の担当も、調理担当。男子は飯盒炊さんの担当だ。元気な四葉はなんか薪割りに行ってるけど。反対に、運動音痴な三玖は料理担当。でも、三玖の料理は美味しいけど癖が強いからなぁ。大丈夫かなぁ。
ふと、飯盒炊さんのグループを見てみると前田君が何かキラキラした男子と喋ってた。
「お前はいいよなモテて。この間振られてフォークダンスの相手が見つからないままこの日を迎えちまった。これまで喧嘩ばかりしてきた俺は怖がられて当然だが俺だって……」
「僕だって、ずっと彼女に見向きもされないままさ。いくら人気者でも一人の女の子に振り向いてもらわなきゃ意味がない」
「武田ぁ……」
「前田君……!」
天下の傾奇者と甲斐の虎の最強タッグ。
なんか私の与り知らぬところで同盟できてる。よかったね。
「過去に囚われすぎるな!新しい恋を初めてみるんだ、前田君!クラスの女子でも誘って肝試しに行ってみたまえ!」
「おう………おう!やってやんよ!」
まあ、何はともあれ、前田君も前に進めたようでよかった。……私も、いいかげん前に進まないと。
▽▽▽▽▽▽
「ああああああああああああ!!!」
「ぎゃあああああ!!!」
よっしゃあ!脅かし成功!
四葉のサポートもあって、今のところ予定してたより大分怖がらせる事に成功してる。
皆んな、楽しんでくれてるみたい。前田君も女の子と吊り橋効果発生してるっぽいし。
「上杉ちゃん、絶好調ですね!」
「まあね。……ごめんね、キャンプファイヤーの仕事もあるのに、手伝ってもらっちゃって」
「いえいえ!勉強星人の上杉ちゃんがせっかく林間学校に来てくれたんですから、私も全力でサポートしますねっ!」
「……四葉」
「後悔のない林間学校にしましょう!」
「………、そうだね。あ、次の人来たよ」
「食べちゃうぞー!」
…………。
反応、ナシ?
「フー子!」
「四葉もいるじゃん」
なんだ、三玖と一花か。ネタがバレてる二人じゃんか、脅かして損した。
仮面外そっ。知り合いだし、顔のところ、蒸れて暑いし。
「…………えっ?」
「一花、何今更驚いてんの。この先は崖で危ないからルート通り進みなよ」
「…………」
「?三玖、聞いてる?」
「……大丈夫。行こう、一花」
「う、うん」
あれ?三玖、なんか素っ気なくない?
「それより上杉ちゃん、まだ脅かし方に迷いがあります!もっと凝った登場しないと!」
「凝った登場かぁ……」
これならどうだ!
穴から徐々に出てくるという貞子スタイル!
近くに寄ったところで悲鳴とも怨嗟ともつかない恐怖の声で驚かしてやる!
「GYAHHHHHHHHHHHH!!!」
「わあああああああ!!もう嫌ですぅぅぅ」
「五月、待ちなさい!」
……二乃と、五月?
五月って、本当にお化け苦手だったんだ…。
「あちゃー、やりすぎちゃいましたね……」
………あれ?あの子達、どっちに行った?
「四葉、ごめん!ちょっとあの子達の様子見てくるから、ここで待ってて!」
「あ、はーい!気をつけてくださいね!」
仮面、薄暗い森の中じゃ視界の妨げになるだけだな。また五月に怖がられても嫌だし。
木々を掻き分けて、森の奥へ、奥へと入っていく。……暗い中を進むのは怖いけど。でももしかしたら、あの子達の方がよっぽど怖いかもしれない。なのに、止まってなんていられない。
「っ!」
光が見えた。
携帯のライトで辺りを照らしているのかもしれない。……あの子達は、あそこに?
「大丈夫?」
見ると、地面にへたり込んだ二乃の姿。
よかった、無事だ!
「見つけた、二……」
「嘘……また、キミと………」
「………あっ」
カツラ、外してなかった!
おまけ
その1
「五つ子ゲーム!イェーイ!」
「イボンコペッタンコ☆イェーイ!」
「……五等分の花嫁、始まります」
その2
「そろそろ煮込めてきたかな」
「待って、あと三秒で十五分だから」
「細かすぎだよ上杉さん」
まーたサボり癖が出てしまって、投稿が約二週間ぶりですね。マガジンで色々ありすぎた……。
11巻に修学旅行編が収録されるとして、12巻(五月表紙)13巻(全員表紙?)で終わるとすると、それぞれの夢を見つけて昔会った女の子の説明をして四葉絡みの話を何かやって、五月が何かやるならやって、卒業して……うーん……ねぎ先生なら二巻で纏められそうやな……。
たぶん屈指の盛り上がりシーンの一つを消化したので、もう終わりが見えてきたかな……。うわー、寂しいですね。