五等分の花嫁 -上杉風子の場合-   作:悠魔

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コードギアスコラボでグラブルやってたら友人にFGO面白いよって言われて、気になっていたのでプレイしてみました。以下、やってみての感想です。

うっそ……オルガマリー局長死んだの…?
これから彼女のツンデレのデレの部分が出てきてマシュとぐだ子と百合百合して物語の終盤で成長したところを見せて実は可愛いもの好きみたいなギャップのある設定とか出てくるんじゃないの……?水着は……?ハロウィーンは……?
で、でも後半で復活する可能性あるよね!
え……ないの……?今のところないの…?
やべーよなんてゲームだよやってられねーよオルガマリー局長がなんでディアボロ状態になるんだよぉ……なんであんな酷い殺され方なんだよぉ………救いは無いの……?

もうオルガマリー局長出ないしこのゲームやめよ……あ、OPかっこいい……おい一瞬局長映すのやめーや!あ、次オルレアンなのか……もうちょっとプレイしよ……


勤労感謝ツアー、ほか

『おまじない』

 

林間学校からこっち、ずっと病院にかかりきりだったけど、運が良かったのか。お陰様で病気治りました。

今後は体調に気をつけていきたいと思います。

それにしても……私の入院費を払ってくれた中野家のお父さんには顔が上がらない。いつかご挨拶に行くべきかな。

というわけで今日は、久しぶりの家庭教師の日だ。色々あって随分懐かしく思えるね。

 

「こんにちはー。皆んな勉強始めるよー」

中野家のマンションにやって来てみたら、どうやら三玖が料理をしているらしく、四葉と五月に料理を振る舞っていた。

側から見たらお姉ちゃんが妹に料理を振る舞う図、なんだけど。

何だろ?あの、お皿に乗ってる黒いのは。

「三玖、何これ?」

「コロッケだよ、四葉」

「………石じゃないのですか??」

「味は自信ある。食べてみて」

「「……いただきます」」

「あ、三玖おはぎ作ったの?いただき」

「あっ」

 

口の中に広がるじゃがいもらしき感覚。

なんだ、おはぎじゃなくてコロッケじゃん!

「うん!普通に美味しい」

「あんまりおいしくない!」

「どっち……?」

真逆の感想を言い合う私と四葉に怪訝な表情を見せる三玖。

「四葉、あんた意外とグルメなんだね」

「上杉ちゃんが味おんちなだけですよ!あんち!あんち!」

そんな私達を尻目に、五月はなんか真剣な顔で味わってる。どうした急に。

 

「これはその……ちょっと揚げすぎです。それに長く揚げすぎて衣が破れて中身が飛び出しちゃっていますね。肉のたねを楕円形にする事で空気が抜けてパンクするのを防げるので、もう少し工夫してみては?」

「わっ。さすが五月。ご飯に関してはプロだね」

「グルメ評論家みたい」

「えっ?そ、そうですか?ふふっ。実は最近MAYという名義で………」

「五月!」

三玖は大きな声を出した。

「完璧においしくなるまで作るから、手伝って!」

 

そこからは沢山の試食品を食べさせられた。

五月のアドバイスに従い、いくつものコロッケを味わう。だけどその殆どが焦げていて、美味しいんだけど、こう、身体の方は流石に受け付けなかったみたい。

私はお腹壊した。

この間入院したばっかなのに。不覚。

四葉が敷いてくれたマットの上に寝っ転がって、二人に看病されてる。

 

「だ、大丈夫ですか上杉ちゃん」

「今、三玖がお薬を買いに行っています。もう暫くの辛抱ですよ」

「……五月はともかくとして、四葉!嘘でも何でも言って誤魔化してくれれば、こんな事には……」

「私の嘘なんてすぐ三玖に気付かれちゃいますー!」

はぁ、お腹痛い。

 

「四葉、私に何かできることはあるでしょうか?」

「えっと……あ!手でも握ってあげたらどうかな?」

「え?」

「ほら、小さいころ寝込んだ時にお母さんがしてくれたでしょ?良くなるおまじないだって」

「!お、お母さん……」

どうした、五月。急にお母さんってワードに反応しちゃって。照れ臭いし、別に手なんか握らなくたって良いのに。

だけども、五月は私の手をぎゅっと握る。

 

「手……というか指を握るのはこれで二回目ですし、今更恥ずかしいとは思いませんよ」

「……………」

「……………」

((恥ずかしい……))

心なしか、顔が熱い。それは五月も同様なようで、頰のあたりが赤くなってる。

この間、らいはが寝込んだ時にちょっと手を握ったけど、あの時は何も無かったのに何か意識しちゃうな。

 

「も、もう良いでしょう!」

「そ、そうだね」

「私は、へ、部屋に入って勉強してます!」

「あぁちょっと五月、それじゃあ今日家庭教師に来た意味が……」

静止の声も聞かずにぱたぱたと自室に逃げようとする五月に、四葉が「待って!」と声をかけた。

 

「五月も一緒に勉強しよっ!」

「………、え?」

「これからは一緒に上杉ちゃんの授業受けようよ!五人揃った方が絶対楽しいよ」

四葉……。

嘘や誤魔化しが出来なくて痛い目に遭う事もあるけど、この子の良いところは本音で話せることなんだ。

この方が余程、四葉らしいな。

五月も四葉の説得を聞いて、心が揺らいだらしい。

「考えてみます」と言って自室に入って行ったけれど、もしかしたら、次の時間には。

あの子も打ち解けて、勉強に参加してくれるのかもしれない。

 

「五月、変わりましたねー」

「………そうだね。前までは話すらまともに聞いてもらえなかったし。けどあの様子なら次の試験までには……」

「五月だけじゃありませんよ!」

「え?」

「五月だけでなく、一花も、二乃も、三玖も!変わっているのが私でもわかります」

そういや前に五月が言ってたな。

私の存在は、五人の何かを変え始めているとかなんとか。

 

「成長してないのは私くらいですよ!テストの点も悪いままですし、えへへー」

何言ってんの、この子は。

「そんなことないよ。誰よりも最初に、あんたが最初に変わってくれたんじゃん」

「…………ッ」

 

困ってる人がいたら放っておけなくて、嘘もつけないほどお人好し。

時にそれが空回りしちゃう事もあるけど、それでもこの子は、いつだって人のために行動できる優しい子。

たまに、自分を押し殺しているような時があるのが心配だけれど。この子は誰よりも、何よりも、優しい……いや、優しくいれる子なんだ。

 

「……少し前までは、こんな事言えなかったけど。真っ直ぐ素直な子が、一人でもいて助かったんだよ」

「…………」

って、少し褒めすぎかな。

 

「何で私が上杉ちゃんの味方をしてるか、分かりますか?」

何で、って。

そんなの分かりきってる事だ。

 

「成績上げたいからでしょ?」

 

四葉はそっと私の顔を優しく掴んだ。

仰向けになっている私の上から、ちょうど覗き込むような形。

 

「違いますよ」

 

ふわり、と。

彼女の優しい香りがした。

普段から子供っぽい四葉だけれど。

この日は、何だか、とっても。

ーー幼く見えた。

 

 

 

 

 

「好きだから」

 

 

 

 

 

その言葉に動揺しなかったといえば、きっと嘘になる。

二乃からも告白紛いの事は受けた。だけどあれは、あの子が私を別の誰かだと思ってたからであって。

私に、ストレートに好きって言われたのは、初めてだったから。

しかも、なんだよーーそんな、恋する女の子みたいな顔……。

 

「嘘」

 

…………んっ?

「やーい引っかかりましたねー!」

えっ?

「私だってやればできるんです!」

…………。わー、すごーい。

 

 

 

「………もう誰も信用しねぇ!!」

 

 

▽▽▽▽▽▽

 

 

『勤労感謝ツアー』

 

ある日、いつも通り勉強をしていたら、一花と三玖からメールが届いている事に気が付いた。

文面は二人とも似たようなもので、明日休日だけど、一緒に出かけない?というもの。

明日っていうかもう今日なんだけど、まあ返事を送らないのも失礼だし返しておく。

 

「今日は休日だから断る……っと。ふふふ。せっかくのお休みの日に、勉強せずして何をするっていうの!」

それに、私がしっかりしてれば、あの子達もやる気出してくれるだろうし……、って。また私は立派な家庭教師みたいなことを。

 

「もー、お姉ちゃんは。せっかくのお休みなのにまた勉強?」

「らいは。遊びに行くの?」

「うん、約束があるんだー」

あ、そうだ。今日は勤労感謝の日だし、いつも勤勉に働いてくれてるらいはを労ってプレゼントを作ったんだった。

『ガチでわかりやすいテスト対問題集』

「いらない」

嘘でしょ?

ミサンガのお礼も兼ねて贈ったつもりだったんだけど。

 

「それより四葉さんでしょ?林間学校は四葉さんに助けてもらってばかりだったみたいじゃん」

「……ま、まぁ」

「国民が互いに感謝し合う日!まあ、四葉さんへの感謝の気持ちが無いならいいけどね」

「……………」

良心に刺さるような事を。

 

「と、いうわけで。四葉、何かある?」

今は中野家のマンション……の、前だ。

中に入ったら、一花と三玖に何て言われる事やら。

「それを聞いちゃうあたり上杉ちゃんですよね。サプライズとかあるでしょー」

「無理だって。私には要らないものを贈る才能があるみたいだし」

「……うーん。あ、いいお出かけスポットなら知ってますよ!そうと決まれば早速行きましょー!」

「え?」

 

四葉に連れられて、あてどなく道を歩く。

こんな天気の良い日に勉強しないなんて勿体ないと思うけどなー。

「デートですよ、デート」

「はいはい。……で、私達はどこに向かってるの?」

「それは……あっ!ここです!ここでランチにしましょう!」

お!お昼ご飯かぁ、それなら……

………?

お昼ご飯?

 

何この……何?こんな、レストランって書かれてなかったら気付かないような超高級なお店は何?

入り辛いし。

「中野様ようこそいらっしゃいました」

「おひさでーす」

「よ、四葉。ちょっと袖握らせて。なんか怖いから」

「はいはーい。だけど心配しなくても大丈夫ですよ、怖くない怖くなーい」

やばい。四葉がまるで別人に見えるくらい頼りになる。

 

「このレストランは五月の御用達なんです!好きなものを頼んでくださいね」

「あっ、はい……」

…………よく分からない。

何だこれ。特別ランチコース?

一泊付きってこと?

……泊まれるの?ここ?

 

「お待たせ致しました」

「ど、どうも……」

…………???

何だこれ?美味しい、けど。何だこれ?

私は何を食べているというの?

宇宙の神秘?

「う〜ん、ローストされた鴨肉と柑橘類を混ぜ込んだソースの相性が……」

「………そ、そうですね、四葉さん」

何言ってるんだろう、この子は。

いや今までにも何言ってるんだろうと思った事はあるけれど、今日はマジで何言ってるんだろう。

ちなみに当然の如く四葉さんの奢りでした。

ゴチになりまーす。

 

次にやってきたのはスパとかいうところらしい。ベッドの上でマッサージをしてもらうところらしい。行った事ないけど。

「ここは三玖が会員になってるスパです。いやー、きもちいぃぃ……」

「首と肩と、肩甲骨の辺りが凝ってますね。何かされてるんですか?」

「勉強を少々……くあぁぁ……効くぅ……」

「おばちゃんくさいです、上杉ちゃん」

「……あんた達、いつもあんな所でご飯食べてるの?」

「あはは、特別な日だけですよ」

ほんとかよ。

 

「てか、それなら今日は来てよかったの?」

「今日は特別な日ですからねー」

「?あー、勤労感謝の日だしね」

「そっちじゃなくって。今日は上杉ちゃんとデートの日ですよっ!」

「なあに、それ」

店員さんがいる前で恥ずかしい……。

「はあ、色んな所に遊びに行けるあんた達が羨ましいよ」

「といっても、私達にとって場所なんてどこでもいいんですけどね。昔お母さんが言ってました!大切なのはどこにいるかじゃなく、五人でいることなんだって」

良い事言うなー、お母さん。

 

「………っ、あっ、今、こっち見ちゃだめですからね!」

「なーに照れてんの?いいじゃん、女の子同士でさっ」

「ちが、そういうんじゃないですってば!えーと、あー、一花が出てる映画って今日公開だったっけなー」

「……!千円!」

やった、これで奢れる!

 

一花が出演していたのは恋愛映画みたい。

えーと、たしか、原作が女性同士の禁断の愛を描いた恋愛小説なんだっけ?一花が二乃と一緒に本を買いに行った、とかいう。

面白くない……わけではないけど、どこかで見たような展開ばっかり。

昔、『大人になったら結婚しよう』という約束をした二人。時が経て高校生になって転校してきた子が約束をした女の子……だったけど、とても女の子らしく可愛く成長をしていたし、おまけに約束したのが同じクラスの主人公だと気付いてない。

主人公は主人公で、完璧美少女のヒロインに引け目を感じて、自分が約束の相手だなんてとてもじゃないけど言い出せない。

けれど、色々とイベントを経る内に二人の心が近くなっていって……というストーリー。

正直最後の方は半分寝てたから、よく覚えていない。

一花は主人公の友達Bくらいのポジションだった。それを見たらなんかもう満足した。

 

くぁ、と背伸びをしてふと横を見ると、ギョッとした。

四葉が泣いてた。

そ、そんなに感動するストーリーだった?

まあベタだけど題材は面白いし、料理さえ間違えなければ王道な恋愛ものだ。百合である意味はあんまり感じられなかったけど。

にしても、結構涙脆いんだな、この子。一花が泣いてるところを見てなかったら、もっと動揺してたよ。

 

「はい、ハンカチ」

「ずびっ……ありがとうございます、上杉ちゃん。感動しちゃって」

「そんな面白かった?」

「はい。主人公の女の子に感情移入しちゃって。自分もダメダメですし」

「だから、そんな事ないっつーの。まあ勉強はもうちょっと頑張った方が良いけど…さ、もう出よう?」

「はい」

 

そういえば、会計をしてくれた四葉によるとこの映画は一花からもらったチケットがあって、無料で観れたのだという。

ことごとく奢らせてもらえない。いつもなら喜べるんだけど、くそぉ。

 

「その一花ですが、順調に仕事増えていっているみたいですよ。相当な額の貯金を貯め込んでるとか……」

「何という格差社会……」

「じゃあ、ショッピングしましょー!新しい洋服欲しいんですよねー」

「洋服?この間林間学校の時に買ったばかりじゃん」

「買わなくても、一緒に見るだけで楽しいものですって!」

そんなものかねぇ。

ていうか、予算は千円くらいって言ってるのに、普通に一桁高いのは何故……?

 

「そちらの服お気に召されましたか?お友達とペアルックなんていかがでしょう」

「いや、私は……」

「やっちゃいましょー、上杉ちゃん!」

「いや、だから……」

「こちらへどうぞー」

あれよあれよという間に試着室へ。おかしいな。私ってきちんと断れる系の女子じゃなかったっけ。

四葉から渡されたのは、428と、数字がプリントされたシャツ。よくその数字がピンポイントで置いてあったな!

試着室から出てきた四葉は、本人のあどけなさも相まって実によくマッチしていて可愛らしく見える。

私はというと……。

 

「………」

「あっははー、上杉ちゃんぜんぜん似合いませんね!」

「分かってたけどね!この服は四葉、あんたが着なよ。この際多少高くてもいいから」

「あー、それなら今着てる奴じゃなくって、これ欲しいです!」

「……寝間着?」

「これ二乃が欲しがってたから、喜ぶだろうなぁ」

「………えっ?」

何故そこで二乃が……、

いや、そういえば、今までの行動を振り返ってみれば分かることだけど。

 

五月のお気に入りのレストラン。

一花の出てる映画。

三玖が会員のスパ。

二乃のための買い物。

「……あんた、あんたが、本当に欲しい物って何なの?」

「……私の、欲しいもの??」

四葉は困ったように頰をかく。

無い訳ではないんだろう。だけど、それが何なのか分からないんだ。

人のためを思いやるあまり、自分の欲しいものさえ分からなくなってしまったんだ。

四葉自身は良いかもしれない。けど……。

 

「四葉あんた……」

「三玖ー、これ二乃が欲しがってた奴じゃん。買っていってあげようよー」

「そこまでしなくていいよ、一花」

「げえっ!この声は!」

一花と三玖!

な、何でここに!?

「よ、四葉、隠れて。こんなところ見られたら何て言われることやら……」

「???どうしたんですか上杉ちゃん?あ、一花と三玖だ!おー……」

「しーっ!」

「もごっ!?」

 

普段なら挨拶しても良いけれど、今はダメ!

慌てて同じ試着室の中に二人で隠れる。

「実はかくかくしかじかで…」

「もごもご。なるほど、上杉ちゃんここは私にお任せを!二人を巧みに誘導して遠ざけてみせます!」

「巧みから最も遠い存在のあんたが何を言ってるの!いいから大人しくしてなって!」

「だいじょーぶです、私にかかれば…」

「あー、なんだ四葉も来てたんだ」

「ご飯食べに行くとか言ってなかった?」

速攻でバレてんじゃねーか!

やばい。この薄布一枚隔てた先に、一花と三玖がいるのか。誘いを突っぱねられた二人がどんな行動に出るかまったく予想つかない!

 

「四葉、ハットとキャップ、フー子にどっちが似合うかな?」

二人、私の選んでくれてるんだ。嬉しい…んだけど、なんかこう、罪悪感が……。二人の誘いを断って四葉と出かけてるのに、何か買ってもらうってのは、ちょっと……。

 

「うーん、上杉ちゃんならキャップですかねー。でも髪をおろせばハットも……」

考え込むな!話すな!

「あ、ちょ、ちょっと待ってね!…上杉ちゃんどっちが良いですか?」

聞くな!こっち来んな!

「……帽子は基本被らないかなー」

「そうですか!…帽子は被らないみたい!」

「何?今の間」

ほらーめっちゃ怪しまれてるし!

 

「それより、四葉。これ、二乃が欲しがってたルームウェアなんだけど、代わりにサイズ測ってみてくれない?私たち同じ体じゃん」

「……あ〜〜……う、うん」

「……じゃあ、服持ってるから。さっさと着替えなよ」

「なんか恥ずかしいです」

「お互いに裸見たことあるでしょ!」

「着替えてる間をまじまじと見られると、なんか、こう……」

「じゃあもう、目閉じてるから!」

女の子の気持ちはよく分からないなー。あ、私も女か。

 

「き、着替えたよー…」

「おー、やっぱりピッタリだ」

「じゃあこれ買おうか」

「あはは……そ、それじゃあ……」

「四葉、次お願いね」

「えっ?……こ、これを!?」

何渡されたんだろ……

「あ、あのー…上杉ちゃん、これってどう着たらいいんでしょう?」

って、こ、これ?ランジェリーじゃねえか!

「違います、ベビードールです!……あれ?ネグリジェなのかな?」

「違いが分からない!……ほら、これはこう、よく分からないけど!普通に着ればいいんだよ、普通に!」

四葉と悩みつつランジェリーだかベビードールだかを試着させ、二人が行くのを見送って店から逃げ出す。

 

よし!これでようやく逃げられる!

買い物出来なかったのは残念だけど、私達はそそくさと店から出て……、

「あれ、お姉ちゃん?」

「うわぁっ!?あ、なんだらいはか……」

「ちゃんと四葉さんにお礼してたんだね!これから五月さんも来るから一緒に……」

「い、五月も来るの!?…よ、四葉!逃げるよ!」

「こ、これはなるべく誰にも会わない方が良さそうですね!」

すたこらさっさとあっちこっちへ。

どこへ行くと言うのかね。

 

 

 

▽▽▽▽▽▽

 

 

 

上杉ちゃんを連れ回して、色々な所を歩いて回った。

気がつけば日はもう暮れていて、家には光が灯り始める頃。もうそろそろ二乃が夕ご飯の支度を始める時間だ。

私達が来たのは、そんな光よりも高いところ。ちょっと登った先にある、私のお気に入りの、丘の上の公園だった。

 

「………よく、こんなとこ知ってたね」

「あ、あははー。ここは私がよく来る公園なんです。落ち込んだ時はブランコでギコギコしたりとか……。で、でも、もっと素敵なところありますから、そっちに…」

「ここで良いよ。ここが良い」

「えっ?」

 

で、でも。こんなところよりも、上杉ちゃんにはもっとお洒落で素敵なところがあるはずなのに。

 

「いいんでしょうか……」

「ほら、四葉も漕ぎなよ。お、久々だけど結構行けるなー」

 

そう言って漕ぎ始める上杉ちゃん。今度は私がリードされる番だった。もう、ヤンチャなところは相変わらずなんですから。

 

「……ふふっ。もー、子供みたいに。私がお手本を見せるんで、よく見ててください!」

「負けないっての!」

 

お互いに、まるで昔に戻ったみたいに全力でブランコを漕いだ。力いっぱい漕いで、漕いで、漕いで。

その先に見えたのは、私の大好きな景色。

百万ドルの夜景とはちょっと違うけれど、光一つ一つにそれぞれの家庭があると思うと、そのどれもがとても綺麗で、愛おしい。

心が温かくなる。ほっこりする。

この景色は、あの場所は。きっと優しさで溢れてる。

 

そして、その光にダイブするみたいに。

光の中に溶け込んでいくみたいに、私はブランコからジャンプした。

すーっ、と体を襲う浮遊感。服の隙間から入り込む風が気持ち良い。

華麗に着地!

 

「最高記録更新!上杉ちゃんはここまで来れますかー?」

「!舐めないで、よっ!」

 

言うと、彼女も私に続いてジャンプを…、

しようとした。けど、勢いをつけすぎたのか上杉ちゃんはブランコに乗ったまま一回転して……、って、危なっ!?

お互いボーゼンとして目が合う。

やばい。だ、大丈夫?上杉ちゃん?

 

「……ぷっ。あははははは!今の、見た?何が起きたんだろ、あははは!」

 

彼女は思いきり笑った。

まるで子供みたいに、無垢に、純真に、ただただ笑った。

何が面白いか分からない。子供の時は理解できなくても笑っていたのに、大人になる度に理解できなきゃ笑えなくなっていった。

だけど、今。

私達は子供の頃に戻っていた。

 

「……もー、何やってるんですか。もういい時間ですし帰りましょう」

「え?う、うん……反応薄くない?だ、だけど結局何もあげられないまま……あ、ガチで分かりやすいテスト対問題集なら……」

「あはは、上杉ちゃんらしいですね」

 

私達が『初めて』出会った時も、今も。

あんまり笑顔を見せない上杉ちゃんは、それでも綺麗だ。

だけど。

やっぱり、私の欲しいものは、欲しかったものは、今も昔も変わらない。

 

「欲しかったものはもう貰いました」

 

また来ましょうね。今度はみんなで!

 




ところでこの間、五等分の花嫁の最新話を読みました。
以下、読んでみての感想です。

うっそぉ……こんな悲しい事ってある……?
いや予想はしてたけどよぉ……なんとなくそうなんだろうなーって気がしてたけどよぉ…!
何が悲しくてこの話を読んだ後に四葉メインの話を書かなきゃいけねぇんだよ……!精神的にきついよ……!
話数調整とかするんじゃなかったよ……!でもこれ以上お待たせするのもよぉ……!
いやね、『おまじない』だけだとちょっと短いから四葉の話を纏めて投稿しようと思ってたんですよ。そしたら本誌がアレだよ!
はぇーきっつい。死体蹴りみたいな事してごめん四葉。せめてイラスト描いたから許して。

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