五等分の花嫁 -上杉風子の場合-   作:悠魔

42 / 60
お待たせしましたー!


九巻
ようこそ3年1組、ほか


『ようこそ3年1組』

 

 

 

 春!

 桜が舞い散る季節!

 新入社員は仕事を始めて、就活生は仕事を探してる季節!

 そして私達にとっては新学期の季節!

 何だか心がウキウキしてくるわ!

 

「ついに来週から三年生!」

「私達が最上級生ですか」

「進学できて本当によかった」

「皆んなこれからもがんばろ!」

「うんうん!あ、ところでなんだけど。お家賃を五人で五等分します」

『えっ』

「払えなかった人は前のマンションに強制退去だから」

『えっ』

「皆んなで一緒にいられるように頑張ろ!ということでよろしくねー」

『えええええ〜…』

 

 生き残りをかけた金策サバイバル…!

 

 

 

▽▽▽▽▽▽

 

 

 

「という訳でバイトを探してたら、たまたまあんたのいるケーキ屋のスタッフ募集の広告を見てね。たまたま応募しちゃったってわけよ」

「そしたらたまたま二乃と被って……」

「そんな偶然あるかぁ!」

 

 店長にバイトの面接にお呼ばれしたと思ったら、応募したのは二乃と三玖だったなんて。なんでこの二人!

 ま、まあ。と……友達と一緒にバイトしたいって気持ちは分からなくはないけど。私も友達とバイトするのに憧れ……興味がなかった訳じゃないし。

 ……ちょっと嬉しかったけど。

 

「でも二人とも採用してあげたいところだけど、うちも向かいの糞パン屋のせいでギリギリでね。定員は一人なんだ」

「あ、そうなんですか……」

「何で上杉さんが落ち込むの?」

「私ケーキ作りたいです」

「えっ!?」

「えっ?」

「へえ、得意なんだ」

 

 いや三玖あんた絶対料理下手でしょ!

 味音痴の私にはよく分からないけど!

 

「わ、私の方が得意です!」

「今年に入ってから何度もチョコを作りました」

「それだって私の手助けあってじゃない」

「最後は一人で作れた」

「埒があかない……」

 

 ああ、また喧嘩が……。

 

「上杉さん。彼女達は君の友達だよね」

「え、まぁ……」

「任せた」

「えっ」

「フー子どうするの?」

「ちょっ」

「あんたなら当然私を選ぶわよね」

「私に出来る事なら何でもするよ」

『だから選んで』

 

 ええ〜〜…?

 ……そうか……何かを選ぶ時は何かを選ばない時。いつかは選択しなくちゃいけない日が来る……。

 私は今試されてるんだ……!神に…!

 

(いやでもここで私が選んだら選ばれなかった方の子が可哀想だし……友達に優劣つけてるみたいで何かやだなぁ………。

 二乃は、うん、まだこの段階だと友達の筈だよね………?)

「………えーと………で、でもさ。仕事的にはやっぱりやる気のある人がいいよね」

『ある!』

「シフト沢山入れる方が……」

『入る!』

「……じゃ、じゃあ………」

「料理対決」

「え?」

「それぞれ料理を作って、美味しかった方がバイトに入る」

「いい度胸ね」

「ま、まあ両人が納得してるなら……」

 

 お題はシンプルなショートケーキ。

 キッチンを借りて二人は作った……ものの、やっぱり見た目では二乃の方が断然綺麗だし、圧勝だった。

 店長は味も見た目も断然二乃の方が美味しいと言ってたけれど。

 

「三玖のも味は悪くないと思うんだけど」

「………!」

「でもまぁ、店長が二乃のが美味しいって言うなら……。ごめんね三玖」

「ううん、大丈夫」

 

 ?

 やけにあっさりしてる気が。

 まあ、本人が納得してるのなら、それで良いのかな?

 

(どうやら作るのは好きみたい。それに…私の目的はフー子じゃない。フー子に好きになってもらえる私になることだから)

「フー子、私頑張るね」

「えっ?うん。ファイト?」

(…勝ったのになんだか腑に落ちないわ。でもこのバイトで、必ずあいつを私のことを好きにさせてみせるわ)

 

 あれっ。

 何かこの部屋暑いな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ということがあったの」

「はは……皆んなには困らせること言っちゃったなぁ」

「しかもその後、三玖が向かいのパン屋さんのバイトに入ってたんだよね。どれだけ一緒にやりたかったんだか……」

 

 あ、そうだ。

 学校が始まったら、三玖にあれを持っていってあげよう。

 

「てか、あれ?なんで一花がいるの?」

「ん?お姉さんが寂しいフー子ちゃんと一緒に登校してあげようかなってね」

「……ありがと」

「えっ!い、いやぁ。……で、でも。今日までは家賃のために確実な仕事しかしてこなかったけど。そろそろ私もやりたいことに挑戦してみようかなって思っててね」

「………そう……すごいね一花は」

「えっ!?い、いやぁ……よ、四葉も無事お仕事見つかったみたいだし、五月ちゃんもきっと大丈夫だよね」

「ま、成績さえ落ちなかったらこっちは何でも構わんさー」

「ここまで来たら卒業したいよねー。頼りにしてるよ。せーんせっ」

 

 ………。

 一花の唇綺麗だなー。

 何かリップとかつけてるのかなぁ。

 …………あの時のあれって事故だよね。

 でもあの時は一体どういう気持ちで……いやもう忘れよう。それがいいや。

 

「でもさ。私が言い出しっぺだけど、少し寂しいんだ」

「何が?」

「皆んなそれぞれ忙しくなって、きっと全員が揃うことも少なくなる。私達、このまま大人になってバラバラになっていくのかな」

「……寂しいね」

 

「でもきっと悪いことじゃないよ」

「だねっ」

 

 

 

 結論から言えば。

 この一抹の不安は杞憂に終わる。

 五人が持つ強い絆は、どうやら私の想像を遥かに超えているらしかった。

 

 

 

 

 

 

 

3年1組

上杉風子
  :

  :

  :

中野一花
中野五月
中野二乃
中野三玖
中野四葉
  :

  :

  :

 

 

 五人全員、同じクラス……!?

 

 (五つ子だよ!?あり得ねーっ!)

 

 同じなのは顔だけでいいっての。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『学級長のお仕事』

 

 

「旦那様。無事、お嬢様方が同じクラスに配属されたとのことです」

「そうか。皆んな仲良くしてくれるといいなぁ……そして?」

「彼も同じクラスです」

「……今のうちに彼とも仲良くしていて欲しいんだが、あの子達はあのノリについていけるかな……」

 

 

 

 

 

▽▽▽▽▽▽

 

 

 

 

 

 三年生早々、教室内はザワザワと盛り上がっていた。話題は、言わずもがなあの子達についてだ。

 

「わぁ、中野さんが五つ子ってのは知ってたけど実際揃ってる所を見ると凄いな」

「そっくりー」

「ね、ね、誰が誰なの?」

 

 同じクラスだった奴は分かるだろ!

 一年間何を見てきたんだよ!もう!

 ああもう!私が一番あの子達の事を知ってますからー!あの子達の理解者は私なんですからー!

 私は最近、髪型とアクセサリーで見分けられるようになったんですぅー!ミーハーのあんた達とは違うんですぅー!

 ………私は何でアイドルの古参ファンみたいな事を考えてんだろ。

 

「苗字だと分かりづらいから名前で呼んでもいい?」

「うん。その方が私達もありがたいなー」

「あれやってよ、同じカード当てるやつ」

「ごめんねーテレパシーとか無いから」

 

 ああ、お姉ちゃん組が対処してる…。

 最近気付いたけど、五つ子の中でも特に一花と二乃がコミュニケーション力が高いのは、こういう風に矢面に立つ機会が多かったからなんだね。

 四葉もコミュ力は高いけど、うーん、過去に大勢の人から注目される機会とかがあったのかな?

 

「三玖ちゃんも似てるんでしょ。もっとよく顔見せてよ」

「………」

「わわっ」

「皆さん落ち着いて!」

 

 ああ、妹達の方へ……。

 四葉はまだしも、三玖と五月はこういうのあまり得意じゃないってのに!

 ……見ちゃいらんない!

 

「そこどいて」

「フー子……!」

「た、助けてくださ〜い」

「何?上杉さんも中野さん達のこと、気になるの?」

「………トイレ。邪魔だからどいて」

 

 ああっ!

 慣れない事するもんじゃねぇーっ!

 怖っ!人垣ってこんな怖かったっけ!

 五つ子以外で人と関わって来なかったからほぼほぼ初対面の人と、しかも複数人と話すなんて無理だよぉーっ!

 ああ、なんか女の子辺りから感じ悪いとか暗いとかそういう感じの言葉聞こえる!

 こういうのが虐めに繋がるんだよぉ!

 

「上杉さん可愛いな」

「あのツンとした態度たまんねえぜ」

「この学校の男子は変態しかいないの?」

 

「フ、フー子……」

 なんか二乃が呼び止めてくるけど、ごめんね、私にはこれ以上は無理だよ……。

 もちろんトイレに用なんてある筈もなくて、廊下をウロウロして、やっぱりあの子達がどうなったか気になったからすぐに教室に戻った。

 

「ねぇ中野さんあれやった事あるでしょ。幽体離脱ってやつ。あとシンクロしたりとかさ、あ、そういやどこ住んでるの?」

「………いい加減に………」

 やば。

 二乃がキレる。

 どうする?もう一度やるか……?

 

「皆んなやめよう。ね?」

「んっ?」

「そんなに一気に捲し立てたら中野さん達も困っちゃうよ。ねっ☆」

「武田君!」

「確かに武田の言う通りだな。……はしゃぎ過ぎちゃった、ごめんな」

「だけど気持ちは分かるよ。五つ子だなんて……皆んな君達のことがもっと知りたいんだよ。ねっ☆」

「は……はは……ありがと」

 

 なんだあいつ。

 ……まぁあの子達に助け舟を出してくれたのは有り難いかな。

 

「あと上杉さんのことも責めないであげてくれ。きっと緊張してたんだよ。ねっ☆」

 

 なんだあいつ。

 ……い、いや、言動はともあれ良い奴みたいだし……。

 

「おーい、席につけー」

 

 あっ、やばいやばい。

 オリエンテーションが始まっちゃう。

 

「今日からお前達は三年生だ。最高学年になった自覚を持ち後輩たちに示しのつくような学校生活を送るように心がけ……」

「………」

「…………それから」

「………………」

「……なんだ中野、の四女」

「このクラスの学級長を決めたいです!」

「ええー…まだ誰も聞いてないけど」

「そこをなんとか!やらせてください!」

「反対もしてないけど……」

 

 何やってんだあいつ。

 ………んっ?聞き間違い?

 四葉、今、学級長をやりたいじゃなくて、決めたいって言わなかった?

 

「あれ、お前が学級長をやりたいわけじゃないのか?」

「はい!私なんかよりも学級長にピッタリな人を知っていますから!」

「誰だ?」

「上杉風子さんです!」

 

 あっなーんだ私かぁ。うんうん、私なら学級長にピッタリだよねー。

 よーし!頑張るぞぉー!

 ………って。

「はぁ!?」

 何で私が!?

 

「じゃあ上杉よろしく」

「ちょっ!」

「ついでに男子の方も決めとくか」

「待っ!」

「男子の学級長といったら武田だろ」

「聞いてっ!」

「全く。やれやれ、仕方ないな」

「私はまだやるとはっ!」

「じゃあ学級長は上杉と武田で」

「聞けよっ!!!」

 

 民主主義めぇ〜…!

 休み時間になると私はすぐに四葉の所へと向かった。この野郎!その両頬引っ張ってやる!

 

「四葉ぁ〜!」

「いふぁいでふうえふひひゃん!」

「私やるとは言ってないんですけどぉ!」

「で、でも上杉ちゃんならピッタリです!面倒見も良いし、頼りになるし、それに何より、か、可愛いし。すぐクラスの人気者になっちゃいますよ!」

「えっマジ?……って!私はクラスの人気者になりたいわけじゃないの!」

「た、退散ーっ!」

「あっ逃げるなー!」

 

 あの野郎、すごい逃げ足だ……。

 

「という訳でよろしく上杉さん。ねっ☆」

「え?ああ………うん、よろしく武田君」

「……ふふふ」

「な、何?」

「上杉さん、君は随分と彼女達に信頼されているみたいだ。ねっ☆」

「えっ!?い……いやあ、それ程でも」

「昔から変わらないね、君も。流石は僕のライバルだ」

「………ん?ライバル?」

「フー子、ちょっといい?」

「あっ三玖……ごめん武田君、またね」

 

 どうしたんだろ、三玖。

 

「ここに魔法のランプがあります」

 

 本当にどうした三玖。

 そんなもの無いけど。

「あります」

「……心理テストか何か?」

「五つ願いを叶えてくれるとしたら、フー子は何をお願いする?」

「………んー、普通にお金じゃない?」

「お金………。成程。じゃあ、あと四つ」

「普通三つでしょ………んー……」

 

 改めて聞かれると思いつかないな……。

 

「んー、運動したいんだよね……。ちょっと体型とか気になるし。いや、別にそこまで気にしてないけどね、うん」

「運動」

「後は……最近疲れること多いし、疲労回復とかもアリかな」

「疲労回復」

「最近寝つきも悪いしなぁ。ぐっすり寝れる一花が羨ましいよ」

「睡眠」

「あと運気も上げてもらおっかな」

「運気」

 

 こんなもんかな?

 

「分かった」

「何が分かったの?心理テスト?」

「………」

「え、なんで答えてくれないの……?」

「あー!見つけた、『四葉ちゃん』!先生が呼んでたよ」

 

 ちょっとそこの女生徒二人組!思いっきり間違えてますけど!?

 

「その子は三女の三玖だよ」

「えっ!そうなの!?」

「う、うん」

「ごめんねー、まだ覚えきれなくって」

「問題ない、慣れてる」

「あ、今度こそ四葉ちゃんだ!」

「ニアピンで外してくる!それ五月!」

「えー?皆んな同じ顔で分からないよ〜」

 分かれよそこは!

 

「いい!?面倒から身に着けてるアイテムだけ覚えるの!例えば五月はほら、このセンスの欠片もないヘアピン!」

「いきなり失礼ですね!?」

「四葉はあの悪目立ちリボン!それだけ覚えておけば間違いないから」

 

 って。

 つい先日間違えてた私も、あんまり偉そうなことは言えないんだけど。

 

「上杉さん凄いね!」

「えっ」

「意外!ちゃんと中野さんたちのこと見てたんだね!」

「い、いや……」

「さすが学級長だね!冷たい人なのかなって誤解してたよ!」

「……そ、そんなに褒めても何も出ないし……」

「ね、じゃああれは誰?」

「いやあれ二乃!リボンだけど!」

 

 一日中連れ回された……。

 なんかむず痒いな。あの子達と関わる前は他人と必要以上に関わろうとすらしなかったから……。

 ……成り行きとはいえ。こうやって、誰かの役に立てるのなら、学級長、意外と悪くないかも。

 単純かもしれないけど。

 学校、ちょっと楽しいな。

 

「上杉学級長、三玖ちゃんに話がー」

「学級長、一花ちゃんにこれ渡しといて」

「二乃ちゃんに」

「五月ちゃんに」

 

 ……やっぱ面倒くせぇ!!!

 

 

 

 

 

▽▽▽▽▽▽

 

 

 

「聞けたよ、フー子の欲しいもの」

「お金持ち……運動……寝つきを良くして疲労回復……。運気アップとかどうしろっていうのよ」

「的を射ないですね……」

「いずれにせよ、急いだ方が良いかもね」

「うん!もうすぐだもんね」

「フー子の誕生日っ!」

 

 

 




Switchであつ森始めました。
島の名前をマカダミアンナッツ島にしたら友達全員からダサいダサいって言われて泣いてるよ。くそぉ。

あと今はコロナマジで気をつけてくださいね!割と洒落になってねえから!他の小説でいつも感想くれる人が最近してくれなくて怖いよ!私の小説が面白くなくなっただけなら良いけどよぉ!
皆んなも家で大人しくあつ森しようぜ!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。