五等分の花嫁 -上杉風子の場合-   作:悠魔

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十巻
シスターズウォー 一回戦


「じゃー全国模試も無事に終わったということで、修学旅行の話に本格的に入りたいと思いまーす」

「諸々の流れはパンフレットに書かれてありますが、皆さんは明日までに班を決めておいてください」

「定員は五人までです」

 

 五人までの定員。

 だけど少なくとも三玖は私と班を組むと約束しているわけで、少なくとも私が班を組めないという心配はない。

 多分、私と三玖だけじゃちょっと寂しいからもう一人くらい姉妹の誰かを誘うんだろうけど。誰だろ?……四葉とか?

 まあ皆んなは私と違ってたくさん友達がいるし、班決めは悩まないだろう。

 

「上杉さん」

「?武田君?」

「修学旅行の班だけど、君はもう決まったかい?もしよければ一緒に……」

「ああ、三玖が誘ってくれたんだよね」

「…………、そうか。いや、うん。それなら良いんだ。うん、それじゃあ」

「?」

 

 何の話だったんだろ……?

 まあ、いいや。

 学校も終わったし勉強会だ。

 

「お、今日は珍しく三玖がいるね」

「この後バイトだけど、ちょっとだけ参加する」

「全国模試以来の全員集合ですね」

 

 もうあれから一週間経つのか。時の流れは早いもんだ。

 ……んっ?

 なんか五月から視線を感じる。

 え?何?

 

「え、いえ!何でもないです」

「あーっと、その前に。ちょっと修学旅行の話をしてもいいかな」

「え?」

「フー子ちゃん、誰と組むか決めた?」

「ああ、それなら……」

「フー子は私と約束してたよね」

「四葉と私と一緒の班で……えっ!?」

「フー子は私と二人っきりの班を組む」

「うん………うん!?」

 

 ……んんんーー??

 あれ、ちょっと、何で!?

 三玖と二人っきり?何で!?

 別に嫌なわけじゃないけど、あれ、他の姉妹も誘うんじゃなかったのぉー!?

 

「一緒に行くって言ったよね?」

「え、いや、言ったけど!他の姉妹もいるんだと思ってたよ!?」

「私と二人っきりは嫌?」

「嫌ってわけじゃ……」

 

 ん?

 いや何の問題もない……か?

 後は二人ずつの班を組めば問題無いわけだから、うん。何の問題もないか。

 

「あるわよ!問題大有りだわ!フーちゃんは私と組むんだから!」

「えっ?えっ!?」

「早い者勝ちだから。フー子は私と組むって決めてた。フー子は今年、私と修学旅行を回る」

「そんなの不意打ち気味に言ったんでしょ!言葉尻捕まえてるだけだわ、ノーカンよノーカン!」

「………じ、実は私もフー子ちゃんと二人で修学旅行を……」

 

 なんか二乃と三玖が喧嘩してる!

 …………何で!?

 二乃は分かるけど、何でぇ!?

 

「ふ、二人とも喧嘩は……」

「フー子はどっちを選ぶの?」

「私か、三玖か!」

「えっ………」

 

 ちょ、ちょっと待って?

 なんでそんな話になるのぉおお!?

 

「簡単な話よ。私か三玖か、どっちと旅行行きたいかってだけよ」

「どっち?」

「いや私は皆んなが大切だし、皆んなに仲良くしてほしいよ!?」

「んんっ」

「ふ、不意打ちやめなさいよ!」

 

 何の話だ!

 いやしかし私としては六人全員で旅行を楽しみたいという気持ちもあるし、誰かを選んで誰かを選ばないなんてことはしたくない。五人は公平で、皆んな大切な人達なんだから。

 あ!そうだ!

 

「もー姉妹全員で同じ班になりなよ!そんでもって私が誰か他の人探すから!」

「友達のアテはあるの?」

「…………!…………!…………」

「無いんでしょ」

「無い………」

 

 武田君誘ってみるかぁ……?

 いや人気者みたいだし、一緒に行く人は他にいくらでもいるよね。無理か。

 そういえばいつだかの前田君も同じ一組という噂を聞いたけど、彼は今どうしてるんだろうか。

 

「あんた一人だけ除け者にするなんて、そんなこと誰も望んでいないわ。少なくとも私と三玖はね。

 ……フーちゃん、私と一緒の班になりなさい。一生忘れられない修学旅行にしてあげる」

「私は一週間前にフー子に了承を得た。だからフー子は私を選ぶ義務がある」

 

 ………えっ。

 何これどうすればいいんだ。

 ええとつまり……この六人の中から二人以上四人以下の班を決めなきゃいけないわけで……えーと、15と20で計35通りあるわけか。

 35分の1。

 二乃は私と(おそらくデート目的で)二人きりで修学旅行を周りたいらしく、何故か三玖も私と二人の班が良いらしい。

 この35通りの中からもっとも最適な答えを選べ……って…………

 無理じゃん!

 絶対誰選んでも面倒なことになるよ!

 何でこうなった!?

 

「ジャンケンにしない……?」

『ダメ!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『一花、二乃、四葉、五月の班』

 

「……はは、三玖がフー子ちゃんと仲が良いみたいで何よりだよ」

「………何でこうなるのよ………」

(気まずい!)

(お腹が空きましたぁ……)

 

 

 

 

 

『三玖、風子の班』

「ふふっ。──早い物勝ちだから」

(最初に約束した三玖にしたけど……なんかすっごい向こうから視線感じる……)

 

 

 

 

 

『武田、前田の班』

「班長はどっちがやんだコラ」

「この僕を差し置いているまい!」

 

 

 

 

 

 どうなるんだ修学旅行。

 

 

 

 

▽▽▽▽▽▽

 

 

 

 

 

 私とらいはは大きなデパートに、修学旅行に必要なものを探しに来ていた。

 下着類はわざわざ新調しなくてもいいと思ったんだけど、まあ、この際だからね。

 私もいつまでも子供ではないのだ。

 

「そうそう。少しくらい自分のために使ってもバチは当たらないって。あ、でも五月さんたちへのプレゼントはケチってたら駄目だよ?」

「へえ、誕生日なんだ?」

「もう過ぎてるけど?」

「えっ。………えぇ〜……」

 

 マジかよ?

 ……まあ向こうから言ってこないということは別にあげなくても……。

 

「何言ってるの!頂いたらお返し!小学生でも知ってる常識だよ!」

 

 すみません。

 ……だけど五人分かぁ。しかも相手はそれなりにお嬢様生活をしてきた子達。私なんかが贈ったプレゼントを気に入ってくれるかどうか……。

 げっ、噂をしていたら。四葉と五月?なんでここに。

 

「一緒に買い物しようって、昨日メールしてたんだよね」

「言ってよぉ……」

「私達も下着買いに来たんですよー」

「ああ、それなら向こうにあるよ」

「………ええと上杉さん、とても言い辛いのですが向こうには私達のサイズはおそらく無いかと……」

「泣きたくなってきた」

 

 悲しくなって胸を触る。……貧相だ。

 ……この間三玖に貰ったペアチケット、そろそろ使おうかな。今更体型をどうこうしようと思っても無駄だと思うけど……。

 てか、冷静に考えればとっても下品な行動だった。慎まねば。

 五月とらいはは下着売場の方に行った。

 私と四葉はベンチで待ってる。四葉は物持ちの良い方だから買わなくていいらしい。……まだお子様パンツか。

 

「模試を終えたばかりとはいえこんなことしてる場合かよ……あ、模試といえば……四葉、将来の夢とかある?」

「えっ?んー…考えたことなかった…」

(やっぱり)

 

 とはいえ四葉にはずば抜けた身体能力があるし、愛嬌もあるし、わりと探せばいくらでも見つかる気はする。

 最近気付いたけど、仕事ってわりと体力使うしね。

 

「おまたせー」

「お帰り──…あれ?五月は?」

「奥で採寸と試着してるよ」

「他の子と同じサイズでいいでしょ。五つ子なんだから」

「あ!五つ子ハラスメントですよ!イツハラ!」

 

 初めて聞いたわそんな単語。

 

「でも採寸って……はっ!まさか五月、一人だけ抜け駆けしたんじゃ」

「腹の方でしょ」

「お姉ちゃん流石にそれは失礼」

「五月ハラスメントですよ、イツハラ!」

 

 うん。

 まあ確かに、今のは流石に失礼だったかもしれないわ。

 

「とにかく林間学校は散々な結果で終わってしまったので、今度こそ!後悔のない修学旅行にしましょうね!」

「まっ、体調管理だけは気をつけるよ」

「もー!本当は楽しみにしてるくせに。家で何度もしおり確認してるじゃん」

「ら、らいは!」

「それに、写真の子にも会えるかもしれないしね」

 

 いやぁ……それはないでしょ。

 確かにあの子とは京都で出会えたけど、あっちも旅行者だし。

 

「写真の子ってなんですか?」

「………京都で偶然会った女の子だよ。名前は零奈」

「…………………………零奈?」

「………、おしまい」

「そ、それだけですか!?もう少し詳しく教えてくださいよぉー!」

「つまりお姉ちゃんの初恋の人だよね」

「は、ははははは初恋!?」

「らいは!」

 

 クソァ!こんなところで自分の秘密をバラされるとは思ってなかった!

 あの時のこと話すんじゃなかったよ!

 お腹が空いたらいはと四葉は、フードコートで食事を取ることにした。

 私はあまり空いてないので、五月を待つことに。……早く来ないかなー。

 私の隣に誰か座った。

 ……いやまあ、服装と格好で誰かはもう分かってるんだけども。

 

「なに?零奈。何か用?」

「なーんだ。意外と冷静なんだ」

 

 あの時と同じように、彼女は、悪戯っ子のように笑った。

 

「もう姿を見せないんじゃなかったの?」

「事情が変わってね。……君に会いたかったから、って言ったらどうする?」

「いやこんなことしなくてもいつも会ってるじゃんか」

「うん……………うん!?」

「どーしてお母さんの名前名乗ったの」

「あ、あの時は咄嗟にね……」

(正体を隠したかったからってこと?……)

 

 ともすれば、零奈は、五つ子の中の誰かなんだろうけど。つばの広い帽子を目深に被っているので判断はつき辛い。

 ……こうも顔を隠されては誰だかよく分からないな。

 

「君の考えてる通り、私は五つ子の一人。君に私がわかるかな?」

「わからないから教えて」

「諦め早くない!?ほ、ほら、成績優秀なんだから考えてみてよ!」

 

 いや……もう……さ。

 この間散々頭を使ったんだから、もうこれ以上の心理戦とか見分けるだとか試練だとかは懲り懲りなんだよ。

 誰が誰とか。

 誰のフリした誰とか。

 もうたくさん!

 

「楽しい修学旅行にケチつけないでよ」

「き、気にならないの?……私のこと、どうでも良くなったの?」

「いやそういうわけじゃ……」

「ッ」

 

 どっか行っちゃった。

 ……それにしても変なの。

 この間は私のことなんて忘れてー、なんて言ってきたくせに。今になって現れて、一体何のつもりなの?

 あの子には感謝こそしてるけど、それ以上の感情はない。私の中であの子は記憶の中の女の子!そう割り切ったんだ。

 

 ………あれ?

 何か忘れてるような………

 

「あっ」

 

 

 

 

 

 

 

▽▽▽▽▽▽

 

 

 

 

 

──思った通りにいかない……。

──しかし、楔は打ちました。

 

──四葉とらいはちゃんがこっちに……。

 

「五月、探したよー」

「どこ行ってたの?」

 

「──少し、野暮用がありまして……」

 

 

 

 

 

 

 

 

──いよいよ始まる。

 

「ひとまずフーちゃんと三玖の班に付いて行くわよ」

「でもフー子ちゃん嫌がってたよ」

 

「上杉さん!清水寺行きましょうよ。私達の班と一緒に!」

「えっ。いや、今回は班ごとに行動だったでしょ?」

「まあそう言わずに」

「五月……?」

「み、三玖、その眼はやめてもらえませんか。怖いので」

 

 京都での思い出は大切なはずじゃなかったのですか?

 私……あなたなら気付いてくれると信じていますからね!

 

──修学旅行(シスターズウォー)が。

 

 

 

 

(い、五月までどうしちゃったのぉー!?)




クラピカが船に乗った後に鬼滅の刃が始まってクラピカが船降りる前に鬼滅の刃が終わったって話、ほんと草生える。
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