五等分の花嫁 -上杉風子の場合-   作:悠魔

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二巻
今日はお休み(上)


日曜日!今日は丸一日休み!

五つ子のことは忘れて思う存分勉強できるぞ!集中集中!

 

ピンポーン。

 

?誰か来た……借金取り?金ならないよ。

「はい」

「ど、どうも……」

なんだ五月か。閉めよ。

「なんでですか!開けてください!」

ごめん、反射でつい。

「そういえば、うち知ってたね……何これ?ドッキリ?」

「あなたにお渡しする物があるんです!」

「あ、五月さーん!いらっしゃーい、中はどうぞー」

「そうですね。外で渡すものでもないので」

 

部屋に入った五月が机の上に置いたのは給料袋。五月曰く、父親から預かってきたらしい。

「やったねお姉ちゃん!」

「と言っても今月は二回しか行ってないし。期待しない方が……」

 

福沢諭吉が五人。

 

「一日五千円を五人分。計二回で五万円だそうです」

すげえ……。

「お母さん、お姉ちゃんがやりました」

拝んでるし。でもその気持ち分かるわ。

っていうか寧ろ怖いよ。

なんか変な汗出てきた。で、でもこれなら借金もあっという間に……

 

…………。

 

「受け取れない」

「え?」

「たしかにあんた達の家に二回行った。けど私は何もしてない。だから受け取れない。せっかく来てもらって悪いけど………」

「二乃にセクハラしてたじゃないですか」

「えっ。お姉ちゃん?」

「あれは事故だってば……」

「ふふっ。でも、何もしてない事はないと思いますよ」

 

「貴方の存在は、五人の何かを変え始めています」

「………五人?」

「!ま、間違えました四人です!と、とにかく返金は受け付けません!どう使おうがあなたの自由です!」

「…んー……参考書くらいしか特に欲しいものもないし……らいは、欲しいのある?」

「あのねあのね!お姉ちゃん、今日は夏祭りがあるんだよ!私、行ってみたいな!」

夏祭りか……それなら……。

あれ?それって日曜日潰れない?

 

「ダメ……?」

「もちろんいいよ……」

日曜日は潰れました。

 

 

 

 

その後、私達はデパートへとやって来ていた。

「浴衣までレンタルするなんて、随分と気合い入れて行くんだね」

「仕方ないでしょう。らいはちゃんが着たいって言うんですから」

「あの顔は反則だよね、わかる」

らいは可愛すぎるもん。

 

「なんか付き合わせちゃって悪いね。あの子には家の事情でいつも不便かけてる。本当はやりたいことがもっとあるはずなのに……。あの子の望みは、全部叶えてあげたいんだ」

「……付き合わせたなんて言わないでください。私もらいはちゃんと遊びたいから遊んでるんですから」

「……そっか」

 

あ、らいはが着付け終わって出て来た。

白を基調とした、椿の花と文鳥をあしらった遊び心溢れる可愛らしいデザイン。天真爛漫なようでいて、それでいて子供らしさを感じさせない大人なコーデ。……らしい。

うん、めっちゃ可愛い。

「えへへ、浴衣なんて初めて!どう?お姉ちゃん、五月さん!」

「似合ってるよ、らいは」

「可愛いです!」

「お姉ちゃんも浴衣着せてもらいなよ!」

「いや、私は別に……」

「全て叶える、でしょう?」

「…………じゃあ、一番安いので」

「五月さん!」

「任せてください!上杉さん、貴方にはとびきり美人になってもらいますので!」

 

めんどくさ。

しかも店員さんじゃなくて五月が着付けるのかよ。なんか不安だなー…。

 

「じゃあ、浴衣に着替えるので下着になってください」

「ええー……」

「女の子同士でしょう?別に気にしませんから、ほら早く!」

脱げばいいんでしょ、脱げば。

…………。

こ、これでいいの?

つーか、何ジロジロ見てんの、五月。

 

「改めて見ると、本当にお肌が白いですね。細身で、余分な肉がついていないというか」

「うるさい!早くしてよ、恥ずいから」

「はいはい」

ったく、もう。そんなお世辞言われても嬉しくないよ。

 

「ほら、せっかくの浴衣なんですから。もっとちゃんと髪を結ってください、せっかくの綺麗な髪なのに勿体ないですよ?」

「いや、私は別に……」

「そんな事言わないで、ほら!」

「もう、分かったから!髪の結い方とか分かんないし、五月に任せるよ」

「派手なのがいいですかねー。それとも、こっちの白いのとか……」

「はあ……」

めんどくさ。ほんっと、めんどくさ。

 

 

 

さんざっぱら試着させられて、ようやく選ばれたのはモダンなデザインの浴衣。

こっちは黒を基調として、白や灰色の蓮の花があしらわれてる。帯は白と薄桃色の、ふわっとした兵児帯で、しっかりとした中にも可愛いらしさのアピールを欠かさない、お洒落な組み合わせ。

……だそうです。はい。知らんけど。

 

「はい、完成!どうですか?らいはちゃん」

「お姉ちゃんきれー……五月さん、ポイントはどこでしょうか!」

「やはり、黒髪という事でそれに合う浴衣選びに時間をかけました。こだわりたかったですし。それに髪を上げる事で、動きやすい上に色白のうなじも見えてよりポイントアップを狙えると思います!」

「誰にだっつーの。ポイントなんてスーパーのカードだけて十分」

 

つーか、これものっくそ歩きづらい。

脱いでいいかな?

「皆様とてもお似合いです!よかったら、写真を撮るサービスもございますよ」

「えっ。そ、それは……」

なんか恥ずかしいな……。

「せっかくですし撮りましょうよ」

大丈夫?それ弱み握られない?

 

「浴衣を美しく着こなすコツは、顎も引いて、背筋もピンとする事です!意識してみてください!」

「む……」

「顔が硬いですよー?」

「こ、こういうものは苦手で……」

「……やっぱあんた達二人でやって」

「逃がさないよ」

あ、やば。手掴まれた。

 

「ほら五月さんも、手、出して?」

「あ、はい」

「撮りまーす」

それにしても、らいはが私の右手、五月の左手をとって真ん中に立つって。これじゃなんだか、まるで……

 

「なんかこれ、家族写真みたいだね」

 

 

 

私達は恥ずかしさのあまりお互いに爆笑しながら相手をディスった。

「あっははははは!あんたなんて顔してんの!あーおっかしい!」

「あなたの顔も負けず劣らずの酷さですよ!」

らいはったら。何が家族写真だっての。

変なこというから余計意識しちゃったよ。

「はい、五月さんの分」

「い、一応貰っておきます!」

「お姉ちゃんもありがとう!一生の宝物にするねっ!」

……ま、この笑顔が見られただけでも、来てよかったかな。

 

「それにしても本当に綺麗な黒髪……どうしたらこんなになるんです?」

「別に。使ってるのは安物のシャンプー

だよ」

「本当ですか?じゃあ生まれつきこの髪……凄いですね、ほんと」

まあ一時、見栄張りたくって、金髪だった事もあったけどね。あの時の私ってば、馬鹿だったなあ……。

 

変われてる、のかな。あの日から。

誰かに必要とされる人になりたくて、馬鹿正直に必死に勉強して、学年一位になって。

今の私を見て、あの子は何て言うのかな。

 

…………。

 

「何見てるんです?」

「いや、さ。あんたと同じ顔が四つあるんだけど」

「え?」

「いやー、デート中にごめんねー」

「五月!なんでそいつといるのよ!」

「わー、上杉さんの妹ちゃんですか?これからお祭り行きましょー!」

おいおい。

 

「あんた達もお祭りだったんだね」

「ええ、そうです。言い忘れていましたが、花火を五人で見ると決めていたので……」

「そっか。……そういえばあんた達、宿題出てたけど、終わらせたの?」

「「「「「…………」」」」」

五つ子達の時が止まった。

 

………まったく、もう。

「もうすぐで花火始まっちゃうわよ!なんで家で勉強しなきゃいけないのよ~!」

「そこうるさい!宿題終わらせるまで行かせないからね!」

 

「やっと終わったー!」

「みんなお疲れさまー」

「花火って何時から?」

「19時から20時まで」

「じゃあまだ一時間あるし屋台行こー!」

「はぁ……」

元気だな、この子達……。

いつにも増してテンション高いし。すんなり宿題もやってたし、そこまでして花火が見たいかね……。

 

「なんですか、その祭りにふさわしくない顔は」

「…………誰?」

「五月です!」

「顔が同じでややこしいんだから髪型変えないでよ」

「あなたも変えてるじゃないですか!」

「残念でしたー、私は五つ子じゃないから変えてもいいんですぅー」

「もう!どんなヘアスタイルにしようと私の勝手でしょう!」

いやもうホント、浴衣の色とか覚えてないとやばいなこれ。

 

「一花、いつまでそこにいんの?はぐれちゃうわよ」

「ごめーんちょっと電話」

「なに?どっか向かってんの?」

「別にいいでしょ。ったく、今日は五人で花火を見にきたのに……なんであんたまで」

「私は妹と来てるだけだよ。らいは、あんまり離れないでね。ここ掴んでな」

「はーい!」

そうそう、袖のあたりね。

 

「それにしても人多いね、これじゃ落ち着いて花火も見れないでしょ」

「二乃がお店の屋上を借り切っているから付いていけば大丈夫」

「ブルジョワめ……。それなら、さっさとここ抜けて行こうよ」

「待ちなさい。せっかくお祭りに来たのにアレも買わずに行くわけ?」

「アレ?」

 

「チョ「人形「リンゴ「焼き「かき氷」そば」コバナナ」飴」焼き」

どれだよ。

「全部買いに行こーっ!」

マジかよ。

 

「らいはちゃん!金魚ですよーっ!」

「うわっ、多い」

「すごーい、四葉さん!」

「あはは……らいはちゃんを見てると、不思議とプレゼントしたくなっちゃいます」

「これも買って貰ったんだー」

そう言って出されたのは……超花火セット。

「それ今日一番いらないやつ!」

つーかいつやるの、そんなもの。

 

「四葉のお姉さんにちゃんとお礼言った?」

「あ、そうだね!四葉さんありがとう!大好きっ」

「~~~~っ!」

あー、きゅんきゅんしてやがる。あの笑顔は反則だよね、わかるわ。

 

「あーん、らいはちゃん可愛すぎます!私の妹にしたいです!待ってくださいよ?私が上杉さんと結婚すれば合法的に義妹にできるのでは……」

「何考えてんの」

「上杉さん……いえ!もう私達は友達ですので!これからは上杉ちゃんと呼ばせていただきますよ!」

「別にいーよ、呼び名なんて」

「ぶっちゃけ上杉さんだと五月と被るので!」

「そこかよ」

「というわけで上杉ちゃん!同性婚できる国に行きましょう!」

「海外行くんかい」

 

「らいはちゃん、四葉!前を見ないと危ないですよ!……上杉さん、あなたは遊ばなくていいんですか?」

「私は別に。大人になってやるほどのものでもないし……」

「お姉ちゃん、射的やろ!射的!」

「ほらー、呼んでるよ?フー子ちゃん」

「……まっ、こんな遊びで満足できるんだからまだまだ子供だね」

 

「……おかしい!今の衝撃で落ちないのは物理の法則に反してる!親父さん!もう一回、もう一回だけやらせて!」

「お姉ちゃんもうやめとこ!ねっ!」

「上杉ちゃん、負けず嫌いですね……」

 

「五月!まだ玉残ってるでしょ!あれを狙って不正を暴くんだ!」

「私ですか?そう言われてもあんな小さな的……」

「だから、照星に合わせて飛距離を計算するでしょ?そしたら……」

「ちょ、上杉さん!近いですよ!」

「こうしないと撃てないでしょ……ほら、手をしっかり握って……」

「ひゃ……わあっ!?」

「全然ダメじゃん!」

「あはははは」

 

「ちょっとあんた達!おーそーいー!」

「二乃、いつになく気合入ってるね。花火なんて毎年やってるでしょ」

「……花火はお母さんとの思い出なんだ。お母さんが花火が好きだったから、毎年揃って見に行ってた。お母さんがいなくなってからも、毎年揃って。私たちにとって花火って、そういうもの」

………そういうこと。

前から思っていたけれど。あの子ったら、ああ見えて家族想いなんだね。

 

 

 

▽▽▽▽▽▽

 

 

 

「ったく、鬱陶しいわね……」

もう。これじゃあ、姉妹とも妹ちゃんとも、ついでにあいつともはぐれちゃうじゃない。

五人で見ることに意味があるのに。これじゃあ皆んなーー

 

『大変長らくお待たせいたしました。まもなく開始いたします』

瞬間、大勢の人が一斉に動き出した。

流れるように押し寄せる人の波に、皆んな呑み込まれてしまって。さっきまで近くにいた筈なのに、バラバラに離れてしまった。

 

「ちょっと……みんな、どこ!?四葉!一花!五月!三玖!」

誰か、誰でもいいから、近くにいないの!?

誰か……

「……フ……」

 

 

 

「掴んでな」

 

私の手を強く引いてくれたその手は優しくあたたかい。

……細くて白い繊細な指。なによ。綺麗な手してるし……ほんと、むかつく。

 

「何よ……」

「こんなところじゃ埒があかないよ。ひとまず予約したっていう店まで案内して」

「あんたなんかお呼びじゃないわよ」

「はいはい。行くよ」

 

こいつ。こいつの背中……

「五人で花火見るんでしょ」

……こんなに大きかったっけ?

 

上杉の袖を、強く、握った。

 

 

 

「やっと抜けたわ!あんたが道を間違えるから遅くなったじゃない」

「あんたが歩くの遅かったせいだよ」

「ここの屋上よ!きっともうみんな集まってるわ……あっ」

花火が上がった。

 

「どうしよう……よく考えたら今年のお店の場所、私しか知らない……!」

 

花火大会終了まで00:59:51ーー




初めてポケモンの大会出ました。たのすぃ……。
妖Z持ち陽気カプ・コケコAS極振りと、エレキシード持ち意地っ張りルチャの物理コンビ楽しかったです。トリル来たら負けるしかないけど。
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