やべー奴が赤龍帝になりました。   作:やがみ0821

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居候

 

 コカビエルの騒動が一段落し、リアス経由でコカビエルに関する弁護書を一子は送付した後、日常が戻ってくるかと思ったが、そんなことはなかった。

 ひとえにそれは――居候が減るどころか増えたことだ。

 

「一子、今日から私もここに住むから」

 

 などと宣ってリアスがやってきたのを始めとし、何故か朱乃までもがやってきた。

 おまけに――ゼノヴィアとイリナの2人だ。

 コカビエルの一件が片付いた後も2人はそのまま居候していた。

 

 ひとえにそれはある理由によるものだった。

 

 

「良かったの?」

「ああ、いいんだ」

「うん。だって、信じていた神様がいなかったんだもの。それに、2人とも異端として永久追放になっちゃった」

「まさか2人とも悪魔になるなんて、色々と驚きだわ」

 

 一子の言葉に2人はそれぞれ悪魔の翼を顕現してみせる。

 

「これ、意外と便利だな」

「実は私もちょっと便利だなって思っていたり。空、飛べるし」

 

 前向きだなぁ、と思いつつ、2人を口説き落としただろうリアスへと視線を向ける。

 

「リアス、よく口説き落とせたわね」

「というか、2人の方から言ってきたのよ。やけくそというか、やぶれかぶれというか、そんな感じで」

「だって、もうどうにでもなれって感じだったし……」

「手近なところにそれなりに有名な悪魔がいたから……」

 

 むぅ、と一子は頬を膨らませる。

 

「私のところに眷属候補でくればよかったのに。私の眷属ったら、それはもう凄いわよ? 給料は毎月日本円で1億出すわ! 世界の半分が欲しいならくれてやろう!」

「あらあら、それなら私がいきましょうか」

 

 朱乃の言葉にリアスはじろり、と睨む。

 

「朱乃、私の一子に何を言っているのかしら?」

「あら、駄目かしら?」

「駄目に決まっているわよ。とはいえ、一子の眷属といったらアーシアは確定じゃないの?」

 

 アーシアという単語にゼノヴィアとイリナが反応する。

 

「アーシア・アルジェントか?」

「そうよ、ゼノヴィア。堕天使のところであれやこれやと色々あって、今は私が保護しているの。この町の教会にいるわよ」

 

 ゼノヴィアとイリナは呆れた顔になった。

 

「悪魔や堕天使すらも治癒できる元聖女と聞いてはいたが……」

「何か、引き寄せるものでもあるのかな。駒王町、色んな人物がいるよね。私が言うのもなんだけど」

 

 イリナの言葉に彼女も含めた視線が一子へと集中する。

 

「どうせなら、凄腕の美少女剣士とかメイドとか欲しい。そういうの、集まらないかな……」

「トレードで一子ちゃんの眷属になってあげるよ?」

「イリナ、強そうには見えないんだけど……」

「う、か、一子ちゃんからすればそりゃ、弱いけど! が、がんばるもん!」

 

 可愛い、と一子は思ったので、頭を撫でた。

 嬉しそうなイリナにリアスと朱乃が我も我もと視線を一子へと向ける。

 決して言葉にはしないことがミソであり、あくまで一子がしたいからさせるというスタンスだ。

 

 勿論、一子もそういうものは心得ている。

 

「リアスと朱乃はこっちー」

 

 ぐいっと2人を同時に抱きしめる。

 

「ぐへへへ」

「うわぁ、一子ちゃんすごいやらしー」

「悪魔だから問題ないのだ」

 

 もー、とリアスは呆れながら、しかし嬉しさを隠せていない顔で、朱乃はあらあら、と微笑む。

 

「というか、一子。アーシアと会ってみたいから、こっちに呼んだらどうだ?」

「とは言ってもね、ゼノヴィア。うちにはもうこれ以上部屋がなくてね。だって、4人よ、4人。居候が! 家賃として毎月ちゃんと私が徴収するからね?」

 

 家賃と聞いても涼しい顔のリアスと朱乃。

 対して、ゼノヴィアとイリナはピシッと体が固まった。

 

「や、家賃ってなんだ?」

「一子ちゃん、いくら……?」

「教会スペシャル税と聖剣使用税、私は最高だ税その他諸々で1人あたり200万ってところかしらね」

 

 200万、とゼノヴィアとイリナは呟いて、一斉に抗議する。

 

「む、無茶苦茶だ! だいたい何だよ、その税の数々、特に最後! 私は最高だ税って今考えただろ!」

「横暴だよ! 横暴! 部長、何とか言って!」

 

 イリナの呼びかけにリアスはそうねぇ、と指を1本、顎に当てる。

 

「一子、免除にしてあげて」

「仕方ないわね。特別に免除にしてあげる。まあ、元々取るつもりはないし」

 

 けらけら笑う一子にイリナとゼノヴィアはからかわれた、とむーっと頬を膨らませる。

 

「リアス、お金払うから、なんかこう、どばーっと改築っていうか増築っていうか、そういうの頼める?」

「仕方ないわね。まあ、こちらとしても押しかけたし……料金はいいわ。私が持つから」

「だからリアスって好きー」

 

 抱きついてくる一子にリアスは微笑みながら、それを受け入れる。

 

 そのときだった。

 魔法陣が床に描かれていき、そこからグレイフィアが現れた。

 

「メイドがやってきた。リアス、この人を私のメイドにする」

「駄目に決まっているでしょ。グレイフィア、どうかしたの?」

 

 問われ、グレイフィアは告げる。

 

「お嬢様、授業参観にサーゼクス様とジオティクス様が来られます」

「え、本当に?」

「はい。また同時に3日後に駒王学園にて、和平会談が行われます。天使と悪魔、そして堕天使との間で」

 

 グレイフィアの言葉に驚きを隠せなかった。

 ただ1人を除いて。

 

「まあ、妥当なところでしょうね。きっかけはコカビエルの件かしら?」

「はい。非公式ですが、悪魔と教会が手を組んで対処したから、良い機会だということで」

「コカビエルは永久凍結になったかしら?」

「はい。弁護書に私も目を通しましたが……何の接点もないのに、見事なものでした」

「昔取った杵柄というやつでね。詭弁は得意なの。私も出席したほうがいいかしら?」

「はい。無論、リアスお嬢様達も。実際に現場にいた者達から話を聞きたいとのことで」

 

 ポンポンと会話する一子とグレイフィアにリアスは懸命に理解に努めようとしたが、まったく追いつかなかった。

 

 一方、グレイフィアも舌を巻いていた。

 ただの脳筋などではなく、よく頭が回ると。

 

「とはいえ、十中八九、どっかの過激な連中が殴り込んでくるわよ。魔王やら熾天使やらは討てなくても、会談をぶち壊せばいいだけだから。私が彼らならきっとそうする」

「ですので、あなたには護衛を頼みたいのです」

「私はリアスの眷属だから、詳しい話は彼女に」

「分かりました。リアスお嬢様、よろしいですか?」

 

 グレイフィアに話を振られ、リアスは何とか状況を飲み込んで、頷いた。

 

「参考までに、一子様ならどのようにやりますか?」

「使い捨ての兵隊を会場周辺に転移魔法で送り込み続けて、本命の部隊を会談場所に送り込み、奇襲ってところかしら。よくある手だけども」

「分かりました。ありがとうございます」

 

 グレイフィアは頭を下げて、転移していった。

 

「ところでリアス。私の護衛料金は……高いわよ?」

 

 にこりと微笑む一子にリアスはそうくると何となく予想がついていた為に問いかける。

 

「いくら?」

「護衛成功率200%なので、2兆円といったところかしら」

 

 予想外の数字が飛び出してきたが、リアスはうろたえない。

 しかし、話を聞いていたゼノヴィアがツッコミを入れた。

 

「何で200%なんだ?」

 

 問いに、一子は獰猛な笑みを浮かべて、告げる。

 

「襲ってきた連中を皆殺しにした後、敵の本拠地に乗り込んで皆殺しにするから200%よ」

 

 あー、と一同は何とも言えない声を出すが、唯一朱乃だけは何か通じるものがあったらしく、あらあら、と穏やかに微笑んでいる。

 

「とりあえず、一子、和平会談後にアーシアを呼びなさい。まあ、何とかなるでしょ。改築に関しては私が手配しておくから」

 

 リアスの一言でアーシアもまた兵藤家に居候することになった。

 

 

 

 

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