やべー奴が赤龍帝になりました。   作:やがみ0821

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廃人基準の色々

 

 

「というわけでイリナ強化計画をやりたいと思います」

「どういうわけなの!?」

 

 イリナはツッコミを入れた。

 授業参観は特に何事もなく終わり、会談の準備に忙しいリアスと朱乃を除いた面々でいつも通りの面々で部室で駄弁っていると、一子が唐突に言い出したのだ。

 

「やっぱり誠の旗と浅葱色の羽織は必要だと思うの」

 

 きらきらした目で一子はそう言った。

 

「修行か? それなら私も参加したいぞ」

「それなら僕も」

「私もです」

 

 続々と名乗りを上げる面々に一子はうんうんと頷く。

 

「強さを求める者って私は大好きよ。というわけで修行しましょう」

 

 リアスに一子は伝言(メッセージ)を飛ばし、その旨を伝え、戦域を展開すると伝える。

 彼女から了承をもらうと、一子は早速に戦域を展開した。

 

 

「で、ぶっちゃけイリナってどうなの? 強いの?」

「正直に言うと、強いぞ。そうじゃなきゃ、聖剣使いをやっていないからな」

「ほら! ほらほら! 一子ちゃん聞いた?」

 

 ゼノヴィアの証言にイリナはドヤ顔で胸を張るも、一子は大して興味を抱いた様子はない。

 

「まあ、それはいいとして、実は私もちょっと刀を使ってみようかなと。あ、旗と羽織はあるけど、いる?」

「いらないよ! 私は悪魔だけど、聖剣使いなの! 新撰組じゃないの!」

 

 一子は不満げに頬を膨らませるが、それはそれとして無限倉庫から一本の刀を取り出す。

 その一振りに4人は思わず見惚れてしまう。

 

「菊一文字則宗っていうのこれ」

「沖田総司のやつじゃないの! 一子ちゃん、どこの博物館から盗んできたの!? 一緒に謝りに行ってあげるから!」

「すごい、イリナすごい。ツッコミ役に最適ね」

「一子ちゃんのせいだよ! っていうか、出身地とかその他諸々的に、分かる人、私しかいないからね!」

「で、それはさておいて、まあ、私は一応、それなりに強いので、お手本でも示そうかと」

 

 それなりに強い、という単語にイリナ達は溜息を吐きたくなった。

 一子の強さでそれなりに、と言われたら自分たちはなんなんだ、とそういう思いだ。

 とはいえ、一子とてそれは承知の上。

 

「常に向上心を忘れちゃ駄目よ。強さとかそういうのに関して、完璧とか完全とかそういうものは存在しないので」

 

 そんなフォローを入れつつ、一子は告げる。

 

「なんか適当な標的……木場、適当になんか剣を創ってくれないかしら? 大太刀あたりで」

「分かった」

 

 一子の言葉に木場は答え、大太刀を創造する。

 便利な能力だよね、と一子は思いつつ、その地面から生えた大太刀に向き直る。

 

 腰だめに片手で菊一文字を持ち、精神を集中させる。

 イリナ達はその雰囲気に圧倒される。

 

 それこそ数多の戦を経験してきたことが如実に分かるような、独特の迫力があった。

 

 瞬間、風が吹き付けてきた。

 しかし、それは単なる風などではない。

 

 一子が菊一文字を振り抜いた姿勢で止まっていた。

 刀を抜いたことにより、できた風だと4人は理解し、そして大太刀へと視線を向ける。

 

 やや、あって大太刀はその刀身の中ほどから斬られ、ゆっくりと地面へと落ちた。

 

 

「すごい……」

 

 イリナはそう言うしかなかった。

 そして、他の3人からしても、そう表現するしかなかった。

 

「ま、こんなものかしらね」

 

 そう言いながら、武人武御雷とかなら、もっとうまくやるのかも、と思いつつ。

 剣を最も得意とし、更には武芸百般、徒手空拳ですらも職業スキルのおかげである程度――いわゆる廃人基準でのある程度――戦えるが、専門職を極めている連中には及ばない。

 とはいえ、一子には可能性がある。

 既にユグドラシルの制限は取り払われている為、やればやるほど、成長する可能性が。

 

「私の目標は風すら巻き起こさず斬り捨てるってところかしら。相変わらず、私は技量がない」

 

 元々の戦闘スタイルが装備とバフのガン積みによる、スペックで相手を圧倒するのが一子のやり方だ。

 たっち・みーや他のワールドチャンピオン達と比較すると技量で劣るのは仕方がないことだ。

 

 だが、これからはその弱点すらも無くせるかもしれない、これは一子にとって非常に喜ばしい。

 

「えーと、一子ちゃん。技量がないって比較相手は誰?」

 

 ギルドメンバーとかの名前を出しても当然分からないので、一子は武人の二文字を外して告げることにした。

 

「……武御雷とかその他色々」

「神様相手に張り合える時点でおかしいから!」

 

 イリナのツッコミに他の3人もうんうんと頷いた。

 

 それはさておき、修行であったが、とても素晴らしい方法があった。

 

 

「さぁ、どこからでも……殺す気でかかってきなさい」

 

 一子対全員でいいのでは、とそういうことだった。

 でも、と躊躇する者は誰一人いない。

 なぜなら一子の実力というか規格外の強さは何度も目の当たりにしている為に。

 

 全員、全力で立ち向かうことにまったく躊躇いはなかった。

 

 

 

 この後、リアスと朱乃がやってくるまでの3時間程、4人は一子に瀕死になっては治癒され、また瀕死になっては治癒されるという事態になるのだが、そんなことになってもへこたれる者は誰もいなかった。

 

 

「私達も参加したかった!」

 

 リアスと朱乃は不満顔だった。

 

 修行するから戦域を展開するというところまでしか2人は知らない。

 参加した4人は4人とも満ち足りた顔で寝息をたてて、ソファや椅子で眠っていた。

 自身の限界を何回も一子との戦闘でぶち破った結果だ。

 最初と最後では見違える程に動きが良くなったので、相当にレベルアップをしただろう、というのが一子の感想であった。

 

「勿論、あなたたちにもやってあげるわよ。今夜、暇かい?」

 

 デートに誘うような気軽さで、一子は2人を修行に誘う。

 

「ええ、当然よ」

「あらあら、本当は修行ではない方のお誘いも期待してしまいますが……」

「朱乃?」

「うふふ、今回は修行ということで。リアス、一子さん相手にマニュアルなんてありませんわよ?」

 

 何やら色々な思惑があるらしい、と一子は思いつつも、戦域を展開する。

 

「さぁ、リアスに朱乃。真の絶望というものを、思い知らせてあげましょう!」

 

 

 こうしてリアスと朱乃の2人は修行をすることになったのだが、2人ともキングとクイーンということで一子は一切の手加減をしなかった。

 もっとも、制限はある。

 装備や赤龍帝の籠手は使わず、その一方で魔法やスキルを解禁して戦った。

 

 一子からすれば2人には強くあってほしいという純粋な善意によるものだった。

 

 リアスと朱乃は何度も生死の境を行ったり来たりしたが、それでもへこたれることは決してなかった。

 

 

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