やべー奴が赤龍帝になりました。   作:やがみ0821

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赤龍帝が女慣れしていた場合

 

 

 兵藤一子は駒王学園の2年生である。

 駒王学園は元々女子校だったこともあり、一子からすれば嬉しい事態になっていた。

 

 登校するだけで黄色い声でキャーキャーと上級生同級生下級生問わずに集まってくることだ。

 

 とりあえず、まだ性的な意味で食べてはいない。

 それはひとえに一子に宿るドライグの存在だった。

 

『さすがの私も目の前でヤるのはちょっと……』

『もう歴代の連中のアレコレを見てきたから慣れてるぞ』

 

 要するに常に露出プレイになってしまうのだ。

 

『あと、その間は眠っておくことにするから言ってくれ』

 

 話の分かるドライグにメリエルとしては、どうやら色々と苦労してきたのだ、と同情してしまう。

 

『まあ、ドラゴンというのは好色だから、お前にも多少の影響が現れても仕方がない。お前の設定が影響しているかもしれんが』

『種族の特性って、面倒なのよねぇ。設定は……ほら、若気の至りで……』

 

 そんなことを脳内で話しながら、今日も一子は登校する。

 

 

 

 学校における授業は一子にとっては退屈なものだ。

 唯一の楽しみはクラスメイトの女子達をからかって、キャーキャー言わせることくらい。

 松田と元浜という、男子高校生にありがちな性欲が爆発している2人からは「百合、それもありだな」と言われたりすることもある。

 

 一子は別に2人を嫌ってなどいない。

 むしろ、彼らの童貞卒業に積極的に支援しようかとも考えている。

 勿論、一子が筆下ろしをするのではなく、良い風俗店を紹介するという意味で。

 

『女遊びをしていた私が言うのもなんだけど、ヤるのって結構しんどいのよね』

『お前が人間だったときの話か?』

『そうよ。だんだんとこう、ヤるっていうより雰囲気が欲しくなる。イチャイチャできる雰囲気。今はたぶん、ヤる方を優先しちゃうけど』

『俺には分からん感情だ……』

 

 ドライグという存在に気づいた段階で一子は一心同体ということで、色々と話してある。

 自分の存在について、その力について、そして夢について。

 

 メリエルの夢は世界最強になること。

 ドライグもまたそれには共感したのだ。

 世界最強とはすなわちグレートレッドすらも打倒するということ。

 

 面白い、とドライグはただそう思ったのだ。

 しかもそれが、人生全てを懸けてというものではなく、趣味という程々に緩い具合だというのだから尚更面白い。

 

 

「あの……兵藤一子さん、ですよね?」

 

 そんなとき、声を掛けてきた人物がいた。

 黒髪の女子高生だ。

 見慣れぬ制服であったが、一子はすぐさま正体を見抜いた。

 

 殺気などは全くないが、彼女のパッシブスキルを誤魔化すことはできない。

 

『堕天使ね』

『意外だな。悪魔だと思ったんだが』

『結構美人ね。落とすか』

『お、いよいよ本領発揮か。うまくやれよ』

 

 ドライグからの言葉に一子は声を掛けてきた人物ににこりと微笑む。

 

「ええ、そうよ。あなたは?」

「天野夕麻って言います。その、おかしいかもしれませんけど、私、一子さんを一目見たときから……」

 

 顔を赤く染めて、俯かせる夕麻に一子はくすくすと笑う。

 そして、俯かせた顔を自らの手で上向かせる。

 

 潤んだ瞳に一子はイケる、と確信して、そのままゆっくりと口づけする。

 夕麻はびくんと震えたが、拒むことはない。

 

『大胆だねぇ』

 

 ドライグが茶化すが一子は答えず、少しして離れる。

 

「構わないわよ。私、恋人はいないから」

「も、もう! いきなりなんて!」

 

 夕麻は怒った素振りだが、本気で怒っているわけではない。

 

「今から暇? 良いレストランを知っているのよ。食事でもどう?」

『お前、本気で女慣れしているなぁ……』

 

 ドライグは呆れ声だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 天野夕麻こと、レイナーレは数時間前に別れたにもかかわらず、今日、起こったことを何度も思い返してしまう。

 

「……人間の癖に」

 

 レイナーレはそう言いながら、自身の唇を指で優しく撫でる。

 出会ってすぐに、そして別れ際に。

 今日だけで2回も奪われたものだ。

 

 だが、そこにあるものは不快感ではない。

 

 神器狩りの対象となった兵藤一子。

 どのようなものか不明の為、身辺調査の結果、女に興味があると判明した為、あのような接触方法を取ったのだが、それは予想以上だった。

 

 容姿が人間離れした美貌であったことは勿論、教養深く、話題も豊富で、会話をしていて飽きさせることがない。

 間のとり方なども絶妙であり、単なる高校生には思えなかった。

 彼女が選んだレストランもまた、雰囲気は良く、味も絶品だ。

 

 堕天使に欲しい、とレイナーレは思う。

 個人的な感情ではあったが、別に構わないだろう。

 

 堕天使には転生システムなど存在しない。

 だが、今、彼女の部下にいるように味方につけることはできる筈だ。

 

 どうやって味方につけるか、と思い、すぐイカれた部下に思い当たった。

 通り魔として襲ってもらう、そして、レイナーレが正体を現して攻撃、通り魔退散という三文芝居だ。

 

 善は急げとばかりにレイナーレは件のイカれた部下の部屋へと出向く。

 そして、ノックもせずにドアを開けて告げる。

 

「フリード、暇ね?」

「おやおやおや、何か思いついたんですかぁ? 俺は寝るので忙しいんですけどぉ」

 

 フリードはちょうど寝る間際だったのか、ベッドに座っていた。

 

「ちょっと芝居を打つ。神器保有者を手に入れる為に」

「狩りじゃなかったんですかぁ? 絆されたんですかぁ? っていうか、人の話を聞けよ」

「明日、一芝居打つ。兵藤一子を襲え。タイミングはこちらから出す。私が立ち向かおうとしたら逃げろ。以上」

「うぇ、三文芝居。今日日、そんなのでコロッと心変わりなんて、漫画にもいねぇんですけど」

「うるさい。一子が他のところに行く前に、手に入れる必要がある」

「へいへい」

 

 フリードの部屋のドアを締めながら、レイナーレはスマホを取り出した。

 まだ起きてるかな、と思いながら彼女は明日の放課後、会えないかとメールを送ると、返事はすぐにあった。

 

 小さくガッツポーズ。

 

 一子からの返事はOKだった。

 

 

 

 

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