やべー奴が赤龍帝になりました。   作:やがみ0821

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エキシビション……?

 

 

「今日まで20日間くらいあった気がしたけど、私、初日以外マトモに修行していないわね……」

 

 一子の言葉にリアス達は驚きの声を上げる。

 試合開始は目前だ。

 

「一子、私はてっきり山ごもりでもしているかと思った」

「残念だけどね、リアス。この20日間で初日を除けば数時間くらいしか戦ってないわ。あとは全部、助っ人のスケジュール調整とか交渉とかそういうの」

「大丈夫なの?」

「まあ、大丈夫よ」

 

 助っ人はそれほど強力なのか、とリアスは思うが、一子が全力を出せないのもまた嫌だった。

 とはいえ、もっとも重要なものがあった。 

 

「一子、私、とっても寂しかったのよ? この穴埋め、ちゃんとしなさいよ?」

「当たり前よ、リアス」

 

 一子はそう言って、リアスの耳元に口を寄せ、告げる。

 

「あなたが高校生のうちに、孕ませたいもの」

 

 一瞬にして、リアスの顔が真っ赤になった。

 

「も、もう!」

 

 ふん、とそっぽを向くリアスに一子はくすくすと笑う。

 

「あらあら、お熱いですね。一子さん、勿論、私もお願いしますね」

「ええ、勿論よ」

「一子ちゃんのすけべー」

「一子先輩、変態で最低です」

 

 イリナと小猫の言葉を軽く受け流しつつ、一子は時計を見る。

 

 レーティングゲームの会場は公式試合にも使われているスタジアムだった。

 若手悪魔のエキシビジョンにしては、いささか大げさではあったが、どうやらそれは一子のせいだった。

 

 今代の赤龍帝を画面越しではなく、間近で見たい、という要望があちこちから出た為に。

 

「ところで助っ人は?」

「コートで合流するみたいよ。なんか別ゲートから仰々しく入ってくるみたい」

 

 一子の言葉にリアスは溜息を吐いた。

 

「これ、負けられないわよ。皆、これまでの修行の成果を存分に発揮して、そして、実戦の中で、より強く進化しなさい。勝つわよ」

 

 リアスの言葉と同時に入場開始となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「観客席から丸見えね……」

 

 一子はそんな感想を抱いた。

 スタジアムのコートは人間界ではありえないほどに非常に広い。

 そして、そのコートは透明な結界で全体が覆われている。

 

 コートに構築されているフィールドは平原だ。

 ところどころに岩山や森があるが、大部分は何もない。

 

「これ異界じゃダメなの? こんなに広いとモニター越しじゃないと追えないでしょ?」

「こっちの方が臨場感があるらしいわよ。あと、結界には観客に見やすいように自動補正機能があるみたい」

「見たいところを見れるらしいですわ」

 

 リアスと朱乃の説明になるほど、と一子は頷いた。

 

 そのとき、司会により解説者としてアザゼルが紹介され、続いて選手紹介が始まる。

 それは名前を読み上げるだけでなく、スタジアム各所に設けられたモニターにも顔写真が映り、更には司会によるコメントつきだ。

 

「……えーと、本当にエキシビジョン?」

「どう見てもこれは公式試合では?」

 

 イリナとゼノヴィアの問いかけにリアスは視線を逸らした。

 どう考えてもサーゼクスが悪ノリしてこうなったような気がする為に。

 

 観客席は満員であり、立ち見までもがいる始末だ。

 

「ほ、ほら、こっちの紹介よ。みんな、笑顔で、なんかそれっぽく!」

 

 リアスが言った直後、彼女の名前が司会によって読み上げられた。

 リアスは恥ずかしさで顔が真っ赤になった。

 これはソーナと同じ反応だった。

 

 次々と紹介されていき、いよいよ最後となった。

 

《そして、各界大注目、今回ここまで大事になったのは誰もが皆、彼女を見たいがため!》

 

 司会はそこで一呼吸をおいて、叫んだ。

 

《赤龍帝! 兵藤一子ッ!》

 

 大歓声が沸き起こった。

 一子は手慣れた様子で軽く片手を挙げ、ウィンクしてみせた。

 より歓声が大きくなった。

 

《赤龍帝のこれまでの戦績ですが、ライザー・フェニックス選手との戦いで、単独で半数以上の眷属を降伏に追い込み、ライザー選手自身も降伏させていますね》

 

 流石にコカビエルの件は出ないらしい、と一子は思いつつ、助っ人紹介を楽しみに待つ。

 

《それではいよいよ、各チームの助っ人の紹介です! 今このときまで秘密とされた助っ人を今ここで、私が発表します! 誰でもOKという制限のない条件で、各チームは2名ずつ、助っ人を呼んでいます!》

 

 司会の言葉を聞きながら、今更ながらに一子は思う。

 

「そういや、秘密なのにどうやって助っ人かどうか、分かるのかしらね?」

「仕掛けがあると思うわ。あの小箱、裏側にアジュカ・ベルゼブブって魔王様の名前があったから……」

 

 なるほど、と一子は頷きながら、司会の言葉を待つ。

 

《まずはシトリーチームからです! さあ、今、私の手元に2枚の二つ折りにされた紙があります。まずは、1枚目……》

 

 司会が画面にアップで映される。

 ゆっくりと1枚目の紙がその手によって開かれていく。

 

 完全に開かれ、司会が叫ぶ。

 

《シトリーチーム、1人目の助っ人はセラフォルー・レヴィアタン! 現役の魔王、レヴィアタン様です!》

 

 同時にシトリーチーム側の別ゲートが開き、いつもと同じ魔法少女の格好をしたセラフォルーが手を振りながら登場した。

 

 あのキャラで行くのか、とソーナにリアス達は同情する。

 しかし、観客達はそんなのはお構いなく、本来ならレーティングゲームに参加しない筈の現役魔王の登場ということで、かつてないほどに大盛り上がりを見せている。

 

《さぁ、シトリーチーム。いきなりの大物が出てきました。2枚目は、こう言っては何ですが、レヴィアタン様程のインパクトはないでしょう》

 

 そう司会は言いながら、2枚目の紙をゆっくりと開いて――そして、叫んだ。

 

《シトリーチーム! 2人目の助っ人は銀髪の殲滅女王! グレイフィア・ルキフグス! まさかの、夢の共演! あのレヴィアタン様とグレイフィア様がタッグを組む日がくるなんて! それもこれもきっと赤龍帝のおかげでしょう!》

 

 観客達は雄叫びを上げていた。

 その最中、グレイフィアは颯爽とメイド服姿で登場した。

 

 予想通りの展開、しかし、そうあってはほしくなかった展開にリアスは溜息を吐いた。

 しかし、まだ希望はあった。

 こちらの助っ人だ。

 

 

 

《さて、グレモリーチーム。これはかなりマズイ状況です。私の知る限り、彼女達に匹敵する助っ人は思いつきません。果たして、シトリーチームの一方的な蹂躙で終わってしまうのか!? グレモリーチーム、1枚目を開封します!》

 

 司会は1枚目の紙をゆっくりと開封し、そして、固まった。

 その様子に観客達がざわめいた。

 

《ああ、何ということでしょうか……まさか……とても信じられません……》

 

 司会の様子に観客達のざわめきは大きくなっていく。

 

《グレモリーチームの助っ人選びは赤龍帝に一任されたと聞いています。これは、おそらく初めてのことでしょう……》

 

 もったいつける司会に観客達のざわめきはより大きくなっていく。

 

《グレモリーチーム! 1人目の助っ人は……白龍皇! ヴァーリ! 二天龍が揃いました! まさに夢の共闘です!》

 

 観客達は一瞬の間を置き、地響きがする程の歓声を上げた。

 リアス達は一斉に一子へと視線を送った。

 

「向こうが魔王なら、こっちは二天龍よ」

 

 一子はウィンクしてみせ、そしてやってきたヴァーリに告げる。

 

「武士の情けで、ファミリネームを書くのはやめといたわ」

「それは有り難いな。旧魔王の責務まで背負い込むのは面倒だ。で、2人目の助っ人は誰だ?」

 

 ヴァーリの問いに一子は告げる。

 

「すぐに分かるわ。きっとあなた以上に冥界全土の度肝を抜くわよ?」

「そいつは楽しみだ」

 

 そして、いよいよ2人目の助っ人が明かされる。

 

《さぁさぁ、会場は大盛り上がり。中継されている各地も大盛り上がりであることは想像に難くありません。シトリーチームの女性悪魔最強タッグ、対するグレモリーチームはまさかの赤龍帝と白龍皇の共闘。しかし、グレモリーチームはもう1人、助っ人がいます!》

 

 数秒の間をおいて、司会は2枚目の紙を手に取った。

 

《果たして、2人目の助っ人は誰か、否が応でも期待が高まります。いよいよ、開封致します!》

 

 司会が宣言し、ゆっくりと紙を開いていき――そして、そこに書かれていた名前に言葉を失った。

 

 

《ああ、これは……まさか、信じられない……》

 

 再度、同じような言葉を紡ぐ司会。

 ただ、先程よりもその顔は驚愕に染まっており、更に目を擦ったりして、その紙に書かれた名前が間違いではないかと何度も見ている。

 

《白龍皇以上の衝撃を私は受けております。これは、本当に若手悪魔のエキシビジョンなのか? 信じられません……》

 

 いったい誰を呼んだんだ、と一子に視線が集中する。

 その視線に一子は微笑むだけだ。

 

《勝負の行方が分からなくなってまいりました……》

 

 司会はそう前置きし、息を大きく吸い込み――そして、思いっきり叫ぶ。

 

《グレモリーチーム! 2人目の助っ人は……ディハウザー・ベリアル! 皇帝ディハウザーです! 皇帝が、赤龍帝の呼びかけに答えたのです! まさに、まさに夢のゲーム! 私は今、ここにいることを感謝します!》

 

 冥界中に響き渡るかのような凄まじい大歓声の中、ディハウザーはゆっくりと歩いてきた。

 

 リアス達は完全に固まっていた。

 あまりの衝撃に。

 

「ありがとう、ディハウザー」

「構わない。赤龍帝には返しきれない恩があるからな。それに、二天龍と共闘できるチャンスなど、まずないだろう」

 

 にこやかに握手を交わす一子とディハウザーにリアスはようやく状況を理解した。

 

「か、一子、あなた……どうやって?」

「ちょっとした伝手があってね。まあ、彼のアレコレで修行できなかったわけなのよ」

「リアス・グレモリー、よろしく頼む。とはいえ、私達はあの2人との戦いに掛り切りになるだろう」

 

 ディハウザーの言葉にリアスは深呼吸をして、自身を落ち着かせる。

 

「ええ、分かりました。そちらはお任せします」

 

 そうリアスは答えつつも、自分とソーナの戦いより、助っ人同士の戦いが注目されるだろう、と容易に予想がついた。

 

《さぁ、いよいよ試合開始の時間ですが、ここで運営から変更があるとのことです。助っ人及び赤龍帝の戦いは後に回し、まずは彼らを除いたシトリー及びグレモリーの両チームの戦闘を行いたい、とのことです》

 

 ある意味、当然ともいえる措置だった。

 あくまで若手同士のエキシビジョンなのだ。

 

《ご了承の程、よろしくお願いします。それでは助っ人及び赤龍帝を除いた両チームは専用の転移魔法陣を使ってコートの中へ》

 

 司会の言葉にリアスは告げる。

 

「それじゃ、行ってくるから。みんな、行くわよ」

 

 リアスは一子と助っ人の2人以外を引き連れて、堂々とした歩みでコートの中へ。

 

「負けてもいいわよ。その後、きっちり返すから」

 

 一子の言葉にリアスは振り返り、不敵に微笑む。

 

「あなたの主と仲間達の戦いっぷり、しっかり見ておきなさい。私達は勝つ」

 

 リアスの返しに一子は満足げに微笑んだ。

 

 

 

 

 

 

「……セラフォルー? 予想できましたか?」

「無理だよぉ! 何で白龍皇が!? 何で皇帝が!? いや、そりゃ確かになくはないけど、まずないでしょ!? これ、予想なんてできないよ!」

 

 静かに問いかけたグレイフィアに対して、セラフォルーはあわあわと目に見えて狼狽えているように見えた。

 

「とはいえ、当初の目的は果たせましたね」

「あ、そうだね。一子ちゃんをソーナちゃんとの戦いに参加させずに済んだし。運営もエンタメを分かっているよねー」

 

 一転して、狼狽えっぷりはどこかへと消え、セラフォルーは答えた。

 

「で、どこまで本気で驚きましたか?」

「さっきのは全部本気かな。うん、本当にびっくりだよ。流石私の旦那様」

「……そういえば側室になりましたね。正式発表はまだですけど」

「うん。正妻の座をリアスちゃんから取るのはちょっと……でも、私も行き遅れたくはないし」

「お見合い連敗記録は四桁に届きましたか?」

「三桁に収まってるから」

 

 それでも相当なのでは、と思いつつ、よくもまあ、一子はセラフォルーの返事に承諾したものだ、とグレイフィアは感心してしまう。

 ノリが軽い上に親しみやすいから勘違いされやすいが、その性格はそこらの悪魔よりも遥かに恐ろしいというのに。

 

 その性格を中和する為のノリの軽さや親しみやすさだ。

 セラフォルーの性格を中和しなかったら、恐怖の魔王として君臨できるだろう。

 

「あ、グレイフィアちゃん、今、私の悪口を考えていたでしょ?」

「あなたのその軽さが素なのか、演技なのかについて」

「どっちだろうね? でも、どうでもいいよ、そんなことー」

 

 にこにこ笑顔で――しかし、すぐに渋い顔になった。

 試合の内容が彼女にとって、よろしいものではなかった。

 

「あー、ソーナちゃんが押されている……」

「予想できたことですね。あなたが直接修行でもすれば別でしたが」

「一子ちゃんに鍛えられたってもうそれだけで、大抵の実戦がピクニックに思えるくらいだろうからね」

 

 非常識の塊である一子にちょくちょくと――しかし、機会が少ないからこそ、その僅かな機会にガッツリと――鍛えられたリアス達は優位に試合を進めていた。

 フィールドが平原であるということも幸いし、人数差があれど、むしろ押しに押している。

 最近、封印を解かれたばかりというギャスパーはともかくとして、それ以外の面々は極めて高いレベルにあった。

 これには観客達も予想外の嬉しい事態。

 

 司会の実況にも熱が入り、解説のアザゼルはしたり顔で赤龍帝によるものだ、と理由を告げる。

 

 そりゃ一子ちゃんと戦えば大抵の敵は怖くなくなるし、油断も慢心もできなくなるだろう、というのがセラフォルーの素直な感想だった。

 

「これは難しいかな。お姉ちゃんが仇を取らないと……」

「シトリーチームは今の段階では器用貧乏といった感じですね」

「何をー!? って怒りたいところだけど、全体的にそうなんだよね。ただ、力をつければソーナちゃんの目標としているチームになるよ」

「大抵のところでは通じるでしょうが、極一部の状況では押し切られてしまうでしょうね。突出した眷属が存在しないので。安心して任せられる切り札は必要ですよ」

 

 グレイフィアの冷静な分析にセラフォルーは頬を膨らませる。

 あくまで対赤龍帝というところで協力しているだけであり、それ以外ではグレイフィアは義妹の味方であるのは当然だった。

 

 

 

 

 

 

 リアスが取った戦術はシンプルなものだ。

 互いが互いに死角をフォローしつつ、敵を1人ずつ仕留めていく、というもの。

 極々当たり前の基本的なことであるが、その連携が半端ではなかった。

 

 常に味方と敵が視界の中に入るよう位置取りしつつ、瞬時に状況を読み取り最適な行動を取る。

 歴戦のチームであれば難なくこなせるが、若手悪魔のチームがそれをこなすことは中々難しい。

 

 数的有利は全体でみればソーナの側にあったが、局地的な数的有利を作り出すことにより、リアス達は常に2対1という状況に持ち込んでいる。

 そして、それにより確実にソーナの眷属を1人ずつ、倒すことに成功していた。

 

 もともとこの戦術は一子との修行で、一子を相手にする為に編み出したものを応用したものだ。

 一子には1対1では絶対に勝てない。

 だからこそ、複数人で相手をする必要があった。

 

 強固な連携でもって相互支援を行い、更に局地的にでも数的有利を作り、着実に削るというのがこの戦術のコンセプトだ。

 

 一子としても、この戦術は有効だと判断し、手加減せず粗を探してはそこを突いて、リアス達に敗北をこれでもかと味あわせている。

 その敗北が彼女達をチームとしては勿論のこと、個々人の技量やメンタルという面でも強くしていた。

 

 

 

 

《グレモリーチームの勝利!》

 

 

 スタジアム中に響き渡る。 

 シトリーチームは全員撃破され、対するグレモリーチームはギャスパーのみが撃破されたという結果に終わった。

 

《グレモリーチーム、非常にチームとして連携が取れていましたね》

《ああ、アイツらは赤龍帝と戦っているからな。この経験は大きいぞ。むしろ、俺としては圧倒的な格上と戦った経験がないにも関わらず、粘ったシトリーチームに称賛を送りたい》

 

 アザゼルの言葉に観客達は両チームに盛大な拍手を送った。

 若手悪魔のエキシビジョンというにしては、彼らは非常に楽しめたからだ。

 

《それでは30分の休憩を挟みまして……ドリームマッチを行います!》

 

 司会の宣言に大歓声が響き渡った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ソーナちゃん! お姉ちゃん、絶対に一子ちゃんをぶっ倒すからね!」

 

 セラフォルーはソーナを抱きしめて、そう宣言した。

 

「あの、お姉様……苦しいのですが」

「うんうん、泣いていいんだよ? お姉ちゃんの胸で!」

「いえ、あの、泣くよりも、今後の課題とか色々と……」

 

 ソーナは言うも、セラフォルーは聞く耳を持たない。

 

「ソーナ様、今、セラフォルーは色々な意味で感動していますので」

「はぁ……?」

「愛する妹が頑張ったけど、力が及ばなかったから、慰めるというシチュエーションですので……」

「あの、何とかしてください」

「無理ですね」

 

 ソーナはグレイフィアの無慈悲な言葉に項垂れた。

 

 

 

 

 

 

 

「お疲れ」

「ええ、どうだったかしら?」

「雑ね」

 

 一子の言葉にリアスは溜息を吐いた。

 基本、一子は戦闘に関することには厳しいのだ。

 

「連携が甘いところが結構あった。私相手じゃないからって、油断とか慢心しているのではなくて?」

 

 ジト目で一子はリアスを見て、そして順に今回の戦いに参加した面々を見ていく。

 

「厳しいな」

「ああ、厳しい」

 

 ヴァーリとディハウザーが助け舟とも思える言葉を出す程に、若手悪魔としてはグレモリーチームはよくできていた。

 しかし、一子は満足しない。

 

「いつどこでどんな敵と戦うか、分からないわ。自分達よりも格上が奇襲を仕掛けてきました、なんて起こりうるわよ」

 

 そう言われると2人とも言い返せない。

 ヴァーリはそもそも奇襲を仕掛ける過激な側であり、ディハウザーも過激な連中がいることを知っているが為に。

 

「ちなみに、私はアレよ、複数の魔王を同時に相手取るとかそういうことを想定しているので、ぶっちゃけ今の段階で考えると、リアス達、いい感じじゃないかしら。今なら私抜きでライザーとやっても勝てるわよ」

 

 リアスはジト目で一子を見つめた。

 素直に褒めてくれないのか、とその目はこれでもかと訴えている。

 一子としても鞭ばかりではいけないというのは重々承知。

 だからこそ、告げる。

 

「うん、よくやれていて、それが結果に繋がったわ。ギャスパーは荒療治が必要だけど、他は皆、最高に良かった」

 

 にっこりと微笑み、一子は告げた。

 

「一子ちゃんがデレた……」

「ちょっとイリナ? 私は常にデレデレよ」

「そのわりには私にデレてくれないよね?」

「幼馴染なのでつい。あとツッコミ役に最適なので」

「ひどい!」

「よしよし、イリナは可愛いから」

 

 一子はイリナの頭を撫でた後に告げる。

 

「次の試合、私は本気を出すから。よく見ておきなさい」

 

 不敵に一子は笑った。

 

 

 

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