やべー奴が赤龍帝になりました。   作:やがみ0821

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赤龍帝って何だ(哲学

 

 

「何なんですか!? 一子様って!」

 

 ロスヴァイセは混乱していた。

 そうなっていたのは彼女だけではなかった。

 

「何なんですか、一子さんって……」

 

 ソーナもまた頭を抱えていた。

 

 

 グレモリー家にシトリーチームを招いて、グレモリーとシトリーの混合チームを結成し、一子と模擬戦をしよう、というセラフォルーの手回しの結果、それが実現していた。

 とはいえ、一子は当然、手加減する筈もない。

 

「……木場、俺、生きているか?」

「大丈夫だ、匙君。君は生きているよ」

 

 大の字に倒れている匙にそう言葉を投げる木場。

 彼もまた大の字に倒れていた。

 

 そして、これをやらかした張本人はというと――

 

「太陽が、太陽が落ちてくる……」

「ぐへへへ、椿姫。カウンターで跳ね返してみなさいよ、ほらほらほら」

 

 ソーナの女王である椿姫に面倒くさい絡み方をしていた。

 

「ちょっと一子、やめなさいよ」

 

 リアスが一子を羽交い締めにする間に、椿姫はソーナの後ろへと逃げ込んだ。

 

「だらしがないわよ。たかだか、太陽を3個くらい落としただけじゃないの」

「リアス、これは私達がおかしいのですか?」

「ソーナ、安心して。一子の基準と常識が異次元にあるだけだから」

「セラフォルーとグレイフィアに邪魔されなければ、私が普通に出場して、ソーナ達を大虐殺できたのに」

 

 物騒なことを口走る一子にリアスは一子の両頬を引っ張ってお仕置きする。

 愉快な顔になる一子に思わず至近距離で目撃したソーナが吹き出した。

 

「というかさ、これ、まだお遊びの範疇なのよね」

 

 むにむにとリアスに頬を弄られながら、一子はそう告げた。

 目を剥くソーナ以下、シトリーチームの面々とロスヴァイセ。

 

「私が全力で広範囲の敵を殺しにかかったときは途切れることなく太陽とか月とか隕石とかが無数に落ちてきて、そこに多種多様な属性魔法を飛ばしながら、斬り込みに行くから」

 

 あ、これ無理だ――

 

 ソーナ達は悟った。

 

「……リアス様、もしかして、一子様は……」

 

 ロスヴァイセの言葉にリアスは視線を逸らす。

 内々にサーゼクスからこっそりと彼女は聞かされていた。

 

 一子を近い内に超越者認定し、すぐに昇格させる、と。

 

「その、ロスヴァイセ。あなたが一子の眷属になると、苦労はするけど、福利厚生はきっと世界最高よ」

 

 リアスはそう告げるしかなかった。

 ロスヴァイセとしても、そう言われると何も言えない。

 

「私の傍にいる女の子は皆、例外なく私が永遠に面倒見るから。生活費から小遣いまで全部出すわよ。むしろ、それくらいは当然では?」

 

 胸を張る一子。

 

「一子ちゃん、私も、その、どうかな?」

「イリナも私の眷属になりたいの?」

「う、うん。頑張るから!」

「いいわよ」

 

 あっさりと一子はOKを出した。

 イリナはきょとんとした後、満面の笑みで一子に抱きついた。

 

「ただし、私は眷属に対して最高の待遇と環境を提供するけど、眷属に求めるハードルは高いわよ? それと、敵に対して容赦はしない」

「なんか、不穏なんだけど……」

 

 イリナの言葉に一子は不敵な笑みを浮かべる。

 

「簡単な話よ。私の敵になるということは私に何をされても構わないという契約書に自らサインをしたようなもの。敵に人権はない」

「……一子ちゃん最低」

「え、私、間違っている?」

 

 一子は周囲に同意を求めるが、皆一斉に視線を逸らされた。

 一子は頬を思いっきり膨らませた。

 そんな中で――

 

「あらあら、私は一子さんに同意しますわよ。うふふ」

 

 朱乃がさり気なく一子の背後へと周り、そのまま彼女を抱きしめた。

 

「朱乃! また一子を甘やかして!」

「あら、リアス。あなたも十分甘やかしているじゃない」

「それは……そうだけど……」

 

 リアスも思い当たる節しかなかったので、それ以上何も言えない。

 

「うーむ、確かに敵に容赦をしてはいけないな」

 

 ゼノヴィアが同意しながら、一子の傍へ。

 

「というわけで、一子。私も眷属にしてくれ」

「いいわよ。リアスと朱乃も私の眷属にならない?」

「あら、それはいい考えですわ」

「朱乃! いい考えですわ、じゃないわよ! そりゃ、私もちょっとそういうのいいかなって思うけど!」

「あ、あのー、私も一子さんの眷属に……」

 

 おずおずとアーシアまでもが加わった。

 

 ソーナは深く溜息を吐いた。

 しかし、彼女も強かだった。

 

「……木場さん、ヴラディさん。どうですか? ウチに来ませんか? 私は差別しませんよ」

 

 展開に置いてけぼりにされている2人に引き抜きを掛けた。

 

「えっと、ソーナのところは厳し過ぎて楽しくなさそう、あとソーナちゃん可愛いって一子先輩が言っていたので、僕はちょっと……」

「シトリー様、申し訳ありませんが、部長に恩があるので……」

 

 木場の拒否はともかく、ギャスパーの言ったことにソーナはブチッと切れた。

 

「一子さん! あなたは何を吹き込んでいるんですか!」

「え? 違うの? 真面目そうで、面白いことなさそう」

「違います! 私だって面白いことの一つや二つくらい……」

 

 尻すぼみになっていった。

 

「あれ……私、もしかして眷属に嫌われている……?」

「会長! そんなことないです! もう全然ないです!」

 

 匙がいの一番にフォローに回った。

 

「というか、匙とか椿姫とかは何となく理由が予想できるけど、他の子はどうやって交渉したのよ? もしかして、ソーナちゃんってお姉様って慕われたい系の……」

「一子さん! 首を出しなさい! 叩き切ってあげます!」

 

 吼えるソーナ。

 

「セラフォルー、助けてー」

 

 一子は棒読みで、そう言うと、ぴょこんとセラフォルーが現れた。

 いない筈がなかった。

 彼女はわざわざ姿を隠して、こっそり見ていたのだ。

 

 影から妹を見守るお姉ちゃんという状況ゆえに。

 

「一子ちゃん! ソーナちゃんをいじめたらダメっ!」

 

 ぷんぷんと怒っています、とアピールするセラフォルー。

 

「お姉様! いつからいたんですか!?」

「最初からだよ! ソーナちゃんのことが心配だったんだもん!」

「セラフォルーって本当に可愛いわよね。ソーナが羨ましい」

「ふふ、そうでしょ? 一子ちゃんも私の妹みたいなものだから! 旦那様だけど」

 

 そんなとき、ロスヴァイセが手を挙げた。

 

「あのー、旦那様って?」

「あ、私、一子ちゃんの側室になったから。よろしくー」

 

 にこにこ笑顔でセラフォルーはそう言った。

 

 リアスとその眷属一同は当然知らされていた。

 しかし、ソーナ側はソーナ以外の面々には知らされていなかった。

 

 単純にソーナがまだ言うべきではないと判断したが為に。

 それが仇になった。

 

「ってことは会長と兵藤一子が義理の姉妹関係に!?」

 

 匙は何を想像したのか、鼻血を吹き出してぶっ倒れた。

 彼と同じようなことを想像したのか、椿姫をはじめ、他の眷属達も何やらもじもじとし始めた。

 

「これから毎日、セラフォルーと一緒にソーナちゃん可愛いをするので!」

「ねー! ソーナちゃん可愛いをするもんね!」

 

 ソーナは顔を真っ赤にしてぷるぷると震えるしかなかった。

 

 

 

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