やべー奴が赤龍帝になりました。   作:やがみ0821

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頭が痛い大問題と悪魔のビジネス

 

 

「あー、うん、本当に頭を抱えるよね、これ」

 

 セラフォルーは悩んでいた。

 彼女は一子の肩に頭を乗せている。

 

 戦闘終了から早くも30分が経ち、今、2人はセラフォルーの居城にある彼女の私室にいるのだが、セラフォルーはとても困っていた。

 余韻が冷めて、待っていたのは、とてつもない問題だった。

 

 一子の正体とその全力というものだ。

 

「一子ちゃんの言っていた通り、正体を知ったら本当に頭を抱える事になったよ」

「だから言ったじゃないのよ。本当は知らせるつもりはなかったんだけど、何かノリでつい」

「つい、でとんでもない秘密を教えないでよ……これ、よくリアスちゃんと朱乃ちゃんとかは倒れなかったね」

「セラほど色々知らないから、そういうものだと受け入れたんじゃないの?」

「そっか、そうだよねぇ……」

 

 深く溜息を吐くセラフォルー。

 そんな彼女を見ながら、一子は心の中でちょっぴり謝る。

 

 謝罪内容は断罪執行の効果についてだ。

 ユグドラシル時代は、いわゆる種族固有のバフスキルで、発動まで時間が掛かるわりに強化される効果量が微妙という悲しいものだった。

 またメリエルの種族に限ったものではなく、多くの異形種が持っていた封印を解放して秘められた力を云々というものであり、ありふれたものだ。

 

 ゲーム上の効果量は微妙なわりに、そのフレーバーテキストと見た目は凄いものばかりで、気合を入れるところが間違っているとユーザー間でよく言われたもの。

 しかし、現実化した結果、フレーバーテキストが反映されてしまい、見た目も相まって、そこに一子がノリノリで適当に考えたセリフを付け加えることでとんでもないことになってしまった、というのが真相だ。

 

 セラフォルーからすれば、どう見てもさっきの一子は世界全てに対して断罪を下す破壊の天使にしか見えなかっただろう。

 

『まあ、お前のやらかしはいつもことだ』

 

 ドライグがそう言って笑い、一子は聞こえない振りをしながら、セラフォルーに問いかける。

 

「で、誰かに話すの?」

「話そうにも話せないよ、こんなの。異世界とはいえ、天使で堕天使。しかも、こっちに来て人間でドラゴンで悪魔……もうめちゃくちゃだよ」

 

 再度、深く溜息を吐きつつ、セラフォルーはさり気なく一子の胸を揉んだ。

 意外とセラフォルーは積極的にスキンシップを取ってくれるのが一子にとっては嬉しい誤算だ。

 

「まあ、でも、頑張って伝えるよ。サーゼクスちゃん達とアザゼルちゃんとミカエルちゃんに」

「悩む相手を増やすのね、分かるわ」

「もう……ところで一子ちゃん。さっき、もっと私を傷つけてくれるとって言っていたよね? あれ、どういう意味?」

 

 セラフォルーとしては一子があんな場面で性癖を暴露するだろうか、という疑問があった。

 だからこそ、尋ねてみたが、予想外の答えがまたもや返ってきた。

 

「私の体力が……瀕死になると、ヤバイことになる。底力的な意味で」

「……聞かなかったことにするよ」

「つまらないわね……」

 

 一子はそう言うものの、本当にそれらは最後の切り札だ。

 体力――HPの減少がトリガーとなって、発動するスキルは2つある。

 1つ目はユグドラシルにおいて、よく知られたスキルであったが、2つ目は全く知られていないものだった。

 その2つ目のおかげで、メリエルはワールドチャンピオン達と引き分けることができたと言っても過言ではない。

 

 ともあれ、一子は告げる。

 全力とはどういう意味かを。 

 

「神器を使っていない状態だからね? それに私が全力っていうことは当然、グレイフィアとか色々と出てくるからね? 全部諸々ひっくるめると、世界を相手に勝てるでしょう?」

「……勝てちゃうねぇ」

 

 セラフォルーは両手を挙げた。

 

「もう本当にどうしようかな……」

「パンドラの箱を開けた気分はどうかしら?」

「良くないので、一子ちゃんに癒してもらう」

 

 セラフォルーは一子に抱きしめて、その感触や匂いを存分に堪能する。

 

「ね、一子ちゃん。もっと色んな女の子、欲しいでしょ?」

「まあ、欲しいわね」

「んじゃ、私が紹介してあげるよ」

「セラの友達?」

「ううん、そうじゃないよ。ねぇねぇ、一子ちゃん。リアスちゃんは上流階級の悪魔で、しかもまだ若いから知らないだろうけど、中級とか下級とかの女悪魔ってどうやって稼ぐと思う?」

 

 一子は何となくだが、話が見えてきた。

 

「人間界で?」

「そうそう。一子ちゃんもあちこち飛び回って願いを叶えたでしょ? ああいうの」

「エロ?」

「正解。で、メジャーからマイナーまで、更には色んな国やプレイで取り揃えているAVマスターの一子ちゃんなら、もう分かるんじゃないかな?」

「……もしかして、AVとかに?」

「そうだよ。それが一番手っ取り早いし、稼げるからね。まあ、そうしない子も多くいるけれど……ともあれ私、同じ女性ってことで、そっちとかの、ついでに裏側の元締めも任されているの。最近じゃインターネットがあるから販売に便利だよね」

「マフィアとかそういう連中の利権がどうたらこうたらとかは……」

「私に勝てるマフィアって誰かな? そもそも、悪魔ってマフィアとかそういう組織ができる遥か前からそっちで稼いでいるからね。やかましい新参者は皆殺しだよ? だから皆、とっても言うことを聞いてくれるの」

 

 一子は納得し、頷いた。

 どうやらマフィアやら何やらの人間の裏社会は悪魔陣営が掌握しているらしい。

 悪魔は人間を堕落させるのが使命みたいなもので、特に驚きはない。

 

「でね、簡単に言うと一子ちゃん。身請けしない? そういう子達全員。私は料金を払ってくれるなら全然構わないよ? ただ、仕事としてそっちは続けてもらうけど、それ以外の拘束は全く無しって条件で」

「何でまたそんな話を?」

「やっぱり、そういう職業は偏見もあるからね。あと悪魔の男って人間と交わった女悪魔なんて汚らわしいって感じるのも多いし。ついでに処女信仰も根強いらしい」

 

 セラフォルーの言葉に一子は溜息を吐いた。

 

「私からすると処女なんて面倒くさいんだけど……」

「そうなのよ。偏見と処女信仰を捨てれば、たぶん数百年くらいで人口問題は解決するんだけどね。一子ちゃんはたとえリアスちゃんや私が処女じゃなくても、口説いてくるでしょ?」

「当たり前よ。むしろそっちはそっちで興奮するし」

「うんうん。というわけでいいかな? そんな理由で、相手がいない子が大量発生しているので」

「構わないわ。金塊でいい?」

「いいよ。1人あたり5トンってところで。万単位でいるから、よろしく」

「ええ。構わないわ」

「じゃあ、一子ちゃんの領地に送って……領地って決めたっけ?」

「決めた覚えはないわね。超越者認定して、それで対策がどうたらで終わった」

 

 セラフォルーは頬を膨らませた。

 

「全部一子ちゃんが悪いから」

「私が悪いわけがないわ。忘れる方が悪いのよ」

「で、どこがいい? 私の隣?」

「それも魅力的だけど、なるべく未開発のところがいいかな。未開発だから、当然、たくさん貰うわよ?」

「いいよ? むしろ、どんどん開発して。手付かずのところが多くてもったいないから」

 

 そんな感じで一子はセラフォルーと一緒に領地を決めることとなった。

 あーだこーだ、と2人は会話し、しまいには一子はユーラシア大陸くらいが欲しい、と言い出して、セラフォルーも軽いノリで「いいよー」と承諾するにまで発展した。

 

 一子は気づかなかった。

 ユーラシア大陸くらいが欲しいというのは冗談であったのに、セラフォルーは冗談とは受け取らなかったことに。

 

 

 

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