やべー奴が赤龍帝になりました。   作:やがみ0821

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処女争奪戦、ゼノヴィアが落ち込むだけの話

 

「別に、いいんだけど……ただ、何となく、むー」

 

 リアスは不満顔だった。

 同じように朱乃も不満顔だった。

 

「えへへ……」

「アーシア可愛い」

 

 アーシアを猫可愛がりしている一子に不満だった。

 とはいえ、妹のようなアーシアの笑顔は皆の癒やしである為、リアスと朱乃としては抗議するわけにもいかず。

 

「ゼノヴィア、これ、私達、乗り遅れてない?」

「ああ、これは乗り遅れている……どっちからいく?」

「私から! 一子ちゃんとの付き合いは私の方が長いし!」

 

 何やら不穏な会話にリアスと朱乃がそちらに目を向ければ、教会コンビが一子を見ていた。

 まさしく獲物を狙うライオンのように。

 

「ところで、アーシア。もうヤッたの?」

 

 リアスの直球な物言いにアーシアは顔を真っ赤にした。

 

「リアスお姉様!」

「いいじゃないの、女同士だし。初めては私でも痛かったくらいなんだから。小柄なあなただと余計に痛かったんじゃない?」

「か、一子さんがいますよ!」

「一子も性別的には女なので大丈夫よ。必要に応じて生やしているみたいだし」

 

 それで、と迫るリアス。

 アーシアは小さく頷いた。

 

「それならローテーションに組み込まないとね。日替わりよ? 独占はダメ」

 

 女の協定ということでこれにはリアス達以外に兵藤邸で一子が手を出している女性達は全員が組み込まれている。

 とはいえ、一子が求めたときはその限りではないという例外ルールもあった。

 

 そのとき、ゼノヴィアがあることに気がついた。

 

「……ところで、一子の処女は誰が奪うんだ?」

 

 一斉に一子とアーシアを除く面々は互いに目配せをし合う。

 一子はいつも薬を飲んで生やしているなら、自分達だってそれを飲めば生やせるはず、ならば誰が奪うか――

 

「一子ちゃんの処女と聞いて!」

「どこから湧いてきたのセラ」

「扉から! 一子ちゃんの処女! 私が欲しい!」

「あなたが来たってことは何かしらの用があるんでしょ?」

「うん。今度、修学旅行で一子ちゃんを妖怪の皆に紹介しておかないとかなりマズイので」

 

 セラフォルーの言葉にそれもそうだ、と一同は頷く。

 

「草薙の剣とか見せたほうがいい?」

「一子ちゃん、どこから持ってきたの……それは見せなくていいからね」

 

 見せれば面倒くさいことになるのは間違いない。

 

「そういや、ゼノヴィア。剣繋がりなんだけども」

「ん? なんだ?」

「デュランダル、見せて。というか、貸して。どういう具合か振ってみたい」

「また突然だな」

「修行なら外に行きなさい」

 

 リアスのもっともな言葉に一子はゼノヴィアを連れて――他の面々も暇だったり、せっかくだから、とついていくこととなった。

 

 

 

 

 

 

 

 駒王町の郊外にある山地へと転移魔法でもって移動した面々。

 かなりの大所帯だったが、移動した先で木場とも合流した。

 彼も1人、鍛錬に打ち込んでいたようで、一子がデュランダルを振るうと聞いて、それならば是非見たいとのことだ。

 

 

「はい、これ」

 

 ゼノヴィアからデュランダルを受け取った一子はそれを片手で軽々と振り回してみせる。

 それを見て、ゼノヴィアはげんなりとした。

 

「……それ、かなり重いからな」

「羽のように軽いわね」

「そうか……」

 

 溜息を吐くゼノヴィア。

 そして、一子は思いっきりデュランダルを横に振った。

 傍目からには何もない空間を横に薙いだようにしか見えない。

 

「……えっと、一子ちゃん、何をしたの?」

 

 しかし、あの一子が何もやらかさないわけがない。

 その確信をもって、同じ聖剣使いのイリナが問いかけた。

 

「斬った」

 

 単純明快な言葉と共に、遠くから地響きが聞こえてきた。

 何事だと一子以外の皆で――アーシアはリアスが抱きかかえて――空へと飛び上がってみれば、遠くに見える山が中腹あたりに一目で分かる程に線が入っていた。

 ゆっくりと横にズレていった。

 同時にそこに至るまでの木々が一斉に切れて地面に落ちた。

 

 一子がちょうど横薙ぎにデュランダルを振ったあたりから扇状に山まで続いていた。

 

「流石はデュランダルね。良い斬れ味だわ」

「いやいやいや」

 

 思いっきり否定するゼノヴィア。

 はて、と一子は首を傾げた。

 

「聞いた話だとデュランダルは威力を突き詰めた剣だから、このくらいは誰でも出せると思うけど」

「待って、待って……私の立場が無くなるから……」

 

 ゼノヴィアは泣きたくなった。

 そんな彼女に同情するリアス達。

 

「使い手の気質が反映されるみたいだし、私が全力出せば惑星をぶった切れる……? やばい、楽しそう」

「か、一子ちゃんダメ! そんなことしちゃ!」

 

 いち早く我に返ったイリナが慌てて一子を後ろから羽交い締めにした。

 いくら何でも危険過ぎた。

 

「……私は剣士失格だ……」

 

 落ち込むゼノヴィアに一子が告げる。

 

「まあ、でもこの子はかなりのじゃじゃ馬だし、仕方ないんじゃない?」

 

 遅すぎるフォローにイリナは溜息を吐いた。

 

「一子、ちゃんと面倒見なさいよ。将来のあなたの眷属でしょう?」

「勿論よ。ゼノヴィア、あなたを最終的には星を斬れるようにしてあげるから」

「……それはそれで困るのだけど」

 

 リアスは溜息を吐いた。

 

「あー、その、一子さん。僕にもアドバイスをくれると……」

「木場はあれでしょ、剣をいっぱい作れるから相手の弱点を一瞬で見抜いて、それに合った剣を作ればいいんじゃない? 観察眼を鍛えるのだ」

 

 いい加減なようで、わりと的確なアドバイスにそれもそうだ、と木場は頷く。

 

「というか、敵に合わせて作る剣を変えるって元々やってなかったっけ?」

 

 イリナの問いかけに木場は再度、頷く。

 

「……剣の技量とかそういう?」

「ありていにいえば……」

「といっても、私は剣の技量とかそういうのはあんまり無いのよね。剣も魔法もその他諸々も組み合わせた総合力で勝つって感じなので」

 

 嘘だろう、と言いたかったが、一子が言うからにはそういう世界もあるんだろう、と木場は納得するしかない。

 とはいえ、根本的なことがある。

 

「あの一子さん。それでも裕斗さんよりは技量が高いですよね?」

「ええ……朱乃、たぶんそんな気がする。それじゃあ、これまでの模擬戦に加えて、個別指導みたいなのもやりましょうか。とはいえ、報酬の一つや二つ、三つや四つが欲しいところだけれど」

 

 そう言いながら、ちらりとリアスを見る一子。

 

「何が欲しいの?」

「リアス」

 

 即答され、リアスは一瞬にして頬が緩んだ。

 

「も、もう! 仕方ないわね! 私をあげるから!」

「砂糖を吐きそうなバカップル具合、どうもありがとう! 一子ちゃん! 私も!」

 

 セラフォルーが一子に飛びついた。

 それを見た他の面々が即座に同じように動いた。

 

「……一子先輩、最低です」

「予想できた展開だけどね……」

 

 小猫のいつものツッコミに木場はそう返した。

 

 

 

 

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