やべー奴が赤龍帝になりました。   作:やがみ0821

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ハーレム 維持の仕方 検索

 

 

「ハーレム、維持の仕方、検索」

「一子様……何をされているのですか?」

 

 レイヴェルはジト目で一子を見た。

 夕方に誰もいないとはいえ、リビングで何を調べているんだ、という意味を込めてレイヴェルは問いかけた。

 すると一子は何やら真剣な顔で答える。

 

「いえね、今は普通に維持できているけれど、この先ずーっと、たぶん女の子が増えるでしょうから」

「私達では満足できないと?」

「違うのよレイヴェル。色んな花々を愛でているだけよ」

 

 レイヴェルは最低です、と言いそうになったが、すぐに隠された意図を読みとった。

 

「……なるほど、それが狙いですか」

「え、何?」

「全く、油断も隙もありませんね」

「どういうことなの……誰か説明して」

 

 一子の言葉に「にゃん」という声とともに小猫が現れた。

 

「一子先輩、その焼き鳥は裏を読みすぎているだけです」

「あ、そうなの?」

「はい。ですので、適当にあしらってあげればいいです」

「ちょっと猫又! どういうことよ! 一子様が女の子に手を出すのは冥界の各貴族とのパイプ構築でしょう!」

「え、そういう意図はなかったけど……その手もあるわね」

 

 一子としては根回ししなくても単純に人海戦術で冥界の覇権を握れると漫然と考えていた程度だった。

 そもそも冥界の覇権を握ろうなんてこれっぽっちも考えていない。

 そんなことをすれば忙しくなって爛れた毎日を送れなくなってしまう為に。

 

「それで一子先輩、このまま女の子が増え続ければ無理が生じますけど、どうしますか? 会えなくなれば冷めますよ?」

「小猫、何を見てきたの?」

「単身海外赴任している夫、残された妻は寂しさから、職場の同僚と関係を持ってしまう……オススメです」

 

 ドラマかよ、とレイヴェルはツッコミを入れたくなった。

 とはいえ、一子がどう判断するかというのはレイヴェルとしても興味があった。

 

「一子様、どうされますか? 私としてはとても気になります」

「そうね……やはり、2人きりで過ごしてこそ関係は維持できるというもの」

 

 レイヴェルと小猫は頷く。

 

「……というか小猫。私、基本的に籍を入れるのは少数よ。たぶん今いるメンバーと将来加わるにしても、そんなにたくさんにはしないと思う」

「妾という形ですか?」

「そういうことよ。籍を入れなきゃいけないってわけでもないでしょうに」

 

 なるほど、とレイヴェルと小猫は頷く。

 確かに夫婦とまではいかなくとも、妾という立ち位置ならば会えるときに会うという形態でも問題はなさそうであった。

 

「そういやセラは初めから側室になるって言っていたわね」

 

 一子が呟いたとき、まるでタイミングを見計らっていたかのように、転移魔法陣と共にセラフォルーが現れた。

 

「一子ちゃん! 仕事が片付いたから来たよ!」

「この時間は珍しいわね」

 

 一子が時計を見ればまだ午後5時を少し回った程度だ。

 

「うん、今日はちょっとしかなかったから。で、珍しいメンバーだね。ついにロリに目覚めたの?」

「どうとでも言うがいいわ」

「でもでも、妻として、一子ちゃんの性癖は受け入れるから。シトリーは性愛に対してはとっても寛大なんだよ」

 

 なるほど、と一子は頷く。

 そして、おもむろセラフォルーの両手をぎゅっと握り、まっすぐに彼女の瞳を見つめながら告げる。

 

「結婚しましょう。あなたを幸せにしてみせるわ」

 

 まさかの言葉にセラフォルーは一瞬の間をおいて、一子に飛びついた。

 

「勿論! OKだよ! 私を幸せにして!」

「……ええと、私は何を見せられているのでしょうか、突然ですよ。脈絡なく」

「考えたら負けです。一子先輩はこういうノリなので」

「……非常識ですわ」

「知らなかったんですか? 赤龍帝は世界で一番非常識なんですよ」

 

 レイヴェルはちょっとだけ後悔した。

 こほん、と彼女は咳払い。

 

「一子様、私がマナーというものを教えて差し上げますわ。上級悪魔昇格は間違いありませんから、今から勉強しておきませんと」

「現役の魔王がこのノリなんだけど、そこはどう思う?」

 

 一子の問いかけにレイヴェルは視線を逸らした。

 

「……魔王様は、ちゃんと責任を取られる筈なので」

「えー? 責任を取るってうるさく言う皆をぶっ飛ばすことかな?」

「あ、それなら私もできる。世界全部ぶっ飛ばせるわ」

 

 ダメだコイツら、常識が通じない――

 

 レイヴェルは諦めかけた。

 しかし、ここにはまだ小猫がいる。

 

「一子先輩、最低です。真面目に勉強をしてください」

「そうですわ! 小猫さんの言う通り!」

「というか、そもそもの話、私が誰かに敬語を使ったりとか、そういう姿、想像してみなさいよ。この前の会談のとき、気持ち悪がられたんだけど。サーゼクスとかに」

 

 一子に言われた通り、レイヴェルと小猫は上級悪魔っぽく敬語を使う一子を想像してみた。

 

 恐ろしかった。

 何を企んでいるのか、分かったものではない。

 

「一子ちゃんが社交界とかそういうところで誰かに頭を下げる姿も想像してみて。私は想像してみたら、下げられている相手は5秒後に殺されるなって思った」

 

 言われるがまま、レイヴェルと小猫はそっちも想像した。

 とても、恐ろしかった。

 

「というかさ、レイヴェルちゃんに小猫ちゃん。一子ちゃんって悪魔である前に赤龍帝だからね? ドラゴンだからね? プライドがめちゃくちゃ高くて、超ワガママのドラゴンだからね?」

「大事なことなのでドラゴンを2回も言ってくれたのね」

「大事なことだからね。でも、私としては何でもかんでも力で解決は良くないと思うの」

 

 セラフォルーの思わぬ援護射撃にレイヴェルは一筋の光明を見た。

 一子は「そうねぇ」と顎に手を当てる。

 

「じゃあ、昔取った杵柄で……勢力バランスを制御するとしましょうか」

 

 何だか話が大事になりそうなので、レイヴェルは慌てて問いかける。

 

「えっと、つまり何をされるのですの? というか、単にマナーとかそういうのを身につけて欲しいというだけの話ですのに」

「要するに……私が天に立つ。それだけの話よ」

 

 レイヴェルは困った。

 セラフォルーは意味を理解したのか、うんうんと頷いている。

 小猫は興味がなくなったのか、リビングから出ていった。

 

「つまり、一子ちゃんが魔王よりも偉くなればマナーとかそういうのは気にする必要もないってことね」

「そういうこと」

 

 レイヴェルは頭を抱えた。

 

「ま、私の手のひらの上で精々、政争ごっこに明け暮れればいいわ」

「すごいこと言っていますけど、それでもマナーとかは一応、身につけてください」

 

 レイヴェルの言葉に一子は答える。

 

「実はもう色々と勉強してあるのよ。リアスと朱乃の家庭教師を舐めないでほしいわ」

「分かっていて、そういう振る舞いを?」

「ええ。冗談はおしまいにして、そういう場ではそういう振る舞いをするわ」

 

 一子の言葉に、それならばとセラフォルーが提案する。

 

「それじゃさ、レイヴェルちゃんがお題を出して、一子ちゃんがその場で相応しい振る舞いをするっていうのはどうかな? 私は観客」

「それでしたら……一子様、よろしいですか?」

「ええ。構わないわ」

 

 そんなこんなでちょっとしたテストが始まった。

 

 

「では一子様。私の両親に挨拶をする場面では?」

 

 レイヴェルのお題に一子はすぐさま応じた。

 姿勢を正し、その美しい顔はにこやかに。

 華やかであったが、しかし、総身から溢れ出る気は凄まじく、誰もが目を向けずにはいられないだろう。

 

 一子はスカートの両裾を僅かにつかみ、優雅に頭を下げた。

 

 レイヴェルは圧倒された。

 さっきまでのおふざけの塊みたいな存在が、どこに出しても恥ずかしくはない存在へとなったのだ。

 

 しかし、そこで終わりではない。

 一子は朗々と淀みなく、挨拶を述べる。

 

 レイヴェルが贔屓なしに見ても満点の挨拶だ。

 手本にしたいくらいに。

 

「レイヴェルちゃん、どう?」

「え、えっと……はい、これなら大丈夫そうですわ……」

「でしょ? だから、いつでも大丈夫だよ」

 

 セラフォルーの言葉にレイヴェルはバレている、と直感する。

 

「一子様、デート! この前の報酬の、デートをしてください!」

 

 下手にからかわれるよりも、さっさと既成事実を作ってしまった方が自分の精神的に良い、と判断したレイヴェルは告げた。

 

「ええ、いいわよ。世界遺産とかは好き? 人間界は嫌いって言うけれど、案外、良いところもあるのよ」

「一子ちゃーん、私も今度、デートしたいなー」

「勿論よ。順番ね」

「わーい!」

 

 レイヴェルは何だか話があっちこっちへぶっ飛んだが、自分の目的へ一気に前進できたので良しとした。

 

「レヴィアタン様……あの、本当に色々自重してくださいませ」

「えー? これでも自重している方なんだけどな」

 

 レイヴェルは無理を承知でお願いしたら、予想外の言葉が返ってきた。

 これでも自重している方なのか、とそこが驚きであった。

 

 

 

 

 

 

 

「ふーん……基本的に一部を除いて籍は入れず、妾という形にするのね」

 

 リアスはハーレムについて、一子からそう説明を受けた。

 彼女がハーレムを作りたい、と公言しているわけではないが、チャンスがあれば女に手を出して、ハーレムを形成しているのは間違いない。

 

 ともあれ、リアスとしても一子の方からそういう話が出てくるのは歓迎だ。

 

 ちゃんと将来のことも考えてくれていることが分かるが為に。

 

「ま、私としては独占したいけれど、一夫多妻とか妾とかは悪魔社会では普通のことだし。いいわよ」

 

 リアスの言葉に、横に座っている一子はほっと一安心。

 それを見て、リアスはくすりと笑う。

 

「でもね、一子。私は悪魔で、女よ?」

 

 そう告げながら、リアスは一子の頬を優しく撫で、その瞳をまっすぐに見つめる。

 

「悪魔は自分の欲求を優先する。あなたの欲求を私は尊重するけれど、私の欲求も尊重してくれるでしょう?」

 

 リアスはそのまま、一子の顎に手を当てて、僅かにその口を上向かせる。

 

「あなたを私だけのものにしたい。そう思っているわ」

「私の愛は重いわよ?」

「ええ、知っているわ。でも、私の愛も重いわよ? 情愛のグレモリーを舐めないでほしいわ」

 

 そう言いながら、リアスは怪しく微笑む。

 

「お母様はバアルの出身、お父様はグレモリーだけれど男性。女のグレモリーを、あなたは知らないでしょう?」

「それを言うなら、あなたも知らないんじゃないの?」

「ええ。そうよ。でも、記録で知ることはできる」

「母親がバアルの血筋だから、純粋なグレモリーとは言えないんじゃ、というツッコミは野暮かしら?」

 

 一子の問いにリアスは答えず、そのまま彼女に口づけた。

 数秒の軽いキスであり、リアスは離れ、言葉を紡ぐ。

 

「問題じゃないわ。重要なのは女のグレモリーであるということよ。女のグレモリーは夫とする相手へ、深く愛を注ぐのよ」

「つまり?」

「言わなくても、分かるでしょう?」

 

 リアスはそう言って妖艶に微笑む。

 普段ならベッドの上でしか見せない女としての表情だ。

 

「女同士のドロドロの闘争は見たいけれど、面倒だわ」

「安心して。積極的に崩壊させようとはしないから。ただ、フォローもしない」

 

 なるほど、と一子としても納得する。

 しかし、彼女からすれば当然、この展開は予想済みだ。

 

「ねぇ、リアス。悪魔は多夫一妻も認められているのでしょう?」

 

 その問いにリアスは頷き、肯定する。

 

「当然、1人の女を複数の男が囲うのもアリよね?」

「ええ……何を考えているの?」

 

 リアスの問いに一子は微笑む。

 

「リアス、あなたは私にとって特別になりたいって話よね?」

「簡単に言うとそういうことね」

「あなたの願いを叶えたら、ハーレムの積極的な維持に協力してくれる?」

 

 リアスは面白い、とばかりに笑みを浮かべる。

 

「内容によるわね。どういうものを、あなたは提供してくれるのかしら? 何でも願いを叶える魔法とか物品とかではダメよ」

 

 あらかじめ逃げ道を塞ぎ、リアスは一子の答えを待つ。

 すると一子はリアスの耳に口を寄せ、短く告げる。

 

「私の処女」

 

 その言葉をリアスはゆっくりと脳に浸透させ、そして感情の昂ぶりを感じた。

 かつてないほどのそれは、リアスの情欲を急激に高めていく。

 

「……一子、そういう意味だったのね」

「そういう意味よ。多夫一妻、あなた達が夫で私が妻。生やせる薬があるのだから。で、答えは?」

「勿論、OKよ。ただし、一子。序列はつけなさいよ。平等に愛を注ぐというのでは、女は満足できないから」

「ええ、知っているわ。一応、考えてあるのよ」

 

 一子の言葉にリアスは頷き、尋ねる。

 

「1番は私として、2番以降は?」

「朱乃よ。3番がアーシア、4番がセラ、5番イリナ、6番ゼノヴィアと続く」

「カテレアとかは?」

「カテレアは別枠。他にも黒歌とかロスヴァイセとかレイナーレ達、あと私が作ったグレイフィア達とかも」

 

 その口ぶりに、リアスは察した。

 ロスヴァイセはともかく、他の面々は一子を崇拝しているような節がある。

 傍にいて、仕えるだけで幸せみたいな感じなのだ。

 

 言っては悪いが、雑に扱ってもその心が離れることはないだろう。

 

 リアスが考えた予想は2つ。

 一子が作成したグレイフィア達は、どうやら作成段階でそういう風に定義付け、あるいは設定が一子によってされているらしいこと。

 そして、カテレア達からの崇拝は、魔王級の悪魔を何の代償もなしに、魔力消費のみでポンポン量産でき、更に魔王すらも敵わない絶大な力があること。

 

 基本的に力が強い、というとモテるのが裏側だ。

 弱肉強食、弱い者には発言権どころか生存権すらも怪しい、そういう太古の昔から続く、原始的なルールが支配しているのが裏側の世界であった。

 

「ま、女の私から見ても、カテレア達やグレイフィア達があなたから離れることなんて、まずないでしょうね」

 

 リアスは自身の予想を踏まえた上で、そう告げたのだった。

 

 

 

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