やべー奴が赤龍帝になりました。   作:やがみ0821

69 / 74
イベントのお誘い

 ルーマニアの案件を処理した一子であったが、色々と忙しい。

 まず、リアスの妊娠により朱乃をはじめとした面々が自分も自分もと取り合いになった為だ。

 ならば、と卒業が迫っている朱乃を一子は最優先に爛れた生活を送った結果、朱乃もまた無事に妊娠を果たしている。

 

 一子はそんな生活をしながら、仕事では魔王級の魔力と戦闘能力を持つメイドやら何やらを大量生産しており、オリジナルのセラフォルーからの依頼である老害連中の処理は彼女達に丸投げだ。

 

 設定通りの才能と能力を持ってくるとかいう造物主のような力を使って、一子はとにかく色んな才能や能力がある者達――全員に一子への揺がくことがない忠誠を持つことを設定している――大量に作ることは単純に自分の権力基盤及び戦力強化に直結している。

 

 一方で事務的な手続きは済んでいるが、悪魔社会の掃除を終えてからということで一子は上級悪魔昇格に伴う儀式は済んでいない。

 そのため一応、まだ中級悪魔という形にはなっている。

 

 セラフォルーも対ハーデスを見据えている為に一子が色んなのを作ることを後押しして、それを政府が追認する。

 

 正直もう一子だけでいいんじゃないか、という雰囲気ではあったが、彼女に任せておくととんでもないことをやらかすのが目に見えているので、そういうわけにもいかなかった。

 

 サーゼクスやアジュカは頭が痛かったが、基本的に悪魔陣営にとっては大きなプラス要素だ。

 

 

 

 そして、予想通りに一子がやらかした。

 リゼヴィムの手によって、幽世の聖杯を保有することとなったマリウスを使って過去に滅ぼされていた6体の邪龍を蘇らせたのだ。

 その過程でマリウスが精神的に崩壊したが、聖杯は使えるので特に問題はない。

 

 そこで一子は暇をしている神々や魔王達、その他多くの人外の皆様方の為にとあるイベントを開催することにした。

 

 一子がセラフォルーに提案したところ、彼女も大いに乗り気で政府公認のイベントにまでしてしまったのだ。

 

 邪龍達は基本的に戦うことを好む性格であり、また彼らは一子を見た瞬間に戦うことを望んだ。

 グレンデルが我慢できずにその場で襲いかかったが、簡単にあしらわれてしまったり、アジ・ダハーカの幻術そのものを一子がレジストしたことなどから、彼らは並々ならぬ存在として一子を認識した。

 相応しい場で全力で戦うと一子が提案し、彼らもそれを承諾した。

 

 彼らの好戦性を考慮して迅速にその準備は整える必要があり、じっくりと協議する時間はない。

 故に、関係機関や各神話体系に協力してもらう為、セラフォルーが告げたことはたった一言だ。

 

 アジ・ダハーカとかの蘇った邪龍達と赤龍帝がガチバトルするけど、見たい――? 

 

 誰だって見たいが為、びっくりするほどの早さで準備を整えることに成功した。

 

 通常空間で戦うと世界が滅びかねないということから、強度に特化した専用の異空間で行われ、その様子は各界に生中継される。

 更には色んな神々やら何やらが冥界へ訪問することまで決まってしまった。

 彼らの目的は赤龍帝である一子の勧誘だ。

 

 赤龍帝を直接勧誘できるチャンスがあるかもしれない――

 

 それだけ一子は魅力的な存在で、彼らは彼女が無類の女好きであることも承知している。

 その為、彼らは各々が所属する神話体系において、選りすぐりの美女達を大勢引き連れていくことを決めていた。

 

 

 

 

 

 

 

 そんな状況で一子はだらしのない顔をしていた。

 それを見て、ロスヴァイセは溜息を吐く。

 

 原因は彼女が持ってきた大量の手紙によるものだ。

 具体的にはかつての先輩や同僚達からお願いされて、断りきれずに託されてしまったもの。

 

 わざわざヴァルキリー専用の通信魔法で連絡してくるくらいであるから、どれだけ力が入っているかよく分かった。

 

 

「ロスヴァイセ、ヴァルキリーっていうのはいいもんね……」

「予想はできますが……何が書いてあったんですか?」

「邪龍達に勝ったら、私と結婚してくださいってどのお手紙にも書いてあった。あと顔写真も入っているわね」

 

 ロスヴァイセはコメカミを抑えた。

 ヴァルキリーの部署は経費削減の影響を特に受けており福利厚生が良くない。

 勇者とか英雄とかそういう存在が近年では非常に少ない為で、ヴァルキリー達は基本的にイケメンを見つけて寿退社か、いつまでも仕事を続けるかのどっちかだ。

 

 そんな中でロスヴァイセがオーディンに退職届を叩きつけたことはヴァルキリー史上初の出来事であったが故に瞬く間にヴァルキリー達の間に広まり、優秀な彼女達は転職先を赤龍帝である一子の眷属候補だと突き止めた。

 そこへ降って湧いた今回の大イベントだ。

 

 かつて滅ぼされた邪龍達が蘇ったことに驚愕したが、その邪龍達を相手にたった1人で戦うという。

 

 竜殺しの英雄になるかも、ということでブリュンヒルデをはじめ、ヴァルキリー達がロスヴァイセに連絡し、手紙を託してきたという経緯である。

 

 噂によれば両性具有みたいだし、このまま仕事を続けるのも嫌だから、ここは大胆に行動しよう――と普段は純情で奥手な連中が本気を出してしまった結果だ。

 

 ロスヴァイセは自分のことを棚に上げて、普段から積極的な行動をしていればさっさと寿退社できただろうに、と思わずにはいられない。

 

 何よりも彼女ももしも邪龍達を敵に回して勝ってしまったら、似たようなお手紙を渡そうとか思っていたクチである。

 福利厚生は最高で、自らを鍛える為の環境も最高、しかし男っ気は全くないという残念さ。

 

 スケベで色々とやらかすことはあるけれど、強いし経済的にも安定している一子様でいいか、と思いかけていた矢先の出来事だ。

 

 何より一子の周囲で手を出されていない女というのがもしかしたら自分だけじゃなかろうか、という妙な敗北感もあった。

 

「あのー、一子様。私ってそんなに魅力がないですか?」

「……はい?」

 

 一子はロスヴァイセの問いかけに目を丸くした。

 

「いやだって、ベンニーアさんとかオーフィスさんとか除けば私だけじゃないですか? あなたに手を出されていないのって」

「あなたの性格からして、ビジネスライクな関係を望んでいると思っていたけど、違ったの? そりゃ、そういう関係になれたらいいなー、美人だしなーって思いはあるけども」

 

 一子の言葉にロスヴァイセは衝撃を受けたが、自分の行動を思い返して納得してしまった。

 基本的に彼女はカテレアやレイヴェルと共に実務面を担当しているが、2人がとっくの昔にそういう関係になっていることを知りながら、特に一子に対してモーションを掛けることもなく、それっぽいことを告げたりすることもなかった。

 

 あくまで上司と部下、主と従者という振る舞いに徹していた。

 また彼女自身が奥手であったこともあるが、そもそも一子のやらかしに頭を痛めることが多く、そういう深い関係になろうとは思っていなかったのは事実である。

 

 ロスヴァイセがそう思い始めたのは最近の話で、リアスの妊娠がきっかけになったのかもしれない。

 彼女に対して一子は告げる。 

 

「私はいつでもOKよ」

「もうちょっとマシな言葉を選んでください」

「じゃあ、邪龍共を全部ぶっ倒して、竜殺しの英雄になってくるから私の女になって」

 

 さっきよりはマシであるが、それでもあんまりな言葉だった。

 

 

 

 

 

 

「最近、出番がないんだけど」

「同じくっす」

「同じく」

 

 レイナーレの言葉にミッテルトとカラワーナが同意する。

 一子の使い魔という体裁で堕天使のまま、一子の配下になっている彼女達は基本的に毎日仕事して、ふらっとやってきては一子とイチャイチャするという生活を送っていた。

 

 別に仕事をしなくても十分な小遣いと生活費を渡されているのだが、使い魔としての存在意義をアピールしておく必要はある。

 

 カスピエルも同じようなものだが、向こうのほうが一子がやってくる頻度は比較的多いらしい。

 

「しかし、邪龍達と1人で戦うって……さすがは私が目をつけた子だわ」

「いや本当に良かったっすね……あのとき事態が変な風に急展開して、戦う羽目になったら、1秒も掛からずに私ら消し炭でしたよ」

「まったくだ」

 

 レイナーレがきっかけで一子は裏側へ足を踏み入れたと言っても過言ではない。

 何よりも一子の初めての相手ということで、レイナーレはリアスをはじめ大勢の者達にドヤ顔できていた。

 

 現役魔王のセラフォルーが本気で悔しがったということまでもあり、レイナーレは大いに心が満たされたものだ。

 

「というか、早く一子の子を孕みたいっすねー」

 

 ミッテルトの言葉にレイナーレとカラワーナが悔しがる。

 

「リアス・グレモリーに先を越されたっ」

「一子様はああいう若い子がいいんだろうか……!」

「私は若いっすから」

 

 ミッテルトの勝ち誇った言葉にすかさずレイナーレが告げる。

 

「見た目だけの話だわ。それよりも、姫島朱乃の方も孕んだらしいわよ。昨日、カスピエルが教えてくれたんだけど」

「きっとエロエロなポーズでおねだりしたんすよ。私は詳しいっす」

「やはり同年代のほうが……いやでも、年上も大好きと言っていたし……」

 

 堕天使達の悩みは深かった。

 

 

 

 

 

 

 一方、冥府のハーデスは今回のイベントを最大のチャンスだと捉えていた。

 赤龍帝が消耗しきったところをなりふり構わず急襲し、倒してしまえばあとはどうとでもなる、と彼は考えたのだ。

 

 生と死の境界をめちゃくちゃにしまくっている一子はハーデスからすれば怨敵であり、絶対に潰さねばならない存在だ。

 自然の摂理に従え、死んだら蘇らせるな、工業製品みたいに生命を量産するな、生命を冒涜するな、というもっともな言い分に冥府では賛同者が多く、計画への参加者もまた多い。

 冥界での赤龍帝の台頭を良く思わない連中とも嫌々ながら手を結んだ。

 その大半は古臭い考えの悪魔共だが、赤龍帝を倒すというただ一点では協力できた。

 

 ハーデスからすれば赤龍帝はとんでもないことをしているのに、多くの悪魔や天使、堕天使達が罰しないのが不思議で仕方がなかった。

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。