やべー奴が赤龍帝になりました。   作:やがみ0821

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戦いを終えて

「……可哀相に」

 

 サーゼクスはそう呟きながら、報告書を読み進める。

 オリジナルのセラフォルーと3人目(・・・)のセラフォルーからの報告書だ。

 利権を貪っていた古い悪魔の上役達、冥府におけるハーデスについてのものだった。

 

 邪龍達と一子が戦ったあの日から既に2週間が経過している。

 いくら彼女が参戦するとはいえ、権謀術数に優れる上役達や冥府のハーデスをはじめ、彼に賛同したり協力している地獄の王達までも同時に相手取っては長期戦は避けられない筈だった。

 

 サーゼクスをはじめ、現政府の面々は1人を除いてそう覚悟していた。

 しかし、セラフォルーだけは楽観的だった。

 

 一子ちゃんのことだから、泥沼にはならないよ――

 

 語尾に☆でもついていそうな、ご機嫌な表情でそんなことを宣った。

 

 そして、その通りだった。

 

「理には適っているが……非常に雑だ。一子さんが戦いに出るかと思えば出なかったし、邪龍達も出ていない」

 

 かつて一子は語った。

 グレイフィアとサーゼクスを100万人ずつ作ってぶつければ世界征服できる、と。

 さすがに2人を100万人も作ったりはしなかったが、代わりに魔王級の戦闘力を持つメイドをはじめとした色々な者達を作って投入した。

 その人数は100万や200万では利かず、セラフォルーが言うには冥府を埋め尽くすくらいの数らしい。

 

 雑なやり方だった。

 一子が作った3人目のセラフォルーが指揮を執り、質・量ともに圧倒的に上回る兵力を投入した結果――ハーデスらは半日も掛からずに降伏した。

 より正確には侵攻を開始して数時間くらいでハーデス側の戦線は完全崩壊、散り散りになって逃げ回る者を1人ずつ追い詰めて捕らえる方に時間が掛かった。

 

 上役達に関してはそこまで大規模なものではなかったが、それでも数百万人近くの一子の軍勢が投入された。

 

 こちらはリゼヴィムとカテレアが指揮を執っていた。

 上役達がどれだけ屁理屈をこねようとも、ルシファーの実子たるリゼヴィムとレヴィアタンの正統な末裔であるカテレアの前には意味をなさない。

 

 彼らは昔ながらの純血主義であるからこそ、純血の頂点に君臨するリゼヴィム、頂点にほど近いところにあるカテレアには逆らえない。

 逆らえば決定的な自己矛盾を起こしてしまうからだ。

 

 潔く投降した者もいたが、リゼヴィムは逃げることを推奨した。

 

 人狩り行こうぜ、と彼は周りに声を掛けて誘いながら、機嫌良く、逃げた者達を1人ずつ追い詰めて始末していった。

 

 一子はリゼヴィムの冥界における評価・立場、何よりも本人の性格をよく理解した上でうまく扱っている。

 こんなことは彼女しかできないだろう。

 

「リゼヴィムも一子さんも、どっちもやらかすよな……」

 

 リゼヴィムは一子と出会ったことでやらかすことはなかったが、もしも出会わなかったら、絶対に何かをやらかしていたとサーゼクスは断言できる。

 一子は言わずもがなで、こちらは色々と前科があった。

 

「終わったことだし、まあいいか。しかし、私が伯父さんになるのかぁ……」

 

 リアスが妊娠したことはとっくの昔に彼女自身から報告を受けている。

 聞いた時は大はしゃぎしたものだ。

 

 そこでサーゼクスは致命的なことに気がついた。

 

「……お祝いの品、何を贈ればいいんだ?」

 

 一子は何でも持っているし、何でもできる上、おそらく何でも作り出せる。

 変なものを贈っては義兄としての沽券に関わるのでは、と彼は直感する。

 

 グレイフィアとの相談が必要だ、と彼は確信しつつ、今日は定時で帰ることを決めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一方、邪龍達との戦いが終わった後、一子は何をしていたかというと自らの領地に建てた城に引きこもって爛れた生活を送っていた。

 

 あの戦いの後、物凄く昂ぶってしまったということに尽きる。

 覇龍の影響なのかは不明であったが、ともかく中々収まらなかったことから、もう纏めて全員妊娠させてやるという勢いだった。

 

 結果として、リアスや朱乃以外の一子と関係を持っていた面々――セラフォルーとカテレアを除く――も無事に妊娠を果たすというとんでもないことを仕出かしていたが、一子に後悔はない。

 

 残念なのはオリジナルのセラフォルーとカテレアだ。

 彼女達は悪魔の上役達を潰したことによる後始末に追われ、今回の爛れた生活には加われなかった。

 そのため、落ち着いたらしっかりと埋め合わせをしようと一子は心に決めていた。

 

 

 幸いにも昂ぶりは無事に収まり、彼女は学校を休んでリアスと2人きりでのんびりとしていた。

 

「一子、結婚式はいつ挙げる?」

「そうねぇ……とりあえず、儀式を行ってからでいいんじゃないかしら」

 

 儀式と言われてリアスは首を傾げ、思い出した。

 

「そういえばあなた、まだ上級悪魔昇格の儀式はまだやっていなかったわね……え、嘘、形式的にはまだ私の眷属なの?」

 

 邪龍7体を敵に回して、大立ち回りを演じた上に勝利を収めた一子が一応まだリアスの眷属とかいう、理解したくない状態だった。

 王であるリアスが眷属の一子に勝っているところといえば、胸が一子よりも少しだけ大きいことくらいである。

 

「そうなるわね。手続きは済んでいるけど、儀式をやらないとダメらしい……ただもう私って魔王でいいんじゃない? 超越者認定は貰っているし」

「……近い将来、そうなりそうね」

 

 一子が魔王になる、という未来を早い段階からリアスは予想していた。

 義姉のグレイフィアには色々と魔王の妻としての振る舞いやら何やらはちょくちょく教えてもらっている。

 

 グレイフィアのようにメイドはやらない為、幾分マシとリアスは考えていたが、問題であるのはあちこちとの付き合いだ。

 社交界にも一子は顔を出さねばならないが、彼女自身の礼儀作法は問題がないが、問題なのは突っかかってきた輩に対する仕返しだ。

 そうした輩は数日後に変死した、なんてことになりかねない。

 

 そもそも邪龍達と戦って勝ってしまう程の強さの一子に突っかかってくること自体が自殺行為なのだが、グレイフィアによればそういう輩は下手なことはしないだろう、と考えているらしい。

 

 サーゼクスも色々とそういうことがあったが物理的な仕返しはしなかった、とグレイフィアからリアスは聞いている。

 

「ねぇ、一子。これからあなたは社交界とかそういうところにも出入りしないといけないんだけど……突っかかってくる奴にはどうするの?」

「そいつの親族が一人ずつ変死していくことになるわ」

「予想よりもえげつないことをするのね……」

「分からせる必要があるので」

 

 一子の物言いにリアスは溜息を吐いたが、実際のところ、彼女自身も我慢強い性格ではない。

 ワガママ、短気で喧嘩っ早いとはソーナのリアスに対する評価である。

 一子は更に言葉を続ける。

 

「私は表面上仲良くしてくれて、裏切りさえしなければそれなりに利益を与えるわよ?」

「かなりハードルは低いのね……」

「組織とか派閥の維持ってそういうものよ。でも、リアス、あなたが苦労をする必要はないわ」

 

 一子はそう告げて、リアスの頬を両手で包み込む。

 彼女はリアスの青い瞳を見つめ、にこりと微笑みながら告げる。

 

「あなたがやりたいって思ったことをやってほしいの。悩んだり我慢したりするよりも、笑顔のあなたが良いから」

 

 そこで少しの間を置いて、告げる。

 

「もしもあなたのことを悪く言う奴がいたなら、たとえそいつが世界の果てにいようが、異世界だろうが、追いかけ見つけ出し……殺す」

 

 リアスは身体が震えた。

 それは恐怖ではなく、喜びだ。

 

「私の為にそこまでしてくれるの……?」

 

 答えは分かり切っていたが、それでもリアスは聞かずにはいられなかった。

 すると、一子はリアスの耳元で答えを囁く。

 

「当たり前よ。だって、あなたは私が最初に孕ませた女なんだから」

 

 一子らしい言葉であったが、リアスにとっては何よりも嬉しい答えだ。

 彼女は一子に抱きついて、耳元で囁く。

 

「ねぇ、一子……いいかしら?」

「勿論よ。そういうところも私は大好きなのよ」

 

 主語が省かれているが、一子は正確に意味を理解していた。

 

「あ、良い機会だし、前にした約束も果たしておく? たぶん女に対する見方が変わると思うけど」

 

 一子の言葉にリアスは首を傾げ――思い出す。

 リアスが両性具有になって一子を抱くというあの約束だ。

 

「一子、ヤリましょう」

 

 リアスは目を輝かせ、そう言った。

 グレモリーはサッキュバスの家系だったかな、と一子は一瞬考えてしまうが、彼女にとって淫らな女の子は大歓迎であるので全く問題はなかった。

 

 

 

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