今こそ飛ぶ時だ。
テツカブラにより荒らされた巣を踏み固め肉を解体したその後眠りについたあの日からしばらくがたった。
人間が抱えられる程度の大きさだった子竜達は今ではドスジャギィ程の大きさになっていた。
しかし、その戦闘能力は王、又は女王と呼ぶにはあまりにも貧弱で、ドスジャギィにも負けるほどだろう。
これでは自然界で生き残ることはとてもできない。火炎袋も生成されているぐらいの成長の程度だが満足に火を吐くことはとてもではないができなかった。
生まれて約1〜2ヶ月程
子竜達の特訓が始まった。
夫リオレウスはパトロールで忙しいので、妻リオレイアの方が子竜達の指導役となっている。
まず最初の特訓は噛み付くことからだった。
今まで肉をしっかり食べる事も無かった子竜達は、今日をもってリオレイアが肉を代わりに噛み砕いてもらうことを辞め、自分で肉に食らいつかなければならない。
少なくとも、餓死するまでに。
リオレイアが雑に切り分けた肉を子竜達の目の前に置いていく。
子竜達の完全に発達しきらない歯ではなかなか噛み切ることが難しいようだ。
しかし子竜達は必死に食らいつく。
いつまでも甘える事は出来ない事は生まれた直後から彼らは分かっていた。
約1時間後、3匹の子竜達はなんとか腹を満たすことができた。
簡単な特訓ではあるが、子竜達にとっては大変な問題なのだ。それに、こうやってうまく肉に噛み付くことができれば、ある程度のモンスターとは戦って対処することができる。
次に始まったのは飛行訓練だった。
飛ぶことが実はかなり大切なのだ。
危険な敵に遭遇した時は逃げることができるし、火竜種は陸上を常に歩行するのはあまり得意ではないから移動する際に必須だった。
リオレイアは子竜の1匹を咥えると、大きな翼を広げて飛び立った。
この時子竜は初めて巣以外の世界を知った。
草を食む草食竜、青い海、ジャギィの群れ
あらゆるものが新鮮な経験だった。
しかし、このまま飛んでいても特訓ではない
リオレイアは大きく飛翔し高くに上ると、咥えていた子竜を落とした。
子竜はこうなる事はわかっていたから飛ぶ時の風、親の動き、色々なものを見て飛ぶ準備をしていた。
しかしいくら王達の子とていきなり飛ぶことができるはずもなく、かなり弱々しい動きで翼を動かすも落下を遅くするのがせいぜい。
このままでは死んでしまう、飛ばなければ。そんな野生から根付いた強い本能が子竜を突き動かした。
大きく翼を広げて羽ばたく。成功したのだ。飛ぶことに。
とは言っても所詮子竜の羽ばたき、ふわふわと下降していく。
そこをずっと見ていたリオレイアが咥えてそのまま巣へと飛んで行った。
まだまだ飛べるとは言えないが"合格"したのだ。
ちなみに、見ていたとは言ってもリオレイアは子竜が危なくなっても助けるつもりは全く無かった。
そんなテストを残りの2匹にも受けさせた。
彼らはかなり優秀で全員がテストに合格した。これはそんなにあることではない。
このテストで大怪我をしたり、はたまた死んでしまう子竜も多くいるのだ。
しかし、何度かチャンスをなどとそんな甘えた事は許されない。ここで失敗する奴は近いうちに死ぬのだ。
それが野生の掟だった。
次の特訓は火を吐く訓練だ。
しかしこの特訓ではさっきのような無茶はしばらくしない。何故ならまだ火炎袋も発達しきっておらず、また吐いた後火傷した喉を癒す再生力もあまり身につけていないからだ。
リオレイアは炎のブレスを吐くコツを教えるだけにとどめた。
子竜達が飲み込めているのかどうかはわからない。
と、リオレウスが帰ってきた。アプトノス一頭を掴んで巣に放り投げてきた。
子竜達はすでに1つ目の訓練でお腹いっぱいといった感じだったのでリオレイアとリオレウスが2人で食べた。
さて、特訓の続きである。
次は雄雌個別訓練だ。
リオレイアの特技宙返り攻撃のコツを2匹の雌に教える。
なおまだ飛べもしないので習得できるわけもなかった。
リオレウスは雄に爪の使い方について教えた。
高いところから急降下して爪で切り裂く技をだ。
やはり、飛べないので子竜はよくわからなかった。
そんな特訓の日々がしばらく続くのである。
投稿までにかなり時間が空いてしまいました。
ちょうどいいので作中でも何ヶ月か経過させました。
子リオレイア子リオレウスは可愛いですね。