絶剣の少女と怪物狩りの少年   作:小説大工の源三

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コロナが怖いですね……
皆さんも健康に気を付けて生活してください。


モヤットボール

シュバルトside

 

???「ちょお待ってんか、ナイトはん」

 

そんな声が低く流れたのは、その時だった。

歓声はぴたり止まり、前方の人垣ふたつに割れる。空隙の中央に立っているのは、小柄ながらがっちりとした体格の男だった。

彼の装備は革の上に分厚い金属片を縫い付けたスケイルメイル、この層ではそこそこ使えるランクの物だ。

しかしその髪型がとても個性的だった。

 

シュバ「モヤットボール?」

 

テリー「ブフォ‼️」

 

あっ、テリーが吹いた。

 

ユウキ「ねぇ、モヤットボールって何?」

 

フィリア「えっとたしか○内エ○テIQサプリに使ってたボールだった気がする」

 

フィリアは知ってるみたいだ。

知らない人が多いのかな?あれ結構面白かったな。

※ちなみに作者は知らないです。

 

???「そん前に、こいつだけは言わしてもらわんと、仲間ごっこはでけへんな」

 

この唐突な乱入に、ディアベルはほとんど表情を変えなかった。むしろ余裕溢れる笑顔のまま、手招きしながら言う。

僕は疑問を抱かざるをえなかった。なぜディアベルは突然の乱入に余裕溢れる笑顔(・・・・・・・)を保っていられることを。ただでさえこの状況でリーダーを演じているのが大変なことなのに。普通は少しは動揺する筈だ。

まるで予定通り(・・・・)に物事が進んでいるかのように。

いや深読みし過ぎか。初対面の人に対して失礼だね。

 

ディア「こいつってのは何かな?まあ何にせよ、意見は大歓迎さ。でも、発言するなら一応名乗ってもらいたいな」

 

???「わいはキバオウってもんや」

 

なかなか勇猛なキャラネームを名乗ったサボテン(モヤットボール)頭の片手剣士は、するとか目で広場の全プレイヤーを睥睨した。

その視線が隣に座る黒衣の剣士の上でほんの一瞬停止した──ような気がした。

 

シュバ「ねぇキリト彼と知り合いなの?」

 

キリト「知らないな。なんなら名前も初めて知ったし」

 

そしてキバオウは時間を掛けて一同を見渡し終えると、いっそうドスの利いた声で言った。

 

キバオウ「こん中に、五人か十人ワビぃ入れなあかん奴らがおるはずや」

 

ディア「詫び?誰にだい?」

 

ディアベルは様になった仕草で両手を持ち上げる。そちらを見ることなく、キバオウは憎々しげに吐き捨てる。

 

キバオウ「はっ、決まっとるやろ。今までに死んでった二千人に、や。奴らが何もかんも独り占めしたから、一ヶ月で二千人も死んでしもたんや!せやろが!!」

 

ざわついていた約四十人の聴衆が、ぴたりと静かになった。キバオウが何を言いたいのかが、やっと理解したのだろう。

誰も何も言わない。何か言えば《奴ら》の一員にされてしまうと怖れているのだろう。

言いたいことはあるが今はまだ様子を伺うとしよう。

 

ディア「キバオウさん。君の言う《奴ら》とはつまり……元ベータテスターの人たちのことかな?」

 

キバオウ「決まっとるやろ」

 

スケイルメイルをじゃらじゃら鳴らし、キバオウは背後の騎士を一瞥してから続けた。

 

キバオウ「ベータ上がり共はこん糞ゲームがはじまったその日に、ビギナーを見捨てて消えよった!奴等はボロいクエストやウマイ狩り場を独占して、自分らだけポンポン強なってその後もずーっと知らんぷりや。こん中にもおる筈やで、ベータ上がりの卑怯者が!!そいつらに土下座させて、溜めこんだ金やアイテムを全部吐き出してもらわんと、パーティーメンバーとして命は預けれんし、預かれん!!!」

 

どうどうした宣言に声を上げる者はいなかった。

僕は以前テリーと一緒にアルゴからある情報を購入した。それは元ベータテスターの人数とその死亡者数。

時間が掛かると思ったが彼女はたったの3日でその数字を示した。

三百人。これがベータテスターの死亡者数だ。

しかし壇上の男キバオウは死亡者二千をニュービーだ思い込んでいるのだろう。

 

???「発言いいか」

 

僕は立ち上がり反論しようとすると、人垣の左側から豊かなバリントンが、聞こえた。

その声の主の姿はとても大きく、推測するに身長は百九十はあるだろうか。背中に吊っている両手用戦斧(ツーハンド・バトルアックス)がとても軽そうに見える。

 

???「俺の名前はエギルだ。キバオウさん、あんたの言いたい事は、元βテスターが面倒を見なかったからビギナーが沢山死んだ、だからその謝罪と賠償をしろ、ということか?」

 

キバオウ「そ……そうや」

 

エギル「このガイドブック、あんただってもらっただろう?いろんな街の道具屋で無料配布されているからな」

 

キリト「無料配布だと?」

 

シュバ「どったのキリトくん?」

 

キリト「あの鼠が無料で情報を提供するとは思えないんだが……金取られたし」

 

テリー「多分あいつなりの方法でやったんだろ。キリトの金はそれの制作費なんだろうな」

 

キリト「そうか……」

 

僕達は壇上に意識を戻す。

 

─────────────────────────

ユウキside

 

キバオウ「貰たで。それがなんや」

 

エギル「配布していたのは元βテスター達だ。いいか!情報は誰にでも手に入れられたなのに沢山のプレイヤーが死んだ。それは彼らがベテランだったからだと俺は考えてる。ベータテスターが面倒を見た見なかったを追及してる場合じゃないと、俺は思うんだが」

 

エギルさんの話しが終わると同時に隣に座っているシュバルトが立ち上がり声を上げる。

 

シュバ「僕も一ついいかな?」

 

僕はその場から壇上へ歩きディアベルよりも高く飛び、着地する。

 

シュバ「僕の名前はシュバルト『元ベータテスター』だ。キバオウさんあんたは死んでいった二千人が全員ニュービーだと思い込んでいるんだろうけど、その中にベータテスターが何人死んだと思う?」

 

キバオウ「し、知らんわんなもん!」

 

シュバ「三百人だ。三百人のベータテスターがニュービーに混ざって死んでいったんだ。鼠から買ったから間違いはない」

 

さらに彼はキバオウを責め立てる。

 

シュバ「キバオウさんあんたがベータテスターに謝罪として金やアイテムを差し出せとか言ったけどさぁ、そんなことして戦力ダウンしてなにがしたいんだい?ボスを倒す確率だって確実に下がるのにさ」

 

彼の顔は笑っていたが、その笑みがとても冷たかった。

 

キバオウ「そ、それは……」

 

キバオウは反論意見も出せずに狼狽える。

 

シュバルト「なにも言えないならさ、さっきの無責任な発言はやめて欲しいな」

 

しばらく沈黙が場を包む。

 

ディア「よし!会議を再開しよう!」

 

ディアベルはそう言って会議を仕切り直す。

 

シュバルトは壇上から降りてこちらに戻ってくる。

 

ユウキ「お疲れ様。かっこよかったよ」

 

テリー「しかしまぁおまえがここまで感情的になるなんてな」

 

シュバ「いちばん怖いのは無知なことだからね。彼に悪い印象を抱かれても死なないで欲しいのと、ちょっとムカついたからかな」

 

その後アルゴの攻略本に記載されている、情報を確認して次の日に攻略を開始すると決まった。

 

シュバ「とりあえずパーティーは僕、ユウキ、テリー、フィリア、キリトは決まってるとして」

 

一言もしゃべらないフードのプレイヤーがいたのだが。

 

キリト「あんた、アブレたのか?」

 

???「……アブレてないわよ。周りがみんなお仲間同士みたいだから遠慮しただけよ」

 

それをアブレたって言うんだよね……

 

ユウキ「ならさ、ボク達と組まない?あと一人でフルパーティーだから」

 

???「ならそっちのリーダーさんから申請するなら受けてあげないでもないわ」

 

う~んなんだろう会ったことないのになんか知ってる人がいるような気もしなくもない、変な感じだなぁ。

 

僕はフードのプレイヤーにパーティー参加申請を出した。フードのプレイヤーは素っ気ない仕草でOKを押すと、視界左側に六つ目のHPゲージが出現した。

【Asuna】。それがフードのプレイヤーの名前だった。

 

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