幽霊を笑顔に!!   作:GTP

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お待たせしました。

今回は番外編、羽女時代のれい姉と薫さんに何があったのか。です。

季節はちょうど5月くらいのイメージです。

久しぶりに思いっきり書けたのはよかったんですが、説明だらけになってしまいました・・・それでもよければ読んでいって下さい


番外編 演劇部監督:駒沢美麗

美麗視点

 

「今日の練習はここまで。みんなしっかり休んでね。お疲れさまでした!」

 

「「「お疲れさまでした!!」」」

 

定期公演に向けての体育館練習が終わり、部員達の挨拶が響いた。

 

本番まであと少し、今年の新入部員には麻弥ちゃんに薫と凄いのが二人も入ってきている。一年生は今回が初の定期公演だけど今から活躍が楽しみだ!

 

そう心を躍らせながら帰宅準備をしていると

 

「少しいいかな?監督。」

 

その凄い後輩の一人、瀬田薫に呼び止められた。

 

彼女は役者側だが、入部当時から演技力に関してはずば抜けていて、監督の私に指摘されることが本当に少なかった。彼女曰く、演じることは至高の喜び。だそうだ。

 

それに、中性的なルックスと、私以上の高身長。そして詩的な言動のお陰でとにかく同性からモテる。実際、今日の練習にもファンが押し掛けて来ていた。まあ、お陰でこっちは下駄箱にラブレター入れられる事が減って助かってはいるけどね……私そっちの趣味ないからさ……

 

ただ、その言動は誰であっても変わらない上、廊下でいきなり劇の練習を始める等、何かと奇行の噂が絶えない人でもあった。先輩や先生を口説くのはやめてほしいと何度言えば……

 

「どしたの?いきなり呼び止めて。」

 

「いや、貴方の秘密を知りたくてね。」

 

ほらいきなりこれだよ……

 

「ちゃんと解るように言ってくれない?」

 

「失礼、監督の的確な指摘はどこから来るのかご教授願いたい。といったところかな?」

 

うーん、そういうことか……弱ったな……

 

確かに私の演技指導は、登場人物の性格だけではなく、状況や世界観なんかを深く考え、噛み砕いた上で、演技とのズレを指摘してくるので解りやすいとよく言われる。

 

そういうことができる理由は私が昔から色々な幽霊と関わってきたからだ。

 

幽体離脱にしても、既に亡くなってしまったにしても理由や経緯はある。霊感がある私は昔からそういう重く、生々しい話や悩みを聞いて来ていたし、逆に人生経験が豊富な幽霊に相談に乗ってもらったことも沢山あった。

 

まあたまに質の悪いのに目をつけられてしまって、除霊しに行ったこともしばしばなんだけどね……

 

とにかく、そういう経験が、演じる役の立場や背景、心境を踏まえた的確な指摘に繋がっているんだと思う。

 

だけど、霊感があることは皆に内緒にしてるんだよね……とはいえ、演技に対して真面目な薫に適当なこといって誤魔化すのもなぁ……

 

「教えるのはいいんだけどさ、あまりおすすめはできないよ?」

 

仕方ない、ここは薫の熱意に応えよう。

 

「ああ、構わないよ。子猫ちゃんの事を知れるなら危険など覚悟の上さ。」

 

そんな大げさな。悪霊とかには会わせないし、もし鉢合わせしたらこっちが先に手を打つ(殴り倒す)から。あと子猫ちゃんは勘弁して。私歳上だからね?

 

「それと、このことは内緒にするって先に約束してくれる?」

 

「つまり、二人だけの秘密ということだね。なんて儚い……」

 

「はぁ……いい加減なことばっかり言ってると教えないよ?」

 

なんか既に後悔しそうだけど、言ってしまったことは撤回できない。

 

とりあえず、最近悩みを聞いてる幽体離脱者の所に連れていくことにした。

 

 

 

 

雄也視点

 

「───そして、幽霊を見た薫は立ったまま白目剥いて気絶しちゃってね。」

 

「……」

 

そういうことだったんだ……まさか甥の僕まで瀬田先輩を気絶させてしまってたなんて……

「それで……練習に支障は出なかったの?」

 

「全然?薫は練習になると真剣そのものだから。本番も大成功だったよ。練習終わるとちょっと怖がってたけど。」

 

先輩よっぽど怖かったんだろうなぁ……れい姉って恐怖心に関しては完全にマヒしてそうだし……

 

「でも流石に夏合宿はやりすぎたかなぁ。怪談でまた気絶させちゃって。」

 

「いや何してるのさ……」

 

この人の怪談(実体験)は今でもトラウマだよ。ホントに夜トイレに行けなくなったんだから……

 

「まあとにかく、薫の演技力は凄いよ。私が保証する。練習公演だから多分衣装はないけど気にならないと思う。」

せっかくだし私もいこうかなーとノリノリだ。一体、瀬田先輩の演技はどこまで凄いんだろう?

 

 

 

おまけ

 

 

雄也「そういえば、れい姉モテたんだ……」

 

れい姉「モテたのは同性からだし、薫程じゃないけどね。後輩や同級生の悩みもよく聞いていたし、放課後に幽霊と話していることを隠してたからなんかミステリアスな感じに見えたんじゃない?」

 

雄也(やっぱりれい姉ってお人好しで優しいよね。)

 

れい姉「そっちの気とか全くないから報われないのに……振るのだって心が痛むしさ、ちゃんと異性と恋愛してほしいんだけど……」

 

雄也「女子高でそんなこと言ったって……」




ここまで読んでいただきありがとうございます。

なんか書けば書くほどれい姉にスポットライトが当たる感じになってしまいました。

ちなみに彼女、子供の頃から修羅場をくぐって来てるので結構強いです。

そして次回は雄也とハロハピメンバーの交流です。誰にスポットを当てるかはお楽しみに!

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