メインヒロインのこころ回です。
では、どうぞ
雄也視点
「───あら?雄也はどこにいるのかしら?」
「しーっ、しーっ!あまり大きな声ださないで弦巻さん!」
聞き慣れつつある声に慌てて生け垣から這い出ると、合った顔がぱあっ…と明るいものへ変わっていく。
「そこにいたのね!」
「まぁちょっとね…」
なんとなく、僕が見えた人のことは言わなかった。
「それで…どこで星見るのさ?」
「お家の庭よ!お星様は暗くて広いほうがよく見えるもの!」
「…なら現地集合でよかったじゃん…」
生徒さんに見つかっちゃったんですけど僕…
「そうしちゃったら、帰るまで雄也とお話できないでしょ?」
「…話すなら、スマホ耳に当ててね。」
「わかってるわ。」
…するするっと近距離に来ちゃうの、こっちとしては若干困るよ…
弦巻邸に着く頃には日もとっぷり暮れ、雲一つない満点の星空が広がっていた。
「さあ、一緒に星を見るわよ!」
「それはいいんだけどさ…星座早見盤はないの?」
「星座早見盤?」
「えぇ…」
無いじゃなくて知らないの…?
結局、ベンチに座りながら目立つ星を繋ぎ、見覚えのある形を探していくことになったのだった────
「───うーん。オリオンはないかぁ…」
目立つ星座だから見落としたりすることはないし……やっぱり季節的に早かったかな?
「オニオン?それは何かしら?」
隣にいた弦巻さんがきいてきた。聞き間違えて玉ねぎになっちゃってるけど……
「オリオン座ね…ギリシャ神話の英雄で、冬に見れるなんかこう…砂時計みたいな形の……」
指で空に形を書いて弦巻さんに教えると、どうやら伝わったらしくて。
「あの星座はオリオンっていうのね!あたし、ずっとちょうちょだと思っていたわ!」
ちょうちょ…ギリシャの英雄がちょうちょ……
星座早見盤で「?」だったから嫌な予感してたけど……花咲の天文部、いくらなんでも自由すぎない…?
「雄也って星座に詳しいのね!」
「いや、それほどでも……」
実際、教科書レベルというか……そこまで詳しい訳じゃないんだよね。
「ねえねえ雄也、あの星は何かしら?」
目立つ星を指差す弦巻さん。その星の周りを線で繋いでみると十字型が出来上がった。ということは……
「あれは……デネブだ。白鳥座だね。」
夏の代表的な星座だけど、まだ見れるんだ。
「白鳥?」
「うん、それであれが鷲座のアルタイル、そしてあのこと座のベガを結んだのが夏の大三角だよ。」
「もう季節は秋なのに、星さん達はのんびり屋なのね。」
「あはは……」
そういう訳じゃないんだけど……あ、そうだこの星座といえば。
「ちなみに、鷲座は七夕伝説の彦星、こと座は織姫だったりもするんだけど……」
「そうなの!?初めて知ったわ!」
目を丸くする弦巻さん。ここまで反応が良いと教える方も楽しいかも。
そして、その後も────
「弦巻さんは今まで星をみて何を考えていたの?」
「あたし、人が住めそうな星を探しているの!もうそろそろ見つかりそうな気がするのだけど……」
「えぇ……」
と、弦巻さんのトンデモな目標が発覚したり
「雄也、あのふらふら動いている光は何かしら?」
「いやあんなの今まで見たことないんだけど……もしかしてUFO!?」
「すごいわ!!あの中に宇宙人が乗っているのね!」
「普通喜ぶ!?」
「宇宙人さーん!おーい!!」
「そこで手を振る!?」
未知との遭遇をしてしまったりして、彼女との会話が途切れることがなかった。ちなみにUFO?はすぐに消えてしまった。
そうしているうちにあっという間に時間は過ぎていき、それなりに遅い時間になってしまった。
(ちょっと惜しいな。もっとここに居れればいいんだけど……)
とは思ったけど、明日も練習なんだってば…
「弦巻さん、もうそろそろ帰らないとかも…」
気を取り直して、相手に時間がないことを伝えると───
「あら、もうなの?もっと星を見ていたいたいのだけど……楽しい時間はあっという間ね。」
「え…………」
思わず顔を見たまま固まってしまった。
「あら?どうしたの?」
「あ、いや、なんでもない……」
首を傾げる彼女からあわてて顔を反らす。まさか同じことを考えていたとは……
でもこのまま黙ってるのはいけない気がするし何か話さないと……
「その、星だけじゃなくて、月も綺麗だね……」
慌てた結果、僕は見事にやらかした。
(いや……いやちょっと待って何やってんの何言ってるの!?話反らそうとしてうっかり……うっかり告白するなんて……ホント何やってんの!!?)
心臓の音が自分でも聞こえる
周りの温度を感じないはずの顔が熱い
恥ずかしさと、後悔みたいなのと、もうよくわからない感情が溢れて止まらず思考をかき回す
そして、それを聞いた弦巻さんは────
「ええ、とても綺麗なお月様ね!お餅をついているうさぎさんがはっきりと見えるわ!」
いつも通りだった。
(あ、あれ?通じてない?はぁ~よかった~……)
「ほっ…」
「あら?どうしたの雄也?」
ため息が聞こえてしまったようで、弦巻さんがキョトンとした顔でこっちをみている。安心するのはまだ早かったみたいだ。
「な、何でもないよ?大丈夫……」
あなたの不思議そうな顔を見たらドキッとして……とは口が裂けても言えない。言える訳ない。
「でも、さっきからそっぽを向いて「なんでもない」ばっかりじゃない。」
顔は見ていないけど、声が少しむくれて聞こえる。
「そ、それは……」
「わかったわ!あたしになにか隠してるのね!」
責められるのかと思いきや、何故か声色が嬉しそうなものに変わり…
「それならあたし、雄也が何を隠しているか当ててみせるわ!」
ベンチから立ち上がり、正面から僕の顔を見ようとしてきた。
「ちょ……やめ……」
彼女を押し退けられないから顔を背けて逃げることしかできない。
それでも近づこうとする相手を嫌でも意識して心臓が暴れ回り、そして────
「ちょっ…!見るなら僕の顔じゃなくて星を…!というか帰らなきゃって言ったじゃんっ!明日練習だよ!?
だから…だからもう勘弁してってばぁ!!!」
半ば逃げるように帰ったのだった。普通についてこられたし、顔は見られつづけたけどね…
「───つ、つかれた…」
どうにかこうにかれい姉の学生アパートまでたどり着いて、ほっ…と一息。
遊園地の時程ではないけど、色々なことが起きた一日だった……
…けど、その色々を差し引いてもやっぱりよかった…のかも…
(…もっと星座の事…調べておこうかな……)
ドアに入る前、そんな事を考えながら星を眺め直すと、あの笑顔を思い出してまた顔が熱くなった。
ということで、メインヒロインのこころ回でした。いかがでしたか?
次回は他のハロハピメンバーとのやり取りになります。はぐみか、美咲か、花音か、はたまたこころ回のお替りか……
一応誰にするかは決まっているのでお楽しみに。